説明

長物農産物の端揃え供給装置

【課題】長物農産物をコンベアに対してラフにセットした場合でも、その一側端がコンベア上で確実に揃えられるようにした長物農産物の端揃え供給装置を提供する。
【解決手段】循環走行する無限軌道体に複数のトレイ12を固定してなり、長物農産物Gをトレイ12にその搬送方向Xと略直交する横向きに載せた状態で搬送するコンベア1と、コンベア1の一側方に設置されるガイドであって、その下流端2aが上流端2bよりもコンベア1に近接しており、上流から搬送されてくる長物農産物Gの一側端に当接することにより、前記一側端の位置を揃える端揃え手段2と、端揃え手段2が設けられている搬送区間Sにおいて、トレイ12上の長物農産物Gを端揃え手段2側へ寄せるように横移動させる横移動手段3と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長物農産物を搬送しながら、その一側端の位置を揃えるようにした長物農産物の端揃え供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アスパラガスや長ネギ等、細長い形状をした農産物(以下、「長物農産物」という。)を出荷する際に、その長さを切り揃えた状態で結束包装することが一般的に行われており、これを自動化するため、長物農産物の端揃え供給装置が提案されている(特許文献1参照。)。この端揃え供給装置は、図4(a)に示されるように、長物農産物Gを横向きに載せて搬送するコンベア10と、その一側方に対して上流側から下流側に向かうにつれてコンベア10に接近するローラーベルト20と、コンベア10に対してローラーベルト20とは反対側の側方に設けられる回転カッター30と、を備えてなる。
【0003】
上記端揃え供給装置によれば、長物農産物Gをその長手方向の位置を揃えることなく、コンベア10に横向きに載せるだけで、斜め向きのローラーベルト20のベルト面20aが長物農産物Gの一側端(穂先Ga)に当接して、長物農産物Gをコンベア10上で横移動させ、穂先位置を横一列に揃えることができる。その穂先位置を揃えた状態でさらに長物農産物Gが搬送されることにより、下流に設けられている回転カッター30が不揃いの他方の側端(根元Gb)を切り揃えて、一定長さの長物農産物Gを供給できるようになるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平8−25619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の端揃え供給装置では、図4(b)において符号Gで示されるように、長物農産物のコンベア10に対するセット位置の加減しだいでは、穂先Gaがローラーベルト20に当接することなく通過してしまうことがある。かかる場合には、穂先位置が揃えられていないにもかかわらず、下流に設けられる回転カッターによって根元Gbが一様に切断され、長物農産物Gの長さが不揃いになるという問題がある。
【0006】
なお、穂先Gaをローラーベルトに確実に当接させるため、長物農産物をローラーベルト20側へ大きくオフセットさせた位置にセットしておくことも考えられるが、そうした場合、図A(c)において符号Gで示されるように、長物農産物が、ローラーベルト20の上流端20bに接触し、そのベルト回転力Tによって、穂先Gaがローラーベルト20に再び当接することできない位置まで弾かれることがあり、結局、図4(b)で示されるものと同様、穂先位置が揃わないままで根元側が切断されるという不都合を生じ得る。
【0007】
本発明は、斯かる実情に鑑み、長物農産物をコンベアに対してラフにセットした場合でも、その一側端がコンベア上で確実に揃えられるようにした長物農産物の端揃え供給装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の長物農産物の端揃え供給装置は、循環走行する無限軌道体に複数のトレイを固定してなり、長物農産物を前記トレイにその搬送方向と略直交する横向きに載せた状態で搬送するコンベアと、
前記コンベアの一側方に設置されるガイドであって、その下流端が上流端よりも前記コンベアに近接しており、上流から搬送されてくる長物農産物の一側端に当接することにより、前記一側端の位置を揃える端揃え手段と、
前記端揃え手段が設けられている搬送区間において、前記トレイ上の長物農産物を前記端揃え手段側へ寄せるように横移動させる横移動手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の長物農産物の端揃え供給装置は、請求項1記載の長物農産物の端揃え供給装置において、前記横移動手段は、前記無限軌道体に対して横方向に微小振動を加えることにより、前記トレイ上の長物農産物を横移動させることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の長物農産物の端揃え供給装置は、請求項1又は2記載の長物農産物の端揃え供給装置において、前記横移動手段は、前記搬送区間において前記無限軌道体を走行可能に支持するとともに横方向への動きを拘束する拘束部材と、該拘束部材を横方向に微小振動させる電磁振動体と、を備えてなることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の長物農産物の端揃え供給装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置において、前記横移動手段の上流端は、前記端揃え手段の上流端よりも下流側に位置していることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の長物農産物の端揃え供給装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置において、前記トレイは、前記端揃え手段に近接する側端部がその反対側の側端部より低くなるように物品載置面が傾斜していることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の長物農産物の端揃え供給装置は、請求項1乃至5のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置において、前記一側端の位置を揃えられた長物農産物の反対側の他側端を切り揃えるカッターと、
前記他側端が切り揃えられる際に長物農産物を上方から押さえる回転ローラー形の押圧部材と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の長物農産物の端揃え供給装置は、請求項6記載の長物農産物の端揃え供給装置において、前記押圧部材は、前記カッターによる切断が開始される位置よりも上流側の位置から長物農産物を押さえ始めることができる位置に設置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の長物農産物の端揃え供給装置は、請求項6又は7記載の長物農産物の端揃え供給装置において、前記押圧部材は、前記カッターで切り揃えられる前記他側端の近くを押さえる位置に設置されていることを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の長物農産物の端揃え供給装置は、請求項6乃至8のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置において、前記押圧部材は、長物農産物の両端の近くをそれぞれ押さえることを特徴とする。
【0017】
請求項10記載の長物農産物の端揃え供給装置は、請求項1乃至9のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置において、前記端揃え手段は、前記コンベアに対し、前記コンベアの搬送方向と直交する方向において接近及び離間することができるスライド機構を備えていることを特徴とする。
【0018】
請求項11記載の長物農産物の端揃え供給装置は、請求項1乃至10のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置において、前記端揃え手段は、前記コンベアの搬送方向に対する水平方向の交差角度を調節することができる角度変更機構を備えていることを特徴とする。
【0019】
請求項12記載の長物農産物の端揃え供給装置は、請求項1乃至11のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置において、前記端揃え手段は、ベルト面が略垂直で、かつ、上流端から下流端に向けて走行するローラーベルトであって、走行速度を調節することができる速度調節機構を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の長物農産物の端揃え供給装置によれば、以下の優れた効果を奏する。コンベアのトレイ上に載せられた長物農産物を、端揃え手段が設けられている搬送区間において、横移動手段で端揃え手段側へ寄せるように積極的に横移動させるので、その一側端を端揃え手段に対して確実に当接させ、整列させることができるようになる。したがって、従来のように、揃えられるべき一側端(穂先)が不揃いのままで下流工程に搬送される不都合が完全に防止される。
【0021】
請求項2記載の長物農産物の端揃え供給装置によれば、請求項1記載の長物農産物の端揃え供給装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。微小振動を利用して横移動させるため、長物農産物をトレイに載せることさえできれば、端揃え手段側へ確実に寄せることができる。しかも複数のトレイを個別に振動させるのではなく、それらを固定する無限軌道体を介してまとめて振動させる構成を採用することにより、装置構造を簡単にすることができる。
【0022】
請求項3記載の長物農産物の端揃え供給装置によれば、請求項1又は2記載の長物農産物の端揃え供給装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。端揃え手段がある搬送区間で無限軌道体を拘束して微小振動させるため、無限軌道体がその走行経路から脱線する等のリスクを最小限に抑えることができる。また、振動を電磁振動体で発生させるため、装置構造を簡単かつコンパクトにすることができる。
【0023】
請求項4記載の長物農産物の端揃え供給装置によれば、請求項1乃至3のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。横移動手段が端揃え手段よりも下流側で始まるように設定することにより、長物農産物が端揃え手段が存在していないところで無用に横移動することによるトラブルが防止される。
【0024】
請求項5記載の長物農産物の端揃え供給装置によれば、請求項1乃至4のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。トレイの端揃え手段に近接する側端部をその反対側よりも低くなるように傾斜させたので、トレイに載せられた長物農産物を、端揃え手段側へ横移動させ易くなり、特に微小振動を利用する場合に効率よく横移動させることができる。
【0025】
請求項6記載の長物農産物の端揃え供給装置によれば、請求項1乃至5のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。端揃え手段で一側端を揃えられた長物農産物の他側端を切り揃える際に、押圧部材で押さえるので、長物農産物が切断中にトレイ上で動くことによる不都合が防止される。また、回転ローラー形の押圧部材を採用したので、長物農産物を押さえたり、離したりしなくてもよく、特別な駆動機構を要しない。
【0026】
請求項7記載の長物農産物の端揃え供給装置によれば、請求項6記載の長物農産物の端揃え供給装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。押圧部材がカッターによる切断開始位置よりも上流側の位置から長物農産物を押さえるようにしたので、長物農産物が既に固定された状態で切断が開始されて、切断面の乱れ等が確実に防止される。
【0027】
請求項8記載の長物農産物の端揃え供給装置によれば、請求項6又は7記載の長物農産物の端揃え供給装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。押圧部材はカッターで切り揃えられる他側端の近くを押さえるようにしたので、切断中に長物農産物の切断部付近における動き量を確実に抑えることができる。
【0028】
請求項9記載の長物農産物の端揃え供給装置によれば、請求項6乃至8のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。押圧部材は長物農産物の両端の近くをそれぞれ押さえるようにしたので、切断中に長物農産物の切断部とカッターとの間に大きな負荷が発生しても、長物農産物が不意に動く事態が確実に防止される。
【0029】
請求項10記載の長物農産物の端揃え供給装置によれば、請求項6乃至9のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。端揃え手段をコンベアに対して接近及び離間させることができるスライド機構を設けたので、長物農産物の切断長さを容易に変更することができる。また、切り揃えられた長物農産物に対して結束包装等を行う場合、真直ぐに切断された切断面を基準面とした方が容易に処理できるところ、カッターでなく端揃え手段を動かすようにしたので、基準面が固定されることになり、切断サイズ変更への対応が容易である。
【0030】
請求項11記載の長物農産物の端揃え供給装置によれば、請求項1乃至10のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。長物農産物は、その本来の曲がり具合や負荷を受けた時の撓みの程度に応じて、横移動をスムーズに行える端揃え手段との当接角度が異なるところ、端揃え手段の角度を調節できるようにしたので、長物農産物に応じてトラブルを生じ難い当接角度を設定することができる。
【0031】
請求項12載の長物農産物の端揃え供給装置によれば、請求項1乃至11のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。端揃え手段は、コンベアと角度が付けられているため、コンベアとの速度関係を調節できるようにして安定した物品搬送を実現するものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】長物農産物の端揃え供給装置の平面図。
【図2】長物農産物の端揃え供給装置の側面図。
【図3】長物農産物の端揃え供給装置を搬送方向の上流側から見た部分拡大図。
【図4】従来の長物農産物の端揃え供給装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(本実施形態に係る農産物の端揃え供給装置)
本実施形態に係る長物農産物の端揃え供給装置(以下、単に「端揃え供給装置」という。)は、一般に長さが不揃いである長物農産物の一側端を、真直ぐ並ぶように端揃えする一方、その状態において並びが不揃いとなる反対側の他側端を、真直ぐ並ぶように切り揃えて、長物農産物を一定長さで、かつ、両端を揃えた状態にして、下流へ供給する装置である。ここでは、アスパラガスG(長物農産物)について、その穂先Ga(一側端)の位置を揃えるとともに、反対側の根元Gb(他側端)を切り揃えて一定長さとする例を説明する。
【0034】
端揃え供給装置は、図1乃至図3に示されるように、矢印Xで示す搬送方向と略直交する横向きでアスパラガスGを搬送するコンベア1と、コンベア1の一側方に設置されるガイドであってアスパラガスGの穂先Gaに当接し、穂先位置を搬送方向において真直ぐ並ぶように揃える端揃え手段2と、コンベア1上のアスパラガスGを端揃え手段2へ積極的に当接させる横移動手段3と、穂先位置を揃えられたアスパラガスGの根元Gbを切り揃える回転刃41を有するカッター4と、カッター4による根元Gbの切断時にアスパラガスGを上方から押さえる回転ローラー形の押圧部材51,52と、を備えてなる。
【0035】
(コンベア1)
コンベア1は、並列に配設されて同期的に走行する二本の駆動チェーン11と、これらに架け渡された状態で固定されて走行方向に並ぶ複数のトレイ12と、駆動チェーン11が巻き掛けられるスプロケット13,14と、駆動源となる原動機15と、を備えてなる。トレイ12は、駆動チェーン11の走行方向(コンベア1の搬送方向)と略直交する横方向に延びる細長形状のプラスチック製トレイで、略V字形の一様断面を有してなり、両側端12a,12bは横方向に開放されている。両側端12a,12b付近の下面側は、図3に示されるように、それぞれ各駆動チェーン11の側面プレート11aに設けられるブラケット11bに固定されている。
【0036】
スプロケット13,14は、装置本体に固定されて搬送方向に延びる支持フレーム18の両端部で回転可能に支持されており、駆動チェーン11は、支持フレーム18の上面及び下方を循環走行可能とされている。下流側のスプロケット14を支持する回転支持軸16は、別のスプロケット16aを備えており、その近傍で支持フレーム18に対して固定される原動機15は、その回転出力軸にスプロケット15aを備えている。そして、原動機15が、上記両スプロケット15a,16aに巻き掛けられる伝導チェーン17を介して回転支持軸16を回転させることで、駆動チェーン11を走行させる。
【0037】
アスパラガスGは、断面略V字形を成すトレイ12の両壁面12c,12dの間に挟まれて水平方向に延びる底部12eに横向きに、かつ、穂先Gaが上記側端12a側(根元Gbが上記側端12b側)に位置するように向きを揃えた状態で載せられる。なお、トレイ12は、横方向の長さがアスパラガスGの切断後の全長より短く、かつ、穂先Gaに当接する端揃え手段2や根元Gbを切断するカッター4と干渉しない位置を通過するように設けられている。なお、図1及び図3に示されるように、両壁面12c,12dには、後述する押圧部材51,52との干渉を避けるための切欠き12f,12gが横方向に間隔をおいて形成されている。切欠き12fは、端揃え手段2の側端12aの近傍に形成されており、切欠き12gは、他方の側端12bに形成されている。
【0038】
(端揃え手段2)
端揃え手段2は、回転軸が略鉛直に延びる二つのローラー21,22と、これらのローラーに巻き掛けられて略垂直のベルト面2aを形成するベルト23と、一方のローラー22を回転駆動する原動機24(図2,3)と、ローラー21,22を軸受支持し、原動機24を固定支持するスライドフレーム25(図1,3)と、からなるローラーベルトであり、コンベア1の一側方(搬送されるアスパラガスGの穂先Gaが向けられる側)に設置される。ベルト面2aは、コンベア1に沿うように設けられているが、搬送方向と平行ではなく、上流端2bよりも下流端2cがコンベア1に近接するように、水平方向において所定角度θ(図1)を付けられた斜め方向に向けられている。
【0039】
これにより、ベルト面2aは、上流端2bから下流端2cへの走行途中において、コンベア1で搬送されるアスパラガスGに当接し、穂先位置を一列に揃えるガイドとして機能する。すなわち、アスパラガスGは、トレイ12にランダムに載せられても、端揃え手段2を通過する間に、穂先Gaが斜めに向けられたベルト面2aに当接して、トレイ12上で横方向に移動し、最終的に下流端2cで穂先位置が揃えられる。なお、ベルト面2aとコンベア1を同速走行させた場合、両者には交差角度θが付けられているため、穂先Gaは、ベルト面2aとの速度差で擦れて傷むおそれがある。そこで、端揃え手段2の原動機24は、コンベア1の搬送速度に応じて、ベルト面2aの走行速度を調節する速度調節機構(不図示)を備え、穂先Gaとベルト面2aに速度差が生じないようにしている。
【0040】
スライドフレーム25には、図1に示されるように、自らを装置本体に対して螺子固定するための螺子挿通穴25aが形成され、螺子挿通穴25aに挿通される螺子25bで締結固定される。螺子挿通穴25aは、コンベア1の搬送方向と直交する横方向に延びる長穴で、螺子25bを緩めることでスライドフレーム25を螺子挿通穴25aに沿ってスライドさせ、また、適当な位置で螺子25bを締め込み、スライドフレーム25を固定することができる。すなわち、スライドフレーム25は、コンベア1に対して端揃え手段2を横方向で接近及び離間可能にするスライド機構として機能する。これにより、アスパラガスGの穂先Gaから後述する回転刃41までの距離、すなわちアスパラガスGの切断長さを容易に調整することができる。
【0041】
(横移動手段3)
横移動手段3は、コンベア1の搬送路中、端揃え手段2が設けられている搬送区間Sにおいて、トレイ12に載せられているすべてのアスパラガスGを端揃え手段2側へ寄せるように積極的に横移動させる。具体的には、図3に示されるように、二本の駆動チェーン11を走行可能に支持しながら、走行方向と直交する横方向への動きを拘束する二本の支持レール31と、支持レール31が上面側に敷設固定される振動台32と、振動台32を装置本体に固定するとともに横方向に微小振動させる電磁振動体33と、を備えてなる。支持レール31は、駆動チェーン11の走行方向に延びる横断面凸状の長尺体であって、これに載せられる駆動チェーン11の側面プレート11aの間に係合し、駆動チェーン11の走行を許容しながら、横方向への動きを拘束するガイドとして機能する。支持レール31は、上流端31aが端揃え手段2の上流端2bより下流側に位置する一方、下流端31bが端揃え手段2の下流端2cより上流側に位置している。
【0042】
振動台32は、支持フレーム18の搬送走行の中間部に設けられ、駆動チェーン11と支持フレーム18に殆ど段差を生じない高さに設定されている。また、後述するように振動しても、支持フレーム18と干渉しないように両者の間には十分な隙間がある。電磁振動体33は、電磁作用で高周波微小振動を発生し、振動台32及び支持レール31を介して、駆動チェーン11に横方向で振幅1〜2mm程度の微小振動を加える。これにより、支持レール31上を搬送されるすべてのトレイ12が横振動し、それらに載せられるすべてアスパラガスGが端揃え手段2側へ横移動する。すなわち、横移動手段3は、コンベア1で搬送中のアスパラガスGを搬送方向と略直交する横方向へ移動させる振動フィーダーとして機能する。なお、支持レール31の上下流端は、搬送区間S内に位置しており、また振動幅も非常に小さいため、端揃え手段2の無いところでもレールが振動してアスパラガスGを無用に横移動させることは無い。
【0043】
(カッター4)
カッター4は、円板状で外周縁に刃が形成される回転刃41と、回転刃41の回転中心を回転出力軸42aに同軸固定する原動機42と、を備え、コンベア1に対して端揃え手段2とは反対側に設置されている。回転刃41は、その円板面が略垂直に立てられ、かつ、トレイ12の一側端12bに近接している。原動機42は、横向きに倒れた状態で装置本体に固定される。これにより、カッター4は、穂先位置が一列に揃ったアスパラガスGについて、トレイ12の一側端12bから不揃いな状態ではみ出した根元Gbを連続的に切り揃えることができる。なお、上述したように、端揃え手段2を動かしてアスパラガスGの切断長さを調整するため、回転刃41による切断面の位置が一定に固定される。
【0044】
(押圧部材51,52)
押圧部材51,52は、スポンジ等の弾性材料を円板状又は円筒状に形成してなり、コンベア1の上方で横方向に延びる回転軸53の左右両端に固定され、トレイ12で搬送されるアスパラガスGを弾性的に押圧しながら、コンベア1の搬送方向に回転する回転ローラー形部材である。回転軸53は、装置本体に架け渡される支持架台54に軸受支持されており、端揃え手段2の下流側で、かつ、カッター4の回転中心より上流側に位置する。これにより、押圧部材51,52は、端揃え手段2で穂先位置を揃えられたアスパラガスGを、カッター4による切断開始位置よりも上流側の位置から押圧し始めることができる。
【0045】
押圧部材51,52は弾性材料で形成され、押し付けられることにより撓むため、搬送方向において十分な押圧幅が確保され、アスパラガスGを切断開始から切断終了に到るまでずれ動かないように固定することができる。押圧部材51,52は、それぞれ上述したトレイ12の切欠き12f,12gに合わせて設けられ、トレイ12に載せられたアスパラガスGの穂先Ga及び根元Gbの近くをそれぞれ押圧する。なお、押圧部材52は、カッター4で切り揃えられる根元Gbのすぐ横を押圧するが、押圧部材51は、穂先Gaから少しずれた中央寄りの部分を押圧する。
【0046】
(上記実施形態に係る端揃え供給装置による端揃え動作)
上記端揃え供給装置によるアスパラガスGの端揃え作業は、以下のように行われる。まず、端揃え手段2よりも上流側に立つ作業者が、チェーン11で連続搬送される各トレイ12上にアスパラガスGを一本ずつ、向きを揃えて載せる。アスパラガスGには、多少曲がりを有するものもあるが、断面略V字形のトレイ12の底部12eに沿って横方向に収納される。トレイ12に載せられたアスパラガスGは、穂先Gaが搬送区間Sの通過途中にベルト面2aに当接し、横方向に押されて、最終的に下流端2cで穂先位置を一列に揃えられる。
【0047】
ここで、アスパラガスGは、横方向におけるセット位置が端揃え手段2から離れていても、搬送区間Sを通過する際には、横移動手段3による微小振動で端揃え手段2側に寄せられる。これによって、穂先Gaがベルト面2aに積極的に当接させられ、上記同様に下流端2cで穂先位置が揃えられる。上述したように穂先位置を揃えられたアスパラガスGは、トレイ12に載せられたままでさらに搬送され、押圧部材51,52で両端付近を押さえられ、カッター4で根元Gb側を切り揃えられる。両端位置を揃えられたアスパラガスGは、横方向の位置を維持したままで下流工程の結束包装装置に供給される。
【0048】
(上記実施形態に係る端揃え供給装置の特徴)
上記端揃え供給装置は、以下のような特徴を有する。第一に、上記端揃え供給装置は、コンベア1のトレイ12上に載せられたアスパラガスGを、その穂先Gaに当接して穂先位置を揃える端揃え手段2側へ寄せるように、横移動手段3で積極的に横移動させるという特徴を有する。これにより、アスパラガスGが横方向において端揃え手段2から多少離れた位置にセットされたとしても、穂先Gaは端揃え手段2に対して確実に当接する。その結果、アスパラガスGの穂先Gaが揃わないままで端揃え供給装置を通過する不都合が防止され、作業者の負担も軽減される。
【0049】
第二に、上記端揃え供給装置は、作業者によってトレイ12(コンベア1)に載せられたアスパラガスGを、さらに他のトレイ(コンベア)に移し変えることなく、端揃え手段2による穂先位置の端揃え及びカッター4による根元の切り揃えまで行うという特徴を有する。これにより、アスパラガスGが搬送途中で横方向に位置ずれする要因が少なくなり、その結果、端揃え品質の安定した商品を生産することができる。
【0050】
第三に、上記端揃え供給装置は、横移動手段3が、トレイ12に高周波の微小振動を横方向に加えて、アスパラガスGを横移動させるという特徴を有する。したがって、アスパラガスを把持等する機構は必要無く、穂先Gaを端揃え手段2に強く押し付けることない。その結果、装置構造が簡単になり、商品を傷める心配がなくなる。
【0051】
第四に、上記端揃え供給装置は、横移動手段3が、微小振動を駆動チェーン11に加えることにより、それに固定されるトレイ12上のアスパラガスGを横移動させるという特徴を有する。これにより、搬送区間Sを通過する複数のトレイをまとめて振動させることができる。その結果、各トレイを個別に振動させたり、トレイ毎に振動発生手段を設けたりする必要が無く、装置構造を簡単で低コストにすることができる。
【0052】
第五に、上記端揃え供給装置は、横移動手段3が、搬送区間Sにおいて駆動チェーン11を走行可能に支持しつつ横方向の動きを拘束する支持レール31と、該レールを横方向に微小振動させる電磁振動体33と、を備えてなるという特徴を有する。これにより、端揃え手段2が存在する限られた搬送区間Sでのみ駆動チェーン1を振動させることができ、したがって駆動チェーン1が走行経路から離脱するリスクを抑えることができる。電磁振動体33で振動させるため、装置構造を簡単かつコンパクトにすることができる。
【0053】
第六に、上記端揃え供給装置は、支持レール31(横移動手段3)の上流端31aが端揃え手段2の上流端2bより下流側に位置する一方、下流端31bが端揃え手段2の下流端2cより上流側に位置するという特徴を有する。これにより、端揃え手段2が存在しないところで、アスパラガスGが無用に横移動することが無い。その結果、トレイ12から脱落したり、端揃えした穂先位置が位置ずれしたりするトラブルが確実に防止される。
【0054】
第七に、上記端揃え供給装置は、カッター4による切り揃えの際に、押圧部材51,52がアスパラガスGを上方から弾性的に押さえるという特徴を有する。これにより、カッター4での切断中に、アスパラガスGがトレイ12上でずれ動くことが防止される。その結果、切断面の乱れ等が抑制され、端揃え品質の安定した商品が生産可能となる。なお、押圧部材51,52は、回転ローラー形で転がり移動するため、アスパラガスGに対する接近・離間動作は不要でコンベア搬送に応じた連続処理が可能になる。
【0055】
第八に、上記端揃え供給装置は、押圧部材52が、カッター4で切り揃える根元Gbのすぐ近くを押圧する位置に設けられているという特徴を有する。これにより、アスパラガスGの切断部付近における動き量が確実に抑えられる。その結果、切断面の乱れ等が一層確実に防止される。
【0056】
第九に、上記端揃え供給装置は、押圧部材52が根元Gb付近を押さえることに加え、押圧部材51が穂先Ga近くを押さえる、すなわち二つの押圧部材でアスパラガスGの両端(穂先Ga、根元Gb)近くを押さえるという特徴を有する。これにより、切断部とカッター4との間に引っ掛かりが発生しても、アスパラガスGが押圧部材52による押圧ポイントを中心に振り回される事態が防止される。なお、押圧部材51は、穂先Gaではなく、少し中央寄りを押圧するので、穂先Gaの傷付きは防止される。
【0057】
第十に、上記端揃え供給装置は、押圧部材51,52が、カッター4による切断開始位置よりも上流側の位置からアスパラガスGを押さえ始めるという特徴を有する。これにより、アスパラガスGを既に固定した状態で切断が開始され、ずれ動きが一層確実に防止される。
【0058】
第十一に、上記端揃え供給装置は、端揃え手段2が、コンベア1に対して搬送方向と直交する方向で接近・離間できるスライド機構を備えるという特徴を有する。これにより、切断される根元位置を自在変更可能で、その結果、アスパラガスGの切断長さの変更が容易となる。また、カッター4を動かさずに切断長さを変えるので、結束包装機等において処理基準面となる真直ぐな切断面の位置が一定になり、切断長さ変更に伴う下流工程の段取り替えも速やかに行える。
【0059】
第十二に、上記端揃え供給装置は、端揃え手段2が、ベルト面2aの走行速度を調節可能な速度調節機構を備えるという特徴を有する。これにより、コンベア1と端揃え手段2の交差角度θ分の速度差で穂先Gaがベルト面2aと擦れる事態を解消でき、その結果、アスパラガスGを端揃えしながら安定的な搬送が可能となる。
【0060】
(上記実施形態の変形例)
上記実施形態では、アスパラガスGが載せられるトレイ12の物品載置面(底部12e)が横水平に設けられているが、端揃え手段2に近接する側端12aをその反対側の側端12bより低くするように物品載置面を傾斜させても良い。これにより、端揃え手段2側にアスパラガスGを寄せ易くなり、特に微小振動を利用する上記横移動手段3では効率よく横移動を行えるものである。また、上記実施形態では、トレイ12を断面略V字形としたが、アスパラガスGを横向きに保持しながら、端揃え手段2や横移動手段3による横移動も可能な一様断面であれば、V字形に限らず、円弧形やU字形等の断面でも良い。
【0061】
上記実施形態では、スライドフレーム25(端揃え手段2)に横長の螺子挿通穴25a、固定用の螺子25bからなるスライド機構を設けたが、これに限らず、例えば端揃え手段2を横方向に延びるスライドレールで摺動可能に支持して、装置本体とスライドフレームをボール螺子ナット機構で連結し、ボール螺子の回転によって位置調整しても良い。これによって、切断長さの設定が速やかに行えるようになる。さらに手動調整でなく、ボール螺子をサーボモータで回転制御して自動的に位置調整を行うようにしても良い。
【0062】
上記実施形態では、端揃え手段2は、コンベア1に対して横方向のスライド移動のみ可能であるが、コンベア1の搬送方向に対する交差角度θを調節可能な角度変更機構を備えても良い。例えば、ローラー21,22の一方を中心として、他方のローラーを水平方向に遥動可能な構造としても良く、端揃え手段2を支持するスライドフレーム全体が回転可能な構造としても良い。これにより、アスパラガスGの状態に応じて横移動をスムーズに行える当接角度が設定可能となる。
【0063】
上記実施形態では、コンベア1を構成するために駆動チェーン11を採用したが、これに代えて歯付きベルトその他の無限軌道体を採用しても良い。また上記実施形態では、二本のチェーンを採用したが、これに限らず、無限軌道体自体の横幅や搬送する長物農産物の大きさ等によって、一本又は三本以上を採用しても良い。さらに上記実施形態では、駆動チェーン11が横方向の動きを拘束する拘束部材として、側面プレート11aの間に係合する支持レール31を採用したが、これに代えて、駆動チェーン全体を両側から挟みこむように対向する側壁を設けても良い。
【0064】
上記実施形態では、押圧部材51,52をスポンジ状の弾性材料で形成したが、これに限らず、ローラー本体を他の材料で形成し、アスパラガスGに接触する外周部を弾性材料で覆っても良い。また、弾性部材による形成に代えて、あるいはそれに加えて、回転軸を弾性部材で支持し、アスパラガスGを弾性的に押圧するようにしても良い。上記実施形態では、押圧部材をコンベア1からの反力で転がらせるが、押圧部材の外周面がコンベア1の搬送速度と同速回転するように、原動機で回転軸53を回転させても良い。
【0065】
上記実施形態では、アスパラガスGの穂先位置を揃えて根元側を切断する例を説明したが、本発明は、アスパラガスに限らず、長ネギその他の長物農産物の端揃え処理に適用可能である。その他、本発明は、上記実施形態及び上記変形例によって限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において種々の変更が加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
1 コンベア
11 駆動チェーン
12 トレイ
2 端揃え手段
3 横移動手段
31 支持レール
33 電磁振動体
4 カッター
41 回転刃
51 押圧部材
52 押圧部材
G アスパラガス
Ga 穂先
Gb 根元

【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環走行する無限軌道体に複数のトレイを固定してなり、長物農産物を前記トレイにその搬送方向と略直交する横向きに載せた状態で搬送するコンベアと、
前記コンベアの一側方に設置されるガイドであって、その下流端が上流端よりも前記コンベアに近接しており、上流から搬送されてくる長物農産物の一側端に当接することにより、前記一側端の位置を揃える端揃え手段と、
前記端揃え手段が設けられている搬送区間において、前記トレイ上の長物農産物を前記端揃え手段側へ寄せるように横移動させる横移動手段と、を備えることを特徴とする長物農産物の端揃え供給装置。
【請求項2】
前記横移動手段は、前記無限軌道体に対して横方向に微小振動を加えることにより、前記トレイ上の長物農産物を横移動させることを特徴とする請求項1記載の長物農産物の端揃え供給装置。
【請求項3】
前記横移動手段は、前記搬送区間において前記無限軌道体を走行可能に支持するとともに横方向への動きを拘束する拘束部材と、該拘束部材を横方向に微小振動させる電磁振動体と、を備えてなることを特徴とする請求項1又は2記載の長物農産物の端揃え供給装置。
【請求項4】
前記横移動手段の上流端は、前記端揃え手段の上流端よりも下流側に位置していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置。
【請求項5】
前記トレイは、前記端揃え手段に近接する側端部がその反対側の側端部より低くなるように物品載置面が傾斜していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置。
【請求項6】
前記一側端の位置を揃えられた長物農産物の反対側の他側端を切り揃えるカッターと、
前記他側端が切り揃えられる際に長物農産物を上方から押さえる回転ローラー形の押圧部材と、を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置。
【請求項7】
前記押圧部材は、前記カッターによる切断が開始される位置よりも上流側の位置から長物農産物を押さえ始めることができる位置に設置されていることを特徴とする請求項6記載の長物農産物の端揃え供給装置。
【請求項8】
前記押圧部材は、前記カッターで切り揃えられる前記他側端の近くを押さえる位置に設置されていることを特徴とする請求項6又は7記載の長物農産物の端揃え供給装置。
【請求項9】
前記押圧部材は、長物農産物の両端の近くをそれぞれ押さえることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置。
【請求項10】
前記端揃え手段は、前記コンベアに対し、前記コンベアの搬送方向と直交する方向において接近及び離間することができるスライド機構を備えていることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置。
【請求項11】
前記端揃え手段は、前記コンベアの搬送方向に対する水平方向の交差角度を調節することができる角度変更機構を備えていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置。
【請求項12】
前記端揃え手段は、ベルト面が略垂直で、かつ、上流端から下流端に向けて走行するローラーベルトであって、走行速度を調節することができる速度調節機構を備えていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の長物農産物の端揃え供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−42487(P2011−42487A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193049(P2009−193049)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(599124909)株式会社イシダエンジニアリング (10)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】