説明

門扉の施錠装置

【課題】 一方向への開閉が可能な施錠装置を提供する。
【解決手段】
施錠装置2は、施錠板21と施錠板22により支柱5を挟んで、門扉1を支柱5に係止する。施錠板20と施錠板21は、枠10の表裏面においてボルト・ナット29の回動と共に回動する。施錠装置2の回動により挟持部22、22による支柱5の挟持が解けると、施錠板20のストッパ部25が支柱5に当接した状態になりストッパとなって、門扉1は一方向側にのみ開くことが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、門扉の施錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
門扉は支柱にヒンジ等を介して回動可能に取り付けられ、対向する支柱に施錠装置により係止される構造になっている。
施錠装置の構造には種々のものがあるが、一対の施錠板により支柱を挟む構造のものが、知られている(特許文献1)。
また門扉には、両方向に開くものと、一方向にのみ開くものがあり、一方向にのみ開くようにするときには、他方側に開かないように支柱側か扉側に何らかの止め金を設ける必要がある(特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】実開平6−6658号公報
【特許文献2】意匠登録1169342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一対の施錠板は、重くなり、回動させるのに力が必要になる欠点がある。また前記止め金は、ユーザの要求により必要であったり、或いは不要であったりするため、予め設けておくことが難しく、出荷時の設置作業や現場での施行が必要であるなどの問題があった。
更に従来のものは、一対の施錠板を係止するために、支柱側などに係止部を形成する必要があり、既存の支柱に扉を設置する場合などには問題が多かった。
本発明は上記従来技術の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の門扉の施錠装置は、回動可能な門扉を、固定物に係止する門扉の施錠装置において、回動可能に門扉側に設けられ、該回動により固定物を挟み、門扉を固定物に係止して門扉を閉とし、又該回動により固定物を挟まずに門扉の係止を解いて門扉を開可能とする、一対の施錠板と、 前記一対の施錠板の中の一方の施錠板のほぼ中央に設けられた第1の回動孔と、 該一方の施錠板の一端側に設けられ、前記固定物を挟む第1の挟持部と、該一端側の前記回動孔を挟んで反対側に設けられた第1のカウンタバランス部と、前記一対の施錠板の中の他方の施錠板のほぼ中央に設けられた第2の回動孔と、該他方の施錠板の一端側に設けられ、前記固定物を挟む第2の挟持部と、該一端側の前記回動孔を挟んで反対側に設けられた第2のカウンタバランス部と、該他方の施錠板に設けられ、前記第1と第2の挟持部が係止を解く位置にある時、前記固定物に当接可能なストッパ部と、を有し、前記ストッパ部は、前記第2の挟持部とほぼ直角をなすように前記ほぼ中央に設けられた第2の回動孔の下方に延出し、前記一方と他方の施錠板は、前記第1と第2の回動孔を中心に回動する、ことを特徴とする。
また、前記第1と第2の挟持部がそれぞれ斜め部を有し、該斜め部により前記挟持部の係止を解く位置へと回動する方向である開回動方向に曲げられている、ことが望ましい。
更に門扉側に設けられた係止部を更に有し、前記門扉を閉とするときに、前記カウンタバランス部において前記施錠板を係止し、前記門扉を開可能とするときに、前記斜め部において前記施錠板を係止する、ように構成することが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の施錠装置によれば、施錠装置が開錠状態の時には、ストッパ部により一方向側への門扉の回動が係止されるため、従来のように止め金を設ける必要がなく、門扉を他方側にのみ開くようにすることが出来る。また、カウンタバランス部を有しているため、回動が軽く且つ円滑に行える効果がある。
更に請求項2の発明においては、挟持部が係止を解く位置へと回動した際に、安定した係止状態とすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、門扉1の枠10に施錠装置2が装着されている。門扉1は一端側で支柱(図示せず)に回動可能に支持され、図2に示すように他端側の支柱5に施錠装置2により係止されるようになっている。
【0008】
施錠装置2は施錠板21と施錠板22を有し、この施錠板21と施錠板22により支柱5を挟んで、門扉1を支柱5に係止するように構成されている。
施錠板20と施錠板21は、枠10を貫通するボルト・ナット29により連結され、枠10の表裏面においてボルト・ナット29の回動と共に回動するように構成されている。
【0009】
施錠板20と施錠板21は図3と図4に示すように、ストッパ部25を除いて同一の形状をなしており、ほぼ中央部にボルト孔である前記回動孔23が設けられ、ここにボルト・ナット29を嵌合して、施錠板20と施錠板21及びボルト・ナット29が一体的に回動するように構成されている。
挟持部22、22は該回動により、図2に示すように支柱5を挟持する状態と、支柱5を挟持しない状態になり、これにより門扉1の開閉を行えるように構成されている。
【0010】
施錠板21は図4に示すように、左右に長いほぼ長方形をなしており、この中央部に回動孔23が設けられ、この回動孔23の一方側が挟持部22、他方側がカウンタバランス部30になっている。
挟持部22は回動孔23側の斜め部26とそれに続く水平部28から構成されており、斜め部26において図面上で上方向に曲げられて延出し、水平部28において水平方向に伸びる形状をなしている。即ち、カウンタバランス部30から回動孔23を過ぎたところで、当接辺27において図面上上方に曲げられ、上方に持ち上げられた状態で水平部28において再び水平方向に伸びた形状をなしている。
前記図面上の上方向とは、換言すれば前記挟持部の係止を解く位置へと回動する方向である開回動方向であり、斜め部26において、開回動方向に曲げられ、該方向に持ち上げられている。
斜め部26の上側の辺が当接辺27になっており、後述する係止部40に当接する。この斜め部26により、図5に示すように、挟持部22がほぼ垂直位置にあるとき、回動孔23の垂直延長線を超えるため、この位置で、施錠板21を係止することが容易になる。
なおこの実施例では、挟持部22側の回転モーメントが若干大きくなるように設計されている。
カウンタバランス部30には、錠孔24が形成されており、ここに錠を通すことが可能になっている。またカウンタバランス部30の上辺は当接辺31になっており、後述する係止部40に係止するようになっている。
【0011】
施錠板20は図3と図4に示すように、施錠板21にストッパ部25を追加した形状をなしており、このストッパ部25は前記回動孔23の下側に挟持部22とほぼ直角の角度をなすように延出している。
枠10には、更に係止部40が設けられており、図2に示すように、施錠装置2が閉状態の時に当接辺31がここに係止するようになっている。一方施錠装置2により、開状態のときは、当接辺27が係止部40に係止するようになっている。
【0012】
ストッパ部25は、挟持部22とほぼ直角の角度をなすように延出しており、図2に示すように、挟持部22が支柱5の係止を解いた状態の時に、支柱5に当接可能となり、一方向への門扉1の回動を禁止するようになっている。
ストッパ部25の大きさや挟持部22となす角度を調整することにより、挟持部22の係止が解かれた直後に支柱5に係止するように構成したり、あるいは挟持部22の係止が解かれる少しまえに支柱5に係止するように構成するなど種々の態様を取ることが可能になる。
【0013】
一方施錠板21は図4に示すようにストッパ部25を有しておらず、挟持部22のみを備えている。この構成により、図5に示すように挟持部22による支柱5の係止が解けると、支柱5に当接可能となるものはなくなる。
図6はこの状態を示すもので、施錠装置2の回動により挟持部22、22による支柱5の挟持が解けると、(B)に示すように施錠板20のストッパ部25が支柱5に当接可能状態になるので、このストッパ部25がストッパとなり、施錠板21側へ門扉1を開くことはできない。門扉1は施錠板20側にのみ開くことが可能になる。
【0014】
なお、挟持部22と挟持部22の間隔は支柱5の直径よりも若干大きくし、回動の際に支柱に接触しないように構成されており、動作を円滑にすると同時に、接触による汚損などを防止している。
また、施錠板20、カウンタバランス部30、ストッパ部25及び斜め部26の長さや角度或いはそれらの部分の重量、更には係止部40の位置などは任意に設定可能であり、これらを適宜設定することにより、回動の容易さ、門扉1を開状態とした時の挟持部22の停止位置、などを適宜調整することが可能である。
【0015】
以上説明した実施形態によれば、一方の施錠板20に形成したストッパ部25により、開状態であっても、一方への門扉1の回動は係止され、門扉1は他方側へのみ開くことになる。
従来このように一方向へのみ開閉させる場合、予めストッパ部材などを設けておく必要があり、ユーザのニーズにより現場での施工等が必要であったが、上記構成によれば、施錠装置2の一方の施錠板をストッパ部25を備えた施錠板20にするだけでよく、極めて簡単に一方向開閉型の施錠装置を形成できる効果がある。
【0016】
また、挟持部22の反対側にカウンタバランス部30があるため、挟持部22の回動は軽く且つ円滑に行え、ストッパ部26を付加しても円滑な回動をいじできる上、斜め部26により挟持部22が上方に位置し、当接辺27が係止部40に係止するまでの回動量が少なく、また当接辺27の安定した係止状態を得ることができる。更に、この施錠装置2の構成部材は係止部40を含めて全て枠10側に設けているため、支柱5には何ら加工を施す必要がなく、既存の支柱5に適用するのも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略斜視図。
【図2】本発明の一実施形態の動作を示す部分正面図。
【図3】本発明の一実施形態の施錠板20の正面図。
【図4】本発明の一実施形態の施錠板21の正面図。
【図5】本発明の一実施形態の動作を示す部分正面図。
【図6】本発明の一実施形態の動作を示す概略平面図。
【符号の説明】
【0018】
1:門扉、2:施錠装置、5:支柱、10:枠、20:施錠板、21:施錠板、22:挟持部、23:回動孔、24:錠孔、25:ストッパ部、26:斜め部,27:当接辺、28:水平部、29:ボルト・ナット、30:カウンタバランス部、31:当接辺、40:係止部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動可能な門扉を、固定物に係止する門扉の施錠装置において、
回動可能に門扉側に設けられ、該回動により固定物を挟み、門扉を固定物に係止して門扉を閉とし、又該回動により固定物を挟まずに門扉の係止を解いて門扉を開可能とする、一対の施錠板と、
前記一対の施錠板の中の一方の施錠板のほぼ中央に設けられた第1の回動孔と、
該一方の施錠板の一端側に設けられ、前記固定物を挟む第1の挟持部と、
該一端側の前記回動孔を挟んで反対側に設けられた第1のカウンタバランス部と、
前記一対の施錠板の中の他方の施錠板のほぼ中央に設けられた第2の回動孔と、
該他方の施錠板の一端側に設けられ、前記固定物を挟む第2の挟持部と、
該一端側の前記回動孔を挟んで反対側に設けられた第2のカウンタバランス部と、
該他方の施錠板に設けられ、前記第1と第2の挟持部が係止を解く位置にある時、前記固定物に当接可能なストッパ部と、を有し、
前記ストッパ部は、前記第2の挟持部とほぼ直角をなすように前記ほぼ中央に設けられた第2の回動孔の下方に延出し、
前記一方と他方の施錠板は、前記第1と第2の回動孔を中心に回動する、
ことを特徴とする門扉の施錠装置。
【請求項2】
前記第1と第2の挟持部がそれぞれ斜め部を有し、該斜め部により前記挟持部の係止を解く位置へと回動する方向である開回動方向に曲げられている、
請求項1の門扉の施錠装置。
【請求項3】
門扉側に設けられた係止部を更に有し、
前記門扉を閉とするときに、前記カウンタバランス部において前記施錠板を係止し、
前記門扉を開可能とするときに、前記斜め部において前記施錠板を係止する、
請求項2の門扉の施錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−214392(P2011−214392A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141279(P2011−141279)
【出願日】平成23年6月25日(2011.6.25)
【分割の表示】特願2007−213336(P2007−213336)の分割
【原出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(000213792)朝日スチール工業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】