説明

長鎖有機材料を用いたガラス表面保護

【課題】 長鎖有機材料を用いたガラス表面保護を提供する。
【解決手段】 少なくとも12個の炭素原子と、主鎖の一端に親水性基とを含む炭素主鎖を有する長鎖有機材料の非連続層をシート表面上に形成することによりシート表面を保護する方法が提供されている。保護層は、きわめて薄いコーティング厚で、粒子汚染および引っかき傷に対する十分な表面保護をもたらす一方、標準的なクリーニング法を用いて容易に除去される。本発明は、縁部研削および研磨などのガラスシート仕上げの最中のガラスシート表面の保護に特に有用である。本発明は、LCDガラス基材の仕上げおよび梱包に特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ガラスシート仕上げおよび梱包に関する。特に、本発明は、ガラス仕上げおよび梱包の最中のガラスシート表面の保護に関する。本発明は、例えば、LCDディスプレイなどの光電子素子に有用なガラスシートの仕上げ、梱包、および、輸送に有用である。
【背景技術】
【0002】
フュージョンダウンドロー法は、液晶ディスプレイ(LCD)ガラス基材としての使用に好適であると共に、他の光電子素子における使用に好適な、薄く高精度のガラスシートの形成のために、Corning Incorporated(Corning,New York,U.S.A.)によって開発された先端技術である。この方法においては、ルートと呼ばれるラインで一緒に結合される2つの側面を有するアイソパイプと呼ばれる形成溝に、溶融ガラス流がアイソパイプの溝につながる入口管を介して導入される。ガラス溶融物は堰と呼ばれるアイソパイプの溝側壁の上面の両方を超え、2つの溶融ガラスリボンとしてアイソパイプの両側面に沿って下方に流れ出し、次いで、ルートで融合されて単一のガラスリボンが形成され、次いで、これが下方に引かれてルートの下で冷却されて所望の寸法を有するガラスシートが形成される。ルートの下方の領域において、ガラスリボンは、引かれながら実質的に垂直に下方に移動して、粘性の状態から、粘弾性、および、最終的には実質的に弾性の状態に冷却される。弾性のガラスリボンは、次いで個別のガラスシートに切断され、縁部の角取りおよび研磨などのさらなる仕上工程に供され、次いで、梱包され、TFTまたは色フィルタ基材として用いられるためにLCDパネルメーカに運送される。アイソパイプの下方でのガラスリボンの切断工程には、典型的には、リボン表面のスコーリング、続いて、スコアラインに沿った曲げが含まれ、これにより、個別のガラスシートがリボンから分離され、次いで、その後のステップに搬送される。
【0003】
ガラスシートを形成するためのフュージョンダウンドロー法の利点の1つは、その品質に関わる領域が形成器具などの固体の材料に一切触れることなく大気中で形成されるため、ガラスシートの表面品質が高いことである。この方法は、3000mmもの大きさの幅および約0.6mmの厚さを有するガラスシートの形成に良好に用いられている。
【0004】
引き出しの下部でのガラスシートの切断工程および分離工程の最中、ならびに、気泡除去、縁部の面取り、および、研磨などのガラス仕上ステップの最中に、多数のガラス粒子が形成されてしまう。ガラス粒子はガラス表面を傷つけてしまうか、または、ガラス表面に付着してしまう可能性がある。これらは、後の洗浄およびクリーニングステップで除去されてもされなくてもよい。ガラス表面上に残留するガラス粒子はいずれも、シートを積重ねる必要がある場合には、シートの梱包および輸送の最中に傷の原因となる可能性がある。加えて、シートの梱包および輸送の最中には、さらなる粒子がガラス表面に接触して、保護が不十分である場合には表面品質が低下してしまう場合がある。
【0005】
LCDガラス表面を保護するための従来の手段としては、紙、プラスチックフィルム、多糖類などのコーティング、界面活性剤等の使用が挙げられる。しかしながら、これらは種々の不利益を伴っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、仕上げ、梱包、および、輸送の最中に、新品同様の表面が求められるガラスシートの表面を保護する方法に対する要求が存在している。本発明は、この、および、他の要求を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の数々の態様が本明細書に開示されている。これらの態様は互いに重複していてもいなくてもよいことが理解されるべきである。それ故、一つの態様の一部が他の態様の範囲内に属していてもよく、逆もまた同様である。
【0008】
各態様は多数の実施形態によって例示されており、これは、結果として、1つ以上の特定の実施形態を含んでいることが可能である。これらの実施形態は、相互に重複していてもいなくてもよいことが理解されるべきである。それ故、一つの実施形態もしくはその特定の実施形態の一部が、他の実施形態もしくはその特定の実施形態の範囲内に属していてもいなくてもよく、逆もまた同様である。
【0009】
それ故、本発明の第1の態様は、
(I)少なくとも12個の炭素原子と、主鎖の一端に近接して親水性基とを含む炭素主鎖を有する長鎖有機材料の非連続層を清浄な表面に形成するステップ;および
(II)前記長鎖有機材料を有するシート表面を、シート表面への引っかき傷を伴わずに複数の移動する粒子に露出させるステップ
を含む実質的に清浄なシート表面を有するシート材料の取扱方法に関する。
【0010】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、シート材料は、ガラス、ガラス−セラミック、セラミック、結晶、または、これらの組み合わせから選択される無機材料である。
【0011】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、シート材料の実質的に清浄なシート表面は親水性である。
【0012】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(I)においては、有機材料は、親水性基を主鎖の一端に含む炭素主鎖を有する。
【0013】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(I)においては、有機材料は、ヒドロキシルおよびカルボキシル基から選択される親水性基を含む炭素主鎖を有する。
【0014】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(I)においては、有機材料は、40個以下の炭素原子、一定の実施形態においては30個以下の炭素原子、一定の実施形態においては28個以下の炭素原子、一定の実施形態においては26個以下の炭素原子、一定の実施形態においては24個以下の炭素原子、一定の他の実施形態においては22個以下の炭素原子を含む炭素主鎖を有する。
【0015】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(I)においては、有機材料は、C18−OH、C18−COOH、および、これらの混合物から選択される。
【0016】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(I)終了時での長鎖有機材料の密度は、20ng・cm−2〜160ng・cm−2、一定の実施形態においては30ng・cm−2〜150ng・cm−2、一定の実施形態においては45ng・cm−2〜140ng・cm−2、一定の実施形態においては40ng・cm−2〜120ng・cm−2、一定の実施形態においては40ng・cm−2〜100ng・cm−2である。
【0017】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(I)終了時での長鎖有機材料層の平均厚は、10nm以下、一定の実施形態においては8nm以下、一定の他の実施形態においては6nm以下、一定の他の実施形態においては4nm以下である。
【0018】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、清浄な表面上の長鎖有機材料層の平均厚は、炭素主鎖の全長の3倍以下である。
【0019】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、長鎖有機材料の分子は実質的に単層の構造を形成する。
【0020】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、長鎖有機材料の分子は、清浄な表面上に複数の非連続的な小島を形成する。
【0021】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、小島は、清浄な表面上に実質的に均一に分散されている。
【0022】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、小島は、清浄な表面のコーティングされていない裸表面領域によって分離されている。
【0023】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、清浄な表面上の隣接する小島間の平均距離は、0.1μm〜3μm、一定の実施形態においては0.2μm〜2.5μm、一定の実施形態においては0.3μm〜2.0μm、一定の実施形態においては0.4μm〜2.0μm、一定の実施形態においては0.5μm〜1.5μm、一定の実施形態においては0.6μm〜1.5μm、一定の他の実施形態においては1.0μm〜1.5μmである。
【0024】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(II)は:
(II.1)シート材料の縁部を研削するステップ
を含む。
【0025】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(II)は:
(II.2)水をシート材料の縁部に適用するステップ
をさらに含む。
【0026】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(II)は:
(II.3)シート材料の清浄な表面の一部をスクライビングしてスコアラインを形成するステップ;および
(II.4)シート材料の一部をスコアラインに沿ってシート材料から分離するステップ
を含む。
【0027】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(I)終了時に、長鎖有機材料を有するシート表面は、12°〜50°、一定の実施形態においては12°〜45°、一定の実施形態においては15°〜40°、一定の実施形態においては20°〜40°の水との接触角を示す。
【0028】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(I)終了時に、長鎖有機材料を有するシート表面は、20%〜70%、一定の実施形態においては25%〜60%、一定の実施形態においては30%〜50%、一定の実施形態においては30%〜40%のAFMにより計測される付着力の低減を示す。
【0029】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、本方法は、以下のステップ(III):
(III)シート表面を洗浄して引っかき傷の無い実質的に清浄なシート表面を得るステップ
をさらに含む。
【0030】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(III)においては、クリーニング剤Semiclean KGが用いられる。
【0031】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(III)の終了時に、シート表面は、0°〜10°、一定の実施形態においては0°〜8°、一定の実施形態においては0°〜6°、一定の実施形態においては0°〜5°の水との接触角を示す。
【0032】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(I)は:
(I.1)長鎖有機材料を含むガス流を提供するステップ;および
(I.2)長鎖有機材料の層を形成するのに十分な時間、ガス流をシート表面と接触させるステップ
を含む。
【0033】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(I.1)は:
(I.1.1)長鎖有機材料を含む液体を形成するステップ;および
(I.1.2)液体中に、または、液体の表面の近傍に搬送ガス流を流過させてガス流に長鎖有機材料を添加するステップ
を含む。
【0034】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(I)においては、シート材料の温度は長鎖有機材料の融点未満に維持される。
【0035】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(I)においては、有機材料は、40個以下の炭素原子、一定の実施形態においては30個以下の炭素原子、一定の実施形態においては28個以下の炭素原子、一定の実施形態においては26個以下の炭素原子、一定の実施形態においては24個以下の炭素原子、一定の他の実施形態においては22個以下の炭素原子を含む炭素主鎖を有し、および、シート材料の温度は、55℃未満、一定の実施形態においては50℃未満、一定の実施形態においては40℃未満に維持される。
【0036】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(I.2)においては、ガス流は、長鎖有機材料の融点より高いが、長鎖有機材料の引火点より低い温度を有する。
【0037】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(I.1.1)においては、液体の温度は、長鎖有機材料の融点より高いが、長鎖有機材料の引火点より低い。
【0038】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(I.1.1)においては、液体の温度は、長鎖有機材料の融点よりも少なくとも10℃高く、一定の実施形態においては長鎖有機材料の融点よりも少なくとも20℃高く;一定の他の実施形態においては長鎖有機材料の融点よりも少なくとも30℃高い。
【0039】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、ステップ(I.2)においては、ガス流とシート表面との間の接触時間は、2分間以下、一定の実施形態においては1.5分間以下、一定の実施形態においては1分間以下、一定の実施形態においては50秒以下、一定の実施形態においては40秒以下、一定の実施形態においては30秒以下、一定の実施形態においては20秒以下、一定の実施形態においては20秒以下、一定の実施形態においては10秒以下である。
【0040】
本発明の第1の態様の一定の実施形態において、シート材料は、LCD基材、TVカバーガラス、光起電力基材、または、他の光電子素子用の基材用のガラスシートである。
【発明の効果】
【0041】
本発明の1つ以上実施形態は、以下の利点の1つ以上を有する。第1に、きわめて少量のC18−OHなどの長鎖有機材料を用いることにより、高度に効果的な表面保護機能を有する、ガラス表面上の非連続的な有機コーティングを形成することが可能である。第2に、複雑な器具が必要とされないため、本発明は、安価に実施することが可能であり、かつ、既存のプロセスおよび器具の顕著な変更を伴わずに、既存のガラス製造ラインにレトロフィットされることが可能である。第3に、本発明の方法は、ガラス輸送および保管の最中の表面保護において高価なプラスチックフィルムの使用を排除する可能性を有している。第4に、本発明による保護効果に必要とされる表面コーティング材料はきわめて少量であり、これは、この方法は、作業環境の空気を顕著に汚染することなく実施されることが可能であることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】長鎖有機材料の層をシート材料の表面上に適用するよう運用される、本発明の一実施形態における器具構成の概略図である。
【図2】C18−OHのコーティングをガラス表面上に形成するために用いられる実験構成の概略図である。
【図3】本発明の一実施形態に従ってC18−OHの層が適用されたガラスシート片の表面の10μm×10μm領域のAFM画像である。
【図4】AFM画像中の選択された直線に沿ってAFMにより形成された図3に示されているC18−OH層の厚さプロファイルを示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態に従ってC18−OHの層が適用されたガラスシート片の表面の10μm×10μm領域のAFM画像である。
【図6】AFM画像中の選択された直線に沿ってAFMにより形成された図5に示されているC18−OH層の厚さプロファイルを示す図である。
【図7】図3に示されているガラスシートの表面領域のAFMにより計測される付着力の分布を示す図である。
【図8】図5に示されているガラスシートの表面領域のAFMにより計測される付着力の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
他に示されていない限りにおいて、明細書および特許請求の範囲において用いられている成分の重量パーセントおよびモルパーセント、寸法、ならびに、一定の物理特性に対する値を表すものなどのすべての数字は、すべての場合に、用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。明細書および特許請求の範囲において用いられている正確な数値は、本発明の追加の実施形態を形成するとも理解されるべきである。実施例において開示されている数値の正確さを保証するよう試みがなされている。しかしながら、計測された数値はいずれも、対応する計測技術において見出される標準偏差からもたらされる一定の誤差を本質的に含有している可能性がある。
【0044】
本明細書において用いられるところ、本発明の説明および特許請求において、不定冠詞「a」または「an」の使用は「少なくとも1つ」を意味し、そうではないと明確に示されていない限りにおいては、「唯一の」に限定されるべきではない。それ故、例えば、「炭素鎖」への言及は、文脈が別段の定めを明示していない限りにおいて、1つ、2つまたはそれ以上のこのような炭素鎖を有する実施形態を含む。
【0045】
本明細書において用いられるところ、「に近接して」とは、特定の箇所に近いか、または、その特定の箇所にあることを意味する。それ故、炭素主鎖の一端に近接する親水性基としては、例えば、(i)炭素主鎖のまさに端部にある炭素原子に結合している親水性基;(ii)炭素主鎖のまさに端部にある炭素原子に直接的に結合している炭素原子に結合している親水性基;および、(iii)炭素主鎖のまさに端部にある炭素原子から4個未満の炭素原子だけ離間している炭素原子に結合している親水性基が挙げられる。
【0046】
本明細書において用いられるところ、「Cn−OH」および「Cn−アルコール」という用語は、分子がn個の炭素原子と、その一端にある1個の水酸基(−OH)とを有する直鎖を含む有機材料の意味と同義的に用いられる。それ故、「C18−OH」および「C18−アルコール」という用語は、18個の炭素原子と、その一端にある1個のヒドロキシルとを含む炭素直鎖を有するアルコールの意味と同義的に用いられる。従って、C18−OHの例としては、これらに限定されないが:オクタデカン−1−オール(F001)、ノナデカン−2−オール(F002)、デカデカン−3−オール(F003)、17−メチル−オクタデカン−1−オール(F004)、16−メチル−オクタデカン−オール(F005)、16−エチル−オクタデカン−1−オール(F006)等などの脂肪族アルコールが挙げられるであろう。これらのC18−OHの化学式が以下に図示されている。
【化1】

【0047】
直鎖アルコールとは、分子が、OH以外の側基を含まないアルコールを意味する。それ故、直鎖C18−OHは、オクタデカン−1−オール(F001)、ノナデカン−2−オール(F002)、デカデカン−3−オール(F003)等であることが可能である。第1級アルコールは、典型的には、アルコールの分子中に、OH基に結合している炭素原子が2個以上の炭素原子とは結合しないことを意味する。第2級アルコールは、アルコールの分子中に、OH基に結合している炭素原子が2個の炭素原子に結合していることを意味し、および、第3級アルコールは、アルコールの分子中に、OH基に結合している炭素原子が3個の炭素原子と結合していることを意味する。それ故、上記(F002)および(F003)は第2級アルコールである。
【0048】
同様に、「Cn−COOH」および「Cn+1−酸」という用語は、分子が、n+1個の炭素原子(−COOH基中の炭素原子を含む)と、その一端にある1個のカルボキシル基(−COOH)とを有する直鎖を含む有機材料の意味と同義的に用いられる。それ故、Cn−OHまたはCnアルコール中のOHがCOOH基によって置き換えられる場合、これは、Cn−COOHまたはCn+1−酸となる。例えば、C17−OH中の−COH基が例えば酸化によって−COOH基に転化される場合、これは、C16−COOHに、または、代わりにC17−酸になるであろう。約100℃などの高温では、直鎖C18−OH(F001)は、C17−COOHまたはC18−酸(ステアリン酸)に部分的に酸化されることが可能であることが公知である。
【0049】
本明細書において用いられるところ、「非連続層」という用語は、異なる材料を介して散在する材料の層を意味する。それ故、シート材料の表面上の有機材料の非連続層は、とりわけ、以下の微細形状:(i)複数の孤立した小島;(ii)複数の帯;(iii)複数のパッチ;および、(iv)複数の土塁の1つ以上を示し得る。
【0050】
本明細書において用いられるところ、「単一層」という用語は、分子の単一層を含む材料の層を意味する。例えば、自己集合した単一の分子層は、本出願において意味される単一層である。しかしながら、単一層においては、ほとんどの箇所において材料の分子は並列に整列しているが、ごく一部の領域において、数分子分の厚さを有する分子の積重が存在していてもよいことは除外されないことに留意すべきである。
【0051】
本明細書において用いられるところ、「水との接触角」という用語は、計測される表面が実質的に水平に置かれ、この表面上の水滴のフットプリントが実質的に円形である場合に計測される水との接触角を意味する。
【0052】
本明細書において用いられるところ、コーティングされた表面の「付着力の低減」という用語は、以下のとおり計測および算出される。
【数1】

【0053】
ここで、f(max)およびf(min)は、それぞれ、同一の計測条件下で原子間力顕微鏡(AFM)により計測された最大付着力および最小付着力であり、ならびに、RAFは付着力の低減である。
【0054】
光学素子および/もしくは電子素子の多く、または、その製作は、高レベルの清浄度を有していると共に実質的に引っかき傷の無い表面を有する有機または無機材料基材を用いる必要がある。例えば、LCDディスプレイおよび光電装置の製作には、典型的には、無機粒子および引っかき傷を実質的に有さない新品同様の表面を有するガラス基材を用いることが必要とされる。残念なことに、このようなガラス基材の製造には、典型的には、表面スコーリング、ガラスの分割、縁部研削、および、研磨といった複数のステップが必要とされ、これらの各々では、一定の速度で移動してガラス表面の品質に関わる領域に衝突する可能性があるガラス粒子が多数生成される可能性がある。飛んでいる粒子はガラス表面を引っかくことが可能であり、消えない損傷を残すか、または、その後の洗浄およびクリーニングステップに耐えるに十分に強い接着力でガラス表面に付着する。このようなガラス表面上に残存するガラス粒子は、下流プロセスにおいて製造されるトランジスタなどの半導体デバイスにおける欠陥をもたらす可能性がある。それ故、ガラスの切断および縁部仕上げの最中に、ガラス表面をガラス粒子および他の汚染物から保護することが基材製造者に対する技術的な課題となっている。加えて、時々、ガラス基材は基材製作工場から異なる場所の基材ユーザに輸送される必要がある。通常、複数のガラスシートがコンテナに詰め込まれ、次いで、これが、ある箇所から他の箇所へと輸送される。典型的にはガラスコンテナはシールされるが、それでも、粒子および他の汚染物が品質に関わる表面領域に接触し、表面に望ましくない損傷が生じてしまう場合がある。
【0055】
多糖類、ポリビニルアルコール、高分子酸等などの有機材料がLCDガラス基材の品質に関わる表面を保護するためのコーティング材料として提案されているが、これらは、普通、少なくともマイクロメートルスケールの厚さで適用されており、典型的には、品質に関わる表面の全体を覆っていた。大きい厚さと、ガラス表面の完全な被覆に対する推定された理論的根拠は、ガラス表面全体を被覆できない薄いコーティングは、引っかき傷に対する十分な表面保護をもたらすことが可能ではないであろうということであった。しかしながら、このような厚いコーティングは表面保護をもたらすには十分である一方で、洗浄およびクリーニングの最中の重要な難問を提起する。
【0056】
意外な発見において、本発明者らは、ナノメートルスケールの厚さを有する長鎖有機材料のきわめて薄い層がLCDディスプレイにおける使用のために製造されたガラス基材の新品同様の表面に対して耐引っかき傷性を提供することが可能であることを見出した。以下に詳述するさらなる研究により、顕著な保護効果を達成するために、表面の完全な被覆ですら必要とされないことが示されている。しかも、このような薄い、分離して適用されるコーティング材料は通常の表面洗浄およびクリーニングステップにおいてきわめて容易に除去が可能であり、それ故、プロセスおよび器具構成の大掛かりな変更を伴わずに既存のガラス基材生産製造ラインにおいて用いられることが可能である。
【0057】
本発明の表面保護方法は、有機および無機表面を含む保護が必要とされる任意の表面に用いられることが可能である。しかしながら、本発明は、例えばOH基といった親水性表面基を含むものなどの親水性表面の保護に特に有用であろう。多数のガラス、ガラス−セラミック、セラミック、および、結晶性材料が表面−OH基を有していることが知られており、従って、本発明を用いることにより有利に保護されることが可能である。本発明を、酸化物ガラスシートの表面保護の文脈において、より詳細にさらに例示する。しかしながら、当業者は、本出願の明細書を読むことで、本発明は、必要な変更を加えて他の材料表面を保護するために適用されることが可能であることを理解すべきである。
【0058】
本発明の方法において用いられる長鎖有機材料の炭素主鎖の端部の、もしくは、端部に近接する親水性基は、水酸基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、エーテル基、アミン基(−NH)、アミド基(−CONH)、または、他の基であることが可能である。特定の理論によって束縛されることは意図されないが、長鎖有機材料の親水性基は、保護されるべきシート材料の表面上の親水性基と反応して比較的強い結合を形成することが可能であると考えられている。例えば、シート材料が表面−OH基を含む酸化物ガラス表面を有している場合、表面−OH基は、有機材料の−OH基と反応して、以下に概略的に示されている共有結合を形成することが可能である。
表面−O−炭素鎖
【0059】
長鎖有機材料の分子が、水素結合、ファンデルワールス力、または、他のメカニズムを介してシート表面に結合し得ることもまた可能である。
【0060】
次いで、有機材料の主鎖はガラス表面の表面から離れて延伸する。複数の有機材料分子がガラス表面に適用されて、この表面に互いにきわめて近接して結合している場合、有機材料分子は、比較的密度の高い「森状」の有機材料のパッチを表面上に形成することが可能である。長く延伸している炭素鎖のこのようなパッチが、粒子(ガラス粒子など)とガラス表面との間の摩擦係数を低減させ、ガラス粒子とガラス表面との間の付着力を低減させ、これによりガラス表面をガラス粒子による引っかき傷から保護し、および、最終的に、その後の洗浄およびクリーニングに耐えるに十分な結合強度でガラス表面に結合するガラス粒子の数を低減させるよう機能することとなると考えられている。しかも、モデルが、長鎖有機材料によって形成された非連続的な小島による高い表面粗度がガラス粒子に対する表面付着の低減を補助することを示した。従って、シート表面の表面上の均一な厚さのコーティングの完全な層は表面粗度が低くなり得るため、このような長鎖有機材料の均一な完全なコーティングは、実際には、多数の小島を含む非連続的なコーティングよりも望ましくない可能性がある。
【0061】
単一の炭素直鎖を有する長鎖有機材料が本発明に特に望ましい一方で、複数の長い炭素鎖を有する分岐有機材料を用いることが可能である。
【0062】
以下に詳述されている実験は、ガラス表面に対して有意義な保護をもたらす長鎖有機材料に関して、その分子中の最長の炭素鎖中の炭素原子の数は少なくとも12個であるべきであることを示した。これは数々の理由による。第1に、短鎖有機分子は、室温、ならびに、ガラス仕上げおよび取扱い温度付近で比較的高い揮発度を有する傾向にあり、これにより、その表面保護における効果が低減される。第2に、特にアルコールといった短鎖有機材料は、コーティングおよび/または表面仕上条件下での空気中では不安定である傾向にあり、所望される表面保護能に欠いている。しかしながら、40個を超える炭素原子を含む有機材料は過度に高い融点、および/または、ガラスシート仕上/取扱条件下で過度に低い分圧を有する傾向にあり、これらは使用がきわめて困難である。主鎖中に30個以下の炭素を含む有機材料は、40個の炭素を有するものよりも作業がより容易であろう。そして、有機材料の主鎖の全長の例としては、これらに限定されないが:28個以下の炭素原子、26個以下の炭素原子、24個以下の炭素原子、22個以下の炭素原子、および、20個以下の炭素原子が挙げられるであろう。一定の実施形態において、主鎖が、少なくとも16個の炭素原子、一定の実施形態においては少なくとも18個の炭素原子を含んでいることが特に有利である。本発明の目的について、完全に純粋な有機材料は必要ではない。むしろ、主鎖中に様々な数の炭素原子を有する多様な有機材料の混合物が、純粋な材料よりも経済的な利点で有利に用いられ得る。加えて、異なる親水性基を有する異なる種類の有機材料もまた用いられ得る。例えば、長鎖脂肪族アルコールおよび長鎖脂肪族酸の混合物を有利に用いることが可能である。さらに、純粋な開始コーティング材料が用いられる場合であっても、適用の最中に酸化などの一定の化学変化を生じて、ガラスシート表面を被覆する有機材料の混合物がもたらされてもよい。
【0063】
本発明による方法の一定の特に有利な実施形態においては、長鎖アルコールもしくは長鎖酸、または、これらの混合物が表面保護剤として用いられる。異なる実施形態においては他の鎖長で機能し得るであろうが、C18−アルコールであって、特に第1級C18−アルコールが特に有利な選択肢である。これは、その融点、引火点、空気中における安定性、ガラス表面上への所望のコーティングパターンの形成能、除去容易性、経済性、これらすべてが一緒になって、その代替物よりも魅力のある妥協点を表すためである。他の実施形態において、C18−酸はC18−アルコールと組み合わせて用いられてもよい。
【0064】
表面に適用される際の有機材料の密度は、望ましくは、20ng・cm−2〜160ng・cm−2、一定の実施形態においては30ng・cm−2〜150ng・cm−2、一定の実施形態においては45ng・cm−2〜140ng・cm−2、一定の実施形態においては40ng・cm−2〜120ng・cm−2、一定の実施形態においては40ng・cm−2〜100ng・cm−2である。密度が160ng・cm−2より高い場合には、有機材料は、後のクリーニングおよび洗浄ステップでの除去が困難であり得る。密度が20ng・cm−2より低い場合には、有機材料コーティング層は、所望の粒子保護および耐引掻性を十分に提供し得ない。
【0065】
原子間力顕微法(AFM)によりナノメートルスケールでの観察では、コーティングの厚さは、箇所により様々である。特定の理論によって束縛されることは意図されないが、これは、有機材料の分子の積重の差異、隣接分子間の平均距離の差異、表面上で分子が直線化される程度の差異、表面上での有機分子の集合態様の差異、および、コーティングを有するシート材料の清浄な表面の元々の表面粗度の差異によると考えられている。いずれにせよ、十分に短い時間で有機材料を適用するために、および、後のクリーニングステップでの高レベルの除去容易性を達成するために、有機材料層は、可能な限り薄い厚さ(所望レベルの表面保護が維持される限りすべて)を有していることが所望される。それ故、ステップ(I)終了時での長鎖有機材料層の平均厚は、10nm以下、一定の実施形態においては8nm以下、一定の他の実施形態においては6nm以下、一定の他の実施形態においては4nm以下である。一定の有利な実施形態において、清浄な表面上の長鎖有機材料層の平均厚は炭素主鎖の全長の3倍以下である。一定の実施形態において、有機材料の分子がシート材料の清浄な表面上に単層を形成すること(すなわち、1つの分子が他の上に位置される多重層を形成することなく)が所望されると共に可能である。第1級C18−OHの場合、その分子は2〜3nmの範囲の全長を有する。それ故、清浄な表面上の有機材料コーティングの平均厚は、1〜9nmの範囲内、一定の実施形態においては1〜7nmの範囲内、一定の他の実施形態においては1〜6nmの範囲内、一定の他の実施形態においては1〜4nmの範囲内、一定の他の実施形態においては1〜3nmの範囲であることが所望される。コーティング厚の下限がアルコールの直鎖の長さよりも小さいことが可能であることの理由は、とりわけ:(i)保護されるべき表面の一定の領域においては、アルコール分子が存在しない場合があり;および、(ii)分子のすべてがガラス表面に対して完全に垂直ではなくてもよいためであり、完全に直線とされた分子鎖の長さよりも薄い厚さとなる。
【0066】
本発明者らによる研究における興味深く、および、顕著な知見の1つは、高度の表面保護効果をもたらすために、清浄な表面上の有機材料の分子は、清浄な表面の全範囲を被覆する連続層を形成する必要がないことである。従来の知識では、最良の保護効果を達成するためには実質的に表面全体をコーティングする必要性があり、これは反直感的である。本発明者らは、一定の実施形態においては、十分、かつ、顕著な表面保護効果が、清浄な表面上に有機材料の複数の非連続的な小島を形成することにより達成されることを見出した。これらの実施形態においては、しかしながら、保護されるべきシート表面上の小島の分布は、実質的に均一であることが所望される。それ故、1μm当たりn個の小島の小島密度を有する有機材料コーティングプロセスに供される任意の所与の10cm×10cmの領域内において、任意の10μm×10μmのテスト領域が、0.80n〜1.20nの範囲内の小島密度を示すことが所望される。十分なレベルの表面保護を達成するために、清浄な表面上での隣接する小島間の平均距離は、0.1μm〜3μm、一定の実施形態においては0.2μm〜2.5μm、一定の実施形態においては0.3μm〜2.0μm、一定の実施形態においては0.4μm〜2.0μm、一定の実施形態においては0.5μm〜1.5μm、一定の実施形態においては0.6μm〜1.5μm、一定の他の実施形態においては1.0μm〜1.5μmの範囲内であることが所望される。
【0067】
特定の理論によって束縛されることは意図されないが、小島間のシート材料裸表領域は、ガラスシート材料の場合などにおける典型的な仕上げ、梱包および輸送条件の最中にシート材料がさらされる平均的な粒子よりも顕著に小さいため、このような粒子は、主に表面上の有機材料に接触することとなると考えられている。粒子が裸表面に衝突する確率はきわめて低くなっており、一定の実施形態においてはゼロに近い。それ故、複数のコーティング小島によって形成された薄いコーティングは、表面保護効果の観点においては、露出された裸のシート材料が全く伴わない完全なコーティング層と実質的に同じく機能するであろう。加えて、ガラス表面上の有機材料分子の柔軟性、および、衝突する粒子に対する有機材料の低い摩擦係数が、シート材料裸表面に対する粒子の付着、または、引っかき傷が生じる確率を低減させるであろう。
【0068】
ガラスシート材料の清浄な表面に適用された薄い保護コーティング層は、前述されているとおり、シート材料仕上プロセスの最中およびその前に、有利に堆積されることが可能である。ガラスシート材料は、度々、気泡除去、表面スコーリング、曲げ、および、分離、ならびに、縁部研削および研磨などの仕上ステップに供される。これらの作業の各々において、多数のガラス粒子が生成され、全方向に飛散する可能性がある。流体流によって粒子を包含させ、および、これらの粒子を除去して、粒子と品質に関わる表面との接触を低減させる試みが過去においてなされている。それでも、顕著な量の粒子がなおガラスシートの主表面に向かっていく。本発明は、ガラスシート仕上げに関連して有利に用いられることが可能である。仕上作業の最中またはその前に、本発明を用いて形成された表面保護層は、ガラス表面を有利に保護することが可能である。
【0069】
ガラスシートに対するものなどの縁部仕上ステップの最中に、ツールおよびガラスシートを冷却するために、ならびに/または、ガラス粒子を除去するために水が用いられ得る。それ故、有機材料は、コーティングが用いられる水によって不適切に除去されることがないよう、および、表面保護効果を、仕上作業全体を通して保持することが可能であるよう、十分な強度でシート材料表面に付着可能であることが所望される。
【0070】
長鎖アルコールまたは長鎖酸などの有機材料の適用により、水との接触角によって示されるコーティングされた表面の疎水性を高めることが可能である。所望のレベルの表面保護を達成するために、ステップ(I)終了時に、長鎖有機材料を有するシート表面が、12°〜50°、一定の実施形態においては12°〜45°、一定の実施形態においては15°〜40°、一定の実施形態においては20°〜40°、一定の実施形態においては30°〜40°の水との接触角を示すことが所望される。水との接触角が過度に小さい場合、シート表面に適用される有機材料の量が、所望のレベルの粒子保護をもたらすには不十分であり得る。水との接触角が過度に大きい場合、有機材料の量が、後のクリーニングステップで効率的に除去されるには過剰であり得る。
【0071】
前述のとおり、長鎖有機材料は粒子のシート材料表面への付着を低減させる。特に有利な実施形態においては、ステップ(I)終了時に、長鎖有機材料を含む、ガラス表面などの無機材料表面であるシート表面は、AFMにより計測される付着力の、20%〜70%、一定の実施形態においては25%〜60%、一定の実施形態においては30%〜50%、一定の実施形態においては30%〜40%の低減を示す。このような付着力は、原子間力顕微鏡(AFM)により、Si(空気に露出されれば、その表面はSiOに酸化される)探針を用いて計測される。このレベルの付着力は、ガラス表面に対する低減されたガラス粒子付着に対して特に所望される。
【0072】
LCDガラス基材の取扱などの一定の実施形態において、仕上作業の後に、ガラス基材が洗浄およびクリーニングされて、有機材料、残存するガラス粒子のすべて、および、他の表面汚染物が除去されることが所望される。LCDパネルの生産に用いられるガラス基材は高度の清浄度を有していることが要求される。本発明において用いられる有機材料のナノスケールの厚さにより、コーティングは、顕著な変更の必要性を伴わずに、標準的なガラス基材クリーニング剤、器具、および、プロセスを用いて容易に除去されることが可能である。従って、本発明は、既存のガラス製造ラインをレトロフィットするために有利に用いられることが可能である。クリーニングに際して、実質的に清浄なガラス表面は、0°〜10°、一定の実施形態においては0°〜8°、一定の実施形態においては0°〜6°、一定の実施形態においては0°〜5°、一定の実施形態においては0°〜3°の水との接触角を示すことが可能である。
【0073】
本発明においてコーティングとして用いられる有機材料は、種々の手段によって適用されることが可能である。例えば、噴霧コーティングおよびディップコーティングが検討され、ここでは、分散剤または溶剤などの液体媒体中に有機材料が分散され、この分散体が、吹付けまたは浸漬のいずれかによりシート材料表面に適用される。このような実施形態においては、過剰に厚いコーティングがガラス表面上に形成されることがないよう、このような分散体中においてきわめて低濃度の有機材料が用いられるべきである。さらに、水、エタノール、アセトン、または、これらの混合物などの無毒性の溶剤または液体媒体を有利に用いることが可能である。
【0074】
時々、シート材料取扱プロセスにおける液体分散剤の使用を避けることが望ましい。このような事例においては、有機材料は搬送ガス流を用いることにより有利に適用されることが可能である。先ず、長鎖有機材料がガス流に添加され、次いで、これがガラス表面に送られ、ガラス表面に十分な時間をかけて接触されて、長鎖有機材料層が形成される。長鎖有機材料は搬送ガス流中に固体、液体、または、気体の形態で存在し得るが、ガス流が含まれる流路の目詰まりを防ぐために有機材料が液体および/または気体状態であるよう、長鎖有機材料の融点よりも高い温度をガス流が有していることが有利である。
【0075】
長鎖有機材料のガス流への添加は、種々の手段によって達成されることが可能である。例えば、実質的に純粋な形態の有機材料は、十分な蒸気圧を有する液体および/または固体状態となる一定の温度に加熱され得る。次いで、蒸気がシート表面に流過されてコーティング材料の堆積が完了される。あるいは、ガス流が、溶融物または溶液などの一定の温度の長鎖有機材料を含む液体浴中に通気させられ、これにより、ガス流に有機材料が同伴されて、次いで、さらにシート表面の近傍に送られ、ここで、有機材料の少なくとも一部がシート表面上に凝結し、この表面に付着してその上に薄い層のコーティングが形成されてもよい。十分な蒸気を生成して、目詰まりを防止するために、ガス流の温度を、長鎖有機材料の融点よりも少なくとも10℃高く、一定の実施形態においては長鎖有機材料の融点よりも少なくとも20℃高く;一定の他の実施形態においては長鎖有機材料の融点よりも少なくとも30℃高く維持することが有利である。しかしながら、搬送ガス流の過度に高い温度は、長鎖有機材料の分解、酸化、反応、燃焼、または、爆発をもたらす可能性がある。それ故、ガス流は、融点より60℃を超えない温度、一定の実施形態においては融点より50℃を超えない温度で維持されることが有利である。
【0076】
図1は、本発明の実施形態を概略的に図示しており、ここでは、表面保護効果を達成するために、方向103に移動しているガラスシート101の主表面の両方に第1級C18−OHが適用されている。この実施形態においては、空気流105、107が容器113および115中に含まれているC18−OHアルコールの溶液109、111中を通され、次いで、ノズル117および119を介してガラスシートの両主表面に送られる。これらのノズルは囲い容器121および123中に閉じ込められており、C18−OHの無制御な放散が防止されている。残存しているC18−OHおよび任意により溶剤を含有する排ガス流は、囲い容器121および123の壁に設けられている出口管125および127を介して排気される。ノズル117および119は、ガラスシートの品質に関わる領域全体がC18−OH分子が添加されたガス流に露出されることとなるよう、ガラスシート101の全幅にわたる長さを有していることが望ましい。当業者は、本開示を読了することにより、および、本明細書における教示の有益性によって、図1の装置は、必要な変更を加えて、種々の他の長鎖有機材料をシートの一面または両面に適用するよう順応させることが可能であることを理解すべきである。
【0077】
長鎖有機材料の層を固体状態で得るために、ガラスなどのシート材料は、長鎖有機材料の融点より低い温度に維持されることが所望される。シート材料表面の温度が過度に高い場合、有機材料が容易に酸化され得るか、または、過度に高い蒸気圧を有し得、コーティング材料の密度が過度に低い不十分なコーティング、または、所望のレベルの付着力、摩擦係数および疎水性を有さない変性されたコーティング材料の層がもたらされる。空気が搬送ガスとして用いられる場合、または、そうでなくても長鎖有機材料が空気に露出される場合、ガス流およびシート材料の温度が安全性の理由のために引火点未満に維持されることが所望される。
【0078】
特に有利な実施形態において、ステップ(I)においては、有機材料は、40個以下の炭素原子、一定の実施形態においては30個以下の炭素原子、一定の実施形態においては28個以下の炭素原子、一定の実施形態においては26個以下の炭素原子、一定の実施形態においては24個以下の炭素原子、一定の他の実施形態においては22個以下の炭素原子を含む炭素主鎖を有し、および、シート材料の温度は、55℃未満、一定の実施形態においては50℃未満、一定の実施形態においては40℃未満に維持される。
【0079】
保護されるべきシート表面上に堆積される長鎖有機材料の量は、とりわけ、搬送ガス流の温度、シート表面の温度、搬送ガス流の流量、および、シート表面が搬送ガスとの接触に供される時間を含む種々の要因によって決定される。本発明の利点は、少量のコーティング材料が必要であることにより、コーティングプロセスを短い時間で完了することが可能であることである。これは、ガラスシートが高速で搬送される高スループットガラス仕上ラインについて特に望ましい。それ故、本発明の一定の実施形態においては、ステップ(I.2)において、ガス流とシート表面との接触時間は、2分間以下、一定の実施形態においては1.5分間以下、一定の実施形態においては1分間以下、一定の実施形態においては50秒以下、一定の実施形態においては40秒以下、一定の実施形態においては30秒以下、一定の実施形態においては20秒以下、一定の実施形態においては10秒以下である。
【0080】
本発明を、以下の非限定的な実施例によりさらに例示する。
【実施例】
【0081】
ガラスシートサンプルを、Corning Incorporated(Corning,New York,U.S.A.)製のEagle XG(登録商標)LCDガラス基材から、オーバーフローフュージョンダウンドロー法を用いて調製した。
【0082】
図2には、本開示における実験で用いた装置構成が示されている。ガラスペトリ皿201中に、固体のオクタデカン−1−オール(Sigma Aldrich、カタログ番号74723、99%純度)を仕込んだ。次いで、この皿をホットプレート上に置いて、空気中でC18−OHを温度T1に加熱したところ、アルコールが溶融して、皿201の底面全体を覆う液体203が形成された。C18−OHの蒸気が、このように、空気中でペトリ皿201の直ぐ上で生成され、および、矢印によって図示されているとおり、拡散および対流により上方に移動することとなる。次いで、両面に清浄な表面を有し、温度T2に予熱したガラスシートサンプル片205を、皿201の上、アルコール溶融物の表面から約1cmの距離に置き、時間ttの間ここで保持した。アルコールの温度は溶融物の表面で計測される。加熱する前に、ガラスシートサンプル201について、Accu_Fab Systems(U.S.A.)製のEthanシステムを用いて、表面粒子カウントPC1を計測した。
【0083】
次いで、ガラスシートサンプルを引っかき傷テストに供した。引っかきは、紙(Thilmany(WI,U.S.A.)製のWR139)で包んだ380gのアルミニウムバーをテストされるべきガラスシートサンプルの表面に接触させることにより行った。次いで、及ぼされる重力以外のガラス表面に垂直な外力を伴わないアルミニウムバーを、ガラスシート表面に対して100mm/sの速度で10回前後に動かした。次いで、このガラスシートサンプルを160°F(71℃)の4%Semiclean KG溶液中で15分間クリーニングし、次いで、空気乾燥させた。次いで、空気乾燥した表面について、Ethanシステムを用いて表面粒子カウントPC2を計測した。コーティングされていないガラスシートサンプルを対照として用いた。プラスチックフィルム(Visqueen(登録商標))で保護されているガラスシートサンプルから「Visqueen」フィルムを剥離し、上記のとおり引っかきに供し、洗浄し、および、下記に示されているとおり、他の対照として粒子カウントを測定した。
【0084】
コーティングされたガラスシートサンプル表面についても、AFMにより表面微細形状および付着力を計測した。AFMの探針はSi製であって、その表面は空気への露出によりSiOに酸化されていたと考えられている。
【0085】
一連の実験を種々のコーティング条件(T1、T2およびtt)下で実施した。異なる実験における計測したPC1およびPC2が以下の表IおよびIIに報告されている。実験番号A1、A2、AA1およびAA2は、粒子カウントを計測した表面を有機材料でのコーティングに供さなかった対照例である。これらの実験データは、最大の粒子低減能が、T1=80℃およびtt=10秒、ならびに、T2=90℃およびtt=10秒で観察されたことを示す。90℃では、粒子低減能は、コーティング時間が10秒から5秒に短縮された場合に低くなった。T1を90℃超に昇温させても、認識可能な粒子低減能の変化はなかった。一方で、80℃以上でコーティング時間を60秒以上に延長しても、認識可能な粒子低減能の変化はなかった。それ故、オクタデカン−1−オールについては、最適なコーティング条件はおよそ、T1=80℃およびtt=10秒であろう。普通、本方法の簡便性、経済性、および、安全性のために、所望のレベルの表面保護効果が達成される限りにおいて、コーティング温度T1は低く、および、コーティング時間ttは短いことが所望される。
【表1】

【表2】

【0086】
図3は、T1=90℃、T2=室温、および、tt=10秒の実験においてオクタデカン−1−オールを上に堆積させた「Eagle XG」製のガラスシートサンプルの表面の、AFMにより10μm×10μmスケールでキャプチャされた表面微細形状画像を示す。この画像において、明るい領域はより多量のC18−OHコーティングを有する領域であり、および、より暗い領域は、C18−OHコーティングを比較的少量で有するか、または、全く有さず、ならびに、最も暗い領域は、AFMによりこれらの領域において計測された表面付着力がC18−OH蒸気に露出されていない裸のガラスシート表面と実質的に同じであるために、C18−OH分子を実質的に有さないと考えられている。明らかに、C18−OH分子の非連続的な小島がガラス表面上に形成されていた。図4は、図3に示されているものと同一の領域の、図3の画像において選択された水平なラインに沿った表面粗度をさらに示す。図4において、横軸は計測領域の一縁部からの距離を表し;および、縦軸は、計測された表面の基準面に対する高さを示す。図3および4は、蒸着は、約1〜2nmの高さで、かなり規則正しく離間したオクタデカノールの土塁をもたらしたことを示し、堆積された粒子の粒径は、一般に、図3中の明るい領域によって示されているとおり1μm未満である。
【0087】
図5は、T1=80℃、T2=室温、および、tt=10秒の実験においてオクタデカン−1−オールを上に堆積させた「Eagle XG」製の他のガラスシートサンプルの表面の、AFMにより10μm×10μmスケールでキャプチャされた表面微細形状画像を示す。再度、この画像において、明るい領域はより多量のC18−OHコーティングを有する領域であり、および、より暗い領域は、C18−OHコーティングを比較的少量で有するか、または、全く有さず、ならびに、最も暗い領域は、AFMによりこれらの領域において計測された表面付着力がC18−OH蒸気に露出されていない裸のガラスシート表面と実質的に同じであるために、C18−OH分子を実質的に有さないと考えられている。明らかに、C18−OH分子の非連続的な小島がガラス表面上に形成されていた。図6は、図5に示されているものと同一の領域の、図5の画像において選択された水平なラインに沿った表面粗度をさらに示す。図6において、横軸は計測領域の一縁部からの距離を表し;および、縦軸は、計測された表面の基準面に対する高さを示す。図5および6は、再度、蒸着は、約1〜2nmの高さで、かなり規則正しく離間したオクタデカン−1−オールの土塁をもたらしたことを示し、堆積された粒子の粒径は、一般に、図5中の明るい領域によって示されているとおり1μm未満である。図3と図5との比較は、80℃では、90℃の場合よりも小さいが、より多数の小島が形成されたことを示す。
【0088】
AFMにより計測したガラスシート表面の誘引力を、次いで、サンプル表面の付着力として記録した。図3および5の2つのコーティングされたサンプルの付着力プロファイルが、それぞれ図7および8に提供されている。これらの2つの図において、横軸にはナノニュートンで計測された付着力が示されており、および、縦軸には所与の付着力で計測されたカウントが示されている。
【0089】
コーティングされたガラスシートサンプルについても表面水接触角を計測した。最後に、ガラスシートサンプルを160°F(71℃)4%Semiclean(登録商標)KGを用いて15分間クリーニングし、続いて脱イオン水ですすいだ。空気乾燥に際して、ガラスシートサンプルについて再度室温で接触角を計測した。
【0090】
図3、4、5、および、6の比較は、想定どおり、ガラスシート表面上に堆積された小島の幅が、C18−OH溶融物の温度の低下に伴って小さくなることを示す。図3および5中のより明るい、コーティングされた領域は、裸のガラス表面であると考えられる最も暗い領域よりも、約30%〜40%低い付着力(誘引力)を示し、堆積されたオクタデカン−1−オールがガラス付着の低減に関して有益性をもたらしていることを明らかに示している。低減された表面付着力は、ガラスシート表面に対するガラス粒子のより少ない付着につながることとなる。
【0091】
実験において、対照ガラスシートサンプルの表面を、先ず、プラスチックフィルムである「Visqueen」に接触させた。「Visqueen」フィルムを剥離した後、接触させた表面を、C18−OHコーティングされたガラスシート表面と同一の様式でAFMにより計測した。ガラス表面と「Visqueen」フィルムとの接触でも有機材料の非連続層の残留が観察され、これらは、特にこれらに限定されないが、スリップ剤、可塑剤等を含むプラスチックフィルム中に含有される添加剤の混合物であると考えられる。この中に長鎖アルコールは発見されなかった。表I中の実験L1、L2、ならびに、表II中の実験AM1およびAM2には、「Visqueen」フィルムを用いた表面保護が関与している。剥離した「Visqueen」フィルムにより残された残存有機材料により覆われた領域における付着力は、裸のガラス表面領域と比して、10%〜およそ50%低減されていたことがさらに観察された。しかしながら、ガラス表面上の残存有機材料の分布はかなり不規則であり、一定の大きな未被覆の領域、ならびに、前述の図3および5において観察されたものよりも顕著に大きな小島で覆われた一定の領域が残されていた。従って、「Visqueen」フィルムとの接触により残された残存有機材料は、本発明の方法を用いて堆積された有機層と同様には機能しないであろうことが予期される。加えて、「Visqueen」または他のプラスチックフィルムの使用は、フィルム、フィルム適用器具、フィルム適用ステップおよび剥離ステップのコストが不可避的に生じることとなり、従って、本発明の方法よりもかなり高価となってしまうであろう。しかも、プラスチックフィルムの使用は、それ自体がガラス表面に他の有機汚染物および無機粒子をもたらしてしまう可能性がある。本発明の方法は、従って、これらの欠点は有さないであろう。
【0092】
ガラスシートサンプルについて、水平な水との接触角(すなわち、ガラスシートサンプルを垂直ではなく水平に置いて計測した水との接触角)も計測した。以下の表IIIには、本発明の方法の実施形態に従ってオクタデカン−1−オールでコーティングした「Eagle XG」に対する水との接触角データ、または、「Semiclean」KGで洗浄した後のものが報告されている。洗浄に際した接触角の低減は、清浄なガラス値が達成されていることを示している。清浄なガラス表面水接触角値はおよそ5〜10°である。実験において形成したC18−OHコーティングの洗浄容易性も計測可能であり、ESI/MS(エレクトロスプレーイオン化/質量分析法)により実証した。ESI/MSデータは、前述の「Semiclean」KGを用いた通常のクリーニング後に残存有機材料が全く残留していなかったことを示した。データθ1は、長鎖有機材料でコーティングされた直後に室温で計測したガラスシートサンプル表面の水との接触角である。データθ2は、室温で計測した、上記のとおりクリーニングされたガラスシートサンプル表面の水との接触角である。データθ3は、θ2を計測した2日後に計測される、同一のクリーニングされたガラスシートサンプル表面の室温での水との接触角である。
【表3】

【0093】
本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく本発明に種々の変更および代替を行うことが可能であることは当業者に明らかであろう。それ故、本発明は、添付の特許請求の範囲およびこれらの均等物の範囲内にある限りにおいて、本発明の変更および変形を含んでいることが意図される。
【符号の説明】
【0094】
101 ガラスシート
103 方向
105、107 空気流
109、111 溶液
113、115 容器
117、119 ノズル
121、123 囲い容器
125、127 出口管
201 ペトリ皿
203 液体
205 ガラスシートサンプル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート表面を有するシート材料の取扱方法であって、
(I)少なくとも12個の炭素原子と、主鎖の一端に近接して親水性基とを含む炭素主鎖を有する長鎖有機材料の非連続層を前記シート表面上に形成するステップ;および
(II)前記長鎖有機材料を有する前記シート表面を、前記シート表面への引っかき傷を伴わずに複数の移動する粒子に露出させるステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップ(I)において、前記有機材料が、主鎖の一端に親水性基を含む炭素主鎖を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(I)において、前記有機材料が、ヒドロキシルおよびカルボキシル基から選択される親水性基を含む炭素主鎖を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(I)において、前記有機材料が、40個以下の炭素原子を含む炭素主鎖を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(I)において、前記有機材料が、C18−OH、ならびに、C18−OHおよびC18−酸の混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(I)終了時での前記長鎖有機材料の密度が、20ng・cm−2〜160ng・cm−2であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(I)終了時での前記長鎖有機材料層の平均厚が10nm以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記シート表面上の前記長鎖有機材料層の前記平均厚が、前記炭素主鎖の全長の3倍以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記長鎖有機材料の分子が、実質的に単層構造を形成することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記長鎖有機材料の分子が、複数の非連続的な小島を前記シート表面上に形成することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記小島が、前記シート表面上に実質的に均一に分散していることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記小島が、前記シート表面のコーティングされていない裸表面領域によって分離されていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記シート表面上の隣接する小島間の平均距離が0.1μm〜3μmであることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(I)の終了時に、前記長鎖有機材料を有する前記シート表面が、20%〜70%のAFMにより計測される付着力の低減を示すことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(I)が:
(I.1)長鎖有機材料を含むガス流を提供するステップ;および
(I.2)前記長鎖有機材料の層を形成するのに十分な時間、前記ガス流を前記シート表面と接触させるステップ
を含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(I.1)が:
(I.1.1)前記長鎖有機材料を含む液体を形成するステップ;および
(I.1.2)前記液体中に、または、前記液体の表面の近傍に搬送ガス流を流過させて前記ガス流に前記長鎖有機材料を添加するステップ
を含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(I.2)において、前記ガス流と前記シート表面との前記接触時間が2分間以下であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−116748(P2012−116748A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−258775(P2011−258775)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】