説明

閉鎖装置

【課題】特に高い確実性の点で優れた閉鎖装置を提供する。
【解決手段】閉鎖フック2を調節するための駆動装置7が、閉鎖フック2の支承端部4に連結装置15を介して駆動結合されており、該連結装置15に、閉鎖フック2の支承端部4が、閉鎖フック2の長手方向に対して横方向に延びる水平な旋回軸線30を中心として旋回可能に支承されており、連結装置15が、ハウジング5に閉鎖フック2の前記長手方向に水平に調節可能に支承されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のトップに用いられる閉鎖装置であって、該閉鎖装置が、閉鎖フックと、ハウジングと、閉鎖フックを調節するための駆動装置とを備えており、閉鎖フックが、前方に係合端部を有していて、後方に支承端部を有しており、ハウジング内で、支承端部が、閉鎖フックの長手方向に水平に調節可能である、車両のトップに用いられる閉鎖装置に関する。
【0002】
さらに、本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10300882号明細書に基づき、トップに用いられる閉鎖装置が公知である。この公知の閉鎖装置は閉鎖フックを有している。この閉鎖フックは前方に係合端部を有していて、後方に支承端部を有している。閉鎖装置のハウジング内には、閉鎖フックの支承端部が閉鎖フックの長手方向に水平に調節可能に支承されている。さらに、閉鎖装置は、閉鎖フックを調節するための駆動装置を有している。この駆動装置は、公知の閉鎖装置において、閉鎖フックの両側に配置された、互いに平行に作用する2つの4リンク伝動装置を有している。公知の閉鎖装置では、関与するリンクの全ての旋回軸線が水平に延びている。これによって、リンクのキネマティクス、つまり、動きを可能にするために、閉鎖装置に鉛直方向において比較的多くの構成スペースが必要となる。
【0004】
さらに、公知の閉鎖装置は、閉鎖フックの閉鎖位置と開放位置とを認知するためのセンサ機構を備えている。このためには、一方の4リンク伝動装置のリンクにそれぞれ1つの水平に突出した段部が成形されている。この段部は、ハウジングに不動に配置されたマイクロスイッチと協働する。
【0005】
閉鎖フックが、長手方向に調節可能な後方の支承端部を有する別の閉鎖装置が、たとえばドイツ連邦共和国特許第10205144号明細書、欧州特許出願公開第0488494号明細書およびドイツ連邦共和国特許第10352488号明細書に基づき公知である。
【0006】
閉鎖フックがその後方の支承端部で水平な旋回軸線を中心として旋回調節可能にハウジングに支承された別の閉鎖装置が、たとえばドイツ連邦共和国特許出願公開第19964066号明細書、欧州特許出願公開第0309065号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4111646号明細書、欧州特許第0879723号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19944615号明細書およびドイツ連邦共和国特許出願公開第10105771号明細書に基づき公知である。
【0007】
位置認知センサ機構を備えた別の閉鎖装置が、欧州特許第1640200号明細書およびドイツ連邦共和国特許第19909489号明細書に基づき公知である。別の技術分野から、同じく位置認知センサが、たとえばドイツ連邦共和国特許出願公開第19702833号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4419179号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19854181号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19603964号明細書およびドイツ連邦共和国特許出願公開第19601948号明細書に基づき公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第10300882号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許第10205144号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0488494号明細書
【特許文献4】ドイツ連邦共和国特許第10352488号明細書
【特許文献5】ドイツ連邦共和国特許出願公開第19964066号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第0309065号明細書
【特許文献7】ドイツ連邦共和国特許出願公開第4111646号明細書
【特許文献8】欧州特許第0879723号明細書
【特許文献9】ドイツ連邦共和国特許出願公開第19944615号明細書
【特許文献10】ドイツ連邦共和国特許出願公開第10105771号明細書
【特許文献11】欧州特許第1640200号明細書
【特許文献12】ドイツ連邦共和国特許第19909489号明細書
【特許文献13】ドイツ連邦共和国特許出願公開第19702833号明細書
【特許文献14】ドイツ連邦共和国特許出願公開第4419179号明細書
【特許文献15】ドイツ連邦共和国特許出願公開第19854181号明細書
【特許文献16】ドイツ連邦共和国特許出願公開第19603964号明細書
【特許文献17】ドイツ連邦共和国特許出願公開第19601948号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式の閉鎖装置を改良して、特に高い確実性の点で優れた閉鎖装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するために本発明に係る閉鎖装置によれば、駆動装置が、閉鎖フックの支承端部に連結装置を介して駆動結合されており、該連結装置に、閉鎖フックの支承端部が、閉鎖フックの前記長手方向に対して横方向に延びる水平な旋回軸線を中心として旋回可能に支承されており、連結装置が、ハウジングに閉鎖フックの前記長手方向に水平に調節可能に支承されている。
【0011】
本発明に係る閉鎖装置の有利な態様によれば、連結装置が、交差ヘッドとして形成されており、該交差ヘッドが、交差支持体と軸とを有しており、交差支持体に、閉鎖フックの支承端部が、水平な旋回軸線を中心として旋回可能に支承されており、軸が、交差支持体に鉛直な旋回軸線を中心として旋回可能に支承されていて、駆動装置に駆動結合されている。
【0012】
本発明に係る閉鎖装置の有利な態様によれば、連結装置が、少なくとも1つのキャリッジを有しており、ハウジングが、少なくとも1つのガイドレールを有しており、該ガイドレールが、閉鎖フックの前記長手方向に水平に延びており、ガイドレールにおいて、各キャリッジが調節可能である。
【0013】
本発明に係る閉鎖装置の有利な態様によれば、軸が、各キャリッジに鉛直な各旋回軸線を中心として旋回可能に支承されているかまたは軸が、各キャリッジに対して相対回動不能であり、各キャリッジが、鉛直な各旋回軸線を中心として旋回可能にハウジングに支承されており、特に、軸が、各キャリッジを貫通していて、交差支持体と反対の側で駆動装置に駆動結合されており、特に、軸が、各キャリッジと一体に1つの部材として製造されている。
【0014】
本発明に係る閉鎖装置の有利な態様によれば、ハウジングが、鉛直に互いに間隔を置いて配置された2つのプレートを有しており、両プレートの間に、連結装置が、水平に調節可能に配置されており、ガイドレールが、プレートに形成されており、特に、2つのガイドレールが設けられており、両ガイドレールが、互いに平行にそれぞれ1つのプレートに形成されている。
【0015】
本発明に係る閉鎖装置の有利な態様によれば、ハウジングが、前方に閉鎖フックに対する下向きに開いた進出開口を有しており、該進出開口を通って、閉鎖フックが、少なくとも係合端部でハウジングを越えて突出している。
【0016】
本発明に係る閉鎖装置の有利な態様によれば、駆動装置が、少なくとも1つの2リンク伝動装置と、該2リンク伝動装置に駆動結合された駆動リンクと、該駆動リンクを駆動するための作動駆動装置とを有しており、2リンク伝動装置が、前方のリンクを有しており、該リンクが、前方において、鉛直な前方の旋回軸線を中心として旋回可能にハウジングに支承されており、2リンク伝動装置が、後方のリンクを有しており、該リンクが、後方において、閉鎖フックの支承端部に連結装置を介して駆動結合されていて、該連結装置に鉛直な後方の旋回軸線を中心として旋回可能に支承されており、2リンク伝動装置の両リンクが、その旋回軸線の間に鉛直な別の旋回軸線を中心として互いに旋回可能に支承されており、駆動リンクが、一方のリンクにその旋回軸線の間で鉛直な別の旋回軸線を中心として旋回可能に支承されている。
【0017】
本発明に係る閉鎖装置の有利な態様によれば、駆動装置が、第2の2リンク伝動装置を有しており、該第2の2リンク伝動装置が、他方のまたは第1の2リンク伝動装置に対して間隔を置いてハウジングに配置されており、両2リンク伝動装置の前方のリンクが、前方の旋回軸線に対して同軸的にかつ/または両2リンク伝動装置の後方のリンクが、後方の旋回軸線に対して同軸的に相対回動不能に互いに結合されている。
【0018】
本発明に係る閉鎖装置の有利な態様によれば、閉鎖フックの閉鎖位置と開放位置とを認知するためのセンサ機構が設けられており、駆動装置が、駆動リンクと、該駆動リンクを駆動するためのクランク伝動装置とを有しており、該クランク伝動装置が、鉛直な回動軸線に対して偏心的に配置された、該回動軸線を中心として回動調節可能なクランクを有しており、該クランクが、駆動リンクに駆動結合されており、センサ機構が、クランク伝動装置と協働するようになっている。
【0019】
さらに、前述した課題を解決するために本発明に係る車両によれば、該車両が、車両トップを備えており、該車両トップが、開放位置と閉鎖位置との間で調節可能であり、該閉鎖位置で請求項1から9までのいずれか1項記載の少なくとも1つの閉鎖装置によって閉鎖されている。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、閉鎖フックがその支承端部で直接的にハウジングに調節可能に支承されているのではなく、駆動装置が、連結装置を備えており、この連結装置を介して、ハウジングへの閉鎖フックの支承が行われているという一般的な思想に基づいている。このためには、連結装置が閉鎖フックの支承端部に駆動結合されている。連結装置には、閉鎖フックの支承端部が、閉鎖フックの長手方向に対して横方向に延びる水平な旋回軸線を中心として旋回可能に支承されている。また、連結装置はハウジングに閉鎖フックの長手方向に水平に調節可能に支承されている。このような形式の連結装置の使用によって、ハウジングに対して相対的な支承端部の水平な調節可能性が、水平な旋回軸線を中心とした閉鎖フックの旋回調節可能性から分離され、これによって、各支承部を自体形成することができ、その機能に関して最適化することができる。したがって、たとえば、ハウジングに対する連結装置の、特に安定していて、特に確実にガイドされる水平な調節可能性を実現することができ、同時に連結装置への閉鎖フックの精密な旋回支承が実現可能となる。特に両自由度を、特に易動性に形成することができる。これによって、閉鎖装置に対する機能確実性が高められる。
【0021】
有利な態様によれば、連結装置が交差ヘッドとして形成されていてよい。この交差ヘッドは、交差支持体と軸とを有している。交差支持体には、閉鎖フックの支承端部が水平な旋回軸線を中心として旋回可能に支承されている。軸は交差支持体に鉛直な旋回軸線を中心として旋回可能にもしくは回動可能に支承されていて、駆動装置に駆動結合されている。したがって、鉛直な軸を介して、駆動装置と連結装置との間の駆動結合が行われ、これによって、連結装置をハウジングに対して相対的に水平に調節することができる。「交差ヘッド」もしくは「交差支持体」という呼称は、閉鎖フックが連結装置もしくは交差支持体に旋回可能に支承されている構成における水平な旋回軸線と、鉛直な軸が交差支持体に旋回可能にもしくは回動可能に支承されている構成における鉛直な旋回軸線とが、主として、互いに垂直に延びていることを意味している。このような交差構造は極端にコンパクトな構造の点で優れている。
【0022】
別の有利な態様によれば、連結装置が少なくとも1つのキャリッジを有していてよいのに対して、ハウジングは少なくとも1つのガイドレールを有している。このガイドレールは閉鎖フックの長手方向に水平に延びている。また、ガイドレールにおいて、連結装置の各キャリッジが調節可能となる。これによって、高い確実性を伴って低摩擦で作業するキャリッジガイドが実現される。
【0023】
特に有利な改良態様では、交差ヘッドの鉛直な軸が鉛直な各旋回軸線を中心として旋回可能にもしくは回動可能に各キャリッジに支承されているかまたは鉛直な軸が各キャリッジに対して相対回動不能である。各キャリッジは鉛直な各旋回軸線を中心として旋回可能にもしくは回動可能にハウジングに支承されている。別の選択的な態様として、鉛直な軸が各キャリッジを貫通していて、交差支持体と反対の側で駆動装置に駆動結合されていることが提案されていてよい。これによって、交差支持体と、この交差支持体に支承された閉鎖フックとが、ガイドレールの一方の側に配置されているのに対して、駆動装置は、ガイドレールの他方の側で鉛直な軸を介して交差ヘッドに連結されている。これによって、キャリッジガイドの安定性が高められる。さらに、選択的には、鉛直な軸を各キャリッジと一体に1つの部材として製造することが提案されていてよい。
【0024】
別の有利な態様では、ハウジングが、鉛直に互いに間隔を置いて配置された2つのプレートを有していてよい。両プレートの間には、連結装置が水平に調節可能に配置されている。ガイドレールは、このようなプレートに形成されている。これによって、ハウジングが比較的簡単な構造を有している。特に有利な改良態様では、2つのガイドレールが設けられている。両ガイドレールは互いに平行にそれぞれ1つのプレートに形成されている。これによって、連結装置が、それぞれ一方のガイドレールと協働する2つのキャリッジを備えている限り、特に安定したキャリッジガイドが得られる。
【0025】
別の有利な態様では、ハウジングが前方に閉鎖フックに対する下向きに開いた進出開口を有していてよい。この進出開口を通って、閉鎖フックが少なくとも係合端部でハウジングを越えて突出している。この構成によって、閉鎖フックがその係合端部で、開放位置から閉鎖位置への移行時に、対応する対応部材、たとえばブラケットに下方から係合して、その後、このブラケットを後方に引っ張ることができる。
【0026】
別の有利な態様によれば、駆動装置が、少なくとも1つの2リンク伝動装置と、この2リンク伝動装置に駆動結合された駆動リンクと、この駆動リンクを駆動するための作動駆動装置とを有していてよい。2リンク伝動装置自体は、前方のリンクと後方のリンクとを有している。前方のリンクは、前方において、前方の旋回軸線を中心として旋回可能にハウジングに支承されている。後方のリンクは、後方において、閉鎖フックの支承端部に連結装置を介して駆動結合されていて、この連結装置に鉛直な後方の旋回軸線を中心として旋回可能に支承されている。さらに、2リンク伝動装置の両リンクはその旋回軸線の間に鉛直な別のまたは中間の旋回軸線を中心として互いに旋回可能に支承されている。駆動リンクは、2リンク伝動装置の一方のリンクにその両旋回軸線の間で鉛直な別の旋回軸線を中心として旋回可能に支承されている。鉛直な旋回軸線を駆動リンクと2リンク伝動装置の両リンクとに使用することによって、閉鎖装置が鉛直方向において比較的コンパクトに形成される。これによって、扁平な構成を実現することができる。同時に2リンク伝動装置の両リンクはトグルジョイントを形成している。このトグルジョイントは駆動リンクを介して駆動されていて、特に閉鎖フックの閉鎖位置に対する伸ばされた状態において、閉鎖フックに特に高い力を伝達することができる。これによって、十分なサイズの作動駆動装置の実現が簡単となり、閉鎖フックの閉鎖位置での閉鎖装置の安全性が高められる。
【0027】
特に別の態様では、駆動装置が第2の2リンク伝動装置を有していてよい。この第2の2リンク伝動装置は、他方のまたは第1の2リンク伝動装置に対して間隔を置いてハウジングに配置されている。有利には、両2リンク伝動装置において、鉛直な前方の旋回軸線と、鉛直な後方の旋回軸線と、鉛直な中間の旋回軸線とが、それぞれ互いに同軸的に延びているかもしくは合致している。特に有利な変化態様では、両2リンク伝動装置の前方のリンクが前方の旋回軸線に対して同軸的にかつ/または両2リンク伝動装置の後方のリンクが後方の旋回軸線に対して同軸的に互いに相対回動不能に結合されている。これによって、両2リンク伝動装置を介したハウジングへの連結装置の特に安定した支持が達成される。これによって、ハウジングに対して相対的な連結装置の特に確実な調節可能性が実現可能となる。
【0028】
有利な態様によれば、作動駆動装置が、駆動リンクを駆動するためのクランク伝動装置を有していてよい。このクランク伝動装置のクランクは、このクランクに対して偏心的な鉛直な回動軸線を中心として回動調節可能である。駆動リンクは、2リンク伝動装置に対して遠位でクランクに、このクランクに対して同軸的な鉛直な旋回軸線を中心として旋回可能に支承されている。鉛直な回動軸線を中心として回動するクランク伝動装置によって、鉛直方向に同じく構成スペースがほとんど必要とならない。このことは、閉鎖装置の扁平な構成を助成する。さらに、このような形式のクランク伝動装置によって、駆動リンクひいては2リンク伝動装置への比較的大きな力伝達を実現することができる。このことは、閉鎖装置の運転確実性を助成する。
【0029】
別の有利な態様によれば、作動駆動装置が、モータと、このモータに駆動連結された伝動装置とを有していてよい。この伝動装置の出力部材はクランク伝動装置を駆動するかまたはクランク伝動装置を成している。特に有利な改良態様では、伝動装置が遊星歯車伝動装置として形成されている。この遊星歯車伝動装置のサンギヤはモータに駆動結合されており、遊星歯車伝動装置のピニオンキャリヤまたはリングギヤは出力部材を形成している。この出力部材はクランク伝動装置を駆動するかまたはクランク伝動装置を成している。さらに、特にモータの出力軸と遊星歯車伝動装置のサンギヤとの間の駆動結合がウォーム伝動装置を介して行われてよく、これによって、モータのロータ軸線が遊星歯車伝動装置の回動軸線に対して横方向に延びていてよい。
【0030】
別の有利な態様によれば、2リンク伝動装置のリンクが閉鎖フックの閉鎖位置でオーバセンタ位置をとっていてよい。このオーバセンタ位置では、トグルジョイントが過圧されている、つまり、過剰に伸ばされており、これによって、閉鎖フックにおける引張力が、この引張力を駆動リンクに伝達しているのに対して、開放位置への閉鎖フックの調節のためには、2リンク伝動装置のリンクから駆動リンクに押圧力が伝達されなければならない。この限りにおいて、オーバセンタ位置によって、閉鎖フックの閉鎖位置での2リンク伝動装置のセルフロックが達成される。
【0031】
別の有利な態様では、駆動装置が第2の2リンク伝動装置を有していてよい。この第2の2リンク伝動装置は、他方のまたは第1の2リンク伝動装置に対して間隔を置いてハウジングに配置されている。有利には、両2リンク伝動装置において、鉛直な前方の各旋回軸線と、鉛直な後方の各旋回軸線と、鉛直な中間の各旋回軸線とが、それぞれ合致しており、これによって、同一のキネマティクスが達成される。両2リンク伝動装置の前方のリンクは、有利には前方の旋回軸線に対して同軸的にかつ相対回動不能に互いに結合されていてよい。付加的または択一的には、両2リンク伝動装置の後方のリンクが、後方の旋回軸線に対して同軸的に相対回動不能に互いに結合されていてよい。互いに平行に作用しかつ連結装置を平行に駆動する両2リンク伝動装置によって、閉鎖装置の確実性を著しく改善することができる。なぜならば、いわば、連結装置の、傾倒モーメントのない水平な駆動が実現可能となるからである。
【0032】
特別な改良態様によれば、両2リンク伝動装置の前方のリンクが、それぞれ相対回動不能に共通の前方の軸に配置されていてよい。この前方の軸は前方の旋回軸線を中心として旋回可能にもしくは回動可能にハウジングに支承されている。付加的または択一的には、両2リンク伝動装置の後方のリンクが、それぞれ相対回動不能に共通の後方の軸に配置されていてよい。この後方の軸は後方の旋回軸線を中心として旋回可能にもしくは回動可能に連結装置に支承されている。共通の軸の使用は、両リンクの間の相対回動不能な連結を容易にする。
【0033】
別の改良態様によれば、ハウジングが、鉛直に互いに間隔を置いて配置された2つのプレートを有していてよい。両プレートの間には、閉鎖フックの支承端部が水平に調節可能に配置されている。両2リンク伝動装置は、両プレートの、互いに反対の側の2つの外面に配置されていてよい。これによって、ハウジングへの2リンク伝動装置の特に安定した支持と、ハウジングへの連結装置の特に安定した支持とが得られる。
【0034】
別の有利な態様では、閉鎖フックの閉鎖位置と開放位置とを認知するためのセンサ機構が設けられている。特に駆動装置が、駆動リンクと、この駆動リンクを駆動するためのクランク伝動装置とを有していることが提案されていてよい。このクランク伝動装置は、鉛直な回動軸線に対して偏心的に配置された、この回動軸線を中心として回動調節可能なクランクを有している。このクランクは駆動リンクに駆動結合されている。前述したセンサ機構はクランク伝動装置の範囲に配置されていてよく、これによって、センサ機構がクランク伝動装置と協働して、閉鎖フックの閉鎖位置と開放位置とが認知されるようになっている。
【0035】
有利な態様によれば、クランク伝動装置が、回動軸線を中心として回動調節可能なディスクを有していてよい。このディスクにクランクが配置されている。センサ機構は、ディスクに相対回動不能に配置された切換スライダと、少なくとも2つのスイッチとを有している。これらのスイッチは、ディスクの周方向に互いに間隔を置いて不動にハウジングに配置されている。切換スライダとスイッチとは、切換スライダが、閉鎖フックの閉鎖位置で一方のスイッチを操作していて、閉鎖フックの開放位置で他方のスイッチを操作しているように互いに調整されている。提案された構成は、幾何学的に簡単な構造の点で優れている。この構造は、さらに、比較的高い確実性を保証している。
【0036】
有利には、切換スライダが軸方向でディスクに配置されていてよい。したがって、切換スライダを軸方向でディスクに組み付けることができるのに対して、このディスクは、たとえばクランク伝動装置の1つの組込み構成部材を成している。すなわち、ディスクを切換スライダと別個に製造することができる。たとえば、これによって、ディスクを全周にわたってクランク伝動装置のハウジングによって取り囲むこととができる。
【0037】
別の有利な態様では、切換スライダがその周方向端部の間に半径方向外向きに円弧状の外側輪郭部を有していてよい。この外側輪郭部から、周方向端部が半径方向外向きに突出している。スイッチは、切換スライダの一方の周方向端部が、閉鎖フックの閉鎖位置で一方のスイッチを操作しているのに対して、切換スライダの他方の周方向端部は、閉鎖フックの開放位置で他方のスイッチを操作しているように、ハウジングに位置決めされている。閉鎖フックを閉鎖位置と開放位置との間で調節するために、ディスクひいてはクランクも回動させられなければならない角度範囲は、両周方向端部の周方向間隔と、両スイッチの周方向間隔とを介して比較的に精密に調整することができる。
【0038】
有利な態様では、各周方向端部が円弧状の外側輪郭部に傾斜輪郭部を介して移行していてよい。これによって、各スイッチの操作が簡単になる。付加的または択一的には、円弧状の外側輪郭部が、ディスクの円弧状の外側輪郭部に対して同軸的にかつ半径方向内向きにずらされて配置されていてよい。この構成によって、ディスクにおける、たとえばクランク伝動装置の別の構成要素に衝突する恐れがある妨害輪郭部を回避することができる。さらに、有利には、切換スライダの周方向端部が半径方向外側でディスクと同一平面を成して終わっていてよい。この構成も、たとえばクランク伝動装置のハウジングに衝突する恐れがある妨害輪郭部の危険を減少させる。
【0039】
別の有利な態様によれば、切換スライダが三日月形に形成されていて、回動軸線に対してクランクと反対の側でディスクに配置されていてよい。したがって、有利には、このディスクに存在する構成スペースを切換スライダの取付けのために使用することができる。特に有利な改良態様では、駆動リンクが閉鎖位置で切換スライダの鉛直上方に配置されている。したがって、駆動リンクへの形状付与もしくはクランクへの駆動リンクの結合は、切換スライダが駆動リンクに衝突することなく、この駆動リンクの下方に進入することができるように行われる。
【0040】
別の有利な態様によれば、駆動リンクが、クランクに鉛直な旋回軸線を中心として旋回可能に支承されていてよい。駆動リンクは、旋回軸線から半径方向に突出した突出部を有している。この態様では、有利には、ハウジングがストッパを備えていてよい。このストッパには、突出部が閉鎖フックの閉鎖位置で当て付けられている。したがって、駆動リンクの、ストッパに接触している突出部が、閉鎖フックの閉鎖位置を規定している。したがって、閉鎖フックの閉鎖位置がクランクの範囲において規定されているので、このクランクの範囲に配置されたセンサ機構が特に精密に作業するようになっている。さらに、選択的には、切換スライダが、回動軸線に向けられた内側輪郭部に凹部を備えていてよい。この凹部内には、突出部が閉鎖フックの開放位置で進入することができる。これによって、コンパクトな構造が実現される。
【0041】
また、本発明は、さらに、車両に関する。この車両は車両トップを備えている。この車両トップは開放位置と閉鎖位置との間で調節可能であり、この閉鎖位置で前述した形式の少なくとも1つの閉鎖装置よって閉鎖されている。特にこの閉鎖装置はトップ側に配置されていてよく、これによって、閉鎖フックが車両側のフックと協働する。たとえば、閉鎖装置はトップ側でトップのルーフキャップに配置されている。このルーフキャップはトップの閉鎖位置で上側のウィンドシールドガラスフレームに当て付けられている。
【0042】
「水平」および「鉛直」という概念は、閉鎖装置の典型的な組付け状況に基づいている。「前方」および「後方」という概念は、閉鎖フックの運動方向に基づいており、これによって、前方への閉鎖フックの走出が行われるのに対して、後方への閉鎖フックの走入または戻りが行われる。
【0043】
本発明の更なる重要な特徴および利点は、従属請求項、図面および図面に対応した説明から明らかである。
【0044】
当然ながら、前述した特徴と、以下でさらに説明する特徴とは、それぞれ記載した組合せで使用可能であるだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなしに、別の組合せまたは単独でも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】閉鎖位置における閉鎖装置の部分的に断面した側面図である。
【図2】開放位置における閉鎖装置の部分的な断面した側面図である。
【図3】閉鎖位置における閉鎖装置の平面図である。
【図4】中間位置における閉鎖装置の平面図である。
【図5】開放位置における閉鎖装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の有利な実施の形態を図面に示し、以下に詳しく説明する。同じ符号は、同一の構成部材または類似の構成部材または機能的に同じ構成部材を表している。
【0047】
図1〜図5によれば、車両において開放位置と閉鎖位置との間で調節可能なトップを閉鎖位置で閉鎖することができる閉鎖装置1は閉鎖フック2を有している。この閉鎖フック2は、前方に、すなわち、図1〜図5において左側に係合端部3を有していて、後方に、すなわち、図1〜図5において右側に支承端部4を有している。さらに、閉鎖装置1はハウジング5を有している。このハウジング5内には、閉鎖フック2の支承端部4が、閉鎖フック2の長手方向に水平に調節可能に支承されている。図1〜図5には、水平方向6が二重矢印によって示してある。閉鎖フック2の長手方向は、係合端部3と支承端部4とを通って延びる直線によって規定されている。すなわち、閉鎖フック2の長手方向とは、閉鎖フック2がその後方の支承端部4から出発して前方の係合端部3の方向に延びている方向である。
【0048】
さらに、閉鎖装置1は駆動装置7を有している。この駆動装置7は閉鎖フック2を、図1および図3に示した閉鎖位置と、図2および図5に示した開放位置との間で調節するために働く。
【0049】
駆動装置7は少なくとも1つの2リンク伝動装置8を有していてよい。図示の有利な実施の形態では、2つの2リンク伝動装置8,8’、つまり、第1の2リンク伝動装置8と第2の2リンク伝動装置8’とが設けられている。さらに、駆動装置7は、一方の2リンク伝動装置8、本実施の形態では、第1の2リンク伝動装置8に駆動結合された駆動リンク10と、この駆動リンク10を駆動するための作動駆動装置11を有している。
【0050】
各2リンク伝動装置8,8’は、それぞれ1つの前方のリンク9,9’と1つの後方のリンク12,12’とを有している。前方の各リンク9,9’は、前方において、鉛直な前方の旋回軸線13を中心として旋回可能にハウジング5に支承されている。後方の各リンク12,12’は、後方において、鉛直な後方の旋回軸線14を中心として旋回可能に連結装置15に支承されていて、さらに、この連結装置15を介して閉鎖フック2の支承端部4に駆動結合されている。さらに、各2リンク伝動装置8,8’の両リンク9,12;9’,12’はその旋回軸線13,14の間で鉛直な別のまたは中間の旋回軸線16を中心として互いに旋回可能に支承されている。これによって、各2リンク伝動装置8,8’の両リンク9,12;9’,12’が、それぞれ1つのトグルジョイントを形成している。このトグルジョイントの節点は中間の旋回軸線16の範囲に位置している。駆動リンク10は、各リンク9,9’,12,12’の旋回軸線13,14,16の間で鉛直な別の旋回軸線17を中心として旋回可能に一方の2リンク伝動装置8,8’の一方のリンク9,9’,12,12’に支承されている。図示の有利な実施の形態では、駆動リンク10が、前方の旋回軸線13と中間の旋回軸線16との間で第1の2リンク伝動装置8の前方のリンク9に旋回可能に支承されている。
【0051】
図1〜図5には、鉛直方向18が二重矢印によって示してある。
【0052】
特に図3〜図5に認めることができるように、作動駆動装置11はクランク伝動装置19を有していてよい。このクランク伝動装置19によって、作動駆動装置11が駆動リンク10を駆動する。クランク伝動装置19のクランク20は、このクランク20に対して偏心的に配置された回動軸線21を中心として回動調節可能である。駆動リンク10は、2リンク伝動装置8に対して遠位で、すなわち、2リンク伝動装置8に対して間隔を置いて、クランク20に対して同軸的に延びる鉛直な旋回軸線22を中心として旋回可能にクランク20に支承されている。さらに、作動駆動装置11は、モータ23,たとえば電動モータと、このモータ23に駆動連結された伝動装置24とを有している。この伝動装置24は、図1〜図5において隠れているかもしくは認めることができない。伝動装置24の出力部材はクランク伝動装置19を駆動するかまたは自体クランク伝動装置19を成している。たとえば伝動装置24は遊星歯車伝動装置であってよい。この遊星歯車伝動装置のサンギヤは、直接的にまたは、たとえばウォーム伝動装置を介して間接的にモータ23に駆動結合されている。遊星歯車伝動装置のピニオンキャリヤまたは遊星歯車伝動装置のリングギヤは、伝動装置24の、クランク伝動装置19を成しているかまたは駆動する前述した出力部材を形成している。
【0053】
図3に示した閉鎖フック2の閉鎖位置では、平面図で認めることができる第1の2リンク伝動装置8の両リンク9,12がオーバセンタ位置をとっている。このオーバセンタ位置では、中間の旋回軸線16が、前方の旋回軸線13と後方の旋回軸線14とを通って垂直に延びる仮想直線25の、クランク伝動装置19に近い方の側に位置している。閉鎖位置以外では、中間の旋回軸線16が、仮想直線25の、クランク伝動装置19と反対の側に位置している。
【0054】
駆動装置7は、基本的には、ただ1つの2リンク伝動装置8で十分である。しかし、2つの2リンク伝動装置8,8’が設けられた図示の実施の形態が有利である。有利には、両2リンク伝動装置8,8’は同様に形成されているものの、互いに鉛直方向18で間隔を置いてハウジング5に配置されている。両2リンク伝動装置8,8’を互いに駆動連結するためには、前方の両リンク9,9’が前方の旋回軸線13に対して同軸的に互いに相対回動不能に結合されていてよい。このことは、たとえば共通の前方の軸26によって実現することができる。この前方の軸26は前方の旋回軸線13に対して同軸的に延びている。前方の軸26を介して、前方のリンク9,9’が前方の旋回軸線13を中心として旋回可能にハウジング5に支承されている。付加的または択一的には、後方の両リンク12,12’が後方の旋回軸線14に対して同軸的に互いに相対回動不能に結合されていてよい。このことは、たとえば共通の後方の軸27によって実現することができる。この後方の軸27は後方の両リンク12,12’に相対回動不能に結合されていて、後方の旋回軸線14に対して同軸的に延びている。後方の軸27を介して、後方の両リンク12,12’が後方の旋回軸線14を中心として旋回可能に連結装置15に支承されている。
【0055】
図示の実施の形態では、ハウジング5が、鉛直に互いに間隔を置いて配置された2つのプレート28,29を有している。両プレート28,29の間には、閉鎖フック2の支承端部4が水平に調節可能に配置されている。有利には、両2リンク伝動装置8,8’が、両プレート28,29の、互いに反対の側の2つの外面に配置されているのに対して、閉鎖フック2の支承端部4は、両プレート28,29の、互いに向かい合った2つの内面に配置されている。
【0056】
駆動装置7は閉鎖フック2の支承端部4に連結装置15を介して駆動結合されている。この連結装置15には、閉鎖フック2の支承端部4が水平な旋回軸線30を中心として旋回可能に支承されている。この水平な旋回軸線30は閉鎖フック2の長手方向に対して横方向に延びている。さらに、連結装置15は閉鎖フック2の長手方向に水平に調節可能にハウジング5に支承されている。したがって、閉鎖フック2はその支承端部4でハウジング5に直接支承されておらず、連結装置15を介して間接的に支承されていて、しかも、旋回軸線30を中心として旋回可能にかつ水平方向6に調節可能に支承されている。
【0057】
図示の特に有利な実施の形態によれば、連結装置15が交差ヘッドとして形成されている。以下、この交差ヘッドも同じく符号15で示すことにする。この交差ヘッド15は交差支持体31を有している。この交差支持体31には、閉鎖フック2の支承端部4が水平な旋回軸線30を中心として旋回可能に支承されている。対応する旋回支承部は符号32で示してある。さらに、交差ヘッド15は軸33を有している。この軸33は、鉛直な後方の旋回軸線14を中心として旋回可能にもしくは回動可能に交差支持体31に支承されている。これに相応して、以下、軸33を鉛直な軸33とも呼ぶことにする。この鉛直な軸33によって、連結装置15もしくは交差ヘッド15が駆動装置7に駆動結合されている。特に鉛直な軸33は、前述した後方の軸27を有していてよい。この後方の軸27と、後方の各リンク12,12’とは、閉鎖レバー2の長手方向に向けられた水平な力を伝達するために適している。
【0058】
連結装置15は少なくとも1つのキャリッジ34を有していてよい。本実施の形態では、互いに平行に作用する2つのキャリッジ34,34’が設けられている。ハウジング5は各キャリッジ34,34’に対して、それぞれ1つのガイドレール35;35’を有している。この各ガイドレール35,35’は閉鎖フック2の長手方向に水平に延びている。さらに、各ガイドレール35,35’には、対応するキャリッジ34;34’が調節可能に配置されている。特にキャリッジ34,34’とガイドレール35,35’とは、二次元にもしくは双方向に規定された滑動調節可能性または摺動調節可能性を実現することができる。さらに、鉛直な軸33は鉛直な後方の各旋回軸線14を中心として旋回可能にもしくは回動可能に各キャリッジ34,34’に支承されている。択一的な実施の形態では、鉛直な軸33が各キャリッジ34,34’に対して相対回動不能に配置されていることが提案されていてよい。この実施の形態では、各キャリッジ34,34’が鉛直な後方の各旋回軸線14を中心として旋回可能にハウジング5に支承されている。
【0059】
鉛直な軸33もしくは鉛直な軸33の、後方の軸27を形成する区分は、各キャリッジ34,34’を貫通していて、交差支持体31と反対の側で駆動装置7に駆動結合されている。特に後方の軸27は鉛直な軸33に一体に成形されている。選択的には、さらに、鉛直な軸33と各キャリッジ34,34’とが一体に1つの部材として製造されていることが提案されていてよい。
【0060】
本実施の形態のように、ハウジング5が、鉛直に互いに間隔を置いて配置された2つのプレート28,29を有している限り、連結装置15は両プレート28,29の間に水平に調節可能に配置されている。ガイドレール35,35’はプレート28,29に形成されており、これによって、各プレート28,29が正確に1つのガイドレール35,35’を有している。両ガイドレール35,35’は互いに平行にかつ真っ直ぐに延びている。
【0061】
ハウジング5は、下向きに開いた進出開口36を前方に備えている。この進出開口36を通して閉鎖フック2が案内されている。この閉鎖フック2は少なくとも係合端部3でハウジング5を越えて突出している。閉鎖位置から開放位置への閉鎖フック2の調節時には、支承端部4が、図1に認めることができる走入させられた後方の位置から、図2に示した前方に調節された前方の位置に移送される。この場合、閉鎖フック2が進出開口36を通って前方に走出させられる。開放位置から閉鎖位置への戻り時には、閉鎖フック2が再び進出開口36を通って後方にハウジング5内に走入させられるかもしくは引き戻される。
【0062】
図3〜図5によれば、閉鎖装置1が、さらに、センサ機構37を備えている。このセンサ機構37によって、閉鎖フック2の閉鎖位置と開放位置とが認知可能となるかもしくは検知可能となる。センサ機構37は、図示の閉鎖装置1では、クランク伝動装置19と協働する。このためには、センサ機構37のコンポーネントがクランク伝動装置19の範囲に配置されている。
【0063】
このクランク伝動装置19は、回動軸線21を中心として回動調節可能なディスク38を有している。このディスク38にクランク20が配置されている。このクランク20と駆動レバー10との間の連結に応じて、クランク20をディスク38に相対回動不能に取り付けることができる。また、クランク20はその回動軸線22を中心としてディスク38に対して相対回動可能に支承されていてもよい。センサ機構37は、ディスク38に相対回動不能に配置された切換スライダ39を有していて、さらに、2つのスイッチ、つまり、第1のスイッチ40と第2のスイッチ41とを備えている。両スイッチ40,41は、ディスク38の周方向に互いに間隔を置いて配置されていて、さらに、ハウジング5に対して不動に配置されている。たとえば、両スイッチ40,41は、ハウジング5に不動に取り付けられた、たとえばハウジング5にねじ締結された回路ボード42に装着されている。切換スライダ39とスイッチ40,41とは、切換スライダ39が両スイッチ40,41を操作するように互いに調整されている。したがって、切換スライダ39は、図3に示した閉鎖フック2の閉鎖位置で第1のスイッチ40を操作していて、図5に示した閉鎖フック2の開放位置で第2のスイッチ41を操作している。
【0064】
切換スライダ39は回動軸線21に対して軸方向でディスク38に配置されていて、図示の実施の形態では、三日月形に形成されており、これによって、切換スライダ39はディスク38の周方向に延びていて、これに相応して、2つの周方向端部、つまり、第1の周方向端部43と第2の周方向端部44とを有している。さらに、切換スライダ39は回動軸線21に対してクランク20と反対の側でディスク38に配置されている。すなわち、クランク20と切換スライダ39とは、ディスク38において回動軸線21を基準として互いに直径方向で対置している。
【0065】
切換スライダ39はその両周方向端部43,44の間に半径方向外向きに、たとえば円弧状の外側輪郭部45を有している。この外側輪郭部45から、周方向端部43,44が半径方向外向きに突出している。この周方向端部43,44はスイッチ40,41を操作するために働く。したがって、第1の周方向端部43が、図3に示した閉鎖位置で第1のスイッチ40を操作しているのに対して、第2の周方向端部44は、図5に示した開放位置で第2のスイッチ41を操作している。
【0066】
両周方向端部43,44は、それぞれ傾斜輪郭部46;47を介して円弧状の外側輪郭部45に移行していてよい。傾斜輪郭部46,47は各スイッチ40,41の操作を容易にする。さらに、周方向端部43,44は半径方向外側で、有利には、円弧状の外側輪郭部48を有するディスク38と同一平面を成して終わっている。これに相応して、切換スライダ39の円弧状の外側輪郭部45はディスク38の円弧状の外側輪郭部48に対して同軸的にかつ半径方向内向きにずらされて配置されている。
【0067】
図3および図4に認めることができるように、駆動リンク10とクランク20との間の結合は、切換スライダ39が駆動リンク10の下方に走入可能であるように行われている。たとえば、このためには、駆動リンク10がクランク状に折り曲げられており、これによって、この駆動リンク10と切換スライダ39との間に鉛直な間隔が形成される。
【0068】
駆動リンク10は、クランク20に対して同軸的に延びる鉛直な旋回軸線22を中心として旋回可能にクランク20に支承されている。さらに、駆動リンク10は、旋回軸線22に対して半径方向に突出した突出部49を有している。これに相応して、この突出部49は、対応する2リンク伝動装置8に対して遠位で駆動リンク10から突出している。ハウジング5はストッパ50を有している。このストッパ50には、突出部49が、図3に示した閉鎖位置への到達時に当て付けられる。これに相応して、ストッパ50は閉鎖フック2の閉鎖位置を規定している。有利には、切換スライダ39が、ディスク38の回動軸線21に向けられた内側輪郭部51に凹部52を有している。この凹部52は、図4および図5に認めることができる。この凹部52内には、突出部49が、図5に示した閉鎖フック2の開放位置への到達時に進入する。
【0069】
本発明に係る閉鎖装置1は、有利には、開放位置と閉鎖位置との間で調節可能であるトップを有する車両に使用される。閉鎖装置1は、トップを閉鎖位置で閉鎖するかもしくはロックするために使用される。同時にこのような形式の2つまたはそれ以上の閉鎖装置が使用されてもよい。たとえば、トップは、閉鎖動作時に先行する前方の端部にルーフキャップを有していてよい。このルーフキャップにこのような少なくとも1つの閉鎖装置1が配置されている。ルーフキャップは、トップの閉鎖位置で上側のウィンドシールドガラスフレームに当て付けられている。したがって、閉鎖フック2が、ウィンドシールドガラスフレームに設けられたブラケットまたはこれに類するものに作用している。したがって、有利には、本発明に係る閉鎖装置1がトップ側に配置されている。このことは、鉛直方向18に得られる扁平なもしくはコンパクトな構造によって助成される。
【符号の説明】
【0070】
1 閉鎖装置
2 閉鎖フック
3 係合端部
4 支承端部
5 ハウジング
6 水平方向
7 駆動装置
8,8’ 2リンク伝動装置
9,9’ 前方のリンク
10 駆動リンク
11 作動駆動装置
12,12’ 後方のリンク
13 前方の旋回軸線
14 後方の旋回軸線
15 連結装置
16 中間の旋回軸線
17 別の旋回軸線
18 鉛直方向
19 クランク伝動装置
20 クランク
21 回動軸線
22 旋回軸線
23 モータ
24 伝動装置
25 仮想直線
26 前方の軸
27 後方の軸
28 プレート
29 プレート
30 水平な旋回軸線
31 交差支持体
32 旋回支承部
33 鉛直な軸
34,34’ キャリッジ
35,35’ ガイドレール
36 進出開口
37 センサ機構
38 ディスク
39 切換スライダ
40 第1のスイッチ
41 第2のスイッチ
42 回路ボード
43 第1の周方向端部
44 第2の周方向端部
45 外側輪郭部
46 傾斜輪郭部
47 傾斜輪郭部
48 外側輪郭部
49 突出部
50 ストッパ
51 内側輪郭部
52 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のトップに用いられる閉鎖装置(1)であって、該閉鎖装置(1)が、閉鎖フック(2)と、ハウジング(5)と、閉鎖フック(2)を調節するための駆動装置(7)とを備えており、閉鎖フック(2)が、前方に係合端部(3)を有していて、後方に支承端部(4)を有しており、ハウジング(5)内で、支承端部(4)が、閉鎖フック(2)の長手方向に水平に調節可能である、車両のトップに用いられる閉鎖装置において、駆動装置(7)が、閉鎖フック(2)の支承端部(4)に連結装置(15)を介して駆動結合されており、該連結装置(15)に、閉鎖フック(2)の支承端部(4)が、閉鎖フック(2)の前記長手方向に対して横方向に延びる水平な旋回軸線(30)を中心として旋回可能に支承されており、連結装置(15)が、ハウジング(5)に閉鎖フック(2)の前記長手方向に水平に調節可能に支承されていることを特徴とする、車両のトップに用いられる閉鎖装置。
【請求項2】
連結装置(15)が、交差ヘッドとして形成されており、該交差ヘッドが、交差支持体(31)と軸(33)とを有しており、交差支持体(31)に、閉鎖フック(2)の支承端部(4)が、水平な旋回軸線(30)を中心として旋回可能に支承されており、軸(33)が、交差支持体(31)に鉛直な旋回軸線(14)を中心として旋回可能に支承されていて、駆動装置(7)に駆動結合されている、請求項1記載の閉鎖装置。
【請求項3】
連結装置(15)が、少なくとも1つのキャリッジ(34)を有しており、ハウジング(5)が、少なくとも1つのガイドレール(35)を有しており、該ガイドレール(35)が、閉鎖フック(2)の前記長手方向に水平に延びており、ガイドレール(35)において、各キャリッジ(34)が調節可能である、請求項1または2記載の閉鎖装置。
【請求項4】
軸(33)が、各キャリッジ(34)に鉛直な各旋回軸線(14)を中心として旋回可能に支承されているかまたは軸(33)が、各キャリッジ(34)に対して相対回動不能であり、各キャリッジ(34)が、鉛直な各旋回軸線(14)を中心として旋回可能にハウジング(5)に支承されており、特に、軸(33)が、各キャリッジ(34)を貫通していて、交差支持体(31)と反対の側で駆動装置(7)に駆動結合されており、特に、軸(33)が、各キャリッジ(34)と一体に1つの部材として製造されている、請求項2または3記載の閉鎖装置。
【請求項5】
ハウジング(5)が、鉛直に互いに間隔を置いて配置された2つのプレート(28,29)を有しており、両プレート(28,29)の間に、連結装置(15)が、水平に調節可能に配置されており、ガイドレール(35)が、プレート(28,29)に形成されており、特に、2つのガイドレール(35,35’)が設けられており、両ガイドレール(35,35’)が、互いに平行にそれぞれ1つのプレート(28,29)に形成されている、請求項3または4記載の閉鎖装置。
【請求項6】
ハウジング(5)が、前方に閉鎖フック(2)に対する下向きに開いた進出開口(36)を有しており、該進出開口(36)を通って、閉鎖フック(2)が、少なくとも係合端部(3)でハウジング(5)を越えて突出している、請求項1から5までのいずれか1項記載の閉鎖装置。
【請求項7】
駆動装置(7)が、少なくとも1つの2リンク伝動装置(8)と、該2リンク伝動装置(8)に駆動結合された駆動リンク(10)と、該駆動リンク(10)を駆動するための作動駆動装置(11)とを有しており、2リンク伝動装置(8)が、前方のリンク(9)を有しており、該リンク(9)が、前方において、鉛直な前方の旋回軸線(13)を中心として旋回可能にハウジング(5)に支承されており、2リンク伝動装置(8)が、後方のリンク(12)を有しており、該リンク(12)が、後方において、閉鎖フック(2)の支承端部(4)に連結装置(15)を介して駆動結合されていて、該連結装置(15)に鉛直な後方の旋回軸線(14)を中心として旋回可能に支承されており、2リンク伝動装置(8)の両リンク(9,12)が、その旋回軸線(13,14)の間に鉛直な別の旋回軸線(16)を中心として互いに旋回可能に支承されており、駆動リンク(10)が、一方のリンク(9)にその旋回軸線(13,16)の間で鉛直な別の旋回軸線(17)を中心として旋回可能に支承されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の閉鎖装置。
【請求項8】
駆動装置(7)が、第2の2リンク伝動装置(8’)を有しており、該第2の2リンク伝動装置(8’)が、他方のまたは第1の2リンク伝動装置(8)に対して間隔を置いてハウジング(5)に配置されており、両2リンク伝動装置(8,8’)の前方のリンク(9,9’)が、前方の旋回軸線(13)に対して同軸的にかつ/または両2リンク伝動装置(8,8’)の後方のリンク(12,12’)が、後方の旋回軸線(14)に対して同軸的に相対回動不能に互いに結合されている、請求項7記載の閉鎖装置。
【請求項9】
閉鎖フック(2)の閉鎖位置と開放位置とを認知するためのセンサ機構(37)が設けられており、駆動装置(7)が、駆動リンク(10)と、該駆動リンク(10)を駆動するためのクランク伝動装置(19)とを有しており、該クランク伝動装置(19)が、鉛直な回動軸線(21)に対して偏心的に配置された、該回動軸線(21)を中心として回動調節可能なクランク(20)を有しており、該クランク(20)が、駆動リンク(10)に駆動結合されており、センサ機構(37)が、クランク伝動装置(19)と協働するようになっている、請求項1から8までのいずれか1項記載の閉鎖装置。
【請求項10】
車両において、該車両が、車両トップを備えており、該車両トップが、開放位置と閉鎖位置との間で調節可能であり、該閉鎖位置で請求項1から9までのいずれか1項記載の少なくとも1つの閉鎖装置(1)によって閉鎖されていることを特徴とする、車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−57461(P2012−57461A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196242(P2011−196242)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(506292985)マグナ カー トップ システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (31)
【氏名又は名称原語表記】Magna Car Top Systems GmbH
【住所又は居所原語表記】Stuttgarter Strasse 59, D−74321 Bietigheim−Bissingen, Germany
【Fターム(参考)】