説明

開梱装置及び開梱済物品の製造方法

【課題】梱包材の切り屑が内容物に混入し難いように開梱することができる開梱装置を提供する。
【解決手段】梱包物を開梱して内容物を取り出す開梱装置であって、前記梱包物において、前記内容物が一次梱包材により梱包されて一次梱包物が形成され、前記一次梱包物が二次梱包材により梱包されて二次梱包物が形成され、前記二次梱包物における前記二次梱包材には切れ目が設けられており、ロボット10と、ロボット10が、前記二次梱包材の前記切れ目から前記一次梱包物を取り出し、さらに前記一次梱包物から前記内容物を取り出すように前記ロボット10を制御する制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包物を開梱して内容物を取り出す開梱装置及び開梱済物品の製造方法に関し、特に、梱包物を開梱する際に、梱包材の切り屑の混入を減少させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
生産ラインに投入される原材料は、一般に梱包された状態で入荷される。従来より、梱包された原材料は作業者の手作業により開梱され、原材料が生産ラインに投入されている。また、開梱作業はほとんどが繰り返し作業であるため、自動化されているものが多い。
【0003】
ここで梱包材を刃物で切断して内容物を取り出す開梱装置が特許文献1、及び特許文献2に開示されている。特許文献1の開梱装置では、梱包材を切断する際に内容物(古新聞)を同時に切断している(特許文献1の段落0018)。特許文献2の開梱装置では、斜めのカッターが箱の上壁を切除している(特許文献2の段落0003、0004)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-002638号公報
【特許文献2】特開2002-249116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のような開梱装置により梱包材を切断した場合には、梱包材を切断する際に切り屑が内容物に混入する可能性が高い。特許文献1の開梱装置のように内容物が古新聞である場合には、梱包材である段ボール箱の切り屑が古新聞に多少混入してもさほど問題にはならないかもしれない。しかしながら、内容物が食料品であるような場合には、梱包材の切り屑が内容物に混入することは望ましくない。
【0006】
一方、内容物が野菜や小麦粉のように比較的小さいものである場合に、開梱の際に内容物の一部が梱包材の中に残ってしまうことがある。そこで、開梱の際にできるだけ内容物が梱包材の中に残らないようにしたいという要望がある。
【0007】
本発明は、梱包材の切り屑が内容物に混入し難いように開梱することができる開梱装置及び開梱済物品の製造方法を提供することを第1の目的とする。また、内容物が梱包材の中に残り難いように開梱することができる開梱装置及び開梱済物品の製造方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る開梱装置は、梱包物を開梱して内容物を取り出す開梱装置であって、前記梱包物において、前記内容物が一次梱包材により梱包されて一次梱包物が形成され、前記一次梱包物が二次梱包材により梱包されて二次梱包物が形成され、前記二次梱包物における前記二次梱包材には切れ目が設けられており、前記ロボットと、前記ロボットが、前記二次梱包材の前記切れ目から前記一次梱包物を取り出し、さらに前記一次梱包物から前記内容物を取り出すように前記ロボットを制御する制御部とを備える。ここで開梱装置において、前記ロボットが、前記一次梱包物の自重により前記二次梱包材の前記切れ目から前記一次梱包物を取り出すように前記ロボットを制御するとよい。
【0009】
ここで開梱装置において、前記一次梱包材は、可撓性を有する袋であって取出口を有しており、前記制御部は、前記ロボットが、前記一次梱包物における前記一次梱包材を掴み、前記一次梱包材を引き上げ、前記内容物の自重により前記取出口から前記内容物を取り出すように前記ロボットを制御するとよい。
【0010】
ここで開梱装置において、前記制御部は、前記ロボットが、前記取出口から前記内容物を取り出す前に、前記一次梱包物における前記一次梱包材の所定の位置を掴み、所定の移動量だけ前記一次梱包物を引き上げて放す予備掴み動作と、前記所定の位置の近辺、又は前記所定の位置を掴む本掴み動作とを行うように前記ロボットを制御するとよい。
【0011】
ここで開梱装置において、前記制御部は、さらに、前記ロボットが、前記予備掴み動作と前記本掴み動作との間に上下動作を行うように前記ロボットを制御し、前記上下動作は、 前記予備掴み動作において前記ロボットが前記一次梱包物を放した状態から、上方向又は下方向に前記ロボットが動作して、前記本掴み動作において前記ロボットが前記一次梱包物を掴む位置を移動する動作であるとよい。
【0012】
ここで開梱装置において、前記一次梱包材は、可撓性を有する袋であって、前記一次梱包物において、前記内容物が前記一次梱包材により密封されており、前記制御部は、前記ロボットが、前記一次梱包物における前記一次梱包材を掴み、前記一次梱包材に切り込みを入れる切り込み動作を行い、前記内容物の自重により前記切り込みから前記内容物を取り出すように前記ロボットを制御するとよい。
【0013】
ここで開梱装置において、前記制御部は、前記ロボットが、前記一次梱包材に切り込みを入れる前に、前記一次梱包物における前記一次梱包材の所定の位置を掴み、所定の移動量だけ前記一次梱包物を引き上げて放す予備掴み動作と、前記所定の位置の近辺、又は前記所定の位置を掴む本掴み動作とを行うように前記ロボットを制御するとよい。
【0014】
ここで開梱装置において、前記制御部は、さらに、前記ロボットが、前記予備掴み動作と前記本掴み動作との間に上下動作を行うように前記ロボットを制御し、前記上下動作は、 前記予備掴み動作において前記ロボットが前記一次梱包物を離した状態から、上方向又は下方向に前記ロボットが動作して、前記本掴み動作において前記ロボットが前記一次梱包物を掴む位置を移動する動作であるとよい。
【0015】
ここで開梱装置において、前記制御部は、前記ロボットが、前記予備掴み動作において前記一次梱包材の前記所定の位置を掴んだ状態のままで、所定の時間だけ動作を休止するように前記ロボットを制御するとよい。
【0016】
ここで開梱装置において、前記開梱装置は、さらに、前記ロボットにより前記一次梱包物が取り出される場所、及び前記ロボットにより前記内容物が取り出される場所のいずれとも異なる場所において、前記二次梱包物における前記二次梱包材に切断処理を施して、前記二次梱包材の前記切れ目を作る梱包材切断部と、前記梱包材切断部から前記ロボットの動作域まで、前記二次梱包物を搬送する搬送部と、前記梱包材切断部から前記ロボットの動作域までの間の、前記ロボットにより前記一次梱包物が取り出される場所、及び前記ロボットにより前記内容物が取り出される場所のいずれとも異なる場所において、前記切断処理により発生する切り屑を前記二次梱包物から排除する切り屑排除部とを備えるとよい。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明に係る開梱済物品の製造方法は、ロボットを用いて梱包物を開梱して内容物を取り出し、開梱済物品を製造する方法であって、前記内容物が一次梱包材により梱包されて一次梱包物が形成されており、前記一次梱包物が二次梱包材により梱包されて二次梱包物が形成されており、前記二次梱包物における前記二次梱包材には切れ目があり、前記ロボットが、前記二次梱包材の前記切れ目から前記一次梱包物を取り出し、さらに前記一次梱包物から前記内容物を取り出す制御ステップを含む。
【発明の効果】
【0018】
課題を解決するための手段に記載した開梱装置及び開梱済物品の製造方法の構成により、梱包材の切り屑が内容物に混入し難いように開梱することができる。また、課題を解決するための手段に記載した開梱装置及び開梱済物品の製造方法の構成により、内容物が梱包材の中に残り難いように開梱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】食材の梱包状態の概略(その1)を示す図である
【図2】食材の梱包状態の概略(その2)を示す図である
【図3】実施の形態1の工程レイアウトを示す平面図である。
【図4】実施の形態1に係る開梱装置の概略を示す図である。
【図5】一次取出制御部の機能を説明するための図である。
【図6】二次取出制御部の機能を説明するための図である。
【図7】変形例1に係る開梱装置の概略を示す図である
【図8】予備掴み動作制御部の機能を説明するための図である。
【図9】上下動作制御部、及び本掴み動作制御部の機能を説明するための図である。
【図10】変形例2に係る開梱装置の概略を示す図である。
【図11】変形例3に係る開梱装置の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施の形態1]
<概要>
実施の形態1では、多関節ロボットにより、段ボール箱に切れ目を入れた梱包物からビニール袋を取り出し、続いてビニール袋を掴み上げて内容物を取り出す開梱装置を示す。
【0021】
<構成>
実施の形態1では、スナック菓子の生産ラインに原料の食材を投入する場合を考える。食材が入荷されたときの梱包状態を以下に示す。
【0022】
図1、図2は、食材の梱包状態の概略を示す図である。図1に示すように内容物である食材1が(図1左)一次梱包材であるビニール袋2に入れられ(図1中央)取出口6が折り畳まれて一次梱包物3が形成されている(図1右)。また図2に示すように一次梱包物3が二次梱包材である段ボール箱4に梱包されて(図2左)二次梱包物5が形成されている(図2右)。ここで一次梱包材は、ビニール袋2のように可撓性を有する袋であって、取出口6を有している。また二次梱包材は、段ボール箱4のようにある程度の外力を与えなければ形状が変化しない容器である。また実施の形態1では、二次梱包材の基材そのものや貼付されている荷造りテープ7を刃物等で切ることで、二次梱包物5に一次梱包物3を取り出すことができる程度の切れ目を作ることができることとする。
【0023】
図3は、実施の形態1の工程レイアウトを示す平面図である。ここで図3には、双腕ロボット10、梱包物搬送部11、梱包材切断部12、切り屑排除部13、内容物搬出コンベア14、段ボール搬出コンベア15、段ボール収納装置16、ビニール袋収納装置17及びビニール袋収納箱18を記載している。
【0024】
双腕ロボット10は、合計15軸の多関節ロボットであり、7軸の多関節ロボットを2本備え、2本の多関節ロボットが水平方向に回転する共通の1軸に搭載されている。梱包物搬送部11は、少なくとも梱包材切断部12から双腕ロボット10の動作域まで、二次梱包物5を搬送する。梱包物搬送部11は、梱包物搬入コンベア19及び横送り装置20から構成される。
【0025】
梱包物搬入コンベア19は、上流の荷卸し工程から横送り装置20の始点まで、二次梱包物5を運ぶ(図3中矢印A)。
【0026】
梱包材切断部12は、梱包物搬入コンベア19による二次梱包物5の搬送経路の途中に設置された切断装置である。梱包材切断部12は、刃物等を用いて二次梱包物5における段ボール箱4に切れ目を作る。ここで、梱包材切断部12は、段ボール箱4の下面以外の部分に切れ目を作る。なお、梱包材切断部12による梱包材の切断処理を行う場所は、双腕ロボット10により一次梱包物3が取り出される場所、及び双腕ロボット10により食材1が取り出される場所のいずれとも異なる場所が好ましい。また、梱包材切断部12が段ボール箱4の下側に切れ目を作った後で、切れ目が横側や上側になるように二次梱包物5を回転させてもよい。
【0027】
切り屑排除部13は、梱包材切断部12から横送り装置20までの間に設置された掃除装置である。切り屑排除部13は、圧縮空気で吹き飛ばしたり、吸い込んだりすることにより、梱包材の切断処理により発生する切り屑を二次梱包物5から排除する。なお切り屑排除部13による切り屑を排除する場所は、梱包材切断部12から双腕ロボット10の動作域までの間であり、かつ双腕ロボット10により一次梱包物3が取り出される場所、及び双腕ロボット10により食材1が取り出される場所のいずれとも異なる場所が好ましい。
【0028】
横送り装置20は、梱包物搬入コンベア19の終点から内容物搬出コンベア14の始点まで二次梱包物5を平行移動することにより搬送する(図3中矢印B)。
【0029】
図4は、実施の形態1に係る開梱装置100の概略を示す図である。図4に示すように、開梱装置100は、双腕ロボット10、一次取出制御部110及び二次取出制御部120を備える。なお、実施の形態1において、一次取出制御部110と二次取出制御部120とは制御部として機能する。
【0030】
一次取出制御部110及び二次取出制御部120はそれぞれ、双腕ロボット10が梱包物を開梱して内容物を取り出すように、双腕ロボット10を制御する。
【0031】
図5は、一次取出制御部110の機能を説明するための図である。図5に示すように、一次取出制御部110は、双腕ロボット10が梱包材切断部12により作られた切れ目8から一次梱包物3を取り出すように、双腕ロボット10を制御する。詳細には、一次取出制御部110は、まず双腕ロボット10が内容物搬出コンベア14の始点において二次梱包物5における段ボール箱4を保持して二次梱包物5を持ち上るように、双腕ロボット10を制御する(図5上)。
【0032】
次に一次取出制御部110は、双腕ロボット10が切れ目8が下側に向くように二次梱包物5を回転させて、一次梱包物3の自重により、切れ目8から内容物搬出コンベア14の上に一次梱包物3を取り出すように、双腕ロボット10を制御する(図5下)。例えば、切れ目8が段ボール箱4の上側にある場合には、一次取出制御部110は、双腕ロボット10が二次梱包物5を180度回転させるように、双腕ロボット10を制御する。さらに、一次取出制御部110は、双腕ロボット10が段ボール箱4を保持したままで回転して(図3中矢印C)、段ボール搬出コンベア15の上に段ボール箱を運ぶように、双腕ロボット10を制御する。
【0033】
段ボール搬出コンベア15は、双腕ロボット10により段ボール箱4が運ばれると、段ボール収納装置16まで段ボール箱4を運搬する(図3中矢印D)。段ボール収納装置16は、段ボール搬出コンベア15により搬送されてきた段ボール箱4を収納する。
【0034】
図6は、二次取出制御部120の機能を説明するための図である。図6に示すように、二次取出制御部120は、双腕ロボット10が内容物搬出コンベア14の上に戻り一次梱包物3から食材1を取り出すように、双腕ロボット10を制御する。詳細には、二次取出制御部120は、双腕ロボット10が、一次梱包物3におけるビニール袋2を掴み(図6左)、ビニール袋2を引き上げて、食材1の自重により取出口6から内容物搬出コンベア14の上に食材1を取り出すように、双腕ロボット10を制御する(図6右)。
【0035】
ここで、二次取出制御部120は、双腕ロボット10が、一次梱包物3におけるビニール袋2を掴む際に、掴む位置をセンサ(図示せず)で確認している。さらに、二次取出制御部120は、双腕ロボット10が、コンベア14の上に食材1を取り出した後、ビニール袋2を掴んだままで回転して(図3中矢印C)、ビニール袋回収装置17の上にビニール袋2を運ぶように、双腕ロボット10を制御する。
【0036】
なお、双腕ロボット10は、ビニール袋2を引き上げる際に、食材1がビニール袋2から出るまでは、動作による衝撃によりビニール袋2がちぎれてしまわないように、比較的遅い速度で動作し、食材1がビニール袋2から出た後は比較的早い速度で動作してもよい。ここで二次取出制御部120は、双腕ロボット10のサーボモータの感度を用いて食材1がビニール袋2から出たことを感知することができる。また、二次取出制御部120は、食材1がビニール袋2から出たか否かを感知せずに、双腕ロボット10が比較的遅い速度で所定の距離だけ動作するように、双腕ロボット10を制御した後に、双腕ロボット10が比較的早い速度で動作するように、双腕ロボット10を制御してもよい。ここで所定の距離は、ビニール袋2の長手方向の長さ程度であることが好ましい。
【0037】
ビニール袋回収装置17は、ビニール袋2をビニール袋収納箱18へ送る(図3中矢印E)。ビニール袋収納箱18は、ビニール袋収納装置17により送られたビニール袋2を収納する。内容物搬出コンベア14は、双腕ロボット10により食材1が取り出されると、次工程へ食材1を運搬する(図3中矢印F)。
【0038】
<まとめ>
特許文献1及び特許文献2のような従来の開梱装置により、二次梱包物5から内容物(食材1)を取り出そうとすれば、二次梱包材(段ボール箱4)と一次梱包材(ビニール袋2)とを同時に刃物で切断することになる。ところが二次梱包材(段ボール箱4)と一次梱包材(ビニール袋2)とを同時に刃物で切断すると、内容物に二次梱包材(段ボール箱4)及び一次梱包材(ビニール袋2)の切り屑が入る可能性が高い。
【0039】
一方、実施の形態1に係る開梱装置100及び開梱済物品の製造方法によれば、先に二次梱包物5から一次梱包物3を取り出し、後で一次梱包材(ビニール袋2)に切れ目を作らずに内容物(食材1)を取り出すので、一次梱包材(ビニール袋2)及び二次梱包材(段ボール箱4)の切り屑が内容物(食材1)に混入し難い。さらに、実施の形態1に係る開梱装置100によれば、二次梱包材(段ボール箱4)に切れ目を作る場所が、一次梱包物3を取り出す場所、及び内容物(食材1)を取り出す場所のいずれとも異なるので、特に二次梱包材(段ボール箱4)の切り屑が内容物(食材1)に混入し難い。
[変形例1]
<概要>
変形例1では、実施の形態1の開梱装置100に、さらに、掴みしろを作る動作を追加した例を説明する。
【0040】
ここで掴みしろを作る動作とは、ビニール袋2を掴む際に、所定の位置を掴み上方向へ引き上げて放す予備掴み動作のことをいう。
【0041】
<構成>
図7は、変形例1に係る開梱装置200の概略を示す図である。図7に示すように、開梱装置200は、双腕ロボット10、一次取出制御部110及び二次取出制御部220を備える。なお、変形例1において、一次取出制御部110と二次取出制御部220とは制御部として機能する。ここで、実施の形態1と同様の構成要素には同一番号を付し、その説明を省略する。
【0042】
二次取出制御部220は、実施の形態1の開梱装置100が備える二次取出制御部120と同様に、双腕ロボット10が一次梱包物3から食材1を取り出すように、双腕ロボット10を制御する。二次取出制御部220は、二次取出制御部120と比べて、掴みしろを作る動作を備えている点が異なる。二次取出制御部220は、予備掴み動作制御部221、上下動作制御部222及び本掴み動作制御部223を含む。
【0043】
図8は、予備掴み動作制御部221の機能を説明するための図である。予備掴み動作制御部221は、双腕ロボット10が、取出口6から食材1を取り出す前に、一次梱包物3におけるビニール袋2の所定の位置を掴み(図8左)、所定の移動量だけ一次梱包物3を引き上げて(図8中央)放すように、双腕ロボット10を制御する(図8右)。
【0044】
図9は、上下動作制御部222、及び本掴み動作制御部223の機能を説明するための図である。上下動作制御部222は、予備掴み動作制御部221による制御において双腕ロボット10が一次梱包物3を放した状態から、上方向又は下方向に双腕ロボット10を動作させて、本掴み動作において双腕ロボット10が一次梱包物3を掴む位置を移動する(図9左)。ここで、変形例1では、上下動作制御部222は、30cmから50cm程度上方向に、双腕ロボット10を動作させている。本掴み動作制御部223は、所定の位置の近辺、又は前記所定の位置を掴む(図9右)。
【0045】
なお、上下動作制御部222による制御において、上方向又は下方向に双腕ロボット10を動作させる距離や予備掴み動作の回数は、使用者により任意に設定が可能なようにしてもよい。例えば、タッチパネルに掴みしろの位置や予備掴み動作の回数の設定画面を表示し、使用者から「高」、「中」、「低」等の選択入力や予備掴み動作の回数を受け付けてもよい。また、上下動作制御部222における双腕ロボット10を動作させる距離はゼロであってもよいので、予備掴み動作制御部221は上下動作制御部222を含まない構成であってもよい。
【0046】
<まとめ>
以上のように、変形例1に係る開梱装置200によれば、双腕ロボット10が掴みしろを作る動作を行うことにより、予備掴み動作の際に掴む内容物(食材1)の量よりも、本掴み動作の際に掴む内容物(食材1)の量を少なくすることができる。従って、開梱装置200において双腕ロボット10が、一次梱包材(ビニール袋2)に切れ目を作らずに、一次梱包材(ビニール袋2)を掴んで内容物(食材1)を取り出す際に、内容物(食材1)が一次梱包材(ビニール袋2)の中に残り難い。
[変形例2]
<概要>
変形例2では、多関節ロボットが、段ボール箱に切れ目を入れた梱包物から密閉されたビニール袋を取り出し、次にビニール袋を掴みビニール袋に切り込みを入れて、切り込みから内容物を取り出す開梱装置を説明する。
【0047】
<構成>
変形例2では、実施の形態1と同様に、スナック菓子の生産ラインに原料の食材を投入する場合を考える。但し、変形例2では、食材の梱包状態が実施の形態1とは異なる。実施の形態1では、内容物である食材1が一次梱包材であるビニール袋2に入れられ取出口6が折り畳まれて一次梱包物3が形成されている。変形例2では、内容物である食材1が一次梱包材であるビニール袋22(図示せず)に密閉されて一次梱包物23(図示せず)が形成されている。また実施の形態1と同様に、一次梱包物23が二次梱包材である段ボール箱4に梱包されて二次梱包物25(図示せず)が形成されている。
【0048】
食材の梱包状態の概略は実施の形態1の図1、図2と同様である。ここで変形例2のビニール袋22は実施の形態1のビニール袋2に相当し、ビニール袋22は開口部分が熱溶着等により塞がれる点がビニール袋2と異なる。変形例2の一次梱包物23は実施の形態1の一次梱包物3に相当し、一次梱包物3は内容物を密閉していないが、一次梱包物23は内容物を密閉している点が異なる。変形例2の二次梱包物25は実施の形態1の二次梱包物5に相当し、二次梱包物25は一次梱包物23を梱包し、二次梱包物5は一次梱包物3を梱包する点が異なる。
【0049】
図10は、変形例2に係る開梱装置300の概略を示す図である。図10に示すように、開梱装置300は、双腕ロボット10、一次取出制御部110及び二次取出制御部320を備える。なお、変形例2において、一次取出制御部110と二次取出制御部320とは制御部として機能する。ここで、実施の形態1と同様の構成要素には同一番号を付し、その説明を省略する。
【0050】
二次取出制御部320は、実施の形態1の開梱装置100が備える二次取出制御部120と同様に、双腕ロボット10が一次梱包物23から食材1を取り出すように、双腕ロボット10を制御する。二次取出制御部320は、二次取出制御部120と比べて、双腕ロボット10がビニール袋に切り込みを入れる切り込み動作を行うように、双腕ロボット10を制御する点が異なる。二次取出制御部320は切り込み動作制御部324を含む。
【0051】
切り込み動作制御部324は、双腕ロボット10が、双腕ロボット10の一方のロボットアームにより一次梱包物23におけるビニール袋22を掴んだ状態で、もう一方のロボットアームによりビニール袋22に切り込みを入れる切り込み動作を行うように、双腕ロボット10を制御する。
【0052】
<まとめ>
以上のように、変形例2に係る開梱装置300によれば、双腕ロボット10が先に二次梱包物25から一次梱包物23を取り出し、後で一次梱包材(ビニール袋22)に切り込みを入れて、切り込みから内容物(食材1)を取り出すので、一次梱包材(ビニール袋22)及び二次梱包材(段ボール箱4)の切り屑が内容物(食材1)に混入し難い。
【0053】
また、例えば内容物があまり人体によいものでない場合には、作業者の手作業により開梱作業を行うことは好ましくないので、変形例2に係る開梱装置300は特に有用である。ここで、内容物があまり人体によいものでない場合には、例えば変形例2のように内容物は一次梱包材(ビニール袋22)に密閉されて一次梱包物23が形成される。また、例えば一次梱包物23は段ボール箱4よりも強靭な二次梱包材により梱包されて二次梱包物25が形成される。ここで、段ボール箱4よりも強靭な二次梱包材とは、例えばドラム缶のような、相当な外力を加えても簡単には変形しない容器を指す。但しドラム缶のような強靭な容器は、段ボール箱のように切断処理を施すことで切れ目を作ることができないので、図3に示す実施の形態1の工程レイアウトにおいて、梱包材切断部12の代わりに容器の蓋を開けるための蓋開け装置が必要となる。
[変形例3]
<概要>
変形例3では、変形例2の開梱装置300に、さらに、切りしろを作る動作を追加した例を説明する。ここで切りしろを作る動作とは、変形例1における掴みしろを作る動作と同様に、ビニール袋22を掴む際に、所定の位置を掴み上方向へ引き上げて放す予備掴み動作のことをいう。
【0054】
<構成>
図11は、変形例3に係る開梱装置400の概略を示す図である。図11に示すように、開梱装置400は、双腕ロボット10、一次取出制御部110及び二次取出制御部420を備える。なお、変形例3において、一次取出制御部110と二次取出制御部420とは制御部として機能する。ここで、実施の形態1、変形例1及び変形例2と同様の構成要素には同一番号を付し、その説明を省略する。
【0055】
二次取出制御部420は、変形例2の開梱装置300が備える二次取出制御部320と同様に、双腕ロボット10が一次梱包物23から食材1を取り出すように、双腕ロボット10を制御する。二次取出制御部420は、二次取出制御部320と比べて、切りしろを作る動作を備えている点が異なる。二次取出制御部420は、予備掴み動作制御部221、動作休止制御部421、上下動作制御部222、本掴み動作制御部223及び切り込み動作制御部324を含む。
【0056】
動作休止制御部421は、予備掴み動作制御部221による制御において双腕ロボット10がビニール袋22の所定の位置を掴んだ状態のままで、所定の時間だけ動作を休止させるように、双腕ロボット10を制御する。ここで変形例3では、所定の時間は、数秒、もしくは十数秒程度である。
【0057】
動作休止制御部421による所定の時間だけ双腕ロボット10の動作を休止させる休止制御は、小麦粉のように内容物の粒子径がある程度細かい場合に、動作を休止している間に内容物が下方に落下することにより切りしろが大きくなる効果を期待して行うものである。なお休止制御を変形例1において適用してもよい。また、内容物の粒子径がある程度以上大きい場合等には休止制御の効果が期待できないので、動作休止制御部421は必ずしも必要な構成要素ではない。
【0058】
<まとめ>
以上のように、変形例3に係る開梱装置400によれば、双腕ロボット10が切りしろを作る動作を行うことにより、一次梱包材(ビニール袋22)に切り込みを入れる際に、内容物(食材1)が周辺に散乱する量を少なくすることができる。
【0059】
なお、上記開梱装置100、開梱装置200、開梱装置300及び開梱装置400では、段ボール箱4に既に切れ目を入れた状態の梱包物を開梱することができる。また各開梱装置に、梱包物搬送部11、梱包材切断部12及び切り屑排除部13を追加すれば、段ボール箱4に既に切れ目が入っていない状態の梱包物を開梱することができる開梱装置となる(図3の点線枠Gの部分に相当)。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、梱包物を開梱して内容物を取り出すあらゆる開梱装置に適用することができる。本発明によれば、開梱作業において、梱包材の切り屑が内容物に混入し難いように開梱することができるので、産業的利用価値は極めて高い。
【符号の説明】
【0061】
10 双腕ロボット
11 梱包物搬送部
12 梱包材切断部
13 切り屑排除部
14 内容物搬出コンベア
15 段ボール搬出コンベア
16 段ボール収納装置
17 ビニール袋回収装置
18 ビニール袋収納箱
19 梱包物搬入コンベア
20 横送り装置
100 開梱装置
110 一次取出制御部
120 二次取出制御部
200 開梱装置
220 二次取出制御部
221 予備掴み動作制御部
222 上下動作制御部
223 本掴み動作制御部
300 開梱装置
320 二次取出制御部
324 切り込み動作制御部
400 開梱装置
420 二次取出制御部
421 動作休止制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包物を開梱して内容物を取り出す開梱装置であって、
前記梱包物において、前記内容物が一次梱包材により梱包されて一次梱包物が形成され、前記一次梱包物が二次梱包材により梱包されて二次梱包物が形成され、前記二次梱包物における前記二次梱包材には切れ目が設けられており、
前記ロボットと、
前記ロボットが、前記二次梱包材の前記切れ目から前記一次梱包物を取り出し、さらに前記一次梱包物から前記内容物を取り出すように前記ロボットを制御する制御部とを備える開梱装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記ロボットが、前記一次梱包物の自重により前記二次梱包材の前記切れ目から前記一次梱包物を取り出すように前記ロボットを制御する、請求項1に記載の開梱装置。
【請求項3】
前記一次梱包材は、可撓性を有する袋であって取出口を有しており、
前記制御部は、
前記ロボットが、前記一次梱包物における前記一次梱包材を掴み、前記一次梱包材を引き上げ、前記内容物の自重により前記取出口から前記内容物を取り出すように前記ロボットを制御する、請求項1又は請求項2に記載の開梱装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ロボットが、
前記取出口から前記内容物を取り出す前に、前記一次梱包物における前記一次梱包材の所定の位置を掴み、所定の移動量だけ前記一次梱包物を引き上げて放す予備掴み動作と、
前記所定の位置の近辺又は前記所定の位置を掴む本掴み動作とを行うように前記ロボットを制御する、請求項3に記載の開梱装置。
【請求項5】
前記制御部は、さらに、
前記ロボットが、前記予備掴み動作と前記本掴み動作との間に上下動作を行うように前記ロボットを制御し、
前記上下動作は、
前記予備掴み動作において前記ロボットが前記一次梱包物を放した状態から、上方向又は下方向に前記ロボットが動作して、前記本掴み動作において前記ロボットが前記一次梱包物を掴む位置を移動する動作である、請求項4に記載の開梱装置。
【請求項6】
前記一次梱包材は、可撓性を有する袋であって、
前記一次梱包物において、前記内容物が前記一次梱包材により密封されており、
前記制御部は、
前記ロボットが、前記一次梱包物における前記一次梱包材を掴み、前記一次梱包材に切り込みを入れる切り込み動作を行い、前記内容物の自重により前記切り込みから前記内容物を取り出すように前記ロボットを制御する、請求項1又は請求項2に記載の開梱装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記ロボットが、前記一次梱包材に切り込みを入れる前に、前記一次梱包物における前記一次梱包材の所定の位置を掴み、所定の移動量だけ前記一次梱包物を引き上げて放す予備掴み動作と、
前記所定の位置の近辺又は前記所定の位置を掴む本掴み動作とを行うように前記ロボットを制御する、請求項6に記載の開梱装置。
【請求項8】
前記制御部は、さらに、
前記ロボットが、前記予備掴み動作と前記本掴み動作との間に上下動作を行うように前記ロボットを制御し、
前記上下動作は、
前記予備掴み動作において前記ロボットが前記一次梱包物を離した状態から、上方向又は下方向に前記ロボットが動作して、前記本掴み動作において前記ロボットが前記一次梱包物を掴む位置を移動する動作である、請求項7に記載の開梱装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記ロボットが、前記予備掴み動作において前記一次梱包材の前記所定の位置を掴んだ状態のままで、所定の時間だけ動作を休止するように前記ロボットを制御する、請求項7又は請求項8に記載の開梱装置。
【請求項10】
前記開梱装置は、さらに、
前記ロボットにより前記一次梱包物が取り出される場所、及び前記ロボットにより前記内容物が取り出される場所のいずれとも異なる場所において、前記二次梱包物における前記二次梱包材に切断処理を施して、前記二次梱包材の前記切れ目を作る梱包材切断部と、
前記梱包材切断部から前記ロボットの動作域まで、前記二次梱包物を搬送する搬送部と、
前記梱包材切断部から前記ロボットの動作域までの間の、前記ロボットにより前記一次梱包物が取り出される場所、及び前記ロボットにより前記内容物が取り出される場所のいずれとも異なる場所において、前記切断処理により発生する切り屑を前記二次梱包物から排除する切り屑排除部とを備える、請求項1〜請求項9のうちの何れか1項に記載の開梱装置。
【請求項11】
ロボットを用いて梱包物を開梱して内容物を取り出し、開梱済物品を製造する方法であって、
前記内容物が一次梱包材により梱包されて一次梱包物が形成されており、
前記一次梱包物が二次梱包材により梱包されて二次梱包物が形成されており、
前記二次梱包物における前記二次梱包材には切れ目があり、
前記ロボットが、前記二次梱包材の前記切れ目から前記一次梱包物を取り出し、さらに前記一次梱包物から前記内容物を取り出す制御ステップを含む、開梱済物品の製造方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−100118(P2013−100118A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244423(P2011−244423)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】