説明

開閉装置

【課題】 閉鎖動作中の開閉体が全閉した場合と障害物に当接した場合のそれぞれに応じて適切な制御を行う。
【解決手段】 開閉体10の閉鎖動作中に全閉手前位置感知部による感知信号の入力があることを条件に、閉動作カウント手段による所定時間又は所定距離のカウントを開始し、その後、座板感知部による感知信号があり且つ前記閉動作カウント手段がカウントアップしていない場合に、開閉体10の閉鎖方向端部が障害物に当接したものとみなして第一の制御を行い、座板感知部による感知信号があり且つ前記閉動作カウント手段がカウントアップしている場合には、開閉体10が略全閉したものとみなして前記第一の制御とは異なる第二の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座板感知部により開閉体閉鎖方向側の物体を感知するようにした開閉装置に関し、特にシャッター装置として好適な開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の開閉装置は、開閉体の閉鎖方向端部に該開閉体よりも閉鎖方向側の物体を接触感知する座板感知部を設け、開閉体の閉鎖動作中に前記座板感知部が障害物等を接触感知した際に、開閉体を所定量だけ反転動作(以降、タッチアップ動作と称する)させるようにしている。
このような開閉装置では、例えば特許文献1に記載のもののように、開閉体が全閉した際の前記タッチアップ動作により開閉体と床面等との間に隙間が生じてしまうのを防ぐために、閉鎖動作中の開閉体の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲に差し掛かったら、前記座板感知部を無効にするとともに、予め設定されたタイマー時間だけ閉鎖動作したところで全閉になったとみなして該閉鎖動作を停止するようにしている。
【0003】
しかしながら、前記従来技術によれば、全閉手前の若干の範囲とはいえ、座板感知部を無効にしているため、この範囲では開閉体の閉鎖方向端部が障害物等に当接しても、開閉体の閉鎖動作が反転や停止等しないことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−306672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、全閉手前の所定範囲において、閉鎖動作中の開閉体が全閉した場合と障害物に当接した場合のそれぞれに応じて適切な制御を行うことができるようにすることが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明に係る技術的手段は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
【0007】
閉鎖方向端部をスライドさせて閉鎖動作する開閉体と、前記開閉体の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲内にあることを感知する全閉手前位置感知部と、前記開閉体の閉鎖方向端部が閉鎖方向側の物体に当接したことを感知する座板感知部と、前記開閉体を制御動作する制御部とを備えた開閉装置において、前記制御部は、前記開閉体の閉鎖動作中に前記全閉手前位置感知部による感知信号の入力があることを条件に、閉動作カウント手段による所定時間又は所定距離のカウントを開始し、その後、前記座板感知部による感知信号があり且つ前記閉動作カウント手段がカウントアップしていない場合に、前記開閉体の閉鎖方向端部が障害物に当接したものとみなして第一の制御を行い、前記座板感知部による感知信号があり且つ前記閉動作カウント手段がカウントアップしている場合には、前記開閉体が略全閉したものとみなして前記第一の制御とは異なる第二の制御を行うことを特徴とする。
【0008】
閉鎖方向端部をスライドさせて閉鎖動作する開閉体と、前記開閉体の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲内にあることを感知する全閉手前位置感知部と、前記開閉体の閉鎖方向端部が閉鎖方向側の物体に当接したことを感知する座板感知部と、前記開閉体を制御動作する制御部とを備えた開閉装置において、前記制御部は、前記開閉体の閉鎖動作中に前記全閉手前位置感知部による感知信号の入力があることを条件に、閉動作カウント手段による所定時間又は所定距離のカウントを開始し、その後、前記座板感知部による感知信号があり且つ前記閉動作カウント手段がカウントアップしていない場合に、前記開閉体の閉鎖方向端部が障害物に当接したものとみなして第一の制御を行い、前記座板感知部による感知信号がなく且つ前記閉動作カウント手段がカウントアップした場合には、前記開閉体が略全閉したものとみなして前記第一の制御とは異なる第二の制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このような特徴を有することで本発明は以下の作用効果を奏する。
閉鎖動作中の開閉体の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲内に進入した後、座板感知部の感知信号の有無、及び閉動作カウント手段がカウントアップしたか否かに基づき、開閉体が障害物に当接したのか、あるいは開閉体が全閉したのかを判別して、それぞれの場合に応じた適切な制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る開閉装置の一例を示す正面図である。
【図2】制御部による制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】制御部による制御動作の他例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る開閉装置は、開閉体を巻取り軸に巻き取って収納するようにした形態(例えばシャッター装置等)に適用した場合に特に効果的であるが、開閉体を巻取り軸に巻取ることなく開放方向側に収納するようにした形態(例えばオーバーヘッドドア装置等)に適用することも可能である。
【0012】
前記開閉体の形態として、例えば、シート状体、ネット状体、複数のスラットやパイプ、あるいはパネルを開閉方向へ連設してなる形態等、さらには、前述のシート状体、ネット状体、スラット、パイプ、パネルを適宜に組み合わせてなる形態等が挙げられる。
【0013】
また、前記全閉手前位置感知部には、例えば、前記開閉体を閉鎖動作させる駆動源や開閉体を繰り出す巻取軸等の回転量から前記開閉体の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲内にあることを検知するようにした構成や、ガイドレール等の不動部位に設けられて前記所定範囲内にある前記開閉体を接触式又は非接触式のセンサ(例えば、マイクロスイッチや近接スイッチ等)によって検知するようにした構成等を含む。
【0014】
また、前記第一の制御の具体例としては、前記開閉体の閉鎖動作を停止することや、前記開閉体の閉鎖動作を反転し所定時間経過後に停止すること、警報を発すること(音や光の発信、信号発信等を含む)等が挙げられる。
【0015】
また、前記第二の制御の具体例としては、前記開閉体の閉鎖動作を微小時間継続した後に停止することや、前記開閉体の閉鎖動作を直ちに停止すること等が挙げられる。
【0016】
本発明に係る好ましい一形態では、前記第一の制御として、前記開閉体の閉鎖動作を反転する。
この形態によれば、開閉体が障害物に当接したものとみなされた場合には、該開閉体が反転動作するため、障害物に対する衝撃等を緩和することができる。
【0017】
更なる形態では、前記第二の制御として、前記開閉体の閉鎖動作を微小時間又は微小距離継続した後に停止する。
この形態によれば、開閉体が全閉したものとみなされた場合には、該開閉体が床面等に対し押圧されてから停止するため、全閉状態において開閉体の閉鎖方向端部と床面等との間に隙間が生じるのを防ぐことができる。
【0018】
更なる形態では、前記所定時間又は所定距離は、前記開閉体の閉鎖方向端部が前記所定範囲に進入してから全閉位置となるまでの閉鎖動作時間又は閉鎖動作距離と略同等になるように設定される。
この形態によれば、開閉体が床面等に当接して全閉したのか、あるいは障害物に当接したのかを、精度よく判別することができる。
【0019】
本実施形態中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と直交する方向であって、開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体が開口部や空間を開閉するためにスライドする方向を意味する。
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この開閉装置は、閉鎖方向端部をスライドさせて開閉動作する開閉体10と、該開閉体10の幅方向(図1における左右方向)の端部を囲み開閉方向へ案内するガイドレール20と、開閉体10を巻き取ったり繰り出したりして開閉動作させる巻取装置30とを備え、開閉体10の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲H内にある際の制御に特徴を有している。
【0021】
開閉体10は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなる所謂スラット11aを、上下に隣接する該スラット11a,11a間で回動するように複数連接することで開閉体本体11を構成し、該開閉体本体11の閉鎖方向端部(図示例によれば下端部)に、可動座板12を接続している。
【0022】
可動座板12は、開閉体幅方向の略全長にわたる部材であり、開閉体本体11の下端部から下方へ突出している。この可動座板12は、開閉体本体11に相対して開閉体開閉方向(図1の上下方向)へ所定量だけ自在に移動する。
この可動座板12を上下方向へ移動させる構造は、例えば、可動座板12の上端部を、開閉体本体11の下端部に対し、上下方向へ所定量スライドするように係合すればよい。
【0023】
この可動座板12と開閉体本体11との間には、可動座板12が開閉体本体11に対し上方へ移動したことを接触又は非接触で感知するセンサ(図示しないマイクロスイッチ又は近接スイッチ等)が設けられる。
そして、可動座板12及び前記センサは、開閉体10の閉鎖方向端部が閉鎖方向側の物体に当接したことを感知する座板感知部として機能する。すなわち、開閉体10の閉鎖方向端部への物体の当接等により、可動座板12が開閉体本体11に相対する開放方向へ移動すると、前記センサの接点がオンになる。また、前記物体が除去される等により可動座板12が開閉体本体11に相対する閉鎖方向へ移動すると、前記センサの接点がオフになる。
なお、この構成は、可動座板12がその可動範囲を全ストローク移動すると前記センサの接点がオンになる態様としてもよいし、可動座板12がその可動範囲を所定の割合移動すると前記センサの接点がオンになる態様としてもよい。
【0024】
また、ガイドレール20は、開閉体10の幅方向の端部を囲む断面略コ字状の部材であり、開閉体10によって着座される当接対象部位p(例えば、床面や地面、枠部材等)と巻取装置30との間にわたって配設されている。
【0025】
また、巻取装置30は、下部側に開閉体10を出没させるための開口部を形成した収納ケース31内に、開閉体10を巻き取ったり繰出したりする巻取軸32と、該巻取軸32を駆動回転したり制動したりする開閉機40と、開閉機40の制御により開閉体10を制御動作する制御部50とを具備している。
【0026】
開閉機40は、開閉体10を閉鎖動作する駆動源となる直流または交流の電動モータと、該電動モータの回転力を適切な回転数及びトルクに調整して巻取軸32へ伝達する動力伝達機構(具体的には歯車等)と、該動力伝達機構の出力軸の回転量が所定値を超えた際に接点信号を出力するカウンター式リミットスイッチ41とを具備している。
【0027】
前記カウンター式リミットスイッチ41は、前記出力軸の回転量を機械的にカウントするカウンター機構と、該カウンター機構のカウント値が所定値を超えた際に作動するマイクロスイッチとを組み合わせてなる周知の機構である。このカウンター式リミットスイッチ41は、前記開閉体10の閉鎖方向端部(より具体的には可動座板12の下端)が全閉手前の所定範囲H(数センチ程度の範囲)にあることを感知する全閉手前位置感知部として機能する。
すなわち、開閉体10の閉鎖方向端部が閉鎖動作により全閉手前の所定範囲H内に進入すると、カウンター式リミットスイッチ41の接点がオンになる。また、開閉体10の閉鎖方向端部が開放動作により全閉手前の所定範囲Hよりも開放方向側(図示例によれば上方側)に移動すると、同カウンター式リミットスイッチ41の接点がオフになる。
【0028】
また、制御部50は、前記全閉手前位置感知部や、前記座板感知部、操作部51などから入力される電気信号を、プログラムに基づいて電子的に演算処理し、その処理結果に応じた制御電力を開閉機40へ供給して、開閉機40を正転や逆転、停止等させる制御回路である。
この制御部50は、回路構成や設定値等を現場状況等に応じて容易に変更可能なように、例えばマイコンやプログラマブルコントローラー等に用いられているプログラムドロジック回路による構成とするのが好ましいが、リレー回路やその他の電子回路を用いた回路とすることも可能である。
【0029】
前記操作部51は、開スイッチ51a、停止スイッチ51b、閉スイッチ51cの三つのスイッチを有するスイッチボックスであり、前記各スイッチの接点信号を制御部50へ入力するように電気配線されている。
【0030】
次に、上記構成の開閉装置についての制御動作の一例を、図2〜3に示すフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0031】
図2のフローチャートは、開閉体10が全閉手前の所定範囲Hよりも開放方向側で閉鎖動作している状態において開始される制御部50の処理を示している。
【0032】
ステップ1では、全閉手前位置感知部(カウンター式リミットスイッチ41)による感知信号の入力を待ち、感知信号が入力された場合には次のステップ2へ処理を進める。
ステップ2では、閉動作カウント手段(タイマー)による所定値(所定時間)のカウントを開始する。
【0033】
ここで、前記閉動作カウント手段は、例えば、制御部50の制御回路上のタイマー機能、あるいは別途具備されるタイマーリレー等を用いればよい。
前記所定値(所定時間)は、開閉体10の閉鎖方向端部が前記所定範囲Hに進入してから当接対象部位pに着座した全閉位置となるまでの閉鎖動作時間と略同等になるように設定される。
【0034】
すなわち、前記ステップ1及び2によれば、閉鎖動作中の開閉体10の閉鎖方向端部が、全閉手前の所定範囲Hに進入すると、前記閉動作カウント手段によるカウントが開始される。
【0035】
ステップ3では、座板感知部(可動座板12等)による感知信号があるのを待ち、感知信号があれば次のステップ4へ処理を進める。
【0036】
ステップ4では、前記閉動作カウント手段がカウントアップしたか否かを判断し、カウントアップした場合にはステップ5以降の処理(第二の制御)を行い、そうでなければステップ5a以降の処理(第一の制御)を行う。
【0037】
ステップ5では、押込み手段(タイマー)による所定の微小時間のカウントを開始する。
ここで、前記押込み手段は、制御部50の制御回路上のタイマー機能、あるいは別途具備されるタイマーリレー等を用いればよい。
【0038】
前記押込み手段は、開閉体10の閉鎖方向端部が当接対象部位pに当接した後に、更に開閉機40を閉鎖方向へ動作させるために用いられる。すなわち、開閉体10の閉鎖方向端部が当接対象部位pに当接した場合でも、当接対象部位pである床面等の状態に起因して、可動座板12と当接対象部位pとの間には開閉体幅方向において部分的な隙間を生じる場合がある。そのため、開閉体10の閉鎖方向端部が当接対象部位pに当接した後も、開閉機40による閉鎖方向への動作を、前記押込み手段により所定の微小時間継続して、開閉体10の閉鎖方向端部を当接対象部位pに押し付けるようにしている。
【0039】
したがって、前記所定の微小時間(押込み手段のカウントアップする時間)は、開閉体10の閉鎖方向端部と当接対象部位pとの間に略隙間がなくなるまで、開閉体10が当接対象部位pに押圧され、且つ開閉体10が巻取軸32に逆巻きされたり開閉体10に過剰な圧縮力が加わったり等しないように、適宜に設定される。この時間は、本実施の形態の好ましい一例によれば約0.2秒に設定される。
【0040】
ステップ6では、前記押込み手段がカウントアップするのを待ち、カウントアップしたならば次のステップ7へ処理を進める。
ステップ7では、開閉機40の停止によって開閉体10の閉鎖動作を停止する。この停止状態は、開閉体10の閉鎖方向端部が当接対象部位pに当接した全閉停止状態とみなされる。
【0041】
また、ステップ5aでは、開閉機40の閉鎖方向への動作を停止し、反転して、所定時間経過後に再度停止することで、開閉体10を反転・停止する。この停止状態は、開閉体10の閉鎖方向端部が障害物に当接して、開閉体10が反転・停止(タッチアップ動作)したものとみなされる。
【0042】
すなわち、全閉手前の所定範囲Hにて閉鎖動作中、座板感知部による感知信号があった際に閉動作カウント手段がカウントアップしていない場合には、開閉体10の閉鎖方向端部が障害物に当接したものとみなし、第一の制御として開閉体10を反転・停止する(ステップ5a)。
また、全閉手前の所定範囲Hにて閉鎖動作中、座板感知部による感知信号があった際に閉動作カウント手段がカウントアップしている場合には、開閉体10の閉鎖方向端部が当接対象部位pに当接して開閉体10が全閉したものとみなし、前記第一の制御とは異なる第二の制御として、開閉体10の閉鎖動作(詳細には開閉機40の閉鎖方向への動作)を微小時間継続した後に停止する(ステップ5〜7)。
【0043】
よって、本実施の形態によれば、全閉手前の所定範囲Hにおいても、開閉体10を障害物との当接によりタッチアップ動作させることができる上、全閉時にはタッチアップ動作することなく開閉体10の閉鎖方向端部を当接対象部位pに押し付けた隙間のない状態で、開閉体10を停止させることができる。
【0044】
次に、図3に示す他の制御例について説明する。
制御部50は、開閉体10の閉鎖動作中、全閉手前位置感知部による感知信号の入力を待ち(ステップ11)、感知信号の入力があることを条件に、閉動作カウント手段による所定時間のカウントを開始する(ステップ12)。
【0045】
その後、制御部50は、閉動作カウント手段がカウントアップしたか否かを判断し、カウントアップした場合には、ステップ14以降の処理(第二の制御)を行い、カウントアップしていない場合には、ステップ14aへ処理を移行する。
【0046】
ステップ14では、押込み手段による所定時間のカウントを開始する。
ステップ15では、前記押込み手段がカウントアップするのを待ち、カウントアップしたならば次のステップ16へ処理を進める。
ステップ16では、開閉機40の停止によって開閉体10の閉鎖動作を停止する。この停止状態は、開閉体10の閉鎖方向端部が当接対象部位pに当接して押し付けられた全閉停止状態とみなされる。
【0047】
すなわち、図3に示す制御例では、開閉体10の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲Hに進入した後、座板感知部による感知信号がなく且つ閉動作カウント手段がカウントアップした場合には(換言すれば、座板感知部による感知信号がある前に閉動作カウント手段がカウントアップした場合には)、開閉体10が略全閉したものとみなされて、前記ステップ14〜16(第二の制御)が行われる。
【0048】
また、ステップ14aでは、座板感知部による感知信号があるか否かを判断し、感知信号がある場合には次のステップ15a(第一の制御)を行い、そうでなければステップ13へ処理を戻す。
【0049】
ステップ15aでは、開閉機40の閉鎖方向への動作を停止し、反転して、所定時間経過後に再度停止することで、開閉体10を反転・停止する。この停止状態は、開閉体10の閉鎖方向端部が障害物に当接して、開閉体10が反転・停止(タッチアップ動作)したものとみなされる。
【0050】
すなわち、前記ステップ13,14a,15aでは、制御部50は、前記座板感知部による感知信号があり且つ前記閉動作カウント手段がカウントアップしていない場合に(換言すれば、前記閉動作カウント手段がカウントアップする前に前記座板感知部による感知信号がある場合に)、開閉体10の閉鎖方向端部が障害物に当接したものとみなし、第一の制御として開閉体10を反転・停止する。
【0051】
よって、図3に示す制御例によれば、図2に示す制御例と同様に、開閉体10が障害物に当接したのか、あるいは開閉体10が全閉したのかを判別して、それぞれの場合に応じた適切な制御を行うことができる。
【0052】
なお、本願発明は、開閉体10の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲Hよりも開放方向側にある場合の制御を限定するものではないが、一例として、開閉体10の閉鎖方向端部が前記所定範囲Hよりも開放方向側にある場合には、開閉体10の閉鎖動作中に座板感知部による感知信号があることを条件に、開閉体10の閉鎖方向端部が障害物に当接したものとみなして、開閉体10を停止・反転して所定時間だけ開放動作した後に停止する(すなわちタッチアップ動作を行う)。
【0053】
また、上記座板感知部は、開閉体10の閉鎖方向端部が物体に当接したことを感知可能な構成であれば上記実施の形態以外のものであってもよく、例えば、開閉体10の閉鎖方向端部に下方からの押圧力によって感知信号を出力するセンサ(例えばテープスイッチ等)を設けた態様等としてもよい。
【0054】
また、上記実施の形態では、前記閉動作カウント手段によるカウント時間を所定時間に設定したが、更に好ましい態様として、前記カウント時間を現場状況等に応じて増減できるようにしてもよい。
同様に、上記実施の形態では、前記押込み手段によるカウント時間を所定時間に設定したが、更に好ましい態様として、前記カウント時間を現場状況等に応じて増減できるようにしてもよい。例えば現場状況等により押込み動作が不要な場合には、前記カウント時間がゼロ(押込みタイマーを無効)に調整されるようにしてもよいし、あるいは、図2に示す制御例においてステップ5〜6を省いた態様や、図3に示す制御例においてステップ14〜15を省いた態様等とすることも可能である。
【0055】
また、上記実施の形態によれば、閉動作カウント手段の一例として、タイマーを用いて所定時間のカウントをする構成としたが、この閉動作カウント手段の他例としては、開閉体10の閉鎖動作による移動距離をカウントする構成としてもよい。この場合の閉動作カウント手段は、例えば、エンコーダ等によって、開閉機40又は巻取装置30の閉鎖方向の回転量を、前記移動距離としてカウントし、そのカウント値が所定距離に達した際にカウントアップして制御信号を出力する構成とすればよい。この場合、前記所定距離は、開閉体10の閉鎖方向端部が所定範囲Hに進入してから全閉位置となるまでの閉鎖動作距離と略同等になるように設定すればよい。
【0056】
また、上記実施の形態によれば、上記押込み手段をタイマーとしたが、この押込み手段の他例としては、開閉体10の閉鎖動作による移動距離を、前記同様にエンコーダ等を用いてカウントし、そのカウント値が所定の微小距離に達した際にカウントアップして制御信号を出力する構成としてもよい。
この場合、前記所定の微小距離(押込み手段のカウントアップする距離)は、開閉体10の閉鎖方向端部と当接対象部位pとの間に略隙間がなくなるまで、開閉体10が当接対象部位pに押圧され、且つ開閉体10が巻取軸32に逆巻きされたり開閉体10に過剰な圧縮力が加わったり等しないように、適宜に設定される。
【符号の説明】
【0057】
10:開閉体
12:可動座板(座板感知部)
30:巻取装置
40:開閉機
41:カウンター式リミットスイッチ(全閉手前位置感知部)
50:制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖方向端部をスライドさせて閉鎖動作する開閉体と、前記開閉体の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲内にあることを感知する全閉手前位置感知部と、前記開閉体の閉鎖方向端部が閉鎖方向側の物体に当接したことを感知する座板感知部と、前記開閉体を制御動作する制御部とを備えた開閉装置において、
前記制御部は、前記開閉体の閉鎖動作中に前記全閉手前位置感知部による感知信号の入力があることを条件に、閉動作カウント手段による所定時間又は所定距離のカウントを開始し、その後、前記座板感知部による感知信号があり且つ前記閉動作カウント手段がカウントアップしていない場合に、前記開閉体の閉鎖方向端部が障害物に当接したものとみなして第一の制御を行い、前記座板感知部による感知信号があり且つ前記閉動作カウント手段がカウントアップしている場合には、前記開閉体が略全閉したものとみなして前記第一の制御とは異なる第二の制御を行うことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
閉鎖方向端部をスライドさせて閉鎖動作する開閉体と、前記開閉体の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲内にあることを感知する全閉手前位置感知部と、前記開閉体の閉鎖方向端部が閉鎖方向側の物体に当接したことを感知する座板感知部と、前記開閉体を制御動作する制御部とを備えた開閉装置において、
前記制御部は、前記開閉体の閉鎖動作中に前記全閉手前位置感知部による感知信号の入力があることを条件に、閉動作カウント手段による所定時間又は所定距離のカウントを開始し、その後、前記座板感知部による感知信号があり且つ前記閉動作カウント手段がカウントアップしていない場合に、前記開閉体の閉鎖方向端部が障害物に当接したものとみなして第一の制御を行い、前記座板感知部による感知信号がなく且つ前記閉動作カウント手段がカウントアップした場合には、前記開閉体が略全閉したものとみなして前記第一の制御とは異なる第二の制御を行うことを特徴とする開閉装置。
【請求項3】
前記第一の制御として、前記開閉体の閉鎖動作を反転することを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記第二の制御として、前記開閉体の閉鎖動作を微小時間又は微小距離継続した後に停止することを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の開閉装置。
【請求項5】
前記所定時間又は所定距離は、前記開閉体の閉鎖方向端部が前記所定範囲に進入してから全閉位置となるまでの閉鎖動作時間又は閉鎖動作距離と略同等になるように設定されることを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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