説明

開口部開口方法、壁構造体組立方法、及び壁構造体組立装置

【課題】一の目的は、確実でしかも効率のよい開口部の加工を行うことができる開口部開口方法の提供にあり、他の目的は、安定した釘打ち作業を行うことが可能な壁構造体組立方法の提供にあり、別の目的は、壁構造体の安定した組立が可能な壁構造体組立装置の提供にある。
【解決手段】パネル体3の開口部10を形成すべき位置内において、平板体2の合わせ面2a、2bに直交する方向であるX方向に沿ってマーキング線20を記入する。平板体2の合わせ面2a、2bと平行方向であるY方向に沿って照射されるレーザー光Sとマーキング線20との交点を、開口工具16の開口加工開始点Oとする。開口加工開始点Oから開口工具16による開口部10の開口加工を行う。開口加工終了後に、釘打ちラインに沿ってレーザー光Sを照射して、レーザー光Sの照射方向に沿った釘打ちピッチを決定する。釘打ちラインにおいて決定した釘打ちピッチで順次釘打工具17、18にて釘打ちを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部開口方法、壁構造体組立方法、及び壁構造体組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等のツーバイフォー工法建築に用いられる壁パネル(壁構造体)は、縦枠と上下枠とからなる枠組体と、構造用面材としての合板とを備えたものである。そして、枠組体に釘打ちにて合板が結合される。また、合板の所要部位には、窓部を構成するために、開口部を形成される。
【0003】
ところが、釘打ちする場合、合板側から釘を枠組体に打つ必要がある。しかしながら、合板側から枠組体が見えない。そこで、従来においては、合板に対して適正な位置(枠組体の縦枠又は上下枠が有る位置)に釘を打ち込むための合板パネル用釘打装置が提案されている(特許文献1)。
【0004】
すなわち、特許文献1に記載のものは、打ち込むべきパネル部分があることを検出するセンサ装置と、このセンサ装置の検出信号を受けて釘打機の打込動作を制御する手段とを備えたものである。
【0005】
この場合のセンサ装置は、少なくとも2つのセンサ素子が付設された板部材を備え、一方のセンサ素子がパネル部分のないことを検出し、他方のセンサ素子がパネル部分のあることを検出するものである。
【0006】
また、従来には、パネル材への釘打位置マーキング装置がある(特許文献2)。この釘打位置マーキング装置によるマーキング方法は、パネル材での釘打ち位置および釘の必要本数等の釘打ち配置パターンを、この建築物のCAD情報(コンピュータ支援設計)情報から計算するものである。このように計算した計算値に基づいて、釘打ち位置をマーキングするものである。
【0007】
ところで、開口部形成には、特許文献3に記載のようなビットを有するルータが使用される。この場合、ガイドレールに沿って走行する支持フレームにルータが付設されたものであり、このルータのビットの位置決めがなされた後、開口部の開口作業が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−50405号公報
【特許文献2】特開2002−46086号公報
【特許文献3】特開平5−50403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献1に記載の合板パネル用釘打装置では、センサ装置と、このセンサ装置の検出信号を受けて釘打機の打込動作を制御する手段とを必要として、装置全体として複雑化してコスト高となっていた。また、前記特許文献2に記載のマーキング装置では、合板上にマーキングするのみであって、釘打ち時において、このマーキング線に沿った釘打ちを行う必要がある。しかしながら、マーキング線に沿った釘打ちを手動にて行うものであって、安定した釘打ち作業を行うことができなかった。
【0010】
特許文献3に記載のルータでは、最初の加工開始点の位置決めを行う必要があり、この位置決めが不安定であって、安定した開口加工ができない。しかも、開口部が複数個有する場合、一つの開口部の加工が終了した後、次の開口部に対する加工開始点の位置決めを行って、開口加工を開始することになる。このため、効率の悪い作業となっていた。
【0011】
本発明は、前記課題に鑑みて、一の目的は、確実でしかも効率のよい開口部の加工を行うことができる開口部開口方法の提供にあり、他の目的は、安定した釘打ち作業を行うことが可能な壁構造体組立方法の提供にあり、別の目的は、壁構造体の安定した組立が可能な壁構造体組立装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の開口部開口方法は、枠体に複数の平板体からなるパネル体を張り合わせてなる壁構造体に、開口部を開口する開口部開口方法であって、パネル体の開口部を形成すべき位置内において、平板体の合わせ面に直交する方向であるX方向に沿ってマーキング線を記入し、平板体の合わせ面と平行方向であるY方向に沿って照射されるレーザー光と前記マーキング線とが交差する交点を、開口工具の開口加工開始点とし、レーザー光とマーキング線とが交差するX方向位置が指示コントローラに記憶され、この指示コントローラの記憶に従って、前記開口工具はX方向位置へ移動した後、Y方向へ移動して前記開口加工開始点まで到達し、その後、この開口加工開始点から前記開口工具による開口部の開口加工を行うものである。
【0013】
本発明の開口部開口方法によれば、マーキング線が平板体の合わせ面に直交する方向に沿ったものであり、レーザー光が平板体の合わせ面と平行方向に沿って照射されるものであるので、レーザー光とマーキング線とをクロスさせることができる。そして、このクロスした交点を開口加工開始点とすることができる。また、マーキング線は作業者が記入することができ、マーキングのための機構(装置)を必要とすることなく、開口部を形成すべき位置内においてマーキングすることができる。指示コントローラにて記憶された、レーザー光とマーキング線とが交差するX方向位置まで開口工具を移動させることができ、かつ、X方向位置に移動した開口工具は、Y方向に移動して開口加工開始点まで到達することになる。このため、開口工具は安定して開口加工開始点に到達することができる。そして、開口工具が開口加工開始点に到達すれば、前記開口工具による開口部の開口加工が開始され、開口部が形成される。
【0014】
指示コントローラには前記レーザー光の照射口が設けられるとともに、この指示コントローラは、照射口から照射されたレーザー光が前記マーキング線と交差する位置にX方向への手動で移動するようにするのが好ましい。これによって、レーザー光がマーキング線と交差する位置に簡単に移動させることができる。
【0015】
前記開口工具は、センサにてマーキング線を検出するまでY方向に移動して開口加工開始点に到達するようにできる。
【0016】
前記開口部は矩形状であって、前記枠体が、この開口部に対応して、第1辺と第2辺と第3辺と第4辺との矩形状の枠体開口部を有し、前記開口工具は開口加工開始点から、まず、平板体の合わせ面に直交する方向又は平板体の合わせ面と平行方向のいずれかの方向に沿って移動して、前記枠体の第1辺までパネル体を切断した後、切断方向を変更してこの第1辺に沿う方向に沿って、前記枠体の第2辺までパネル体を切断し、次に、切断方向を変更してこの第2辺に沿う方向に沿って、前記枠体の第3辺までパネル体を切断した後、切断方向を変更してこの第3辺に沿う方向に沿って、前記枠体の第4辺までパネル体を切断し、その後、切断方向を変更してこの第4辺に沿う方向に沿って、前記枠体の第1辺までパネル体を切断した後、切断方向を変更して前記枠体の第1辺に沿ってパネル体を切断していくようにできる。
【0017】
これによって、第1辺と第2辺と第3辺と第4辺との矩形状の枠体開口部に沿った開口部を形成することができる。
【0018】
壁構造体が複数の開口部を有する場合、全開口部に対するそれぞれのX方向位置の指示コントローラへの記憶作業を終了した後に、全開口部の開口加工を行うことになる。
【0019】
本発明の第1の壁構造体組立方法は、枠体に複数の平板体からなるパネル体を釘打ちにて張り合わせる壁構造体組立方法であって、釘打ちラインに沿ってレーザー光を照射して、そのレーザー光の照射方向に沿った釘打ちピッチを決定した後、釘打ちラインおよび釘打ちピッチが指示コントローラに記憶され、この指示コントローラの記憶に従って、前記釘打ちラインにおいて前記決定した釘打ちピッチで順次釘打工具にて釘打ちを行うものである。
【0020】
本発明の第1の壁構造体組立方法枠体によれば、指示コントローラに記憶された打ちラインおよび釘打ちピッチによって、釘打ちすることができる。このため、パネル体に対して枠体が対応する部位に安定して釘打ちすることができる。
【0021】
指示コントローラには前記レーザー光の照射口が設けられるとともに、この指示コントローラは、前記釘打ちライン上へのレーザー光の照射が可能位置に、平板体の合わせ面に直交する方向であるX方向への手動で移動するのが好ましい。
【0022】
また、平板体の合わせ面に沿った方向であるY方向に1列での釘打ちであっても、Y方向に2列での釘打ちであってもよい。
【0023】
本発明の第2の壁構造体組立方法は、枠体に複数の平板体からなるパネル体を釘打ちにて張り合わせてなるとともに、開口部が開設された壁構造体を組み立てる壁構造体組立方法であって、パネル体の開口部を形成すべき位置内において、平板体の合わせ面に直交する方向であるX方向に沿ってマーキング線を記入し、平板体の合わせ面と平行方向であるY方向に沿って照射されるレーザー光と前記マーキング線との交点を、開口工具の開口加工開始点として、この開口加工開始点から前記開口工具による開口部の開口加工を行い、開口加工終了後に、釘打ちラインに沿ってレーザー光を照射して、そのレーザー光の照射方向に沿った釘打ちピッチを決定した後、この釘打ちラインにおいて前記決定した釘打ちピッチで順次釘打工具にて釘打ちを行うものである。
【0024】
本発明の第2の壁構造体組立方法によれば、開口工具による開口部の開口加工が開始され、開口部が形成された後、釘打ちラインにおいて前記決定した釘打ちピッチで順次釘打工具にて釘打ちを行うことになる。このため、開口部の開口と釘打ちとを順次行うことができる。
【0025】
壁構造体が複数の開口部を有する場合、全開口部に対するそれぞれのX方向位置の指示コントローラへの記憶作業を終了した後に、全開口部の開口加工を行い、次に釘打工具による釘打ちを行うことになる。
【0026】
本発明の壁構造体組立装置は、枠体に複数の平板体からなるパネル体を釘打ちにて張り合わせてなる壁構造体を形成する壁構造体組立装置であって、パネル体の開口部を形成する開口工具と、釘打ちしてパネル体を枠体に取り付ける釘打工具と、開口工具と釘打工具とを平板体の合わせ面と平行方向であるY方向に沿っての移動を可能として支持する工具支持体と、工具支持体を平板体の合わせ面と直交する方向であるX方向に移動させて、開口工具と釘打工具とをX方向に移動させる移動機構と、工具支持体のX方向の移動量と、釘打工具の釘打ライン上のY方向に沿った釘打ちピッチとが予め教示されて、工具支持体にその移動量をもって移動するように指示するとともに、釘打工具に釘打ちライン上の釘打ちピッチをもって移動するように指示し、かつ、X方向への手動による移動が可能とされる指示コントローラと、前記指示コントローラに付設されて、X方向に沿って記入されたマーキング線と交差してその交点を開口加工開始点とするとともに、釘打ちライン位置を決定するガイド用のレーザー光を前記Y方向に沿って照射するレーザー照射手段とを備えたものである。
【0027】
本発明の壁構造体組立装置によれば、指示コントローラに、工具支持体のX方向の移動量と、釘打工具の釘打ライン上のY方向に沿った釘打ちピッチとが予め教示されているので、工具支持体に支持されている開口工具及び釘打工具はX方向に所定量だけ移動する。また、レーザー照射手段が、手動によるX方向への移動が可能とされた指示コントローラに付設されているので、指示コントローラを移動させることによって、レーザー照射手段からのレーザー光を、X方向に沿って記入されたマーキング線と交差させたり、釘打ちライン上に照射させたりできる。そして、このレーザー光とマーキング線との交点が開口加工開始点となる。
【0028】
このため、この壁構造体組立装置によれば、開口工具を開口加工開始点に位置させることができ、この開口加工開始点から開口部の加工を開始することができる。また、予め教示された釘打ちピッチで、その釘打上において釘打ちを行うことができる。すなわち、本壁構造体組立装置を用いれば、前記壁構造体組立方法を実行することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の開口部開口方法では、開口工具は安定して開口加工開始点に到達することができる。そして、開口工具が開口加工開始点に到達すれば、前記開口工具による開口部の開口加工が開始され、開口部が形成される。このため、開口部の加工作業性の向上を図ることができる。
【0030】
指示コントローラをレーザー光がマーキング線と交差する位置に簡単に移動させることができ、開口工具のX方向の移動量の決定が容易に行うことができる。また、開口工具は、マーキング線を検出することによって、開口加工開始点に到達するまでY方向に移動させることができ、開口加工開始点からの開口工具による開口部加工が安定する。特に、指示コントローラを手動にて移動させるものであるので、全自動で制御する場合に比べてコスト低減を図ることができ、また、指示コントローラに対して開口工具のX方向の移動量を決定するものであるので、この移動量の変更を容易に行うことができ、種々のタイプの壁構造体に対応して開口部の開口加工を行うことができる。
【0031】
矩形状の枠体開口部の第1辺、第2辺、第3辺、第4辺に沿って順次切断するものでは、矩形状の枠体開口部に沿った開口部を形成することができ、開口部の形成精度の向上を図ることができる。
【0032】
壁構造体が複数の開口部を有する場合には、全開口部に対するX方向位置の指示コントローラへの記憶作業を終了した後に、全開口部の開口加工を行うことになり、能率の良い加工を行うことができる。すなわち、開口部毎に記憶作業(教示)を行って開口加工を行う場合、最初の開口加工を行った後、この加工を停止して、再度記憶作業を行い、この再度記憶作業後に再度開口加工を行う必要があり、切り替えのスイッチイング操作等のために作業時間の拡大を招くことになる。これに対して、全開口部の記憶作業を終了した後に全開口部の開口加工を行う場合、開口加工を連続的に行うことができ、切り替えのスイッチイング操作等を無くすことができ、作業時間の短縮を図ることができる。
【0033】
本発明の第1の壁構造体組立方法は、パネル体に対して枠体が対応する部位に安定して釘打ちすることができ、高品質の壁構造体を構成することができる。また、Y方向に1列での釘打ちであっても、Y方向に2列での釘打ちであってもよい。このため、合わせ面が枠体の縦枠等に対応した場合には、2列打ちを行って、この合わせ面近傍において2枚の平板体に釘打ちを行うことができ、合わせ面以外が枠体の縦枠等に対応した場合には、1列打ちを行って、一枚の平板体に釘打ちを行うことができ、組立る壁構造体に対して効率よい釘打ちを行うことができ、安定した壁構造体を構成することができる。
【0034】
特に、指示コントローラを手動にて移動させるものであるので、全自動で制御する場合に比べてコスト低減を図ることができ、また、指示コントローラに対して釘打ちラインと釘打ちピッチとを決定するものであるので、これら変更を容易に行うことができ、種々のタイプの壁構造体に対応して釘打ちを行うことができる。
【0035】
本発明の第2の壁構造体組立方法では、開口部の開口加工後に釘打ちを行うことができ、生産性に優れる。しかも、開口加工中に、釘打工具の釘打ライン上のY方向に沿った釘打ちピッチ等の教示(指示コントローラへの記憶作業)を行うことができ、大幅な作業効率の向上を図ることができる。
【0036】
本発明の壁構造体組立装置では、前記各壁構造体組立方法を実行することができ、高品質の壁構造体を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の壁構造体組立装置の簡略平面図である。
【図2】前記壁構造体組立装置の指示コントローラを示す簡略図である。
【図3】開口部の位置決め方法を示す簡略平面図である。
【図4】開口部の開口加工を示す簡略平面図である。
【図5】開口部の簡略図である。
【図6】枠体の縦枠を示し、(a)はシングル打ちの釘打ちラインの簡略図であり、(b)はダブル打ちの釘打ちラインの簡略図である。
【図7】開口部の開口加工工程を示すフローチャート図である。
【図8】釘打ち工程を示すフローチャート図である。
【図9】本発明の壁構造体組立方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。
【0039】
図1は本発明にかかる壁構造体組立装置の簡略平面図を示し、この壁構造体組立装置は、枠体1に複数の平板体2からなるパネル体3を釘打ちにて張り合わせてなるとともに、開口部10(図5等参照)が開設された壁構造体5を組み立てるものである。枠体1は、横枠としての上枠6と、横枠としての下枠7と、縦枠8と、窓部(開口部)10の窓枠を構成する矩形枠11と備える。また、平板体2は、例えば木質ボードの一種である配向性ストランドボード(OSB;Oriented Strand Board)やベニアコアー合板等の合板を用いることができる。また、枠体1は木材からなる。矩形枠11は、第1辺11aと第2辺11bと第3辺11cと第4辺11dとの矩形状の枠体開口部19を有する。枠体開口部19は枠体1に対して1個に限るものではなく、複数個あってもよい。このように、枠体開口部19が複数個あれば、開口部10がそれに対応して複数個有することになる。
【0040】
この場合、枠体1が一対の公知公用のチェーンコンベアー等のコンベアー12A、12Bからなる搬送装置13上に載置され、搬送装置13によってこの枠体1が矢印X方向に搬送される。また、各平板体2は長辺側が相対面するように、枠体1上に載置される。すなわち、平板体2の一方の長辺が、この平板体2に相隣位する平板体2の他方の長辺である合わせ面2bに対向する合わせ面2aとなる。
【0041】
また、搬送装置13のコンベアー12A、12Bに沿って走行する工具支持体15がコンベアー12A、12Bの長手方向に直交する方向に沿って設けられ、この工具支持体15に、開口部10の開口加工を行う開口工具16と、一対の釘打工具(釘打機)17、18とが支持されている。工具支持体15は、図示省略のリニアガイド機構等の移動機構によって、前記矢印X方向に沿って往復動する。この場合、後述する指示コントローラにて指示された移動量をもって往復動する。開口工具16はこの種の壁構造体の開口部の開口加工に用いる既存のルータを用いることができ、釘打工具(釘打機)17、18もこの種の壁構造体に用いられる既存の釘打機を用いることができる。なお、この実施形態において、17の釘打機を左側の釘打機と呼び、18の釘打機を右側の釘打機と呼ぶ。
【0042】
開口工具16は、図示省略のモータ等の駆動手段でもって、工具支持体15の長手方向(平板体2の合わせ面2a、2bに沿った方向であるY方向)に沿って往復動する。開口工具16は、図示省略のモータ等の駆動手段によって回転駆動するビット(図示省略)を備える。このビットの回転によって、複数の平板体2からなるパネル体3に対して孔を開けることができるとともに、このビットを移動させることによって、その移動方向に沿ってパネル体3を切断していくことができる。
【0043】
また、この開口工具16には、後述するように、パネル体3に記入されたマーキング線20を検出するセンサが付設されている。この場合、ルミネスセンサが用いられる。ここで、ルミネスセンサとは蛍光物質や蛍光マークなどの検出を行うセンサであり、UV(紫外光)を投光し、可視光のみ検出する受光部により、対象物の蛍光反応(ルミネッセンス)を検出するものである。なお、開口工具16は、ブラシ材等からなるフード部材にて包囲するようにするのが好ましい。すなわち、フード部材によって、開口工具16にて加工する際に生じる切り屑等の飛散を防止できる。
【0044】
釘打工具(釘打機)17、18は、図示省略のモータ等の駆動手段でもって、工具支持体15の長手方向(平板体2の合わせ面2a、2bに沿った方向であるY方向)に沿ってそれぞれ往復動する。また、釘打機17と釘打機18とは、前記X方向に沿って所定寸(例えば、19mm程度)だけ離間している。
【0045】
そして、この壁構造体組立装置には、手動にて矢印X方向に往復動する指示コントローラ21を備える。この場合、搬送装置13の図1の図面における手前のコンベアー12B側において、指示コントローラ21が矢印X方向に往復動することになる。なお、この往復動機構は、例えば、ねじ軸機構を用いることができ、ハンドルを操作(回転)させることによって、指示コントローラ21が矢印X方向に往復動する。
【0046】
指示コントローラ21には、ガイド用レーザー光Sを照射するためのレーザー光照射手段25の照射口25aが設けられている。このガイド用レーザー光Sは、Y方向に沿って照射されるものであって、パネル体3の表面に対して、幅方向(Y方向)全体を照射することができる。なお、レーザー光照射手段25は図外のレーザー光源を備え、このレーザー光源で生成したレーザー光を前記照射口25aから照射することになる。
【0047】
指示コントローラ21には、図2等に示すような操作用のパネル(タッチパネル)26が設けられている。このタッチパネル26を操作することによって、この壁構造体5に対する開口部加工のための開口工具16の動作(移動)を教示したり、壁構造体5に対する釘打ちの動作(釘打ライン及び釘打ピッチ)を教示したりすることができる。そして、このように教示することによって、開口工具16及び釘打機17、18が動作することになる。
【0048】
このタッチパネル26では、縦打ちタッチボタン27と、開口タッチボタン28と、開口加工タッチボタン29と、上下枠打タッチボタン30と、左100タッチボタン31と、左200タッチボタン32と、ダブルタッチボタン33と、右100タッチボタン34と、右200タッチボタン35とを備える。
【0049】
縦打ちタッチボタン27を押した場合、Y方向に沿った釘打ちを開始し、上下枠打ちタッチボタン30はX方向に沿った枠体1の上下枠6,7に対して釘打ちを開始することになる。左100タッチボタン31は、左側の釘打機17における釘打ピッチが100mmとするボタンであり、左200タッチボタン32は、左側の釘打機17における釘打ピッチが200mmとするボタンである。右100タッチボタン34は、右側の釘打機18における釘打ピッチが100mmとするボタンであり、右200タッチボタン35は、右側の釘打機18における釘打ピッチが200mmとするボタンである。
【0050】
また、ダブルタッチボタン33は、左右の釘打機17,18を用いた2列打ち(ダブル打ち)を行うための教示開始である。このため、ダブルタッチボタン33を押さなければ、左右のいずれかの釘打機17(18)を用いる1列打ち(シングル打ち)となる。
【0051】
ところで、前記シングル打ちとは、図6(a)に示すように、枠体1の縦枠8のパネル載置面8aの中心線Lに沿って、パネル体3を介して所定のピッチで釘を1列で打つことである。また、前記ダブル打ちとは、図6(b)に示すように、枠体1の縦枠8のパネル載置面8aの中心線Lと、側辺8b、8cとの中間線L1、L2に沿ってパネル体3を介して所定のピッチで釘を2列で打つことである。なお、ダブル打ちを行う場合、パネル載置面8aの中心線Lに相隣位する平板体2の合わせ面2a、2bが対応することになる。このため、一方(右側の釘打機18)によって、右側の平板体2の合わせ面2a側を釘打ちし、他方(左側の釘打機17)によって、左側の平板体2の合わせ面2b側を釘打ちすることになる。
【0052】
次に前記のように構成された壁構造体組立装置を用いた壁構造体組立方法を、図7から図9のフローチャート図等を用いて説明する。まず、準備工程として、搬送装置13上に、枠体1とこの枠体1上に載置される平板体2からなるパネル体3を載置する(図3等参照)。この際、枠体1と平板体2とは接着剤等で仮止めしておく。その後、開口部10を形成する部位(開口部予定範囲)40(図3等参照)に、作業者がマーキング線20を引く(記入する)(図7のステップS1)。
【0053】
マーキング線20は、前記した開口工具16のルミネスセンサが検知することができる蛍光マーク(例えば、蛍光クレヨン等で記入したマーク)である。また、マーキング線20は、開口部予定範囲40内において、X方向に沿って記入することになる。この際、作業者が線引きを行うので、正確なX方向に沿ったマーキングでなくてもよい。
【0054】
その後、ステップS2に示すように、指示コントローラ21を手動してX方向に走行させて移動させる。そして、この指示コントローラ21の照射口25から照射されているレーザー光Sが、開口部予定範囲40内においてマーキング線20とクロス(交差)する位置で停止して、レーザー光Sとマーキング線20とを交差させる(ステップS3)。次に、タッチパネル26の開口タッチボタン28を押すことによって、このレーザー光SのX方向位置が指示コントローラ21に記憶(教示)される(ステップS4)。この位置で指示コントローラ21をロック状態(移動できない状態)とする。
【0055】
その後は、ステップS5へ移行して、開口部形成のための教示(ティーチング)が終了したか否かが判断される。すなわち、ステップS5でNOであれば、開口加工すべき開口部10を他にも有することであり、ステップS5でYESであれば、開口加工すべき開口部10が他に無いことである。
【0056】
このため、ステップS5でNOであれば、ステップS1に戻り、他の開口加工すべき開口部10のための教示(ティーチング)が行われる。なお、複数個の開口部を有する場合、マーキング線20の記入は、当初に全ての開口部予定範囲40に行っておく。また、ステップS5でYESであれば、開口加工すべき開口部10が他に無いので、ステップS6へ移行して、レーザー光Sとマーキング線20との交点Oからの開口部10の加工が開始される。すなわち、タッチパネル26の開口加工タッチボタン29を押す。
【0057】
開口工具16による加工は、教示(ティーチング)にしたがって行われる。この場合、開口工具16は、図1の仮想線で示す位置である原点に位置する。この原点は工具支持体15が図1の図面における右側端に位置し、かつ開口工具16がコンベアー12B側端に位置した点である。このため、複数の開口部10を有する場合、原点位置に近い開口部10からティーチングが行われる。
【0058】
まず、工具支持体15は図4に示すように、矢印X1方向に、レーザー線Sが照射されたX方向位置まで走行する。その後、開口工具16がこの工具支持体15の長手方向(Y1方向)に沿って移動していく。この際、開口工具16には前記したようにセンサが設けられており、このセンサにてマーキング線20を検知(検出)することになる。そして、この検出によって、開口工具16のY1方向の移動が停止する。この際、開口工具16のビットが、レーザー光Sとマーキング線20との交点O上に位置することになる。
【0059】
このように、開口工具16のビットが、レーザー光Sとマーキング線20との交点O上に位置すれば、開口工具16が下降して、ビットにて交点Oに加工開始孔を形成する。その後は、開口工具16のビットが図5の矢印のように移動して、開口部10を形成することができる。
【0060】
すなわち、ビットにて交点Oに加工開始孔を形成した後、工具支持体15が矢印Xa方向に移動して、この移動にともなって矢印Xaに沿った切断線41を形成する。ビットが矩形枠11の第1辺11aまで切断すれば、方向変換して矢印Yaに沿って(第1辺11aに沿って)切断線42を成形する。また、ビットが第2辺11bまで切断すれば(第1辺11aと第2辺11bとのコーナ部に達すれば)、方向変換して矢印Xbに沿って(第2辺11bに沿って)切断線43を成形する。ビットが第3辺11cまで切断すれば(第2辺11bと第3辺11cとのコーナ部に達すれば)、方向変換して矢印Ybに沿って(第3辺11cに沿って)切断線44を成形する。ビットが第4辺11dまで切断すれば(第3辺11cと第4辺11dとのコーナ部に達すれば)、方向変換して矢印Xcに沿って(第4辺11dに沿って)切断線45を成形する。ビットが第1辺11aまで切断すれば(第4辺11dと第1辺11aとのコーナ部に達すれば)、方向変換して矢印Ycに沿って(第1辺11aに沿って)切断線46を成形する。これによって、開口部10を打ち抜くことができる。なお、開口部10が形成された場合のパネル体の打ち抜き体及び切り屑等は下方へ落下し、図示省略の回収コンベアー等に回収され装置外へ搬出される。
【0061】
移動していたビットが、辺11a(11b)(11c)(11d)に突き当たれば、このビットに辺11a(11b)(11c)(11d)からの反力荷重を受けることになる。このため、このような反力荷重を受ければ、前記したように方向変換するように構成される。なお、矢印Xa、Xb、Xc方向のビット、つまり開口工具16の移動は工具支持体15のX方向の移動にて行い、矢印Ya、Yb、Yc方向の開口工具16の移動は工具支持体15に対する開口工具16自体のY方向の移動にて行うことになる。
【0062】
このような開口部10の全ての加工が終了するまで行う。すなわち、ステップS7で全ての開口部の加工が終了したか否かを判断する。終了していれば、開口部10の加工作業を終了し、終了していなければ、開口部10の全ての加工が終了するまで行う。
【0063】
次に釘打ちについて図8を用いて説明する。この場合も、釘打ちの教示(ティーチング)が行われる。すなわち、釘打ちを行う釘打ちライン上にレーザー光Sが照射されるように、指示コントローラ21を手動にて移動させる(ステップS8、ステップS9)。
【0064】
そして、釘打ちライン上にレーザー光Sが合えば、指示コントローラ21をロック状態として、タッチパネル26のボタンを押して、この釘打ちライン上の釘打ちピッチを教示する。すなわち、シングル打ちで、左の釘打機17を用いる場合には、左100タッチボタン31又は左200タッチボタン31を押す。シングル打ちで、右の釘打機18を用いる場合には、右100タッチボタン34又は右200タッチボタン35を押す。また、ダブル打ちであれば、ダブルタッチボタン33を押して、左100タッチボタン31又は左200タッチボタン31と、右100タッチボタン34又は右200タッチボタン35とを押す。これによって、釘打ちライン上の釘打ちピッチが決定され(ステップS10)、ステップS11のように、この指示コントローラ21に釘打ちライン上の釘打ちピッチが記憶(教示)される。
【0065】
その後は、次の釘打ちラインにおける釘打ちピッチの教示が行われることになる。このため、ステップS12でこの釘打ちピッチの教示(ティーチング)が終了か否かが判断される。終了でなければ、ステップS8に戻って、前記したような工程でもって次の釘打ちピッチの教示がなされる。また、釘打ちピッチの教示が終了であれば、ステップS13へ移行して釘打ちが開始される。
【0066】
この釘打ちは、教示(ティーチング)にしたがって行われる。すなわち、シングル打ちの場合、右の釘打機18か左の釘打機17がティーチングされた釘打ちライン上に対応するように、工具支持体15がX方向に沿って移動する。この場合、用いる釘打機17(18)が、パネル体3のいずれか一方の側辺3a(3b)側に位置して、この一方の側辺3a(3b)から反対の他方の側辺3b(3a)側へ教示されたピッチ毎に移動して釘打ちを行うことになる。
【0067】
また、ダブル打ちの場合、パネル体3のいずれか一方の側辺3a(3b)側に両釘打機17,18が位置した状態から、各両釘打機17,18によって、教示されたピッチ毎に移動して釘打ちを行うことになる。
【0068】
このような釘打ちが開始された後は、ステップS14に移行して、全ての釘打ちライン上の釘打ちが終了したか否かが判断される。このため、全ての釘打ちライン上の釘打ちが終了するまで、釘打ちが行われる。
【0069】
このため、図例のように、8A、8B、8C、8D、8E、8F、8Gの7本の縦枠を有する場合、全縦枠に対応して釘打ちを行うことができる。この場合、8Cの縦枠、8Eの縦枠は、平板体2の合わせ面2a、2bに対応するものであるので、これらの縦枠8C、8Eに対しては、ダブル打ちが施されることになり、他の縦枠8A、8B、8D、8F、8Gに対しては、シングル打ちが施されることになる。
【0070】
なお、縦枠8に対する釘打ちが終了すれば、上枠6と下枠7とに対して釘打ちが行われる。この場合、指示コントローラ21に上下枠打タッチボタン30を有することによって、上枠6と下枠7とに対する釘打機17、18の釘打ちが行われる。
【0071】
ところで、この壁構造体組立装置では、全ての開口部10の開口作業が終了した後、釘打ち作業が行われることになり、図9に示すような工程の組立工程が行われことになる。すなわち、開口部加工用のティーチングが行われる(ステップS15)。そして、ステップS16へ移行して、全てのティーチング(開口部加工用ティーチング)が終了したか否か判断される。ステップS16で全てのティーチングが終了していれば、ステップS17へ移行し、ステップS16で全てのティーチングが終了していなければ、全てのティーチングが終了するまで行う。
【0072】
全てのティーチングが終了すれば、ステップS17へ移行して開口部10の加工が開始される。開口部10の加工が開始されれば、ステップS18へ移行して、全ての開口部10の加工が終了したかが判断され、全ての開口部10の加工が終了するまで行われる。全ての開口部10の加工が終了していれば、ステップS19へ移行して、釘打ち用のティーチングが開始される。
【0073】
そして、ステップS20へ移行して、全てのティーチング(釘打ち用のティーチング)が終了したか否か判断される。ステップS20で全てのティーチングが終了していれば、ステップS21へ移行し、ステップS20で全てのティーチングが終了していなければ、全てのティーチングが終了するまで行う。
【0074】
全てのティーチングが終了すれば、ステップS21へ移行して釘打ちが開始される。釘打ちが開始されれば、ステップS22へ移行して、全ての釘打ちが終了したかが判断され、全ての釘打ちが終了するまで行われる。
【0075】
本発明の開口部開口方法では、マーキング線20が平板体2の合わせ面2a、2bに直交する方向に沿ったものであり、レーザー光Sが平板体2の合わせ面2a、2bと平行方向に沿って照射されるものであるので、レーザー光Sとマーキング線20とをクロスさせることができる。そして、このクロスした交点を開口加工開始点Oとすることができる。また、マーキング線20は作業者が記入することができ、マーキングのための機構(装置)を必要とすることなく、開口部10を形成すべき位置内においてマーキングすることができる。指示コントローラ21にて記憶された、レーザー光Sとマーキング線20とが交差するX方向位置まで開口工具16を移動させることができ、かつ、X方向位置に移動した開口工具16は、Y方向に移動して開口加工開始点Oまで到達することになる。このため、開口工具16は安定して開口加工開始点Oに到達することができる。そして、開口工具16が開口加工開始点Oに到達すれば、開口工具16による開口部10の開口加工が開始され、開口部10が形成される。このため、開口部10の加工作業性の向上を図ることができる。
【0076】
指示コントローラ21をレーザー光Sがマーキング線20と交差する位置に簡単に移動させることができ、開口工具16のX方向の移動量の決定が容易に行うことができる。また、開口工具16は、マーキング線20を検出することによって、開口加工開始点Oに到達するまでY方向に移動させこることができ、開口加工開始点Oから開口工具16による開口部加工が安定する。特に、指示コントローラ21を手動にて移動させるものであるので、全自動で制御する場合に比べてコスト低減を図ることができ、また、指示コントローラ21に対して開口工具16のX方向の移動量を決定するものであるので、この移動量の変更を容易に行うことができ、種々のタイプの壁構造体5に対応して開口部10の開口加工を行うことができる。
【0077】
開口加工具15では、矩形状の枠体開口部11の第1辺11a、第2辺11b、第3辺11c、第4辺11dに沿って順次切断することになり、矩形状の枠体開口部11に沿った開口部10を形成することができ、開口部10の形成精度の向上を図ることができる。
【0078】
壁構造体5が複数の開口部10を有する場合には、全開口部10に対するX方向位置の指示コントローラ21への記憶作業を終了した後に、全開口部10の開口加工を行うことになり、能率の良い加工を行うことができる。すなわち、開口部10毎に記憶作業(教示)を行って開口加工を行う場合、最初の開口加工を行った後、この加工を停止して、再度記憶作業を行い、この再度記憶作業後に再度開口加工を行う必要があり、切り替えのスイッチイング操作等のために作業時間の拡大を招くことになる。これに対して、全開口部10の記憶作業を終了した後に全開口部の開口加工を行う場合、開口加工を連続的に行うことができ、切り替えのスイッチイング操作等を無くすことができ、作業時間の短縮を図ることができる。
【0079】
釘打ちライン上への釘打ちは、指示コントローラ21に記憶された打ちラインおよび釘打ちピッチによって、釘打ちすることができる。このため、パネル体3に対して枠体1が対応する部位に安定して釘打ちすることができる。
【0080】
しかも、パネル体3に対して枠体1が対応する部位に安定して釘打ちすることができ、高品質の壁構造体5を構成することができる。また、Y方向に1列での釘打ちであっても、Y方向に2列での釘打ちであってもよい。このため、合わせ面2a、2bが枠体1の縦枠等に対応した場合には、2列打ちを行って、この合わせ面2a、2b近傍において2枚の平板体2に釘打ちを行うことができ、合わせ面2a、2b以外が枠体1の縦枠等に対応した場合には、1列打ちを行って、一枚の平板体2に釘打ちを行うことができ、組立る壁構造体5に対して効率よい釘打ちを行うことができ、安定した壁構造体5を構成することができる。
【0081】
特に、指示コントローラ21を手動にて移動させるものであるので、全自動で制御する場合に比べてコスト低減を図ることができ、また、指示コントローラ21に対して釘打ちラインと釘打ちピッチとを決定するものであるので、これら変更を容易に行うことができ、種々のタイプの壁構造体5に対応して釘打ちを行うことができる。
【0082】
本発明の壁構造体組立方法では、開口部10の開口加工後に釘打ち行うことができ、生産性に優れる。しかも、開口加工中に、釘打工具17,18の釘打ライン上のY方向に沿った釘打ちピッチ等の教示(指示コントローラへの記憶作業)を行うことができ、大幅な作業効率の向上を図ることができる。
【0083】
このように、本発明の壁構造体組立装置では、前記各壁構造体組立方法を実行することができ、高品質の壁構造体を構成することができる。
【0084】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、枠体1の縦枠の配置ピッチとしては、任意に変更でき、パネル体3を構成する平板体の数も任意に設定できる。このため、釘打ちライン、釘打ちピッチ等も任意に変更でき、シングル打ちとダブル打ちの数は種々変更できる。
【0085】
また、本発明における装置としては、実施形態のように、開口部を形成する工程と、釘打ちを行う工程とが連続して行えるものが好ましいが、開口部を形成する工程のみ本発明にかかる工程で行い、釘打ちは従来の工法で行うものであっても、打ちを行う工程のみが本発明にかかる工程で行い、開口部を形成する工程を従来の工法で行うものであってもよい。
【0086】
開口部10の開口加工工程において、前記実施形態では、図5に示すように、加工開始点Oから、第1辺11a、第2辺11b、第3辺11c、第4辺11dに沿うようにいわゆる時計廻りに切断していたが、反時計廻りに切断するようにしてもよい。また、加工開始点Oから、第2辺11b等のように他の辺に向かうようにしてもよい。
【0087】
釘打ちを行う場合、いずれか一方の側辺3a(3b)から行うことになるので、例えば、基準位置側の縦枠8Aにおいて、側辺3b側から開始すれば、この縦枠8Aにおける釘打ちは側辺3a側において終了する。このため、作業効率を考慮すれば、この縦枠8Aに隣設する縦枠8Bにおいては、釘打ちを側辺3a側から開始して側辺3b側で終了するようにするのが好ましい。すなわち、いわゆるジグザグ状に釘打ちを行うのが好ましい。しかしながら、本発明においては、このようにジグザク状に釘打ちを行うことなく、全ての縦枠8において、いずれか一方の側辺3a(3b)のみから釘打ちを開始するものであってもよい。また、釘打ちとしては、シングル打ちのみであってもダブル打ちのみであってもよい。シングル打ちのみであれば、釘打機が1機であってもよい。
【0088】
マーキング線20を検出する場合、前記実施形態ではルミネスセンサを使用したが、マーキング線20を検出できればよいので、ルミネスセンサを用いないものであってもよい。例えば、マーキング線20の画像を取り込む画像処理等によってマーキング線20を検出するようにすることも可能である。このような場合、マーキング線20に蛍光マークを使用する必要が無くなる。
【0089】
前記実施形態では、マーキング線20は全ての開口部予定範囲40に記入した後、開口部加工のためのチィーチングを行うようにしていたが、各開口部10に対するチィーチング毎にマーキング線20を記入するものであってもよい。
【0090】
複数個の開口部10が装置長手方向に沿って並んでいる場合に、開口部の加工を、原点位置側(図1の図面上の右側)である装置一端側から反原点側(図1の図面上の左側)である装置他端側に向かって順次行った場合、開口部10の加工が終了した時点では、開口工具16と釘打機17,18が付設されている工具支持体15が、装置他端側に位置していることになる。このため、釘打ちをこの装置他端側の縦枠8から装置一端側の縦枠8に対して行うのが、作業背能率を考慮すれば好ましい。なお、このような場合であっても、釘打ちを、かならず原点位置側(図1の図面上の右側)である装置一端側の縦枠8から始めるようにしてもよい。また、開口部の加工としても、反原点側(図1の図面上の左側)である装置他端側から原点位置側(図1の図面上の右側)である装置一端側に向かって開口部10の加工を行うようにしてもよい。
【0091】
指示コントローラ21の操作用のパネル26は実施形態では、タッチパネルを用いたが、通常の押しボタン式のパネルを用いてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 枠体
2 平板体
2a、2b 合わせ面
3 パネル体
5 壁構造体
10 開口部
11a 第1辺
11b 第2辺
11c 第3辺
11d 第4辺
15 工具支持体
16 開口工具
17,18 釘打機
19 枠体開口部
20 マーキング線
21 指示コントローラ
25 照射口
O 加工開始点
S ガイド用レーザー光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体に複数の平板体からなるパネル体を張り合わせてなる壁構造体に、開口部を開口する開口部開口方法であって、
パネル体の開口部を形成すべき位置内において、平板体の合わせ面に直交する方向であるX方向に沿ってマーキング線を記入し、平板体の合わせ面と平行方向であるY方向に沿って照射されるレーザー光と前記マーキング線とが交差する交点を、開口工具の開口加工開始点とし、レーザー光とマーキング線とが交差するX方向位置が指示コントローラに記憶され、この指示コントローラの記憶に従って、前記開口工具はX方向位置へ移動した後、Y方向へ移動して前記開口加工開始点まで到達し、その後、この開口加工開始点から前記開口工具による開口部の開口加工を行うことを特徴とする開口部開口方法。
【請求項2】
指示コントローラには前記レーザー光の照射口が設けられるとともに、この指示コントローラは、照射口から照射されたレーザー光が前記マーキング線と交差する位置にX方向への手動で移動することを特徴とする請求項1に記載の開口部開口方法。
【請求項3】
前記開口工具は、センサにてマーキング線を検出するまでY方向に移動して開口加工開始点に到達することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の開口部開口方法。
【請求項4】
前記開口部は矩形状であって、前記枠体が、この開口部に対応して、第1辺と第2辺と第3辺と第4辺との矩形状の枠体開口部を有し、前記開口工具は開口加工開始点から、まず、平板体の合わせ面に直交する方向又は平板体の合わせ面と平行方向のいずれかの方向に沿って移動して、前記枠体の第1辺までパネル体を切断した後、切断方向を変更してこの第1辺に沿う方向に沿って、前記枠体の第2辺までパネル体を切断し、次に、切断方向を変更してこの第2辺に沿う方向に沿って、前記枠体の第3辺までパネル体を切断した後、切断方向を変更してこの第3辺に沿う方向に沿って、前記枠体の第4辺までパネル体を切断し、その後、切断方向を変更してこの第4辺に沿う方向に沿って、前記枠体の第1辺までパネル体を切断した後、切断方向を変更して前記枠体の第1辺に沿ってパネル体を切断していくことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の開口部開口方法。
【請求項5】
壁構造体は複数の開口部を有し、全開口部に対するそれぞれのX方向位置の指示コントローラへの記憶作業を終了した後に、全開口部の開口加工を行うことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の開口部開口方法。
【請求項6】
枠体に複数の平板体からなるパネル体を釘打ちにて張り合わせる壁構造体組立方法であって、
釘打ちラインに沿ってレーザー光を照射して、そのレーザー光の照射方向に沿った釘打ちピッチを決定した後、釘打ちラインおよび釘打ちピッチが指示コントローラに記憶され、この指示コントローラの記憶に従って、前記釘打ちラインにおいて前記決定した釘打ちピッチで順次釘打工具にて釘打ちを行うことを特徴とする壁構造体組立方法。
【請求項7】
指示コントローラには前記レーザー光の照射口が設けられるとともに、この指示コントローラは、前記釘打ちライン上へのレーザー光の照射が可能位置に、平板体の合わせ面に直交する方向であるX方向への手動で移動することを特徴とする請求項6に記載の壁構造体組立方法。
【請求項8】
平板体の合わせ面に沿った方向であるY方向に1列での釘打ちを行うことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の壁構造体組立方法。
【請求項9】
平板体の合わせ面に沿った方向であるY方向に2列での釘打ちを行うことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の壁構造体組立方法。
【請求項10】
枠体に複数の平板体からなるパネル体を釘打ちにて張り合わせてなるとともに、開口部が開設された壁構造体を組み立てる壁構造体組立方法であって、
パネル体の開口部を形成すべき位置内において、平板体の合わせ面に直交する方向であるX方向に沿ってマーキング線を記入し、平板体の合わせ面と平行方向であるY方向に沿って照射されるレーザー光と前記マーキング線との交点を、開口工具の開口加工開始点として、この開口加工開始点から前記開口工具による開口部の開口加工を行い、開口加工終了後に、釘打ちラインに沿ってレーザー光を照射して、そのレーザー光の照射方向に沿った釘打ちピッチを決定した後、この釘打ちラインにおいて前記決定した釘打ちピッチで順次釘打工具にて釘打ちを行うことを特徴とする壁構造体組立方法。
【請求項11】
壁構造体は複数の開口部を有し、全開口部に対するそれぞれのX方向位置の指示コントローラへの記憶作業を終了した後に、全開口部の開口加工を行い、次に釘打工具による釘打ちを行うことを特徴とする請求項10に記載の壁構造体組立方法。
【請求項12】
枠体に複数の平板体からなるパネル体を釘打ちにて張り合わせてなる壁構造体を形成する壁構造体組立装置であって、
パネル体の開口部を形成する開口工具と、
釘打ちしてパネル体を枠体に取り付ける釘打工具と、
開口工具と釘打工具とを平板体の合わせ面と平行方向であるY方向に沿っての移動を可能として支持する工具支持体と、
工具支持体を平板体の合わせ面と直交する方向であるX方向に移動させて、開口工具と釘打工具とをX方向に移動させる移動機構と、
工具支持体のX方向の移動量と、釘打工具の釘打ライン上のY方向に沿った釘打ちピッチとが予め教示されて、工具支持体にその移動量をもって移動するように指示するとともに、釘打工具に釘打ちライン上の釘打ちピッチをもって移動するように指示し、かつ、X方向への手動による移動が可能とされる指示コントローラと、
前記指示コントローラに付設されて、X方向に沿って記入されたマーキング線と交差してその交点を開口加工開始点とするとともに、釘打ちライン位置を決定するガイド用のレーザー光を前記Y方向に沿って照射するレーザー照射手段とを備えたことを特徴とする壁構造体組立装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−163841(P2010−163841A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8984(P2009−8984)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(396026400)株式会社鈴工 (9)
【Fターム(参考)】