説明

開繊方法及び開繊システム並びにリサイクル品の製造方法

【課題】 厚みが厚い寝装品や、厚みが薄いカーテンやシーツなどの生地の場合でも、ほぼ100%開繊できること。
【解決手段】 貯蔵室64には外気と連通する連通部66を設ける。供給される被開繊物を前記開繊機本体1のメタリックワイヤー6により繊維状に開繊する。次に、繊維状に開繊されたリサイクル原綿51をブロワー49により吸引すると共に排出用ダクト50へ送風される風量により該リサイクル原綿51を排出用ダクト50へ送り出す。排出用ダクト50から貯蔵室64へリサイクル原綿51を吹き飛ばして該貯蔵室64内にリサイクル原綿51を採集していき、前記ブロワー49からの貯蔵室64内へ送風され連通部66から貯蔵室64内の空気が排気されながら被開繊物を開繊機本体1により開繊する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みの布団やベッドパッドなどの厚みのある寝装品や、浴室で使用されているシャワーカーテンや一般のカーテン、シーツなどの厚みが薄い生地を開繊して原綿と同様なリサイクル品を再生する開繊方法及び開繊システム並びにリサイクル品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の使用済みの布団やベッドパッドなどの厚みのある寝装品や、浴室で使用されているシャワーカーテンや一般のカーテン、シーツなどの厚みが薄い生地を開繊して原綿と同様なリサイクル品を再生する従来の開繊機として、例えば下記に示す特許文献1、2が挙げられる。なお、この特許文献1、2は、本出願人に係る出願である。
【0003】
【特許文献1】特開2005−245552号公報(特許第3638938号)
【特許文献2】特開2006−214053号公報
【0004】
図34は上記特許文献1に開示されている開繊システムを示しており、開繊機本体1は、無数の刃先7を備えたメタリックワイヤー6を表面にスパイラル状に設けた円柱状のシリンダ3と、このシリンダ3の前段側に配設した上下一対のフィードローラ10、11と、上記シリンダ3を納装し、ヒンジ部46を介して開閉自在なフタ47を備えたケース45と、このケース45の後部側に配設されている送給ダクト48と、この送給ダクト48の端部に設けられているブロワー49等で構成されている。
【0005】
開繊機本体1の前段には、布団、ベッドパッドなどの寝装品35を搬送するためのコンベア装置30が配置されていて、このコンベア装置30の先端側の上方には搬送されてきた寝装品35を押さえる押さえローラ41が配置されている。また、ブロワー49の排出側には排出用ダクト50が連結されていて、この排出用ダクト50の先端は壁53を挿通して貯蔵室52内に位置させている。
【0006】
この図34に示す開繊システムでは、コンベア装置30にて寝装品35を開繊機本体1へ搬送し、寝装品35の先端部分がフィードローラ10、11にてシリンダ3側に送られ、高速回転しているシリンダ3のメタリックワイヤー6によりシリンダ3の先端部分が引っ掛けられて寝装品35が開繊されていく。
開繊された繊維は新品と同様のリサイクル原綿51となってブロワー49の吸引作用により送給ダクト48、排出用ダクト50を介して貯蔵室52内に排出される。
【0007】
図35は上記特許文献1の第2の実施形態として開示されている開繊システムであり、図34の場合と比べて、フィードローラ10、11とシリンダ3との間に上下一対のフィードローラ70、71を設けたものである。このフィードローラ70、71を設けることで、寝装品35がシリンダ3側に搬送される場合に該寝装品35を滑りにくくして、前後のフィードローラ10、11とフィードローラ70、71により寝装品35を確実に堅持してメタリックワイヤー6による寝装品35の開繊を確実にして、図34の場合と同様に開繊された繊維は新品と同様のリサイクル原綿51となってブロワー49の吸引作用により送給ダクト48、排出用ダクト50を介して貯蔵室52内に排出される。
【0008】
図36は上記特許文献2に開示されている開繊システムの構成図である。この開繊システムでは、開繊する物の対象が、ホテルの浴室などで使用されているシャワーカーテンや、一般のカーテン、シーツなどの厚みが薄い生地110の場合である。図35に示す開繊システムとは基本的には同じであるが、後段のフィードローラ70、71の構造を図35の場合とは異にしている。すなわち、このフィードローラ70、71の表面にはメタリックワイヤーがスパイラル状に設けてある。
【0009】
かかる開繊システムにおいても、厚みの薄い生地110をフィードローラ10、11、フィードローラ70、71にてシリンダ3側へ搬送し、メタリックワイヤー6にて生地110の先端部分を開繊し、送給ダクト48、ブロワー49を介して開繊された繊維を新品と同様のリサイクル原綿51として貯蔵室52内に排出される。
【0010】
また、図37は、上記特許文献1、2に記載されているリサイクル原綿51の採集の他の例を示しており、空気を通す生地を用いた袋体90の上部の開口部分を排出用ダクト50に取着し、排出用ダクト50から排出されるリサイクル原綿51を袋体90にて直接採集するようにしたものである。
【0011】
かかる特許文献1、2に記載の開繊システムにより、厚みが厚い寝装品35や、厚みが薄い生地110を綺麗に開繊することができ、新品の原綿のような繊維状のリサイクル原綿51に再生することができるようになった。
【0012】
しかしながら、貯蔵室52や袋体90が空の状態(最初の状態)では、寝装品35や生地110を綺麗に繊維状に開繊することができるものの、貯蔵室52内にリサイクル原綿51がある程度集積してくると、また袋体90内にリサイクル原綿51が半分くらいに集積してくると、ところどころに繊維状に完全に開繊されず、リサイクル原綿51に生地状で小指の半分程度の小さな切れはしが混在してくるようになった。
【0013】
最初は綺麗にほぼ100%開繊することができても、途中で開繊されない小さな切れはしが混在するようでは、完全は開繊システムを完成させることは出来ない。そこで、発明者は、その原因を探求すべく開繊機本体1を解体して入念に調査を行ない、コンベア装置30の搬送速度、フィードローラ10、11、70、71の直径の大きさや回転速度、シリンダ3の直径の大きさや回転速度、メタリックワイヤー6の軸方向での配置間隔、メタリックワイヤー6の刃先7の突出寸法等の開繊機本体1の機構的なものや速度等をいろいろと変更して実験を行なった。この試行錯誤の実験には多くの日にちを費やしてきたにも関わらず、実験結果は同じで、やはり最初は綺麗に開繊できるものの途中からは切れはしが混在していた。
【0014】
そこで、発明者は観点を開繊機本体1から他の所に移してみることにした。リサイクル原綿51を採集する貯蔵室52は、繊維が飛散することで作業員に作業環境の悪化を招くことで、周囲に繊維が飛散しないように密閉状態としている。なお、貯蔵室52自体の大きさは、比較的大きな空間となっている。そのため、開繊したリサイクル原綿51を採集している最初では、ブロワー49の排気圧はそれほど影響されず、寝装品35や生地110を綺麗に開繊できるが、貯蔵室52内にある程度リサイクル原綿51が集積してくると、貯蔵室52が密閉空間故にブロワー49が背圧の影響を受けて、それに伴い該ブロワー49の吸引力が低下し、そのため、綺麗に開繊することができないのではと考えるようになった。
【0015】
これは、袋体90にリサイクル原綿51を集積してくると、袋体90から空気が逃げ出す面積が小さくなり、袋体90内は密閉状態に近くなり、そのため、ブロワー49が影響を受けて同様に綺麗に開繊できなくなり、理屈上では同じことになる。
【0016】
すなわち、発明者は、後半において綺麗に開繊できず、小さな切れはしが混在する原因は、貯蔵室52が密閉状態であることや、袋体90が密閉状態に近くなることであることを知見するに至ったのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は上述の問題点に鑑みて提供したものであって、少なくとも以下の目的を持った開繊方法及び開繊システム並びにリサイクル品の製造方法を提供するものである。
(1)厚みが厚い寝装品や、厚みが薄いカーテンやシーツなどの生地の場合でも、ほぼ100%開繊できること。
(2)ほぼ100%開繊した原綿に近いリサイクル品を製造することができること。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そこで、本発明の請求項1に記載の開繊方法では、供給される厚みが厚い寝装品35や厚みが薄い生地110などの被開繊物を回転しながら上下から強固に保持する上下一対のフィードローラと、このフィードローラの後段に配置されて外周面にメタリックワイヤー6を巻き付けたシリンダ3と、このシリンダ3の回転により前記メタリックワイヤー6にて開繊されたリサイクル原綿51の吸引作用を行なうブロワー49とからなる開繊機本体1と、
前記開繊機本体1のブロワー49にて吸引されたリサイクル原綿51を排出用ダクト50を介して採集される有限密閉空間とした貯蔵室64とを備えている開繊システムであって、
前記貯蔵室64には大気圧である外気と連通する連通部66を備え、
前記供給される被開繊物を前記開繊機本体1のメタリックワイヤー6により繊維状に開繊し、
繊維状に開繊されたリサイクル原綿51を前記ブロワー49により吸引すると共に前記排出用ダクト50へ送風される風量により該リサイクル原綿51を前記排出用ダクト50へ送り出し、
前記排出用ダクト50から前記貯蔵室64へリサイクル原綿51を吹き飛ばして該貯蔵室64内にリサイクル原綿51を採集していき、
前記ブロワー49からの前記貯蔵室64内へ送風され前記連通部66から貯蔵室64内の空気が大気圧開放されながら前記被開繊物を前記開繊機本体1により開繊するようにしていることを特徴としている。
【0019】
請求項2に記載の開繊方法では、前記被開繊物の厚みが薄い生地110の場合では、前記開繊機本体1の前方の位置に一対のテンションローラ120、122を前後方向に配置し、これらテンションローラ120、122により生地110を前後方向に折り返して、該テンションローラ120、122により生地110にテンションを与えていることを特徴としている。
【0020】
請求項3に記載の開繊方法では、前後方向のテンションローラ120、122の水平方向の水平軸H1を基準として、一方のテンションローラ120を前記水平軸H1上に配置した場合、他方のテンションローラ122の配置位置は水平軸H1に対して相対的に上方又は下方に鋭角の範囲内としていることを特徴としている。
【0021】
請求項4に記載の開繊システムでは、供給される厚みが厚い寝装品35や厚みが薄い生地110などの被開繊物を回転しながら上下から強固に保持する上下一対のフィードローラと、このフィードローラの後段に配置されて外周面に回転しながら前記被開繊物を開繊するメタリックワイヤー6を巻き付けたシリンダ3と、このシリンダ3の回転により前記メタリックワイヤー6にて開繊されたリサイクル原綿51の吸引作用を行なうブロワー49とからなる開繊機本体1と、
前記開繊機本体1のブロワー49にて吸引されたリサイクル原綿51を排出用ダクト50を介して採集される有限密閉空間とした貯蔵室64とを備えている開繊システムであって、
前記貯蔵室64には大気圧である外気と連通する連通部66を備え、
前記ブロワー49からの前記貯蔵室64内へ送風される風量に応じて前記連通部66から貯蔵室64内の空気が大気圧開放されながら前記被開繊物を前記開繊機本体1により開繊するようにしていることを特徴としている。
【0022】
請求項5に記載の開繊システムでは、前記被開繊物の厚みが薄い生地110の場合では、前記開繊機本体1の前方の位置に一対のテンションローラ120、122を前後方向に配置し、これらテンションローラ120、122により生地110を前後方向に折り返して、該テンションローラ120、122により生地110にテンションを与えていることを特徴としている。
【0023】
請求項6に記載の開繊システムでは、前後方向のテンションローラ120、122の水平方向の水平軸H1を基準として、一方のテンションローラ120を前記水平軸H1上に配置した場合、他方のテンションローラ122の配置位置は水平軸H1に対して相対的に上方又は下方に鋭角の範囲内としていることを特徴としている。
【0024】
請求項7に記載のリサイクル品の製造方法では、供給される厚みが厚い寝装品35や厚みが薄い生地110などの被開繊物を回転しながら上下から強固に保持する上下一対のフィードローラと、このフィードローラの後段に配置されて外周面にメタリックワイヤー6を巻き付けたシリンダ3と、このシリンダ3の回転により前記メタリックワイヤー6にて開繊されたリサイクル原綿51の吸引作用を行なうブロワー49とからなる開繊機本体1と、
前記開繊機本体1のブロワー49にて吸引されたリサイクル原綿51を排出用ダクト50を介して採集される有限密閉空間とした貯蔵室64とを備えている開繊システムにおいて、
前記貯蔵室64には外気と連通する連通部66を備え、
前記供給される被開繊物を前記開繊機本体1のメタリックワイヤー6により繊維状に開繊する開繊工程と、
前記開繊工程により繊維状に開繊されたリサイクル原綿51を前記ブロワー49により吸引し該リサイクル原綿51を前記排出用ダクト50へ送り出す送り出し工程と、
前記送り出し工程の際に、前記ブロワー49からの前記貯蔵室64内へ送風され前記連通部66から貯蔵室64内の空気が大気圧開放されながら前記排出用ダクト50から前記貯蔵室64へリサイクル原綿51を吹き飛ばして該貯蔵室64内にリサイクル原綿51を採集する採集工程と
からなることを特徴としている。
【0025】
請求項8に記載のリサイクル品の製造方法では、前記被開繊物の厚みが薄い生地110の場合では、前記開繊機本体1の前方の位置に一対のテンションローラ120、122を前後方向に配置し、これらテンションローラ120、122により生地110を前後方向に折り返して、該テンションローラ120、122により生地110にテンションを与えていることを特徴としている。
【0026】
請求項9に記載のリサイクル品の製造方法では、前後方向のテンションローラ120、122の水平方向の水平軸H1を基準として、一方のテンションローラ120を前記水平軸H1上に配置した場合、他方のテンションローラ122の配置位置は水平軸H1に対して相対的に上方又は下方に鋭角の範囲内としていることを特徴としている。
【0027】
請求項10に記載の開繊方法では、供給される厚みが厚い寝装品35や厚みが薄い生地110などの被開繊物を回転しながら開繊するメタリックワイヤーなどの引っ掻き手段を外周面に配設したシリンダ3と、このシリンダ3の回転により前記引っ掻き手段にて開繊されたリサイクル原綿51の吸引作用を行なうブロワー49とからなる開繊機本体1と、
前記開繊機本体1のブロワー49にて吸引されたリサイクル原綿51を排出用ダクト50を介して採集される有限密閉空間とした貯蔵室64とを備えている開繊システムであって、
前記貯蔵室64には大気圧である外気と連通する連通部66を備え、
前記供給される被開繊物を前記開繊機本体1の引っ掻き手段により繊維状に開繊し、
繊維状に開繊されたリサイクル原綿51を前記ブロワー49により吸引すると共に前記排出用ダクト50へ送風される風量により該リサイクル原綿51を前記排出用ダクト50へ送り出し、
前記排出用ダクト50から前記貯蔵室64へリサイクル原綿51を吹き飛ばして該貯蔵室64内にリサイクル原綿51を採集していき、
前記ブロワー49からの前記貯蔵室64内へ送風され前記連通部66から貯蔵室64内の空気が大気圧開放されながら前記被開繊物を前記開繊機本体1により開繊するようにしていることを特徴としている。
【0028】
請求項11に記載の開繊システムでは、供給される厚みが厚い寝装品35や厚みが薄い生地110などの被開繊物を回転しながら開繊するメタリックワイヤーなどの引っ掻き手段を外周面に配設したシリンダ3と、このシリンダ3の回転により前記引っ掻き手段にて開繊されたリサイクル原綿51の吸引作用を行なうブロワー49とからなる開繊機本体1と、
前記開繊機本体1のブロワー49にて吸引されたリサイクル原綿51を排出用ダクト50を介して採集される有限密閉空間とした貯蔵室64とを備えている開繊システムであって、
前記貯蔵室64には大気圧である外気と連通する連通部66を備え、
前記ブロワー49からの前記貯蔵室64内へ送風され前記連通部66から貯蔵室64内の空気が大気圧開放されながら前記被開繊物を前記開繊機本体1により開繊するようにしていることを特徴としている。
【0029】
請求項12に記載のリサイクル品の製造方法では、供給される厚みが厚い寝装品35や厚みが薄い生地110などの被開繊物を回転しながら開繊するメタリックワイヤーなどの引っ掻き手段を外周面に配設したシリンダ3と、このシリンダ3の回転により前記引っ掻き手段にて開繊されたリサイクル原綿51の吸引作用を行なうブロワー49とからなる開繊機本体1と、
前記開繊機本体1のブロワー49にて吸引されたリサイクル原綿51を排出用ダクト50を介して採集される有限密閉空間とした貯蔵室64とを備えている開繊システムにおいて、
前記貯蔵室64には大気圧である外気と連通する連通部66を備え、
前記供給される被開繊物を前記開繊機本体1の引っ掻き手段により繊維状に開繊する開繊工程と、
前記開繊工程により繊維状に開繊されたリサイクル原綿51を前記ブロワー49により吸引し該リサイクル原綿51を前記排出用ダクト50へ送り出す送り出し工程と、
前記送り出し工程の際に、前記ブロワー49からの前記貯蔵室64内へ送風され前記連通部66から貯蔵室64内の空気が大気圧開放されながら前記排出用ダクト50から前記貯蔵室64へリサイクル原綿51を吹き飛ばして該貯蔵室64内にリサイクル原綿51を採集する採集工程と
からなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0030】
本発明の請求項1に記載の開繊方法によれば、貯蔵室64内には被開繊物から開繊されたリサイクル原綿51が採集されていき、多くのリサイクル原綿51が集積していっても、貯蔵室64に設けた連通部66が外気と連通していることで、ブロワー49から排気されている空気が貯蔵室64内に入っても、貯蔵室64の連通部66から空気が外気へ逃げていくことになり、ブロワー49に与える影響をほとんど無くすことができる。そのため、従来とは異なり、貯蔵室64内に多くのリサイクル原綿51が集積されても、ほぼ100%開繊することができ、小さな切れはしがリサイクル原綿51に混在することもない。これにより、貯蔵室64内のリサイクル原綿51の集積量に関係なく、被開繊物をほぼ完全に開繊させることができる。
【0031】
請求項2に記載の開繊方法によれば、前後一対のテンションローラ120、122にて生地110を前後方向に折り返して生地110にテンションを与えることで、開繊機本体1でのメタリックワイヤー6による生地110の開繊作用において、前段フィードローラ10、11と後段フィードローラ70、71による生地110の送り過ぎを防ぎ、生地110を綺麗に繊維状に開繊することができる。特に、貯蔵室64に多くの開繊したリサイクル原綿51が集積されてきても、貯蔵室64の連通部66の働きと、テンションローラ120、122による生地110への適度のテンションにより、小さな切れはしを生じさせることなく生地110を綺麗に開繊することができる。
【0032】
請求項3に記載の開繊方法によれば、厚みが薄い生地110の場合で、生地110の素材の種類に応じて一方の例えばテンションローラ122を水平軸H1に対して上方向、あるいは下方向の任意の位置に適宜配置することで、小さな切れはしを混在させることなく、生地110を一層繊維状に綺麗に開繊することができる。
【0033】
請求項4に記載の開繊システムによれば、貯蔵室64内には被開繊物から開繊されたリサイクル原綿51が採集されていき、多くのリサイクル原綿51が集積していっても、貯蔵室64に設けた連通部66が外気と連通していることで、ブロワー49から排気されている空気が貯蔵室64内に入っても、貯蔵室64の連通部66から空気が外気へ逃げていくことになり、ブロワー49に与える影響をほとんど無くすことができる。そのため、従来とは異なり、貯蔵室64内に多くのリサイクル原綿51が集積されても、ほぼ100%開繊することができ、小さな切れはしがリサイクル原綿51に混在することもない。これにより、貯蔵室64内のリサイクル原綿51の集積量に関係なく、被開繊物をほぼ完全に開繊させることができる。
【0034】
請求項5に記載の開繊システムによれば、前後一対のテンションローラ120、122にて生地110を前後方向に折り返して生地110にテンションを与えることで、開繊機本体1でのメタリックワイヤー6による生地110の開繊作用において、前段フィードローラ10、11と後段フィードローラ70、71による生地110の送り過ぎを防ぎ、生地110を綺麗に繊維状に開繊することができる。特に、貯蔵室64に多くの開繊したリサイクル原綿51が集積されてきても、貯蔵室64の連通部66の働きと、テンションローラ120、122による生地110への適度のテンションにより、小さな切れはしを生じさせることなく生地110を綺麗に開繊することができる。
【0035】
請求項6に記載の開繊システムによれば、厚みが薄い生地110の場合で、生地110の素材の種類に応じて一方の例えばテンションローラ122を水平軸H1に対して上方向、あるいは下方向の任意の位置に適宜配置することで、小さな切れはしを混在させることなく、生地110を一層繊維状に綺麗に開繊することができる。
【0036】
請求項7に記載のリサイクル品の製造方法によれば、寝装品35をほぼ100%開繊でき、小さな切れはしが混在しない繊維状に綺麗に開繊されたリサイクル原綿51(リサイクル品)を製造することができる。すなわち、ほぼ100%開繊した原綿に近いリサイクル品を製造することができる。
【0037】
請求項8に記載のリサイクル品の製造方法によれば、前後一対のテンションローラ120、122にて生地110を前後方向に折り返して生地110にテンションを与えることで、開繊機本体1でのメタリックワイヤー6による生地110の開繊作用において、前段フィードローラ10、11と後段フィードローラ70、71による生地110の送り過ぎを防ぎ、生地110を綺麗に繊維状に開繊することができる。特に、貯蔵室64に多くの開繊したリサイクル原綿51が集積されてきても、貯蔵室64の連通部66の働きと、テンションローラ120、122による生地110への適度のテンションにより、小さな切れはしを生じさせることなく生地110を綺麗に開繊したリサイクル原綿51を製造することができる。
【0038】
請求項9に記載のリサイクル品の製造方法によれば、厚みが薄い生地110の場合で、生地110の素材の種類に応じて一方の例えばテンションローラ122を水平軸H1に対して上方向、あるいは下方向の任意の位置に適宜配置することで、小さな切れはしを混在させることなく、生地110を一層繊維状に綺麗に開繊することができる。
【0039】
請求項10に記載の開繊方法によれば、貯蔵室64内には被開繊物から開繊されたリサイクル原綿51が採集されていき、多くのリサイクル原綿51が集積していっても、貯蔵室64に設けた連通部66が外気と連通していることで、ブロワー49から排気されている空気が貯蔵室64内に入っても、貯蔵室64の連通部66から空気が外気へ逃げていくことになり、ブロワー49に与える影響をほとんど無くすことができる。そのため、貯蔵室64内に多くのリサイクル原綿51が集積されても、綺麗に開繊することができる。これにより、貯蔵室64内のリサイクル原綿51の集積量に関係なく、被開繊物を綺麗に開繊させることができる。
【0040】
請求項11に記載の開繊システムによれば、貯蔵室64内には被開繊物から開繊されたリサイクル原綿51が採集されていき、多くのリサイクル原綿51が集積していっても、貯蔵室64に設けた連通部66が外気と連通していることで、ブロワー49から排気されている空気が貯蔵室64内に入っても、貯蔵室64の連通部66から空気が外気へ逃げていくことになり、ブロワー49に与える影響をほとんど無くすことができる。そのため、貯蔵室64内に多くのリサイクル原綿51が集積されても、綺麗に開繊することができる。これにより、貯蔵室64内のリサイクル原綿51の集積量に関係なく、被開繊物を綺麗に開繊させることができる。
【0041】
請求項12に記載のリサイクル品の製造方法によれば、被開繊物を綺麗に開繊でき、繊維状に綺麗に開繊されたリサイクル原綿51(リサイクル品)を製造することができる。すなわち、綺麗に開繊した原綿に近いリサイクル品を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1〜図14は第1の実施の形態を示し、図1は開繊システムの概略構成図を示し、図2は開繊機本体1の概略平面図を示している。なお、開繊機本体1自体は、特許文献1に記載されている構成と同じであるが、本発明の開繊システムとして、コンベア装置30、開繊機本体1、この開繊機本体1から排出したリサイクル原綿51を採集する貯蔵室64との3つの要素が合体して初めて所期の目的を達成するため、開繊機本体1についても詳述する。
【0043】
開繊機本体1の両側のフレーム2間に略円筒状のシリンダ3が軸受4を介して回転自在に設けられており、このシリンダ3は図外のモータにて高速回転にて駆動されるようになっている。このシリンダ3の外周面3aには図2及び図4に示すように、溝5がスパイラル状に軸方向の略全長にわたって凹設されている。
この溝5に鋸歯型針布であるメタリックワイヤー6が圧入配置されて、該メタリックワイヤー6がシリンダ3の外周面3aにスパイラル状に軸方向の略全長にわたって配設された状態となっている。
【0044】
図3に示すように、上記メタリックワイヤー6の刃先7の部分はシリンダ3の外周面3aより突出しており、また、刃先7の先端は鋭角に尖っている。この刃先7の尖った方向に回転するようにシリンダ3は回転駆動される。なお、このメタリックワイヤー6の刃先7の高さは、従来より存在している一般的なテーカインローラや、ドッファ等のメタリックワイヤーの刃先の高さより、高い高さとしたメタリックワイヤー6を用いている。
すなわち、メタリックワイヤー6の刃先7のシリンダ3の外周面3aからの突出量を大きくして、後述するように寝装品の掻き取り作用である開繊を確実なものとしている。
【0045】
上記シリンダ3の前段側には、図1及び図2に示すように、上下一対のフィードローラ10、11が該シリンダ3に近接して配置されている。開繊機本体1の両側のフレーム2にフィードローラ10、11を回転自在に軸支する軸受け部12が設けられていて、この両側の軸受け部12にてフィードローラ10、11が配置されている。なお、両フィードローラ10、11の軸方向の長さは、上記シリンダ3の軸方向の長さとほぼ同じとしている。
この上下のフィードローラ10、11の断面形状は、略歯車形状に形成されており、歯部19を形成すべく溝13が軸方向の全長にわたって凹設されている。
【0046】
図5及び図6は、フィードローラ10、11を軸支している軸受け部12の構造を示し、この軸受け部12のベース14はフレーム2の上面に固定されている。このベース14の中央部分に縦方向の凹所15が凹設されており、この凹所15の内壁面に対向する形でそれぞれ縦溝16が形成されている。
上下のフィードローラ10、11の軸17、18を軸支する矩形状の軸受21、22が上記縦溝16を介して凹所15内に上から挿入されて、凹所15内で位置決めされて配置されている。この上下の軸受21、22は凹所15内で上下方向にスライド可能となっている。
【0047】
図5に示すように、凹所15の両側のベース14の上面より軸棒23がそれぞれ立設されており、この軸棒23の上部にはネジ部24が螺刻されている。この両軸棒23間に平板状の押さえ板25がその穴(図示せず)を介して挿入され、ナット26を軸棒23のネジ部24にそれぞれ螺着し、押さえ板25の下面と上側の軸受21の上面との間に介装したコイルスプリング状のバネ体27を下方に弾発させている。
【0048】
このようにして圧縮バネ型のバネ体27にて上下の軸受21、22を弾発していることで、下側のフィードローラ11に対して上側のフィードローラ10が常時弾発し、図7に示すように、上下のフィードローラ10、11の歯部19が溝13内に喰い込んで、フィードローラ10、11同士が完全に噛合した状態となっている。
【0049】
また、図1及び図2に示すように、上下のフィードローラ10、11の前段側には、掛け布団や敷布団などの布団、クッション、座布団、コタツ布団、ベッドパッド、肌布団、ベッドスプレット等の寝装品35を送給するためのコンベア装置30が配置されている。
このコンベア装置30は、寝装品31を載せて直接搬送するベルト31と、このベルト31の両端に設けられているスプロケット32、33とで構成されている。
【0050】
このコンベア装置30のフィードローラ10、11側の端部の上方には、上記寝装品35を押さえる押さえローラ41が配設されており、この押さえローラ41は軸受44にて回転自在に軸支されている。この押さえローラ41の断面形状は略歯車形状に形成されていて、押さえローラ41の軸方向に沿って全長にわたって溝42が形成され、この溝42の間に歯部43が同様に軸方向の全長にわたって突出形成されている。
【0051】
なお、上記スプロケット32、33、押さえローラ41及びフィードローラ10、11は、図外のチェーン等で連動して回転駆動され、それぞれ同じ周速度で回転し、コンベア装置30にて搬送される寝装品35を押さえローラ41にて偏平に押さえながら次のフィードローラ10、11側に送給するようにしている。また、上記シリンダ3は、フィードローラ10、11の回転数と比べて高速回転にて駆動されるようになっている。
【0052】
図1に示すようにシリンダ3は、略円筒状のケース45にて覆われており、このケース45の上半分はヒンジ部46にて開閉自在なフタ体47となっている。このケース45の後部には断面が略漏斗状の送給ダクト48が該ケース45と一体的に設けられており、さらにこの送給ダクト48の先端の細くなった部分にブロワー49が設けてある。
このブロワー49の送風出口に排出用ダクト50の一端が接続され、排出用ダクト50の他端は開繊機本体1にて使用済みの寝装品35を開繊したリサイクル原綿51をブロワー49にて吹き飛ばされるようにして採集して集積しておく有限密閉空間としての貯蔵室64に側壁65を挿通して開口している。
【0053】
また、上記貯蔵室64の一部には大気圧である外気と連通する連通部66が設けられており、この連通部66により貯蔵室64内にリサイクル原綿51が多く集積されてきた場合にでも、ブロワー49への影響を無くすようにしている。すなわち、ブロワー49から貯蔵室64内へ送風される風量に応じて連通部66から貯蔵室64内の空気が排気されながら開繊機本体1により寝装品35を開繊するようにしているものである。
なお、この連通部66の形状としては、例えば、円形の穴でも良く、リサイクル原綿51が多く集積された場合でも外気と連通する箇所であれば、側壁65あるいは天井のどこに設けても良い。
【0054】
図8は寝装品35の一例である掛け布団36の平面図を示し、図9はこの掛け布団36の要部拡大断面図を示している。この掛け布団36は周知のように、内部の綿37と、表地である生地38と、綿37と生地38をキルティングする糸39から成っている。この掛け布団36は比較的大きな厚みであり、開繊機本体1の押さえローラ41にて押さえつけられて、次段のフィードローラ10、11へ送給される。
【0055】
図10は寝装品35の他の例であり、この場合はベッドパッド56を示し、図10(a)はベッドパッド56の平面図を、図10(b)は正面図をそれぞれ示している。また、図11はベッドパッド56の要部拡大断面図を示している。
このベッドパッド56も、掛け布団36の場合と同様に、内部の綿37と、表地である生地38と、綿37と生地38をキルティングする糸39から成っている。なお、ベッドパッド56の構成要素は掛け布団36の場合と同じであるので、同一の番号を付している。このベッドパッド56の場合は、厚みはかなり薄いものである。
【0056】
図12は、マットレスなどの芯材となる、いわゆる固綿57を示し、図12(a)は固綿57の平面図を、図12(b)は固綿57の正面図をそれぞれ示している。この固綿57は、従来より存在しているカード機(梳綿機)にて造った篠綿(しのわた)を幾層にも積層して、圧縮させたものであり、図12(a)に示す一点鎖線の箇所で裁断して所定寸法の固綿57を形成するものである。
固綿57の周囲を裁断することで、図13に示すような四角棒状の固綿片58が形成されることになる。従来では、裁断して余った固綿片58を廃棄していたが、本発明では、この固綿片58もリサイクル化を図るようにしている。なお、この固綿片58自体は圧縮された綿37のみで構成されている。
【0057】
次に、本発明の開繊機本体1、貯蔵室64を用いた開繊システムによる使用済みの寝装品35の開繊工程(開繊方法及びリサイクル品の製造方法)ないし動作について図1を用いて説明する。使用済みの寝装品35は、綿37や生地38や糸39をそれぞれ分離させることなく、寝装品35をそのまま原形の状態でコンベア装置30のベルト31に載せる。
ベルト31が回転して寝装品35が搬送されていき、押さえローラ41の所で該押さえローラ41により寝装品35は圧縮される。コンベア装置30及び押さえローラ41の回転駆動と同時に、上下のフィードローラ10、11及びシリンダ3、さらにはブロワー49が駆動される。
【0058】
図14に示すように、押さえローラ41にて圧縮された寝装品35は上下のフィードローラ10、11の間に送給され、寝装品35の先端部分にフィードローラ10、11の歯部19が喰い込んでいく。この時、上側のフィードローラ10は下方に向けて弾発している付勢力に抗して上方へ移動しながら、且つ上下のフィードローラ10、11が回転しながら、寝装品35の先端部分をフィードローラ10、11の歯部19にて寝装品35を喰い込みながら強制的にシリンダ3のメタリックワイヤー6側に送り出す。
フィードローラ10、11にて送り出された寝装品35の先端部分は、フィードローラ10、11の回転より高速回転しているシリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7にて開繊される。
【0059】
メタリックワイヤー6の刃先7にて寝装品35が開繊される場合、寝装品35の綿37、生地38、糸39は同時に開繊されていき、綿37自体、生地38自体が塊となることなく、繊維状に混ざり合って開繊される。この繊維状に開繊されると、繊維状のまま、あるいは、新品の原綿のように、ある程度の塊となったリサイクル原綿51としてシリンダ3の回転方向に沿ってケース45内に落下していく。
ケース45内に落下した多数のリサイクル原綿51は、ブロワー49の吸引作用によりケース45内から送給ダクト48、ブロワー49を介して排出用ダクト50へと強制的に送られる。ブロワー49の送風によりリサイクル原綿51は排出用ダクト50内を送給され、さらに排出用ダクト50の先端よりブロワー49の吸引作用により貯蔵室64内へ吹き飛ばされる。
【0060】
このようにして貯蔵室64内には寝装品35から開繊されたリサイクル原綿51が採集されていき、多くのリサイクル原綿51が集積していっても、貯蔵室64に設けた連通部66が外気と連通していることで、ブロワー49から排気されている空気が貯蔵室64内に入っても、貯蔵室64の連通部66から該貯蔵室64内の空気が大気圧開放されることになり、そのため、ブロワー49への影響をほとんど無くすことができる。
そのため、従来とは異なり、貯蔵室64内に多くのリサイクル原綿51が集積されても、ほぼ100%開繊することができ、小さな切れはしがリサイクル原綿51に混在することもない。これにより、貯蔵室64内のリサイクル原綿51の集積量に関係なく、寝装品35をほぼ完全に開繊させることができ、新品とほぼ同様なリサイクル品であるリサイクル原綿51を製造することができる開繊方法及び開繊システムを提供することができるものである。
【0061】
また、貯蔵室64には大気圧である外気と連通する連通部66を備え、供給される寝装品35を開繊機本体1のメタリックワイヤー6により繊維状に開繊する開繊工程と、この開繊工程により繊維状に開繊されたリサイクル原綿51をブロワー49により吸引すると共に排出用ダクト50へ送風される風量により該リサイクル原綿51を排出用ダクト50へ送り出す送り出し工程と、この送り出し工程の際に、ブロワー49からの貯蔵室64内へ送風され連通部66から貯蔵室64内の空気が大気圧開放されながら排出用ダクト50から前記貯蔵室64へリサイクル原綿51を吹き飛ばして該貯蔵室64内にリサイクル原綿51を採集する採集工程とを経てリサイクル原綿51(リサイクル品)を製造するようにしているものである。
【0062】
これにより、寝装品35をほぼ100%開繊でき、小さな切れはしが混在しない繊維状に綺麗に開繊されたリサイクル原綿51(リサイクル品)を製造することができる。すなわち、ほぼ100%開繊した原綿に近いリサイクル品を製造することができる。なお、このリサイクル原綿51は、布団、ベッドパッド、固綿等を製造する際に、新品の原綿に対して一定の割合で混入して使用されるものである。
【0063】
ここで、寝装品35の先端部分は、上下のフィードローラ10、11により堅固に保持されており、フィードローラ10、11にて送り出された寝装品35の先端部分が高速回転しているシリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7にて開繊されている。
そして、メタリックワイヤー6の刃先7にて寝装品35の先端部分は掻き取られるように開繊されている場合、この刃先7による引っ掻き力のみでは寝装品35が送り出されないように上下のフィードローラ10、11にて寝装品35を強固に挟持ないし保持している。
【0064】
したがって、シリンダ3が高速回転していてメタリックワイヤー6の刃先7により寝装品35の先端部分を引っ掻いて開繊していても、コンベア装置30、押さえローラ41及び上下のフィードローラ10、11が回転しない限り、寝装品35はフィードローラ10、11から送り出されないようにしている。
つまり、上側のフィードローラ10はバネ体27にて下側のフィードローラ11側に付勢している弾発力により、上下のフィードローラ10、11の歯部19と溝13が噛合するように付勢されているので、上下のフィードローラ10、11が回転しない限り寝装品35は送り出されることはない。
【0065】
ここで、高速回転するシリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7による引っ掻き力により、上下のフィードローラ10、11の保持力に抗して寝装品35の先端部分が滑るようにシリンダ3側に送り出されてしまうと、メタリックワイヤー6にて開繊しても、元のままのある大きさの塊の状態で開繊される部分が生じてしまい、新品の原綿のような繊維状のリサイクル原綿51に再生することができない。
しかし、本実施形態では、シリンダ3が高速回転していてメタリックワイヤー6の刃先7により寝装品35の先端部分を引っ掻いて開繊していても、コンベア装置30、押さえローラ41及び上下のフィードローラ10、11が回転しない限り、寝装品35はフィードローラ10、11から該寝装品35が滑って送り出されないようにしているので、かかる不具合は生じず、寝装品35を綺麗に開繊することができ、新品の原綿のような繊維状のリサイクル原綿51に再生することができる。
すなわち、シリンダ3のメタリックワイヤー6による寝装品35の先端部分の開繊時の引っ掻き力のみでは寝装品35がシリンダ3側へ滑らないように、前記フィードローラ10、11にて該寝装品35を強固に保持させているので、寝装品35を綺麗に開繊することができ、新品の原綿のような繊維状のリサイクル原綿51に再生することができる。
【0066】
なお、図1では寝装品35の例として掛け布団36の場合を示し、図2では寝装品35の例としてベッドパッド56の場合を示している。ベッドパッド56の厚みは薄いが、押さえローラ41にてさらに押さえつけられてフィードローラ10、11側へ送給される。
また、厚さが厚い掛け布団36の場合では、押さえローラ41にて一層薄く押さえつけられてフィードローラ10、11側へ送られる。
【0067】
なお、先の実施形態では、寝装品35の例として掛け布団36、ベッドパッド56の場合について説明したが、これら以外に敷布団、クッション、座布団、コタツ布団、肌布団、ベッドスプレットの場合も同様に、使用済みの原形のままの状態で、綿や生地を分離させることなく開繊機本体1にて繊維状に開繊して新品と同様のリサイクル原綿51を再生することができる。
また、図13に示すような固綿片58を開繊機本体1にて繊維状に開繊でき、かかる場合も新品と同様のリサイクル原綿51を容易に再生することができる。
【0068】
また、寝装品35を構成している部材(中綿、生地等)は、ポリエステル、アクリル、ナイロン、レーヨン、コットン(綿)、羊毛等の場合でも、適用でき、新品と同様のリサイクル原綿51を再生でき、リサイクル化を図ることができる。
【0069】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について図15〜図19により説明する。本実施形態ではシリンダ3の前段のフィードローラを2段構成として、寝装品35の保持力を一層強固にして、シリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7にて寝装品35の先端部分を開繊している場合の刃先7の引っ掻き力にて寝装品35が送給されるのを確実に防止するようにしたものである。
なお、リサイクル原綿51を採集、集積する貯蔵室64の構成は、先の実施形態と同じである。
【0070】
図15は開繊システムの概略構成図を示し、図16は開繊機本体1の概略平面図を示している。上下の前段フィードローラ10、11として先の実施形態と同様のフィードローラで構成し、また、この前段フィードローラ10、11の次の上下の後段フィードローラ70、71として先の実施形態とは異なる形状のものを用いており、表面にメタリックワイヤーをスパイラル状に設けたものである。
【0071】
前段フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71は同じ軸受け部12にて軸支されており、この軸受け部12の構成を図17に示す。軸受け部12の構成は、基本的には図5に示す場合と同様であり、前段フィードローラ10、11の軸受け構造の説明は省略し、後段フィードローラ70、71の軸受け構造について説明する。なお、前段フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71の軸受け構造は基本的には同じ構造である。
【0072】
軸受け部12のベース14はフレーム2の上面に固定されていて、ベース14の左方には前段フィードローラ10、11を軸支している軸支部12aが先の実施形態と同様な構造で構成され、ベース14の右方には後段フィードローラ70、71を軸支する軸支部12bが設けられている。両軸支部12a、12bは同じ構成であるが、異なる番号を付して説明すると、軸支部12bの中央部分に縦方向の凹所72が凹設されており、この凹所72の内壁面に対向する形でそれぞれ縦溝73が形成されている。
上下の後段フィードローラ70、71の軸74、75を軸支する矩形状の軸受76、77が上記縦溝73を介して凹所72内に上から挿入されて、凹所72内で位置決めされて配置されている。この上下の軸受76、77は凹所72内で上下方向にスライド可能となっている。
【0073】
図17に示すように、ベース14の右方の凹所72の両側の上面より軸棒78がそれぞれ立設されており、この軸棒78の上部にはネジ部79が螺刻されている。この両軸棒78間に平板状の押さえ板82がその穴(図示せず)を介して挿入され、ナット83を軸棒78のネジ部79にそれぞれ螺着し、押さえ板82の下面と上側の軸受76の上面との間に介装したコイルスプリング状のバネ体84を下方に弾発させている。
【0074】
このようにして圧縮バネ型のバネ体84にて上下の軸受76、77を弾発していることで、下側のフィードローラ71に対して上側のフィードローラ70が常時弾発し、図26に示すように、上下の後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー61の刃先62が互いの外周面に弾発付勢して当接した状態となっている。
また、前段フィードローラ10、11については、先の実施形態と同様に圧縮バネ型のバネ体27にて上下の軸受21、22を弾発していることで、下側のフィードローラ11に対して上側のフィードローラ10が常時弾発し、図15に示すように、上下のフィードローラ10、11の歯部19が溝13内に喰い込んで、フィードローラ10、11同士が完全に噛合した状態となっている。
【0075】
なお、2段に構成した前段フィードローラ10、11と後段フィードローラ70、71以外の開繊機本体1の構成は先の実施形態と同様なので、同一の番号を付して詳細な説明は省略する。
【0076】
次に、本実施形態の開繊機本体1による使用済みの寝装品35の開繊工程(開繊方法及びリサイクル品の製造方法)ないし動作について図15〜図19を用いて説明する。使用済みの掛け布団36やベッドパッド56などの寝装品35は、先の実施形態と同様に綿37や生地38を分離させることなく、寝装品35をそのままコンベア装置30のベルト31に載せる。
ベルト31が回転して寝装品35が搬送されていき、押さえローラ41の所で該押さえローラ41により寝装品35は圧縮される。コンベア装置30及び押さえローラ41の回転駆動と同時に、上下の前段フィードローラ10、11、上下の後段フィードローラ70、71及びシリンダ3、さらにはブロワー49が駆動される。
【0077】
なお、コンベア装置30のスプロケット32、33、押さえローラ41、前段フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71の周速度は同じとしている。また、これらの後段フィードローラ70、71等の周速度より、シリンダ3の回転速度は高速回転としている。
【0078】
押さえローラ41にて圧縮された寝装品35は上下の前段フィードローラ10、11の間に送給され、寝装品35の先端部分にフィードローラ10、11の歯部19が喰い込んでいく。この時、上側のフィードローラ10は下方に向けて弾発している付勢力に抗して上方へ移動しながら、且つ上下のフィードローラ10、11が回転しながら、寝装品35の先端部分をフィードローラ10、11の歯部19にて寝装品35を喰い込みながら強制的に後段フィードローラ70、71側へ送り出す。
【0079】
前段フィードローラ10、11から送り出された寝装品35の先端部分は、次の後段フィードローラ70、71の間に送給され、寝装品35の先端部分に後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー61の刃先62がそれぞれ喰い込んでいく。この時、上側のフィードローラ70は下方に向けて弾発している付勢力に抗して上方へ移動しながら、且つ上下の後段フィードローラ70、71が回転しながら、且つ寝装品35の先端部分を後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー61の刃先62にて寝装品35を喰い込みながら強制的にシリンダ3のメタリックワイヤー6側に送り出す。
後段フィードローラ70、71にて送り出された寝装品35の先端部分は、後段フィードローラ70、71の回転より高速回転しているシリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7にて開繊される。
【0080】
メタリックワイヤー6の刃先7にて寝装品35が開繊される場合、寝装品35の綿37、生地38、糸39は同時に開繊されていき、綿37自体、生地38自体が塊となることなく、繊維状に混ざり合って開繊される。この繊維状に開繊されると、繊維状のまま、あるいは、新品の原綿のように、ある程度の塊となったリサイクル原綿51としてシリンダ3の回転方向に沿ってケース45内に落下していく。
ケース45内に落下した多数のリサイクル原綿51は、ブロワー49の吸引作用によりケース45内から送給ダクト48、ブロワー49を介して排出用ダクト50へと強制的に送られる。ブロワー49の送風によりリサイクル原綿51は排出用ダクト50内を送給され、さらに排出用ダクト50の先端よりブロワー49の吸引作用により貯蔵室64内へ吹き飛ばされる。
【0081】
このようにして貯蔵室64内には寝装品35から開繊されたリサイクル原綿51が採集されていき、多くのリサイクル原綿51が集積していっても、貯蔵室64に設けた連通部66が外部と連通していることで、ブロワー49から排気されている空気が貯蔵室64内に入っても、貯蔵室64の連通部66から空気が外気へ逃げていくことになり、ブロワー49への影響をほとんど無くすことができる。
そのため、従来とは異なり、貯蔵室64内に多くのリサイクル原綿51が集積されても、ほぼ100%開繊することができ、小さな切れはしがリサイクル原綿51に混在することもない。これにより、貯蔵室64内のリサイクル原綿51の集積量に関係なく、寝装品35をほぼ完全に開繊させることができる開繊方法及び開繊システムを提供することができるものである。
【0082】
また、貯蔵室64には大気圧である外気と連通する連通部66を備え、供給される寝装品35を開繊機本体1のメタリックワイヤー6により繊維状に開繊する開繊工程と、この開繊工程により繊維状に開繊されたリサイクル原綿51をブロワー49により吸引すると共に排出用ダクト50へ送風される風量により該リサイクル原綿51を排出用ダクト50へ送り出す送り出し工程と、この送り出し工程の際に、ブロワー49からの貯蔵室64内へ送風され連通部66から貯蔵室64内の空気が排気されながら排出用ダクト50から前記貯蔵室64へリサイクル原綿51を吹き飛ばして該貯蔵室64内にリサイクル原綿51を採集する採集工程とを経てリサイクル原綿51(リサイクル品)を製造するようにしているものである。
【0083】
これにより、寝装品35をほぼ100%開繊でき、小さな切れはしが混在しない繊維状に綺麗に開繊されたリサイクル原綿51(リサイクル品)を製造することができる。すなわち、ほぼ100%開繊した原綿に近いリサイクル品を製造することができる。なお、このリサイクル原綿51は、布団、ベッドパッド、固綿等を製造する際に、新品の原綿に対して一定の割合で混入して使用されるものである。
【0084】
ここで、寝装品35の先端部分は、上下の後段フィードローラ70、71により堅固に保持されており、後段フィードローラ70、71にて送り出された寝装品35の先端部分が高速回転しているシリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7にて開繊されている。また、この時、後段フィードローラ70、71の前の前段フィードローラ10、11においても寝装品35を強固に保持している。
そして、メタリックワイヤー6の刃先7にて寝装品35の先端部分は掻き取られるように開繊されている場合、この刃先7による引っ掻き力のみでは寝装品35が滑って送り出されないように上下の後段フィードローラ70、71及び前段フィードローラ10、11にて寝装品35を強固に挟持ないし保持している。
【0085】
したがって、シリンダ3が高速回転していてメタリックワイヤー6の刃先7により寝装品35の先端部分を引っ掻いて開繊していても、コンベア装置30、押さえローラ41、上下の前段フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71が回転しない限り、寝装品35は後段フィードローラ70、71から送り出されないようにしている。
つまり、上側のフィードローラ10はバネ体27にて下側のフィードローラ11側に付勢している弾発力により、上下のフィードローラ10、11の歯部19と溝13が噛合するように付勢されていることと、同時に上下の後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー61の刃先62にて引っかけ係止しているので、上下の後段フィードローラ70、71等が回転しない限り寝装品35は送り出されることはない。
【0086】
特に、後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー61の刃先62の方向が寝装品35の搬送方向とは逆方向に尖っているので、且つ前段フィードローラ10、11において寝装品35を強固に保持することができ、そのため、シリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7による引っ掻き力による送給方向への滑りを防止し、寝装品35を確実に繊維状に開繊することができる。
【0087】
ここで、高速回転するシリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7による引っ掻き力により、上下の後段フィードローラ70、71の保持力に抗して寝装品35の先端部分が滑るようにシリンダ3側に送り出されてしまうと、メタリックワイヤー6にて開繊しても、元のままのある大きさの塊の状態で開繊される部分が生じてしまい、新品の原綿のような繊維状のリサイクル原綿51にはならない。
【0088】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施形態を図20〜図28を用いて説明する。また、先の第1、第2の実施形態では、開繊する対象物を厚みが厚い寝装品35としていたが、本実施形態では、開繊する対象物が厚みが薄い、例えば、シャワーカーテン、一般のカーテン、シーツ等の生地を対象としている。
【0089】
図20は本実施形態の開繊システムの概略構成図を示し、図21は開繊機本体1の平面図を示している。なお、開繊機本体1の構成は先の実施形態とは少し異なるが、開繊を行なうという機能としては同じなので、同一の番号を付して説明する。また、先の実施形態と同じ機能を発揮する部材については同一の番号を付し、異なる部分について詳述する。
また、貯蔵室64の構成については、先の第1、第2の実施形態と同じなので、詳細な説明は省略する。
【0090】
本実施形態では上記第2の実施形態と比べて後段フィードローラ70、71の構成が異なり、また、前段フィードローラ10、11と後段フィードローラ70、71を軸支している軸受部12の構成は図17に示す構成と同じである。
したがって、後段フィードローラ70、71において、圧縮バネ型のバネ体84にて上下の軸受76、77を弾発していることで、下側のフィードローラ71に対して上側のフィードローラ70が常時弾発付勢し、図23に示すように、上下の後段フィードローラ70、71の後述するメタリックワイヤー102の刃先103が互いの外周面に弾発付勢して当接した状態となっている。
【0091】
図24に示すように、後段フィードローラ70、71の外殻を構成している円筒状のシリンダ100の外周面には溝101がスパイラル状に軸方向の略全長にわたって凹設されている。
この溝101に図25及び図26に示すようなメタリックワイヤー102が圧入配置されており、該メタリックワイヤー102が図22に示すように、シリンダ100の外周面100aにスパイラル状に軸方向の全長にわたって配設されている。
【0092】
図25に示すように、上記メタリックワイヤー102の刃先103の形状は、シリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7の形状とは異なり、回転方向に尖った形状ではなく、略三角形状としている。図26はメタリックワイヤー102をシリンダ100の溝101に圧入配置した状態を示す要部拡大断面図である。
すなわち、後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー102の刃先103は、該後段フィードローラ70、71の径方向と略同方向に外側に向かって尖った形状としている。
【0093】
下側の後段フィードローラ71はバネ体84にて上側の後段フィードローラ70にて常時弾発付勢されているので、図27に示すように、上下の後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー102の刃先103の先端はそれぞれ後段フィードローラ70、71のシリンダ100、100の面と接触するようになっている。なお、図27では、上側の後段フィードローラ70の刃先103と、下側の後段フィードローラ71の刃先103のハッチングの模様を異ならせて分かり易いようにしている。
【0094】
また、図20及び図21に示すように、上下の前段フィードローラ10、11の前段側には、ホテルなどの浴室で使用されるシャワーカーテン、ホテルや病院などで使用される通常のカーテン、ホテルや病院などのベッドで使用されるシーツなどの生地110を前段フィードローラ10、11に送給するためのコンベア装置30が配置されている。
【0095】
このコンベア装置30の前段フィードローラ10、11側の端部の上方には、上記生地110を押さえる押さえローラ41が配設されており、この押さえローラ41は軸受44にて回転自在に軸支されている。この押さえローラ41の断面形状は略歯車形状に形成されていて、押さえローラ41の軸方向に沿って全長にわたって溝42が形成され、この溝42の間に歯部43が同様に軸方向の全長にわたって突出形成されている。
【0096】
なお、上記スプロケット32、33、押さえローラ41、前段フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71は、図外のチェーン等で連動して回転駆動され、それぞれ同じ周速度で回転し、コンベア装置30にて搬送される生地110を押さえローラ41にて押さえながら次の前段フィードローラ10、11側に送り出すようにしている。また、上記シリンダ3は、前段フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71の回転数と比べて高速回転にて駆動されるようになっている。
【0097】
シリンダ3は、略円筒状のケース45にて覆われており、このケース45の上半分はヒンジ部46にて開閉自在なフタ体47となっている。このケース45の後部には断面が略漏斗状の送給ダクト48が該ケース45と一体的に設けられており、さらにこの送給ダクト48の先端の細くなった部分にブロワー49が設けてある。
このブロワー49の送風出口に排出用ダクト50の一端が接続され、排出用ダクト50の他端は開繊機本体1にて使用済みの生地110を開繊したリサイクル原綿51をブロワー49にて吹き飛ばされるようにして採集して集積しておく有限密閉空間としての貯蔵室64に開口している。この貯蔵室64は先の実施形態と同じ構成及び機能を有しているものである。
【0098】
次に、本実施形態の開繊機本体1による使用済みの生地110の開繊工程(開繊方法及びリサイクル品の製造方法)ないし動作について図28等を用いて説明する。使用済みのシャワーカーテン、一般のカーテン、シーツ等の生地110は、小片にカットすることなく原形のまま1枚の生地110をそのまま広げた状態、あるいは複数枚の生地110を重ねた状態でコンベア装置30に載せる。なお、1枚あるいは複数枚の生地110を折り畳んだ状態でコンベア装置30に載せて開繊するようにしても良い。また、生地110の積層枚数は、開繊効率の点で1枚よりは複数枚を積層した方が良い。
【0099】
ベルト31が回転して生地110が搬送されていき、押さえローラ41の所で該押さえローラ41により生地110はガイドされながら前段フィードローラ10、11に送給される。コンベア装置30及び押さえローラ41の回転駆動と同時に、上下の前段フィードローラ10、11、上下の後段フィードローラ70、71及びシリンダ3、さらにはブロワー49が駆動される。
【0100】
なお、コンベア装置30のスプロケット32、33、押さえローラ41、前段フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71の周速度は同じとしている。また、これらの後段フィードローラ70、71等の周速度より、シリンダ3の回転速度は高速回転としている。
【0101】
押さえローラ41にて押さえられながらガイドされた生地110は上下の前段フィードローラ10、11の間に送給され、生地110の先端部分に前段フィードローラ10、11の歯部19が喰い込んでいく。この時、上側の前段フィードローラ10はバネ体27により弾発付勢されているので、上下の前段フィードローラ10、11の歯部19と溝13とは強固に噛合している。
そして、上下の前段フィードローラ10、11が回転しながら、生地110の先端部分を前段フィードローラ10、11の歯部19にて喰い込みながら且つ生地110を強固に挟持しながら強制的に後段フィードローラ70、71側へ送り出す。
【0102】
前段フィードローラ10、11から送り出された生地110の先端部分は、次の後段フィードローラ70、71の間に送給され、生地110の先端部分に後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー102の刃先103がそれぞれ喰い込んでいく。この時、上下の後段フィードローラ70、71が回転しながら、且つ生地110の先端部分を後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー102の刃先103にて生地110を喰い込みながら強制的にシリンダ3のメタリックワイヤー6側に送り出す。
後段フィードローラ70、71にて送り出された生地110の先端部分は、後段フィードローラ70、71の回転より高速回転しているシリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7にて開繊される。
【0103】
メタリックワイヤー6の刃先7にて生地110が開繊される場合、生地110は繊維状に混ざり合って開繊される。この繊維状に開繊されると、繊維状のまま、あるいは、新品の原綿のように、ある程度の塊となったリサイクル原綿51としてシリンダ3の回転方向に沿ってケース45内に落下していく。
ケース45内に落下した多数のリサイクル原綿51は、ブロワー49の吸引作用によりケース45内から送給ダクト48、ブロワー49を介して排出用ダクト50へと強制的に送られる。ブロワー49の送風によりリサイクル原綿51は排出用ダクト50内を送給され、さらに排出用ダクト50の先端よりブロワー49の吸引作用により貯蔵室64内へ吹き飛ばされる。
【0104】
このようにして貯蔵室64内には生地110から開繊されたリサイクル原綿51が採集されていき、多くのリサイクル原綿51が集積していっても、貯蔵室64に設けた連通部66が外気と連通していることで、ブロワー49から排気されている空気が貯蔵室64内に入っても、貯蔵室64の連通部66から空気が外気へ逃げていくことになり、ブロワー49への影響をほとんど無くすことができる。
そのため、従来とは異なり、貯蔵室64内に多くのリサイクル原綿51が集積されても、ほぼ100%開繊することができ、小さな切れはしがリサイクル原綿51に混在することもない。これにより、貯蔵室64内のリサイクル原綿51の集積量に関係なく、生地110をほぼ完全に開繊させることができる開繊方法及び開繊システムを提供することができるものである。
【0105】
また、貯蔵室64には外気と連通する連通部66を備え、供給される生地110を開繊機本体1のメタリックワイヤー6により繊維状に開繊する開繊工程と、この開繊工程により繊維状に開繊されたリサイクル原綿51をブロワー49により吸引すると共に排出用ダクト50へ送風される風量により該リサイクル原綿51を排出用ダクト50へ送り出す送り出し工程と、この送り出し工程の際に、ブロワー49からの貯蔵室64内へ送風される風量に応じて連通部66から貯蔵室64内の空気が排気されながら排出用ダクト50から前記貯蔵室64へリサイクル原綿51を吹き飛ばして該貯蔵室64内にリサイクル原綿51を採集する採集工程とを経てリサイクル原綿51(リサイクル品)を製造するようにしているものである。
【0106】
これにより、生地110をほぼ100%開繊でき、小さな切れはしが混在しない繊維状に綺麗に開繊されたリサイクル原綿51(リサイクル品)を製造することができる。すなわち、ほぼ100%開繊した原綿に近いリサイクル品を製造することができる。なお、このリサイクル原綿51は、布団、ベッドパッド、固綿等を製造する際に、新品の原綿に対して一定の割合で混入して使用されるものである。
【0107】
ここで、生地110の先端部分は、上下の後段フィードローラ70、71により堅固に保持されており、後段フィードローラ70、71にて送り出された生地110の先端部分が高速回転しているシリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7にて開繊されている。また、この時、後段フィードローラ70、71の前の前段フィードローラ10、11においても生地110を強固に保持している。
そして、メタリックワイヤー6の刃先7にて生地110の先端部分は掻き取られるように開繊されている場合、この刃先103による引っ掻き力のみでは生地110が滑って送り出されないように上下の後段フィードローラ70、71及び前段フィードローラ10、11にて生地110を強固に挟持ないし保持している。
【0108】
したがって、シリンダ3が高速回転していてメタリックワイヤー6の刃先7により生地110の先端部分を引っ掻いて開繊していても、コンベア装置30、押さえローラ41、上下の前段フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71が回転しない限り、生地110は後段フィードローラ70、71から送り出されないようにしている。
【0109】
つまり、上側のフィードローラ10はバネ体27にて下側のフィードローラ11側に付勢している弾発力により、上下のフィードローラ10、11の歯部19と溝13が噛合するように付勢されていることと、同時に上下の後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー102の刃先103にて引っかけ係止して生地110を強固に保持しているので、上下の後段フィードローラ70、71等が回転しない限り生地110はシリンダ3側へ送り出されることはない。
【0110】
そのため、シリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7による引っ掻き力による送給方向への滑りを防止し、生地110を確実に繊維状に開繊することができ、新品の原綿のような繊維状のリサイクル原綿51に再生することができる。つまり、前段フィードローラ10、11や後段フィードローラ70、71が回転停止している状態で、シリンダ3のメタリックワイヤー6による引っ掻き力のみでは、生地110は後段フィードローラ70、71から滑ってシリンダ3側へ送り出されることはない。
【0111】
ここで、高速回転するシリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7による引っ掻き力により、上下の後段フィードローラ70、71の保持力に抗して生地110の先端部分が滑るようにシリンダ3側に送り出されてしまうと、メタリックワイヤー6にて開繊しても、後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー102に巻きついたり、小片の生地の状態のままで開繊される部分が生じてしまい、新品の原綿のような繊維状のリサイクル原綿51にはならない。
【0112】
なお、本発明の開繊機本体1において、生地110を開繊する場合に1枚の生地110のみを送給して開繊するようにしても良いが、開繊作業の効率からは10枚までの任意の枚数の生地110を重ねて開繊するようにしても良い。この場合においても、新品の原綿のような繊維状のリサイクル原綿51に再生することができる。
また、シャワーカーテン、一般のカーテン、シーツなどの生地110に限らず、あらゆる使用済みの生地を開繊機本体1にて綺麗に開繊して新品と同様のリサイクル原綿51を再生することができる。
【0113】
また、生地110の材料としては、ポリエステル、アクリル、ナイロン、レーヨン、コットン(綿)、羊毛等の場合でも、適用でき、新品と同様のリサイクル原綿51を再生でき、リサイクル化を図ることができる。
【0114】
このように本実施形態では、使用済みの生地110を小片にカットすることなくその原形のままの状態で開繊機本体1にて繊維状に開繊することができ、使用済みの生地110を新品と同様のリサイクル原綿51に再生することができる。また、リサイクル原綿51を再生する場合に、リサイクル工程において、単に使用済みの生地110を開繊機本体1に供給するだけなので、新品と同様のリサイクル原綿51に再生すべく開繊作業に必要なコストを大幅に削減することができ、低コストなリサイクル原綿51を再生することができる。
【0115】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態を図29〜図32により説明する。本実施形態は上記第3の実施形態を改良したものであり、生地110の開繊を一層向上させるようにしたものである。
【0116】
すなわち、開繊機本体1から前方に離れた位置、例えば、1.5m〜3mくらいのコンベア装置30の上方の位置に横方向に一対のテンションローラ120、122を回転可能に配置し、このテンションローラ120、122に厚みが薄い生地110を前後方向に折り返して通し、テンションローラ120、122を介して生地110を開繊機本体1に送給するようにしたものである。
【0117】
図29〜図31に示すように、生地110を後段のテンションローラ120と前段のテンションローラ122の上面を通過させて、テンションローラ122の下面側を介して後方に生地110を折り返し、さらに後段のテンションローラ120の上面と生地110の下面との間を通過させてる。さらに該テンションローラ120で前方に折り返して開繊機本体1へ送る。
【0118】
このように、前後一対のテンションローラ120、122にて生地110を前後方向に折り返して生地110にテンションを与えることで、開繊機本体1でのメタリックワイヤー6による生地110の開繊作用において、前段フィードローラ10、11と後段フィードローラ70、71による生地110の送り過ぎを防ぎ、生地110を綺麗に繊維状に開繊することができる。
特に、貯蔵室64に多くの開繊したリサイクル原綿51が集積されてきても、貯蔵室64の連通部66の働きと、テンションローラ120、122による生地110への適度のテンションにより、小さな切れはしを生じさせることなく生地110を綺麗に開繊することができる。
【0119】
なお、テンションローラ120、122を設けていない第3の実施形態でも、生地110を綺麗に開繊することができるが、テンションローラ120、122を設けることで、第3の実施形態の場合よりも生地110を一層繊維状に綺麗に開繊することができた。特に、テンションローラ120、122を設けた場合には、ほぼ100%と言っていいくらいに開繊することができた。
【0120】
ところで、前方のテンションローラ120に対して後段のテンションローラ122の上下方向の相対的な位置であるが、図32に示すように、水平軸H1に対して相対的に上方又は下方に鋭角θの範囲内としている。図32(a)は一方のテンションローラ120に対して他方のテンションローラ122を水平軸H1から上方又は下方に相対的に鋭角の位置に配置した場合を示している。
また、図32(b)は、他方のテンションローラ122に対して一方のテンションローラ120水平軸H1から上方又は下方に相対的に鋭角の位置に配置した場合を示している。
【0121】
このように、前後方向のテンションローラ120、122の水平方向の水平軸H1を基準として、一方のテンションローラ120を前記水平軸H1上に配置した場合、他方のテンションローラ122の配置位置は水平軸H1に対して相対的に上方又は下方に鋭角の範囲内としていることで、厚みが薄い生地110の場合で、生地110の素材の種類に応じて一方の例えばテンションローラ122を水平軸H1に対して上方向、あるいは下方向の任意の位置に適宜配置することで、小さな切れはしを混在させることなく、生地110を一層繊維状に綺麗に開繊することができる。
また、後段のテンションローラ122に対して前段のテンションローラ120の上下方向の配置関係も同様に適用することができる。
【0122】
また、上記テンションローラ120、122はそれぞれ回転可能に軸支されているが、生地110の種類に応じて回転を不可として、テンションローラ120、122の表面を滑らすようにして生地110にテンションを与えるようにしても良い。
【0123】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施形態を図33により説明する。大気圧である外気と連通する連通部66を設けた貯蔵室64の構成は上記各実施形態の場合と同様であるが、開繊機本体1の構成が先の各実施形態とは異なる場合である。送給ダクト48、ブロワー49及び貯蔵室64へ連結されている排出用ダクト50の構成は先の実施形態と同じであるが、寝装品35や生地110などの被開繊物を引っ掻いて具体的に開繊する構成が異なる場合である。
【0124】
すなわち、先の各実施形態では、外周面にメタリックワイヤー6を設けたシリンダ3の前段側に、一対の上下のフィードローラ10、11、後段フィードローラ70、71を設けていたが、本実施形態では、これらフィードローラ10、11、後段フィードローラ70、71等を有しないで被開繊物を引っ掻いて繊維状に開繊するようにした開繊機本体1の場合である。
また、シリンダ3の外周面には先の実施形態と同様に被開繊物を引っ掻く引っ掻き手段としてメタリックワイヤー6を設けている。
【0125】
また、開繊機本体1に寝装品35や生地110などの被開繊物を作業員が直接投入するようにしても良く、また、先の実施形態と同様にコンベア装置30により被開繊物を開繊機本体1へ搬送投入するようにしても良い。
また、開繊機本体1により開繊したリサイクル原綿51をブロワー49により吸引して排出用ダクト50を介して貯蔵室64へ送り出す構成であれば、どのような構成の開繊機本体1でも良い。
【0126】
なお、本実施形態における被開繊物の開繊、リサイクル原綿51の貯蔵室64における採集等の開繊方法、リサイクル品の製造方法は先の実施形態と同じなので説明は省略する。
また、被開繊物の材料として、ポリエステル、アクリル、ナイロン、レーヨン、コットン(綿)、羊毛等の場合でも、適用でき、新品と同様のリサイクル原綿51を再生でき、リサイクル化を図ることができる。
【0127】
このように本実施形態では、貯蔵室64内には被開繊物から開繊されたリサイクル原綿51が採集されていき、多くのリサイクル原綿51が集積していっても、貯蔵室64に設けた連通部66が外気と連通していることで、ブロワー49から排気されている空気が貯蔵室64内に入っても、貯蔵室64の連通部66から該貯蔵室64内の空気が大気圧開放されることになり、そのため、ブロワー49への影響をほとんど無くすことができる。
そのため、貯蔵室64内に多くのリサイクル原綿51が集積されても、綺麗に開繊することができる。これにより、貯蔵室64内のリサイクル原綿51の集積量に関係なく、被開繊物を綺麗に開繊させることができ、新品とほぼ同様なリサイクル品であるリサイクル原綿51を製造することができる開繊方法及び開繊システムを提供することができるものである。
【0128】
また、貯蔵室64には大気圧である外気と連通する連通部66を備え、供給される被開繊物を開繊機本体1の引っ掻き手段により繊維状に開繊する開繊工程と、この開繊工程により繊維状に開繊されたリサイクル原綿51をブロワー49により吸引し該リサイクル原綿51を排出用ダクト50へ送り出す送り出し工程と、この送り出し工程の際に、ブロワー49からの貯蔵室64内へ送風され連通部66から貯蔵室64内の空気が大気圧開放されながら排出用ダクト50から貯蔵室64へリサイクル原綿51を吹き飛ばして該貯蔵室64内にリサイクル原綿51を採集する採集工程とを経てリサイクル原綿51(リサイクル品)を製造するようにしているものである。
【0129】
これにより、被開繊物を綺麗に開繊でき、繊維状に綺麗に開繊されたリサイクル原綿51(リサイクル品)を製造することができる。すなわち、綺麗に開繊した原綿に近いリサイクル品を製造することができる。なお、このリサイクル原綿51は、布団、ベッドパッド、固綿等を製造する際に、新品の原綿に対して一定の割合で混入して使用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の第1の実施の形態における開繊システムの概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における開繊機本体の概略平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるメタリックワイヤーの要部拡大側面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるシリンダの溝にメタリックワイヤーを配設した状態を示す要部拡大断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における軸受け部の拡大正面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における軸受け部の拡大平面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における上下のフィードローラが噛合している状態を示す説明図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における寝装品の一例である掛け布団の平面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における寝装品の一例である掛け布団の要部拡大断面図である。
【図10】(a)(b)は本発明の第1の実施の形態における寝装品の他の例であるベッドパッドの平面図及び正面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態におけるベッドパッドの要部拡大断面図である。
【図12】(a)(b)は本発明の第1の実施の形態における固綿の平面図及び正面図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態における固綿の周囲を裁断して形成された固綿片の斜視図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態における寝装品の開繊動作の説明図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態における開繊システムの概略構成図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態における開繊機本体の概略平面図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態における軸受け部の構成を示す図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態における前段フィードローラと後段フィードローラの構成を示す図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態における後段フィードローラから送給される寝装品を開繊している状態を示す図である。
【図20】本発明の第3の実施の形態における開繊システムの概略構成図である。
【図21】本発明の第3の実施の形態における開繊機本体の概略平面図である。
【図22】本発明の第3の実施の形態における軸受け部の拡大断面図である。
【図23】本発明の第3の実施の形態における上下の後段フィードローラが接触している状態を示す説明図である。
【図24】本発明の第3の実施の形態における後段フィードローラのシリンダの平面図である。
【図25】本発明の第3の実施の形態における後段フィードローラのメタリックワイヤーの要部拡大側面図である。
【図26】本発明の第3の実施の形態における後段フィードローラのシリンダの溝にメタリックワイヤーを配設した状態を示す要部拡大断面図である。
【図27】本発明の第3の実施の形態における上下の後段フィードローラのメタリックワイヤーの刃先が接触している状態を示す図である。
【図28】本発明の第3の実施の形態における生地の開繊動作の説明図である。
【図29】本発明の第4の実施の形態における開繊システムの概略構成図である。
【図30】本発明の第4の実施の形態におけるテンションローラを上から見た図である。
【図31】本発明の第4の実施の形態における前後一対のテンションローラに生地を通している状態を示す図である。
【図32】(a)(b)は本発明の第4の実施の形態におけるテンションローラの配置関係の説明図である。
【図33】本発明の第5の実施の形態における開繊システムの概略構成図である。
【図34】従来例の開繊システムの概略構成図である。
【図35】他の従来例の開繊システムの概略構成図である。
【図36】更に他の従来例の開繊システムの概略構成図である。
【図37】従来例のリサイクル原綿の採集例を示す図である。
【符号の説明】
【0131】
1 開繊機本体
3 シリンダ
6 メタリックワイヤー
7 刃先
10、11 フィードローラ
35 寝装品
48 送給ダクト
49 ブロワー
50 排出用ダクト
51 リサイクル原綿
70、71 後段フィードローラ
64 貯蔵室
66 連通部
110 生地
120 テンションローラ
122 テンションローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される厚みが厚い寝装品(35)や厚みが薄い生地(110)などの被開繊物を回転しながら上下から強固に保持する上下一対のフィードローラと、このフィードローラの後段に配置されて外周面にメタリックワイヤー(6)を巻き付けたシリンダ(3)と、このシリンダ(3)の回転により前記メタリックワイヤー(6)にて開繊されたリサイクル原綿(51)の吸引作用を行なうブロワー(49)とからなる開繊機本体(1)と、
前記開繊機本体(1)のブロワー(49)にて吸引されたリサイクル原綿(51)を排出用ダクト(50)を介して採集される有限密閉空間とした貯蔵室(64)とを備えている開繊システムであって、
前記貯蔵室(64)には大気圧である外気と連通する連通部(66)を備え、
前記供給される被開繊物を前記開繊機本体(1)のメタリックワイヤー(6)により繊維状に開繊し、
繊維状に開繊されたリサイクル原綿(51)を前記ブロワー(49)により吸引すると共に前記排出用ダクト(50)へ送風される風量により該リサイクル原綿(51)を前記排出用ダクト(50)へ送り出し、
前記排出用ダクト(50)から前記貯蔵室(64)へリサイクル原綿(51)を吹き飛ばして該貯蔵室(64)内にリサイクル原綿(51)を採集していき、
前記ブロワー(49)からの前記貯蔵室(64)内へ送風され前記連通部(66)から貯蔵室(64)内の空気が大気圧開放されながら前記被開繊物を前記開繊機本体(1)により開繊するようにしていることを特徴とする開繊方法。
【請求項2】
前記被開繊物の厚みが薄い生地(110)の場合では、前記開繊機本体(1)の前方の位置に一対のテンションローラ(120)(122)を前後方向に配置し、これらテンションローラ(120)(122)により生地(110)を前後方向に折り返して、該テンションローラ(120)(122)により生地(110)にテンションを与えていることを特徴とする請求項1に記載の開繊方法。
【請求項3】
前後方向のテンションローラ(120)(122)の水平方向の水平軸(H1)を基準として、一方のテンションローラ(120)を前記水平軸(H1)上に配置した場合、他方のテンションローラ(122)の配置位置は水平軸(H1)に対して相対的に上方又は下方に鋭角の範囲内としていることを特徴とする請求項2に記載の開繊方法。
【請求項4】
供給される厚みが厚い寝装品(35)や厚みが薄い生地(110)などの被開繊物を回転しながら上下から強固に保持する上下一対のフィードローラと、このフィードローラの後段に配置されて外周面に回転しながら前記被開繊物を開繊するメタリックワイヤー(6)を巻き付けたシリンダ(3)と、このシリンダ(3)の回転により前記メタリックワイヤー(6)にて開繊されたリサイクル原綿(51)の吸引作用を行なうブロワー(49)とからなる開繊機本体(1)と、
前記開繊機本体(1)のブロワー(49)にて吸引されたリサイクル原綿(51)を排出用ダクト(50)を介して採集される有限密閉空間とした貯蔵室(64)とを備えている開繊システムであって、
前記貯蔵室(64)には大気圧である外気と連通する連通部(66)を備え、
前記ブロワー(49)からの前記貯蔵室(64)内へ送風され前記連通部(66)から貯蔵室(64)内の空気が大気圧開放されながら前記被開繊物を前記開繊機本体(1)により開繊するようにしていることを特徴とする開繊システム。
【請求項5】
前記被開繊物の厚みが薄い生地(110)の場合では、前記開繊機本体(1)の前方の位置に一対のテンションローラ(120)(122)を前後方向に配置し、これらテンションローラ(120)(122)により生地(110)を前後方向に折り返して、該テンションローラ(120)(122)により生地(110)にテンションを与えていることを特徴とする請求項4に記載の開繊システム。
【請求項6】
前後方向のテンションローラ(120)(122)の水平方向の水平軸(H1)を基準として、一方のテンションローラ(120)を前記水平軸(H1)上に配置した場合、他方のテンションローラ(122)の配置位置は水平軸(H1)に対して相対的に上方又は下方に鋭角の範囲内としていることを特徴とする請求項5に記載の開繊システム。
【請求項7】
供給される厚みが厚い寝装品(35)や厚みが薄い生地(110)などの被開繊物を回転しながら上下から強固に保持する上下一対のフィードローラと、このフィードローラの後段に配置されて外周面にメタリックワイヤー(6)を巻き付けたシリンダ(3)と、このシリンダ(3)の回転により前記メタリックワイヤー(6)にて開繊されたリサイクル原綿(51)の吸引作用を行なうブロワー(49)とからなる開繊機本体(1)と、
前記開繊機本体(1)のブロワー(49)にて吸引されたリサイクル原綿(51)を排出用ダクト(50)を介して採集される有限密閉空間とした貯蔵室(64)とを備えている開繊システムにおいて、
前記貯蔵室(64)には大気圧である外気と連通する連通部(66)を備え、
前記供給される被開繊物を前記開繊機本体(1)のメタリックワイヤー(6)により繊維状に開繊する開繊工程と、
前記開繊工程により繊維状に開繊されたリサイクル原綿(51)を前記ブロワー(49)により吸引し該リサイクル原綿(51)を前記排出用ダクト(50)へ送り出す送り出し工程と、
前記送り出し工程の際に、前記ブロワー(49)からの前記貯蔵室(64)内へ送風され前記連通部(66)から貯蔵室(64)内の空気が大気圧開放されながら前記排出用ダクト(50)から前記貯蔵室(64)へリサイクル原綿(51)を吹き飛ばして該貯蔵室(64)内にリサイクル原綿(51)を採集する採集工程と
からなることを特徴とするリサイクル品の製造方法。
【請求項8】
前記被開繊物の厚みが薄い生地(110)の場合では、前記開繊機本体(1)の前方の位置に一対のテンションローラ(120)(122)を前後方向に配置し、これらテンションローラ(120)(122)により生地(110)を前後方向に折り返して、該テンションローラ(120)(122)により生地(110)にテンションを与えていることを特徴とする請求項7に記載のリサイクル品の製造方法。
【請求項9】
前後方向のテンションローラ(120)(122)の水平方向の水平軸(H1)を基準として、一方のテンションローラ(120)を前記水平軸(H1)上に配置した場合、他方のテンションローラ(122)の配置位置は水平軸(H1)に対して相対的に上方又は下方に鋭角の範囲内としていることを特徴とする請求項8に記載のリサイクル品の製造方法。
【請求項10】
供給される厚みが厚い寝装品(35)や厚みが薄い生地(110)などの被開繊物を回転しながら開繊するメタリックワイヤーなどの引っ掻き手段を外周面に配設したシリンダ(3)と、このシリンダ(3)の回転により前記引っ掻き手段にて開繊されたリサイクル原綿(51)の吸引作用を行なうブロワー(49)とからなる開繊機本体(1)と、
前記開繊機本体(1)のブロワー(49)にて吸引されたリサイクル原綿(51)を排出用ダクト(50)を介して採集される有限密閉空間とした貯蔵室(64)とを備えている開繊システムであって、
前記貯蔵室(64)には大気圧である外気と連通する連通部(66)を備え、
前記供給される被開繊物を前記開繊機本体(1)の引っ掻き手段により繊維状に開繊し、
繊維状に開繊されたリサイクル原綿(51)を前記ブロワー(49)により吸引すると共に前記排出用ダクト(50)へ送風される風量により該リサイクル原綿(51)を前記排出用ダクト(50)へ送り出し、
前記排出用ダクト(50)から前記貯蔵室(64)へリサイクル原綿(51)を吹き飛ばして該貯蔵室(64)内にリサイクル原綿(51)を採集していき、
前記ブロワー(49)からの前記貯蔵室(64)内へ送風され前記連通部(66)から貯蔵室(64)内の空気が大気圧開放されながら前記被開繊物を前記開繊機本体(1)により開繊するようにしていることを特徴とする開繊方法。
【請求項11】
供給される厚みが厚い寝装品(35)や厚みが薄い生地(110)などの被開繊物を回転しながら開繊するメタリックワイヤーなどの引っ掻き手段を外周面に配設したシリンダ(3)と、このシリンダ(3)の回転により前記引っ掻き手段にて開繊されたリサイクル原綿(51)の吸引作用を行なうブロワー(49)とからなる開繊機本体(1)と、
前記開繊機本体(1)のブロワー(49)にて吸引されたリサイクル原綿(51)を排出用ダクト(50)を介して採集される有限密閉空間とした貯蔵室(64)とを備えている開繊システムであって、
前記貯蔵室(64)には大気圧である外気と連通する連通部(66)を備え、
前記ブロワー(49)からの前記貯蔵室(64)内へ送風され前記連通部(66)から貯蔵室(64)内の空気が大気圧開放されながら前記被開繊物を前記開繊機本体(1)により開繊するようにしていることを特徴とする開繊システム。
【請求項12】
供給される厚みが厚い寝装品(35)や厚みが薄い生地(110)などの被開繊物を回転しながら開繊するメタリックワイヤーなどの引っ掻き手段を外周面に配設したシリンダ(3)と、このシリンダ(3)の回転により前記引っ掻き手段にて開繊されたリサイクル原綿(51)の吸引作用を行なうブロワー(49)とからなる開繊機本体(1)と、
前記開繊機本体(1)のブロワー(49)にて吸引されたリサイクル原綿(51)を排出用ダクト(50)を介して採集される有限密閉空間とした貯蔵室(64)とを備えている開繊システムにおいて、
前記貯蔵室(64)には大気圧である外気と連通する連通部(66)を備え、
前記供給される被開繊物を前記開繊機本体(1)の引っ掻き手段により繊維状に開繊する開繊工程と、
前記開繊工程により繊維状に開繊されたリサイクル原綿(51)を前記ブロワー(49)により吸引し該リサイクル原綿(51)を前記排出用ダクト(50)へ送り出す送り出し工程と、
前記送り出し工程の際に、前記ブロワー(49)からの前記貯蔵室(64)内へ送風され前記連通部(66)から貯蔵室(64)内の空気が大気圧開放されながら前記排出用ダクト(50)から前記貯蔵室(64)へリサイクル原綿(51)を吹き飛ばして該貯蔵室(64)内にリサイクル原綿(51)を採集する採集工程と
からなることを特徴とするリサイクル品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2009−46786(P2009−46786A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216810(P2007−216810)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(599144088)株式会社 三裕 (3)
【Fターム(参考)】