説明

開閉式面格子

【課題】建物構造物への工事を要さずに引き違い戸に容易に装着可能であり、容易に開閉することができ、他方の戸や網戸の開閉にも支障を及ぼさず、かつ外部からの侵入を防止することができる開閉式面格子を提供する。
【解決手段】一対の格子板1の側辺同士が連結された折れ扉2と、折れ扉2の折れ止め錠3と、折れ扉2の屈伸にかかわらず一定の滑走方向を維持するようにして折れ扉2の両側縁部の上端に装着された上部ランナー10及び下部ランナー20と、上部ランナー10に配設されて、折れ扉2の延伸方向に面する面からのみ配設位置の調節が可能である外れ止め具15と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉式面格子に関する。特に、引き違い戸に用いられる開閉式面格子に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来の引き違い戸の構造を模式的に示す斜視図である。一般に住宅やオフィスの窓や出入口といった開口部は、例えば図6に示すように枠Fには水平方向に引き違って、枠Fで囲まれた開口を開閉するように配置された一対の戸D1,D2が取り付けられている構造、いわゆる引き違い戸の構造を有している。この戸D1,D2は、枠Fの上下それぞれに配設された溝あるいは上部レールUR、下部レールLRに係合している。また、戸D1,D2の重畳部分には施錠具K1が設けられていて、戸D1,D2が外部より開けられることを防止している。さらに、一般的には、戸D1,D2の外側には網戸Wが配設されている。
【0003】
ところで、夏期には涼しい外気を室内に取り入れて涼をとったり、換気をしたりするために戸D1,D2を開放する場合があるが、この場合には、就寝時や不在時には、防犯上の問題もあり、戸D1,D2を締めざるを得ない。
【0004】
このため、従来、枠Fの開口部に装着できる格子戸が種々提案されている。例えば、特許文献1には、サッシ戸のレールに装着される格子戸が提案されている。この公報に示された考案は、種々の枠の端縁構造に適合することができるようなアダプタを有している。また、特許文献2には、格子戸の取付部に位置を上下方向に調整可能な格子戸が提案されている。
【0005】
他方で、面格子が装着されると、非常時における屋内からの脱出が困難になることから、開閉式の面格子も提案されている(例えば、特許文献3)。
【特許文献1】実開平6−37489号公報
【特許文献2】特開平10−18725号公報
【特許文献3】特開2001−173331
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2においては、建物開口部周囲に支持フレームを設置する必要がなく、マンション等の集合住宅や賃貸住宅においても簡便に装着することができるが、開口部の開閉には不便であった。つまり、特許文献1及び2の格子戸を開閉するには、格子戸を一端撤去して、再度格子戸を装着する手間を要した。また、特許文献3においては、開口部の開閉は容易であるが、面格子の装着が不便であった。つまり、特許文献3の面格子の取付には、建物開口部周囲に支持フレームを設置する必要があり、工事が必要であった。このことは、マンション等の集合住宅や賃貸住宅においては工事が認められず設置できないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、建物構造物への工事を要さずに引き違い戸に容易に装着可能であり、容易に開閉することができ、他方の戸や網戸の開閉にも支障を及ぼさず、かつ外部からの侵入を防止することができる開閉式面格子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、引き違い戸のレール溝あるいはレールを利用して、引き違い戸の開口部に開閉式面格子を装着する方法に想到した。
ここで、「引き違い戸」とは、上下に少なくとも2本の平行する溝あるいはレールが形成された建造物の出入口あるいは窓といった開口部の框にそれぞれの溝あるいはレールに戸が嵌め込まれて構成されていて、該戸が水平方向に引き違って、開口部を開閉する戸をいう。
【0009】
しかしながら、設置された面格子と引き違い戸の開口部との間の間隙が大きいと、屋内への侵入を阻止することができなくなる。また、戸がガラス面を有する場合には、2枚の引き違い戸の閉鎖時にも2枚の引き違い戸のどちらの戸あるいは窓にも沿って面格子が設置できないと、ガラス面を破ることによる屋内への侵入を阻止することができなくなる。こうした問題点に加えて、他方の戸や網戸の開閉にも支障を及ぼさず、引き違い戸の用途に支障を及ぼさないようにするとともに、設置された面格子は外部より取り外し困難な構造にする必要がある。
【0010】
そこで、本発明者は、面格子を折れ扉より構成するとともに、引き違い戸のレール溝あるいはレールへの折れ扉の取付構造に着目して、設置された折れ扉と引き違い戸の開口部との間の上下方向及び水平方向の間隙を一定限度以下に制限しながら調節して取り付けることができ、かつ折れ扉が引き違い戸内で延伸された状態において、外部より取り外し困難にすることができる取付調節構造を創作した。
【0011】
これらの研究成果を踏まえ、上記課題を解決するために、本発明の開閉式面格子は、一対の格子板の側辺同士が連結され、該連結部にて屈折及び延伸可能に構成された折れ扉と、
前記折れ扉の屈折を阻止及び解除する折れ止め錠と、
前記折れ扉の屈伸にかかわらず一定の滑走方向を維持するようにして前記折れ扉の両側縁部の上端及び下端に装着された上部ランナー及び下部ランナーと、
前記上部ランナーに配設されて前記折れ扉の延伸方向に面する面からのみ配設位置の調節が可能である外れ止め具と、を有する。(請求項1)。このような構成によって、開閉式面格子は、引き違い戸の框に構成されている溝あるいはレールに上部ランナー及び下部ランナーが係合して装着することができる。また、開閉式面格子は、上下のランナーが開口部の枠のレールあるいはレール溝に沿って滑走して折れ扉が開閉し、折れ止め錠、外れ止め具及び当接部材によって折れ扉は延伸状態時に開口部の枠及び引き違い戸の側面に実質的に固定され、かつ、かかる状態時には、枠及び引き違い戸の側面によって外れ止め具及び当接部材の外部からの取り外しが防止される。つまり、本発明の開閉式面格子は、建物構造物への工事を要さずに引き違い戸に容易に装着可能であり、容易に開閉することができ、他方の戸や網戸の開閉にも支障を及ぼさず、かつ外部からの侵入を防止することができる。ここで、「引き違い戸」とは、上下それぞれに少なくとも2本の平行する溝あるいはレールが形成された建造物の出入口あるいは窓といった開口部の框において、それぞれの溝あるいはレールに戸が嵌め込まれて構成されていて、該戸が水平方向に引き違って、開口部を開閉する戸をいう。
【0012】
また、前記上部ランナー及び下部ランナーそれぞれに水平方向の突出長さが調節可能に配設された当接部材を有し、前記当接部材は、前記折れ扉の延伸方向に面する面からのみ配設位置の調節が可能であって、前記上部ランナー及び前記下部ランナーの少なくともいずれかは、上方向あるいは下方向の突出長さが突出可能に構成されているとよい(請求項2)。このように構成すると、引き違い戸の開口部の大きさに応じて開閉式面格子を装着することができるので、開閉式面格子の汎用性を向上させることができる。
【0013】
また、本発明の効果をより確実に得る観点から、前記上部ランナー及び下部ランナーは、それぞれ螺旋が刻まれた軸を有し、それぞれ該軸が螺旋孔を有するスリーブに螺合され、該スリーブが前記折れ扉の両側縁部の上下端の孔に回動自在に装着され、前記当接部材は、該当接部材に装着されたボルトが前記上部ランナー及び下部ランナーのボルト孔に螺合されるとよい(請求項3)。
【0014】
前記当接部材は、前記配設された外れ止め具を覆って配設されるとよい(請求項4)。このように構成すると、外れ止め具が当接部材によって覆われるので、枠及び引き違い戸の側面によって外れ止め具の外部からの取り外しがより確実に防止される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の開閉式面格子は建物構造物への工事を要さずに引き違い戸に容易に装着可能であるので、集合住宅や賃貸住宅の窓や戸のように従来面格子の装着が困難であった窓や戸に容易に装着できる。加えて、本発明の開閉式面格子は容易に開閉可能であるので、人間が通行するような掃き出し窓のように従来面格子の装着が困難であった窓や戸に容易に装着できる。さらには、本発明の開閉式面格子は他方の戸や網戸の開閉にも支障を及ぼさないので、引き違い戸の用途に支障を及ぼさない。そして、本発明の開閉式面格子は延伸状態時には窓や戸からの取り外しが防止されるので、外部からの侵入を防止することができる。つまり、あまねく広く住宅あるいはオフィスの防犯性を向上させるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
(実施の形態1)
まず、本実施の形態の開閉式面格子について説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態1の開閉式面格子の例を模式的に示す斜視図である。
【0019】
図1において、本実施の形態の開閉式面格子100は、閉止状態の位置における戸D1の側面DAと枠Fの間に形成される開口部に設置される。他方の戸D2の位置はどこであっても構わない。
【0020】
開閉式面格子100は、一対の格子板1の側辺同士が屈折自在に連結されて構成される折れ扉2を有している。ここでは、一対の格子板1がそれら側面1Aに装着された蝶番2Aによって連結されている。これによって、折れ扉2延伸状態時には蝶番2Aの取付面、すなわち側面1Aが接合して、蝶番2Aの取付部には外部から接触することができなくなるので、面格子100の防犯機能を向上させることができる。
【0021】
折れ扉2には、折れ扉2が延伸した状態で固定して施錠する折れ止め錠3と、上部ランナー10と下部ランナー20とが配設されている。
【0022】
折れ止め錠3は、一般的な施錠具を用いることができる。ここでは、折れ扉2の延伸状体時に折れ止め錠3に鍵K2を挿入、旋回して操作することにより錠片(図示せず)が格子板1の側面1Aに形成された孔3Aに進退することによって折れ扉2の折れを阻止及び解除することができるように構成されている。折れ止め錠3は、ダイヤル式の鍵で構成されていてもよい。
【0023】
上部ランナー10及び下部ランナー20は、螺旋が刻まれた軸11を有し、スリーブ7は、内周に螺旋が刻まれている。そして、軸11がスリーブ7に螺合され、スリーブ7は折れ扉2の両側縁部の上端面の孔4,5に回動自在に嵌め込まれている。これにより、折れ扉2を屈伸させると、スリーブ7が折れ扉2に相対的に回動して、上部ランナー10及び下部ランナー20が上部レールUR及び下部レールLRをそれぞれ滑走する。すなわち、上部ランナー10及び下部ランナー20は折れ扉2の屈伸にかかわらず一定の滑走方向を維持するようにして折れ扉2の両側縁部の上端及び下端に装着されている。
【0024】
また、スリーブ7を保持しながら、上部ランナー10及び下部ランナー20を回すと、軸11がスリーブ7内を進退移動する。そして、スリーブ7を孔4,5に嵌め込むことによって、上部ランナー10及び下部ランナー20の折れ扉2からの上下方向の突出長さが調整される。これにより、折れ扉2を枠Fの開口部の高さに合わせて該枠Fに装着することができる。
【0025】
なお、スリーブ7を孔4,5に固定して、折れ扉2の屈伸によって、軸11がスリーブ7の螺旋部を摺動するように構成してもよい。すなわち、摺動によって軸11は上下方向に進退するが、折れ扉2の屈伸距離が、軸11の進退によって枠Fからか開閉式面格子100が外れない程度の距離であれば、支障がない。
【0026】
さらに、軸11は最長でも15cmである。これによって、上部レールUR及び下部レールLRと折れ扉2からの上下方向の突出長さは最長でも15cmまでとすることができる。つまり、成人が通過できるとされている間隔未満に制限することができる。したがって、開閉式面格子100が装着される引き違い戸D1の開口部は、上下幅が、折れ扉2の上下幅以上、折れ扉2の上下幅+30cm未満に制限されることになる。
【0027】
図2は図1の上部ランナーの三面図である。図2に示すように、上部ランナー10は、本体12と、本体12の下面から鉛直方向に延びるように本体12に溶接等で固定された軸11と、本体12の側面に配設された当接部材13と、外れ止め具15と、を有して構成されている。
【0028】
本体12は、上面に上部レールURが係合される溝部12Aが形成されている。なお、本体12の溝部12Aには、樹脂製のU溝部材12Cが嵌合されている。これによって、上部ランナー10の上部レールURとの接触面を滑らかにすることができるので、上部ランナー10の滑走性が改善するとともに、上部レールURへの傷痕を防止することができる。
【0029】
本体12と当接部材13とは、本体12内部に当接部材13が進入できるような構造になっている。ここでは、当接部材13には側面13B、すなわち折れ扉2の延伸方向に面する面に形成された孔13Dにボルト14が挿通されている。そして、ボルト14は、側面13Bの背後で止め輪14Aによって、軸方向の移動が防止されている。そして、ボルト14の先端は、本体12の側面12Bに形成されたボルト孔に挿通されている。これによって、ボルト14は折れ扉2の延伸方向に面して配設されるので、折れ扉2の延伸状態時において、ボルト14を捩るには引き違い戸の開口部の枠面、すなわち、枠F及び戸D1の側面DAが妨げとなる。つまり、外部から当接部材13を取り外すことを防止することができる。
【0030】
ここでは、当接部材13の側面13Bには、ボルト14のボルト頭を取り囲むようにして板13Cが取り付けられている。これによって、当接部材13の側面からボルト頭が突出せずに、折れ扉2の延伸状態時に当接部材13の板13Cが引き違い戸の開口部の枠面、すなわち、枠F及び戸D1の側面DAに当接することができるので、折れ扉2の延伸状態時において外部からボルト14を捩ることを防止することができる。また、板13Cは樹脂、ゴム等弾性のある材質で構成される。これにより、引き違い戸の開口部の枠面、すなわち、枠F及び戸D1の側面DAに傷痕を残さずに当接することができる。
【0031】
また、当接部材13はボルト14の旋回によって本体12に対して水平方向の突出長さが調整可能にして本体12に取り付けられる。ここで、当接部材13の水平方向幅及びボルト14の螺旋長は15cm未満である。これによって、引き違い戸の開口部の枠面、すなわち、枠Fあるいは戸D1の側面DAと折れ扉2との水平方向の突出長さは最長でも15cmまでとすることができる。つまり、人間が通過できるとされている間隔未満に制限することができる。したがって、開閉式面格子100が装着される引き違い戸D1の開口部は、左右幅が、折れ扉2の左右幅以上、折れ扉2の左右幅+30cm未満に制限されることになる。
【0032】
外れ止め具15は、本体12の側面12Bに形成された縦長のボルト孔に通された螺旋16によって本体12に配設されている。これによって、折れ扉2の開口部への装着後において、外れ止め具15が上部レールURに近接して螺旋16にとって配設されることによって上部レールURから上部ランナー10の係合の解除を制限し、ひいては開閉式面格子100の開口部からの取り外しを困難にすることができる。
【0033】
ここで、側面12Bは折れ扉2の延伸方向に面する面であるので、螺旋16は折れ扉2の延伸方向に面して配設されることになる。これによって、折れ扉2の延伸状態時において、螺旋16を捩るには引き違い戸の開口部の枠面、すなわち、枠F及び戸D1の側面DAが妨げとなる。つまり、外部から外れ止め具15を取り外すことを防止することができる。
【0034】
また、螺旋16の螺旋頭は当接部材13の側面13Bによって覆われる。これによって、面格子100を引き違い戸から取り外すには、ボルト14を排除して当接部材13を取り除かないと螺旋16には接近できないので、外れ止め具15の外部からの取り外しがより確実に防止され、開閉式面格子100の侵入防止の機能がさらに向上する。
【0035】
図3は図1の下部ランナーの三面図である。図3に示すように、下部ランナー20は、上部ランナー10と同じ構造であって、外れ止め具15,螺旋16及びU溝部材12Dが取り除かれて、ローラ25を有するローラ部材26が本体12に取り付けられている点において相違している。したがって、これ以外は、上部ランナー10と同様なので、相違点のみを説明する。また、図3において図2と同一又は相当する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0036】
図3において、本体12の溝部12Aには、溝部12Aに係合される下部レールLR上を滑走するようにローラ24が取り付けられている。ローラ24の装着方法は、種々可能であるが、ここでは、U溝の形状の保持材のU溝部にローラ24がU溝方向に回転するようにして取り付けられているローラ部材25が、本体12の溝部12Aに取り付けられている。ローラ部材25は、ローラ24の回転方向が溝部12Aの延伸方向と一致するようにして取り付けられている。これによって、下部ランナー20は下部レールLR上を滑走することができる。
【0037】
次に、開閉式面格子100の取付手順を説明する。
【0038】
まず、折れ扉2を折れ曲がった状態にして、開閉式面格子100の上部ランナー10及び下部ランナー20の溝部12Aが、引き違い戸の上部レールUR及び下部レールLRに係合するように、長さを調節しながら軸11を孔4,5に螺合させる。
【0039】
次に、外れ止め具15が上部レール15に近接して、螺旋16によって、上部ランナー10の外れ止め具15を配設する。これによって、上部ランナー10の溝部12Aと上部レールURとの係合、及び下部ランナー20の溝部12Aと下部レールLRとの係合の解除は困難となる。
【0040】
そして、全ての上部ランナー10及び下部ランナー20において、ボルト14を本体12に螺合させながら、当接部材13を本体12に嵌挿する。
【0041】
そして、折れ扉2を延伸させて、当接部材13が引き違い戸の開口部の枠面、すなわち、枠F及び戸D1の側面DAに当接するように調節する。これによって、開閉式面格子100が引き違い戸に装着される。開閉式面格子100は、建家内部側から折れ扉2の格子あるいは屈折部の桟に手をかけて、手前に引くことで容易に開閉できる。また、折れ止め錠3を施錠することによって、開閉式面格子100の屈折が阻止され、引き違い戸の開口部からの建家内への侵入を阻止することができる。また、図4に示すように、開閉式面格子100は他方の戸D2及び網戸Wの開閉にも支障を及ぼさないので、開閉式面格子100の開閉状態にかかわらず、他方の戸D2及び網戸Wを引き違い戸の開口部に配置することができる。
【0042】
ここで、図4は、引き違い戸に装着される図1の開閉式面格子の装着パターンを示す上面図である。
【0043】
図4(a)に示すように、開閉式面格子100は、引き違い戸の開口部の枠面、すなわち、枠F及び戸D1の側面DAに装着され、図4(b)に示すように必要に応じ、開閉され、開口部を通行することができ、あるいは物品の受け渡しをすることができる。
【0044】
また、図4(c)に示すように、一対の引き違い戸を閉止した状態において、引き違い戸の戸D1及びD2双方のレールに開閉式面格子100をそれぞれ装着することができる。これによって、引き違い戸は開閉式面格子100によって両戸D1,D2ともに覆われて、留守時や就寝時の防犯性を高めることができる。
【0045】
以上、本発明の開閉式面格子100の構成によって、上部ランナー10及び下部ランナー20は開口部の枠Fの上部及び下部のレールあるいはレール溝、ここでは上部レールUR及び下部レールLRに滑走可能に係合され、外れ止め具15は係合後に螺旋16によってその係合の解除を制限するように配設され、当接部材13はボルト14によって折れ扉2の延伸状態時に前記開口部の枠面、すなわち、枠F及び戸D1の側面DAに当接するように配設され、かつ折れ扉2が延伸状態時に引き違い戸の開口部の枠面、すなわち、枠F及び戸D1の側面DAに対向する当接部材13の面13B内に当接部材13のボルト14が配設され、当接部材13で覆われている本体12の側面12B内に外れ止め具15の螺旋16が配設されている。これによって、本発明の開閉式面格子100は、建物構造物への工事を要さずに引き違い戸に容易に装着可能であり、容易に開閉することができ、他方の戸や網戸の開閉にも支障を及ぼさず、かつ外部からの侵入を防止することができる。したがって、従来面格子の装着が困難であった集合住宅や賃貸住宅の窓や戸に容易に装着でき、あまねく広く、住宅の防犯性を向上させることができる。
【0046】
また、当接部材13は、水平方向の突出長さが調節可能に配設されていて、折れ扉2の延伸状態において開口部の枠F及び戸D1の側面DAに対抗する面、すなわち折れ扉2の延伸方向に面する面からのみ配設位置の調節が可能であって、かつ上部ランナー10及び下部ランナー20の少なくともいずれかは、上方向あるいは下方向の突出長さが突出可能に構成されているので、引き違い戸の開口部の大きさに応じて開閉式面格子100を装着することができるので、開閉式面格子100の汎用性を向上させることができる。
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1の上部ランナー10、下部ランナー20及スリーブ7の構造を簡略化した実施の形態である。したがって、これら以外の構成は、実施の形態1と同様なので、相違点のみを説明する。
【0047】
図5は、本発明の実施の形態2の開閉式面格子の実施例を模式的に示す斜視図である。
【0048】
本実施形態の開閉式面格子200では、上部ランナー210及び下部ランナー220は軸211を有し、軸211がスリーブ207に嵌合されている。
【0049】
スリーブ207は、折れ扉2の両側縁部の上端面の孔4,5に嵌め込まれている。そして、スリーブ207の内面周囲の凸部と軸211周囲の凹部とが回動自在に嵌合されている。したがって、折れ扉2の屈伸に応じて軸211とスリーブ207とは回動しながら、上部ランナー10及び下部ランナー220は上部レールUR及び下部レールLRをそれぞれ滑走することができる。
【0050】
なお、上部ランナー210及び下部ランナー220は、本体12と、本体12の下面から鉛直方向に延びるように本体12に溶接等で固定された軸11と、本体12の側面に配設された当接部材13と、外れ止め具15と、を有して構成されている。
【0051】
上部ランナー210及び下部ランナーの本体212は、図示しないが、実施の形態1と同様に、上面あるいは下面に上部レールURあるいは下部レールLRが係合される溝部が形成されていて、樹脂製のU溝部材が嵌合されている。しかし、上部ランナー210及び下部ランナーの本体212は、当接部材13を有さず、本体212の端面が折れ扉2の延伸状態において、開口部の枠面、すなわち枠F及び戸D1の側面DAに当接するように構成されている。
【0052】
次に、開閉式面格子200の取り付けは、開閉式面格子200を延伸状態あるいは屈折状態で、上部ランナー210及び下部ランナー220の溝部12Aが、引き違い戸の上部レールUR及び下部レールLRに係合させることによって行う。実施の形態1のような調整作業は必要ない。
【0053】
以上のように、規格された引き違い戸においては、本実施形態の開閉式面格子200が好適であり、実施の形態1に比べ、構造を簡単にすることができる。
【0054】
本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上部ランナー及び下部ランナーの構造およびこれらの装着構造を、他の一般的な構造によって代替することもできる。また、実施の形態1において、ボルト14は側面13Cに設けられた凹部にボルト頭が収容されるように構成されてもよい。これによって、板13を薄い布材、ゴム材等で構成し、あるいは不要にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の開閉式面格子は建物構造物への工事を要さずに引き違い戸に容易に装着可能であるので、集合住宅や賃貸住宅の窓や戸のように従来面格子の装着が困難であった窓及び戸に容易に装着できる。加えて、本発明の開閉式面格子は容易に開閉可能であるので、人間が通行するような掃き出し窓のように従来面格子の装着が困難であった窓及び戸に容易に装着できる。さらには、本発明の開閉式面格子は他方の戸や網戸の開閉にも支障を及ぼさないので、引き違い戸の用途に支障を及ぼさない。そして、本発明の開閉式面格子は延伸状態時には窓や戸からの取り外しが防止されるので、外部からの侵入を防止することができる。つまり、本発明の開閉式面格子はあまねく広く住宅あるいはオフィスの防犯性を向上させる開閉式面格子として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態1の開閉式面格子の実施例を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1の上部ランナーの三面図である。
【図3】図1の下部ランナーの三面図である。
【図4】引き違い戸に装着される図1の開閉式面格子の装着パターンを示す上面図である。
【図5】本発明の実施の形態2の開閉式面格子の実施例を模式的に示す斜視図である。
【図6】引き違い戸の構造を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
1 格子戸
1A 側面
2 折れ扉
2A 蝶番
3 折れ止め錠
3A 孔
4、5 孔
7 スリーブ
10、210 上部ランナー
11、211 軸
12、212 本体
12A 溝部
12B 側面
12C U溝部材
13 当接部材
13B 側面
13C 板
13D 孔
14 ボルト
14A 止め輪
15 外れ止め具
16 螺旋
20、220 下部ランナー
25 ローラ
26 ローラ部材
100、200 開閉式面格子
D1,D2 戸
DA 側面
F 枠
K1 施錠具
K2 鍵
UR 上部レール
LR 下部レール
W 網戸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の格子板の側辺同士が連結され、該連結部にて屈折及び延伸可能に構成された折れ扉と、
前記折れ扉の屈折を阻止及び解除する折れ止め錠と、
前記折れ扉の屈伸にかかわらず一定の滑走方向を維持するようにして前記折れ扉の両側縁部の上端及び下端に装着された上部ランナー及び下部ランナーと、
前記上部ランナーに配設されて、前記折れ扉の延伸方向に面する面からのみ配設位置の調節が可能である外れ止め具と、を有する、開閉式面格子。
【請求項2】
前記上部ランナー及び下部ランナーそれぞれに水平方向の突出長さが調節可能に配設された当接部材を有し、
前記当接部材は、前記折れ扉の延伸方向に面する面からのみ配設位置の調節が可能であって、
前記上部ランナー及び前記下部ランナーの少なくともいずれかは、上方向あるいは下方向の突出長さが突出可能に構成されている、請求項1に記載の開閉式面格子。
【請求項3】
前記上部ランナー及び下部ランナーは、それぞれ螺旋が刻まれた軸を有し、それぞれ該軸が螺旋孔を有するスリーブに螺合され、該スリーブが前記折れ扉の両側縁部の上下端の孔に回動自在に装着され、
前記当接部材は、該当接部材に装着されたボルトが前記上部ランナー及び下部ランナーのボルト孔に螺合された、請求項2に記載の開閉式面格子。
【請求項4】
前記当接部材は、前記配設された外れ止め具を覆って配設される、請求項1に記載の開閉式面格子。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−299790(P2006−299790A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−361506(P2005−361506)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【特許番号】特許第3831747号(P3831747)
【特許公報発行日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(505106287)
【Fターム(参考)】