説明

開閉装置

【課題】 開閉体が全閉手前位置よりも閉鎖方向側で停止した場合に、その開閉体を全閉位置まで閉鎖動作できるようにする。
【解決手段】 制御部50は、全閉手前位置感知部による感知信号の入力があり且つ開閉体10を停止している状態において、閉鎖指令の入力待ち状態となり、該閉鎖指令の入力があることを条件に、閉動作カウント手段によるカウントを開始するとともに開閉体10の閉鎖動作を開始し、前記閉動作カウント手段によるカウントが所定値に達したことを条件に、開閉体10の閉鎖動作を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座板感知部により開閉体閉鎖方向側の物体を感知するようにした開閉装置に関し、特にシャッター装置として好適な開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の開閉装置は、開閉体の閉鎖方向端部に該開閉体よりも閉鎖方向側の物体を接触感知する座板感知部を設け、開閉体の閉鎖動作中に前記座板感知部が障害物等を接触感知した際に、開閉体を所定量だけ反転動作(以降、タッチアップ動作と称する)させるようにしている。
このような開閉装置では、例えば特許文献1に記載のもののように、開閉体が全閉した際に前記タッチアップ動作により開閉体と床面等との間に隙間が生じてしまうのを防ぐために、閉鎖動作中の開閉体が床面等より若干上の全閉手前位置に差し掛かったら、前記座板感知部を無効にするとともに、予め設定されたタイマー時間だけ閉鎖動作したところで全閉になったとみなして閉鎖動作を停止するようにしている。
また、前記開閉装置では、開閉体が前記全閉手前位置よりも閉鎖方向側で停止した場合、閉鎖操作用スイッチが操作されてオーバーラン状態(開閉体の閉鎖動作が全閉後も継続して開閉体に過剰な負荷が加わったり開閉体が巻取軸に逆巻きされたりする状態)になるのを防ぐために、前記閉鎖操作用スイッチによる操作を無視するようにしている。
【0003】
しかしながら、前記従来技術によれば、開閉体が前記全閉手前位置よりも閉鎖方向側で停止すると、その開閉体の閉鎖方向端部と床面等との間には、若干の隙間が形成される場合があるが、その隙間を塞ぐために、前記閉鎖操作用スイッチを操作しても、開閉体が閉鎖動作しないことになる。
そして、前記隙間を塞ぐためには、開放操作用スイッチの操作により一旦開閉体を前記全閉手前位置よりも上側になるまで開放動作させ、その後に閉鎖操作用スイッチの操作により開閉体を前記全閉手前位置から前記タイマー時間だけ閉鎖動作させる必要があり、その操作が煩わしい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−306672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、開閉体が全閉手前位置よりも閉鎖方向側にある際に座板感知部を無効にするようにした開閉装置において、開閉体が全閉手前位置よりも閉鎖方向側で停止した場合に、その開閉体を全閉位置まで閉鎖動作できるようにすること、その閉鎖動作を行うための操作が容易であること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明に係る技術的手段は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
【0007】
閉鎖方向端部をスライドさせて閉鎖動作する開閉体と、前記開閉体の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲内にあることを感知する全閉手前位置感知部と、前記開閉体の閉鎖方向端部が閉鎖方向側の物体に当接したことを感知する座板感知部と、前記開閉体を制御動作する制御部とを備え、前記全閉手前位置感知部による感知信号がある際に、前記座板感知部を無効にするようにした開閉装置であって、前記制御部は、前記全閉手前位置感知部による感知信号の入力があり且つ前記開閉体を停止している状態において、閉鎖指令の入力待ち状態となり、該閉鎖指令の入力があることを条件に、閉動作カウント手段による時間又は距離のカウントを開始するとともに前記開閉体の閉鎖動作を開始し、前記閉動作カウント手段によるカウントが所定値に達したことを条件に、前記開閉体の閉鎖動作を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このような特徴を有することで本発明は以下の作用効果を奏する。
開閉体の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲内にある状態で該開閉体が停止している場合であっても、その開閉体を閉鎖指令のみによって全閉位置まで容易に閉鎖動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る開閉装置の一例を示す正面図である。
【図2】開閉体が全閉手前位置よりも閉鎖方向側にある際の制御例を示すフローチャートである。
【図3】開閉体が全閉手前位置よりも閉鎖方向側にある際の他の制御例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る開閉装置は、開閉体を巻取り軸に巻き取って収納するようにした形態(例えばシャッター装置等)に適用した場合に特に効果的であるが、開閉体を巻取り軸に巻取ることなく開放方向側に収納するようにした形態(例えばオーバーヘッドドア装置等)に適用することも可能である。
【0011】
前記開閉体の形態として、例えば、シート状体、ネット状体、複数のスラットやパイプ、あるいはパネルを開閉方向へ連設してなる形態等、さらには、前述のシート状体、ネット状体、スラット、パイプ、パネルを適宜に組み合わせてなる形態等が挙げられる。
【0012】
また、前記全閉手前位置感知部には、例えば、前記開閉体を閉鎖動作させる駆動源や開閉体を繰り出す巻取軸等の回転量から前記開閉体の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲内にあることを検知するようにした構成や、ガイドレール等の不動部位に設けられて前記所定範囲内にある前記開閉体を接触式又は非接触式のセンサ(例えば、マイクロスイッチや近接スイッチ等)によって検知するようにした構成等を含む。
【0013】
また、前記閉鎖指令は、例えば操作スイッチやリモコン等の操作により発せられる信号とすればよく、特に操作性のよい好ましい態様としては押しボタンスイッチが押されることにより発せられる信号とされる。
【0014】
本発明に係る好ましい一形態では、前記所定値は、前記開閉体の閉鎖方向端部が前記所定範囲の開放方向側の端部から全閉位置となるまで閉鎖動作するのに要する時間又は距離に設定されている。
この形態によれば、開閉体が着座後も閉鎖動作しようとすることにより、開閉体や該開閉体を繰り出す機構(例えば巻取装置)に過剰な負荷が加わるようなことを、より効果的に防ぐことができる。
【0015】
更なる形態では、前記開閉体の閉鎖動作を停止する条件を、前記閉動作カウント手段によるカウントが所定値に達したこと、又は前記閉鎖指令の入力が継続していないこと、とした。
この形態によれば、更に、閉鎖動作した際の開閉体を、閉鎖指令の入力が継続していないことによっても停止することができる。したがって、例えば押しボタンスイッチを押し続けている間は開閉体を閉鎖動作させ、その閉鎖動作を押しボタンスイッチから手を離す操作により停止させるという制御が可能となる。
【0016】
また、他の形態では、前記開閉体の閉鎖動作を停止する条件を、前記閉動作カウント手段によるカウントが所定値に達したこと、前記閉鎖指令の入力が継続していないこと、又は前記開閉体を閉鎖動作する駆動源の負荷が所定値を超えたこと、とした。
この形態によれば、更に、閉鎖動作した際の開閉体を、駆動源の負荷が所定値を超えたことによっても停止することができる。したがって、閉鎖動作中の開閉体が着座した場合や障害物に当接した場合にも、その着座や当接による負荷上昇によって、開閉体の閉鎖動作を停止させることができる。
【0017】
更なる形態では、前記制御部は、前記開閉体の閉鎖動作の停止の後、閉鎖指令の入力がないことを条件に、前記閉鎖指令の入力待ち状態に処理を戻すように構成され、その戻り回数には制限が設けられている。
この形態によれば、閉鎖指令が繰り返し発せられることで、開閉体が着座後も閉鎖動作を繰り返そうとし、その繰り返しによって開閉体や該開閉体を繰り出す機構(例えば巻取装置)に過剰な負荷が加わるようなことを防ぐことができる。
【0018】
本実施形態中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と直交する方向であって、開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体が開口部や空間を開閉するためにスライドする方向を意味する。
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この開閉装置は、閉鎖方向端部をスライドさせて開閉動作する開閉体10と、該開閉体10の幅方向(図1における左右方向)の端部を囲み開閉方向へ案内するガイドレール20と、開閉体10を巻き取ったり繰り出したりして開閉動作させる巻取装置30とを備え、開閉体10の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲H内にある際の制御に特徴を有している。
【0020】
開閉体10は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなる所謂スラット11aを、上下に隣接する該スラット11a,11a間で回動するように複数連接することで開閉体本体11を構成し、該開閉体本体11の閉鎖方向端部(図示例によれば下端部)に、可動座板12を接続している。
【0021】
可動座板12は、開閉体幅方向の略全長にわたる部材であり、開閉体本体11の下端部から下方へ突出している。この可動座板12は、開閉体本体11に相対して開閉体開閉方向(図1の上下方向)へ所定量だけ自在に移動する。
この可動座板12を上下方向へ移動させる構造は、例えば、可動座板12の上端部を、開閉体本体11の下端部に対し、上下方向へ所定量スライドするように係合すればよい。
【0022】
この可動座板12と開閉体本体11との間には、可動座板12が開閉体本体11に対し上方へ移動したことを接触又は非接触で感知するセンサ(図示しないマイクロスイッチ又は近接スイッチ等)が設けられる。
そして、可動座板12及び前記センサは、開閉体10の閉鎖方向端部が閉鎖方向側の物体に当接したことを感知する座板感知部として機能する。すなわち、開閉体10の閉鎖方向端部への物体の当接等により、可動座板12が開閉体本体11に相対する開放方向へ移動すると、前記センサの接点がオンになる。また、前記物体が除去される等により可動座板12が開閉体本体11に相対する閉鎖方向へ移動すると、前記センサの接点がオフになる。
なお、この構成は、可動座板12がその可動範囲を全ストローク移動すると前記センサの接点がオンになる態様としてもよいし、可動座板12がその可動範囲を所定の割合移動すると前記センサの接点がオンになる態様としてもよい。
【0023】
また、ガイドレール20は、開閉体10の幅方向の端部を囲む断面略コ字状の部材であり、開閉体10によって着座される当接対象部位p(例えば、床面や地面、枠部材等)と巻取装置30との間にわたって配設されている。
【0024】
また、巻取装置30は、下部側に開閉体10を出没させるための開口部を形成した収納ケース31内に、開閉体10を巻き取ったり繰出したりする巻取軸32と、該巻取軸32を駆動回転したり制動したりする開閉機40と、開閉機40の制御により開閉体10を制御動作する制御部50とを具備している。
【0025】
開閉機40は、開閉体10を閉鎖動作する駆動源となる直流または交流の電動モータと、該電動モータの回転力を適切な回転数及びトルクに調整して巻取軸32へ伝達する動力伝達機構(具体的には歯車等)と、該動力伝達機構の出力軸の回転量が所定値になった際に接点信号を出力するカウンタ式リミットスイッチ41とを具備している。
【0026】
前記カウンタ式リミットスイッチ41は、前記出力軸の回転量を機械的にカウントするカウンター機構と、該カウンター機構のカウント値が所定値になった際に作動するマイクロスイッチとを組み合わせてなる周知の機構である。このカウンタ式リミットスイッチ41は、前記開閉体10の閉鎖方向端部(より具体的には可動座板12の下端)が全閉手前の所定範囲Hにあることを感知する全閉手前位置感知部として機能する。
すなわち、開閉体10の閉鎖方向端部が閉鎖動作により全閉手前の所定範囲H内に進入すると、カウンタ式リミットスイッチ41の接点がオンになる。また、開閉体10の閉鎖方向端部が開放動作により全閉手前の所定範囲Hよりも開放方向側(図示例によれば上方側)に移動すると、同カウンタ式リミットスイッチ41の接点がオフになる。
【0027】
また、制御部50は、前記全閉手前位置感知部や、前記座板感知部、操作部51などから入力される電気信号を、プログラムに基づいて電子的に演算処理し、その処理結果に応じた制御電力を開閉機40へ供給して、開閉機40を正転や逆転、停止等させる制御回路である。
この制御部50は、回路構成や設定値等を現場状況等に応じて容易に変更可能なように、例えばマイコンやプログラマブルコントローラー等に用いられているプログラムドロジック回路による構成とするのが好ましいが、リレー回路やその他の電子回路を用いた回路とすることも可能である。
【0028】
前記操作部51は、開ボタン51a、停ボタン51b、閉ボタン51cの三つの押しボタンスイッチを有するスイッチボックスであり、前記各ボタンの接点信号を制御部50へ入力するように電気配線されている。
【0029】
次に、上記構成の開閉装置についての制御動作の一例を、図2〜3に示すフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0030】
図2は、全閉手前位置感知部による感知信号の入力がある停止状態(すなわち開閉体10の閉鎖方向端部が所定範囲H内で停止した状態)から処理を開始した場合の制御例を示す。
制御部50は、全閉手前位置感知部による感知信号の入力がある場合、座板感知部を無効にする(フローチャート省略)。
【0031】
前記停止状態において、先ず、ステップ1では、閉鎖指令の入力待ち状態、すなわち、閉ボタン51cが押されるのを待った状態となる。そして、閉鎖指令の入力(閉ボタン51cの押操作)があると、次のステップ2へ処理を進める。
【0032】
ステップ2では、閉動作カウント手段による所定値(所定時間)のカウントを開始する。前記閉動作カウント手段は、一例としては、制御部50の制御回路上のタイマー機能、あるいは別途具備されるタイマーリレー等を用いればよい。
前記所定値(所定時間)は、開閉体10の閉鎖方向端部が前記所定範囲Hの開放方向側の端部から全閉位置となるまで閉鎖動作するのに要する時間に設定され、本実施の形態の好ましい一例によれば約2秒に設定される。
【0033】
そして、次のステップ3では、開閉機40の駆動により開閉体10の閉鎖動作を開始する。
【0034】
更に、次のステップ4では、閉鎖指令が継続しているか否かが判断され、閉鎖指令が継続している場合には次のステップ5へ処理を進め、そうでなければステップ6へ処理をジャンプする。
すなわち、このステップ4によれば、閉ボタン51cから手が離されず、閉ボタン51cが押し続けられている場合には、前記閉鎖指令が継続していることになるため、ステップ5へ処理が進められる。また、閉ボタン51cから手が離された場合には、前記閉鎖指令が継続していないことになるため、ステップ6へ処理がジャンプする。
【0035】
ステップ5では、前記閉動作カウント手段によるカウントが所定値(図示例によれば2秒)に達したか否かを判断し、達した場合には次のステップ6へ処理を進め、そうでなければステップ4へ処理を戻す。
【0036】
ステップ6では、開閉機40の停止により、開閉体10の閉鎖動作を停止する。
【0037】
ステップ7では、閉鎖指令の入力がなくなるのを待ち、閉鎖指令がなくなったら前記ステップ1へ処理を戻す。すなわち、このステップ7によれば、制御部50は、閉ボタン51cから手が離されるのを待ち、手が離されると、ステップ1へ処理を戻す。
【0038】
而して、上記フローチャートによれば、例えば、閉ボタン51cを押し続ける操作をすると、その押し続ける操作の開始から所定時間の間だけ開閉体10の閉鎖動作が継続する。また、前記所定時間に達する前に、閉ボタン51cを押し続ける操作を止めた場合には、その時点で開閉体10の閉鎖動作が停止する。
よって、閉ボタン51cを押し続ける操作によって開閉体10を全閉させることができる上、前記所定時間後に開閉体10の閉鎖動作が自動的に停止するため、開閉体10が着座後も閉鎖動作しようとすること(オーバーラン状態)により、開閉体10が長い時間当接対象部位pに押し付けられて過剰な負荷が生じたり、開閉体10が巻取軸32に逆巻きされたりするようなことを防ぐことができる。
また、前記所定時間内であっても、閉ボタン51cから手を離せば、直ちに開閉体10の閉鎖動作を停止させることができる。
【0039】
次に、図3にフローチャートを示す他の制御例について説明する。このフローチャートは、図2に示すフローチャートを一部変更したものであるため、適宜重複する詳細説明を省略する。
【0040】
先ず、ステップ11では、図示しない記憶装置に記憶された変数Nの値が0にセットされる。
【0041】
そして、制御部50は、閉鎖指令の入力を待ち(ステップ12)、閉鎖指令の入力があると、閉動作カウント手段(図示例によれば約2秒)によるカウントを開始し(ステップ13)、開閉体10の閉鎖動作を開始する(ステップ14)。
【0042】
次のステップ15では、閉鎖指令が継続しているか否かが判断され、閉鎖指令が継続している場合には次のステップ16へ処理を進め、そうでなければステップ18へ処理をジャンプする。
【0043】
ステップ16では、図示しない負荷感知部によって感知される負荷値が、所定のしきい値を超えたか否かを判断し、超えた場合には次のステップ17へ処理を進め、そうでなければステップ18へ処理をジャンプする。
ここで、前記負荷感知部は、開閉機40の負荷値に応じた信号を出力する構成であればよく、本実施の形態の一例によれば、開閉機40のモーターの電流値を検知する電流センサーが用いられる。この電流センサーは、例えばCT(Current Transforme)を用いた態様や、ホール素子を用いた態様、その他の周知の態様のものとすればよい。この負荷感知部から出力される電流値信号は、制御部50に入力される。
【0044】
ステップ17では、前記閉動作カウント手段によるカウントが所定値(図示例によれば2秒)に達したか否かを判断し、達した場合には次のステップ18へ処理を進め、そうでなければステップ15へ処理を戻す。
【0045】
ステップ18では、開閉機40の停止により、開閉体10の閉鎖動作を停止する。
【0046】
ステップ19では、変数Nの値に1が加算される。
【0047】
ステップ20では、閉鎖指令がなくなるのを待ち、閉鎖指令がなくなれば次のステップ21へ処理を進める。
【0048】
ステップ21では、変数Nが所定回数(図示例によれば5回)よりも小さいか否かを判断し、所定回数よりも小さければステップ12へ処理を戻し、そうでなければステップ20へ処理を戻す。
前記所定回数は、閉動作カウント手段による制限範囲内の閉鎖動作が繰り返された場合であっても、開閉体10に過剰な負荷が加わったり巻取軸32の逆巻きを生じたり等するのを防ぐように適宜に設定される。
【0049】
而して、図3に示す制御例によれば、開閉体10の閉鎖動作を、閉鎖指令の入力が継続していないこと、開閉機40の負荷が所定値を超えたこと、閉動作カウント手段がカウントアップしたこと、の何れかの条件に応じて停止することができる。
しかも、開閉体10の閉鎖動作の停止の後に閉鎖指令の入力がないことを条件に、閉鎖指令の入力待ち状態(ステップ12)に処理を戻すのに際して、その戻り回数に制限を設けたため、閉ボタン51cが繰り返し押される操作により、閉鎖指令が繰り返し発せられて、開閉体10が着座後も閉鎖動作を繰り返し、その繰り返しによって開閉体10に過剰な負荷が生じたり巻取軸32による逆巻きを生じたり等するのを防ぐことができる。
【0050】
なお、前記制御例(図3参照)によれば、ステップ21にてNが所定回数に達した場合に処理をステップ20へ戻すようにしたが、他例としては、ステップ21にてNが所定回数に達した場合は警報や異常信号を発する等の所定の処理を行う態様としてもよい。
【0051】
また、本願発明は、開閉体10の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲Hよりも開放方向側にある場合の制御を限定するものではないが、一例として、開閉体10の閉鎖方向端部が前記所定範囲Hよりも開放方向側にある場合には、閉ボタン51cによる開閉体10の開閉動作を、停ボタン51bの押操作のみにより停止する(すなわち、閉ボタン51cから手を離す操作によっては停止しない)。
また、開閉体10の閉鎖方向端部が前記所定範囲Hよりも開放方向側にある場合において、閉鎖動作時に上記座板感知部からの感知信号があった際には、開閉体10を反転上昇(タッチアップ動作)する等、所定の危険防止制御を行う。
【0052】
また、上記実施の形態によれば、開閉機40のカウンタ式リミットスイッチ41を全閉手前位置感知部としたが、この全閉手前位置感知部の他例としては、ガイドレール20に設けられて全閉手前位置にある開閉体10を感知するようにした接触式又は非接触式のセンサ(例えば、マイクロスイッチや近接スイッチ等)としてもよい。
【0053】
また、上記座板感知部は、開閉体10の閉鎖方向端部が当接対象部位pに当接したことを感知可能な構成であれば上記実施の形態以外のものであってもよく、例えば、開閉体10の閉鎖方向端部に下方からの押圧力によって感知信号を出力するセンサ(例えばテープスイッチ等)を設けた態様等としてもよい。
【0054】
また、上記実施の形態によれば、制御部50に入力される閉鎖指令を、操作部51の閉ボタン51cの接点信号としたが、他例としては、この閉鎖指令をリモコン装置や他の操作回路から発せられる信号とすることが可能である。
【0055】
また、上記実施の形態によれば、閉動作カウント手段の一例として、タイマーを用いて所定時間のカウントをする構成としたが、この閉動作カウント手段の他例としては、開閉体10の閉鎖動作による移動距離をカウントする構成としてもよい。この場合の閉動作カウント手段は、例えば、エンコーダ等によって、開閉機40又は巻取装置30の閉鎖方向の回転量を、前記移動距離としてカウントし、そのカウント値が所定値(所定距離)に達した際にカウントアップして制御信号を出力する構成とすればよい。そして、この場合、前記所定値は、開閉体10の閉鎖方向端部が所定範囲Hの開放方向側の端部から全閉位置となるまで閉鎖動作するのに要する距離に設定すればよい。
【符号の説明】
【0056】
10:開閉体
12:可動座板(座板感知部)
30:巻取装置
40:開閉機
41:カウンタ式リミットスイッチ(全閉手前位置感知部)
50:制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖方向端部をスライドさせて閉鎖動作する開閉体と、前記開閉体の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲内にあることを感知する全閉手前位置感知部と、前記開閉体の閉鎖方向端部が閉鎖方向側の物体に当接したことを感知する座板感知部と、前記開閉体を制御動作する制御部とを備え、前記全閉手前位置感知部による感知信号がある際に、前記座板感知部を無効にするようにした開閉装置であって、
前記制御部は、前記全閉手前位置感知部による感知信号の入力があり且つ前記開閉体を停止している状態において、閉鎖指令の入力待ち状態となり、該閉鎖指令の入力があることを条件に、閉動作カウント手段による時間又は距離のカウントを開始するとともに前記開閉体の閉鎖動作を開始し、前記閉動作カウント手段によるカウントが所定値に達したことを条件に、前記開閉体の閉鎖動作を停止することを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記所定値は、前記開閉体の閉鎖方向端部が前記所定範囲の開放方向側の端部から全閉位置となるまで閉鎖動作するのに要する時間又は距離に設定されていることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記開閉体の閉鎖動作を停止する条件を、前記閉動作カウント手段によるカウントが所定値に達したこと、又は前記閉鎖指令の入力が継続していないこと、としたことを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記開閉体の閉鎖動作を停止する条件を、前記閉動作カウント手段によるカウントが所定値に達したこと、前記閉鎖指令の入力が継続していないこと、又は前記開閉体を閉鎖動作する駆動源の負荷が所定値を超えたこと、としたことを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記開閉体の閉鎖動作の停止の後、閉鎖指令の入力がないことを条件に、前記閉鎖指令の入力待ち状態に処理を戻すように構成され、その戻り回数には制限が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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