開閉装置用物体感知装置及び該開閉装置用物体感知装置を備えた開閉装置。
【課題】 制御装置を複数備える必要がなく、生産性及びメンテナンス性が良好で低コストな開閉装置用物体感知装置及び該開閉装置用物体感知装置を備えた開閉装置を提供する。
【解決手段】 開閉装置Bにおける開閉体b1よりも閉鎖方向の物体を感知した際の物体感知信号を送信する送信機10と、該送信機から送信される信号を捕捉する捕捉部21と、該捕捉部21からの入力に応じて開閉装置Bに対し所定の制御指令を発する制御装置20とを備えた開閉装置用物体感知装置において、前記送信機10と前記捕捉部20とを一対として、この一対の送信機10および捕捉部20を複数設け、複数の捕捉部20から出力される複数の信号を単一の前記制御装置20に入力し、入力された信号に応じて、単一の前記制御装置20から所定の制御指令を発するようにした。
【解決手段】 開閉装置Bにおける開閉体b1よりも閉鎖方向の物体を感知した際の物体感知信号を送信する送信機10と、該送信機から送信される信号を捕捉する捕捉部21と、該捕捉部21からの入力に応じて開閉装置Bに対し所定の制御指令を発する制御装置20とを備えた開閉装置用物体感知装置において、前記送信機10と前記捕捉部20とを一対として、この一対の送信機10および捕捉部20を複数設け、複数の捕捉部20から出力される複数の信号を単一の前記制御装置20に入力し、入力された信号に応じて、単一の前記制御装置20から所定の制御指令を発するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーヘッドドアを含むシャッター装置、雨戸を含む引戸、サッシ窓、ロールスクリーン、ブラインド、門扉、ゲート、スライディングウォール装置等、開閉体の閉鎖方向端部をスライドさせて閉鎖動作する開閉装置に用いられ、開閉体よりも閉鎖方向側に物体があることを感知する開閉装置用物体感知装置、及び該開閉装置用物体感知装置を備えた開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、特許文献1に記載されたもののように、シャッターカーテン下端の座板(20)に、該座板(20)がその閉鎖方向側の物体に接触したことを感知する物体感知手段と、該物体感知手段による感知信号を無線送信する送信部(6)と、該送信部(6)から送信された信号を受信して処理し所定の制御指令を発する制御装置(受信側装置B)とを備えた障害物感知装置がある。
この従来技術では、前記物体感知手段が感知状態から解除状態に変化したときに、送信部(6)から制御装置(受信側装置B)に対し、前記物体感知手段の状態変化を示す信号に併せて、バッテリー電圧を示す電圧信号が送信される。そして、制御装置(受信側装置B)では、受信された電圧信号より、送信部(6)のバッテリー電圧に異常があるか否かを判定し、シャッター装置の制御盤(2)に対し適宜な制御指令を発する。
【0003】
ところで、シャッター装置には、上記物体感知手段が通常単数設けられるが、該シャッター装置の開閉体の幅寸法が比較的長尺な場合には、該開閉体下端の座板が複数の部材から構成されることや、該座板がその幅方向の左右で偏った閉鎖動作をするおそれがあること等から、開閉体幅方向にわたって複数の物体感知手段を設けた方が好ましい場合がある。
しかしながら、単一の開閉体に対し複数の物体感知手段を設けるようにした場合には、それら複数の物体感知手段の数に応じて、上記従来の障害物感知装置の各構成部品を複数備える必要があり、特に部品点数が多く比較的コスト高な制御装置(受信側装置B)を複数備えなければならないことは、開閉装置全体のコストを高騰させる一因になりかねない。また、メンテナンス上も好ましくない。
また、上記制御装置(受信側装置B)等の電気回路には、万が一、過電流が流れた際に該電気回路を保護するためのヒューズが用いられるが、メンテナンス等の際、比較的狭いスペースに収まっているヒューズを交換する作業は困難な場合があった。
【特許文献1】特開平9−228768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その課題とする処は、複数の物体感知手段の物体感知信号に応じて所定の制御指令を発しようとした場合でも、制御装置を複数備える必要がなく、生産性及びメンテナンス性が良好で低コストな開閉装置用物体感知装置及び該開閉装置用物体感知装置を備えた開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために第一の発明は、開閉装置における開閉体よりも閉鎖方向の物体を感知した際の物体感知信号を送信する送信機と、該送信機から送信される信号を捕捉する捕捉部と、該捕捉部からの入力に応じて開閉装置に対し所定の制御指令を発する制御装置とを備えた開閉装置用物体感知装置において、前記送信機と前記捕捉部とを一対として、この一対の送信機および捕捉部を複数設け、複数の捕捉部から出力される複数の信号を単一の前記制御装置に入力し、入力された信号に応じて、単一の前記制御装置から所定の制御指令を発するようにしたことを特徴とする。
【0006】
ここで、本発明の設置対象物である開閉装置は、少なくとも閉鎖方向へ動作可能な開閉体を備え、該開閉体のスライド動作により空間を仕切るように構成された装置であればよく、この開閉装置には、開閉体が閉鎖動作のみを行うように用いられる態様(例えば防火シャッター装置等)、開閉体が開放動作と閉鎖動作との双方を行うように用いられる態様等を含む。
また、この開閉装置には、開閉体をその開放方向側の巻取軸によって巻取り、該巻取軸から繰出すようにした態様や、開閉体をその開放方向側の収納部位へ巻き取ることなく収納し、該収納部位から繰出すようにした態様等を含む。
また、前記開閉体には、複数のスラットやパイプを開閉方向へ連設してなる態様や、単数もしくは複数のパネルや、シート状物、ネット状物を開閉方向へ設けてなる態様、あるいはスラット、パネル、パイプ、シート状物、ネット状物等を適宜に組み合わせてなる態様等を含むが、この開閉体の好ましい態様としては、金属製のスラットやパネル等の剛性材料から構成される。
【0007】
また、上記送信機の具体的構成としては、例えば、入出力装置や、記憶装置、中央処理装置などからなるマイコンと、送信回路とを備えた電子回路とすればよい。
また、上記制御装置の具体的構成としては、例えば、入出力装置や、記憶装置、中央処理装置などからなるマイコンと、受信回路とを備えた電子回路とすればよい。
【0008】
また、上記物体感知信号とは、上記開閉装置に具備された物体感知手段から出力される信号である。この物体感知手段には、開閉体よりも閉鎖方向側の物体を接触感知する構成や、開閉体よりも閉鎖方向側の物体を非接触感知する構成等を含む。
【0009】
また、上記制御指令には、例えば、警報音を発する指令や、警報ランプを点灯または点滅させる指令、開閉体を停止や反転等させる指令、開閉体を操作するための閉操作用及び/又は開操作用の押ボタンスイッチによる自己保持動作を解除するための指令等を含む。
【0010】
また、第二の発明では、上記制御装置は、上記複数の捕捉部の内の何れか一以上の捕捉部から物体感知信号が入力されたことを条件に、所定の制御指令を発することを特徴とする。
【0011】
また、第三の発明は、上記各送信機は、該送信機のバッテリー異常を示すバッテリー異常信号と、該送信機のバッテリー正常を示すバッテリー正常信号とを、バッテリー状態に応じて対応する上記捕捉部へ送信するように構成され、上記制御装置は、上記複数の捕捉部の内の何れか一以上の捕捉部から前記バッテリー異常信号が入力されたことを条件に、所定の制御指令を発し、その制御指令を、全ての捕捉部からバッテリー正常信号が入力されたことを条件に解除するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
ここで、上記バッテリー異常信号とは、上記送信機のバッテリー電圧が異常であることを示す信号であり、例えば、上記送信機のバッテリー電圧値が予め設定された規定値よりも小さいことを示す信号とされる。なお、前記規定値は、例えば、上記送信機の最低動作電圧とすればよい。
同様に、上記バッテリー正常信号とは、上記送信機のバッテリー電圧が正常であることを示す信号であり、例えば、上記送信機のバッテリー電圧値が予め設定された規定値以上であること示す信号とされる。
【0013】
また、第四の発明は、上記各送信機は、該送信機のバッテリー異常を示すバッテリー異常信号と、該送信機のバッテリー正常を示すバッテリー正常信号とを、バッテリー状態に応じて対応する上記捕捉部へ送信するように構成され、上記制御装置は、上記複数の捕捉部から入力されるバッテリー異常信号を、それぞれ個別に認識して所定の制御指令を発し、その制御指令を、対応する捕捉部からバッテリー正常信号が入力されたことを条件に解除するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
ここで、「対応する捕捉部からバッテリー正常信号が入力されたことを条件に解除する」とは、より具体的に説明すれば、バッテリー異常信号が捕捉部から入力された後、その同捕捉部からバッテリー正常信号が入力された場合に、上記制御指令を解除することを意味する。
【0015】
また、第五の発明では、上記送信機及び/又は上記制御装置の電気回路には、該回路に過電流が流れた際に該回路を遮断するヒューズがヒューズホルダに対し着脱可能に設けられ、該ヒューズには、該ヒューズをヒューズホルダから取外すための取外し工具が具備されていることを特徴とする。
【0016】
なお、この第五の発明による構成は、上記第一乃至四の何れか一の発明に従属しない独立した構成としても、後述する第五の発明に関する作用効果を奏する。
すなわち、この独立した構成は、過電流が流れた際に該回路を遮断するヒューズが着脱可能に設けられた電気回路であって、前記ヒューズには、該ヒューズを取外すための取外し工具が具備されていることを特徴とする。
【0017】
また、第六の発明では、上記送信機及び/又は上記制御装置の電気回路には、予備ヒューズ、及び該予備ヒューズを着脱可能に保持する予備ヒューズホルダが具備され、上記取外し工具は、前記予備ヒューズを、前記予備ヒューズホルダから取外して上記電気回路上の上記ヒューズホルダに装着するのに用いられるように構成されていることを特徴とする。
ここで、上記予備ヒューズホルダは、上記電気回路に過電流が流れても破損することのないように、上記予備ヒューズを上記電気回路から絶縁して保持する構成とすることが好ましい。
【0018】
なお、この第六の発明による構成は、以下のように、独立した構成としても、後述する第六の発明に関する作用効果を奏する。
すなわち、この独立した構成は、過電流が流れた際に該回路を遮断するヒューズがヒューズホルダに対し着脱可能に設けられるとともに、予備ヒューズ、及び該予備ヒューズを着脱可能に保持する予備ヒューズホルダが具備された電気回路であって、前記ヒューズには、該ヒューズを取外すための取外し工具が具備され、取外し工具は、前記予備ヒューズを、前記予備ヒューズホルダから取外して前記電気回路上のヒューズホルダに装着するのに用いられるように構成されていることを特徴とする。
【0019】
ここで、上記取外し工具の具体例としては、上記ヒューズおよび予備ヒューズに対し着脱可能に係合する係合部(孔や切欠を含む)を備え、該係合部を上記ヒューズに対し係合させることで保持される構成とすればよい。
【0020】
また、第七の発明は、開閉体の閉鎖方向端部側に、開閉体幅方向へわたって、開閉体よりも閉鎖方向の物体を感知する物体感知手段と、該物体感知手段に対応する上記送信機とを複数設けるとともに、不動部位には、前記複数の送信機にそれぞれ対応する複数の上記捕捉部および単一の上記制御装置を設けたことを特徴とする開閉装置である。
【0021】
なお、本明細書中において「開閉体幅方向」とは、開閉装置における開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
第一の発明によれば、複数の送信機および捕捉部から入力される複数の信号を単一の制御装置により処理し、該制御装置から所定の制御指令を発するようにしているため、例えば、複数の物体感知手段の物体感知信号に応じて所定の制御指令を発しようとした場合でも、制御装置を複数備える必要がなく、ひいては、当該の開閉装置用物体感知装置の生産性及びメンテナンス性を向上するとともに生産コストを削減することができる。
【0023】
更に、第二の発明によれば、複数の捕捉部から入力される複数の物体感知信号を、制御装置によって効率的に処理し、所定の制御指令を発することができる。
【0024】
更に、第三の発明によれば、複数の送信機の内の何れかがバッテリー異常となったことを、単一の制御装置により速やかに認識し所定の制御指令を発することができる。そして、その制御指令を、全ての捕捉部からバッテリー正常信号が入力された際に解除することができる。
【0025】
更に、第四の発明によれば、複数の送信機の内の何れかがバッテリー異常となった場合に、そのバッテリー異常となった送信機を個別に認識して所定の制御指令を発することができる。したがって、使用者等がバッテリー交換する際には、バッテリー異常となった送信機を速やかに発見することができ、その交換作業が容易である。
【0026】
更に、第五の発明によれば、電気回路のヒューズが切れた際に、その切れたヒューズを、該ヒューズに具備された取外し工具により速やかに取外すことができ、ひいては、メンテナンス性を一層向上することができる。
【0027】
更に、第六の発明によれば、電気回路のヒューズが切れた際には、その切れたヒューズを取外し工具によって外し、予め具備された予備ヒューズを、同取外し工具によって予備ヒューズホルダから外して電気回路上のヒューズホルダに装着すればよい。したがって、メンテナンス性を更に向上することができる。
【0028】
更に、第七の発明によれば、開閉体の幅方向にわたる複数箇所で、開閉体よりも閉鎖方向側の物体を感知できる上、その複数の物体感知信号を、単一の制御装置により速やかに処理し所定を制御指令を発することができ、ひいては、生産性及びメンテナンス性が良好で低コストな開閉装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示す開閉装置用物体感知装置Aは、複数の送信機(図示例によれば第一送信機10と第二送信機10’の二つ)、複数の座板スイッチ(図示例によれば第一座板スイッチ15と第二座板スイッチ15’の二つ)、複数の捕捉部(図示例によれば第一捕捉部21と第二捕捉部21’の二つ)、単数の制御装置20を備え、開閉装置B(図2参照)に具備されている。
開閉装置Bは、本実施の形態の好ましい一例によれば、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の躯体の開口部分や内部に配設されて、前記開口部分を開閉したり、躯体内部の空間を仕切ったり開放したりするシャッター装置である。
【0030】
第一送信機10は、送信側制御回路部11、バッテリー12、電圧検知部13、発信部14などから構成される。
この送信機10は、開閉装置Bの開閉体b1下端の座板b2における幅方向の一端側(図2によれば左端側)に固定され、バッテリー12の電力により送信側制御回路部11を動作させることで、開閉体b1よりも閉鎖方向側の物体を感知した際の物体感知信号や、前記バッテリー12の電圧が異常であるか否かを示すバッテリー状態信号(バッテリー異常信号及びバッテリー正常信号を含む)などを光無線発信する。
【0031】
また、第二送信機10’は、第一送信機10と略同様に、送信側制御回路部11、バッテリー12、電圧検知部13、発信部14などから構成される。
この第二送信機10’は、開閉装置Bの開閉体b1下端の座板b2における幅方向の他端側(図2によれば右端側)に固定され、上記第一送信機10と略同様に作用する。
【0032】
送信側制御回路部11は、所謂マイコンや、送信機回路等を備えた電子回路であり、電圧検知部13や第一座板スイッチ15(又は第二座板スイッチ15’)等から入力される信号を、バッテリー状態信号や物体感知信号として出力する。そして、これら出力信号は、発信部14から第一捕捉部21(又は第二捕捉部21’)へ光無線発信される。
【0033】
バッテリー12は、送信側制御回路部11の電源となる一般的な電池であり、交換可能に具備されている。
このバッテリー12は、1次電池であっても、2次電池(充電式電池)であってもよい。更に、このバッテリー12は、単数であっても複数であってもよく、複数とした場合には、直列接続であっても並列接続であってもよい。
【0034】
また、電圧検知部13は、バッテリー12の電圧を検知し、その電圧に応じた信号を出力する装置である。
【0035】
また、発信部14は、送信側制御回路部11により演算処理された信号を、赤外線を伝送媒体として制御装置20の第一捕捉部21(又は第二捕捉部21’)へ向けて発信する発光体である。
【0036】
また、第一座板スイッチ15と第二座板スイッチ15’の各々は、開閉装置Bの開閉体b1がその閉鎖方向側の物体に接触したことを感知する物体感知手段を構成している。
この物体感知手段の具体例としては、図3に示すように、座板b2に物体との当接により開放方向へ移動可能な可動部材b21を設け、該可動部材b21の開放方向への移動を、第一座板スイッチ15(又は第二座板スイッチ15’)により感知する構成とすればよい。
なお、第一座板スイッチ15(又は第二座板スイッチ15’)は、図示例によれば接触式スイッチ(例えば、リミットスイッチや、マイクロスイッチ、テープスイッチ等)による構成としているが、非接触式スイッチ(例えば、近接スイッチや、赤外線センサ等)による構成とすることも可能である。
【0037】
そして、この第一座板スイッチ15(又は第二座板スイッチ15’)は、可動部材b21がその閉鎖方向側の物体との当接により開閉体開放方向へ移動した際(図3(a)参照)に、接点をOFFからONへ変化させ、また、前記物体が離れることで可動部材b21が開閉体閉鎖方向へ移動した際(図3(b)参照)に、接点をONからOFFへ変化させるように構成してある。
なお、前記接点のON/OFFを逆にすることが可能なのは勿論である。
また、第一座板スイッチ15(第二座板スイッチ15’)は、図示例によれば、第一送信機10(又は第二送信機10’)と別体に構成されているが、第一送信機10(又は第二送信機10’)と一体的に構成することも可能である。
【0038】
また、第一捕捉部21と第二捕捉部21’の各々は、発信部14から送信される赤外線を受光し、電気信号として制御装置20へ送信する所謂受光装置である。
第一捕捉部21は、第一送信機10の発信部14と一対の関係となるように、第一送信機10の発信部14と対向して配置されている。
同様に、第二捕捉部21’は、第二送信機10’の発信部14と一対の関係となるように、第二送信機10’の発信部14と対向して配置されている。
これら第一捕捉部21および第二捕捉部21’は、制御装置20から電源を供給されて、同制御装置20へ電気信号を送信するように電気配線されている。制御装置20と複数の捕捉部(図示例によれば第一捕捉部21と第二捕捉部21’の二つ)と間の電源用の配線は、制御装置20上の一つの電源供給用端子を共通端子として、該端子に、複数の捕捉部の電源用コードを接続するようにすればよい。
【0039】
また、制御装置20は、第一捕捉部21、第二捕捉部21’、開閉装置制御盤b3、及び電源線(図示せず)などを接続する端子台(図示せず)や、第一捕捉部21と第二捕捉部21’から入力される信号をそれぞれ演算処理する受信側制御回路部22等を具備し、送信機10からのバッテリー状態信号や物体感知信号などを常に受信可能な状態で待機している。
受信側制御回路部22は、所謂マイコンや、受信機回路、開閉装置Bを制御するための制御回路等を備えた電子回路であり、図示しない記憶装置に記憶されたプログラムに基づき機能することで、第一捕捉部21および第二捕捉部21’や開閉装置Bの制御盤b3等から入力される信号を演算処理し、その処理結果に応じて、適宜な制御指令を開閉装置Bの制御盤b3へ送信する。
【0040】
また、開閉装置Bは、交流または直流のモータを駆動源b4にして、巻取軸b5を回転させ、該巻取軸b5により開閉体b1を繰出したり巻き取ったりするシャッター装置であり、制御盤b3により駆動源b4への供給電力を制御している(図2参照)。
制御盤b3は、リレー回路や、シーケンサー、その他の電子回路等により構成され、制御装置20からの制御指令や、操作ボックスb5(図1参照)からの信号に応じて、駆動源b4を回転、停止、反転等させる。
【0041】
開閉体b1は、その幅方向(図2における左右方向)の寸法が比較的大きく形成されている。そのため、該開閉体b1下端の座板b2は、物体との当接により解放方向へ移動可能な可動部材b21を、開閉体幅方向へ長尺な2つの部材b21a,b21b(図2参照)により構成し、この各部材毎に対応するように、第一座板スイッチ15と第二座板スイッチ15’とを配設している。
この構成によれば、開閉体b1の閉鎖動作中、座板b2の開閉体幅方向の一端側のみに障害物等の物体が当接した場合、その一端側の部材b21a(又はb21b)のみが相対的に後退するため、一端側の第一座板スイッチ15(又は第二座板スイッチ15’)のみが作動して物体感知信号を出力することになる。
【0042】
なお、座板b2の他例としては、上記可動部材b21を開閉体幅方向に一体的な部材から構成しても構わない。この構成では、開閉体b1の閉鎖動作中、可動部材b21における開閉体幅方向の中央側に障害物が当接して可動部材b21が略水平状態のまま相対的に後退した場合には、第一座板スイッチ15と第二座板スイッチ15’の双方が作動し、同可動部材b21における開閉体幅方向の一端側に障害物が当接して可動部材b21が傾いた場合には、第一座板スイッチ15と第二座板スイッチ15’の内の何れか一方が作動することになる。
【0043】
次に、開閉体b1の閉鎖動作中に、第一座板スイッチ15や第二座板スイッチ15’の作動により、物体感知信号が第一送信機10及び/又は第二送信機10’から制御装置20に送信された際における受信側制御回路部22による動作を、図4に示すフローチャートに基づき詳細に説明する。
【0044】
先ず、受信側制御回路部22は、ステップ1aにおいて、第一捕捉部21からの物体感知信号があるか否かを判断し、物体感知信号がある場合にはステップ2へ処理を移行し、そうでない場合にはステップ1bへ処理を移行する。
ステップ1bでは、第二捕捉部21’からの物体感知信号があるか否かを判断し、物体感知信号がある場合にはステップ2へ処理を移行し、そうでない場合にはステップ1aへ処理を戻す。
そして、ステップ2では、開閉装置Bの開閉装置制御盤b3に対し所定の制御指令が発せられる。開閉装置制御盤b3は、前記制御指令に基づき駆動源b4を制御することで、閉鎖動作中の開閉体b1を一旦停止し、その直後に所定量反転動作し、再度停止する。
すなわち、図4に示すフローチャートによれば、第一座板スイッチ15と第二座板スイッチ15’の内の何れか一方が作動した場合であっても、閉鎖動作中の開閉体b1を上記のように停止→反転→停止させることになる。
【0045】
また、次に、バッテリー状態信号(より具体的にはバッテリー異常信号及びバッテリー正常信号)が物体感知信号が第一送信機10から制御装置20に送信された際における受信側制御回路部22による動作の一例を、図4に示すフローチャートに基づき詳細に説明する。
前記バッテリー状態信号は、第一送信機10(又は第二送信機10’)がバッテリー12の電圧を電圧検知部13により検知し、その検知電圧が所定値よりも大きいか否かにより異なる信号とされ、例えば、第一送信機10(又は第二送信機10’)のバッテリーが所定電圧よりも大きいときには、1と表現されるバッテリー正常信号が第一送信機10(又は第二送信機10’)から送信され、第一送信機10(又は第二送信機10’)のバッテリーが所定電圧以下のときには、0と表現されるバッテリー異常信号が第一送信機10(又は第二送信機10’)から送信される。
このバッテリー状態信号は、例えば、第一座板スイッチ15及び/又は第二座板スイッチ15’がONからOFFに変化した際に第一送信機10及び/又は第二送信機10’から制御装置20へ送信されるようにしてもよいし、あるいは、両座板スイッチ15,15’の作動に拘わらずに所定時間毎に第一送信機10及び第二送信機10’から制御装置20へ送信されるようにしてもよい。
【0046】
先ず、ステップ11aでは、第一捕捉部21からバッテリー異常信号が入力されたか否かが判断され、バッテリー異常信号が入力された場合には、ステップ12へ処理を移行し、そうでなければステップ11bへ処理を移行する。
ステップ11bでは、前記同様に、第二捕捉部21’からバッテリー異常信号が入力されたか否かが判断され、バッテリー異常信号が入力された場合には、ステップ12へ処理を移行し、そうでなければステップ11aへ処理を戻す。
【0047】
そして、ステップ12では、バッテリー異常フラグをONにする処理を行う。
ここで、バッテリー異常フラグをONにするとは、具体的には、受信側制御回路部22における図示しない記憶装置に、バッテリー異常であることを示す1または0等の変数を記憶することを意味する。
【0048】
次のステップ13では、開閉体b1を安全に制御するための指令が、開閉装置Bの制御盤b3に対し発せられる。
この指令は、本実施の形態の好ましい一例によれば、操作ボックスb5の閉操作用及び開操作用の押ボタンスイッチによる自己保持動作を解除するための指令とされる。
【0049】
すなわち、通常の動作では、例えば、開閉体b1を閉鎖動作させようとした場合、操作者が指等で操作ボックスb5の閉操作用の押ボタンスイッチを押せば、開閉装置Bの制御盤b3における自己保持回路の作用により、操作者の指等が前記押ボタンスイッチから離れたとしても、開閉体b1の閉鎖動作が継続される。また、開閉体b1を開放動作させようとした場合も同様に、操作者の指等が開操作用の押ボタンスイッチを押した後に離されても、開閉体b1の開放動作が継続される。
しかしながら、上記ステップ13によれば、前記自己保持回路の作用が解除されるため、操作者は、操作ボックスb5の閉操作用又は開操作用の押ボタンスイッチを押し続けなければ、開閉体b1の開放動作又は閉鎖動作を継続できない状態になる。
そのため、操作者は、押ボタンスイッチから指等を離すことで、動作中の開閉体b1を直ちに停止することができる。
【0050】
なお、上記ステップ13で発せられる指令は、開閉体b1を安全に制御するための指令であれば、上記以外の指令に置換することも可能であり、例えば、開閉体b1を停止や反転などさせる指令に置換することも可能である。
更に、上記ステップ13での処理に伴って、ブザーを鳴動させる指令を発するようにしてもよい。
【0051】
次に、ステップ14では、第一捕捉部21からバッテリー正常信号が入力されたか否かが判断され、入力された場合には次のステップ15へ処理を移行し、そうでなければ、第一捕捉部21からのバッテリー正常信号の入力待ち状態となる。
同様に、ステップ15では、第二捕捉部21’からバッテリー正常信号が入力されたか否かが判断され、入力された場合には次のステップ16へ処理を移行し、そうでなければ、第二捕捉部21’からのバッテリー正常信号の入力待ち状態となる。
【0052】
そして、ステップ16では、上記ステップ12でONにされたバッテリー異常フラグがOFFにされる。すなわち、具体的には、受信側制御回路部22における図示しない記憶装置に記憶された変数が、バッテリー正常を示す値に変更される。
更に、次のステップ17では、開閉体b1に対する安全制御(上記ステップ13による処理)が解除され、ステップ11aへ処理が戻される。
【0053】
すなわち、図5に示すフローチャートによれば、制御装置20は、第一捕捉部21又は第二捕捉部21’からバッテリー異常信号が入力されたことを条件に、バッテリー異常であることを認識するとともに、開閉体b1を安全に制御するための制御指令を発し、そのバッテリー異常の認識および前記制御指令を、第一捕捉部21と第二捕捉部21’の双方からのバッテリー正常信号が入力されたことを条件に解除する。
【0054】
なお、上述した図5に示すフローチャートは、受信側制御回路部22の記憶装置に記憶されたプログラムを変更することで、図6に示すフローチャートに置換することが可能である。以下に、図6に示すフローチャートとした場合の制御装置20の動作を説明する。
先ず、ステップ21aでは、第一捕捉部21からバッテリー異常信号が入力されたか否かが判断され、バッテリー異常信号が入力された場合には、ステップ22aへ処理を移行し、そうでなければステップ21bへ処理を移行する。
【0055】
ステップ22aでは、第一バッテリー異常フラグをONにする処理を行う。具体的には、受信側制御回路部22における図示しない記憶装置に、第一バッテリーが異常であることを示す1または0等の変数を記憶する。
【0056】
ステップ23aでは、開閉体b1を安全に制御するための指令が、開閉装置Bの制御盤b3に対し発せられる。この指令は、例えば、上記ステップ13と同様に、操作ボックスb5の閉操作用及び開操作用の押ボタンスイッチによる自己保持動作を解除するための指令とされる。
【0057】
ステップ24aでは、第一捕捉部21からバッテリー正常信号が入力されたか否かが判断され、入力された場合には次のステップ25aへ処理を移行し、そうでなければ、第一捕捉部21からのバッテリー正常信号の入力待ち状態となる。
【0058】
ステップ25aでは、上記ステップ22aでONにされた第一バッテリー異常フラグがOFFにされる。すなわち、具体的には、受信側制御回路部22における図示しない記憶装置に記憶された変数が、バッテリー正常を示す値に変更される。
【0059】
また、ステップ21bでは、第二捕捉部21’からバッテリー異常信号が入力されたか否かが判断され、バッテリー異常信号が入力された場合には、ステップ22bへ処理を移行し、そうでなければステップ21aへ処理を戻す。
【0060】
ステップ22bでは、第二バッテリー異常フラグをONにする処理を行う。具体的には、受信側制御回路部22における図示しない記憶装置に、第二バッテリーが異常であることを示す1または0等の変数を記憶する。この変数は、上記第一バッテリーフラグを示す変数とは別の変数である。
【0061】
ステップ23bでは、開閉体b1を安全に制御するための指令が、開閉装置Bの制御盤b3に対し発せられる。この指令は、例えば、上記ステップ23aと同様に、操作ボックスb5の閉操作用及び開操作用の押ボタンスイッチによる自己保持動作を解除するための指令とすればよいが、他の制御指令とすることも可能である。
【0062】
ステップ24bでは、第二捕捉部21’からバッテリー正常信号が入力されたか否かが判断され、入力された場合には次のステップ25bへ処理を移行し、そうでなければ、第二捕捉部21’からのバッテリー正常信号の入力待ち状態となる。
【0063】
ステップ25bでは、上記ステップ22bでONにされた第二バッテリー異常フラグがOFFにされる。すなわち、具体的には、受信側制御回路部22における図示しない記憶装置に記憶された変数であって、第二バッテリー異常フラグを示す変数が、バッテリー正常を示す値に変更される。
【0064】
そして、ステップ26では、開閉体b1に対する安全制御(上記ステップ23a及び23bによる処理)が解除され、ステップ21aへ処理が戻される。
【0065】
すなわち、図6に示すフローチャートによれば、制御装置20は、第一捕捉部21と第二捕捉部21’から入力されるバッテリー異常信号を、それぞれ個別に認識して所定の制御指令を発し、その制御指令を、対応する捕捉部(第一捕捉部21又は第二捕捉部21’)からバッテリー正常信号が入力されたことを条件に解除する。
したがって、使用者等がバッテリー交換する際には、第一バッテリー異常フラグおよび第二バッテリーフラグのON/OFF状態を確認することにより、バッテリー異常となった送信機(第一送信機10または第二送信機10’)を速やかに発見することができる。
なお、好ましい態様として、第一バッテリー異常フラグと第二バッテリー異常フラグとのON状態を、それぞれ個別に表示する発光体やブザー等を備えてもよい。
【0066】
なお、本実施の形態によれば、バッテリー状態信号や物体感知信号などを、光(詳細には赤外線)を伝送媒体にして、送信機10,10’から制御装置20へ送信する構成としているが、電波や超音波、電磁波等を伝送媒体にした構成とすることも可能である。
また、図示例によれば、第一送信機10、第二送信機10’、第一捕捉部21、及び第二捕捉部21’の距離や配置等によっては、第一送信機10から送信される信号が第二捕捉部21’に捕捉されてしまったり、第二送信機10’から送信される信号が第一捕捉部21に捕捉されてしまったり等するおそれがある。
このことを防ぐためには、第一送信機10と第二送信機10’の各々から送信される信号に、これら第一送信機10と第二送信機10’とを識別するためのIDコードを含ませればよい。
この構成の場合、制御装置20側では、信号を捕捉した第一捕捉部21(又は第二捕捉部21’)と該信号に含まれるIDコードとが対応するか否かを判断し、対応する場合には捕捉された信号を有効にし、対応しない場合には捕捉された信号を無効にすればよい。
【0067】
次に、上記制御装置20における受信側制御回路部22を構成する電気回路基板の特徴について説明する。
図7に示すように、受信側制御回路部22を構成する電気回路の基板31には、該回路に過電流が流れた際に該回路を遮断するヒューズ32が着脱可能に設けられ、該ヒューズ32には、該ヒューズ32を取外すための取外し工具33が略環状に係合されている。
更に、同電気回路の基板31には、前記ヒューズ32が過電流等により溶断したときのために、交換用の予備ヒューズ34を備えている。
【0068】
ヒューズ32は、一般的なガラス管ヒューズであり、その長手方向の両端側の金属管状の部分が、それぞれヒューズホルダ35に嵌め合わせられることで、基板31に対し略平行状に支持されている。
ヒューズホルダ35は、上方を開口した断面略コ字状の一般的なヒューズホルダであり、ヒューズ32が上方から抜き差しされるように構成されている。
【0069】
また、取外し工具33は、難燃性かつ絶縁性の良好な合成樹脂材料から形成され、ヒューズ32を挿通させるためのヒューズ挿通孔33aや、指で摘まれる部分に配設された係合孔33b等を備える。
この取外し工具33の外観形状は、特に限定されるものでないが、本実施の形態の好ましい一例によれば、図9に示すように、平面視略長方形状に形成され、その一端側にヒューズ挿通孔33aを配置し、その他端側に係合孔33bを配置している。
ヒューズ挿通孔33aは、ヒューズ32を抜き差し可能なように、ヒューズ32の外径よりも若干大きい内径に形成されている。
係合孔33bは、取外し工具33が指等で摘まれる際に滑り止めとなるとともに、ドライバー等の治具の先端を挿入することも可能なように、適宜な内径に形成されている。
【0070】
また、予備ヒューズ34は、上記ヒューズ32と同一部品のガラス管ヒューズであり、制御装置20のケース等に固定された予備ヒューズホルダ36に装着されることで、基板31に対し略垂直状に支持されている。
予備ヒューズホルダ36は、合成樹脂材料などから図10に示す環状に形成され、その内周面をヒューズ34の外周面に弾性的に圧接させることで、予備ヒューズホルダ36を着脱可能に支持している。
なお、この予備ヒューズホルダ36の形状は、予備ヒューズ34が脱落し難く且つ予備ヒューズ34の着脱が容易なものであれば、図示例以外のものであってもよい。
【0071】
上記構成によれば、ヒューズ32を取外す際、図7(a)に示すように、取外し工具33の係合孔33bがある部分を指等で摘み、上方へ引っ張れば、ヒューズ32を容易に外すことができる(図7(b)参照)。この作業の際、万が一、電気回路が通電されていたとしても、指等がヒューズホルダ35に触れて感電してしまうのを防ぐことができる。
なお、ヒューズ32を外す作業は、取外し工具33の係合孔33bにドライバー等の工具の先端を挿込み、該工具を上方へ引くようにしてもよい。
【0072】
次に、予備ヒューズ34を取外し工具33によってヒューズホルダ35に装着する手順について説明する。
先ず、図8(a)に示すように、取外し工具33の係合孔33b側を指等で摘み、同取外し工具33のヒューズ挿通孔33aを、略環状に予備ヒューズ34に被せる。
そして、取外し工具33を若干傾けることで、ヒューズ挿通孔33aの内周面を予備ヒューズ34の外周面に接触させ(図8(a)参照)、その状態のまま、取外し工具33を上方へ引き上げれば、予備ヒューズ34が予備ヒューズホルダ36から抜き出される(図8(b)参照)。
次に、取外し工具33を回動させることで、予備ヒューズ34が基板31に対し略平行となるようにし(図8(c)参照)、その状態のまま、取外し工具33をヒューズホルダ35へ向けて移動させれば、予備ヒューズ34の両端側がヒューズホルダ35に嵌まり合う。
【0073】
而して、前記装着手順によれば、予備ヒューズ34をヒューズホルダ35へ装着する作業と、予備ヒューズ34へ取外し工具33へ環状に係合させる作業との双方の作業を、効率的に行うことができる上、万が一電気回路が通電されている場合であっても、作業者等の指がヒューズホルダ35に触れて感電してしまうのを防ぐことができる。
なお、予備ヒューズ34は、取外し工具33を用いることなく、指や他の工具等により摘まんで、ヒューズホルダ35に装着されてもよい。
【0074】
次に、当該開閉装置用物体感知装置Aの第一送信機10及び第二送信機10’における機構上の特徴について述べる。
第一送信機10と第二送信機10’の各々は、図11及び12に示すように、開閉装置Bの座板b2に装着可能な略長尺状の本体ケース10a内に、上述した送信側制御回路部11や、バッテリー12、電圧検知部13、発信部14等を具備している。
前記本体ケース10aは、その両端側に、他の部分と仕切られたコネクター室10a1,10a1を備え、各コネクター室10a1内で、第一座板スイッチ15(又は15’)側の電気コード15a先端のコネクター15bを、送信側制御回路部11側のコネクター11aに接続することで、その接続箇所の防水性を向上している。
上述した開閉装置用物体感知装置Aでは、図11に示すように、単一の第一送信機10に対し単一の第一座板スイッチ15を接続し、同様にして単一の第二送信機10’に対し単一の第一座板スイッチ15を接続している。
したがって、本体ケース10aの両側の二つのコネクター室10a1,10a1およびコネクター11a,11aの内、その一方のみが利用されて、第一座板スイッチ15が接続されている。
二つのコネクター室10a1,10a1およびコネクター11a,11aの内の何れを利用するかは、第一座板スイッチ15又は第二座板スイッチ15’の配置された箇所から近いほうのものとすればよい。
【0075】
上記構成の第一送信機10又は第二送信機10’について、他の使用態様としては、図12に示すように、単一の第一送信機10又は第二送信機10’に対し、二つの座板スイッチ15”,15”を接続した構成とすることも可能である。
この構成の場合、二つの座板スイッチ15”,15”は、例えば、上記第一座板スイッチ15と第二座板スイッチ15’とすることが可能である。
すなわち、上記開閉装置用物体感知装置Aの構成において、第二送信機10’及び第二捕捉部21’を省き、残る第一送信機10に対し第一座板スイッチ15及び第二座板スイッチ15’を接続し、より低コストな構成とすることが可能である。
この構成では、第一座板スイッチ15と第二座板スイッチ15’との内の何れか一方の座板スイッチからの物体感知信号があった場合に、その物体感知信号を第一送信機10から制御装置20へ送信し、制御装置20により物体感知信号に応じた制御指令を発するようにすればよい。
【0076】
また、他例としては、上記開閉装置用物体感知装置Aの構成において、第一送信機10に対し、上記第一座板スイッチ15に置換して二つの座板スイッチ15”,15”を接続するとともに、第二送信機10’に対しても、上記第二座板スイッチ15’に置換して二つの座板スイッチ15”,15”を接続し、合計四つの座板スイッチ15”,15”,15”,15”を、座板b2における開閉体幅方向に所定間隔置きに配置するようにしてもよい。
この構成によれば、閉鎖動作中の開閉体b1が物体に当接したことを、より精度よく感知することができる。
すなわち、上記開閉装置用物体感知装置Aによれば、可動部材b21を構成する一方の部材b21aにおける長手方向の一端側に第一座板スイッチ15が設けられた場合、その他端側に物体が当接した場合、前記部材b21aが傾くだけで、第一座板スイッチ15が作動しないおそれがあるが、上記構成によれば、一つの前記部材b21aに対し二つの座板スイッチ15”,15”が具備されるため、前記のよう現象を防ぎ、物体感知精度を向上することができる。
【0077】
また、上記開閉装置用物体感知装置Aでは、単一の第一送信機10(又は第二送信機10’)に対し単一の第一捕捉部21(又は第二捕捉部21’)を具備した構成としているが、単一の第一送信機10(又は第二送信機10’)に対し複数の補足部21”を備えることも可能である。
この構成の一例について説明すれば、図13に示すように、二つの補足部21”,21”の内の一方が、開閉体b1を引き込んだり繰出したりするまぐさ部材b6の下端側に設けられ、他方が同まぐさ部材b6の開口部の奥側に設けられる。
すなわち、上述した開閉装置用物体感知装置Aでは、図13におけるまぐさ部材b6下端側の補足部21”のみを備えた構成と略同等であるが、この場合には、開閉体b1が全開位置に近い状態において、第一送信機10から発信される光線の角度が大きくなり、その光線をまぐさ部材b6下端側の補足部21”により捕捉できないおそれがある。
しかしながら、上述した図13に示す構成によれば、まぐさ部材b6下端側の補足部21”により捕捉できなかった光線を補足部21”により捕捉することができる。
なお、この構成の場合における受信側制御回路部22の処理は、複数の補足部21”の内の何れか一つの補足部21”から物体感知信号やバッテリー状態信号を受信した場合に、その受信信号に応じて所定の制御指令を発するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に関わる開閉装置用物体感知装置の一例を示すブロック図である。
【図2】同開閉装置用物体感知装置を備えた開閉装置の一例を示す正面図である。
【図3】物体感知手段の一例を示す縦断面図であり、(a)は物体の当接により可動部材が上昇した状態を示し、(b)は物体が離れることにより可動部材が下降した状態を示す。
【図4】物体感知信号を受信した際の制御装置側の処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】バッテリー状態信号を受信した際の制御装置側の処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】バッテリー状態信号を受信した際の制御装置側の処理の他例を示すフローチャートである。
【図7】受信側制御回路部におけるヒューズの取り付け構造を示す要部断面図であり、(a)はヒューズが装着された状態を示し、(b)は同ヒューズが外された状態を示している。
【図8】受信側制御回路部におけるヒューズの取り付け構造を示す要部断面図であり、(a)は予備ヒューズを取外し工具により外そうとしている状態を示し、(b)は同予備ヒューズを取外し工具により外した状態を示し、更に、(c)は同予備ヒューズを取外し工具によりヒューズホルダへ装着しようとしている状態を示している。
【図9】取外し工具の一例を示す平面図である。
【図10】予備ヒューズホルダの一例を示す上面図である。
【図11】送信機と座板スイッチとの接続関係の一例を示す構造図である。
【図12】送信機と座板スイッチとの接続関係の他例を示す構造図である。
【図13】単一の送信機に対し複数の捕捉部を備えるようにした構成の一例を示す要部縦断面図である。
【符号の説明】
【0079】
A:開閉装置用物体感知装置
B:開閉装置
b1:開閉体
b2:座板
10:第一送信機
10’:第二送信機
11:送信側制御回路部
12:バッテリー
13:電圧検知部
14:発信部
15:第一座板スイッチ
15’:第二座板スイッチ
20:制御装置
21:第一捕捉部
21’:第二捕捉部
22:受信側制御回路部
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーヘッドドアを含むシャッター装置、雨戸を含む引戸、サッシ窓、ロールスクリーン、ブラインド、門扉、ゲート、スライディングウォール装置等、開閉体の閉鎖方向端部をスライドさせて閉鎖動作する開閉装置に用いられ、開閉体よりも閉鎖方向側に物体があることを感知する開閉装置用物体感知装置、及び該開閉装置用物体感知装置を備えた開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、特許文献1に記載されたもののように、シャッターカーテン下端の座板(20)に、該座板(20)がその閉鎖方向側の物体に接触したことを感知する物体感知手段と、該物体感知手段による感知信号を無線送信する送信部(6)と、該送信部(6)から送信された信号を受信して処理し所定の制御指令を発する制御装置(受信側装置B)とを備えた障害物感知装置がある。
この従来技術では、前記物体感知手段が感知状態から解除状態に変化したときに、送信部(6)から制御装置(受信側装置B)に対し、前記物体感知手段の状態変化を示す信号に併せて、バッテリー電圧を示す電圧信号が送信される。そして、制御装置(受信側装置B)では、受信された電圧信号より、送信部(6)のバッテリー電圧に異常があるか否かを判定し、シャッター装置の制御盤(2)に対し適宜な制御指令を発する。
【0003】
ところで、シャッター装置には、上記物体感知手段が通常単数設けられるが、該シャッター装置の開閉体の幅寸法が比較的長尺な場合には、該開閉体下端の座板が複数の部材から構成されることや、該座板がその幅方向の左右で偏った閉鎖動作をするおそれがあること等から、開閉体幅方向にわたって複数の物体感知手段を設けた方が好ましい場合がある。
しかしながら、単一の開閉体に対し複数の物体感知手段を設けるようにした場合には、それら複数の物体感知手段の数に応じて、上記従来の障害物感知装置の各構成部品を複数備える必要があり、特に部品点数が多く比較的コスト高な制御装置(受信側装置B)を複数備えなければならないことは、開閉装置全体のコストを高騰させる一因になりかねない。また、メンテナンス上も好ましくない。
また、上記制御装置(受信側装置B)等の電気回路には、万が一、過電流が流れた際に該電気回路を保護するためのヒューズが用いられるが、メンテナンス等の際、比較的狭いスペースに収まっているヒューズを交換する作業は困難な場合があった。
【特許文献1】特開平9−228768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その課題とする処は、複数の物体感知手段の物体感知信号に応じて所定の制御指令を発しようとした場合でも、制御装置を複数備える必要がなく、生産性及びメンテナンス性が良好で低コストな開閉装置用物体感知装置及び該開閉装置用物体感知装置を備えた開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために第一の発明は、開閉装置における開閉体よりも閉鎖方向の物体を感知した際の物体感知信号を送信する送信機と、該送信機から送信される信号を捕捉する捕捉部と、該捕捉部からの入力に応じて開閉装置に対し所定の制御指令を発する制御装置とを備えた開閉装置用物体感知装置において、前記送信機と前記捕捉部とを一対として、この一対の送信機および捕捉部を複数設け、複数の捕捉部から出力される複数の信号を単一の前記制御装置に入力し、入力された信号に応じて、単一の前記制御装置から所定の制御指令を発するようにしたことを特徴とする。
【0006】
ここで、本発明の設置対象物である開閉装置は、少なくとも閉鎖方向へ動作可能な開閉体を備え、該開閉体のスライド動作により空間を仕切るように構成された装置であればよく、この開閉装置には、開閉体が閉鎖動作のみを行うように用いられる態様(例えば防火シャッター装置等)、開閉体が開放動作と閉鎖動作との双方を行うように用いられる態様等を含む。
また、この開閉装置には、開閉体をその開放方向側の巻取軸によって巻取り、該巻取軸から繰出すようにした態様や、開閉体をその開放方向側の収納部位へ巻き取ることなく収納し、該収納部位から繰出すようにした態様等を含む。
また、前記開閉体には、複数のスラットやパイプを開閉方向へ連設してなる態様や、単数もしくは複数のパネルや、シート状物、ネット状物を開閉方向へ設けてなる態様、あるいはスラット、パネル、パイプ、シート状物、ネット状物等を適宜に組み合わせてなる態様等を含むが、この開閉体の好ましい態様としては、金属製のスラットやパネル等の剛性材料から構成される。
【0007】
また、上記送信機の具体的構成としては、例えば、入出力装置や、記憶装置、中央処理装置などからなるマイコンと、送信回路とを備えた電子回路とすればよい。
また、上記制御装置の具体的構成としては、例えば、入出力装置や、記憶装置、中央処理装置などからなるマイコンと、受信回路とを備えた電子回路とすればよい。
【0008】
また、上記物体感知信号とは、上記開閉装置に具備された物体感知手段から出力される信号である。この物体感知手段には、開閉体よりも閉鎖方向側の物体を接触感知する構成や、開閉体よりも閉鎖方向側の物体を非接触感知する構成等を含む。
【0009】
また、上記制御指令には、例えば、警報音を発する指令や、警報ランプを点灯または点滅させる指令、開閉体を停止や反転等させる指令、開閉体を操作するための閉操作用及び/又は開操作用の押ボタンスイッチによる自己保持動作を解除するための指令等を含む。
【0010】
また、第二の発明では、上記制御装置は、上記複数の捕捉部の内の何れか一以上の捕捉部から物体感知信号が入力されたことを条件に、所定の制御指令を発することを特徴とする。
【0011】
また、第三の発明は、上記各送信機は、該送信機のバッテリー異常を示すバッテリー異常信号と、該送信機のバッテリー正常を示すバッテリー正常信号とを、バッテリー状態に応じて対応する上記捕捉部へ送信するように構成され、上記制御装置は、上記複数の捕捉部の内の何れか一以上の捕捉部から前記バッテリー異常信号が入力されたことを条件に、所定の制御指令を発し、その制御指令を、全ての捕捉部からバッテリー正常信号が入力されたことを条件に解除するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
ここで、上記バッテリー異常信号とは、上記送信機のバッテリー電圧が異常であることを示す信号であり、例えば、上記送信機のバッテリー電圧値が予め設定された規定値よりも小さいことを示す信号とされる。なお、前記規定値は、例えば、上記送信機の最低動作電圧とすればよい。
同様に、上記バッテリー正常信号とは、上記送信機のバッテリー電圧が正常であることを示す信号であり、例えば、上記送信機のバッテリー電圧値が予め設定された規定値以上であること示す信号とされる。
【0013】
また、第四の発明は、上記各送信機は、該送信機のバッテリー異常を示すバッテリー異常信号と、該送信機のバッテリー正常を示すバッテリー正常信号とを、バッテリー状態に応じて対応する上記捕捉部へ送信するように構成され、上記制御装置は、上記複数の捕捉部から入力されるバッテリー異常信号を、それぞれ個別に認識して所定の制御指令を発し、その制御指令を、対応する捕捉部からバッテリー正常信号が入力されたことを条件に解除するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
ここで、「対応する捕捉部からバッテリー正常信号が入力されたことを条件に解除する」とは、より具体的に説明すれば、バッテリー異常信号が捕捉部から入力された後、その同捕捉部からバッテリー正常信号が入力された場合に、上記制御指令を解除することを意味する。
【0015】
また、第五の発明では、上記送信機及び/又は上記制御装置の電気回路には、該回路に過電流が流れた際に該回路を遮断するヒューズがヒューズホルダに対し着脱可能に設けられ、該ヒューズには、該ヒューズをヒューズホルダから取外すための取外し工具が具備されていることを特徴とする。
【0016】
なお、この第五の発明による構成は、上記第一乃至四の何れか一の発明に従属しない独立した構成としても、後述する第五の発明に関する作用効果を奏する。
すなわち、この独立した構成は、過電流が流れた際に該回路を遮断するヒューズが着脱可能に設けられた電気回路であって、前記ヒューズには、該ヒューズを取外すための取外し工具が具備されていることを特徴とする。
【0017】
また、第六の発明では、上記送信機及び/又は上記制御装置の電気回路には、予備ヒューズ、及び該予備ヒューズを着脱可能に保持する予備ヒューズホルダが具備され、上記取外し工具は、前記予備ヒューズを、前記予備ヒューズホルダから取外して上記電気回路上の上記ヒューズホルダに装着するのに用いられるように構成されていることを特徴とする。
ここで、上記予備ヒューズホルダは、上記電気回路に過電流が流れても破損することのないように、上記予備ヒューズを上記電気回路から絶縁して保持する構成とすることが好ましい。
【0018】
なお、この第六の発明による構成は、以下のように、独立した構成としても、後述する第六の発明に関する作用効果を奏する。
すなわち、この独立した構成は、過電流が流れた際に該回路を遮断するヒューズがヒューズホルダに対し着脱可能に設けられるとともに、予備ヒューズ、及び該予備ヒューズを着脱可能に保持する予備ヒューズホルダが具備された電気回路であって、前記ヒューズには、該ヒューズを取外すための取外し工具が具備され、取外し工具は、前記予備ヒューズを、前記予備ヒューズホルダから取外して前記電気回路上のヒューズホルダに装着するのに用いられるように構成されていることを特徴とする。
【0019】
ここで、上記取外し工具の具体例としては、上記ヒューズおよび予備ヒューズに対し着脱可能に係合する係合部(孔や切欠を含む)を備え、該係合部を上記ヒューズに対し係合させることで保持される構成とすればよい。
【0020】
また、第七の発明は、開閉体の閉鎖方向端部側に、開閉体幅方向へわたって、開閉体よりも閉鎖方向の物体を感知する物体感知手段と、該物体感知手段に対応する上記送信機とを複数設けるとともに、不動部位には、前記複数の送信機にそれぞれ対応する複数の上記捕捉部および単一の上記制御装置を設けたことを特徴とする開閉装置である。
【0021】
なお、本明細書中において「開閉体幅方向」とは、開閉装置における開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
第一の発明によれば、複数の送信機および捕捉部から入力される複数の信号を単一の制御装置により処理し、該制御装置から所定の制御指令を発するようにしているため、例えば、複数の物体感知手段の物体感知信号に応じて所定の制御指令を発しようとした場合でも、制御装置を複数備える必要がなく、ひいては、当該の開閉装置用物体感知装置の生産性及びメンテナンス性を向上するとともに生産コストを削減することができる。
【0023】
更に、第二の発明によれば、複数の捕捉部から入力される複数の物体感知信号を、制御装置によって効率的に処理し、所定の制御指令を発することができる。
【0024】
更に、第三の発明によれば、複数の送信機の内の何れかがバッテリー異常となったことを、単一の制御装置により速やかに認識し所定の制御指令を発することができる。そして、その制御指令を、全ての捕捉部からバッテリー正常信号が入力された際に解除することができる。
【0025】
更に、第四の発明によれば、複数の送信機の内の何れかがバッテリー異常となった場合に、そのバッテリー異常となった送信機を個別に認識して所定の制御指令を発することができる。したがって、使用者等がバッテリー交換する際には、バッテリー異常となった送信機を速やかに発見することができ、その交換作業が容易である。
【0026】
更に、第五の発明によれば、電気回路のヒューズが切れた際に、その切れたヒューズを、該ヒューズに具備された取外し工具により速やかに取外すことができ、ひいては、メンテナンス性を一層向上することができる。
【0027】
更に、第六の発明によれば、電気回路のヒューズが切れた際には、その切れたヒューズを取外し工具によって外し、予め具備された予備ヒューズを、同取外し工具によって予備ヒューズホルダから外して電気回路上のヒューズホルダに装着すればよい。したがって、メンテナンス性を更に向上することができる。
【0028】
更に、第七の発明によれば、開閉体の幅方向にわたる複数箇所で、開閉体よりも閉鎖方向側の物体を感知できる上、その複数の物体感知信号を、単一の制御装置により速やかに処理し所定を制御指令を発することができ、ひいては、生産性及びメンテナンス性が良好で低コストな開閉装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示す開閉装置用物体感知装置Aは、複数の送信機(図示例によれば第一送信機10と第二送信機10’の二つ)、複数の座板スイッチ(図示例によれば第一座板スイッチ15と第二座板スイッチ15’の二つ)、複数の捕捉部(図示例によれば第一捕捉部21と第二捕捉部21’の二つ)、単数の制御装置20を備え、開閉装置B(図2参照)に具備されている。
開閉装置Bは、本実施の形態の好ましい一例によれば、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の躯体の開口部分や内部に配設されて、前記開口部分を開閉したり、躯体内部の空間を仕切ったり開放したりするシャッター装置である。
【0030】
第一送信機10は、送信側制御回路部11、バッテリー12、電圧検知部13、発信部14などから構成される。
この送信機10は、開閉装置Bの開閉体b1下端の座板b2における幅方向の一端側(図2によれば左端側)に固定され、バッテリー12の電力により送信側制御回路部11を動作させることで、開閉体b1よりも閉鎖方向側の物体を感知した際の物体感知信号や、前記バッテリー12の電圧が異常であるか否かを示すバッテリー状態信号(バッテリー異常信号及びバッテリー正常信号を含む)などを光無線発信する。
【0031】
また、第二送信機10’は、第一送信機10と略同様に、送信側制御回路部11、バッテリー12、電圧検知部13、発信部14などから構成される。
この第二送信機10’は、開閉装置Bの開閉体b1下端の座板b2における幅方向の他端側(図2によれば右端側)に固定され、上記第一送信機10と略同様に作用する。
【0032】
送信側制御回路部11は、所謂マイコンや、送信機回路等を備えた電子回路であり、電圧検知部13や第一座板スイッチ15(又は第二座板スイッチ15’)等から入力される信号を、バッテリー状態信号や物体感知信号として出力する。そして、これら出力信号は、発信部14から第一捕捉部21(又は第二捕捉部21’)へ光無線発信される。
【0033】
バッテリー12は、送信側制御回路部11の電源となる一般的な電池であり、交換可能に具備されている。
このバッテリー12は、1次電池であっても、2次電池(充電式電池)であってもよい。更に、このバッテリー12は、単数であっても複数であってもよく、複数とした場合には、直列接続であっても並列接続であってもよい。
【0034】
また、電圧検知部13は、バッテリー12の電圧を検知し、その電圧に応じた信号を出力する装置である。
【0035】
また、発信部14は、送信側制御回路部11により演算処理された信号を、赤外線を伝送媒体として制御装置20の第一捕捉部21(又は第二捕捉部21’)へ向けて発信する発光体である。
【0036】
また、第一座板スイッチ15と第二座板スイッチ15’の各々は、開閉装置Bの開閉体b1がその閉鎖方向側の物体に接触したことを感知する物体感知手段を構成している。
この物体感知手段の具体例としては、図3に示すように、座板b2に物体との当接により開放方向へ移動可能な可動部材b21を設け、該可動部材b21の開放方向への移動を、第一座板スイッチ15(又は第二座板スイッチ15’)により感知する構成とすればよい。
なお、第一座板スイッチ15(又は第二座板スイッチ15’)は、図示例によれば接触式スイッチ(例えば、リミットスイッチや、マイクロスイッチ、テープスイッチ等)による構成としているが、非接触式スイッチ(例えば、近接スイッチや、赤外線センサ等)による構成とすることも可能である。
【0037】
そして、この第一座板スイッチ15(又は第二座板スイッチ15’)は、可動部材b21がその閉鎖方向側の物体との当接により開閉体開放方向へ移動した際(図3(a)参照)に、接点をOFFからONへ変化させ、また、前記物体が離れることで可動部材b21が開閉体閉鎖方向へ移動した際(図3(b)参照)に、接点をONからOFFへ変化させるように構成してある。
なお、前記接点のON/OFFを逆にすることが可能なのは勿論である。
また、第一座板スイッチ15(第二座板スイッチ15’)は、図示例によれば、第一送信機10(又は第二送信機10’)と別体に構成されているが、第一送信機10(又は第二送信機10’)と一体的に構成することも可能である。
【0038】
また、第一捕捉部21と第二捕捉部21’の各々は、発信部14から送信される赤外線を受光し、電気信号として制御装置20へ送信する所謂受光装置である。
第一捕捉部21は、第一送信機10の発信部14と一対の関係となるように、第一送信機10の発信部14と対向して配置されている。
同様に、第二捕捉部21’は、第二送信機10’の発信部14と一対の関係となるように、第二送信機10’の発信部14と対向して配置されている。
これら第一捕捉部21および第二捕捉部21’は、制御装置20から電源を供給されて、同制御装置20へ電気信号を送信するように電気配線されている。制御装置20と複数の捕捉部(図示例によれば第一捕捉部21と第二捕捉部21’の二つ)と間の電源用の配線は、制御装置20上の一つの電源供給用端子を共通端子として、該端子に、複数の捕捉部の電源用コードを接続するようにすればよい。
【0039】
また、制御装置20は、第一捕捉部21、第二捕捉部21’、開閉装置制御盤b3、及び電源線(図示せず)などを接続する端子台(図示せず)や、第一捕捉部21と第二捕捉部21’から入力される信号をそれぞれ演算処理する受信側制御回路部22等を具備し、送信機10からのバッテリー状態信号や物体感知信号などを常に受信可能な状態で待機している。
受信側制御回路部22は、所謂マイコンや、受信機回路、開閉装置Bを制御するための制御回路等を備えた電子回路であり、図示しない記憶装置に記憶されたプログラムに基づき機能することで、第一捕捉部21および第二捕捉部21’や開閉装置Bの制御盤b3等から入力される信号を演算処理し、その処理結果に応じて、適宜な制御指令を開閉装置Bの制御盤b3へ送信する。
【0040】
また、開閉装置Bは、交流または直流のモータを駆動源b4にして、巻取軸b5を回転させ、該巻取軸b5により開閉体b1を繰出したり巻き取ったりするシャッター装置であり、制御盤b3により駆動源b4への供給電力を制御している(図2参照)。
制御盤b3は、リレー回路や、シーケンサー、その他の電子回路等により構成され、制御装置20からの制御指令や、操作ボックスb5(図1参照)からの信号に応じて、駆動源b4を回転、停止、反転等させる。
【0041】
開閉体b1は、その幅方向(図2における左右方向)の寸法が比較的大きく形成されている。そのため、該開閉体b1下端の座板b2は、物体との当接により解放方向へ移動可能な可動部材b21を、開閉体幅方向へ長尺な2つの部材b21a,b21b(図2参照)により構成し、この各部材毎に対応するように、第一座板スイッチ15と第二座板スイッチ15’とを配設している。
この構成によれば、開閉体b1の閉鎖動作中、座板b2の開閉体幅方向の一端側のみに障害物等の物体が当接した場合、その一端側の部材b21a(又はb21b)のみが相対的に後退するため、一端側の第一座板スイッチ15(又は第二座板スイッチ15’)のみが作動して物体感知信号を出力することになる。
【0042】
なお、座板b2の他例としては、上記可動部材b21を開閉体幅方向に一体的な部材から構成しても構わない。この構成では、開閉体b1の閉鎖動作中、可動部材b21における開閉体幅方向の中央側に障害物が当接して可動部材b21が略水平状態のまま相対的に後退した場合には、第一座板スイッチ15と第二座板スイッチ15’の双方が作動し、同可動部材b21における開閉体幅方向の一端側に障害物が当接して可動部材b21が傾いた場合には、第一座板スイッチ15と第二座板スイッチ15’の内の何れか一方が作動することになる。
【0043】
次に、開閉体b1の閉鎖動作中に、第一座板スイッチ15や第二座板スイッチ15’の作動により、物体感知信号が第一送信機10及び/又は第二送信機10’から制御装置20に送信された際における受信側制御回路部22による動作を、図4に示すフローチャートに基づき詳細に説明する。
【0044】
先ず、受信側制御回路部22は、ステップ1aにおいて、第一捕捉部21からの物体感知信号があるか否かを判断し、物体感知信号がある場合にはステップ2へ処理を移行し、そうでない場合にはステップ1bへ処理を移行する。
ステップ1bでは、第二捕捉部21’からの物体感知信号があるか否かを判断し、物体感知信号がある場合にはステップ2へ処理を移行し、そうでない場合にはステップ1aへ処理を戻す。
そして、ステップ2では、開閉装置Bの開閉装置制御盤b3に対し所定の制御指令が発せられる。開閉装置制御盤b3は、前記制御指令に基づき駆動源b4を制御することで、閉鎖動作中の開閉体b1を一旦停止し、その直後に所定量反転動作し、再度停止する。
すなわち、図4に示すフローチャートによれば、第一座板スイッチ15と第二座板スイッチ15’の内の何れか一方が作動した場合であっても、閉鎖動作中の開閉体b1を上記のように停止→反転→停止させることになる。
【0045】
また、次に、バッテリー状態信号(より具体的にはバッテリー異常信号及びバッテリー正常信号)が物体感知信号が第一送信機10から制御装置20に送信された際における受信側制御回路部22による動作の一例を、図4に示すフローチャートに基づき詳細に説明する。
前記バッテリー状態信号は、第一送信機10(又は第二送信機10’)がバッテリー12の電圧を電圧検知部13により検知し、その検知電圧が所定値よりも大きいか否かにより異なる信号とされ、例えば、第一送信機10(又は第二送信機10’)のバッテリーが所定電圧よりも大きいときには、1と表現されるバッテリー正常信号が第一送信機10(又は第二送信機10’)から送信され、第一送信機10(又は第二送信機10’)のバッテリーが所定電圧以下のときには、0と表現されるバッテリー異常信号が第一送信機10(又は第二送信機10’)から送信される。
このバッテリー状態信号は、例えば、第一座板スイッチ15及び/又は第二座板スイッチ15’がONからOFFに変化した際に第一送信機10及び/又は第二送信機10’から制御装置20へ送信されるようにしてもよいし、あるいは、両座板スイッチ15,15’の作動に拘わらずに所定時間毎に第一送信機10及び第二送信機10’から制御装置20へ送信されるようにしてもよい。
【0046】
先ず、ステップ11aでは、第一捕捉部21からバッテリー異常信号が入力されたか否かが判断され、バッテリー異常信号が入力された場合には、ステップ12へ処理を移行し、そうでなければステップ11bへ処理を移行する。
ステップ11bでは、前記同様に、第二捕捉部21’からバッテリー異常信号が入力されたか否かが判断され、バッテリー異常信号が入力された場合には、ステップ12へ処理を移行し、そうでなければステップ11aへ処理を戻す。
【0047】
そして、ステップ12では、バッテリー異常フラグをONにする処理を行う。
ここで、バッテリー異常フラグをONにするとは、具体的には、受信側制御回路部22における図示しない記憶装置に、バッテリー異常であることを示す1または0等の変数を記憶することを意味する。
【0048】
次のステップ13では、開閉体b1を安全に制御するための指令が、開閉装置Bの制御盤b3に対し発せられる。
この指令は、本実施の形態の好ましい一例によれば、操作ボックスb5の閉操作用及び開操作用の押ボタンスイッチによる自己保持動作を解除するための指令とされる。
【0049】
すなわち、通常の動作では、例えば、開閉体b1を閉鎖動作させようとした場合、操作者が指等で操作ボックスb5の閉操作用の押ボタンスイッチを押せば、開閉装置Bの制御盤b3における自己保持回路の作用により、操作者の指等が前記押ボタンスイッチから離れたとしても、開閉体b1の閉鎖動作が継続される。また、開閉体b1を開放動作させようとした場合も同様に、操作者の指等が開操作用の押ボタンスイッチを押した後に離されても、開閉体b1の開放動作が継続される。
しかしながら、上記ステップ13によれば、前記自己保持回路の作用が解除されるため、操作者は、操作ボックスb5の閉操作用又は開操作用の押ボタンスイッチを押し続けなければ、開閉体b1の開放動作又は閉鎖動作を継続できない状態になる。
そのため、操作者は、押ボタンスイッチから指等を離すことで、動作中の開閉体b1を直ちに停止することができる。
【0050】
なお、上記ステップ13で発せられる指令は、開閉体b1を安全に制御するための指令であれば、上記以外の指令に置換することも可能であり、例えば、開閉体b1を停止や反転などさせる指令に置換することも可能である。
更に、上記ステップ13での処理に伴って、ブザーを鳴動させる指令を発するようにしてもよい。
【0051】
次に、ステップ14では、第一捕捉部21からバッテリー正常信号が入力されたか否かが判断され、入力された場合には次のステップ15へ処理を移行し、そうでなければ、第一捕捉部21からのバッテリー正常信号の入力待ち状態となる。
同様に、ステップ15では、第二捕捉部21’からバッテリー正常信号が入力されたか否かが判断され、入力された場合には次のステップ16へ処理を移行し、そうでなければ、第二捕捉部21’からのバッテリー正常信号の入力待ち状態となる。
【0052】
そして、ステップ16では、上記ステップ12でONにされたバッテリー異常フラグがOFFにされる。すなわち、具体的には、受信側制御回路部22における図示しない記憶装置に記憶された変数が、バッテリー正常を示す値に変更される。
更に、次のステップ17では、開閉体b1に対する安全制御(上記ステップ13による処理)が解除され、ステップ11aへ処理が戻される。
【0053】
すなわち、図5に示すフローチャートによれば、制御装置20は、第一捕捉部21又は第二捕捉部21’からバッテリー異常信号が入力されたことを条件に、バッテリー異常であることを認識するとともに、開閉体b1を安全に制御するための制御指令を発し、そのバッテリー異常の認識および前記制御指令を、第一捕捉部21と第二捕捉部21’の双方からのバッテリー正常信号が入力されたことを条件に解除する。
【0054】
なお、上述した図5に示すフローチャートは、受信側制御回路部22の記憶装置に記憶されたプログラムを変更することで、図6に示すフローチャートに置換することが可能である。以下に、図6に示すフローチャートとした場合の制御装置20の動作を説明する。
先ず、ステップ21aでは、第一捕捉部21からバッテリー異常信号が入力されたか否かが判断され、バッテリー異常信号が入力された場合には、ステップ22aへ処理を移行し、そうでなければステップ21bへ処理を移行する。
【0055】
ステップ22aでは、第一バッテリー異常フラグをONにする処理を行う。具体的には、受信側制御回路部22における図示しない記憶装置に、第一バッテリーが異常であることを示す1または0等の変数を記憶する。
【0056】
ステップ23aでは、開閉体b1を安全に制御するための指令が、開閉装置Bの制御盤b3に対し発せられる。この指令は、例えば、上記ステップ13と同様に、操作ボックスb5の閉操作用及び開操作用の押ボタンスイッチによる自己保持動作を解除するための指令とされる。
【0057】
ステップ24aでは、第一捕捉部21からバッテリー正常信号が入力されたか否かが判断され、入力された場合には次のステップ25aへ処理を移行し、そうでなければ、第一捕捉部21からのバッテリー正常信号の入力待ち状態となる。
【0058】
ステップ25aでは、上記ステップ22aでONにされた第一バッテリー異常フラグがOFFにされる。すなわち、具体的には、受信側制御回路部22における図示しない記憶装置に記憶された変数が、バッテリー正常を示す値に変更される。
【0059】
また、ステップ21bでは、第二捕捉部21’からバッテリー異常信号が入力されたか否かが判断され、バッテリー異常信号が入力された場合には、ステップ22bへ処理を移行し、そうでなければステップ21aへ処理を戻す。
【0060】
ステップ22bでは、第二バッテリー異常フラグをONにする処理を行う。具体的には、受信側制御回路部22における図示しない記憶装置に、第二バッテリーが異常であることを示す1または0等の変数を記憶する。この変数は、上記第一バッテリーフラグを示す変数とは別の変数である。
【0061】
ステップ23bでは、開閉体b1を安全に制御するための指令が、開閉装置Bの制御盤b3に対し発せられる。この指令は、例えば、上記ステップ23aと同様に、操作ボックスb5の閉操作用及び開操作用の押ボタンスイッチによる自己保持動作を解除するための指令とすればよいが、他の制御指令とすることも可能である。
【0062】
ステップ24bでは、第二捕捉部21’からバッテリー正常信号が入力されたか否かが判断され、入力された場合には次のステップ25bへ処理を移行し、そうでなければ、第二捕捉部21’からのバッテリー正常信号の入力待ち状態となる。
【0063】
ステップ25bでは、上記ステップ22bでONにされた第二バッテリー異常フラグがOFFにされる。すなわち、具体的には、受信側制御回路部22における図示しない記憶装置に記憶された変数であって、第二バッテリー異常フラグを示す変数が、バッテリー正常を示す値に変更される。
【0064】
そして、ステップ26では、開閉体b1に対する安全制御(上記ステップ23a及び23bによる処理)が解除され、ステップ21aへ処理が戻される。
【0065】
すなわち、図6に示すフローチャートによれば、制御装置20は、第一捕捉部21と第二捕捉部21’から入力されるバッテリー異常信号を、それぞれ個別に認識して所定の制御指令を発し、その制御指令を、対応する捕捉部(第一捕捉部21又は第二捕捉部21’)からバッテリー正常信号が入力されたことを条件に解除する。
したがって、使用者等がバッテリー交換する際には、第一バッテリー異常フラグおよび第二バッテリーフラグのON/OFF状態を確認することにより、バッテリー異常となった送信機(第一送信機10または第二送信機10’)を速やかに発見することができる。
なお、好ましい態様として、第一バッテリー異常フラグと第二バッテリー異常フラグとのON状態を、それぞれ個別に表示する発光体やブザー等を備えてもよい。
【0066】
なお、本実施の形態によれば、バッテリー状態信号や物体感知信号などを、光(詳細には赤外線)を伝送媒体にして、送信機10,10’から制御装置20へ送信する構成としているが、電波や超音波、電磁波等を伝送媒体にした構成とすることも可能である。
また、図示例によれば、第一送信機10、第二送信機10’、第一捕捉部21、及び第二捕捉部21’の距離や配置等によっては、第一送信機10から送信される信号が第二捕捉部21’に捕捉されてしまったり、第二送信機10’から送信される信号が第一捕捉部21に捕捉されてしまったり等するおそれがある。
このことを防ぐためには、第一送信機10と第二送信機10’の各々から送信される信号に、これら第一送信機10と第二送信機10’とを識別するためのIDコードを含ませればよい。
この構成の場合、制御装置20側では、信号を捕捉した第一捕捉部21(又は第二捕捉部21’)と該信号に含まれるIDコードとが対応するか否かを判断し、対応する場合には捕捉された信号を有効にし、対応しない場合には捕捉された信号を無効にすればよい。
【0067】
次に、上記制御装置20における受信側制御回路部22を構成する電気回路基板の特徴について説明する。
図7に示すように、受信側制御回路部22を構成する電気回路の基板31には、該回路に過電流が流れた際に該回路を遮断するヒューズ32が着脱可能に設けられ、該ヒューズ32には、該ヒューズ32を取外すための取外し工具33が略環状に係合されている。
更に、同電気回路の基板31には、前記ヒューズ32が過電流等により溶断したときのために、交換用の予備ヒューズ34を備えている。
【0068】
ヒューズ32は、一般的なガラス管ヒューズであり、その長手方向の両端側の金属管状の部分が、それぞれヒューズホルダ35に嵌め合わせられることで、基板31に対し略平行状に支持されている。
ヒューズホルダ35は、上方を開口した断面略コ字状の一般的なヒューズホルダであり、ヒューズ32が上方から抜き差しされるように構成されている。
【0069】
また、取外し工具33は、難燃性かつ絶縁性の良好な合成樹脂材料から形成され、ヒューズ32を挿通させるためのヒューズ挿通孔33aや、指で摘まれる部分に配設された係合孔33b等を備える。
この取外し工具33の外観形状は、特に限定されるものでないが、本実施の形態の好ましい一例によれば、図9に示すように、平面視略長方形状に形成され、その一端側にヒューズ挿通孔33aを配置し、その他端側に係合孔33bを配置している。
ヒューズ挿通孔33aは、ヒューズ32を抜き差し可能なように、ヒューズ32の外径よりも若干大きい内径に形成されている。
係合孔33bは、取外し工具33が指等で摘まれる際に滑り止めとなるとともに、ドライバー等の治具の先端を挿入することも可能なように、適宜な内径に形成されている。
【0070】
また、予備ヒューズ34は、上記ヒューズ32と同一部品のガラス管ヒューズであり、制御装置20のケース等に固定された予備ヒューズホルダ36に装着されることで、基板31に対し略垂直状に支持されている。
予備ヒューズホルダ36は、合成樹脂材料などから図10に示す環状に形成され、その内周面をヒューズ34の外周面に弾性的に圧接させることで、予備ヒューズホルダ36を着脱可能に支持している。
なお、この予備ヒューズホルダ36の形状は、予備ヒューズ34が脱落し難く且つ予備ヒューズ34の着脱が容易なものであれば、図示例以外のものであってもよい。
【0071】
上記構成によれば、ヒューズ32を取外す際、図7(a)に示すように、取外し工具33の係合孔33bがある部分を指等で摘み、上方へ引っ張れば、ヒューズ32を容易に外すことができる(図7(b)参照)。この作業の際、万が一、電気回路が通電されていたとしても、指等がヒューズホルダ35に触れて感電してしまうのを防ぐことができる。
なお、ヒューズ32を外す作業は、取外し工具33の係合孔33bにドライバー等の工具の先端を挿込み、該工具を上方へ引くようにしてもよい。
【0072】
次に、予備ヒューズ34を取外し工具33によってヒューズホルダ35に装着する手順について説明する。
先ず、図8(a)に示すように、取外し工具33の係合孔33b側を指等で摘み、同取外し工具33のヒューズ挿通孔33aを、略環状に予備ヒューズ34に被せる。
そして、取外し工具33を若干傾けることで、ヒューズ挿通孔33aの内周面を予備ヒューズ34の外周面に接触させ(図8(a)参照)、その状態のまま、取外し工具33を上方へ引き上げれば、予備ヒューズ34が予備ヒューズホルダ36から抜き出される(図8(b)参照)。
次に、取外し工具33を回動させることで、予備ヒューズ34が基板31に対し略平行となるようにし(図8(c)参照)、その状態のまま、取外し工具33をヒューズホルダ35へ向けて移動させれば、予備ヒューズ34の両端側がヒューズホルダ35に嵌まり合う。
【0073】
而して、前記装着手順によれば、予備ヒューズ34をヒューズホルダ35へ装着する作業と、予備ヒューズ34へ取外し工具33へ環状に係合させる作業との双方の作業を、効率的に行うことができる上、万が一電気回路が通電されている場合であっても、作業者等の指がヒューズホルダ35に触れて感電してしまうのを防ぐことができる。
なお、予備ヒューズ34は、取外し工具33を用いることなく、指や他の工具等により摘まんで、ヒューズホルダ35に装着されてもよい。
【0074】
次に、当該開閉装置用物体感知装置Aの第一送信機10及び第二送信機10’における機構上の特徴について述べる。
第一送信機10と第二送信機10’の各々は、図11及び12に示すように、開閉装置Bの座板b2に装着可能な略長尺状の本体ケース10a内に、上述した送信側制御回路部11や、バッテリー12、電圧検知部13、発信部14等を具備している。
前記本体ケース10aは、その両端側に、他の部分と仕切られたコネクター室10a1,10a1を備え、各コネクター室10a1内で、第一座板スイッチ15(又は15’)側の電気コード15a先端のコネクター15bを、送信側制御回路部11側のコネクター11aに接続することで、その接続箇所の防水性を向上している。
上述した開閉装置用物体感知装置Aでは、図11に示すように、単一の第一送信機10に対し単一の第一座板スイッチ15を接続し、同様にして単一の第二送信機10’に対し単一の第一座板スイッチ15を接続している。
したがって、本体ケース10aの両側の二つのコネクター室10a1,10a1およびコネクター11a,11aの内、その一方のみが利用されて、第一座板スイッチ15が接続されている。
二つのコネクター室10a1,10a1およびコネクター11a,11aの内の何れを利用するかは、第一座板スイッチ15又は第二座板スイッチ15’の配置された箇所から近いほうのものとすればよい。
【0075】
上記構成の第一送信機10又は第二送信機10’について、他の使用態様としては、図12に示すように、単一の第一送信機10又は第二送信機10’に対し、二つの座板スイッチ15”,15”を接続した構成とすることも可能である。
この構成の場合、二つの座板スイッチ15”,15”は、例えば、上記第一座板スイッチ15と第二座板スイッチ15’とすることが可能である。
すなわち、上記開閉装置用物体感知装置Aの構成において、第二送信機10’及び第二捕捉部21’を省き、残る第一送信機10に対し第一座板スイッチ15及び第二座板スイッチ15’を接続し、より低コストな構成とすることが可能である。
この構成では、第一座板スイッチ15と第二座板スイッチ15’との内の何れか一方の座板スイッチからの物体感知信号があった場合に、その物体感知信号を第一送信機10から制御装置20へ送信し、制御装置20により物体感知信号に応じた制御指令を発するようにすればよい。
【0076】
また、他例としては、上記開閉装置用物体感知装置Aの構成において、第一送信機10に対し、上記第一座板スイッチ15に置換して二つの座板スイッチ15”,15”を接続するとともに、第二送信機10’に対しても、上記第二座板スイッチ15’に置換して二つの座板スイッチ15”,15”を接続し、合計四つの座板スイッチ15”,15”,15”,15”を、座板b2における開閉体幅方向に所定間隔置きに配置するようにしてもよい。
この構成によれば、閉鎖動作中の開閉体b1が物体に当接したことを、より精度よく感知することができる。
すなわち、上記開閉装置用物体感知装置Aによれば、可動部材b21を構成する一方の部材b21aにおける長手方向の一端側に第一座板スイッチ15が設けられた場合、その他端側に物体が当接した場合、前記部材b21aが傾くだけで、第一座板スイッチ15が作動しないおそれがあるが、上記構成によれば、一つの前記部材b21aに対し二つの座板スイッチ15”,15”が具備されるため、前記のよう現象を防ぎ、物体感知精度を向上することができる。
【0077】
また、上記開閉装置用物体感知装置Aでは、単一の第一送信機10(又は第二送信機10’)に対し単一の第一捕捉部21(又は第二捕捉部21’)を具備した構成としているが、単一の第一送信機10(又は第二送信機10’)に対し複数の補足部21”を備えることも可能である。
この構成の一例について説明すれば、図13に示すように、二つの補足部21”,21”の内の一方が、開閉体b1を引き込んだり繰出したりするまぐさ部材b6の下端側に設けられ、他方が同まぐさ部材b6の開口部の奥側に設けられる。
すなわち、上述した開閉装置用物体感知装置Aでは、図13におけるまぐさ部材b6下端側の補足部21”のみを備えた構成と略同等であるが、この場合には、開閉体b1が全開位置に近い状態において、第一送信機10から発信される光線の角度が大きくなり、その光線をまぐさ部材b6下端側の補足部21”により捕捉できないおそれがある。
しかしながら、上述した図13に示す構成によれば、まぐさ部材b6下端側の補足部21”により捕捉できなかった光線を補足部21”により捕捉することができる。
なお、この構成の場合における受信側制御回路部22の処理は、複数の補足部21”の内の何れか一つの補足部21”から物体感知信号やバッテリー状態信号を受信した場合に、その受信信号に応じて所定の制御指令を発するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に関わる開閉装置用物体感知装置の一例を示すブロック図である。
【図2】同開閉装置用物体感知装置を備えた開閉装置の一例を示す正面図である。
【図3】物体感知手段の一例を示す縦断面図であり、(a)は物体の当接により可動部材が上昇した状態を示し、(b)は物体が離れることにより可動部材が下降した状態を示す。
【図4】物体感知信号を受信した際の制御装置側の処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】バッテリー状態信号を受信した際の制御装置側の処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】バッテリー状態信号を受信した際の制御装置側の処理の他例を示すフローチャートである。
【図7】受信側制御回路部におけるヒューズの取り付け構造を示す要部断面図であり、(a)はヒューズが装着された状態を示し、(b)は同ヒューズが外された状態を示している。
【図8】受信側制御回路部におけるヒューズの取り付け構造を示す要部断面図であり、(a)は予備ヒューズを取外し工具により外そうとしている状態を示し、(b)は同予備ヒューズを取外し工具により外した状態を示し、更に、(c)は同予備ヒューズを取外し工具によりヒューズホルダへ装着しようとしている状態を示している。
【図9】取外し工具の一例を示す平面図である。
【図10】予備ヒューズホルダの一例を示す上面図である。
【図11】送信機と座板スイッチとの接続関係の一例を示す構造図である。
【図12】送信機と座板スイッチとの接続関係の他例を示す構造図である。
【図13】単一の送信機に対し複数の捕捉部を備えるようにした構成の一例を示す要部縦断面図である。
【符号の説明】
【0079】
A:開閉装置用物体感知装置
B:開閉装置
b1:開閉体
b2:座板
10:第一送信機
10’:第二送信機
11:送信側制御回路部
12:バッテリー
13:電圧検知部
14:発信部
15:第一座板スイッチ
15’:第二座板スイッチ
20:制御装置
21:第一捕捉部
21’:第二捕捉部
22:受信側制御回路部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉装置における開閉体よりも閉鎖方向の物体を感知した際の物体感知信号を送信する送信機と、該送信機から送信される信号を捕捉する捕捉部と、該捕捉部からの入力に応じて開閉装置に対し所定の制御指令を発する制御装置とを備えた開閉装置用物体感知装置において、
前記送信機と前記捕捉部とを一対として、この一対の送信機および捕捉部を複数設け、複数の捕捉部から出力される複数の信号を単一の前記制御装置に入力し、入力された信号に応じて、単一の前記制御装置から所定の制御指令を発するようにしたことを特徴とする開閉装置用物体感知装置。
【請求項2】
上記制御装置は、上記複数の捕捉部の内の何れか一以上の捕捉部から物体感知信号が入力されたことを条件に、所定の制御指令を発することを特徴とする請求項1記載の開閉装置用物体感知装置。
【請求項3】
上記各送信機は、該送信機のバッテリー異常を示すバッテリー異常信号と、該送信機のバッテリー正常を示すバッテリー正常信号とを、バッテリー状態に応じて対応する上記捕捉部へ送信するように構成され、
上記制御装置は、上記複数の捕捉部の内の何れか一以上の捕捉部から前記バッテリー異常信号が入力されたことを条件に、所定の制御指令を発し、その制御指令を、全ての捕捉部からバッテリー正常信号が入力されたことを条件に解除するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置用物体感知装置。
【請求項4】
上記各送信機は、該送信機のバッテリー異常を示すバッテリー異常信号と、該送信機のバッテリー正常を示すバッテリー正常信号とを、バッテリー状態に応じて対応する上記捕捉部へ送信するように構成され、
上記制御装置は、上記複数の捕捉部から入力されるバッテリー異常信号を、それぞれ個別に認識して所定の制御指令を発し、その制御指令を、対応する捕捉部からバッテリー正常信号が入力されたことを条件に解除するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置用物体感知装置。
【請求項5】
上記送信機及び/又は上記制御装置の電気回路には、該回路に過電流が流れた際に該回路を遮断するヒューズがヒューズホルダに対し着脱可能に設けられ、該ヒューズには、該ヒューズをヒューズホルダから取外すための取外し工具が具備されていることを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の開閉装置用物体感知装置。
【請求項6】
上記送信機及び/又は上記制御装置の電気回路には、予備ヒューズ、及び該予備ヒューズを着脱可能に保持する予備ヒューズホルダが具備され、
上記取外し工具は、前記予備ヒューズを、前記予備ヒューズホルダから取外して上記電気回路上の上記ヒューズホルダに装着するのに用いられるように構成されていることを特徴とする請求項5記載の開閉装置用物体感知装置。
【請求項7】
開閉体の閉鎖方向端部側に、開閉体幅方向へわたって、開閉体よりも閉鎖方向の物体を感知する物体感知手段と、該物体感知手段に対応する上記送信機とを複数設けるとともに、不動部位には、前記複数の送信機にそれぞれ対応する複数の上記捕捉部および単一の上記制御装置を設けたことを特徴とする請求項1乃至6何れか1項記載の開閉装置用物体感知装置を備えた開閉装置。
【請求項1】
開閉装置における開閉体よりも閉鎖方向の物体を感知した際の物体感知信号を送信する送信機と、該送信機から送信される信号を捕捉する捕捉部と、該捕捉部からの入力に応じて開閉装置に対し所定の制御指令を発する制御装置とを備えた開閉装置用物体感知装置において、
前記送信機と前記捕捉部とを一対として、この一対の送信機および捕捉部を複数設け、複数の捕捉部から出力される複数の信号を単一の前記制御装置に入力し、入力された信号に応じて、単一の前記制御装置から所定の制御指令を発するようにしたことを特徴とする開閉装置用物体感知装置。
【請求項2】
上記制御装置は、上記複数の捕捉部の内の何れか一以上の捕捉部から物体感知信号が入力されたことを条件に、所定の制御指令を発することを特徴とする請求項1記載の開閉装置用物体感知装置。
【請求項3】
上記各送信機は、該送信機のバッテリー異常を示すバッテリー異常信号と、該送信機のバッテリー正常を示すバッテリー正常信号とを、バッテリー状態に応じて対応する上記捕捉部へ送信するように構成され、
上記制御装置は、上記複数の捕捉部の内の何れか一以上の捕捉部から前記バッテリー異常信号が入力されたことを条件に、所定の制御指令を発し、その制御指令を、全ての捕捉部からバッテリー正常信号が入力されたことを条件に解除するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置用物体感知装置。
【請求項4】
上記各送信機は、該送信機のバッテリー異常を示すバッテリー異常信号と、該送信機のバッテリー正常を示すバッテリー正常信号とを、バッテリー状態に応じて対応する上記捕捉部へ送信するように構成され、
上記制御装置は、上記複数の捕捉部から入力されるバッテリー異常信号を、それぞれ個別に認識して所定の制御指令を発し、その制御指令を、対応する捕捉部からバッテリー正常信号が入力されたことを条件に解除するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置用物体感知装置。
【請求項5】
上記送信機及び/又は上記制御装置の電気回路には、該回路に過電流が流れた際に該回路を遮断するヒューズがヒューズホルダに対し着脱可能に設けられ、該ヒューズには、該ヒューズをヒューズホルダから取外すための取外し工具が具備されていることを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の開閉装置用物体感知装置。
【請求項6】
上記送信機及び/又は上記制御装置の電気回路には、予備ヒューズ、及び該予備ヒューズを着脱可能に保持する予備ヒューズホルダが具備され、
上記取外し工具は、前記予備ヒューズを、前記予備ヒューズホルダから取外して上記電気回路上の上記ヒューズホルダに装着するのに用いられるように構成されていることを特徴とする請求項5記載の開閉装置用物体感知装置。
【請求項7】
開閉体の閉鎖方向端部側に、開閉体幅方向へわたって、開閉体よりも閉鎖方向の物体を感知する物体感知手段と、該物体感知手段に対応する上記送信機とを複数設けるとともに、不動部位には、前記複数の送信機にそれぞれ対応する複数の上記捕捉部および単一の上記制御装置を設けたことを特徴とする請求項1乃至6何れか1項記載の開閉装置用物体感知装置を備えた開閉装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−32145(P2007−32145A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218898(P2005−218898)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】
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