説明

開閉体制御システム

【課題】停止ボタンなどが存在しない場合でも、シャッターカーテンなどの開閉体の下降動作を緊急に停止させることができるようにする。
【解決手段】閉動作中に閉鎖指示手段が操作され、閉鎖信号が出力された場合に、その信号は閉動作停止のための信号であるとして、その信号が出力されている間、開閉体手段の閉動作を停止する。閉鎖指示手段に停止動作指示手段の機能を兼用させ、停止ボタンなどが設けられていない場合でも、シャッターカーテンなどの開閉体手段の下降動作を緊急に停止させる。防火防煙用の開閉体手段の場合には、停止ボタンが存在しないので、非常用シャッター閉鎖ボタンなどの閉鎖指示手段に停止ボタンの機能を兼用させ、防火シャッターカーテンなどの開閉体手段の下降動作を緊急に停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター等の開閉体を自動閉鎖させる開閉体制御システムに係り、特に防火用シャッター等の開閉体が火災時に自動閉鎖する時に障害物感知以外に任意に開閉体を緊急停止することができる開閉体制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、床面積の大きいビル等の建物内部の通路やホール空間などには、火災発生時の延焼や煙の拡散を防止するために火災発生と同時に自動的に閉じるシート状又はスラット状の防火シャッターカーテン装置などの防火用開閉体装置を用いて、柱、壁、床などと共に3次元的に囲まれた空間、すなわち防火区画を形成するように動作する防火用の開閉体が備え付けられている。
【0003】
図1は、このような防火区画を形成する従来の防火シャッターカーテン装置の概略構成を示す図である。防火シャッターカーテン装置10等の防火用開閉体装置は、火災時に発生する煙や熱を感知する防災盤から防災信号BS(例えば直流24V信号)が出力されることを受けて、開閉機1に連結されたブレーキ2を解放させる自動閉鎖装置4を有している。自動閉鎖装置4は、中継器3を介して供給される商用電源又は予備電源(バッテリ電源)からの電力によって動作する。中継器3に内蔵される予備電源によって、火災発生時に防火シャッターカーテン装置10に対する商用電源の供給がなくとも、入力される防災信号BSに基づきブレーキ2を解放でき、巻取り状態にある防火構造のシャッターカーテン5を自重で下降させ自動的に開口部を閉鎖することができるようになっている。また、非常時には、非常用シャッター閉鎖ボタン8を操作することによって、シャッターカーテン5を自重で降下させることもできる。
【0004】
この防火シャッターカーテン装置10には、開閉中に障害物への接触を検出する障害物感知装置が設けられている。障害物物感知装置は、図示のようにシャッターカーテン5の下端の座板上に設けられた送信機6と、シャッターカーテン5の収納ボックス内に設けられた受信機7とによって構成される。送信機6は、座板に対する障害物の接触で座板スイッチ(マイクロスイッチ)が作動した場合に、その感知信号を受信機7に無線送信する。このとき、自動閉鎖装置4はこの感知信号の入力に応じてシャッターカーテン5の閉動作を停止制御するようになっている。従って、火災発生時にシャッターカーテン5が自重下降している際に座板が障害物に接触した場合に、シャッターカーテン5の自重下降が停止するようになっている。このような防火シャッターカーテン装置に関するものとしては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。
【特許文献1】実開平3−58599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の防火シャッターカーテン装置は、自重降下中に有効な停止ボタンなどが設置されていない場合であっても、障害物感知装置により障害物を故意に感知させれば下降動作を停止するように構成されているにもかかわらず、使用者が障害物感知で停止できることを認識できない場合もあり、何らかの要求でシャッターカーテンの下降動作を緊急に停止させたい場合に、シャッターを停止させるという行為をとれないことがあった。
本発明は、上述の点に鑑みなされたものであり、停止ボタンなどが存在しない場合でも、シャッターカーテンなどの開閉体の下降動作を緊急に停止させることのできる開閉体制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の開閉体制御システムの第1の特徴は、開口部に設けられた開閉体手段と、人為的操作に応じて閉鎖信号を出力する閉鎖指示手段と、前記閉鎖信号の入力に応じて前記開閉体手段を閉動作させる制御手段と、前記開閉体手段の閉動作中に前記閉鎖信号が出力された場合に、所定の時間だけ前記開閉体手段の閉動作を停止させる閉動作停止手段とを備えたことにある。
開閉体手段は、ビル、住宅、工場、倉庫等の建物などの構造物における、出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部などを開閉移動するシャッターカーテンなどの開閉部材で構成され、火災発生時や閉店時などのように開口部を仕切るために繰り出される。開閉体手段が、例えば防火シャッターカーテンの場合には、建物などの開口部の上部に収納され、まぐさなどを通過して防火シャッターカーテンが下降し、開口部を閉鎖する。これ以外にも開閉体手段が開口部の側部に収納され横引き方式で開閉移動したり、開口部の下部に収納され上昇方式で開閉移動したりすることもある。閉鎖指示手段は、例えば非常用シャッター閉鎖ボタンなどのような操作ボタンであり、人為的に操作されることによって閉鎖信号を出力するものである。制御手段は、この閉鎖信号を入力することによって、シャッターカーテンなどの開閉体手段を移動させて開口部を閉鎖するように制御する。従来、非常用シャッター閉鎖ボタンなどの操作によって開閉体手段が閉鎖を始めた場合、開閉体手段に座板スイッチなどの障害物感知手段が設けられている場合や停止ボタンが設けられている場合、障害物が感知されたたり、停止ボタンが操作されたりすることによって、開閉体手段の閉動作を停止させることが可能である。しかしながら、停止ボタンが設けられていない場合、例えば、防火シャッターカーテンなどの場合は、防火防煙が主目的なので、停止ボタンが不特定者が操作できる位置に設けられてないこともあり、この場合には何らかの理由で開閉体手段の閉動作を停止させたい場合には、開閉体手段の閉鎖側先端に設けられた座板スイッチなどの障害物感知手段を動作させることで対応できるようにしていた。この発明では、閉動作中に閉鎖指示手段が操作され、閉鎖信号が出力された場合に、その信号は閉動作停止のための信号であるとして、その信号が出力されている間、開閉体手段の閉動作を停止するようにした。すなわち、閉鎖指示手段に閉動作の停止を指示する停止動作指示手段としての機能を兼用させるようにした。これによって、停止ボタンなどが設けられていない場合でも、手段に迷わずにシャッターカーテンなどの開閉体手段の下降動作を緊急に停止させることができる。
【0007】
本発明の開閉体制御システムの第2の特徴は、開口部に設けられた開閉体手段と、人為的操作に応じて閉鎖信号を出力する閉鎖指示手段と、前記閉鎖信号又は前記閉鎖信号とは異なる信号の入力に応じて前記開閉体手段を閉動作させる自動閉鎖手段と、前記開閉体手段の閉動作中に前記閉鎖信号が出力された場合に、所定の時間だけ前記開閉体手段の閉動作を停止させる閉動作停止手段とを備えたことにある。
これは、開閉体手段が例えば防火区画形成用のものであり、火災時などに発生される防災信号又は非常閉鎖信号などのような通常の閉鎖信号とは異なる信号や通常の閉鎖信号の入力に応じて自動的に閉動作を開始させる自動閉鎖手段を備えたものである。このような防火防煙用の開閉体手段の場合には、停止ボタンを装備しない場合もあるので、シャッター閉鎖ボタンなどの閉鎖指示手段に停止ボタンとしての機能を兼用させるようにした。これによって、例えば、防火区画形成用の開閉体手段のように停止ボタンなどが設けられていない場合でも、防火シャッターカーテンなどの開閉体手段の下降動作を緊急に停止させることができる。
【0008】
本発明の開閉体制御システムの第3の特徴は、前記第2の特徴に記載された開閉体制御システムにおいて、前記閉動作停止手段は、前記閉鎖信号の入力に応じて前記自動閉鎖手段への電力の供給を制御することにある。
通常、自動閉鎖手段は、電源又は予備電源(バッテリ電源)からの電力の供給を受けることによってブレーキを解放して、防火シャッターカーテンなどを自重で降下させている。また、電力の供給を切断することによって自重降下させるものもある。そこで、この発明では、閉鎖信号の入力に応じて自動閉鎖手段への電力の供給を制御することによって、ブレーキングを動作させて開閉体手段の下降動作を停止させるようにした。
【0009】
本発明の開閉体制御システムの第4の特徴は、開口部に設けられた開閉体手段と、人為的操作に応じて閉鎖信号を出力する閉鎖指示手段と、前記開閉体手段の動作経路上で障害物を感知した場合に障害物感知信号を出力する障害物感知手段と、前記閉鎖信号の入力に応じて前記開閉体手段を閉動作させる制御手段と、前記障害物感知信号の入力に応じて閉動作中の前記開閉体手段を停止させる閉動作停止手段とを備えた開閉体制御システムにおいて、前記閉動作停止手段は、前記開閉体手段の閉動作中に前記閉鎖信号が出力された場合に、前記障害物感知信号の入力に応じて閉動作中の前記開閉体手段を停止させるという動作と同じように前記閉鎖信号の入力に応じて閉動作中の前記開閉体手段を停止させることにある。
これは、開閉体手段が障害物感知手段を備えている場合の開閉体制御システムに関するものである。障害物感知手段は、開閉体手段の動作中の動作経路上に障害物が存在することを検出するものであり、例えば開閉体手段の移動部先端部に設けられた座板スイッチなどで構成される。制御手段は、障害物感知手段が障害物を検出すると、それに応じて開閉体手段の閉動作を停止させる。そこで、この発明では、障害物感知手段及び制御手段が開閉体手段を停止させるという機能を利用して、開閉体手段の閉動作中に閉鎖指示手段が人為的に操作された場合、その閉鎖信号を障害物感知信号と同様に処理して、閉鎖信号が出力している間だけ開閉体手段の閉動作を停止させるようにした。
【0010】
本発明の開閉体制御システムの第5の特徴は、開口部に設けられた開閉体手段と、人為的操作に応じて閉鎖信号を出力する閉鎖指示手段と、前記開閉体手段の動作経路上で障害物を感知した場合に障害物感知信号を出力する障害物感知手段と、前記閉鎖信号又は前記閉鎖信号とは異なる信号の入力に応じて前記開閉体手段を閉動作させる自動閉鎖手段と、前記障害物感知信号の入力に応じて閉動作中の前記開閉体手段を停止させる閉動作停止手段を備えた開閉体制御システムにおいて、前記閉動作停止手段は、前記開閉体手段の閉動作中に前記閉鎖信号が出力された場合に、前記障害物感知信号の入力に応じて閉動作中の前記開閉体手段を停止させるという動作と同じように前記閉鎖信号の入力に応じて閉動作中の前記開閉体手段を停止させることにある。
これは、前記第2の特徴と同様に、開閉体手段が、例えば防火区画形成用のものであり、火災時などに発生される防災信号又は非常閉鎖信号などのような通常の閉鎖信号とは異なる信号や通常の閉鎖信号の入力に応じて自動的に閉動作を開始させる自動閉鎖手段を備え、さらに障害物感知手段を備えている場合の開閉体制御システムに関するものである。このような防火防煙用の開閉体手段の場合には、停止ボタンが存在しないので、シャッター閉鎖ボタンなどの閉鎖指示手段に停止ボタンとしての機能を兼用させ、閉鎖信号が出力された場合に、閉動作停止手段に障害物感知信号の入力時と同様の処理を行なわせて、閉鎖信号が出力している間だけ開閉体手段の閉動作を停止させるようにした。これによって、防火区画形成用の開閉体手段のように停止ボタンなどが設けられていない場合でも、防火シャッターカーテンなどの開閉体手段の下降動作を緊急に停止させることができる。
【0011】
本発明の開閉体制御システムの第6の特徴は、前記第5の特徴に記載された開閉体制御システムにおいて、前記自動閉鎖手段は、前記障害物感知信号又は前記閉鎖信号の入力に応じて前記自動閉鎖手段への電力の供給を制御することにある。
これは、前記第3の特徴と同様に、障害物感知信号又は閉鎖信号の入力に応じて自動閉鎖手段への電力の供給を制御し、それによってブレーキングを動作させて開閉体手段の下降動作を停止するようにしたものである。
【0012】
本発明の開閉体制御システムの第7の特徴は、前記第1の特徴から第6の特徴に記載されたいずれか1の開閉体制御システムにおいて、前記閉動作停止手段が、前記閉鎖指示手段からの前記閉鎖信号を所定の時間自己保持する保持手段と、前記保持手段による前記閉鎖信号の自己保持中に前記閉鎖信号が入力された場合、前記自動閉鎖手段への電力の供給を制御することによって前記開閉体手段の閉動作を停止させる電力供給制御手段とを備えたことにある。
これは、閉動作停止手段が閉鎖信号を回路的に自己保持し、この自己保持中に閉鎖指示手段が人為的に操作され、再度閉鎖信号が出力された場合に、電力供給制御手段が自動閉鎖手段への電力供給を制御(停止したり又は開始したり)することによってブレーキングを動作させて開閉体手段の下降動作を停止するようにしたものである。
【0013】
本発明の開閉体制御システムの第8の特徴は、前記第7の特徴に記載された開閉体制御システムにおいて、前記電力供給制御手段が、前記閉鎖指示手段の人為的操作に連動して前記自動閉鎖手段への電力の供給を制御することによって前記開閉体手段の閉動作を停止させることにある。
これは、閉鎖指示手段が人為的に操作されるという行為に連動して、電力供給制御手段が電力供給を制御して、ブレーキングを動作させて開閉体手段の下降動作を停止するようにしたものである。
【0014】
本発明の開閉体制御システムの第9の特徴は、前記第8の特徴に記載された開閉体制御システムにおいて、前記電力供給制御手段は、前記閉鎖指示手段とは電気的絶縁状態にあって、前記人為的操作に応じて直接又は間接的に接触して同時に操作されるような接点を介して前記自動閉鎖手段への電力の供給を制御することにある。
閉鎖指示手段は、例えばスイッチング装置のように人為的に操作されることによってオン・オフ状態となる可動部を備えているので、電力供給制御手段は、この閉鎖指示手段とは電気的に絶縁されてはいるが、この可動部に直接又は間接的に接触して同時に可動して操作されるような接点を備えて、この接点のオン・オフによって、電力の供給を停止したり、開始したりして、ブレーキングを動作させて開閉体手段の下降動作を停止するようにしたものである。
【0015】
本発明の開閉体制御システムの第10の特徴は、前記第8の特徴に記載された開閉体制御システムにおいて、前記電力供給制御手段が、前記閉鎖指示手段が人為的に操作されている間だけ電流が流れるように構成された駆動リレー手段によって、オン・オフ状態を切り替えられるように構成されたリレー接点を介して前記自動閉鎖手段への電力の供給を制御することにある。
閉鎖指示手段は、例えばスイッチング装置のように人為的に操作されることによって、オン・オフ状態となるので、電力供給制御手段は、この閉鎖指示手段のオン・オフ状態に対応して電流が流れるように構成された駆動リレーを用いて、この駆動リレーに流れる電流によってオン・オフ状態の切り替えられるリレー接点によって、電力の供給を停止したり、開始したりして、ブレーキングを動作させて開閉体手段の下降動作を停止するようにしたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の開閉体制御システムによれば、シャッターカーテンなどの開閉体の下降動作を緊急に停止させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下添付図面に従って本発明に係る開閉体制御システムの一実施の形態である防火シャッターカーテン装置について説明する。図2は、本発明に係る開閉体制御システムの概略を示す図である。この開閉体制御システムが制御する開閉体装置は、図1に示したような防火シャッターカーテン装置である。この防火シャッターカーテン装置は、通常は基本的に巻き取られた開放状態にあり、この開放状態がブレーキ2で機械的に保持されている。そして、開閉体制御システムは、火災発生時には、防災信号BSの入力や非常用シャッター閉鎖ボタン8の操作に応じて、ブレーキ2による開放状態の保持を解除し、シャッターカーテンを自重で自然降下させることによって、開口部を閉鎖し、所定の防火区画を形成するようになっている。
【0018】
図2に示した開閉体制御システムが従来のものと異なる点は、非常用シャッター閉鎖ボタン8の操作に連動して、座板スイッチが障害物を感知したのと同じように動作させるようにした点である。すなわち、この実施の形態では、開閉体制御システムは、中継器3と自動閉鎖装置4の両方が非常用シャッター閉鎖ボタン8の操作に応じた動作を行なうような構成になっている。
【0019】
開閉体制御システムは、中継器3と自動閉鎖装置4によって構成される。中継器3は、自動閉鎖装置4への電力供給を制御するものである。自動閉鎖装置4は、電源部21からの電力供給に応じて自動閉鎖回路41を動作させて、ブレーキ2による開放状態の保持を解除し、シャッターカーテン5を自重で自然降下させるものである。
【0020】
中継器3は、外部からの商用交流電源(AC100[V]又はAC200[V])を端子P0,P1を介して供給される電源部30を備えている。この電源部30は、商用交流電源とは別系統の電力供給源となるバッテリなどの予備電源を内蔵している。従って、電源部30は、非常時に商用交流電源の供給を受けることができなくても予備電源によって自動閉鎖装置4を動作させることができる。
【0021】
電源部30から自動閉鎖装置4までの間には、復旧用のスイッチ(SW4)31と、外部復旧用のスイッチ32と、外部起動スイッチ8Aと、起動用スイッチ(SW3)33と、第1リレー接点(RY1)34と、第2リレー接点(RY2)35と、ダイオード36,37と、第2駆動リレー38とが設けられている。一方、防災信号BSなどのDC24[V]の感知器信号を入力する第1駆動リレー39がダイオードと共に設けられている。
【0022】
復旧用のスイッチ(SW4)31及び外部復旧用のスイッチ32は、自動閉鎖装置4への電力の供給を強制的に停止させるものである。外部起動スイッチ8Aは、非常用シャッター閉鎖ボタン8に連動してスイッチオンするものである。非常用シャッター閉鎖ボタン8は、樹脂製のパネルに覆われており、非常時に樹脂製のパネルを押し込むことによって、操作される赤色の非常操作ボタンである。起動用スイッチ33は、非常操作ボタン以外に保守点検時に自動閉鎖装置4を作動させるためのスイッチである。第1リレー接点34は、DC24[V]の感知器信号の入力によって駆動された第1駆動リレー39によってスイッチオンするリレーである。第2リレー接点35は、外部起動スイッチ8A、起動用スイッチ(SW3)33又は第1リレー接点(RY1)34のいずれがオン状態となり、第2駆動リレー38に電流が流れた時点でスイッチオンするリレーである。
【0023】
このように、外部起動スイッチ8A、起動用スイッチ(SW3)33又は第1リレー接点(RY1)34のいずれかがスイッチオンすると、それによって第2リレー接点35がオン状態となり、その状態が保持されるようになる。復旧用のスイッチ(SW4)31及び外部復旧用のスイッチ32のいずれかを一方をオフ状態にすることによって、この保持状態を解除することができる。ダイオード36は、外部起動スイッチ8A、起動用スイッチ33又は第1リレー接点34からの電流の流入を防止するものである。
【0024】
一方、自動閉鎖装置4には、座板スイッチ42又は外部起動スイッチ8Bがスイッチオン状態にある場合に限り、自動閉鎖回路41への電力の供給を停止させるように構成されている。すなわち、第3駆動リレー43、ダイオード44、第3リレー接点45、座板スイッチ42の接点及び外部起動スイッチ8Bの直列接続されたものが自動閉鎖回路41に並列に設けられている。なお、座板スイッチ42の接点及び外部起動スイッチ8Bは並列に接続されている。第3リレー接点45は、座板スイッチ42又は外部起動スイッチ8Bがスイッチオンすることによって駆動された第3駆動リレー43によってスイッチオフするリレーである。従って、座板スイッチ42又は外部起動スイッチ8Bのいずれか一方の接点がオン状態になると、第3駆動リレー43によって第3リレー接点がオフ状態となり、自動閉鎖回路41への電力供給が停止され、シャッターカーテンの降下は停止する。ここで、外部起動スイッチ8Bは、非常用シャッター閉鎖ボタン8に連動してスイッチオンするものである。すなわち、非常用シャッター閉鎖ボタン8は、押圧操作に連動する2a接点タイプの外部起動スイッチ8Aと外部起動スイッチ8Bから構成される押しボタンである。
【0025】
従って、非常用シャッター閉鎖ボタン8が押圧されると、外部起動スイッチ8A,8Bがオン状態となり、第2駆動リレー38に電流が流れ、第2リレー接点35がオン状態となり、その状態保持される。非常用シャッター閉鎖ボタン8が押圧されたままの状態だと、外部起動スイッチ8Bがオン状態にあるので、第3リレー接点45はスイッチオフの状態となり、自動閉鎖回路41には電力が供給されず、シャッターカーテン5は収納ボックス内に収納された状態のままである。
【0026】
このときに、非常用シャッター閉鎖ボタン8が押圧が解除されると、それによって、外部起動スイッチ8A,8Bがオフ状態となる。外部起動スイッチ8Aがオフ状態となっても、第2リレー接点35はオン状態を保持するので、自動閉鎖装置4には電力が供給される。一方、外部起動スイッチ8Bがオフ状態になると、第3リレー接点45はスイッチオンとなり、電力が自動閉鎖回路41に供給されるようになるために、ブレーキ2による開放状態の保持が解除され、シャッターカーテン5が自重降下を開始する。
【0027】
シャッターカーテン5が自重降下している途中で、再び、非常用シャッター閉鎖ボタン8が押圧されると、外部起動スイッチ8A,8Bが再びオン状態となる。しかしながら、既に第2リレー接点35はオン状態にあるので、この状態がそのまま保持される。一方、非常用シャッター閉鎖ボタン8が押圧されることによって、外部起動スイッチ8Bがオン状態となり、第3リレー接点45がスイッチオフとなり、自動閉鎖回路41への電力供給が遮断され、シャッターカーテン5の降下動作が停止する。この停止状態は、非常用シャッター閉鎖ボタン8が押圧状態(押し切り状態)に応じて継続される。従って、非常用シャッター閉鎖ボタン8の押圧状態(押し切り状態)が解除されると、再び、シャッターカーテン5は自重降下を開始する。
【0028】
図3は、本発明に係る開閉体制御システムの別の実施の形態に係る概略を示す図である。図3において、図2と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。図3の開閉体制御システムが図2のものと異なる点は、外部起動スイッチ8Bの代わりに第4リレー接点8Cを設け、非常用シャッター閉鎖ボタン8が押圧され、外部起動スイッチ8Aがオン状態となった場合に、第4駆動リレー3Aに電流が流れ、第4リレー接点8Cがオン状態となり、第3リレー接点45がスイッチオフとなり、自動閉鎖回路41への電力供給が遮断され、シャッターカーテン5の降下動作が停止するようにした点である。ダイオード3Bは、起動用スイッチ33、第1リレー接点34又は第2リレー接点35からの電流の流入を防止するものである。
【0029】
図4は、開閉体制御システムの動作の一例を示すフローチャート図である。まず、ステップS41では、開閉体制御システムは、煙センサや熱センサ等の熱感知装置からの感知器信号を受信したか否か、又は非常用シャッター閉鎖ボタン8が押圧され、外部起動スイッチ8Aがオン状態か否かの判定を行い、受信したり又はオン状態になった(yes)場合は次のステップS42に進み、受信していなかったり、オン状態でない(no)場合は、その信号を受信するまで又はオン状態になるまで、ステップS41の判定処理を繰り返す。
【0030】
ステップS42では、開閉体制御システムが感知器信号を受信したり、又は外部起動スイッチ8Aがオン状態になったので、開閉体制御システムがブレーキを解放する。これによってステップS43では、ブレーキの解放によってシャッターカーテン5がその自重によって降下を開始する。
【0031】
ステップS44では、シャッターカーテン5の下端の座板に何らかの障害物が接触し、それが座板内に内蔵されたマイクロスイッチで感知されたか否かを判定し、感知された(yes)場合はステップS47に進み、感知されない(no)場合はステップS45に進む。
【0032】
ステップS45では、非常用シャッター閉鎖ボタン8が押圧され、外部起動スイッチ8Aがオン状態か否かを判定し、オン状態(yes)の場合はステップS47に進み、そうでない(no)場合はステップS46に進む。
すなわち、マイクロスイッチから障害物検出信号が出力されない場合、及び非常用シャッター閉鎖ボタン8が押圧されない場合には、そのままシャッターカーテン5の閉鎖動作を継続するためにステップS46に進む。ステップS46では、シャッターカーテン5の降下動作を継続させ、ステップS44にリターンする。なお、シャッターカーテン5が降下して床面等に接触し、全閉状態になると、さらなら閉鎖はできないので、この場合には処理を停止する。一方、マイクロスイッチから障害物検出信号が出力され、ステップS44でyesと判定された場合には、又は非常用シャッター閉鎖ボタン8が押圧され、外部起動スイッチ8Aがオン状態になった場合には、ステップS47に進む。
【0033】
ステップS44及びステップS45でyesと判定されたということは、シャッターカーテン5の下降動作途中で、座板が何らかの障害物に接触したこと、又は非常用シャッター閉鎖ボタン8が押圧されたことを意味するので、ステップS47では、シャッターカーテン5の降下を停止させる。ここでの停止はブレーキングをかけることであり、ステップS42のブレーキ解放が行なわれるまでその停止状態を維持することになる。
【0034】
ステップS48では、座板内に内蔵されたマイクロスイッチから障害物検出信号が継続的に感知されなくなるか、又は非常用シャッター閉鎖ボタン8の押圧状態が解除されるまで、このステップS48の判定を繰り返し、感知されなくなった時点又は押圧状態が解除された時点で、ステップS42にリターンし、ブレーキを解放し、自重降下を再開させる。この実施の形態では、障害物検出信号が継続的に感知されている限り、又は非常用シャッター閉鎖ボタン8が押圧状態にある限りは、このステップS48を抜けることができないようなフローについて示してある。
【0035】
図5は、本発明に係る開閉体制御システムの自動閉鎖回路の変形例を示す図であり、自動閉鎖回路とその周辺の回路構成のみを示す図である。図2及び図3に示す自動閉鎖回路41は、電源部21からの電力の供給を受けることによって、ブレーキ2による開放状態の保持を解除し、シャッターカーテン5を自重で降下させ、逆に電力の供給を切断されることによって、ブレーキ2によってシャッターカーテン5の自重降下を停止するという動作を行なうものである。従って、図5(A)に示すように自動閉鎖回路411が電源部21からの電力の供給を切断されることによって、ブレーキ2による開放状態の保持を解除し、シャッターカーテン5を自重で降下させ、電力の供給を受けることによって、ブレーキ2によってシャッターカーテン5の自重降下を停止するという逆の動作を行なうものである場合には、図5(A)に示すように、第3リレー接点451としてa接点スイッチを用いればよい。また、図5(B)に示すように自動閉鎖回路412が作動回路と復帰回路とでそれぞれ電力供給を切り換える方式を採用している場合には、シャッターカーテン5の自重降下を停止するために、図5(B)に示すように第3リレー接点452として、c接点スイッチを用いて、電力供給を切り換えるようにしても良い。

【0036】
なお、上述の実施の形態では、障害物検出信号が感知されなくなった時点又は押圧状態が解除された時点で、ステップS42にリターンするようにしているが、降下を優先させる利用態様の場合には、感知状態や押圧状態のままでも、所定時間経過によってステップS42にリターンし、降下を再開させるようにしてもよいし、場合によっては所定距離だけ降下させたり、所定時間だけ降下させるようにしてもよい。
【0037】
上述の実施の形態では、開閉部材であるシャッターカーテンが下降しながら繰り出されて閉鎖する防火シャッターカーテン装置を例に説明したが、これ以外にも開閉部材が横引き方式で繰り出されたり、上昇方式で繰り出されたり、あるいは水平方式で繰り出されたりするものであっても同様に適用することができる。また、開閉体としては、例えば、シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置などでもよい。開閉体装置をシャッター装置とした場合、開閉体手段である開閉部材は、シャッターカーテンであり、その構成は、多数の短冊状のスラット材からなるスラットカーテン、多数のパイプ材をリンク材などで連結させてなるパイプグリルカーテン、一枚状あるいは多数連結されたパネル材からなるパネルカーテン、ネット材からなるネットカーテン、合成樹脂あるいは布繊維製のシート材からなるシートカーテン、あるいはこれらの複合部材などからなる複合カーテンなどによるものである。また、開閉体手段である開閉部材の材質は、使用目的に応じたものであれば、どのようなものでもよい。具体的には、金属製、木製、プラスチック製、布製、これらの複合されたものなどで構成することができる。なお、防火目的で設置される開閉体装置の場合、少なくとも開閉体手段である開閉部材の材質は、耐火性を有しているものが好ましい。
【0038】
上述の実施の形態では、座板スイッチのように障害物に当接することによって障害物を検出するものを例に説明したが、これ以外にテープスイッチや非当接にて障害物を検出可能なものでもよい。例えば、非当接にて障害物を検出するものとして、開閉部材の両側に赤外光の発光素子と受光素子を設け、赤外光が遮断された場合に障害物を検出するようなものなどがある。また、障害物検出手段は、開口部周辺を含む開口部に存在する障害物を検出するものである。
【0039】
また、上述の実施の形態では、障害物検出信号を伝達する場合、無線方式を例に説明したが、これ以外に有線方式や赤外光を用いたり、周波数信号(音波、超音波、電波など)を用いてもよい。電波などを用いた場合には、回転移動するガイドレールによる妨害が極めて少ないので、比較的自由な位置に障害物検出手段を配置することが可能となる。従って、周波数信号の場合は直進性のある程度高い超短波などの場合に、ガイドレールに妨害されないように配置するのが好ましい。
【0040】
上述の実施の形態では、非常用シャッター閉鎖ボタン8が押圧状態にある期間だけ自重降下を停止させる場合について説明したが、図2又は図3の回路の適当な箇所にタイマ装置を加えて、非常用シャッター閉鎖ボタン8が押圧後又は押圧解除後、タイマ装置によって計時された所定の時間だけ遅れて自重降下を再開するようにしても良い。また、上述の実施の形態では、自重降下を一時的に停止する場合について説明したが、停止後反転し開動作を行うようにしてもよく、停止も反転もせず閉動作を継続するが動作速度を減速するなどとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】防火区画を形成する従来の防火シャッターカーテン装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明に係る開閉体制御システムの概略を示す図である。
【図3】本発明に係る開閉体制御システムの別の実施の形態に係る概略を示す図である。
【図4】開閉体制御システムの動作の一例を示すフローチャート図である。
【図5】本発明に係る開閉体制御システムの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1…開閉機
10…防火シャッターカーテン装置
2…ブレーキ
3…中継器
30…電源部
31…復旧用のスイッチ
32…外部復旧用のスイッチ
33…起動スイッチ
34…第1リレー接点
35…第2リレー接点
36,37,3B…ダイオード
38…第2駆動リレー
39…第1駆動リレー
3A…第4駆動リレー
4…自動閉鎖装置
41,411,412…自動閉鎖回路
42…座板スイッチ
43…第3駆動リレー
44…ダイオード
45,451,452…第3リレー接点
5…シャッターカーテン
6…送信機
7…受信機
8…非常用シャッター閉鎖ボタン
8A,8B…外部起動スイッチ
8C…第4リレー接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部に設けられた開閉体手段と、
人為的操作に応じて閉鎖信号を出力する閉鎖指示手段と、
前記閉鎖信号の入力に応じて前記開閉体手段を閉動作させる制御手段と、
前記開閉体手段の閉動作中に前記閉鎖信号が出力された場合に、所定の時間だけ前記開閉体手段の閉動作を停止させる閉動作停止手段と
を備えたことを特徴とする開閉体制御システム。
【請求項2】
開口部に設けられた開閉体手段と、
人為的操作に応じて閉鎖信号を出力する閉鎖指示手段と、
前記閉鎖信号又は前記閉鎖信号とは異なる信号の入力に応じて前記開閉体手段を閉動作させる自動閉鎖手段と、
前記開閉体手段の閉動作中に前記閉鎖信号が出力された場合に、所定の時間だけ前記開閉体手段の閉動作を停止させる閉動作停止手段と
を備えたことを特徴とする開閉体制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載された開閉体制御システムにおいて、
前記閉動作停止手段は、前記閉鎖信号の入力に応じて前記自動閉鎖手段への電力の供給を制御することを特徴とする開閉体制御システム。
【請求項4】
開口部に設けられた開閉体手段と、
人為的操作に応じて閉鎖信号を出力する閉鎖指示手段と、
前記開閉体手段の動作経路上で障害物を感知した場合に障害物感知信号を出力する障害物感知手段と、
前記閉鎖信号の入力に応じて前記開閉体手段を閉動作させる制御手段と、
前記障害物感知信号の入力に応じて閉動作中の前記開閉体手段を停止させる閉動作停止手段とを備えた開閉体制御システムにおいて、
前記閉動作停止手段は、前記開閉体手段の閉動作中に前記閉鎖信号が出力された場合に、前記障害物感知信号の入力に応じて閉動作中の前記開閉体手段を停止させるという動作と同じように前記閉鎖信号の入力に応じて閉動作中の前記開閉体手段を停止させることを特徴とする開閉体制御システム。
【請求項5】
開口部に設けられた開閉体手段と、
人為的操作に応じて閉鎖信号を出力する閉鎖指示手段と、
前記開閉体手段の動作経路上で障害物を感知した場合に障害物感知信号を出力する障害物感知手段と、
前記閉鎖信号又は前記閉鎖信号とは異なる信号の入力に応じて前記開閉体手段を閉動作させる自動閉鎖手段と、
前記障害物感知信号の入力に応じて閉動作中の前記開閉体手段を停止させる閉動作停止手段を備えた開閉体制御システムにおいて、
前記閉動作停止手段は、前記開閉体手段の閉動作中に前記閉鎖信号が出力された場合に、前記障害物感知信号の入力に応じて閉動作中の前記開閉体手段を停止させるという動作と同じように前記閉鎖信号の入力に応じて閉動作中の前記開閉体手段を停止させることを特徴とする開閉体制御システム。
【請求項6】
請求項5に記載された開閉体制御システムにおいて、
前記自動閉鎖手段は、前記障害物感知信号又は前記閉鎖信号の入力に応じて前記自動閉鎖手段への電力の供給を制御することを特徴とする開閉体制御システム。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1に記載された開閉体制御システムにおいて、
前記閉動作停止手段は、前記閉鎖指示手段からの前記閉鎖信号を所定の時間自己保持する保持手段と、前記保持手段による前記閉鎖信号の自己保持中に前記閉鎖信号が入力された場合、前記自動閉鎖手段への電力の供給を制御することによって前記開閉体手段の閉動作を停止させる電力供給制御手段とを備えたことを特徴とする開閉体制御システム。
【請求項8】
請求項7に記載された開閉体制御システムにおいて、
前記電力供給制御手段は、前記閉鎖指示手段の人為的操作に連動して前記自動閉鎖手段への電力の供給を制御することによって前記開閉体手段の閉動作を停止させることを特徴とする開閉体制御システム。
【請求項9】
請求項8に記載された開閉体制御システムにおいて、
前記電力供給制御手段は、前記閉鎖指示手段とは電気的絶縁状態にあって、前記人為的操作に応じて直接又は間接的に接触して同時に操作されるような接点を介して前記自動閉鎖手段への電力の供給を制御することを特徴とする開閉体制御システム。
【請求項10】
請求項8に記載された開閉体制御システムにおいて、
前記電力供給制御手段は、前記閉鎖指示手段が人為的に操作されている間だけ電流が流れるように構成された駆動リレー手段によって、オン・オフ状態を切り替えられるように構成されたリレー接点を介して前記自動閉鎖手段への電力の供給を制御することを特徴とする開閉体制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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