説明

開閉装置

【課題】上部筐体が下部筐体に対して開閉される装置において、閉時の負荷を増加させ、開時の負荷を減少可能な構造を提供する。
【解決手段】上側筐体が下側筐体に対して後側を軸に開閉可能である。上側筐体の後側に固定された第1部材60と、第1部材60に収容された第1姿勢及び第1姿勢より下側の第2姿勢に姿勢変化可能で溝73を有する第2部材70と、一端が上側筐体に回動可能に連結され、他端が溝73に摺動可能に連結される第3部材80とを備える。溝73は壁74、75で形成される。他端は上側筐体の開閉時に壁74、75間を摺動する。壁74、75は外側へ突出する突起78、79を有する。第1部材60は壁74、75に向けて突出する凸部64、65を有する。第2部材70は、第1姿勢において、壁74、75が第1部材60に挟まれ且つ凸部64、65及び突起78、79が対向した状態で第1部材60に収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部筐体及び下部筐体が連結されており、上部筐体が下部筐体に対して回動することによって開閉する開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上部筐体と、上部筐体を回動可能に支持する下部筐体とを備えており、上部筐体が下部筐体に対して開閉可能な開閉装置が知られている。このような開閉装置においては、上部筐体が下部筐体に対して開かれた状態を維持するための機構が種々提案されている。当該機構の一例として、特許文献1には、両端を上部筐体及び下部筐体と連結しており、上部筐体が下部筐体に対して開かれた状態において、上部筐体を支持するスタンド部材を備えた画像記録装置が開示されている。
【0003】
当該画像記録装置においては、上部筐体に、スタンド部材の先端部を案内するガイド部材が設けられている。また、当該画像記録装置においては、スタンド部材の先端部に、ガイド部材に対峙させて負荷を付与するための拘束部が設けられている。そして、ガイド部材は、上部筐体の開閉動作につれて、拘束部に接近する拘束姿勢と、拘束部から離間する非拘束姿勢とに切替可能に配置されている。
【0004】
ガイド部材が上部筐体の閉動作時に拘束姿勢をとることにより、上部筐体は、拘束部によって負荷が付与されるために、ゆっくりと閉じることができる。一方、ガイド部材が上部筐体の開動作時に非拘束姿勢をとることにより、上部筐体は、拘束部によって負荷が付与されないために、軽快に開くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−044061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した画像記録装置においては、ガイド部材及び拘束部が相互に接近して拘束姿勢となっても、適正な負荷が上部筐体に付与されないおそれがあった。詳細には、拘束部がガイド部材に接近して圧接されても、ガイド部材が拘束部によって押されることによって弾性変形してしまうために、適正な負荷を上部筐体に付与できないおそれがあった。特に、近年、上部筐体の重量がADFの搭載などによって増加する傾向にあるために、ガイド部材は、重量が増加した上部筐体からの負荷により弾性変形するおそれもある。このことが、拘束部によって上部筐体に適正な負荷を付与することを更に困難にしている。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、上部筐体が下部筐体に対して回動されることにより開閉される装置において、上部筐体が閉じられる場合に上部筐体に付与する負荷を増加させ、上部筐体が開かれる場合に上部筐体に付与される負荷を減少させることのできる開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明の開閉装置は、第1筐体と、上記第1筐体の上側に回動軸を介して連結されて上記第1筐体に対して開姿勢及び閉姿勢に回動可能に設けられた第2筐体と、上記第2筐体の下面の上記回動基端側に固定された第1部材と、上記第2筐体の下面の上記回動先端側に対して回動可能に設けられており、上記回動基端側から上記回動先端側へ延びるガイド溝を有しており、上記第1部材に収容される第1姿勢、及び上記第1部材に対して少なくとも一部が上記第1姿勢よりも下側に位置する第2姿勢に姿勢変化可能な第2部材と、第1端側が上記第1筐体における上記回動軸と反対側に回動可能に連結され、第2端側が上記第2部材のガイド溝に摺動可能に連結されており、上記第2筐体が上記第1筐体に対して開姿勢である状態において、上記第1筐体に対して起立して開姿勢の上記第2筐体を支持する第3部材と、を備える。上記第2部材は、互いに対向する一対の壁により上記ガイド溝が形成されており、上記第3部材の第2端側が当該一対の壁と摺動し、当該一対の壁の少なくとも一方に形成されており上記第3部材の第2端が係入される長孔を有している。上記一対の壁は、上記第1部材へ向かって突出する突起を有している。上記第1部材は、上記一対の壁へ向かって突出する凸部を有している。上記第1部材が上記一対の壁を挟んだ状態且つ上記凸部及び上記突起が対向した状態で、上記第1姿勢の上記第2部材を収容するものである。
【0009】
第2筐体が第1筐体に対して閉じられるとき、第3部材の第2端側は、第2部材のガイド溝に沿って、開閉装置の回動軸側に向かって摺動される。当該摺動の過程において、第2部材は、第3部材の第2端側に上側に押されることによって、第1姿勢に姿勢変化され、第1部材に収容される。第1部材に収容された第2部材の突起は、第1部材の凸部と対向する。これにより、第2部材が外側へ弾性変形しても、突起及び凸部が当接されるため、第2部材の外側への弾性変形が低減される。つまり、第1部材は、第2部材の外側への自由な弾性変形を低減させる補強材として機能する。以上より、本構成によれば、第2筐体が第1筐体に対して閉じられるとき、第3部材から第1部材を介して第2筐体に負荷が付与される。
【0010】
一方、第2筐体が第1筐体に対して開かれるとき、第3部材の第2端側は、第2部材のガイド溝に沿って、開閉装置の回動軸と反対側に向かって摺動される。当該摺動の過程において、第2部材は、第3部材の第2端に下側に引っ張られることによって、第2姿勢に姿勢変化され、第1姿勢よりも下側に位置される。これにより、第2部材の突起は、第1部材の凸部と対向しなくなる。つまり、第2部材は外側へ自由に弾性変形可能である。以上より、本構成によれば、第2筐体が第1筐体に対して開かれるとき、第2筐体が第1筐体に対して閉じられるときに比べて、第2筐体に付与される負荷が小さくなる。
【0011】
(2) 上記ガイド溝は、上記第3部材の第2端側よりも広い幅の第1空間、及び上記第3部材の第2端側よりも狭い幅の第2空間で構成されている。上記第2部材は、上記第2空間を移動される上記第3部材の第2端側に内側から圧接される。上記凸部は、上記第2部材が上記第1姿勢の状態において、上記第3部材の第2端側に内側から圧接された上記第2部材の上記突起に圧接される。
【0012】
本構成によれば、上記の(1)で述べた作用及び効果が、好適に実現可能である。
【0013】
(3) 上記第2筐体の下面側に、上記回動軸の回動基端側から回動先端側へ延びる凹部が形成されている。上記第1部材は、上記凹部に収容された状態で、上記凹部の上記回動基端側に固定されている。上記第2部材は、上記凹部の上記回動基端側に対して回動可能に設けられている。
【0014】
第1部材が凹部に収容されるため、開閉装置の高さを低くすることができる。
【0015】
(4) 上記第1部材は、回動基端側から回動先端側へ延びる方向に沿って屈曲された板形状であって、上記凹部の底面に対向する第1板と、上記第1板の両端から上記凹部の側面に沿って延びており上記凹部の側面に対向する一対の第2板とで構成されている。上記凸部は、上記第2板に設けられている。
【0016】
第1部材に凸部を設けることなく、第1部材が、第1姿勢の第2部材の突起と当接可能に構成されるためには、例えば、第1部材の第2板が、第1板から離間される程、相互の間隔が狭く構成される必要がある。つまり、第1部材が逆テーパ形状に形成される必要がある。しかし、第1部材は、上記の(1)で述べたように、補強材として機能することから、曲げ加工を要するステンレスなどの金属製の部材であることが多い。そして、逆テーパ形状の金属製の部材は、曲げ加工の際に、曲げ部分を内側から押さえることができず、外側からしか押さえることができない。その結果、曲げ角度の精度が確保できない。しかし、本構成によれば、第1部材は第2板に凸部を有しており、逆テーパ形状に構成されることはないため、上述したような問題の発生を防止することができる。
【0017】
(5) 上記第1部材は、上記第1板から上記凹部の底面に向かって立設されており、上記第2筐体の上記凹部の底面に設けられた係合部と係合可能な被係合部と、上記第1板から上記第2板に亘って形成された開口と、を更に備える。上記被係合部及び上記凸部は、上記第1部材の回動基端側から回動先端側へ延びる方向において、上記開口と同位置に設けられている。
【0018】
上記の(4)で述べたように、第1部材は金属製の部材であることが多い。この場合、第1部材に被係合部が形成されるためには、第1部材に開口を開ける必要がある。また、第1部材には凸部が設けられている。このため、第1部材の曲げ加工の際、第1部材のうち凸部が設けられている位置に対応する曲げ部分は、内側から押さえることができない。その結果、曲げ角度の精度が確保できない。そして、このような問題を解決するためには、第1部材のうち凸部が設けられている位置に対応する曲げ部分に、開口を設けることが望ましい。これにより、開口が設けられた部分を曲げる必要がなくなるからである。そして、本構成によれば、被係合部及び凸部は、第1部材の長手方向において、開口と同位置に設けられている。つまり、本構成によれば、被係合部を形成するための開口と、曲げ部分の精度確保のための開口とが兼用されている。これにより、第1部材に形成される開口の数を少なくすることができる。その結果、第1部材の強度の低減を抑制することができる。
【0019】
(6) 上記第1部材は、回動基端側から回動先端側へ延びる方向に沿って屈曲された板形状であって、上記第2筐体の下面に対向する第1板と、上記第1板の両端から上記第2筐体の下面から離間する向きに延びた一対の第2板とで構成されている。上記凸部は、上記第2板に設けられている。本構成によっても、(4)と同様の効果を得ることができる。
【0020】
(7) 上記第1部材は、上記第1板から上記第2筐体の下面に向かって立設されており、上記第2筐体の下面に設けられた係合部と係合可能な被係合部と、上記第1板から上記第2板に亘って形成された開口と、を更に備える。上記被係合部及び上記凸部は、上記第1部材の回動基端側から回動先端側へ延びる方向において、上記開口と同位置に設けられている。本構成によっても、(5)と同様の効果を得ることができる。
【0021】
(8) 上記開口の端位置は、上記長孔に係入された上記第3部材の第2端よりも上記第1板側である。
【0022】
第3部材の第2端側がガイド溝に沿って摺動される際、長孔に係入された第2端側が、第1部材の開口の端部において、第1部材と接触して引っかかるおそれがある。これにより、第3部材の第2端側の摺動が妨げられるおそれがある。しかし、本構成によれば、開口が第3部材の第2端よりも第1板側に形成されているため、第3部材の第2端が第1部材に引っかかることが防止可能である。
【0023】
(9) 上記一対の第2板の相互の間隔は、上記第1板から離間するにしたがって大きくなる。
【0024】
本構成によれば、第2板の相互の間隔は、第1板から離間するにしたがって大きくなるため、第2部材の突起が、第1部材の第2板に接触することが防止可能である。
【0025】
(10) 上記凸部の先端面の相互の間隔は、上記第1板からの距離にかかわらず一定である。
【0026】
本構成によれば、第2部材の突起と第1部材の凸部との接触位置にかかわらず、突起と当接した凸部が突起から圧接される力を一定にすることができる。
【0027】
また、上記の(9)のような構成の場合において、凸部の先端面の相互の間隔も、第1板から離間するにしたがって大きくなるように構成されると、凸部の先端面の相互の間隔が大きくなった分だけ、第1部材の一対の第2板の先端における相互の間隔を大きくする必要がある。その結果、第1部材を配置するために、大きな空間が必要となってしまう。しかし、本構成によれば、第1部材を配置するために必要な空間を小さく抑えることができる。
【0028】
(11) 上記凸部の上記第1板から離間した側の側面は、上記凸部の先端面から上記第2板まで延びた傾斜面を構成している。
【0029】
本構成によれば、第2部材が姿勢変化されるとき、第2部材の突起は、傾斜面に沿って移動可能である。よって、本構成によれば、第2部材の姿勢変化が滑らかに実行可能である。
【発明の効果】
【0030】
本発明においては、第2筐体が第1筐体に対して閉じられるとき、第3部材から第1部材を介して第2筐体に負荷が付与される。また、本発明においては、第2筐体が第1筐体に対して開かれるとき、第2筐体が第1筐体に対して閉じられるときに比べて、第2筐体に付与される負荷が小さくなる。以上より、本発明においては、第2筐体が閉じられる場合に第2筐体に付与する負荷を増加させ、第2筐体が開かれる場合に第2筐体に付与される負荷を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、複合機10の外観斜視図である。
【図2】図2は、スキャナ筐体51が開姿勢をとった状態の複合機10の外観斜視図である。
【図3】図3は、スキャナ筐体51が開姿勢をとった状態の複合機10の縦断面図である。
【図4】図4は、第2部材70が第1姿勢をとった状態の複合機10の縦断面図である。
【図5】図5は、第2部材70が第2姿勢をとった状態の複合機10の縦断面図である。
【図6】図6は、第2部材70の底面図である。
【図7】図7は、第3部材80が示された図であり、(A)は外観斜視図であり、(B)は平面図である。
【図8】図8は、第1部材60が示された図であり、(A)は外観斜視図であり、(B)は左側面図である。
【図9】図9は、第1部材60と第2部材70と第3部材80と凹部55の図6におけるA−Aの位置での断面図であり、(A)には第2部材70が第1姿勢をとった状態が示されており、(B)には第2部材70が第2姿勢をとった状態が示されており、(C)には凹部55のみが示されている。
【図10】図10は、第2部材70の外観斜視図である。
【図11】図11は、第2部材70の左側面図であり、(A)は第2部材70のみが示されており、(B)は第2部材70及び第1部材60が重ねられた状態で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、ベクトルにおいて矢印を考慮して起点から終点に向かう進みが向きと表現され、ベクトルにおいて矢印を考慮せずに起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。また、以下の説明において、図6〜図8は、第1部材60、第2部材70、及び第3部材80が複合機10に取り付けられた状態を基準として、上下方向7、前後方向8、及び左右方向9が定義されている。
【0033】
[複合機10]
図1に示されるように、本発明の開閉装置の一例である複合機10は、概ね薄型の直方体に形成されている。複合機10は、その上部に、記録用紙などの原稿に記録された画像をイメージセンサ(不図示)によって読み取って画像データを取得するスキャナ部11を備えている。また、複合機10は、その下部に、上記画像データなどに基づいて、給紙トレイ20に収容された記録用紙に画像を記録するプリンタ部12を備えている。
【0034】
図1及び図2に示されるように、スキャナ部11は、概ね直方体に形成されたスキャナ筐体51(本発明の第2筐体の一例)を有している。また、プリンタ部12は、概ね直方体に形成されており、正面に開口13が形成されたプリンタ筐体52(本発明の第1筐体の一例)を有している。
【0035】
スキャナ筐体51には、原稿がセットされるプラテンガラス(不図示)や、プラテンガラスにセットされた原稿を読み取るイメージセンサなどが配設されている。プリンタ筐体52には、開口13から前後方向8に挿抜可能であって内部に記録用紙が収容される給紙トレイ20、給紙トレイ20に収容された記録用紙を搬送路(不図示)に沿って搬送させる複数のローラ(不図示)、搬送路を搬送される記録用紙に画像を記録する記録部(不図示)などが配設されている。画像が記録された記録用紙は、給紙トレイ20の上側に設けられた排紙トレイ21に排出される。なお、記録部が記録用紙に画像を記録する方式としては、例えばインクジェット記録方式や電子写真方式がある。
【0036】
図3に示されるように、プリンタ筐体52の背面側(後側)には、左右方向9に延びた支軸53(本発明の回動軸の一例)が形成されている。スキャナ筐体51の背面側(後側)の下部には、内側が湾曲面である左右方向9に延びた溝部54が形成されている。溝部54は、プリンタ筐体52に形成された支軸53と係合可能な形状である。溝部54が支軸53と係合されることにより、スキャナ筐体51は、支軸53を中心としてプリンタ筐体52に対して回動可能である。
【0037】
図1、図2、及び図3に示されるように、スキャナ筐体51は、矢印33の方向(図3参照)に回動することによって、プリンタ筐体52に対して閉じられる閉姿勢(図1に示される姿勢、本発明の閉姿勢に相当)、及びプリンタ筐体52に対して開かれる開姿勢(図2及び図3に示される姿勢、本発明の開姿勢に相当)の間で姿勢変化可能である。つまり、スキャナ筐体51は、プリンタ筐体52の上側に支軸53を介して連結されてプリンタ筐体52に対して開姿勢及び閉姿勢に回動可能に設けられている。
【0038】
図2に示されるように、スキャナ筐体51の下面56側に、支軸53の回動基端側から回動先端側へ延びる凹部55が形成されている。換言すると、凹部55は、スキャナ筐体51の下面56に沿って、前後方向8へ延びている。本実施形態においては、スキャナ筐体51の下面56の左端付近から下向きに一対の側壁57、58が、前後方向8に沿って立設されている。一対の側壁57、58の間には、空間が設けられている。当該空間が凹部55(本発明の凹部の一例)である。図9(C)に示されるように、凹部55は、スキャナ筐体51の一対の側壁57、58の互いに対向する面である側面57A、58Aと、スキャナ筐体51の下面56の一部である底面56Aとによって形成されている。
【0039】
図9(A)に示されるように、凹部55には、図8に示される形状の第1部材60(本発明の第1部材の一例)が嵌められている。図6に、凹部55に収容された後述する第2部材70に対する第1部材60及び凹部55の位置関係が示されている。つまり、図6において、第1部材60が凹部55に嵌められる位置が破線で示されており、凹部55を構成する一対の側壁57、58が一点鎖線で示されている。図6に示されるように、第1部材60は、凹部55におけるスキャナ筐体51の回動基端側、つまり凹部55の後側において、凹部55に嵌められている。第1部材60については、後述される。
【0040】
[第2部材70]
図3〜図6に示されるように、スキャナ筐体51の凹部55には、第2部材70(本発明の第2部材の一例)が嵌められている。図6及び図11(B)に示されるように、第2部材70は、後側において第1部材60を介して凹部55に嵌められており、前側において第1部材60を介することなく凹部55に嵌められている。第2部材70は、細長形状の部材である。
【0041】
図3〜図5、図10、及び図11に示されるように、第2部材70は、その前端部分において、長手方向が前後方向8となるように、スキャナ筐体51の凹部55に取り付けられている。本実施形態においては、第2部材70の前端部分に開口71が形成されており、凹部55の前端部分には突起(不図示)が形成されている。そして、当該突起が開口71に挿入される。これにより、第2部材70は、スキャナ筐体51の下面56(凹部55)の回動先端側に対して、図3の矢印72の方向に回動可能である。換言すると、第2部材70は、凹部55の前側を軸として、図3の矢印72の方向に回動可能である。
【0042】
第2部材70は、図3の矢印72の方向に回動することによって、第1部材60に収容される第1姿勢(図3及び図4に示される姿勢、本発明の第1姿勢に相当)、及び第1部材60に対して少なくとも一部(本実施形態では後側)が第1姿勢よりも下側に位置する第2姿勢(図5に示される姿勢、本発明の第2姿勢に相当)に姿勢変化可能である。第2部材70は、回動の過程において、上面がスキャナ筐体51の凹部55の底面56Aと当接することによって、第1姿勢をとる。また、第2部材70は、回動の過程において、後端に形成された突起34がスキャナ筐体51の凹部55の後側面に形成された下板35と当接することによって、第2姿勢をとる。
【0043】
図6に示されるように、第2部材70には、スキャナ筐体51の凹部55に取り付けられた状態における下面に、長手方向(前後方向8)へ延びるガイド溝73(本発明のガイド溝に相当)が形成されている。換言すると、第2部材70は、スキャナ51の回動基端側から回動先端側へ延びるガイド溝73を有している。
【0044】
図6に示されるように、第2部材70は、互いに対向する一対の側壁74、75(本発明の一対の壁に相当)によりガイド溝73が形成されている。つまり、一対の側壁74、75の間には、ガイド溝73を構成する空間が設けられている。当該空間には、後述する第3部材80(図7参照)の第2端82側が挿入される。また、図3〜図5、図10、及び図11に示されるように、左側の側壁74には、長孔77(本発明の長孔に相当)が設けられている。長孔77には、第3部材80の第2端82側に形成された突起83(図7参照)が係入される。これにより、第3部材80の第2端82側は、当該一対の側壁74、75と摺動する。また、第3部材80の第2端82側の突起83は、長孔77に沿って摺動する。つまり、長孔77は、第3部材80の摺動方向に沿って延びている。
【0045】
なお、本実施形態において、長孔77は左側の側壁74に設けられているが、長孔77は右側の側壁75に設けられていてもよいし、両方の側壁74、75に設けられていてもよい。この場合、第3部材80の突起83は、左側または右側のうち、長孔77が設けられている側に形成される。
【0046】
図6に示されるように、一対の側壁74、75は、後側に位置する範囲76において内側へ曲がっている。つまり、一対の側壁74、75の相互間距離は、一対の側壁74、75が内側へ曲がっている範囲76において、短くなっている。範囲76以外における一対の側壁74、75の相互間距離は、第3部材80(図7参照)の第2端82側の左右方向9の長さよりも長い。一方、範囲76における一対の側壁74、75の相互間距離は、第3部材80の第2端82側の左右方向9の長さよりも長い。以上より、ガイド溝73の空間は、第3部材80の第2端82側よりも広い幅の第1空間73A(本発明の第1空間に相当)、及び第3部材80の第2端82側よりも狭い幅の第2空間73B(本発明の第2空間に相当)で構成される。
【0047】
図9、図10、及び図11に示されるように、一対の側壁74、75は、外側、つまり第1部材60へ向かって突出する突起78、79(本発明の突起に相当)を有している。なお、図6においては、突起78、79は省略されている。詳細には、突起78は側壁74の左面から左向きに突出し、突起79は側壁75の右面から右向きに突出している。突起78、79は、一対の側壁74、75において、以下に示す位置に設けられている。つまり、突起78、79は、第2部材70が第1姿勢の状態において後述する第1部材60の凸部64、65と対向可能な位置(図9(A)参照)、且つ第2部材70が第2姿勢の状態において第1部材60の凸部64、65と対向しない位置(図9(B)参照)に設けられている。また、図11(B)に示されるように、突起78、79の前後方向8の長さは、少なくとも後述する凸部64、65の先端面64A、65A(図9参照)の前後方向8の長さよりも長く構成されている。
【0048】
[第3部材80]
図2〜図5に示されるように、スキャナ筐体51及びプリンタ筐体52の間には、第3部材80(本発明の第3部材の一例)が取り付けられている。図7に示されるように、第3部材80は、薄板且つ棒状の部材であって、第1端81(本発明の第1端に相当)側に開口85が形成されており、第2端82(本発明の第2端に相当)側に突起83が形成されている。
【0049】
図2〜図5に示されるように、第3部材80の第1端81側に形成された開口85は、プリンタ筐体52に回動可能に連結されている。プリンタ筐体52の上面30における支軸53と反対側、つまり前側には、左右に一対の凸部31が設けられている。また、一対の凸部31は、プリンタ筐体52の上面30における左前に設けられている。右側の凸部31の左側面には、左向きに突出した突起(不図示)が設けられている。左側の凸部31の右側面には、右向きに突出した突起(不図示)が設けられている。当該突起の各々は、右側及び左側から、開口85に係入されている。つまり、第3部材80の第1端81側は、一対の凸部31によって挟み込まれるようにして固定されている。これにより、第3部材80は、当該突起を軸として、図3の矢印32の方向に回動可能である。
【0050】
第3部材80の第2端82側は、第2部材70のガイド溝73に摺動可能に連結されている。上述したように、第3部材80の第2端82側に形成された突起83が第2部材70に形成された長孔77に係入されている。これにより、上記連結は実現されている。
【0051】
図3に示されるように、第3部材80は、スキャナ筐体52がプリンタ筐体51に対して開姿勢である状態において、プリンタ筐体51に対して起立して開姿勢のスキャナ筐体52を支持する。一方、図4に示されるように、第3部材80は、スキャナ筐体52がプリンタ筐体51に対して閉姿勢になるにしたがって、プリンタ筐体51に対して倒れた状態となる。
【0052】
図7に示されるように、第3部材80の第2端82側は、その外周を、ラバーなどの弾性部材86で覆われている。第3部材80における弾性部材86で覆われている位置は、第3部材80が第2部材70のガイド溝73を摺動されるときに、第2部材70の側壁74、75と対向する位置である。これにより、第3部材80が第2部材70のガイド溝73の第2空間73Bを移動されるときに、第3部材80に設けられた弾性部材86は、第2部材70の側壁74、75を圧接する。
【0053】
[第1部材60]
上述したように、第1部材60は、凹部55の後側(凹部55におけるスキャナ筐体51の回動基端側)、つまりスキャナ筐体51の下面56の回動基端側に固定されている(図6参照)。
【0054】
図8(A)に示されるように、第1部材60は、前後方向8に沿ってコの字状に屈曲された板形状である。第1部材60は、前後方向8に長い細長形状の天板61(本発明の第1板に相当)と、天板61の左端から概ね下向きに延びた左板62(本発明の第2板に相当)と、天板61の右端から概ね下向きに延びた右板63(本発明の第2板に相当)とで構成されている。つまり、左板62及び右板63は一対の板である。
【0055】
図9(A)に示されるように、第1部材60が凹部55に固定された状態において、天板61は、凹部55の底面56Aに対向している。また、第1部材60が凹部55に固定された状態において、左板62は、凹部55の側壁57と対向しており、右板63は、凹部55の側壁58と対向している。つまり、左板62及び右板63は、天板61から凹部55の側壁57、58に沿って延びている。また、第2部材70が第1姿勢のとき、左板62は第2部材70の側壁74と対向しており、右板63は第2部材70の側壁75と対向している。つまり、第1部材60が凹部55に固定された状態において、左板62は、凹部55の側壁57と第2部材70の側壁74とに挟まれており、右板63は、凹部55の側壁58と第2部材70の側壁75とに挟まれている。
【0056】
図9(A)に示されるように、左板62は、天板61から左斜め下向きに延びており、右板63は、天板61から右斜め下向きに延びている。換言すると、左板62及び右板63は、外側に拡がりながら延びている。つまり、左板62及び右板63の相互の間隔は、天板61から離間するにしたがって大きくなる。
【0057】
[凸部64、65]
図8及び図9に示されるように、第1部材60には、左板62から右向きへ突出した凸部64(本発明の凸部に相当)が形成されている。凸部64は、第2部材70の側壁74へ向かって突出している。また、第1部材60には、右板63から左向きへ突出した凸部65(本発明の凸部に相当)が形成されている。凸部65は、第2部材70の側壁75へ向かって突出している。
【0058】
第3部材80の第2端82側が第2空間73Bを移動されており、且つ第2部材70が第1姿勢である場合、図9(A)に示されるように、凸部64、65は、第2部材70の突起78、79と対向する。これにより、凸部64、65は、突起78、79によって圧接される。また、凸部64、65の先端面64A、65Aの相互の間隔は、突起78、79の先端の相互の間隔より小さい。なお、図9(A)では、突起78、79と凸部64、65とが重なって表示されているが、これは圧接を表すために誇張して記されたものである。つまり、現実には、突起78、79または凸部64、65の少なくとも一方が弾性変形されるため、突起78、79と凸部64、65とが当接した状態となる。
【0059】
なお、本実施形態においては、凸部64、65の先端面64A、65Aの相互の間隔は、突起78、79の先端の相互の間隔より小さいが、凸部64、65の先端面64A、65Aの相互の間隔は、突起78、79の先端の相互の間隔より大きくてもよい。この場合、凸部64、65の先端面64A、65Aの相互の間隔は、以下のように調整される。つまり、第3部材80の弾性部材86が第2部材70の側壁74、75を圧接しているときに、凸部64、65は突起78、79を圧接するが、第3部材80の弾性部材86が第2部材70の側壁74、75を圧接していないときに、凸部64、65は突起78、79と離間している。
【0060】
一方、第3部材80の第2端82側が第2空間73Bを移動されており、且つ第2部材70が第2姿勢である場合、図9(B)に示されるように、凸部64、65は、第2部材70の突起78、79と対向しない。また、第3部材80の第2端82側が第1空間73Aを移動されている場合も、凸部64、65は、第2部材70の突起78、79と対向しない。また、凸部64、65より下側における左板62及び右板63の相互の間隔は、突起78、79の先端の相互の間隔より大きい。
【0061】
凸部64は、先端面64Aと、先端面64Aの上側、下側、前側、及び後側から放射状に左板62まで延びた傾斜面64B(本発明の傾斜面に相当)とで構成されている。凸部65は、先端面65Aと、先端面65Aの上側、下側、前側、及び後側から放射状に右板63まで延びた傾斜面65B(本発明の傾斜面に相当)とで構成されている。ここで、先端面64A、65Aの下端から延びている傾斜面64B、65Bの傾斜角度は特に緩やかに設計されている。また、先端面64A、65Aの下側以外から延びている傾斜面64B、65Bの傾斜角度に特に制限はなく、例えば先端面64A、65Aと傾斜面64B、65Bとがなす角が、90度であってもよい。以上より、凸部64、65の天板61から離間した側の側面は、凸部64、65の先端面64A、65Aから左板62及び右板63まで延びた傾斜面64B、65Bを構成している。
【0062】
図9(A)に示されるように、凸部64、65の先端面64A、65Aは、上下方向7及び前後方向8よりなる面である。つまり、凸部64、65の先端面64A、65Aの相互の間隔は、天板61からの距離にかかわらず一定である。
【0063】
[開口67、68]
図8に示されるように、第1部材60の天板61には、2個の開口67、68が形成されている。後側に形成された開口67は、本発明の開口に相当する。なお、本実施形態において、開口は2個形成されているが、天板61に形成される開口の数は1個でも3個以上でもよい。開口68は、天板61のみに形成されている。これに対して、開口67は、天板61から左板62及び右板63に亘って形成されている。つまり、開口67は、左右方向9において天板61の全域、及び左板62及び右板63の上部に形成されている。図9(A)において、第1部材60の非ハッチング部分は、開口67である。つまり、図9(A)に示されるように、開口67の左右方向9の端位置67A、67Bは、長孔77(図3参照)に係入された第3部材80の第2端82(詳細には第2端82側に形成された突起83)よりも天板61側、つまり上側である。
【0064】
[L状突起66、及び孔]
図8に示されるように、第1部材60の天板61には、L状突起66(本発明の被係合部の一例)が形成されている。本実施形態において、L状突起66は2個形成されているが、形成されるL状突起66の数は1個でも3個以上でもよい。L状突起66は、開口67、68の前端部から上向きに延びている。なお、L状突起66は、開口67、68の後端部から上向きに延びていてもよい。ここで、天板61の上方には、スキャナ筐体51の凹部55の底面56Aが配置されている。つまり、L状突起66は、天板61から凹部55の底面56Aに向かって立設されている。L状突起66は、天板61から上方へ延びる板と、当該板の頂上部から前方または後方(本実施形態では後方)へ延びる板とで構成されている。つまり、L状突起66は、頂上部で屈曲された板状部材であり、左側または右側から見た場合に上下逆のL字形状の板状部材である。
【0065】
スキャナ筐体51の凹部55の底面56Aには、孔(不図示、本発明の係合部の一例)が形成されている。当該孔は、凹部55に固定された状態の第1部材60のL状突起66に対向する位置に形成されている。L状突起66が当該孔に係入され、係入された状態から第1部材60が後向きへスライドされることにより、L状突起66がスキャナ筐体51の凹部55に引っかかった状態となる。その結果、第1部材60はスキャナ筐体51の凹部55に固定される。
【0066】
以上より、スキャナ筐体51は、第1部材60と係合可能な孔を、凹部55の底面56Aに備えている。また、第1部材60は、スキャナ筐体51の孔と係合可能なL状突起66を備えている。
【0067】
図8(B)に示されるように、第1部材60のL状突起66及び凸部64、65は、いずれも開口67が形成されている範囲69に設けられている。つまり、第1部材60のL状突起66及び凸部64、65の前後方向8の位置は、第1部材60の開口67の前後方向8の位置と同位置である。
【0068】
[開閉動作]
以下、スキャナ筐体51がプリンタ筐体52に対して開閉動作されるときの、第1部材60、第2部材70、及び第3部材80の動作について説明する。
【0069】
図2及び図3に示されるように、スキャナ筐体51がプリンタ筐体52に対して開姿勢である場合、第3部材80は下側からスキャナ筐体51を支持している。これにより、第2部材70は、第3部材80によって上側へ押された状態となる。その結果、図3に示されるように、第2部材70は第1姿勢をとる。また、このとき、第3部材80の第2端82は、第2部材70の前端部(スキャナ筐体51の回動先端側)に位置している。第2部材70は、第1姿勢において、一対の側壁74、75が第1部材60に挟まれた状態で第1部材60に収容される。
【0070】
ユーザがスキャナ筐体51を把持して下向きに回動させることにより、スキャナ筐体51はプリンタ筐体52に対して開姿勢から閉姿勢に姿勢変化される。この際、第3部材80の第2端82側は、第2部材70に形成された長孔77に沿って、第2部材70の前端部から後端部(スキャナ筐体51の回動基端側)に向かって摺動される。なお、第3部材80の第2端82側が第2部材70の前端部から後端部に向かって摺動されている間も、第2部材70は第3部材80によって上側へ押された状態である。そのため、第2部材70は第1姿勢を維持している。
【0071】
第3部材80の第2端82側がガイド溝73の第1空間73Aを移動されている間、スキャナ筐体51の姿勢変化は大きな負荷を受けることなく実行される。第1空間73Aの左右方向9の幅は、第3部材80の第2端82側の左右方向9の幅よりも広いからである。一方、第3部材80の第2端82がガイド溝73の第2空間73Bを移動されている間、スキャナ筐体51は姿勢変化の際に大きな負荷を受ける。第2空間73Bの左右方向9の幅は、第3部材80の第2端82側の左右方向9の幅よりも狭いからである。
【0072】
以下に詳述する。図9(A)に示されるように、第3部材80が第2部材70のガイド溝73の第2空間73Bを移動されるとき、第3部材80、及び第3部材80に設けられた弾性部材86は、第2部材70の側壁74、75を圧接する。つまり、第2部材70の側壁74、75は、第2空間73Bを移動される第3部材80の第2端82側に内側から圧接される。その結果、第2部材70の側壁74は左側へ押され、第2部材70の側壁75は右側へ押される。つまり、第2部材70の側壁74、75は外側へ押される。なお、図9(A)では、第3部材80及び弾性部材86と側壁74、75とが重なって表示されているが、これが圧接を表すために誇張して記されたものである。つまり、現実には、第3部材80及び弾性部材86または側壁74、75の少なくとも一方が弾性変形されるため、第3部材80及び弾性部材86と側壁74、75とが当接した状態となる。
【0073】
第2部材70の側壁74、75が外側へ押されると、側壁74、75に設けられた突起78、79も外側へ押される。このとき、第3部材80の第2端82側が第2空間73Bを移動されており、且つ第2部材70が第1姿勢であるため、突起78、79は第1部材60の凸部64、65と対向している。よって、突起78、79は、第1部材60の凸部64、65を圧接する。つまり、第1部材60の凸部64、65は、第2部材70が第1姿勢の状態において、第3部材80の第2端82側に内側から圧接された第2部材80の突起78、79に内側から圧接される。以上より、第2部材70は、第1姿勢において、一対の側壁74、75が第1部材60に挟まれた状態且つ凸部64、65及び突起78、79が当接した状態で第1部材60に収容される。
【0074】
以上により、スキャナ筐体51には、大きな負荷が付与される。その後、ユーザが力を入れてスキャナ筐体51を下向きに回動させることにより、第3部材80の第2端82は、ガイド溝73の第2空間73Bを通過して、第2部材70の後端部(スキャナ筐体51の回動基端側)に位置する。つまり、スキャナ筐体51が閉姿勢となる。
【0075】
ユーザがスキャナ筐体51を把持して上向きに回動させることにより、スキャナ筐体51はプリンタ筐体52に対して閉姿勢から開姿勢に姿勢変化される。この際、第3部材80の第2端82側は、第2部材70に形成された長孔77に沿って、第2部材70の後端部から前端部に向かって摺動される。このとき、第2部材70は第3部材80によって下側へ引っ張られるため、第2部材70は第1姿勢(図4参照)から第2姿勢(図5参照)へ姿勢変化される。
【0076】
上述したように、第3部材80の第2端82がガイド溝73の第1空間73Aを移動されている間、スキャナ筐体51の姿勢変化は大きな負荷を受けることなく実行される。そして、スキャナ筐体51が閉姿勢から開姿勢に姿勢変化される場合、スキャナ筐体51が開姿勢から閉姿勢へ姿勢変化される場合とは異なり、第3部材80の第2端82がガイド溝73の第2空間73Bを移動されている間も、スキャナ筐体51の姿勢変化は大きな負荷を受けることなく実行される。その理由は、以下の通りである。つまり、図9(B)に示されるように、第2部材70が第2姿勢である場合、第2部材70の側壁74、75に設けられた突起78、79が外側へ押されても、突起78、79が凸部64、65よりも下側に位置するため、突起78、79と凸部64、65とが当接しないからである。
【0077】
[実施形態の効果]
スキャナ筐体51がプリンタ筐体51に対して閉じられるとき、第3部材80の第2端82側は、第2部材70のガイド溝73に沿って、複合機10の後側に向かって摺動される。当該摺動の過程において、第2部材70は、第3部材80の第2端82側に上側に押されることによって、第1姿勢に姿勢変化され、第1部材60に収容される。第1部材60に収容された第2部材70の突起78、79は、第1部材60の凸部64、65と当接する。これにより、第2部材70の外側への弾性変形が低減される。つまり、第1部材60は、第2部材70の外側への自由な弾性変形を低減させる補強材として機能する。以上より、本構成によれば、スキャナ筐体51がプリンタ筐体52に対して閉じられるとき、第3部材80から第1部材60を介してスキャナ筐体51に負荷が付与される。
【0078】
一方、スキャナ筐体51がプリンタ筐体52に対して開かれるとき、第3部材80の第2端82側は、第2部材70のガイド溝73に沿って、複合機10の前側に向かって摺動される。当該摺動の過程において、第2部材70は、第3部材60の第2端82に下側に押されることによって、第2姿勢に姿勢変化され、第1姿勢よりも下側に位置される。これにより、第2部材70の突起78、79は、第1部材60の凸部64、65と当接しなくなる。つまり、第2部材70は外側へ自由に弾性変形可能である。以上より、本構成によれば、スキャナ筐体51がプリンタ筐体52に対して開かれるとき、スキャナ筐体51がプリンタ筐体52に対して閉じられるときに比べて、スキャナ筐体51に付与される負荷が小さくなる。
【0079】
以上より、上述の実施形態によれば、スキャナ筐体51が閉じられる場合にスキャナ筐体51に付与する負荷を増加させ、スキャナ筐体51が開かれる場合にスキャナ筐体51に付与される負荷を減少させることができる。
【0080】
また、上述の実施形態においては、第1部材60が凹部55に収容されるため、複合機10の高さを低くすることができる。
【0081】
第1部材60に凸部64、65を設けることなく、第1部材60が、第1姿勢の第2部材70の突起78、79と当接可能に構成されるためには、例えば、第1部材60の左板62及び右板63が、天板61から離間される程、相互の間隔が狭く構成される必要がある。つまり、第1部材60が逆テーパ形状に形成される必要がある。しかし、第1部材60は、上述したように、補強材として機能することから、曲げ加工を要するステンレスなどの金属製の部材であることが多い。そして、逆テーパ形状の金属製の部材は、曲げ加工の際に、曲げ部分を内側から押さえることができず、外側からしか押さえることができない。その結果、曲げ角度の精度が確保できない。しかし、上述の実施形態によれば、第1部材60は左板62及び右板63に凸部64、65を有しており、逆テーパ形状に構成されることはないため、上述したような問題の発生を防止することができる。
【0082】
上述したように、第1部材60は金属製の部材であることが多い。この場合、第1部材60にL状突起66が形成されるためには、第1部材60に開口を開ける必要がある。また、第1部材60には凸部64、65が設けられている。このため、第1部材60の曲げ加工の際、第1部材60のうち凸部64、65が設けられている位置に対応する曲げ部分は、内側から押さえることができない。その結果、曲げ角度の精度が確保できない。そして、このような問題を解決するためには、第1部材60のうち凸部64、65が設けられている位置に対応する曲げ部分に、開口を設けることが望ましい。これにより、開口が設けられた部分を曲げる必要がなくなるからである。そして、上述の実施形態によれば、L状突起66及び凸部64、65は、第1部材60の前後方向8において、開口67と同位置に設けられている。つまり、上述の実施形態によれば、L状突起66を形成するための開口67と、曲げ部分の精度確保のための開口67とが兼用されている。これにより、第1部材69に形成される開口の数を少なくすることができる。その結果、第1部材60の強度の低減を少なくすることができる。
【0083】
第3部材80の第2端82側がガイド溝73に沿って摺動される際、長孔77に係入された第2端82側の突起83が、第1部材60の開口67の端部において、第1部材60と接触して引っかかるおそれがある。これにより、第3部材80の第2端82側の摺動が妨げられるおそれがある。しかし、上述の実施形態によれば、開口67が第3部材80の第2端82側の突起83よりも天板61側に形成されているため、第3部材80の第2端82側の突起83が第1部材60に引っかかることが防止可能である。
【0084】
また、上述の実施形態によれば、左板62及び右板63の相互の間隔は、天板61から離間するにしたがって大きくなるため、第2部材70の突起78、79が、第1部材60の左板62及び右板63に接触することが防止可能である。
【0085】
また、上述の実施形態によれば、第2部材70の突起78、79と第1部材60の凸部64、65との接触位置にかかわらず、突起78、79と当接した凸部64、65が突起から圧接される力を一定にすることができる。
【0086】
また、左板62及び右板63の相互の間隔が天板61から離間するにしたがって大きくなるような構成の場合において、凸部64、65の先端面64A、65Aの相互の間隔も、天板61から離間するにしたがって大きくなるように構成されると、凸部64、65の先端面64A、65Aの相互の間隔が大きくなった分だけ、第1部材60の左板62及び右板63の先端における相互の間隔を大きくする必要がある。その結果、第1部材60を配置するために、大きな空間が必要となってしまう。しかし、上述の実施形態によれば、第1部材60を配置するために必要な空間を小さく抑えることができる。
【0087】
また、上述の実施形態によれば、第2部材70が姿勢変化されるとき、第2部材70の突起は、傾斜面64B、65Bに沿って移動可能である。よって、上述の実施形態によれば、第2部材70の姿勢変化が滑らかに実行可能である。
【0088】
[実施形態の変形例1]
上述の実施形態においては、スキャナ筐体51の下面側に、凹部55が形成されていた。しかし、スキャナ筐体51の下面側に、凹部55が形成されていなくもよい。このような構成であっても、上述の実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。この場合、第1部材60及び第2部材70は、例えば、凹部55ではなくスキャナ筐体51の下面56に取り付けられる。
【0089】
変形例1においては、凹部55が形成されていない。このため、天板61はスキャナ筐体51の下面56に対向する。また、左板62及び右板63は、天板61の左右方向9における両端から、スキャナ筐体51の下面56から離間する向き、つまり概ね下向きに延びている。また、上述の実施形態において、スキャナ筐体51の凹部55の底面56Aに形成されていた孔は、スキャナ筐体51の下面56に形成される。また、L状突起66は、天板61からスキャナ筐体51の下面56に向かって立設されている。
【0090】
変形例1の場合、第1部材60及び第2部材70が収容される凹部55がない。そのため、第1部材60及び第2部材70がスキャナ筐体51の下側から突出してしまい、スキャナ筐体51がプリンタ筐体52に対して閉姿勢をとることができないおそれがある。その対策として、例えば、スキャナ筐体51の下面56側に形成された内側面59(図2参照)が、上述の実施形態の場合よりも下側へ長く形成されればよい。これにより、第1部材60及び第2部材70がスキャナ筐体51の下側から突出することが防止される。その結果、スキャナ筐体51がプリンタ筐体52に対して閉姿勢をとることができる。なお、変形例1において、第1部材60及び第2部材70は、内側面59に取り付けられてもよい。
【0091】
また、別の対策として、スキャナ筐体51の下面側に凹部55が形成されない代わりに、プリンタ筐体52の上面側に凹部が形成されてもよい。
【符号の説明】
【0092】
51・・・スキャナ筐体
52・・・プリンタ筐体
60・・・第1部材
64・・・凸部
65・・・凸部
70・・・第2部材
73・・・ガイド溝
74・・・側壁
75・・・側壁
78・・・突起
79・・・突起
80・・・第3部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、
上記第1筐体の上側に回動軸を介して連結されて上記第1筐体に対して開姿勢及び閉姿勢に回動可能に設けられた第2筐体と、
上記第2筐体の下面の上記回動基端側に固定された第1部材と、
上記第2筐体の下面の上記回動先端側に対して回動可能に設けられており、上記回動基端側から上記回動先端側へ延びるガイド溝を有しており、上記第1部材に収容される第1姿勢、及び上記第1部材に対して少なくとも一部が上記第1姿勢よりも下側に位置する第2姿勢に姿勢変化可能な第2部材と、
第1端側が上記第1筐体における上記回動軸と反対側に回動可能に連結され、第2端側が上記第2部材のガイド溝に摺動可能に連結されており、上記第2筐体が上記第1筐体に対して開姿勢である状態において、上記第1筐体に対して起立して開姿勢の上記第2筐体を支持する第3部材と、を備え、
上記第2部材は、互いに対向する一対の壁により上記ガイド溝が形成されており、上記第3部材の第2端側が当該一対の壁と摺動し、当該一対の壁の少なくとも一方に形成されており上記第3部材の第2端が係入される長孔を有しており、
上記一対の壁は、上記第1部材へ向かって突出する突起を有しており、
上記第1部材は、上記一対の壁へ向かって突出する凸部を有しており、
上記第1部材が上記一対の壁を挟んだ状態且つ上記凸部及び上記突起が対向した状態で、上記第1姿勢の上記第2部材を収容するものである開閉装置。
【請求項2】
上記ガイド溝は、上記第3部材の第2端側よりも広い幅の第1空間、及び上記第3部材の第2端側よりも狭い幅の第2空間で構成されており、
上記第2部材は、上記第2空間を移動される上記第3部材の第2端側に内側から圧接され、
上記凸部は、上記第2部材が上記第1姿勢の状態において、上記第3部材の第2端側に内側から圧接された上記第2部材の上記突起に圧接される請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
上記第2筐体の下面側に、上記回動軸の回動基端側から回動先端側へ延びる凹部が形成されており、
上記第1部材は、上記凹部に収容された状態で、上記凹部の上記回動基端側に固定されており、
上記第2部材は、上記凹部の上記回動基端側に対して回動可能に設けられている請求項1または2に記載の開閉装置。
【請求項4】
上記第1部材は、回動基端側から回動先端側へ延びる方向に沿って屈曲された板形状であって、上記凹部の底面に対向する第1板と、上記第1板の両端から上記凹部の側面に沿って延びており上記凹部の側面に対向する一対の第2板とで構成されており、
上記凸部は、上記第2板に設けられている請求項3に記載の開閉装置。
【請求項5】
上記第1部材は、上記第1板から上記凹部の底面に向かって立設されており、上記第2筐体の上記凹部の底面に設けられた係合部と係合可能な被係合部と、上記第1板から上記第2板に亘って形成された開口と、を更に備え、
上記被係合部及び上記凸部は、上記第1部材の回動基端側から回動先端側へ延びる方向において、上記開口と同位置に設けられている請求項4に記載の開閉装置。
【請求項6】
上記第1部材は、回動基端側から回動先端側へ延びる方向に沿って屈曲された板形状であって、上記第2筐体の下面に対向する第1板と、上記第1板の両端から上記第2筐体の下面から離間する向きに延びた一対の第2板とで構成されており、
上記凸部は、上記第2板に設けられている請求項1または2に記載の開閉装置。
【請求項7】
上記第1部材は、上記第1板から上記第2筐体の下面に向かって立設されており、上記第2筐体の下面に設けられた係合部と係合可能な被係合部と、上記第1板から上記第2板に亘って形成された開口と、を更に備え、
上記被係合部及び上記凸部は、上記第1部材の回動基端側から回動先端側へ延びる方向において、上記開口と同位置に設けられている請求項6に記載の開閉装置。
【請求項8】
上記開口の端位置は、上記長孔に係入された上記第3部材の第2端よりも上記第1板側である請求項5または7に記載の開閉装置。
【請求項9】
上記一対の第2板の相互の間隔は、上記第1板から離間するにしたがって大きくなる請求項4から8のいずれかに記載の開閉装置。
【請求項10】
上記凸部の先端面の相互の間隔は、上記第1板からの距離にかかわらず一定である請求項4から9のいずれかに記載の開閉装置。
【請求項11】
上記凸部の上記第1板から離間した側の側面は、上記凸部の先端面から上記第2板まで延びた傾斜面を構成している請求項4から10のいずれかに記載の開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−232473(P2012−232473A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102401(P2011−102401)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】