説明

長期持続性転移抵抗性の化粧品組成物

【課題】唇、皮膚、爪などを含む身体上に長期持続性かつ転移抵抗性のあるフィルムを形成する化粧品組成物および方法の提供。
【解決手段】約130000cpsから約2500000cpsの粘度を有するフィルム形成性シリコーン含有ポリウレタンを含み、該ポリウレタンポリマーが人体の表面に付与されたとき長期持続性かつ転移抵抗性フィルムを与えるのに有効な量で存在する化粧品組成物。これらのフィルム形成性のポリウレタンポリマーの量は、典型的には、約0.1−60重量%、特に約2−40重量%そして好ましくは約5−約20重量%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばファンデーション、リップグロス、リップスティック、マスカラ、アイシャドウ、ほお紅およびネイルポリッシュにおいて色彩を付与するのに特に有用な化粧品組成物に関する。本発明による化粧品組成物は、約130000cpsから約2500000cps、好ましくは約400000cpsから約2500000cpsそして最も好ましくは約750000cpsから約2500000cpsの粘度を有するフィルム形成性のシリコーン含有ポリウレタンを含む。本発明による化粧品組成物は、また、当業者に周知である化粧品助剤例えば着色剤および他の化粧品添加物を含む。化粧品組成物中にフィルム形成性のシリコーン含有ポリウレタンを含ませることにより、一層快適な、粘着性の低いそして長期持続性のフィルムを、組成物が付与される表面に形成できることが、驚くべきことに見いだされた。
【0002】
本発明は、化粧品組成物に関する。さらに詳細には、それは、約130000cpsから約2500000cps、好ましくは約400000cpsから約2500000cpsそして最も好ましくは約750000cpsから約2500000cpsの粘度を有するフィルム形成性のシリコーン含有ポリウレタンを含む。好ましくは、フィルム形成性のシリコーン含有ポリウレタンは、NCO基の存在を測定して約10ppm以下のイソシアネート含量を有する。
【背景技術】
【0003】
唇から転移抵抗性のリップ用化粧品製品例えばリップスティックおよびリップグロスを提供することが、長い間望ましいと考えられてきた。従来では、リップ用化粧品製品は、製品に望ましいコンシステンシーをもたらすのに添加される種々のワックスを含む脂肪または油のベース中に分散した顔料を含む。
【0004】
顔面、唇、まつげなどのメーキャップのための化粧品製品は、例えば指または衣類と接触するようになるとき、しばしば、これらの表面をよごすかまたは汚損させ勝ちである。その結果、これらの問題を避けるために、接着性が高くそして例えば顔面、唇、まつげなどの上に連続した長期にわたるフィルムの付着をもたらす化粧品製品に特に関心が払われてきた。
【0005】
リップスティックおよびメーキャップファンデーション組成物は、通常、脂肪性の物質例えば油、粘性のある化合物およびワックス、並びに通常充填剤および顔料からなる粒状相を含む。皮膚または唇に付与されたとき、これらの化合物は、転移性があるという不利、すなわち、それらが接触するようになる対象特にガラス、カップ、布または皮膚上に、少なくとも部分的に付着物を形成して跡を残すという不利を有する。従って、部分的に剥げたフィルムを皮膚または唇上に残すことになり、メーキャップファンデーションまたはリップスティック組成物を周期的に再び塗り直さなければならない。
【0006】
その上、布そして最も特にブラウスの頚上に許容できない跡が生ずることにより、女性のなかには、このタイプのメーキャップを使用することを思いとどまる人がでる。
【0007】
これらの組成物の他の不利は、移動の問題にある。事実、いくつかのファンデーション組成物が、皮膚のしわの内側に広がり勝ちであり、そしていくつかのリップスティック組成物が、唇のまわりの小さいしわに移り勝ちであって、一方アイシャドウが、まぶたの重なりに広がり勝ちであること観察されてきている。アイシャドウの場合、まぶたの運動によりメーキャップにすじが発生することも、問題になってきている。これらの現象のすべては、消費者が明らかに避けようと望んでいる審美的ではない効果を生ずる。
【0008】
従来の技術では、これらの問題が認識されそしてこれらの問題を軽減する提案がなされてきた。例えば、特許文献1では、長期持続性化粧品組成物が記載されており、それは特に油溶性のフィルム形成性樹脂を含む。この樹脂は、多くのタイプの1つであり、それらのなかでポリイソプレンも述べられている。しかし、ポリイソプレンの分子量の詳細についてはなにも言及されていない。特許文献2では、皮膚用の化粧品組成物が記述され、それはポリイソプレンラテックスを含むが、ポリイソプレンの分子量の詳細については、なにも言及されていない。特許文献3では、潤滑剤および化粧品用の合成飽和油が記載されているが、それは290と3000との間の低い分子量を有する水素化ポリイソプレンから製造される。特許文献4では、サンスクリーン組成物が記載されているが、それはイソプレン、ブタジエンおよびスチレンのポリマーまたはコポリマーを含む。選択的に水素化されたイソプレン/ブタジエンコポリマーが好ましい。共役ジエンのポリマーも使用でき、そしてそれらは部分的に、選択的にまたは完全に水素化される。それらの分子量は、5000から35000に及び、最大は50000である。
【0009】
特許文献5は、化粧品製品における100000と4000000との間の分子量を有する水素化されていないポリイソプレンの使用、およびこれらの製品における親油性の変性粘土の使用を記述している。
【0010】
着色リップ化粧品製品の持続性および転移抵抗性を改善する試みは、ポリマー性のフィルム形成剤の使用に集中している。例えば、特許文献6は、「キス・テスト」により転移抵抗性がよいとされる、揮発性溶媒、シリコーン樹脂、ワックス、粉末および油を含むリップスティック組成物を開示している。
【0011】
特許文献7は、滑らかな、光沢のあるそして持続性のある化粧品組成物例えばリップグロスを開示している。
数年間、多くの化粧品業者はリップスティックに興味があり、そして最近では、「転移抵抗性」メーキャップファンデーション組成物に興味を示している。例えば、特許文献8は、1−70重量%の1−6炭素原子のアルキル化したペンダント鎖またはフェニル化鎖を含むシリケート繰り返しパターン(または三次元ラチス)を有する液状のシリコーン樹脂、および10−98重量%の環状Si−O鎖を有しさらにメチル基を含む揮発性シリコーン油そして粒状の充填剤を含む、「転移抵抗性」リップスティック組成物を開示している。
【0012】
特許文献9は、メチル化したペンダント鎖を含む揮発性の環状または線状のシリコーンおよび少なくとも12炭素原子を有するエステル化したペンダント鎖を組み込んだシリコーン樹脂を含有する「転移抵抗性」リップスティックを開示している。リップスティックフィルムは、なお塗られたとき不快であるという問題、そして最も重要なのは、乾きすぎるという問題を有する。
【0013】
現在まで、転移抵抗性リップ製品が達成している成功は、しかしながら、適度なものに過ぎない。市販の転移抵抗性リップ製品は、塗って不快であることが報告されており、そして唇を乾燥する作用を有する。その上、リップ製品に求められている仕上げは、転移抵抗性製品では満足して再現されることがなかった。
【0014】
これらの組成物は、転移抵抗性の欠如について非常に満足できるが、液体の形状であるという不利を有し、そのため、使用するのに不都合があるか、または少なくとも、リップスティックの従来の観念から遙かに離れたものと思われるという不利があり、それゆえ、このタイプのリップスティックを使用しようとする女性の数は、限られることになる。さらに、シリコーン油の蒸発後の唇上に生成されるフィルムは、時間の経過とともに不快になる(乾燥しそして引っ張られる感覚、それゆえ今まで使用していない他の女性がこのタイプのリップスティックを使用しようとするのを妨げる)という不利を有する。このタイプの組成物により与えられる心地よさを増強するために、非揮発性の油が、それらがシリコーンを含むかまたは含まないかにかかわらず、添加できるだろうが、しかしこの場合、「転移抵抗性」の性質は失われることになる。その上、これらの組成物は、乾燥するのに長い時間がかかる、すなわち、転移抵抗性は、数分後になって初めて生ずる。
【0015】
さらに必要なことは、例えばリップグロス、マスカラ、アイシャドウ、ファンデーション、ネイルエナメルなどにおけるように、エンドユーザーに長期の持続性のある色彩を与える化粧品組成物である。本発明は、転移抵抗性そして接触するようになる対象を汚すことがなく、一方滑らかなのび、引張り感のなさ、そして組成物が塗られる皮膚例えば唇の乾燥の欠如と組み合わされた化粧品上の「転移抵抗性」の性質の改善を示すフィルムを形成することを目的とする。
【0016】
【特許文献1】米国特許5948393
【特許文献2】米国特許6471983
【特許文献3】米国特許4122023
【特許文献4】米国特許6312672
【特許文献5】米国特許公開20040191197
【特許文献6】米国特許5505937
【特許文献7】米国特許6309629
【特許文献8】日本特許公開昭61−65809
【特許文献9】ヨーロッパ特許A602905
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
前記の目的および他の目的に従って、本発明は、唇、皮膚、爪などを含む身体上に長期持続性のあるフィルムを形成する組成物および方法を提供することによって、従来技術の欠点を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
約130000cpsから約2500000cps、好ましくは約400000cpsから約2500000cpsそして最も好ましくは約750000cpsから約2500000cpsの粘度を有するフィルム形成性のシリコーン含有ポリウレタンを含むことが、例えばリップカラー、ファンデーション、マスカラ、ネイルエナメルなどの形の化粧品組成物として塗られたときに、長期にわたるフィルム形成性および良好な転移抵抗性をもたらすことが驚くべきことに分かった。
【0019】
本発明の一面では、少なくとも約50000の重量平均分子量を有するフィルム形成性ポリウレタンを含み、該ポリウレタンポリマーは人体の表面例えば唇に塗られたとき長期持続性の快適なフィルムを与えるのに有効な量で存在する化粧品組成物例えばリップ製品が提供される。種々の実施では、ポリウレタンポリマーは、少なくとも約75000または少なくとも約100000の重量平均分子量を有するだろう。ポリウレタンポリマーの粘度は、典型的に、約130000から約2500000、好ましくは約400000から約2500000そして最も好ましくは約750000から約2500000に及ぶ。
【0020】
好適なフィルム形成性のシリコーン含有ポリウレタンは、NCO基の存在を測定して、約10ppm以下の量のジイソシアナート部分を含む。好適なフィルム形成性のシリコーン含有ポリウレタンは、ビス−PEG−1ジメチコーン−ビスヒドロキシポリジメチルシロキサン/IPDIコポリマー、ビス−PEG−1ジメチコーン、ビス−ヒドロキシポリジメチルシロキサンおよびイソホロンジイソシアナートから形成され、そしてビス−PEG−1ジメチコーン−ポリプロピレングリコール−26/IPDIコポリマー、ビス−PEG−1ジメチコーン、およびイソホロンジイソシアナートから形成されそしてこれらの組み合わせから形成される。好適なフィルム形成性のシリコーン含有ポリウレタンは、Polyderm PPI−SI−LLおよびPolyderm PPI−SI−Gの商品名でAlzo International、Inc.から得ることができる。
【0021】
本発明の他の面では、身体の表面例えば唇上に化粧品フィルムを形成するために、該表面に上述のポリウレタンポリマーを含む組成物を、該表面上に長期持続性を有ししかも快適なフィルムを付与するのに有効な量で塗ることからなる方法を提供する。
【0022】
本発明により化粧品組成物中に配合されるこれらのフィルム形成性ポリマーの量は、化粧品組成物の望まれる最終用途に応じて、好ましくは化粧品製品の0.1−60重量%、特に0.2−40重量%そして好ましくは約5−20重量%である。例えば、もし化粧品組成物の望ましい最終用途がリップカラー組成物であるならば、これらの望ましい性質は、塗りの容易さ、乾燥時間の長さ、使用者の唇への審美的な感触などを含む。従って、好ましくは、リップカラー組成物では、フィルム形成性シリコーン含有ポリウレタンの量は、約10−約30重量%である。
【0023】
フィルム形成性のシリコーン含有ポリウレタンを含む本発明の化粧品組成物が、皮膚、まつげまたは唇に塗られたとき、それらが接触されるようになる或る基体特にガラス、カップ、たばこ、衣類または皮膚にその跡の付着に抵抗できる維持できるフィルムを有利に示すものと思われる。それゆえ、組成物特にファンデーションまたはリップスティック組成物の塗布の規則的なやりなおしを必要としない塗られたフィルムの持続性が達成される。事実、唇を含む顔面および身体を綺麗にする時間を可能な限り短くしつつ、顔面および身体を美しくすることが、現代の使用者の望みである。その上、これらの許し難い跡特にブラウスの襟上の跡の発生により、或る女性がこのタイプのメーキャップを使用することが妨げられる。
本発明のこれらの面および他の面は、例示の態様および実施例を含む本発明の以下の詳細な記述を読んだ後では、当業者にとり明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
すべての用語は、本明細書で他に定義されていない限り、元来の意味を有する。本明細書で使用されるとき、用語「ジオール」は、ジイソシアナートと反応するように利用できる少なくとも2つのヒドロキシル基を有する任意の分子を含むことを目的とする。用語「ジオール」は、また存在する追加のヒドロキシル基の可能性を排除せず、それゆえポリオールなどを特に含む。用語「有効な量」は、再び塗布する必要なしに通常の行動の下で快適に、唇の表面に転移抵抗性の連続するフィルムを提供しそして好ましくは少なくとも約2時間、一層好ましくは少なくとも約4時間、より好ましくは少なくとも約6時間そしてなお好ましくは少なくとも約8時間続くのに必要なポリウレタンポリマーの量をいう。「有効な量」は、典型的には、化粧品製品の約0.1−約60重量%、特に約2−約40重量%そして好ましくは約5−約20重量%である。
【0025】
本発明の化粧品処方物の必須の成分は、フィルム形成剤として働く高分子量の粘度の高いポリウレタンポリマーである。本発明の最も広い面では、任意のポリウレタンポリマーが適していることを含む。ポリウレタンポリマーは、典型的には、約50000より大きい、好ましくは約75000より大きいそして一層好ましくは約100000より大きい重量平均分子量を有する。ポリウレタンポリマーの粘度は、典型的には、約130000−約2500000cps、好ましくは約400000−約2500000cpsそして一層好ましくは約750000−約2500000cpsに及ぶ。
【0026】
化粧品組成物中にこれらのフィルム形成性の高分子量かつ高粘度のポリウレタンポリマーを含むことが、従来のフィルム形成性ポリマーに比べて、一層快適な、粘度のより低いそして長期持続性がありそして増強された転移抵抗性の性質を有するフィルムを提供することが、驚くべきことに分かった。
本発明のポリウレタンポリマーは、典型的に、当業者に周知の方法に従ってジイソシアネート成分とジオール成分との反応により得られる。
【0027】
(a.ジイソシアネート成分)
ジイソシアネートは、一般式O=C=N−R−N=C=O(式中、Rはアルキル基、アリール基またはアルキル基およびアリール基の組み合わせからなる随意に置換された、分枝したまたは直鎖の鎖置換基を表す)を有する。Rは、それゆえ、アルキル、シクロアルキル、アルキル−シクロアルキル、アリール、アルキル−アリール、アリール−アリール、アリール−アルキル−アリールなどを含む。有用であると考えられている特定のジイソシアネートは、トルエンジイソシアネート(TDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、p−フェニレンジイソシアネート(PPI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などを含むが、これらに限定されない。
以下に示されるイソホロンジイソシアネート(IPDI)は、本発明によるポリウレタンポリマーを製造するのに現在好ましいジイソシアネートである。
【0028】
【化1】

【0029】
(b.ジオール成分)
ジオール成分の選択には本質的に制約はない。ジオール成分は、典型的に、両方の末端でヒドロキシル官能基を有する直鎖または分枝鎖のスペーサーからなり、随意に1つ以上の不飽和結合を含みそして随意に1つ以上のヘテロ原子を含む。ジオールは、例えば、アルキルジオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリオレフィンポリオールなどである。
【0030】
好適なアルキルジオールは、C−C30アルキルジオール例えば1,6−ジヒドロキシヘキサン、1,7−ジヒドロキシヘプタン、1,8−ジヒドロキシオクタン、1,9−ジヒドロキシノナン、1,10−ジヒドロキシデカン、ミリスチルアルコール二量体、イソセチルアルコール二量体、イソステアリルアルコール二量体、ラウレス−3アルコール二量体、オクチルドデシルアルコール二量体などを含むが、これらに限定されない。
【0031】
好適なポリエーテルジオールは、式HO−(R−O)−H(式中、Rは2−10炭素原子好ましくは2−3炭素原子を有する分枝鎖または直鎖のアルキル基を表しそしてnは2から約200好ましくは2から約100そして一層好ましくは約2から約50の整数である)のポリアルキレンオキシドジオールを含む。一層好ましくは、ジオールは、式HO−(CHCHR−O)−H(式中、RはH(ポリエチレングリコール、PEG)またはCH(ポリプロピレングリコール、PPG)を表す)のものである。エチレングリコールおよびプロピレングリコールのランダム、交替およびブロックコポリマーも有用であるとして含まれる。
【0032】
ジオール成分は、グリコールにより脂肪族ジカルボン酸を縮重合することにより得られる生成物を含むポリエステルグリコールを含むことができる。脂肪族ジカルボン酸の例は、コハク酸、マロン酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸およびシクロヘキサンジカルボン酸を含む。グリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチレングリコール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコールなどを含むが、これらに限定されない。
ジオールは、また、式
【0033】
【化2】

【0034】
(式中、mは2から約5000、好ましくは2から約2500そして一層好ましくは約2から約1000の整数であり、そしてRおよびRはそれぞれの場合独立して置換または未置換の分枝鎖または直鎖のC−C10アルキル、アルケニルまたはアルキニル基からなる群から選ばれ、そしてメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、プロピニル、ブチニル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、ネオ−ペンチル、第三級ペンチル;シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、ベンジル、アルキル−アリール;置換または未置換のアリールまたはヘテロアリール基;C−Cアルコキシ、アミノ、ヒドロキシル、ヒドリド、カルボキシ、シアノまたはハロゲンを含むが、これらに限定されない)の有機シロキサンである。好ましくは、RおよびRは、独立してC−Cアルキル基そして一層好ましくはC−Cアルキル基からなる群から選ばれる。現在好ましい態様では、RおよびRの少なくとも1つはメチルであり、そして一層好ましくは、RおよびRの両者はメチルである。RおよびRの両者がメチルの場合、有機シロキサンポリマーは、通常ジメチコーンとして知られているポリジメチルシロキサンである。
【0035】
有機シロキサンポリマーは、さらに、TまたはQタイプの分枝点を有するモノマーからなる。存在するとき、TおよびQ構造は、典型的に、有機ポリシロキサンポリマー中の全繰り返し単位の約50%より少なく、好ましくは約20%より少なくそして一層好ましくは約10%より少ない。
【0036】
他の興味のあるジオールは、前記のジオールの任意のものへのポリアルキレンオキシドジオール例えばPEGまたはPPGの付加により製造できる。例えば、ヒドロキシカルボン酸例えばヒドロキシカプロン酸は、ポリアルキレングリコールによりエステル化されてジオールをもたらす。同様に、有用なジオールは、ポリアルキレングリコールによるラクトン例えばブチロラクトンおよびカプロラクトンのトランスエステル化により得られる。
【0037】
上記の有機シロキサンによるポリアルキレングリコール例えばPEGのブロックコポリマーについて、特に述べておきたい。これらの態様では、ジオール成分は、式−(R−O)−Hを有する第一の成分と有機シロキサンポリマーから誘導されるジオールからなる第二の成分のコポリマーである。このコポリマーの例の1つは、式
【0038】
【化3】

【0039】
(式中、n、m、R、RおよびRは前記同様であり、そしてZは1−10炭素原子を含みそして随意に1つ以上のヘテロ原子を含むスペーサーまたは結合を表す)を有する。好ましくは、Zは式
【0040】
【化4】

の基である。
【0041】
コポリマーは、好ましくはABA(式中、Aはポリアルキレングリコール成分を表し、そしてBはポリ有機シロキサン成分を表す)のものであるが、また例えば式AB、BAB、ABABなどのコポリマーである。これらのポリマーは、ビス−PEG−ジメチコーンジオールとして当業者に知られているものを含む。
特に興味のあるものとして、ビス−PEG−ジメチコーンジオールは、mおよびnが前記同様である構造を有する。この化合物は、ケミカル・アブストラクツ登録番号CAS102783−01−7と命名されている。
【0042】
【化5】

【0043】
本発明によるウレタンポリマーは、またジオールの混合物、そしてジイソシアナートの混合物から誘導でき、そしてブロック、交替または統計コポリマーである。
(c.好ましいポリウレタン)
以下の構造は、本発明による現在好ましいポリウレタンポリマーの例である。
【0044】
【化6】

(式中、nおよびmは前記同様であり、yは重合度を表し、そしてXは末端基である)。
【0045】
Yは、約50000より大きい、好ましくは約75000より大きいそして一層好ましくは約100000より大きい重量平均分子量、そして約130000−約2500000cps、好ましくは約400000−約2500000cpsそして最も好ましくは約750000−約2500000cpsに及ぶ粘度を有するポリマーをもたらすのに選択される。
【0046】
末端基Xの選択には本質的になんら制約はない。Xは、親油性、水溶解性、粘着性、粘度などを含むポリマーの1つ以上の性質を改変するのに選択できる。好ましくは、Xはヒドロキシル基またはイソシアナート官能基と反応性のある他の官能基を含む。そのため、Xは、アルコール、ジオール、またはポリオールを表すがこれらに限定されず、例えば本明細書で記載されたジオールの任意のものを含む。
【0047】
1の態様の例では、Xは、ポリプロピレングリコール、PPG−26を表す。XがPPG−26の場合、ポリウレタンポリマーは、提案されたINCI名称ビス−PEG−1ジメチコーン−ポリプロピレングリコール−26/IPDIコポリマーを与えられ、そして名称Polyderm(商標)PPI−SI−Gの下でAlzo Internationalから市販されている。
【0048】
ポリウレタンポリマーは、任意の化粧品処方物に配合できる。本発明の高粘度ポリウレタンは、それらが長期持続性のある転移抵抗性の利点をもたらすために、リップ製品、ネイルエナメルおよびマスカラに理想的に適しているが、それらは長期持続性が望まれる他の化粧品組成物(ファンデーション、アイシャドウ、ほお紅などを含むが、これらに限定されない)を処方するのにも有用であることが考えられる。本明細書に記載されたポリウレタンポリマーにより任意のこれらの化粧品製品を処方するのは、当業者の技術の範囲内である。
【0049】
本発明の化粧品処方物中に配合されるこれらのフィルム形成性のポリウレタンポリマーの量は、典型的には、約0.1−60重量%、特に約2−40重量%そして好ましくは約5−約20重量%である。
【0050】
(他の成分)
組成物は、典型的には、1つ以上の色材を含む。本発明の組成物は、種々のタイプの組織への色彩の付与のために長期持続性のある快適なフィルムを提供する。従って、本発明による組成物は、好ましくは、化粧品組成物または皮膚科学組成物に通常使用される親油性の染料、親水性の染料、顔料および真珠光沢剤並びにこれらの混合物から選ぶことのできる色材を含む。この色材は、一般に、もしそれが存在するならば、組成物の全重量の0.01−50%、好ましくは2−30%そして一層好ましくは5−20%の割合で存在する。
【0051】
脂溶性の染料は、例えばSudanレッド、DC Red17、DC Green6、ベータ−カロテン、大豆油、Sudanブラウン、DC Yellow11、DC Violet2、DC Orange5、キノリンイエローまたはアンナルトである。それらは、組成物の重量の0.1−20%そして好ましくは0.1−6%である。
【0052】
顔料は、白色または着色、無機および/または有機そして被覆されているまたは非被覆である。無機の顔料のなかで、二酸化チタンまたは亜鉛(随意に表面処理されている)、酸化されたジルコニウムまたはセリウム、酸化された鉄またはクロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物および第二鉄ブルーを挙げることができる。有機顔料のなかで、カーボンブラック、DおよびCタイプの顔料およびコチニールカルミンに基づくレーキまたはバリウム、ストロンチウム、カルシウムまたはアルミニウムに基づくレーキを挙げることができる。顔料は、もしそれらが存在するならば、組成物の全重量の0.1−50%そして好ましくは2−30%である。
【0053】
所望の色彩を生ずるのに、色材および色材の混合物を選ぶのは当業者の技術の範囲内である。顔料、レーキおよび染料を含む好適な色材は、当業者に周知であり、そしてC.T.F.A.,International Cosmotic Ingredient Dictionary and Handbook、10版、2004に開示されており、その内容は、本明細書において参考として引用される。有機顔料は、例えば、FDおよびC染料、DおよびC染料を含み、DおよびC Red、Nos.2,5,6,7,10,11,12、13、30および34、DおよびY Yellow No.5、Blue No.1、Violet No.2を含む。無機顔料の例は、金属酸化物および金属水酸化物例えば酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、鉄酸化物(α−Fe、γ−Fe、Fe、FeO)、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、水酸化鉄、二酸化チタン、チタン低級酸化物、ジルコニウム酸化物、クロム酸化物、クロム水酸化物、マンガン酸化物、コバルト酸化物、セリウム酸化物、ニッケル酸化物および亜鉛酸化物並びに複合酸化物および複合水酸化物例えば鉄チタネート、コバルトチタネートおよびコバルトアルミネートを含むが、これらに限定されない。他の好適な色材は、ウルトラマリンブルー(すなわち、硫黄を含むナトリウムアルミニウムシリケート)、プルシアンブルー、マンガンバイオレット、オキシ塩化ビスマス、タルク、雲母、セリサイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウムマグネシウム、シリカ、チタネート化雲母、酸化鉄チタネート化雲母などを含むが、これらに限定されない。色材は、米国特許6471950、5482547および4832944(これらの内容は、本明細書において参考として引用される)に記載されているように、例えばフルオロポリマーにより表面処理されて、色材の1つ以上の特性を調節する。好適な真珠光沢顔料は、オキシ塩化ビスマス、チタン成分として二酸化チタン、チタン低級酸化物またはオキシ硝化チタンを含むグアニンおよびチタン複合材料(例えば本明細書で参考として引用される米国特許5340569に開示されている)を含むが、これらに限定されない。他の好適な真珠光沢材料は、典型的に、基体例えば雲母、ポリエチレンテレフタレート、オキシ塩化ビスマス、酸化アルミニウム、カルシウムボロシリケート、合成フラワーロフロゴパイト(flourophlogopite)(合成雲母)、シリカ、アクリレートコポリマー、メチルメタクリレートなど上の顔料または二酸化チタンの層である。
【0054】
真珠光沢顔料は、白色の真珠光沢顔料、例えばチタンまたはオキシ塩化ビスマスによりカバーされた雲母、着色真珠光沢顔料、例えば鉄酸化物による酸化チタン被覆雲母、特に第二鉄ブルーまたは酸化クロムによる酸化チタン被覆雲母または上記のタイプの有機顔料による酸化チタン被覆雲母、並びにオキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料から選ぶことができる。それらは、もし存在するならば、組成物の全重量の0.1−20%そして好ましくは0.1−15%である。
【0055】
色材/真珠光沢剤は、組成物の全重量に基づいて0.1−50%そして好ましくは2−30%である。
化粧品組成物は、さらに、1つ以上のワックス、脂肪およびエモリエントを含んで、生成物に所望の体質をもたらす。脂肪は、天然の動物および植物の脂肪および油、そして半合成脂肪および油であり、それらの例は、アボカド油、亜麻仁油、アーモンド油、いぼたろう、シソ油、オリーブ油、カカオバター、カポックワックス、カヤ油、カルナウバワックス、肝油、カンデリラワックス、牛脂、ウシの足油、ウシの骨脂肪、水素化牛脂、アプリコット仁油、クジラろう、水素化油、コムギ胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメぬか油、甘蔗ワックス、ササンクワ(sasanqua)油、紅花油、シアバター、中国製桐油、シナモン油、ホホバ油、シェラックワックス、亀油、大豆油、茶種子油、椿油、月見草油、とうもろこし油、ラード、なたね油、日本製桐油、こめぬかワックス、胚芽油、馬脂肪、パーシック(persic)油、パーム油、パーム実油、ひまし油、水素化ひまし油、ひまし油脂肪酸メチルエステル、ひまわり油、ぶどう種子油、べーラムワックス、ホホバ油、マカドミアナッツ油、ミツバチワックス、ミンク油、綿実油、木綿ワックス、木ろう、ヘーゼルナッツ実油、モンタンワックス、ココナツ油、水素化ココナツ油、トリココナツ脂肪酸グリセリド、羊脂、ピーナッツ油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、ラノリンアセテート、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ヘキシルラウレート、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素化ラノリンアルコールエーテルおよび卵黄油を含む。さらに、用語「POE」は、本明細書で使用されるとき、ポリオキシエチレンをさす。
【0056】
本発明の化粧品組成物は、随意に、他の活性および不活性の成分を含み、化粧品上許容される担体、油、ステロール、アミノ酸、モイスチャライザー、粉末、紫外線吸収剤、色材(顔料および/または染料を含む)、pH調節剤、香料、精油、化粧品活性成分、ビタミン、必須脂肪酸、スフィンゴリピド、自己日焼け化合物例えばDHA、サンスクリーン、助剤、充填剤、乳化剤、抗酸化剤、界面活性剤、フィルム形成剤、キレート剤、ゲル化剤、濃厚化剤、エモリエント、湿潤剤、モイスチャライザー、ビタミン、ミネラル、粘度および/またはレオロジー改変剤、サンスクリーン、角質溶解剤、色素脱失剤、レチノイド、ホルモン性化合物、アルファ−ヒドロキシ酸、アルファ−ケト酸、抗ミコバクテリア剤、抗かび剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、鎮痛剤、リピド化合物、抗アレルギー剤、H1またはH2抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、抗刺激剤、抗腫瘍剤、免疫系促進剤、免疫系抑制剤、抗アクネ剤、麻酔剤、防腐剤、昆虫忌避剤、皮膚冷却剤、皮膚保護剤、皮膚浸透増強剤、剥離剤、潤滑剤、香料、色材、着色剤、色素脱失剤、色素脱色剤、保存料、安定剤、薬品、光安定剤、球状粉末およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。前記のものに加えて、皮膚の疾患の治療のための任意の他の化合物も含まれる。
【0057】
本発明による化粧品組成物は、当業者に周知の方法に従って、任意の形状、例えば可溶化システム、乳化システム、粉末分散可溶化システム、粉末分散乳化システムまたは粉末分散油システムで調製され、そしてメーキャップ化粧品例えばファンデーション、粉末、リップカラー、ほお紅、アイシャドウまたはネイルエナメルについて使用できる。
【0058】
本発明の外部のスキンケア組成物のpHは、好ましくは、2−11、特に3−9に調節される。
本発明の組成物は疎水性成分を含みそしてしばしばエマルションの形状にされる。エマルションは、濃厚な粒状物含有親水性の液状担体または他の親水性の希釈剤からなる親水性の相、並びに疎水性の成分例えばリピド、油または油状の材料からなる疎水性の相からなる。当業者にとり周知のように、親水性の相は、疎水性の相に分散するか、またはその逆であって、組成物の成分に応じて、それぞれ親水性または疎水性の分散し連続した相を形成する。エマルション技術では、用語「分散した相」は、当業者にとり周知な用語であり、相が連続相に懸濁しそして囲まれている小さい粒子または小滴として存在することを意味する。分散した相は、また、内部または不連続な相として知られている。エマルションは、水中油エマルションまたは油中水エマルション例えばシリコーン中水のエマルションであるか、またはそれらを含む(例えば、3種類または他のマルチ相のエマルション)。水中油エマルションは、典型的に、約1−約50%(好ましくは約1−約30%)の分散した疎水性の相、および約1−約98%(好ましくは約40−約90%)の連続する親水性の相からなり、油中水エマルションは、典型的に、約1−約98%(好ましくは約40−約90%)の分散した親水性の相および約1−約50%(好ましくは約1−約30%)の連続する疎水性の相からなる。エマルションは、また、ゲル網状構造例えばG.M.Eccleston,Application of Emulsion Stability Theories to Mobile and Semisolid O/W Emulsions、Cosmetics and Toiletries、Vol.101、1996年11月、pp 73−92に記載されたものから成ることができる。好ましいエマルションは、約5000cpsから約200000cpsの見かけ粘度を有する。
【0059】
エマルションは、連続相内に不連続な相を分散および懸濁するのを一般に助けるために乳化剤および/または界面活性剤を含むことができる。広範囲のこれらの剤が使用できる。周知または従来の乳化剤/界面活性剤は、選択された剤が組成物の必須成分と化学的および物理的に独立して存在できるならば、組成物中に使用でき、そして所望の分散性をもたらす。上記のように、本発明の組成物は、このタイプの生成物において1つ以上の機能を行う広範囲の随意の成分を含むことができる。これらの随意の成分は、濃厚な親水性の相、または随意の疎水性の相の1つ以上または本発明の組成物の1つ以上の追加の相の何れかに見いだされる。これらの材料の例は、Harry’s Cosmeticology、7版、Harry and Wilkinson(Hill Publishers,London 1982);Pharmaceutical Dosage Forms−Disperse Systems、Lieberman、Rieger and Banker,Vols.1(1988)および2(1989)、Marcel Decker,Inc.;The Chemistry and Manufacture of Cosmetics,2版、deNavarre(Van Nostrand 1962−1965);The Handbook of Cosmetics Science and Technology、1版、Knowlton and Pearce(Elsevier 1993)に記述されているが、これらに限定されない。これらの成分は、透明な粒子、皮膚コンディショニング剤例えばエモリエント、湿潤剤およびモイスチャライザー、皮膚クレンザー、皮膚ケア活性剤例えばビタミンB3化合物、レチノイド、抗酸化剤/ラジカルスカベンジャー、および有機ヒドロキシ酸、構造剤、並びに抗炎症剤、サンスクリーン/サンブロック、キレーター、落屑剤/剥離剤、および皮膚光沢(lightening)剤を含むが、これらに限定されない。
【0060】
1つの態様では、本発明の組成物は、レチノイドを含むことができる。レチノイドは、本発明の皮膚の外観の利点、特に皮膚のコンディションを調整すること(皮膚のエイジングの徴候、特にしわ、すじおよびあなの調整を含む)を増強する。本明細書で使用されるとき、「レチノイド」は、ビタミンAまたはレチノール様化合物のすべての天然および/または合成のアナログ(皮膚においてビタミンAの生物学的活性を有する)並びにこれら化合物の幾何学的異性体および立体異性体を含む。レチノイドは、好ましくは、レチノール、レチノールエステル(レチニルパルミテート、レチニルアセテート、レチニルプロピオネートを含む)、レチナール、および/またはレチン酸(全トランスレチン酸および/または13−シス−レチン酸を含む)、一層好ましくはレチン酸以外のレチノイドである。これらの化合物は、当業者に周知であり、そして多数の供給源例えばSigma Chemical Company(St.Louis,Mo.)およびBoerhinger Mannheim(Indianapolis、Ind.)から市販されている。レチノール、レチニルパルミテート、レチニルアセテート、レチニルプロピオネート、レチナールおよびこれらの組み合わせを含む1つ以上のレチノイドが、本発明で使用できる。
【0061】
レチノイドは、実質的に純粋な材料として、または天然の源(例えば植物)からの好適な物理的および/または化学的な単離により得られる抽出物として含まれる。レチノイドは、好ましくは、実質的に純粋、一層好ましくは本質的に純粋である。本発明の組成物は、安全かつ有効な量のレチノイドを含み、得られる組成物は、皮膚のコンディションの調整、好ましくは皮膚の可視および/または触知の不連続さの調整、一層好ましくは皮膚のエイジングの徴候の調整、さらに好ましくは皮膚のエイジングに伴う皮膚のテクスチャの可視および/または触知の不連続さの調整について安全かつ有効である。組成物は、約0.005−約2%、さらに好ましくは0.01−約2%のレチノイドを含むことができる。
【0062】
本発明の組成物は、抗酸化剤/ラジカルスカベンジャーを含むことができる。抗酸化剤/ラジカルスカベンジャーは、UV照射(角質層におけるテクスチャの変化または鱗屑の増加を生ずる)および皮膚の損傷を生じさせる他の環境に存在する剤に対する保護をもたらすのに特に有用である。安全かつ有効な量の抗酸化剤/ラジカルスカベンジャーが本発明の組成物に添加され、その量は、好ましくは組成物の約0.1−約10%、より好ましくは約1−約5%である。
【0063】
抗酸化剤/ラジカルスカベンジャー例えばアスコルビン酸(ビタミンC)およびその塩、脂肪酸のアスコルビルエステル、アスコルビン酸誘導体(例えば、マグネシウムアスコルビルホスフェート)、トコフェロール(ビタミンE)、トコフェロールソルベート、トコフェロールアセテート、トコフェロールの他のエステル、ブチル化ヒドロキシ安息香酸およびそれらの塩、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸(Trolox(商標)の下で市販されている)、没食子酸およびそのアルキルエステル特にプロピルガレート、尿酸およびその塩およびアルキルエステル、ソルビン酸およびその塩、アミン(例えば、N、N−ジエチルヒドロキシルアミン、アミノ−グアニジン)、スルフヒドリル化合物(例えば、グルタチオン)、ジヒドロキシフマール酸およびその塩、リシンピドレート、アルギニンピロレート、ノルジヒドログアイアレチン酸、ビオフラボノイド、リジン、メチオニン、プロリン、スーパーオキシドディスムターゼ、シリマリン、茶抽出物、ぶどう皮/種子抽出物、メラニン、並びにローズマリー抽出物が使用できる。好ましい抗酸化剤/ラジカルスカベンジャーは、トコフェロールソルベートおよびトコフェロールの他のエステル、一層好ましくはトコフェロールソルベートから選ばれる。例えば、本発明に適用できそして局所組成物におけるトコフェロールソルベートの使用は、米国特許4847071に記載されている。
【0064】
もちろん、当業者は、本発明による組成物の有利な性質が考慮されている追加により変えられないかまたは実質的に変えられないことが確実になされるように、任意の追加の化合物および/またはそれらの量を選ぶことに注意する。
【0065】
本発明による組成物の製造方法は、化粧品の分野で従来使用されている方法とはほとんど異なることがなく、そして専門家に全く周知である。これらの方法は、好ましくは加熱後、組成物の異なる成分を混合し、次にそれらを注いで所望の形状を生成することからなる。
【0066】
本発明による組成物は、本発明による化粧品組成物の所望の最終用途に応じて、スティック或いは可撓性または注型したペーストまたは粘度のある液体の形をとることができる。
【0067】
1つの態様では、本発明の化粧品組成物はリップカラーであり、そしてもしトップコート組成物が提供されるならば、それは天然の動物および植物の脂肪および油並びに半合成の脂肪および油を含むことができ、それらの例は、アボカド油、あまに油、アーモンド油、もくろう、シソ油、オリーブ油、カカオバター、カポックワックス、カヤ油、カルナウバワックス、肝油、カンデリラワックス、牛脂、牛の足油、牛の骨脂、水素化牛脂、アプリコット仁油、クジラろう、水素化油、コムギ胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメぬか油、甘蔗ワックス、ササンクワ(sasanqua)油、紅花油、シアバター、中国製桐油、シナモン油、ホホバ油、シェラックワックス、亀油、大豆油、茶種子油、椿油、月見草油、とうもろこし油、ラード、なたね油、日本製桐油、こめぬかワックス、胚芽油、馬脂肪、パーシック(persic)油、パーム油、パーム実油、ひまし油、水素化ひまし油、ひまし油脂肪酸メチルエステル、ひまわり油、ぶどう種子油、べーラムワックス、ホホバ油、マカドミアナッツ油、ミツバチワックス、ミンク油、綿実油、木綿ワックス、木ろう、ヘーゼルナッツ実油、モンタンワックス、ココナツ油、水素化ココナツ油、トリココナツ脂肪酸グリセリド、羊脂、ピーナッツ油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、ラノリンアセテート、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ヘキシルラウレート、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素化ラノリンアルコールエーテルおよび卵黄油を含む。さらに、用語「POE」は、本明細書で使用されるとき、ポリオキシエチレンをさす。
【実施例1】
【0068】
長期の耐久性のあるリップカラーが提供される。それは、単一のステップの生成物として提供でき、その場合、長期におよぶ耐久性のある色彩および所望の光沢のある仕上げが、単一の塗り例えばリップスティックまたは棒またはブラッシュにより塗られる液状のリップカラーでもたらされる。別の方法として、長期持続性のあるリップカラーは、2つの部分のシステムであり、その場合、唇に塗られる第一の部分はカラーを含み、そして乾燥されると、第二の部分がカラーの上に塗られる。特定の理論に限定されることを望まないが、脱粘着剤と組み合わされたフィルム形成剤は、従来のものに比べて一層長期の滑らかな快適な塗りをもたらす。そのようにすることにより、ユーザーは、従来の長期に塗られるタイプのリップ製品で経験されるような、粘着性および/またははげ落ちの感触を唇の領域に生じさせそしてひびの入った外観を示す、塗布後唇の組織の典型的な締め付けを経験しない。
【0069】
(第一のカラー部分)
【表1】

【0070】
(第二のクリアー部分)
【表2】

【0071】
本明細書で引用された特許および公開特許のすべては、参考のために本明細書では引用された。或る改変および改善は、上記の記述を読んで当業者が行うだろう。これらの改変および改善のすべてが、簡潔さおよび読みやすさのために本明細書では削除されたが、請求の範囲内に適切に入るものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約130000cpsから約2500000cpsの粘度を有するフィルム形成性シリコーン含有ポリウレタンを含み、該ポリウレタンポリマーが人体の表面に付与されたとき長期持続性転移抵抗性フィルムを与えるのに有効な量で存在することを特徴とする化粧品組成物。
【請求項2】
NCO基により測定して約10ppm以下の量のイソシアナート基を含む請求項1の化粧品組成物。
【請求項3】
フィルム形成性シリコーン含有ポリウレタンが、ビス−PEG−1ジメチコーン−ビスヒドロキシルポリジメチルシロキサン/IPDIコポリマー、ビス−PEG−1ジメチコーン、ビス−ヒドロキシポリジメチルシロキサンおよびイソホロンジイソシアナートから;そしてビス−PEG−1ジメチコーン−ポリプロピレングリコール−26/IPDIコポリマー、ビス−PEG−1ジメチコーンおよびイソホロンジイソシアナートから;そしてこれらの組み合わせから形成される請求項1の化粧品組成物。
【請求項4】
該ポリウレタンポリマーが、少なくとも約130000cpsの粘度を有する請求項1の化粧品組成物。
【請求項5】
該ポリウレタンポリマーが、少なくとも約400000cpsの粘度を有する請求項1の化粧品組成物。
【請求項6】
該ポリウレタンポリマーが、少なくとも約750000cpsの粘度を有する請求項1の化粧品組成物。
【請求項7】
該ポリウレタンポリマーが、少なくとも約1000000cpsの粘度を有する請求項1の化粧品組成物。
【請求項8】
該ポリウレタンポリマーが、少なくとも約1500000cpsの粘度を有する請求項1の化粧品組成物。
【請求項9】
該ポリウレタンポリマーが、少なくとも約2000000cpsの粘度を有する請求項1の化粧品組成物。
【請求項10】
ヒトの表面に約130000cpsから約2500000cpsの粘度を有するポリウレタンポリマーを含む組成物を塗布することからなり、該ポリウレタンポリマーがヒトの表面に長期持続性転移抵抗性フィルムを付与するのに有効な量で存在することを特徴とするヒトの表面に化粧品フィルムを付与する方法。
【請求項11】
該ポリウレタンポリマーが少なくとも約130000cpsの粘度を有する請求項9の方法。
【請求項12】
該ポリウレタンポリマーが少なくとも約2000000cpsの粘度を有する請求項10の方法。

【公表番号】特表2008−536943(P2008−536943A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507880(P2008−507880)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/014919
【国際公開番号】WO2006/113882
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(399130393)エイボン プロダクツ インコーポレーテッド (75)
【Fターム(参考)】