説明

開口容易缶蓋

【課題】内圧が高い陽圧缶に用いた場合の開蓋時における開放音を抑制できる開口容易缶蓋を提供する。
【解決手段】外周に缶胴固着用のフランジ部が一体成形されているパネル部と、パネル部の周辺部に形成されたスコア線によって区画された開口片と、開口片の周辺部に形成されたリベット部8に固着された開口用タブと、リベット部8の周囲のうち前記パネル部の中央側の部分を囲むように形成され、前記開口用タブの持ち上げ時に破断する補助スコア線18とを有する開口容易缶蓋において、リベット部8の中心と前記開口用タブの先端とを通る直線を直線Xとしたとき、前記補助スコア線18のうち、前記直線Xと交差する箇所から、前記直線Xと直交する方向に1〜6mm離れた範囲に、前記直線Xと交差する箇所の前記補助スコア線18の残厚よりも、残厚の厚いスコア段差部20が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タブを引き上げることにより開口させることのできる開口容易缶蓋に関し、特に全面的に開口するタイプの開口容易缶蓋において、開蓋時に内圧が開放されることによる内圧開放音の発生を抑制する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、果実缶詰や魚肉缶詰等の固形物を内容物とする食品用缶詰に使用される缶蓋として、缶蓋のパネル部が全面的に開口するフルオープンタイプの缶蓋が多用されている。このようなフルオープンタイプの缶蓋の一例が特許文献1に記載されており、このタイプの缶蓋は、パネル部の周辺部に形成されて開口片を区画する環状スコア線の他に、開口用タブを取り付けるためのリベット部の周辺に形成された補助スコア線を備えている。
【0003】
この補助スコアは、開口の初期操作において、タブの指掛け部に指を掛けてタブを持ち上げた際に、タブの先端部を支点とし、またタブの指掛け部を力点とし、リベット部を作用点とする第二種の挺子作用により破断する。この補助スコア線の破断により、リベット部周辺のパネル部が変形し易くなり、タブの持ち上げ部の持ち上げが容易となる。このような補助スコア線の破断の状態から更に、タブを持ち上げると、リベットを支点とし、またタブの指掛け部を力点とし、タブの先端部を作用点とする第一種の挺子作用により、タブの先端部付近の環状スコア線が破断する。その後、タブの指掛け部を上方に引き上げることに伴って環状スコア線が円周方向に剪断されて行き、缶蓋から開口片が取り外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−161360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような補助スコア線の破断と環状スコア線の初期破断は、タブを持ち上げる一連の動作において生じるものであるため、時間的には、短時間に連続して生じる。そのため、このようなフルオープンタイプの缶蓋を、内容物がビールや炭酸飲料などの容器内圧が陽圧となる飲料用の缶詰の蓋として使用した場合、タブを持ち上げて補助スコア線と環状スコア線とが破断した際に、補助スコア線と環状スコア線との両方の開口箇所から内圧が開放されるため、非常に大きな内圧開放音が生じる虞がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、開蓋時の内圧開放時の音の発生を抑制できる開口容易缶蓋を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、外周に缶胴固着用のフランジ部が一体成形されているパネル部と、前記パネル部の周辺部に形成されたスコア線によって区画された開口片と、前記開口片の周辺部に形成されたリベット部に固着された開口用タブと、前記リベット部の周囲のうち前記パネル部中央側の部分を囲むように形成され、前記開口用タブの持ち上げ時に破断する補助スコア線とを有する開口容易缶蓋において、前記リベット部の中心と前記開口用タブの先端とを通る直線を直線Xとしたとき、前記補助スコア線のうち、前記直線Xと交差する箇所から、前記直線Xと直交する方向に1〜6mm離れた範囲に、前記直線Xと交差する箇所の前記補助スコア線の残厚よりも、残厚の厚いスコア段差部が形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明の構成に加えて、前記スコア段差部の残厚が、前記直線Xと交差する箇所の補助スコア線の残厚よりも50〜100μm厚いことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明の構成に加えて、前記補助スコア線の縦断面形状が、第1の凹部と、前記第1の凹部の底面に形成され、前記第1の凹部の底面よりも深く、且つ、幅が狭い底面を有する第2の凹部とを有するように形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、リベット部の中心と開口用タブの先端とを通る直線を直線Xとしたとき、補助スコア線のうち、直線Xと交差する箇所から、直線Xと直交する方向に1〜6mm離れた範囲に、直線Xと交差する箇所の補助スコア線の残厚よりも、残厚の厚いスコア段差部が形成されていることにより、タブを持ち上げて補助スコア線が破断される際に、残厚の厚いスコア段差部が抵抗となり、一旦、スコア段差部の手前で補助スコア線の破断が停止又は破断速度が低下させられる。そのため、補助スコア線の全範囲が破断する前に、破断開口した狭い範囲から内圧が開放されるため、内圧開放時の音の発生を抑制することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、スコア段差部の残厚が、直線Xと交差する箇所の補助スコア線の残厚よりも50〜100μm厚いことにより、補助スコア線の破断の進行をスコア段差部の箇所で確実に一旦停止させることができる。そのため、補助スコア線の初期段階の破断による開口範囲あるいは開口面積を狭くすることができ、その結果、確実に内圧開放時の音の発生を抑制することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、補助スコア線の縦断面形状が、第1の凹部と、該第1の凹部の底面に形成され、第1の凹部の底面よりも深く、且つ、幅が狭い底面を有する第2の凹部とを有するように形成されていることにより、補助スコア線の成形時の応力を、開蓋時に破断する第2の凹部よりも底面の幅の広い第1の凹部の成形により分散させることができる。そのため、成形応力の集中による補助スコア線のくびれや損傷の発生による強度の低下を防止でき、その結果、スコア段差部による補助スコア線の破断の進行を停止する効果を十分に生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る開口容易缶蓋の一例を示す平面図である。
【図2】そのパネル部の中心とリベット部の中心とを結んだ線に沿う断面図である。
【図3】補助スコア線およびそのスコア段差部を示す部分拡大図である。
【図4】補助スコア線の断面形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る開口容易缶蓋1は、飲料や食品用の缶容器の蓋であり、開口部が全面的に開口するフルオープンタイプの缶蓋である。この開口容易缶蓋1は、合成樹脂製の塗膜やフィルムからなる保護被膜により被覆されたアルミニウム合金や表面処理鋼板等の金属製薄板からプレス成形されるものであって、図1および図2に示すように、円板状のパネル部2と、そのパネル部2の周縁部に接続され、パネル部2から下方に凹んだ環状溝部3を有するカウンターシンク部4と、カウンターシンク部4の周縁部に接続され、缶胴(図示せず)との巻締固着部分となるフランジ部5とが一体的に形成された缶蓋本体6を有し、その缶蓋本体6とは別体に形成された開口操作用のタブ7が、パネル部2の周辺付近に形成されたリベット部8によって缶蓋本体6に固着されている。また、フランジ部5の裏面側には、有機高分子製のシール剤(図示せず)が塗布されて付着されている。
【0015】
そのような缶蓋の中央部分である円板状のパネル部2の周辺部には、円形状の破断容易な環状スコア線9が形成されており、環状スコア線9により開口片2Aが区画されている。環状スコア線9は、幅が広くかつ浅い台形形状の第1の凹部と、その第1の凹部の底面の中央部分に形成され、第1の凹部の底面よりも深く、且つ、幅が狭い底面を有する台形形状(くさび状)の第2の凹部とを有する形状に形成されている。タブ7による開口操作時には、第2の凹部の底面が破断するように構成されている。この第1の凹部を形成することにより、環状スコア線9の成形時の応力の集中を緩和し、環状スコア線9の成形箇所にくびれや損傷が生じることを防止することができる。なお、環状スコア線9は、閉じた環状に設けられていなくても良く、部分的に切り欠かれて一部が開いた円弧形状に設けられていても良い。
【0016】
パネル部2のうち、環状スコア線9に隣接する箇所で、且つ、環状スコア線9の缶蓋半径方向外方及び内方には、図2に示すように、金属板を多重に折り畳んだ縦断面S字状の重層部10がそれぞれ形成されている。環状スコア線9に対して缶蓋半径方向外方に位置する外側重層部10aは、環状スコア線9の上方に位置する外側保護部を有しており、外側保護部の先端は、環状スコア線9が破断された後に、環状スコア線9のフランジ部5側の破断端を保護するように形成されている。また、環状スコア線9に対して缶蓋半径方向内方に位置する内側重層部10bは、環状スコア線9の下方に位置する内側保護部を有しており、内側保護部の先端は、環状スコア線9が破断された後に、環状スコア線9の開口片2A側の破断端を保護するように形成されている。
【0017】
パネル部2の開口片2Aには、パネル部2に剛性を付与すると共にタブ7の指掛け部11の下方に隙間を形成するための指掛け用凹部12が形成され、その指掛け用凹部12を挟むように、タブ7の軸線方向に直交するリブ状の凹ビード部13が2本形成されている。凹ビード部13は、内側重層部10b付近まで形成されており、また、内側重層部10bの上面側には、凹ビード部13の延長線上に延在するように、縦断面V字状に内側重層部10bを押し潰して形成された弱化部14が形成されている。この凹ビード部13と弱化部14とに沿って、開口片2Aは折れ曲がりやすくなるように構成されている。
【0018】
環状スコア線9は、タブ7の先端から遠い側の弱化部14の形成箇所よりも、タブ7の先端から離れた範囲において、環状スコア線9の底部の厚み(残厚)が厚くなっている。これにより、開蓋時に環状スコア線9が破断される際に、タブ7の先端とパネル部2の中心を挟んで反対側の範囲では、残厚が厚い箇所が破断に対する抵抗となるため、その箇所で開蓋動作を止めることができる。尚、この残厚の厚い箇所は、より強い力でタブ7を引き上げることによって破断させることができるため、環状スコア線9を全周で破断させて開口片2Aを完全に取り外すことができるように構成されている。
【0019】
また、その他に、パネル部2には、パネル部2に剛性を付与するための短いリブ状のビード15や、タブ7の下面に当接する一対のドーム状の凸部16や、タブ7の周囲に配置されるドーム状の凸部17が形成されている。
【0020】
さらに、リベット部8を挟んでタブ7の先端部とは反対側で、且つ、リベット部8の近傍には、タブ7を起こすときにパネル部2のタブ7の先端部に近接した部分を下方に折り曲げ易くするための破断可能な補助スコア線18が形成されている。また、補助スコア線18の成形時に応力の集中により、補助スコア線18の部分のくびれや損傷を防ぐために、タブ7の引き上げ時に破断されない副スコア線19が形成されている。副スコア線19は、補助スコア線18と一定の間隔を空けて平行に形成されている。これらの補助スコア線18および副スコア線19の形状を図3に拡大して示してある。
【0021】
この補助スコア線18と副スコア線19も、環状スコア線9と同様に、幅が広くかつ浅い台形形状の第1の凹部と、その第1の凹部の底面の中央部分に形成され、第1の凹部の底面よりも深く、且つ、幅が狭い底面を有する台形形状(くさび状)の第2の凹部とを有する形状に形成されており、タブ7による開口操作時には、補助スコア線18の第2の凹部の底面が破断するように構成されている。
【0022】
本発明では、リベット部8の中心とタブ7の先端とを通る直線を直線Xとした時、補助スコア線18は、直線Xと直交する方向に向けて延びた状態に形成されている。具体的には、図3に示すように、補助スコア線18は、リベット部8の周辺部に沿うように、缶蓋半径方向内方に向かって凸となるように円弧状、言い換えればリベット部8の中心を曲率中心とした円弧状に湾曲する内向き曲線部18Aと、内向き曲線部18Aの両端にそれぞれ接続され、缶蓋半径方向外方に向かって凸となるように円弧状、言い換えれば、補助スコア線18を挟んでリベット部8とは反対側の所定箇所を曲率中心とする円弧状に湾曲する外向き曲線部18Bとを有している。
【0023】
したがって、上述した構成では、最初にタブ7を持ち上げた際には、第二種の挺子作用により、補助スコア線18のうち、直線Xと交差する箇所が破断始点Pとして破断し、そこから内向き曲線部18Aが破断し、次いで連続して外向き曲線部18Bが破断する。尚、外向き曲線部18Bの端部の延長線上には、ドーム状の凸部17が配置されており、補助スコア線18の破断時に、外向き曲線部18Bの端部に亀裂が生じてもドーム状の凸部17により亀裂の進行を止めることができる。
【0024】
本発明では、補助スコア線18の一部に、補助スコア線18の残厚を部分的に厚くしたスコア段差部20を形成している。図4の(a)は補助スコア線18のうちスコア段差部20での断面形状を示し、(b)はそれ以外の部分での断面形状を示している。スコア段差部20は、直線Xと補助スコア線18とが交差する破断始点Pから直線Xと直交する方向に1〜6mm離れた範囲、好ましくは、1.5〜4mm離れた範囲に形成されている。スコア段差部20は、この所定範囲の全域に連続して形成されている必要はなく、スコア段差部20の破断始点P側の端部が、この所定範囲内に形成されていれば良い。また、スコア段差部20の残厚は、破断始点Pの残厚よりも、50〜100μmの範囲で厚くなるように形成されている。通常の残厚の部分とスコア段差部20との接続部分には、徐々に残厚が変化するスコア傾斜部が形成されている。このスコア傾斜部の範囲は、直線Xと直交する方向の距離で0.05〜0.5mmに設定されており、通常の残厚の部分からスコア段差部20への残厚の変化を急激に生じさせ、スコア段差部20が補助スコア線18の破断時の抵抗として作用し易いように構成されている。
【0025】
本実施例では、スコア段差部20は、破断始点Pの両側2箇所に、破断始点Pから直線Xと直交する方向の距離で2〜4.6mm離れた範囲に連続的に形成され、破断始点Pの残厚が100μmで、スコア段差部20の残厚が170μmとなっており、破断始点Pの残厚よりもスコア段差部20の残厚が70μm厚くなるように設定されている。また、スコア段差部20の破断始点P側の端部は、補助スコア線18の内向き曲線部18Aと外向き曲線部18Bとの接続部近傍に位置している。尚、補助スコア線18の幅は、破断始点Pでは、第1の凹部18aの底面の幅が0.4mmで、第2の凹部18bの底面の幅が0.02mmに設定され、スコア段差部20では、第1の凹部20aの底面の幅は、破断始点Pと同様に0.4mmで、第2の凹部20bの底面の幅が0.085mmに設定されている。
【0026】
本実施例の缶蓋によれば、最初にタブ7を持ち上げると、第二種の挺子作用により、補助スコア線18のうち、直線Xと交差する箇所からスコア段差部20の端部に到達するまでの範囲の補助スコア線18が連続して破断し、スコア段差部20の端部の箇所で補助スコア線18の破断が一旦停止する。この時、補助スコア線18の破断により形成された開口部から容器内圧が開放され、比較的小音量の内圧開放音が発生する。そこからさらに、タブ7を持ち上げると、スコア段差部20が破断すると共に、環状スコア線9が、第一種の挺子作用により初期破断する。尚、環状スコア線9が初期破断する前に、すでに内圧は開放され終わっているので、環状スコア線9の初期破断時には、内圧開放音は発生しない。その後、タブ7を上方に引き上げると、環状スコア線9が周方向に剪断されていき、缶蓋が開口される。
【0027】
このような本発明に係る開口容易缶蓋によれば、リベット部8の中心と開口用タブ7の先端とを通る直線を直線Xとしたとき、補助スコア線18のうち、直線Xと交差する箇所から、直線Xと直交する方向に1〜6mm離れた範囲に、直線Xと交差する箇所の補助スコア線18の残厚よりも、残厚の厚いスコア段差部20が形成されていることにより、タブ7を持ち上げて補助スコア線18が破断される際に、残厚の厚いスコア段差部20が抵抗となり、一旦、スコア段差部20の手前で補助スコア線18の破断が停止又は破断速度が低下させられるため、補助スコア線18の全範囲が破断する前に、破断開口した狭い範囲から内圧を開放することができ、そのため、内圧開放時の音の発生を抑制することができる。
【0028】
すなわち、スコア段差部20の位置が、補助スコア線18が直線Xと交差する箇所から直線Xと直交する方向に1mm離れた位置よりも近い場合、補助スコア線18の破断始点Pとスコア段差部20の位置とが近すぎて、補助スコア線18の初期破断に必要な力が大きくなり、開蓋性が悪くなる虞がある。一方、スコア段差部20の位置が、補助スコア線18と直線Xとが交差する箇所から直線Xと直交する方向に6mm離れた位置よりも遠い場合、補助スコア線18の破断時に、補助スコア線18の破断がスコア段差部20に到達する前に、補助スコア線18の開口領域が広くなり、補助スコア線18からの内圧開放音が大きくなったり、補助スコア線18の破断から環状スコア線9の初期破断までが一気に生じ、補助スコア線18と環状スコア線9との両方の開口箇所から内圧が開放されて、非常に大きな内圧開放音が生じたりする虞がある。
【0029】
また、スコア段差部20の残厚が、直線Xと交差する箇所の補助スコア線18の残厚よりも50〜100μm厚いことにより、補助スコア線18の破断の進行をスコア段差部20の箇所で確実に一旦停止させることができるため、補助スコア線18の初期段階の破断による開口範囲を狭くすることができ、その結果、確実に内圧開放時の音の発生を抑制することができる。
【0030】
すなわち、スコア段差部20の残厚と、直線Xと交差する箇所の補助スコア線18の残厚との差が、50μmよりも小さいと、スコア段差部20による補助スコア線18の破断の停止が十分に行われない虞があり、一方、100μmよりも厚いと、スコア段差部20の残厚が厚すぎて開蓋性が低下する虞がある。
【0031】
さらに、補助スコア線18の縦断面形状が、第1の凹部18a,20aと、該第1の凹部18a,20aの底面に形成され、第1の凹部18a,20aの底面よりも深く、且つ、幅が狭い底面を有する第2の凹部18b,20bとを有するように形成されていることにより、補助スコア線18の成形時の応力を、開蓋時に破断する第2の凹部18b,20bよりも底面の幅の広い第1の凹部18a,20aの成形により分散することで応力集中を防止もしくは緩和することができるため、成形応力による補助スコア線18のくびれや損傷の発生による強度の低下を防止でき、その結果、スコア段差部20による補助スコア線18の破断の進行を停止する効果を十分に生じさせることができる。
【符号の説明】
【0032】
1…開口容易缶蓋、 2…パネル部、 2A…開口片、 7…タブ、 8…リベット部、 9…環状スコア線、 17…凸部、 18…補助スコア線、 19…副スコア線、 P…破断始点、 20…スコア段差部、 18a,20a…第1の凹部、 18b,20b…第2の凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に缶胴固着用のフランジ部が一体成形されているパネル部と、前記パネル部の周辺部に形成されたスコア線によって区画された開口片と、前記開口片の周辺部に形成されたリベット部に固着された開口用タブと、前記リベット部の周囲のうち前記パネル部中央側の部分を囲むように形成され、前記開口用タブの持ち上げ時に破断する補助スコア線とを有する開口容易缶蓋において、
前記リベット部の中心と前記開口用タブの先端とを通る直線を直線Xとしたとき、前記補助スコア線のうち、前記直線Xと交差する箇所から、前記直線Xと直交する方向に1〜6mm離れた範囲に、前記直線Xと交差する箇所の前記補助スコア線の残厚よりも、残厚の厚いスコア段差部が形成されていることを特徴とする開口容易缶蓋。
【請求項2】
前記スコア段差部の残厚が、前記直線Xと交差する箇所の補助スコア線の残厚よりも50〜100μm厚いことを特徴とする請求項1に記載の開口容易缶蓋。
【請求項3】
前記補助スコア線の縦断面形状が、第1の凹部と、前記第1の凹部の底面に形成され、前記第1の凹部の底面よりも深く、且つ、幅が狭い底面を有する第2の凹部とを有するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の開口容易缶蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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