説明

開口制限装置

【課題】EVF装置の使用者に視力に適合した視度調整機能は、調整範囲が不充分であった。
【解決手段】駆動突起B103及び駆動突起B104を一方の面に備える回動ピース101と、回動政変部106を一方の面に備え他方の面に駆動突起B103及び駆動突起B104がそれぞれ係合する案内溝B107及び案内溝B108を備えた開口制限ホルダー105とを備え、回動ピース101を回動させることにより駆動突起B103及び駆動突起B104が案内溝B107及び案内溝B108それぞれに対して進入・離隔しながら、開口制限ホルダー105を矢印X方向に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ビームの照射範囲を制限する開口制御装置に関し、特に表示画像を拡大視認する際に、視認者の視度を調整する視度調整装置等に有用である。
【背景技術】
【0002】
この技術分野としては、ビデオカメラやディジタルスチルカメラ等撮影装置に用いるエレクトリック ビュー ファインダー(以下、EVFと記す)が広く知られている。EVFは撮像レンズから入った被写体の反射光を画像データに変換するCCDなどの撮像素子と、当該画像データを視認化する液晶パネルなどの画像表示ユニットと、画像表示ユニットの表示画像を拡大するレンズとがファインダーに組み込まれている。
【0003】
画像表示ユニットに表示された画像を鮮明に拡大するため、一般にEVFはレンズの位置を調節できる機構を有する。これは、画像表示ユニットに表示された画像を、レンズにより拡大して鮮明に視認できる位置が、使用者の視力(近視または遠視)によって異なるからである。このレンズの位置合わせを行う機構を視度調整機構と呼ばれている。
【0004】
この視度調整機構については、例えば特許文献1が知られている。特許文献1に開示された構成について、図7を参照して説明する。同図において、対眼レンズケース302の外周にヘリカル状の案内溝310が形成され、鏡胴301に回動自在に係合する視度調整リング303を回動させることで、当該視度調整リング303と一体成形された駆動突起304が案内溝310中を摺動し、対眼レンズケース302を前後運動させ、視度を調整する。
【0005】
駆動突起304は視度調整リング303の長さ方向(すなわち、対眼レンズ311の光軸方向)前後いずれかに偏倚(図では紙面右側)して備えているため、視度調整リング303を鏡胴301に対して前後逆に装着すると、段差部308と視度調整リング303の端部との空隙307の距離が変化し、偏倚量に見合った量だけ対眼レンズ311の移動量を拡大することができる。このようにして、視度調整機構において遠視から近視まで幅広い視度調整範囲を得られる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、近視用から遠視用もしくは遠視用から近視用の状態に幅広く視度調整機構を変えるためには、先ずアイキャップホルダ306をEVF本体から外し、次いで視度調整リング303と案内溝310との係合を一度外し、しかる後再び視度調整リング303を案内溝310に前後逆に取り付け、最後にアイキャップホルダ306を装着する煩わしさがあった。
【0007】
この煩わしさの問題に対し、視度調整機構の分解・組立を伴わずに、簡単に遠視から近視まで幅広い視度調整を行える視度調整機構の一例を図8から図10に示す。図8は従来の一例としてEVFにおける視度調整機構の要部を説明する側面断面図、図9は要部斜視図、図10は要部平面図である。これらの図において401は視度調整ユニット、402は視度調整ケース、403はアイキャップ、404は表示パネル414の表示範囲を制限する開口部、405は視度調整ピース、406はレンズホルダー、407は駆動突起A、408は視度調整ピース405のツマミ、409はレンズ、410は案内溝Aである。
【0008】
先ず、視度調整機構の構成について説明する。視度調整機構はレンズホルダー406の上面に案内溝A410が形成され、視度調整ピース405の下面に備える駆動突起A407が案内溝A410に係合している。ツマミ408により視度調整ピース405は、回動軸411が視度調整ケース402が備える軸受に沿って摺動することで、回動中心O回りに回動する。視度調整ピース405の回動により、駆動突起Aが案内溝A410中を摺動し、矢印X方向にレンズホルダー406が移動し、レンズホルダー406に一体成形で備える開口部404とこの開口部404に対して固着するレンズ409とが移動し、アイキャップ403から視認する使用者に応じて視度調整を行う。
【0009】
次に、視度調整ピース405の回動に伴うレンズホルダー406の移動軌跡について、図10を参照して説明する。図10(b)は開口部404(すなわち、レンズ409)が視度調整ユニット401の中央に位置した状態(回動角度0°とする)を示し、同図(a)は矢印α方向(本例では右回り)に60°回動した状態、同図(c)は矢印β方向(本例では左回り)に60°回動した状態である。なお、説明を理解しやすくするため、図9及び図10では、視度調整ピース405とレンズホルダー406との間に存在し、回動軸411に沿って視度調整ピース405を回動支持する軸受(不図示)を穿つ視度調整ケース402は省略している。
【0010】
図10(b)の状態から(a)の状態へ視度調整ピース405を回動してゆくと、駆動突起A407が案内溝A410中を矢印Y方向に移動する。なお、同図において開口制限ホルダー105の移動を明示するため、視度調整ピース405の回動中心をL3として揃えて示している。視度調整ピース405の駆動突起A407は案内溝A410を構成する壁面410aと当接し、視度調整ピース405の回動中心O回りの矢印α方向に駆動突起A407が回動することで、X方向(紙面の右方向)に移動する。逆に、同図(b)の状態から(c)の状態へ視度調整ピース405を回動してゆくと、駆動突起A407が案内溝A410中を矢印Y方向に移動する。視度調整ピース405の駆動突起A407は案内溝A410を構成する壁面410bと当接し、視度調整ピース405の回動中心O回りに矢印β方向に駆動突起Aが回動することで、X方向(紙面の左方向)に移動する。視度調整ピース405が移動するため、X方向またはX方向に開口部404(すなわちレンズ409)も移動する。こうして、アイキャップ403等を取り外すことなく、視認者の視力に応じた視度調整を行うことができる。
【特許文献1】実開平05−041271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記の構成における視度調整範囲(すなわち、X方向のレンズ409の移動距離)は、視度調整ピース405の回動中心Oから駆動突起407までの距離で一義的に決定される。すなわち、図10に示したように、1本の案内溝A410と1つの駆動突起A407との係合に視度調整範囲は依存しているため、視度調整ピース405を同図(b)から(a)にα方向に90°回動したとしても、X方向にたかだか視度調整ピース405の回動中心Oから駆動突起407までの距離しか移動できず、同様に同図(b)から(c)にβ方向に90°回動したとしても、X方向にたかだか視度調整ピース405の回動中心Oから駆動突起407までの距離しか移動できない。結局最大で視度調整ピース405の直径に見合う距離以内しか視度調整範囲である。ところが、視度調整ピース405の回動軸411は、視度調整ケース402に穿った軸受と係合しているが、視度調整ピース405の駆動突起A407の方向に備える係止部413が空隙412にはまりこませた後で回動させる。当該係止部413と視度調整ピース405の面との間に視度調整ケース402を介在させることで回動自在に係合させている。従って、90°の回動角度では視度調整ピース405は視度調整ケース402から離隔してしまう危険性があり、現実的には視度調整ピースの回動角度はα方向及びβ方向何れにも90°未満となり益々調整距離は短くならざるを得ない。
【0012】
視度調整は視認者の視力を矯正するため、調整距離が長い方が好ましい。従来構成で視度調整距離を長くするためには、視度調整ピース405の半径を大きくすると共に、案内溝A410の距離も長くすることで対応可能であるが、視度調整ユニット401が大型化し、例えば図8に示したEVF本体も大型化してしまうという課題がある。
【0013】
そこで、本発明は係る従来の課題に鑑み、開口部の移動距離を長くすることができる開口制限装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の開口制限装置は、矩形形状部材の一方の面に備える光の照射範囲を制限する開口制限部と、前記一方の面に対向する他方の面に前記光の光束に対し垂直方向に延在する複数の案内溝部とを備える可動手段と、前記複数の案内溝部それぞれに係合する複数の凸部と、回動軸とを備える回動手段と、前記回動軸のみを軸支し、前記回動手段が摺動する軸受部を備える筐体とを有する。
【発明の効果】
【0015】
上記の構成により、開口制限部を備える可動手段の移動距離を長くすることができるため、例えば開口制限部にレンズを備え表示装置が表示する画像を拡大するEVFの分野に応用すると、使用者に視力の適合性が小型の装置であっても飛躍的に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の開口制限装置は、矩形形状部材の一方の面に備える光の照射範囲を制限する開口制限部と、前記一方の面に対向する他方の面に前記光の光束に対し垂直方向に延在する複数の案内溝部とを備える可動手段と、前記複数の案内溝部それぞれに係合する複数の凸部と、回動軸とを備える回動手段と、前記回動軸のみを軸支し、前記回動手段が摺動する軸受部を備える筐体とを有する構成を備えるため、回動手段の回動の進行に伴い、複数の凸部がそれぞれ複数の案内溝部に逐次係合してゆくため、可動手段及び回動手段を大型化することなく、開口制限部を備える可動手段の移動距離を長くすることができる。本発明の開口制限装置の開口制限部を介して風景や映像表示装置に表示された画像の画角を決定する装置を小型化することができる。
【0017】
また、本発明の開口制限装置における複数の案内溝部は、矩形形状部材の1つの辺に繋がる構成を有することで、回動手段の回動角度に応じて回動手段が備える複数の凸部と可動手段に備える複数の案内溝部との進入と離隔との係合関係が、それぞれ2ヶ所ずつ独立して
備える構成に起因する当該凸部と当該案内溝部
スペース的を、案内溝の延在方向両側に備える構成となり、複数の駆動突起それぞれが対応する複数の案内溝に進入した後当該案内溝を
無駄を省け、開口制限装置の小型化を達成することができる。
【0018】
また、本発明の開口制限装置における複数の凸部の数は3以上の場合は、当該凸部それぞれは前記回動手段の外周に沿って配置され、前記3以上の凸部どうしそれぞれの間隔を均等にした構成を有することで、回動手段の回動角度と可動手段の可動タイミングとの適合がとりやすく、可動手段の可動を一定に保つことができる。
【0019】
また、本発明の開口制限装置における開口制限部は、映像を表示する表示手段からの前記光の一部を制限する構成を備えることで、表示手段が表示する画像の最適な画角を決定することができる。
【0020】
また、本発明の開口制限装置における開口制限部に、レンズを保持する保持手段をさらに備える構成を採用すると、例えばEVF等の視度調整が小型で視度調整範囲を拡大することができる。
【0021】
以下、本発明の開口制限装置の具体的な実施形態について、EVFに適用した例を取り上げ、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
(実施の形態1)
本実施形態は本発明の開口制限装置をEVF視度調整機構に応用した一実施形態で、図1はEVF視度調整機構の要部斜視図、図2は要部断面側面図、図3及び4は要部平面図である。図1〜4において、101は回動ピース(回転手段)、102はツマミ、103及び104はそれぞれ駆動突起B及び駆動突起B(複数の凸部)、105は開口制限ホルダー(可動手段)、106は開口制限部、107及び108はそれぞれ案内溝B及び案内溝B(複数の案内溝部)、109はアイキャップ、110はレンズ、111は回動ピース101を回動中心O回りに回動する回動軸、112は空隙部、113は開口制限ケース(筐体)、114は表示パネル(表示手段)、115は回動ピース101を開口制限ケース113に対して回動自在に係止する係止部である。なお,図1、図3及び図4では構成を分かり易くするため、開口制限ホルダー105と回動ピース101との間に存在し、回動ピース101の回動軸111を軸支する軸受を穿った開口制限ケース113は省略した。また本実施形態においても、回動ピース101と開口制限ケース113との係合には、回動ピース101と開口制限ケース113との回動自在の係合関係が安価且つ確実に達成できるため、当該開口制限ケース113に穿った軸受の外周を横切る長孔を貫通重畳させ、当該長孔に係止部115を挿入する構成を採用した。従って、例えば図8における空隙412に相当する空隙部112が本実施形態でも存在するため、回動ピース101の回動角度を係止部が長孔と係合する角度未満にする制限は同じである。
【0023】
図2に示すように、不図示の対物レンズを介して被写体を撮影した映像信号は、不図示の撮像素子により光電変換及び映像信号処理され、液晶等の表示素子を適用した表示パネル114で撮影対象の画像を表示する。表示パネル114で表示された画像は開口制限部106により有効視認範囲に制限され、アイキャップ109から使用者が視認する。こうして開口制限部106で制限された表示パネル114が表示する映像を、レンズ110によって拡大視認する。前述したように、使用者の視力(近視または遠視)に応じてレンズ110をX方向に移動することで、使用者が表示パネル114に表示された画像を合焦点状態で視認することができる。
【0024】
回動ピース101が一方の方向(例えば図1において右回り)に回動すると、駆動突起B104は案内溝B108中を矢印Y方向に摺動し、案内溝B108を構成する一方の壁面108aに当接することで開口制限ホルダー105を矢印X方向に移動させる。駆動突起B104が案内溝B108から離隔する(すなわち、駆動突起B104が案内溝B108中から回動ピース101側に出る)と、駆動突起B103が案内溝B107中を矢印Yの反対方向に移動すると共に駆動突起B103は案内溝B107を構成する一方の壁面107aに当接し、開口制限ホルダー105を矢持するX方向に移動させる。このようにして、複数の駆動突起B104と駆動突起B103とがそれぞれ案内溝B108と案内溝B107とに順次係合することで、開口制限ホルダー105の移動距離を長くすることができる。この開口制限ホルダー105の移動メカニズムを、図3及び4を参照して詳細に説明する。
【0025】
図3(b)は開口制限ホルダー105の移動方向(X方向)の移動距離中心位置に位置した状態で、回動ピース101の回動角度は0°の状態である。同図(a)は回動ピース101を紙面右回り(矢印α方向)に60°回動した状態で、同図(c)は回動ピース101を紙面左回り(矢印β方向)に60°回動した状態である。回動角度0°の状態では、図示しているように駆動突起B103及び駆動突起B104は開口制限ホルダー105の移動方向(矢印X及びX方向)に対して溝形成方向に一直線上にあり、案内溝B107及び案内溝B108の溝形成始端部(開口制限ホルダー105の移動方向に対し直交方向で、案内溝B107及び案内溝B108に駆動突起B103及び駆動突起B104それぞれが係合し始める部分)近傍に位置している。この回動角度0°の状態から矢印α方向(紙面右回り)に回動ピース101を60°回動してゆくと、駆動突起B104は案内溝B108から離隔するが、駆動突起B103は案内溝B107中を矢印Y(図1参照)の反対方向に移動すると共に、駆動突起B103は案内溝B107を形成する一方の壁面107a(図1参照)に当接する。この当接は、回動ピース101の回動軸111が開口制限ホルダー105に対して独立する開口制限ケース113に備える軸受と係合しているため、回動中心O回りにα方向に回動することで回転モーメントが作用し、駆動突起B103が矢印X方向に押圧することによる。回動角度0°の状態から矢印β方向(紙面左回り)に回動ピース101を60°回動してゆくと、駆動突起B103は案内溝B107から離隔するが、駆動突起B104は案内溝B108を形成する壁面108bに当接し、前述と同様の作用によって矢印X方向に開口制限ホルダー105を移動させる。ここで、回動角度0°の状態から矢印α方向に60°回動してゆく過程を図4を参照して説明する。同図(c)は回動角度0°(すなわち、図3(b)に相当)で、同図(a)は回動角度60°(すなわち、図3(a)に相当)で、同図(b)は回動角度30°の状態である。
【0026】
回動角度0°の状態から回動角度30°の状態の間で、駆動突起B104は案内溝B108を形成する壁面108aに当接すると共に、駆動突起B103が矢印Y方向に案内溝B107中に進入すると共に、壁面107aに当接することで矢印X方向に開口制限ホルダー105を移動させる。回動角度30°の状態では駆動突起B104は案内溝B108から離隔しているが、駆動突起B104の案内溝B108始端部からの離隔分だけ駆動突起B103が案内溝B107中に矢印Y方向に進入する。すなわち、駆動突起B103は回動ピース101の回動角度に応じて壁面B107aを押圧し、開口制限ホルダー105を矢印X方向に移動させる。回動ピース101を回動角度30°からさらに回動してゆくと、駆動突起B103は壁面107aを押圧しながら案内溝B107中を矢印Y方向に移動して行く。本実施形態では係止部115の中央を通る回動ピース101の直径からそれぞれ60°方向に駆動突起B103と駆動突起B104を備える構成であるため、回動角度は60°が最大であり、駆動突起B103と壁面107aとの当接係合は回動角度60°で実質的に終わるように案内溝B107の長さを設定している。但し、駆動突起B103と壁面107Bの先端部との位置関係は、駆動突起B103が矢印Y方向に進入した構成を採用している。この構成により、駆動突起B103が案内溝B107から完全に離隔しないため、回動ピース101を矢印β方向に回動し始める際に駆動突起B103の案内溝B107に対する案内精度が向上する。なお、この効果を確実にするため、同図等に示したように、壁面107bの先端部外側(すなわち、壁面107aの反対方向)に傾斜する面取り部を施すと好ましい。なお、上述の説明は矢印α方向についてであるが、矢印β方向についても駆動突起及び案内溝場所及び回動方向が異なるだけで、駆動突起と案内溝との関係及び作用は全く同一であるため説明は割愛する。
【0027】
本実施形態における回動ピース101の回動中心Oから駆動突起B103及び駆動突起B104それぞれの中心までの半径は、図7に示した従来構成における回動ピースの回動中心Oから駆動突起A407の中心までの半径と同一の5.1mm、回動ピース101及び視度調整ピース406の回動角度をα方向及びβ方向それぞれに60°とした。従来構成におけるレンズホルダー406のX方向の移動距離が4.4mmであったのに対し、本実施形態における開口制限ホルダー105の移動距離は5.1mmであり、移動距離が増加した。また、前述したように駆動突起B103及び駆動突起B104の案内溝B107及び案内溝B108中への進入距離は、駆動突起A407の案内溝A407に対する進入距離を基準とすると原理的に半分(1−cos60°)であるため、開口制限ホルダー105の移動方向に直交する方向(すなわち、各駆動突起がそれぞれ対応する案内溝へ進入する方向)の幅をレンズホルダー406の幅よりも小型化でき、従って開口制限移動ユニット100を従来構成よりも小型化しながら、開口制限ホルダー105の移動距離を大きくすることができる。
【0028】
なお、開口制限ホルダー105の移動方向における案内溝B107及び案内溝B108の幅は、駆動突起B103及び駆動突起B104がそれぞれ係合できる距離であれば問題はない。しかしながら、狭い方が回動ピース101の回動角度に対する開口制限ホルダーの移動の忠実性が高まると共に、溝の幅方向における突起が遊ぶ距離(すなわち、壁面に当接するまでの距離)が短くなる分だけ開口制限ホルダー105の移動距離が長くすることができる。一方、突起と溝との嵌合を厳しくすると、溝中を突起の移動に際しての抵抗が強くなるため、開口制限ホルダー105の移動に支障を来すことがある。従って、これらを鑑み適宜設計することが要請される。また、上述したように、開口制限ホルダー105の移動方向に対し直交方向における案内溝B107及び案内溝B108の長さは、駆動突起B103及び駆動突起B104が最大進入するだけの距離を備えればよい。本実施形態の構成では駆動突起B103及び駆動突起B104の進入距離が図10で説明した従来構成よりも短いため、開口制限ホルダー105の幅(開口制限ホルダー105の移動方向に直交する距離)を等価的に短くすることができ、開口制限ホルダー105の小型化へも寄与することができる。
【0029】
さらに、案内溝B107と案内溝B108との間は必ずしも溝である必然性はなく、壁面107aと壁面108bとを連設する構成であっても何等問題はない。但し、案配溝B107と案内溝B108との間の距離は、駆動突起B103と駆動突起B104との離隔直線距離と同程度にする必要はある。
【0030】
また、回動ピース101が回動限界まで回動した場合でも駆動突起B103と壁面107bとの係合及び駆動突起B104と壁面108aとの係合が維持できるため、壁面107b及び壁面108aの開口制限ホルダー105側辺からの長さを壁面107a及び壁面108bの長さよりも長くすることが好ましい。
【0031】
(実施の形態2)
次に、本発明の開口制限装置における他の実施形態について、図5及び図6を参照して説明する。本実施形態において、201は回動ピース、202は回動ピース201のツマミ、203、204及び205はそれぞれ駆動突起C、駆動突起C及び駆動突起C、206は開口制限ホルダー、207は開口制限部、208、209及び210はそれぞれ案内溝C、案内溝C及び案内溝Cである。本実施形態と先の実施形態との相違点は、駆動突起の数と駆動突起が進入・当接係合する案内溝の数とだけである。従って、本実施形態の開口制限ホルダー206の移動に関する機構自体は先の実施形態と本質的な差違はないが、相違点を中心に図面を参照しながら説明する。なお、図5及び図6でも回動ピース201を回動自在に係合する軸受を穿った開口制限ケースは省略している。また、先の実施形態でも述べたように、回動ピース201と不図示の開口制限ケースとの係合には、開口制限ケースに穿った軸受の外周を横切る長孔を貫通重畳させ、当該長孔に係止部を挿入する構成を採用した。従って、例えば図2における空隙部112に相当する空隙部が本実施形態でも存在するため、回動ピース201の回動角度を係止部が長孔と係合する角度未満にする制限は同じである。
【0032】
駆動突起C203は案内溝C208に対し、駆動突起C204は案内溝C209に対し、また駆動突起C205は案内溝C210に対しそれぞれ進入または当接するように、回動ピース201の回動中心O回りに不図示の回動軸を不図示の開口制限ケースが備える軸受に係合させている。図6(b)は開口制限ホルダー206を図5におけるX方向の移動距離中心位置に位置した状態であり、この状態における回動ピース201の回動角度を0°とする。同図(a)は矢印α方向(紙面の右回り)に回動ピース201を60°回動した状態で、同図(c)は矢印β方向(紙面の左回り)に回動ピース201を60°回動した状態である。
【0033】
回動ピース201の回動角度0°から矢印α方向に60°回動するまでの開口制限ホルダー206の移動過程について説明する。回動ピース201の回動角度が0°の状態では、駆動突起C203、駆動突起C204及び駆動突起C205それぞれが案内溝C208、案内溝C209及び案内溝C210それぞれの始端部に並んでいる。この状態から矢印α方向に回動ピース201を回動し始めると、駆動突起C205が案内溝C210の紙面左側に立設する壁面と当接し、開口制限ホルダー206を矢印X方向に移動させる。回動ピース201の回動により、駆動突起C205が案内溝C210の始端部から離隔すると、駆動突起C204が案内溝C209の紙面左側に立設する壁面に当接し、開口制限ホルダー203を矢印X方向に移動させる。回動ピース201の回動により、駆動突起C204が案内溝C209の始端部から離隔すると、駆動突起C203が案内溝C208の紙面左側に立設する壁面に当接し、開口制限ホルダー203を矢印X方向に移動させる。以上のように、回動ピース201が回動中心O回りに回動することで、駆動突起C205、駆動突起C204及び駆動突起C203それぞれが進入係合する案内溝C210、案内溝C209及び案内溝C208それぞれの紙面左側に立設する壁面に対し当接した後離隔することで、順次開口制限ホルダー206を矢印X方向に移動することができる。なお、上述の説明は矢印α方向についてであるが、矢印β方向についても駆動突起及び案内溝場所及び回動方向が異なるだけで、駆動突起と案内溝との関係及び作用は全く同一であるため説明は割愛する。
【0034】
本実施形態のおける駆動突起C203、駆動突起C204及び駆動突起C205それぞれの中心点は、回動ピース201の回動中心Oから等距離に配置し、駆動突起C203及び駆動突起C204の間隔を駆動突起C204と駆動突起C205との間隔と同じ距離にすると、回動ピース201の回動動作に対する開口制限ホルダー206の移動の忠実性が向上するため好ましい。
【0035】
また、案内溝C208、案内溝C209及び案内溝C210は、進入・離隔する駆動突起C203、駆動突起C204及び駆動突起C205の回動中心O回りの回動奇跡に応じて、外側に形成した案内溝C208及び案内溝C210それぞれの一対の始端部を真ん中の案内溝C209一対に始端部よりも長く形成することが好ましい。また、長く形成した一対の始端部それぞれの対向側が外側に広がる切り込みを備えると、駆動突起C203及び駆動突起C205の案内溝C208及び案内溝C210に対する進入状態から離隔状態または離隔状態から進入状態への移行がスムーズに行えるため望ましい。
【0036】
なお、先の実施形態の方が従来構成よりも進入距離が短かったと同様に理由で、本実施形態における駆動突起C203、駆動突起C204及び駆動突起C205それぞれが進入する案内溝C208、案内溝C209及び案内溝C210の始端部からの進入距離は先の実施形態の進入距離よりも短く構成することができる。このため、開口制限ホルダー206の移動方向に直交する方向(すなわち、各駆動突起がそれぞれ対応する案内溝へ進入する方向)の幅を、先の実施形態における開口制限ホルダー105よりさらに狭く(すなわち、小型化)することができる。
【0037】
本実施形態の駆動突起C203、駆動突起C204及び駆動突起C205それぞれの中心と回転ピース201の回動中心との半径を先の実施形態と同じ5.1mm、回動ピース201の回動角度をα方向及びβ方向それぞれ60°、駆動突起C203及び駆動突起C205それぞれを回動中心Oと結んだO回りの内角を60°とした結果、先の実施形態における開口制限ホルダー105の移動距離5.1mmが得られた。すなわち、本実施形態の回動ピース201が備える駆動突起C203と駆動突起C205とが回動中心Oに対する内角は、先の実施形態における駆動突起B103と駆動突起B104とが回動中心Oに対する内角と同一とし、しかも回動中心Oと各駆動突起(駆動突起C203、駆動突起C204、駆動突起C205、駆動突起B103及び駆動突起B104)の回動中心Oからの半径も同一としてため、開口制限ホルダー206の移動距離は開口制限ホルダー105の移動距離と等しくすることができる。なお、前述した開口制限ホルダー206の幅方向をさらに小型化できるため、開口制限ホルダー206の移動距離を開口制限ホルダー105の移動距離を維持しながら、先の実施形態よりもさらに小型の開口制限装置を提供することができる。
【0038】
本実施形態と先の実施形態とを比較すると、駆動突起の数を多くする構成の方が、複数の駆動突起がそれぞれ対応する案内溝への進入・離隔する差違の以降がスムーズであるため駆動突起の数は多い方が好ましいが、駆動突起の加工工数、精度並びに費用、及び当該駆動突起が進入・離隔する案内溝の加工工数、精度並びに費用が嵩む傾向にあり、駆動突起及び案内溝の数は2〜5程度が好ましい。
【0039】
なお、先の実施形態で述べた案内溝の幅と駆動突起との関係、及び案内溝感を水にするか否かの構成は本実施形態でも同様であること勿論である。
【0040】
以上のように、本発明の開口制限装置は開口制限部を備える開口制限ホルダーの移動距離を長くしながら小型化も同時に達成することができ、例えばEVFに適用した場合に小型のEVFで有りながら視度調整機能を大幅に改善できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば小型で移動距離が長い開口制限装置を実現できるため、視度調整ユニット分野の他に、開口制限の位置を変化させることで画角を調整する分野等に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の開口制限装置に係る一実施形態の要部構成を示す斜視図
【図2】同実施形態の要部側面断面図
【図3】(a)は同実施形態における動作を説明する平面図、(b)は同実施形態における他の動作を説明する平面図、(c)は同実施形態における別の動作を説明する平面図
【図4】(a)は同実施形態における動作を説明する平面図、(b)は同実施形態における他の動作を説明する平面図、(c)は同実施形態における別の動作を説明する平面図
【図5】本発明の開口制限装置に係る他の実施形態の要部構成を示す斜視図
【図6】(a)は同実施形態における動作を説明する平面図、(b)は同実施形態における他の動作を説明する平面図、(c)は同実施形態における別の動作を説明する平面図
【図7】従来の視度調整装置の一例を説明する断面図
【図8】従来の視度調整装置の他の例を説明する要部側面断面図
【図9】同視度調整装置の要部斜視図
【図10】(a)は同従来例における動作を説明する平面図、(b)は同従来例における他の動作を説明する平面図、(c)は同従来例における別の動作を説明する平面図
【符号の説明】
【0043】
100 開口制限移動ユニット
101 回動ピース
102 ツマミ
103 駆動突起B
104 駆動突起B
105 開口制限ホルダー
106 開口制限部
107 案内溝B
108 案内溝B
111 回動軸
113 開口制限ケース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形形状部材の一方の面に備える光の照射範囲を制限する開口制限部と、前記一方の面に対向する他方の面に前記光の光束に対し垂直方向に延在する複数の案内溝部とを備える可動手段と、
前記複数の案内溝部それぞれに係合する複数の凸部と、回動軸とを備える回動手段と、
前記回動軸のみを軸支し、前記回動手段が摺動する軸受部を備える筐体とを有する開口制限装置。
【請求項2】
前記複数の案内溝部は、前記矩形形状部材の1つの辺に繋がる構成を有する請求項1記載の開口制限装置。
【請求項3】
前記複数の凸部の数は3以上であり、当該凸部それぞれは前記回動手段の外周に沿って配置され、前記3以上の凸部どうしの間隔を均等にした構成を有する請求項1記載の開口制限装置。
【請求項4】
前記開口制限部は、映像を表示する表示手段からの前記光の一部を制限する請求項1記載の開口制限装置。
【請求項5】
前記開口制限部に、レンズを保持する保持手段をさらに備える請求項1または4何れかに記載の開口制限装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−271691(P2007−271691A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93997(P2006−93997)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】