説明

開閉制御装置

【課題】シャッターが設置された環境の温度変化によって過負荷検知機能の精度が低下することを防止する。
【解決手段】駆動源としてのステッピングモータの出力を、シャッターカーテンの開閉量により変化する負荷に応じて駆動可能な最低出力に設定し、負荷が該最低出力を超えたときは、該ステッピングモータを脱調させてシャッターカーテンの開閉駆動を停止させる開閉制御装置において、前記装置は、温度検出手段と、温度検出手段により検出された温度に基づいて前記モータ出力を補正する出力補正手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動シャッターの開閉制御装置に係り、詳しくは、シャッターが設置された環境の温度変化に対応した出力補正機能を備えた開閉制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、ステッピングモータを駆動源としたシャッターの過負荷検知装置を提案している(特許文献1)。シャッター装置では、シャッターカーテンが巻取りシャフトに対して巻き取られ、あるいは巻取りシャフトから繰り出されることで開口部を開閉するが、巻取りシャフトから繰り出されたシャッターカーテンの量(開閉量)によって負荷が変化する。したがって、シャッター装置においては、全開状態と全閉状態との間で、負荷が経時的に変化することになる。この過負荷検知装置では、ステッピングモータの出力を、学習によって、シャッターカーテンの開閉量によって変化する負荷に応じて駆動可能な最低出力に設定し、過負荷時にはステッピングモータを脱調させる。ここで、「駆動可能な最低出力」は、通常の使用時に発生し得る軽微な負荷変化(例えば、風等によりシャッターカーテンに作用する軽微な負荷)では脱調することなくモータが駆動するような大きさの出力である。「駆動可能な最低出力」の設定は、ステッピングモータの出力を、シャッターカーテンの開閉量に応じて変化する負荷に対して所定のオフセット量だけ上乗せした値に制御し、該オフセット量を過負荷時に該モータが脱調するような値に設定することで行う。また、初期設定時に、認識シャッターサイズを自動決定し、シャッターサイズに合わせた最適な開閉機の出力(負荷+オフセット量)を決定している。
【0003】
ここで、シャッターの開閉操作力は温度環境変化によって変動する。具体的には、温度変化により、(ア)モータ出力(開閉機に起因する)が変化し、また、(イ)シャッター負荷(シャッターに起因する)が変化する。同じ開閉機及びシャッター装置であっても、低温下では常温下に比べて、(ア)モータ出力は小さくなる傾向があり、(イ)シャッター負荷は大きくなる傾向にある。具体的に説明すると、低温下では、開閉機の減速機のグリスが固まって伝達効率が落ちたり、金属製のスラット、ガイドレールのモヘア、巻取シャフトのグリス等が凍結して抵抗が大きくなったりする。一方、高温下では、常温下に比べてシャッターの負荷が小さくなる傾向にある。
【0004】
このように、気温の変化が上記過負荷検知に及ぼす影響は大きい。低温状態では、負荷が増大する傾向があり、零下になるとその傾向が加速する。そのため、常温で負荷を学習してきても急激な温度低下があると誤検知して停止してしまうおそれがある。
【0005】
また、シャッターサイズによって異なるオフセット量(トルクマージン)が設定されるため、同じシャッターであっても、気温(負荷)の変動により、シャッターサイズを小さく認識してしまう場合には、本来のオフセット量よりも小さいオフセット量が設定されて感度が必要以上に敏感となって誤検知しやすくなり、逆にシャッターサイズを大きく認識した場合は、本来のオフセット量よりも大きいオフセット量が設定されて感度が悪くなってしまい過負荷検知できないものとなってしまう。
【0006】
特許文献2には、開閉機のトルクに影響を与える事象の発生に影響を受けにくく常に一定の負荷値で負荷感知状態を判断できる装置が開示されており、要約書には以下のとおり記載されている。温度検出手段5はDCモータMの温度を検出する。開閉機電圧検出手段8はDCモータMに供給する電圧値を検出する。外部電圧値検出手段17は供給される外部電源電圧を検出する。制御手段10には予め停止用の負荷感知トルクに対応した基準電圧値が設定され、開閉機電圧検出手段8の検出電圧値がこの基準電圧値に達するとDCモータMを停止制御する。そして、基準電圧値は、検出されたDCモータMの温度、外部電圧によって補正されるため、温度や電圧変動が生じても常時一定な負荷感知トルクで停止制御できる。
【0007】
しかしながら、特許文献2では、実際に検出された電圧値が予め用意した基準電圧値に達すると過負荷検知と判断するものであって、特許文献1の過負荷検知手段、すなわち、ステッピングモータの出力を、シャッターカーテンの開閉量により変化する負荷に応じて駆動可能な最低出力に設定し、負荷が該最低出力を超えたときは、該ステッピングモータを脱調させる、と異なる。すなわち、特許文献1には基準電圧値に対応するものはなく、特許文献2にはモータの出力を変化させるという技術思想はないことから、特許文献2の温度に応じて前記基準電圧値を補正することを、特許文献1に適用することはできない。
【特許文献1】特開2006−207156
【特許文献2】特開2001−245490
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、シャッターが設置された環境の温度変化によって過負荷検知機能の精度が低下することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、駆動源としてのステッピングモータの出力を、シャッターカーテンの開閉量により変化する負荷に応じて駆動可能な最低出力に設定し、負荷が該最低出力を超えたときは、該ステッピングモータを脱調させてシャッターカーテンの開閉駆動を停止させる開閉制御装置において、前記装置は、温度検出手段と、温度検出手段により検出された温度に基づいて前記モータ出力を補正する出力補正手段と、を備えている。典型的には、前記出力補正手段は、検出された温度が所定温度より低い場合に、前記モータ出力を、検出された温度に応じて予め設定されている補正量だけ増加させる。一つの態様では、前記補正量は、予め設定されている出力に対する割合で設定されており、当該割合を、検出された温度のみならず、シャッターサイズに応じて異ならしめる。こうすることで、補正量の基準となる出力(シャッターサイズ毎に異なる)に応じて最適な補正量を設定して、適切な負荷検知を可能とする。
【0010】
一つの態様では、記温度検出手段は、前記モータの近傍に設けてあり、前記出力補正手段の作動後、少なくとも予め設定した所定時間は補正された出力値が維持され、当該所定時間内にシャッター開閉が行われる場合には、前記補正された出力値で動作する。前記所定時間は、モータ駆動により上昇した温度検出手段の周囲温度が元の温度に戻るまでを想定して設定される時間であり、一つの態様例では20分間である。したがって、出力補正が行われて10分後にシャッター開閉操作が行われる場合には、その時点における出力補正は行われずに、前回の補正された出力値でシャッター開閉操作が行われる。この場合、10分後に行われたシャッター開閉操作からさらに20分間が監視されて、出力補正が制限される。
【0011】
前記変化する負荷に応じて駆動可能な最低出力は、開閉量に応じて変化するシャッター負荷と、当該シャッター負荷に上乗せされるオフセット量と、から決定され、前記オフセット量は、シャッターサイズが大きい程大きくなるように設定されている。前記オフセット量は、シャッター初期設定時に認識されたシャッターサイズによって決定され、各シャッターサイズに対応する初期設定時の各出力が予め設定されている。初期設定時における認識シャッターサイズ自動決定手段は、設定された最小出力でシャッターカーテンを上限位置から降下させてステッピングモータの脱調の有無を検出し、脱調が検出された場合には、シャッターカーテンを再下降させる毎に出力を段階的に上昇させて脱調の有無の検出を行い、脱調が検出されなくなるまでの出力の上昇回数あるいは/および脱調が検出されなかった時の出力に基づいてシャッターサイズが決定される。尚、シャッターモーメントは、シャッターカーテンの開閉量によって変化するが、シャッターカーテン上限位置からシャッターカーテンを所定時間降下させた上限近傍位置の間にシャッターモーメントの最大値あるいは最大値に近い値があるように設定されており、初期設定時の脱調の有無の検出は、シャッターカーテン上限位置から該所定時間降下するまでに間に行われる。
【0012】
前記出力補正手段は、初期設定時に検出された温度が所定温度より低い場合に、初期設定時の出力を、予めシャッターサイズに関連付けて設定されている出力に対して、検出された温度に応じて予め設定されている補正量だけ増加させる。一つの態様では、前記補正量は、予め設定されている出力に対する割合で設定されており、当該割合を、検出された温度のみならず、シャッターサイズに応じて異ならしめる。こうすることで、補正量の基準となるシャッターサイズ認識のための出力(シャッターサイズ毎に異なる)に応じて最適な補正量を設定して、適切なシャッターサイズ認識を行う。
【0013】
前記出力補正手段は、初期設定時に検出された温度が所定温度より高い場合に、前記オフセット量を、認識されたシャッターサイズよりも1レベル大きいシャッターサイズのオフセット量に補正する。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、温度検出手段により検出された温度に基づいて、シャッターカーテンの開閉量により変化する負荷に応じて駆動可能な最低出力に設定されたモータ出力を補正する出力補正手段を備えているので、シャッター装置が設置された環境の温度が変化(特に低下)した場合であっても、過負荷検知機能の精度が落ちることがない。
【0015】
ステッピングモータの出力を、シャッターカーテンの開閉量により変化する負荷に応じて駆動可能な最低出力に設定し、負荷が該最低出力を超えたときは、該ステッピングモータを脱調させてシャッターカーテンの開閉駆動を停止させる過負荷検知手段において重要なオフセット量を設定するに際に、環境温度変化に起因して誤ったオフセット量が設定されてしまうことを防止することで、過負荷検知機能の精度が落ちることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1において、建物開口部に設置されるシャッター装置は、シャッターカーテン1と、シャッターカーテン1の上端が連結されている巻取りシャフト2と、巻取りシャフト2を開閉駆動させる開閉機3とを有する。開閉機3は駆動手段としてのステッピングモータ4を有しており、ステッピングモータ4の回転軸と巻取りシャフト2とを伝動連結させて、ステッピングモータ4の回転軸の回転を巻取りシャフト2に伝達することで巻取りシャフト1を正逆回転させてシャッターカーテン1を巻取りシャフト2に巻き取り、あるいは、巻取りシャフト2から繰り出してシャッターカーテン1を左右のガイドレール5に案内させて開口部を開閉する。
【0017】
シャッター装置の開閉駆動は、スイッチボックス6からの指令によって行われる。スイッチボックス6からの指令は制御部7を介して開閉機3に送信される。スイッチボックス6には、上昇用、下降用、停止用の押釦式操作スイッチPBU,PBS,PBDが設けてある。上昇用ボタンPBUを押すと、シャッター上昇信号が制御部7の開閉制御回路に送信され、モータ駆動電流が開閉機3のモータ4に供給されて、モータ4が回転して、シャッターカーテン1を巻取りシャフト2に巻き取る。下降用ボタンPBDを押すと、シャッター下降信号が制御部7の開閉制御回路に送信され、モータ駆動電流が開閉機3のモータ4に供給されて、モータ4が回転して、シャッターカーテン1を巻取りシャフト2から繰り出す。停止用ボタンPBSを押すと、停止信号が制御部7の開閉制御回路に送信されてモータ4へのモータ駆動電流の供給が遮断されて、モータ4の回転が停止する。
【0018】
制御部(制御手段)7はマイクロコンピュータを有しており、マイクロコンピュータはCPUと記憶部を備えており、記憶部を構成するICメモリはさらにROMとRAMを有している。ステッピングモータ4の駆動はマイクロコンピュータによって制御される。すなわち、マイクロコンピュータによって制御された所定の駆動電流をモータに送出することでステッピングモータは所定の駆動トルク(開閉機出力)を出力する。本発明では、シャッターカーテンの位置(シャッターカーテンの開閉量)に応じてモータに供給される駆動電流が設定されている。
【0019】
開閉機によりシャッターカーテンを開閉駆動するためには、開閉機の出力(モータの駆動トルク)が負荷(シャッターモーメントによって決定される)を上回る必要があるが、巻取りシャフトを回転させてシャッターカーテンを上下動させる際のシャッターモーメントは、シャッターカーテンが全開状態から全閉状態へと至る過程、シャッターカーテンが全閉状態から全開状態へと至る過程で、シャッターカーテンが巻取りシャフトから繰り出された量に応じて経時的に変化する(本明細書では、シャッターカーテンの開閉時にシャッターカーテンの繰り出し量、すなわち開閉量に起因して経時的に変化する負荷を、シャッターモーメントと言う)。シャッターカーテンの開閉時のシャッターモーメントは、シャッターカーテンの開閉量と巻取りシャフトに内蔵されたバネとのバランスによって決定されるので、シャッターカーテン開閉時に変化するシャッターカーテンの開閉量によって負荷が変化することになる。また、本発明の一つの態様では、巻取りシャフトに内蔵されたバネによって、シャッターカーテン降下し始めのシャッターモーメントが、最大値あるいは最大値に近い値となるように設定されている。
【0020】
本発明では、シャッターカーテンの開閉時において変化するシャッターモーメントを経時的に監視して検出すると共に、検出されたシャッターモーメントに対して所定のオフセット量だけ上乗せした値の開閉機の出力(駆動可能な最低出力)が得られるようにステッピングモータの出力を制御する。モータ出力の制御は、モータへ供給する駆動電流の制御により駆動トルクを制御することで行う。そして、負荷が、予め設定された駆動可能な最低出力を超えたときは、ステッピングモータを脱調させてシャッターカーテンの開閉駆動を停止させる。
【0021】
検知された負荷に上乗せするオフセット量は、正常なシャッターカーテンの開閉駆動時には駆動トルク(ある時点で検知された負荷+オフセット量)が負荷を下回ることがなく、移動中のシャッターカーテンに障害物が当った場合等にシャッターカーテンに作用する負荷の大きさが、駆動トルク(ある時点で検知された負荷+オフセット量)を超えるような値に設定される。すなわち、過負荷状態では、負荷が駆動トルクを上回って、開閉機を構成するステッピングモータが脱調するような値にオフセット量が設定される。具体的な態様では、オフセット量は電流値として設定され、検出された負荷と等価としての電流値に対してオフセット量を加えた電流値を駆動電流としてモータに供給する。こうすることで、過負荷時にステッピングモータを脱調させることで過負荷検出が行われ、モータが脱調することで回転軸の回転が停止してシャッターカーテンの開閉駆動が停止する。シャッターカーテンの開閉駆動時には、予め設定されたオフセット量、検知された負荷と等価としての電流値に基づいて、駆動電流が経時的(所定タイミング毎)に決定される。オフセット量は、モータ出力がシャッターカーテンの開閉量により変化する負荷に応じて駆動可能な最低出力となるような値に設定される。オフセット量は、通常の使用時に発生し得る軽微な負荷変化(例えば、風等によりシャッターカーテンに作用する軽微な負荷)では脱調することなくモータが駆動するようなマージンを決定する。オフセット量は過負荷検知の検知感度に直接影響を与えるものであり、シャッターカーテンの開閉操作の過程で、必要に応じて、オフセット量を更新してもよい。一つの態様では、オフセット量は、テーブルとしてマイクロコンピュータのROMに記憶されており、テーブルから適当なオフセット量が選択される。
【0022】
ここで、シャッターカーテンを開閉駆動するために必要な開閉機の最大出力は、シャッターのサイズによって異なるので、シャッターサイズによって適切なモータの出力(駆動電流値)が異なる。シャッターサイズが大きければ最大負荷も大きいため、その分大きい出力(駆動電流)が必要であり、シャッターサイズが小さければ最大負荷も小さいため、その分小さい出力(駆動電流)で済む。また、開閉機によりシャッターカーテンを開閉駆動するためには、開閉機の出力(モータの駆動トルク)がシャッターモーメントを上回る必要があるが、シャッターモーメントに対する出力のトルクマージン(オフセット量)についても、シャッターサイズによって適切な量がある。
【0023】
制御部7の記憶部には、サイズの異なる複数種類のシャッターにそれぞれ対応する初期駆動電流値(初期Vref[mV]で決定される)及びオフセット量のテーブルが格納されている。図2は、シャッターサイズと駆動電流値、オフセット量の関係を例示するテーブルであって、9種類のシャッターサイズ(サイズ1が最小サイズで、サイズ2、サイズ3、・・・と順にサイズが大きくなる)に対応する初期駆動電流値、オフセット量を示している。シャッターサイズが大きければその分オフセット量も大きくなるように設定されており、8つの段階において段階5がデフォルトとなっている。負荷検知の感度を調整したい場合には、モータに設けた3つのディップスイッチの選択の組み合わせによりオフセット量を8段階に調整できるようになっている。例えば、3つのディップスイッチが、OFF,OFF,OFFの場合は段階1、OFF,OFF,ONの場合は段階2となる。
【0024】
本発明では、1つのモータを用いて、シャッターサイズ毎にモータの出力(駆動電流値)を設定する。モータの出力(駆動電流値)の設定は、シャッターカーテンが巻取りシャフトに巻き取られた状態(シャッターカーテンの上限位置ないし開口部全開状態)において、上限位置からの降下毎にステッピングモータへ供給する電流値を徐々に上げていき、該ステッピングモータが脱調せずに巻取りシャフトが回転してシャッターカーテンを所定時間(所定量)降下できた時のモータ出力(電流値)に基づいて自動設定される。駆動電流の設定は、駆動トルクの自動設定装置によって行われ、該装置は、シャッターカーテンの駆動源としてのステッピングモータと、ステッピングモータの脱調の有無を検出する脱調検出手段と、ステッピングモータの駆動電流値を設定する制御手段とを有し、該脱調検出手段は、ある電流値でシャッターカーテンを上限位置から降下させてステッピングモータの脱調の有無を検出し、該制御手段は、脱調が検出された場合には、シャッターカーテンを上限位置から再下降させる毎にステッピングモータの駆動電流を段階的に上昇させて脱調検出手段による脱調の検出を繰り返し、脱調が検出されなかった場合の電流値に基づいて駆動電流値を設定するように構成されている。本発明が採用する脱調検出手段の構成は限定されないが、1つの態様では、ロータリーエンコーダでモータの回転軸の回転を検出すると共に、エンコーダの出力パルスの有無を検出することで、モータの回転が入力パルスに同期しなくなった状態を検出することによって脱調検出を行う。
【0025】
本発明の好ましい態様を図3に基づいて説明する。本発明では、モータへ供給する電流をシャッターサイズ1に対応する電流値から段階的に上げていき、ステッピングモータが脱調せずに巻取りシャフトが回転してシャッターカーテンを所定時間降下できた時の電流値に基づいてモータ駆動電流値を特定する。
【0026】
図3において、駆動電流を設定する制御手段によってシャッターサイズ1(最小サイズ)に対応する出力(電流値)をモータに供給し、脱調検出手段によって脱調の有無を検出する。シャッターサイズ1に対応する電流値をモータに供給した時には、脱調検出手段によってステッピングモータの脱調が検出される。
【0027】
次に、駆動電流を設定する制御手段によって出力(電流値)をシャッターサイズ2に対応する値に上昇させ、シャッターサイズ2に対応する電流値をモータに供給して、脱調検出手段によって脱調の有無を検出する。シャッターサイズ2に対応する電流値をモータに供給した時には、脱調検出手段によってステッピングモータの脱調が検出される。
【0028】
さらに、駆動電流を設定する制御手段によって出力(電流値)をシャッターサイズ3に対応する値に上昇させ、シャッターサイズ3に対応する電流値をモータに供給して、脱調検出手段によって脱調の有無を検出する。シャッターサイズ3に対応する電流値をモータに供給した時には、脱調検出手段によってステッピングモータの脱調が検出される。
【0029】
さらに、駆動電流を設定する制御手段によって出力(電流値)をシャッターサイズ4に対応する値に上昇させ、シャッターサイズ4に対応する電流値をモータに供給して、脱調検出手段によって脱調の有無を検出する。シャッターサイズ4に対応する電流値をモータに供給した時には、脱調検出手段によってステッピングモータの脱調が検出される。
【0030】
さらに、駆動電流を設定する制御手段によって出力(電流値)をシャッターサイズ5に対応する値に上昇させ、シャッターサイズ5に対応する電流値をモータに供給して、脱調検出手段によって脱調の有無を検出する。図3の例では、シャッターサイズ5に対応する電流値をモータに供給した時には、脱調検出手段によってステッピングモータの脱調が検出されず、シャッターカーテンは4秒間降下させることができる。
【0031】
よって、図3の例では、駆動電流を設定する制御手段によって、認識シャッターサイズ5の電流値に基づいて駆動電流値が設定される。そして、シャッターサイズ5が認識されたことで、図2に示すように、シャッターサイズ5に対応するオフセット量が選択されて設定される。本発明では、シャッターカーテン降下し始めのシャッターモーメントが、最大値あるいは最大値に近い値となるように設定されており、ここにおける態様では、上限位置からシャッターカーテン降下開始後4秒以内に1つのピークがあるように設定されており、その間で脱調が検出されなければ、その電流値に基づいて駆動電流値が設定される。尚、シャッターカーテン上限位置付近のピークよりも、シャッターカーテン下限位置付近のピーク(最大負荷)の方が大きい場合もあるが、次に述べるように、駆動電流値設定手段によって、認識シャッターサイズの電流値に所定量を加えた電流値を駆動電流値として設定することで対応することができる。
【0032】
シャッターを実際に開閉駆動させる時のモータの動作出力(駆動電流値)は、シャッターサイズを認識した時の出力値(電流値)よりも所定量だけ上昇させる。前述のように、シャッターカーテン降下し始めのシャッターモーメントが、最大値あるいは最大値に近い値となるように設定されているので、降下し始めのシャッターモーメントが最大値でない場合において(例えば、図3のものでは、シャッターの下限位置近傍に最大負荷がある)、認識時の出力+所定量αが、負荷最大値を超えるように、所定量を設定することで、認識時の出力+所定量の出力を供給するように駆動電流値を設定すれば、シャッターカーテンは途中で停止することなく(脱調することなく)降下する。したがって、モータへの駆動電流値の初期設定時には、シャッター全閉状態から全開状態までの各位置における駆動電流値を設定するために脱調の有無を検出する必要がないので、設定時間が短くてすむ。
【0033】
本発明では、ステッピングモータの出力を、シャッターカーテンの開閉量により変化するシャッターモーメントに応じて駆動可能な最低出力に設定し、負荷が最低出力を超えたときは、ステッピングモータを脱調させて開閉体の開閉駆動を停止するように構成されており、変化するシャッターモーメントに応じてモータ出力を、認識時の出力+仮オフセット量から変化させる必要がある。
【0034】
先ず、予めシャッターカーテンの全開状態から全閉状態、あるいは全閉状態から全開状態における負荷(シャッターモーメント)を負荷検出部によって経時的に監視して検出することで変化する負荷情報を取得し、記憶部に記憶しておく。一つの態様では、電流検出装置を用いて負荷(シャッターモーメント)の変動を検出することで、電流値を負荷(シャッターモーメント)と等価として記憶部に格納する。負荷を電流値と等価としたが、駆動電流とトルクの関係は、用いられるモータによって決まっているので、駆動電流がわかればトルクを算出することができる。
【0035】
検出された負荷に応じて経時的に変化させるモータ出力(モータ駆動電流)の決め方について、シャッターサイズ認識のステップから順を追って説明する。
ステップ1:初期動作でシャッターサイズを確定する為の出力を上限位置から4秒以内の脱調の有無で判断する。図3では、5回目で降下したので認識シャッターサイズ5となる。脱調しなかった場合の出力値+所定量αを、その認識シャッターサイズの出力値(駆動電流値)とする。
ステップ2:ステップ1で決定した出力値(駆動電流値)を一定で与えると共に、負荷(シャッターモーメント)を電流検出装置で経時的に検出して記憶部に記憶する。
ステップ3:モータ出力(駆動電流値)を、ステップ1の出力値(駆動電流値)に基づいて、オフセット量(認識シャッターサイズで確定される)+負荷(ステップ2で検出した)に近づけて行き、図3に示すように、経時的に変化するシャッターモーメントに応じて変化するようにモータ出力(駆動電流値)を制御する。図3では、モータ出力(駆動電流値)の制御は1.7秒毎に行われ、経時的に階段状に変化するモータ出力(駆動電流値)が得られる。
【0036】
図4は、モータの出力の設定の流れを示す図である。モータ出力を設定するためには、先ず、認識シャッターサイズを選択する必要がある。制御部の記憶部には、自動認識シャッターサイズと初期駆動電流値、オフセット量の対応を示すテーブルが格納されている。シャッターサイズの認識は、上述のとおり、小さいシャッターサイズに対応する駆動電流値から段階的に駆動電流をステッピングモータに供給していき、ステッピングモータが脱調せずにシャッターカーテンが巻取りシャフトに巻き取られた状態から降下し始めることができた駆動電流値に対応するサイズが認識シャッターサイズとして選択される。図4では、7回目の駆動電流で初めてシャッターカーテンが降下したので、認識シャッターサイズ7番となる。予めシャッターサイズが既知の場合には、認識シャッターサイズ7番を手動で選択してもよい。
【0037】
次いで、検出された負荷に上乗せするオフセット量を決定する。オフセット量は、認識シャッターサイズ毎に8段階で用意されており、標準は8段階中の5番となっている。オフセット量は、ディップスイッチの選択により8段階の中から選択することができ、オフセット量を低感度方向に変更したい場合には、1〜4番を選択し、オフセット量を高感度方向に変更したい場合には、6から8番を選択する。
【0038】
次いで、電流検出装置から構成された負荷検出部によって、シャッターカーテンの開閉操作時にシャッターカーテンの開閉量によって変化する負荷(シャッターモーメント)を、経時的に取得して、記憶部(RAM)に記憶する。検知されたシャッターモーメント(電流値)と予め設定されたオフセット量(電流値)から開閉機のモータに供給される駆動電流が所定タイミング(1.7秒)毎に決定され、所定の駆動トルク(出力)が所定タイミング(1.7秒)毎に出力されてシャッターカーテンを開閉駆動する。負荷(シャッターモーメント)は、シャッターカーテンの開閉駆動毎に検出することで更新され、最新の負荷値を記憶部(RAM)に記憶する。出力(駆動電流)の制御は、最新の負荷値と選択されたオフセット量を用いて行われる。
【0039】
正常なシャッターカーテンの開閉動作では、負荷がモータの出力を上回ることがないので、所定の駆動電流によって出力された駆動トルクでシャッターカーテンが開閉駆動される。シャッターカーテンの開閉駆動時にシャッターカーテンに障害物が当ったような場合には、シャッターカーテンに作用する負荷がモータ出力を上回り、ステッピングモータが脱調する。ステッピングモータが脱調すると、モータ回転軸の回転が停止するのでシャッターカーテンの開閉駆動が停止する。すなわち、ステッピングモータが脱調することで過負荷状態を自動的に検知する。障害物検知の感度を変更したい場合には、ディップスイッチの選択によって、オフセット量を変更することで感度を変更することができる。
【0040】
上述した開閉制御装置は、さらに、シャッター装置が設置された環境の温度検出手段と、開閉機の出力補正手段と、を備えている。温度検出手段としては、開閉機内に設置されたモータ温度保護用のサーミスタを利用して、周囲温度を推定することができる。また、温度検出手段は、開閉機内に設置されるものに限定されず、要は、シャッター装置の周囲環境の温度を検出できるものであれば設置場所は限定されない。出力補正手段は、温度検出手段により検出された温度を用いて開閉機の出力を補正する。
【0041】
通常開閉操作時の出力補正の例を表1に示す。
【表1】

低温時にシャッターの開閉操作を行う場合には、開閉機のモータの出力補正を行う。表1の例では、サーミスタの温度が5℃以下の場合に低温とみなし、かつ、低温状態をレベル1からレベル5に分類し、レベル毎に出力補正値が設定されている。出力補正値は、温度が下がるにつれて大きくなるように設定されている。具体的には、検出された温度が5℃〜0℃の場合には、開閉機出力は、既に設定されている出力値(常温時に実際にシャッターを開閉するための出力であって、オフセット量も含まれている)に対して135%の出力補正値(レベル1)となり、同様に、検出された温度が0℃〜−5℃の場合には、開閉機出力は145%の出力補正値(レベル2)となり、検出された温度が−5℃〜−10℃の場合には、開閉機出力は150%の出力補正値(レベル3)となり、検出された温度が−10℃〜−15℃の場合には、開閉機出力は165%の出力補正値(レベル4)となり、検出された温度が−15℃よりも低い場合には、開閉機出力は195%の出力補正値(レベル5)となる。出力補正における補正量は、予め設定されている出力に対する割合で設定されており、出力補正値から100を引いた値が補正量である。また、検出された温度が5℃より高い場合には、出力補正は行われず、予め設定されている出力で通常の開閉操作が行われる。
【0042】
出力補正は、常時温度を監視してシャッター開閉毎に行われる。すなわち、シャッターを開閉操作する際の温度検出手段により検出された温度に基づいて、出力補正の要否及び出力補正のレベルが決定される。表1の例では、サーミスタにより検出された温度のが−3℃であれば、レベル2が判定され、既に学習して設定されている開閉機出力(負荷+オフセット量)に対して145%の出力でシャッターの開閉が行われる。
【0043】
サーミスタが開閉機の近くに取り付けてあるものでは、一度開閉機を動かすとモータの発熱によりサーミスタ付近の温度が実際のシャッターが置かれた環境の温度より高くなってしまう。したがって、出力補正手段の作動後、少なくとも所定時間(本実施例では20分間)は補正された出力値が維持され、この20分間にシャッター開閉が行われる場合には、前記補正された出力値で動作するようになっている。この20分間は、例えば、タイマによって設定される。すなわち、前回の出力補正から20分間経過前の開閉については、前回開閉時(出力補正が実施された開閉時)の温度に基づいて出力補正され(前回と同様の出力補正行われる)、前回の出力補正から20分間経過後は、実際のサーミスタの温度に基づいて出力補正が行われる。これは開閉機を動かすと開閉機付近の温度は上昇するが、20分程度で元の温度に戻ること、及び20分程度の時間では実際の気温の変化はほとんど無いこと根拠としている。尚、この20分という数値は一つの例に過ぎず、シャッターが設置された環境や開閉機に応じて適宜設定され得る数値である。
【0044】
一つの態様では、出力補正中は、シャッター負荷を推定しないものであり、既述の出力の学習機能は働かない。したがって、低温下では、常温下で学習して設定された出力に対して補正が行われる。
【0045】
温度による負荷変動は、シャッターサイズ、スラットの種類、ガイドレール緩衝材の材質、巻取体の構造等によって変化し得るため、シャッターの種類によって出力補正値を最適化してもよい。
【0046】
次に、シャッター初期設定時(認識シャッターサイズの決定時)における出力補正について説明する。初期設定時の出力補正を表2に例示する。
【表2】

【0047】
既述の通り、本発明では、初期設定時に認識シャッターサイズを決定し、決定された認識シャッターサイズによって開閉機出力、オフセット量が決定される。図3と関連して既に述べたように、認識シャッターサイズの決定手段は、次のように行われる。シャッターサイズ1(最小サイズ)に対応する出力(電流値)をモータに供給し、脱調検出手段によって脱調の有無を検出する。ステッピングモータの脱調が検出された場合には、出力(電流値)をシャッターサイズ2に対応する値に上昇させ、シャッターサイズ2に対応する電流値をモータに供給して、脱調検出手段によって脱調の有無を検出する。ステッピングモータの脱調が検出された場合には、さらに、出力(電流値)をシャッターサイズ3に対応する値に上昇させ、シャッターサイズ3に対応する電流値をモータに供給して、脱調検出手段によって脱調の有無を検出する。ステッピングモータの脱調が検出された場合には、さらに、出力(電流値)をシャッターサイズ4に対応する値に上昇させ、シャッターサイズ4に対応する電流値をモータに供給して、脱調検出手段によって脱調の有無を検出する。ステッピングモータの脱調が検出された場合には、さらに、出力(電流値)をシャッターサイズ5に対応する値に上昇させ、シャッターサイズ5に対応する電流値をモータに供給して、脱調検出手段によって脱調の有無を検出する。図3の例では、シャッターサイズ5に対応する電流値をモータに供給した時には、脱調検出手段によってステッピングモータの脱調が検出されず、シャッターカーテンは4秒間降下させることができる。よって、図3の例では、駆動電流を設定する制御手段によって、認識シャッターサイズ5の電流値に基づいて駆動電流値が設定される。そして、シャッターサイズが認識されたことで、シャッターサイズ5に対応するオフセット量(図2参照)が選択されて設定される。
【0048】
ここで、初期設定時にシャッターが設置された環境が低温の場合にはシャッター負荷が大きくなり、本来の認識シャッターサイズよりも1回以上多い回数だけ出力を上昇させなければならない場合があり、その場合には、本来の認識シャッターサイズよりも大きい認識シャッターサイズが設定されてしまう。大きい認識シャッターサイズが設定されるということは、それだけ大きいオフセット量が設定されることになる。したがって、低温時で初期設定されたシャッターを常温時に開閉操作させる場合に、必要以上に大きいオフセット量が設定されていることから、過負荷検知の感度が悪くなって過負荷検知が良好に働かないおそれがある。
【0049】
そこで、低温時にシャッターの開閉機の初期設定を行う場合には、初期設定時のシャッターサイズ認識時における開閉機の出力補正を行う。表2の例では、サーミスタの温度が5℃以下の場合に低温とみなし、かつ、低温状態を5段階に分類し、レベル毎に出力補正値が設定されている。出力補正値は、温度が下がるにつれて大きくなるように設定されている。具体的には、検出された温度が5℃〜0℃の場合には、開閉機出力は、シャッターサイズ認識時の出力として設定されている出力値に対して120%の出力補正値となり、同様に、検出された温度が0℃〜−5℃の場合には、開閉機出力は125%の出力補正値となり、検出された温度が−5℃〜−10℃の場合には、開閉機出力は130%の出力補正値となり、検出された温度が−10℃〜−15℃の場合には、開閉機出力は150%の出力補正値となり、検出された温度が−15℃よりも低い場合には、開閉機出力は180%の出力補正値となる。
【0050】
これを図3との関連で説明すると、図3の縦軸として認識シャッターサイズ1〜8に対応した出力(電流値)が設定されているが、低温時には、これらの電流値が上方に所定の補正量だけシフトした形となる。例えば、常温時の認識シャッターサイズ1〜8のための出力がX1、X2、X3、・・・X8だとすると、シャッターサイズ認識時の温度が−3℃であれば、シャッターサイズ認識のための出力は、(X1、X2、X3、・・・X8)×1.25となる。一方、図3における負荷(シャッターモーメント)を辿ったグラフも、低温時には負荷が上昇することから、ある量だけ上方にシフトすることになる。したがって、低温時でシャッター負荷が上昇している状態で初期設定(認識シャッターサイズ決定)を行う場合であっても、シャッターサイズ認識のための出力も補正されているので、誤ってシャッターサイズを大きく認識してしまうことがない。
【0051】
一方、初期設定時にシャッターが設置された環境が高温の場合には、例えば巻取体の構成部品間のグリスがより潤滑となってシャッター負荷が小さくなり、本来の認識シャッターサイズよりも小さいシャッターサイズが認識されてしまうおそれがある。小さい認識シャッターサイズが設定されるということは、それだけ小さいオフセット量が設定されることになる。したがって、高温時で初期設定されたシャッターを常温時に開閉操作させる場合に、必要以上に小さいオフセット量が設定されていることから、過負荷検知の感度が必要以上に敏感になって誤検知が多くなるおそれがある。
【0052】
そこで、高温(表2の例では15℃より高い温度)時にシャッターサイズを認識する場合には、認識シャッターサイズの決定が行われた後に、認識シャッターサイズを1レベル大きくする補正、すなわち、オフセット量の補正、を行う。例えば、シャッターサイズ認識のために予め設定されている出力で認識シャッターサイズ3が認識されたとすると、シャッターサイズ認識時の温度が30℃である場合には、認識シャッターサイズ4のオフセット量が設定される。
【0053】
したがって、高温時でシャッター負荷が低下している状態で初期設定(認識シャッターサイズ決定)を行う場合であっても、実際に認識されたシャッターサイズのオフセット量よりも大きいオフセット量が設定されるので、常温下でシャッターの開閉動作が行われる場合であっても、過負荷検知手段が誤検知を起こすことがない。また、検出された温度が5℃〜15℃の場合には、予め設定されている出力で認識シャッターサイズの決定が行われ、その前あるいは後で出力補正を行うことはない。
【0054】
温度による出力補正値を認識シャッターサイズ毎に設定してもよい。表3は通常開閉時の補正量を示すものであり、表1に対応している。シャッターカーテンの上昇時には、認識シャッターサイズに拠らず検出された温度に対応して、40%〜110%の補正量が設定されている。
【表3】

【0055】
シャッターカーテンの下降時には、表3に示すように認識シャッターサイズ1〜9において、「シャッターサイズ1、2」、「シャッターサイズ3、4」、「シャッターサイズ5」、「シャッターサイズ6、7、8、9」毎に異なる補正量が設定されている。具体例を挙げて説明すると、「シャッターサイズ1、2」では、検出された温度が5℃〜0℃の場合には、開閉機出力は、既に設定されている出力値に対して補正量が50%であり、全体として150%の出力補正値となり、同様に、検出された温度が0℃〜−5℃の場合には、補正量が60%であり、全体として開閉機出力は160%の出力補正値となり、検出された温度が−5℃〜−10℃の場合には、補正量が70%となり、全体として開閉機出力は170%の出力補正値となり、検出された温度が−10℃〜−15℃の場合には、補正量が100%となり、全体として開閉機出力は200%の出力補正値となり、検出された温度が−15℃〜−20℃の場合には、補正量は110%となり、全体として開閉機出力は210%の出力補正値となり、検出された温度が−20℃よりも低い場合には、補正量は120%であり、全体として開閉機出力は220%の出力補正値となる。また、検出された温度が5℃より高い場合には、出力補正は行われず、予め設定されている出力で通常の開閉操作が行われる。他のシャッターサイズについての具体的な補正量については、表3から明らかである。
【0056】
表4は初期設定時の補正量を示すものであり、表2に対応している。シャッターサイズ認識時の下降時の出力においては、表3に示す通常開閉時に比べてさらに細かく補正量が設定されている。表4において、「上昇」は認識シャッターサイズ決定時の脱調後の上昇時の出力の補正量を示し、検出された温度に応じて10%〜30%に設定されている。
【表4】

【0057】
シャッターサイズ認識時の出力補正のための温度範囲の設定は、30℃以上、30℃〜15℃、15℃から10℃、10℃から5℃、5℃から0℃、0℃から−5℃、−5℃から−10℃、−10℃から−15℃、−15℃〜−20℃、−20℃以下に分けられている。
【0058】
検出された温度が30℃以上の場合には、開閉機出力は、シャッターサイズ認識時の出力として設定されている出力値に対して補正量が−10%であり、全体として90%の出力補正値となる。
【0059】
検出された温度が30℃〜15℃の場合には、出力補正は行われず、シャッターサイズ認識時の出力として設定されている出力値を用いてシャッターサイズの認識が行われる。
【0060】
検出された温度が15℃〜10℃の場合には、シャッターサイズ1の認識用に設定されている出力のみの補正量が10%であり、シャッターサイズ1の認識用の出力補正値が110%となる。
【0061】
検出された温度が10℃〜5℃の場合には、シャッターサイズ1、2、3の出力の補正量が10%であり、シャッターサイズ1、2、3の認識用の出力補正値が110%となる。
【0062】
検出された温度が5℃〜0℃の場合には、シャッターサイズ1、2の出力の補正量が30%であり、シャッターサイズ1、2の認識用の出力補正値が130%となり;シャッターサイズ3、4の出力の補正量が20%であり、シャッターサイズ3、4の認識用の出力補正値が120%となり;シャッターサイズ5、6の出力の補正量が10%であり、シャッターサイズ5、6の認識用の出力補正値が110%となる。
【0063】
検出された温度が0℃〜−5℃の場合には、シャッターサイズ1、2の出力の補正量が40%であり、シャッターサイズ1、2の認識用の出力補正値が140%となり;シャッターサイズ3、4の出力の補正量が30%であり、シャッターサイズ3、4の認識用の出力補正値が130%となり;シャッターサイズ5、6、7の出力の補正量が20%であり、シャッターサイズ5、6、7の認識用の出力補正値が120%となる。
【0064】
検出された温度が−5℃〜−10℃の場合には、シャッターサイズ1、2の出力の補正量が60%であり、シャッターサイズ1、2の認識用の出力補正値が160%となり;シャッターサイズ3、4の出力の補正量が50%であり、シャッターサイズ3、4の認識用の出力補正値が150%となり;シャッターサイズ5、6の出力の補正量が30%であり、シャッターサイズ5、6の認識用の出力補正値が130%となり;シャッターサイズ7の出力の補正量が20%であり、シャッターサイズ7の認識用の出力補正値が120%となる。
【0065】
検出された温度が−10℃〜−15℃の場合には、シャッターサイズ1の出力の補正量が70%であり、シャッターサイズ1の認識用の出力補正値が170%となり;シャッターサイズ2、3、4の出力の補正量が60%であり、シャッターサイズ2、3、4の認識用の出力補正値が160%となり;シャッターサイズ5、6の出力の補正量が40%であり、シャッターサイズ5、6の認識用の出力補正値が140%となり;シャッターサイズ7の出力の補正量が30%であり、シャッターサイズ7の認識用の出力補正値が130%となり、シャッターサイズ8の出力の補正量が10%であり、シャッターサイズ8の認識用の出力補正値が110%となる。
【0066】
検出された温度が−15℃〜−20℃の場合には、シャッターサイズ1、2の出力の補正量が100%であり、シャッターサイズ1、2の認識用の出力補正値が200%となり;シャッターサイズ3、4の出力の補正量が80%であり、シャッターサイズ3、4の認識用の出力補正値が180%となり;シャッターサイズ5、6の出力の補正量が60%であり、シャッターサイズ5、6の認識用の出力補正値が160%となり;シャッターサイズ7の出力の補正量が40%であり、シャッターサイズ7の認識用の出力補正値が140%となり、シャッターサイズ8の出力の補正量が20%であり、シャッターサイズ8の認識用の出力補正値が120%となる。
【0067】
検出された温度が−20℃以下の場合には、シャッターサイズ1、2の出力の補正量が120%であり、シャッターサイズ1、2の認識用の出力補正値が220%となり;シャッターサイズ3、4の出力の補正量が100%であり、シャッターサイズ3、4の認識用の出力補正値が200%となり;シャッターサイズ5、6の出力の補正量が70%であり、シャッターサイズ5、6の認識用の出力補正値が170%となり;シャッターサイズ7の出力の補正量が50%であり、シャッターサイズ7の認識用の出力補正値が150%となり、シャッターサイズ8の出力の補正量が30%であり、シャッターサイズ8の認識用の出力補正値が130%となる。尚、シャッターサイズ9の認識用の出力の補正は行わない。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、電動シャッターの開閉制御装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】電動シャッター装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】自動認識シャッターサイズとオフセット量(過負荷検知の感度)の対応を示すテーブルである。
【図3】シャッターサイズに応じた初期駆動トルク(初期モータ出力)の自動設定法を説明する図である。図では、さらに、シャッターカーテンの開閉量に応じて変化するシャッターモーメント、及び、初期駆動トルクおよび変化するシャッターモーメントに基づいて学習することで得られた経時的に変化するモータ出力を表すグラフが記載されている。
【図4】モータ出力の設定を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1 シャッターカーテン
2 巻取りシャフト
3 開閉機
4 ステッピングモータ
7 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源としてのステッピングモータの出力を、シャッターカーテンの開閉量により変化する負荷に応じて駆動可能な最低出力に設定し、負荷が該最低出力を超えたときは、該ステッピングモータを脱調させてシャッターカーテンの開閉駆動を停止させる開閉制御装置において、
前記装置は、
温度検出手段と、
温度検出手段により検出された温度に基づいて前記モータ出力を補正する出力補正手段と、
を備えている、開閉制御装置。
【請求項2】
前記出力補正手段は、検出された温度が所定温度より低い場合に、前記モータ出力を、検出された温度に応じて予め設定されている補正量だけ増加させる、請求項1に記載の開閉制御装置。
【請求項3】
前記温度検出手段は、前記モータの近傍に設けてあり、前記出力補正手段の作動後、少なくとも予め設定した所定時間は補正された出力値が維持され、当該所定時間内にシャッター開閉が行われる場合には、前記補正された出力値で動作する、請求項1,2いずれかに記載の開閉制御装置。
【請求項4】
前記変化する負荷に応じて駆動可能な最低出力は、開閉量に応じて変化するシャッター負荷と、当該シャッター負荷に上乗せされるオフセット量と、から決定され、
前記オフセット量は、シャッターサイズが大きい程大きくなるように設定されている、
請求項1乃至3いずれかに記載の開閉制御装置。
【請求項5】
前記オフセット量は、シャッター初期設定時に認識されたシャッターサイズによって決定され、
各シャッターサイズに対応して初期設定時の各出力が予め設定されており、
初期設定時における認識シャッターサイズ自動決定手段は、
設定された最小出力でシャッターカーテンを上限位置から降下させてステッピングモータの脱調の有無を検出し、脱調が検出された場合には、シャッターカーテンを再下降させる毎に出力を段階的に上昇させて脱調の有無の検出を行い、脱調が検出されなくなるまでの出力の上昇回数あるいは/および脱調が検出されなかった時の出力に基づいてシャッターサイズが決定される、
請求項4に記載の開閉制御装置。
【請求項6】
前記出力補正手段は、初期設定時に検出された温度が所定温度より低い場合に、初期設定時の出力を、予めシャッターサイズに関連付けて設定されている出力に対して、検出された温度に応じて予め設定されている補正量だけ増加させる、
請求項5に記載の開閉制御装置。
【請求項7】
前記出力補正手段は、初期設定時に検出された温度が所定温度より高い場合に、前記オフセット量を、認識されたシャッターサイズよりも1レベル大きいシャッターサイズのオフセット量に補正する、
請求項5,6いずれかに記載の開閉制御装置。
【請求項8】
前記補正量は、予め設定されている出力に対する割合で設定されており、当該割合をシャッターサイズに応じて異ならしめる、請求項2、6いずれかに記載の開閉制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−41187(P2009−41187A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204203(P2007−204203)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(307038540)三和シヤッター工業株式会社 (273)
【出願人】(000106944)シナノケンシ株式会社 (316)
【Fターム(参考)】