説明

間仕切り用組立て家具

【課題】比較的広い単一の空間内に配置して任意の特定機能空間を形成する間仕切り用組立て家具を提供する。
【解決手段】本発明のベーシック組立て家具10、クローゼット用組立て家具20、TV台用組立て家具30、それに、キッチン用組立て家具40を図7に示す空間に配置した例を示す。同図に示す例において、前記組立て家具を配置することによって、リビング・ダイニング、主寝室、キッチン廊下、収納のための空間を創り出すことができる。リビングと寝室を創り出すに際しては完全に視界を遮るための廊下がウォークインクローゼットとしての機能を持たせている。これによって、玄関ホールとの境界も形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の組立て部材を組み合わせて形成された家屋空間を間仕切りするための組立て家具に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋内には、リビング、ダイニングなどの複数の生活空間を設けられ、それぞれの生活空間には衣服、種々の小物を収納するラック、テレビを載置するテレビ台、その他の調度品のための大きさや形状がまちまちの複数種類の収納家具を隅位置に配置するのが通常である。
【0003】
これらの複数種類の収納家具を配置するに当たっては、それぞれの家具の機能と大きさに対応できない空間的な制限がある場合が多い。
【0004】
このような収納家具の設置箇所の空間的な制限に対応するため、全体の専有面積それぞれの機能を有するユニットを集合した、いわゆるユニット家具が多く提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、様々な機能のバリエーションを有する組合せ家具を簡単にしかも安価に展開できる組合せ家具が提案されている。この組合せ家具は、床面に設置される1又は複数のベース収納ユニットと、同じく床面に設置される1又は複数の縦長の第1収納ユニットと、前記ベース収納ユニット上に設置される1又は複数の第2収納ユニットとを適宜組み合わせて、相互間を連結部材を介して連結することによって組立てられるものである。
【0006】
そして、その効果として、各収納ユニットとして、高さや幅、収納形態の異なる数種類のタイプを用意することによって、バリエーション展開の幅がさらに拡大し、使用者の要望に対してよりきめ細やかに対応することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−308539
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の組立て家具は、専ら中央部の居住空間を阻害しないことが基本となっているため、部屋の隅部の狭い域に配置するように設計されており、そのため、配置上も、収納機能も制限されるという欠点がある。
【0009】
また、収納態様を考えたとき、従来は、用途に合わせてデザインも素材も大きさも違う家具を購入していた。そのため、空間に統一感はなく、なおかつ、家具は壁側に設置しなければならないようになっていた。
【0010】
一方、分譲マンションに限らず一戸建て住宅においても、近年のモデルとして、10畳以上、あるいは、20畳以上の比較的広い空間が中心になっており、その部屋に配置される家具も隅部に限られず任意の場所に対応でき、間仕切りとしての機能を有するものが望まれるようになってきた。
【0011】
この発明の第1の課題は、任意の物品や器具の収納機能を有し、比較的広い部屋空間に任意の位置にセンターウォールとして配置でき、また、間仕切り用としても好適に使用される組立て家具を提供することにある。
【0012】
他の課題は、それに加えて、簡単に組立てと分解ができ、任意に機能の追加も可能な組立て家具を提供することにある。
【0013】
また、他の課題は、比較的広い部屋空間に任意に配置でき、部屋の間仕切り、センターウォールとして機能する組立て家具を提供することにある。
【0014】
さらに、他の課題は、基礎的な大きさ、デザインが同じ単位部材からなり、用途により自由な組み合わせを可能にし、さらには、居住空間の任意の箇所に自在に配置できる組立て家具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明は、比較的厚めの板材によって形成された天板と、前記天板と同一厚み、同一巾、同一長さの板材によって形成された背板と、前記天板と同一厚み、同一巾であって、この巾と同一高さの板材からなる両側板とから形成される組立て部材を任意数に積み上げたことを基本構成とする間仕切り用の組立て家具である。
【0016】
前記基本構成を有する組立て家具の任意間隔位置に、天板を配置して、任意間隔の段付き家具としたり、組立部材の数によって高さを調整して各種電気器具配置家具を配置したり、任意高さ位置に水回り、炊事器具を配置して、炊事専門の家具とすることもできる。
【0017】
上記各部材の高さ、巾、長さ、さらには厚みが、天板を基準にして一定のサイズとなっているため外面がスムーズであって、さらに、その外面に化粧板を施すことによって、部材の数によらず、何れの組立物も単独に家具として使用し、また、パーティション機能とともに各種の用度品を収納する空間を有する組立て家具とすることができる。
【0018】
この複数種類の部材は、前記両側板と背板からなる部材を第1の部材とし、これを基礎部材として、これに天板を設けた部材を第2の部材とし、さらに、これらの部材に、引き出し、棚、その他の洗面、調理器具を設けた第3の部材を任意に組み合わせて、種々の機能を持つパーティション機能を持つ家具とすることもできる。
【0019】
さらに、各部材を他の部材と組み合わせた際、組立て家具の正面、側面は勿論、それぞれの部材の背面には化粧面が形成されるので、居住空間の中央に組立て家具は、居住空間の環境と違和感のないパーティション、センターウォールとして機能させることができる。
【0020】
それぞれの部材と天板用の素材としては、木材、プラスチック、金属等、任意の素材を用いることができ、また、各部材の組立てには、通常のダボ、または、スライド型の組立て、さらに、組立て金具を使用することができる。
【0021】
とくに、耐震性の点から、組立て家具に底面には、耐震ゴムを配置した上に、組立て家具全体を一体的に固定することが有効である。
【発明の効果】
【0022】
この発明による組立て家具は、各組立部材単位を任意組み合わせることによって、ライフスタイルの変化や成長に合わせて自由に収納機能を変え、また、高さと収納量の大きさに調整することができ、また、複数の組立て家具を連結してセンターウォールとしての機能を持たせることができる。
【0023】
さらに、その組立て配置に際しては、格別の熟練を要することなく行うことができるので、居住環境の変化に応じて簡単に部屋内の模様替えが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る組立て家具の構成部材の例を示す。
【図2】本発明の構成部材を使用したパーティション用の家具を示す。
【図3】同じく、クロークに適した組立て家具を示す。
【図4】同じく、テレビ台付の組立て家具を示す。
【図5】同じく、キッチン用組立て家具を示す。
【図6】同じく、洗面用組立て家具を示す。
【図7】家具を配置する前のワンルームの居住空間を示す。
【図8】本発明の家具を配置したのちの居住空間を示す。
【図9】本発明の家具を配置した居住空間の斜景を示す。
【図10】本発明の家具を組立てるに際しての各構成部材を相互に固定するための手段を説明する図である。
【図11】同じく各構成部材の固定手段の配置を示す。
【図12】固定手段の取り付け要領を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を、素材として厚みが10mmの木材を使用した例によって説明する。
【実施例】
【0026】
(組立て家具のための構成部材の説明)
図1は本発明の組立て家具の構成部材の例を示す。同図において、101は、長さが、1680mm、巾が600mm、厚みが10mmの組立て家具の天板を示し、1は四角形の側板11と背板12からなる第1の部材を示し、2はこの第1の部材1に、天板101よりも厚みが薄い部材天板21を取り付けた第2の部材を示し、また、第2の部材2に扉31を設けた第3の部材3を示す。さらに、4と5は、それぞれ、第2の部材2に引き出し41、51とを取り付けた第4の部材と第5の部材を示している。51は、第4の部材4の引き出し41に代えて、第4の部材に取り付けたガラス製の引き出しを示す。上記部材2、3,4の側板と背板のサイズは、部材1の側板11と背板12と同一サイズで形成され、これによって、部材2から4の外形サイズは、部材1の外形と同一に形成され、背板または側板の適宜の頂面にダボ穴を設けることによって、ダボ材を用いて任意に相互に連結できるようになっている。また、それぞれの部材には、各種の金具を埋め込んだ構造とすることで、さらに、各部材の組立を簡単にすることもできる。
【0027】
また、図1に示す6と7は、それぞれ、本発明における組立て家具の部材として用いる調理用の部材と、洗面用の部材を示し、それぞれの側板と背板のサイズも、組立部材1の側板11と背板12と同一サイズで形成され、第2から第5の部材同様に、ダボ機構によって組立てが可能な構造となっている。
【0028】
これらの部材の各面は、居住空間に露出された状態で他の部材と連結され、組立て家具の一部として露出されるようになるので、全面にタイルや大理石加工を含めた各種の化粧板加工を施しておく。
【0029】
(組立て家具の例)
図2から図6は、図1に示す構成部材を使用して組立てた家具の例を示す。
【0030】
図2に示す第1の組立て家具10は、図1に示す部材1を5個積み重ね、この頂部に天板101を取り付けた一番ベーシックな組立て家具ユニットであって、部屋の間仕切りやベッドのバックボードとして使用できる。
【0031】
図3に示す第2の組立て家具20は、天板101に第1の部材1に第2の部材2を、さらに第1の部材1を2個と、引き出し付部材4をダボ連結したものである。この家具は、主にクローゼットとして使用され、このユニットを間仕切りとして配置することでW.I.C.(ウォークインクローゼット)として部屋創りが可能になる。
【0032】
図4に示す第3の組立て家具30は、図3に示す第2の組立て家具20の下位部材4の代わりに、図1に51として示すガラス引き出しを用いたもので、主にTV台として使用される。
【0033】
図5に示す第4の組立て家具40は、図1に示す第3の部材3に、第1の部材1を2個組合せ、その下位置にキッチン用部材6を配置し、さらにその下に、第1の部材1を配置し、キッチン用部材6に配管401で設けて完成する。この家具は、キッチン家具40として機能し、設備機器は後付けとする。このキッチンも部屋の中央部に設置することもでき、間仕切りとしての機能も具備する。
【0034】
図6に示す第5の組立て家具50は、図5に示す第4の組立て家具40に設けたキッチン用部材6の代わりに、図1に示す洗面具付部材7を取り付け、その上位置の部材1に鏡501を設け、洗面具に配管502を設けたものである。そして、この組立て家具も、間仕切りとしての機能も持ち合わせる。
【0035】
上記の各種の組立て家具には、図示しない各種の機能材を任意に組み合わせることも可能である。
【0036】
(組立て家具の配置例)
図7は、本発明の組立て家具を配置する前の居住空間を示す。この場合、リビング、寝室、廊下、と区別がつかない状況になっており、収納空間が不足している。従来の収納棚を窓際、壁際等に配置したのでは、折角の広い居住空間は狭くなってしまう。
【0037】
そこで、前記本願発明に係る構成部材を利用した組立て家具を居住空間に配置することによって、収納空間を充分にとることができ、しかも、組立て家具を居住空間に配置することによって自然なパーティション(センターウォール)を形成することができる。
【0038】
図8は、上記の本発明のベーシック組立て家具10、クローゼット用組立て家具20,TV台用組立て家具30,それに、キッチン用組立て家具40を図7に示す空間に配置した例を示す。同図に示す例において、前記組立て家具を配置することによって、リビング・ダイニング、主寝室、キッチン廊下、収納のための空間を創り出すことができる。リビングと寝室を創り出すに際しては完全に視界を遮るための廊下がウォークインクローゼットとしての機能を持たせている。これによって、玄関ホールとの境界も形成される。
【0039】
また、リビング空間は組立て家具を設置するだけで完成する。一方、寝室にもテレビ台を置くためセンターウォールとして家具30を配置する。ダイニングには、キッチンが丸見えのためにここにもセンターウォールを計画し、家具40を配置することで食器棚も形成される。リビングとキッチンの空間を分けることと収納箇所を創りだすことができる。
【0040】
この例は、新婚夫婦用として創り出されたものであるが、子供の誕生と成長に応じて、内装専門家の手を煩わせることなく、各家具の組立方と配置を変更するだけで大がかりなリフォーム工事をすることなく、手軽に間取りを変更できる。
【0041】
また、図9は、本発明の組立て家具を配置した居住空間内部を示す斜視図である。これによって、居住空間に配置された本発明の組立て家具は、任意に収納庫付のセンターウォールを空間に圧迫感を与えることなく配置でき、快適な居住空間を形成できる。このように、本願発明の組立て家具は、シンプルなデザインで如何なるインテリアにも溶け込んだ雰囲気とすることができる。
【0042】
(家具の組立と固定)
本発明の家具の組立てに際しては、前述のとおり、通常、各部材の端頂面にダボ穴を設け、それらのダボ穴間をダボ材を用いて相互に連結できるようになっており、また、それぞれのダボ穴に特殊な取り付け金具を埋め込んだ構造とすることで、さらに、各部材の組立を簡単に、且つ、強固にすることができる。
【0043】
さらに、本発明の家具を広いフロワー空間のセンターウォールまたは間仕切りとして居住空間内に配置するに際しては、震度が6以上の地震に対しての耐震対策を採る必要がある。
【0044】
この耐震対策としては、例えば、フロワーと組立て家具の間に耐震ゴムを配置したり、構成部材間を各種の固定金具によって連結することもできるが、本発明に係る組立て家具をセンターウォールとして家屋内空間内に配置するためには、この固定金具が家具の外面に露出して著しく折角の家具の外観を損なうという問題を生じる。
【0045】
図10から図12に示す耐震構造6は、図2に示す構成部材1によって組立てられた家具の外観と機能、さらには、組立てに際しての簡便さに悪影響を及ぼすことなく、耐震機能を発揮できる。
【0046】
それぞれの図において、図10は、この耐震構造6を図2の家具10において、天板101を取付ける前の第1の構成部材1−1,1−2,1−3,1−4、1−5を5段に組立てた家具本体102の側板に施したものである。なお、7は、構成部材1−1,1−2,1−3,1−4、1−5との間、それに、天板101と最上緞の構成部材1−1の間を連結するダボを示す。
【0047】
耐震構造6は、各構成部材1−1,1−2,1−3,1−4、1−5のそれぞれの側板11内の上下方向に緊張状態で通された2mm径程度のワイヤ61によって形成されている。
【0048】
図11は、耐震構造6を構成するワイヤ61の挿入部を、図10に示す組立て家具10の本体102を構成する各構成部材1の上面によって示す図である。この図11において、それぞれの構成部材1の上端面には、複数のダボ7の他に、その側板11の上端面には、強化用ワイヤを通すためのワイヤ挿入部62が複数箇所(図示の場合は、それぞれの側板の上端面に2箇所)に形成されている。このワイヤ挿入部62から下方向にワイヤの挿通穴63が、組み立てられた組立家具10を構成する部材1−1から1−5にかけて穿設されている。
【0049】
さらに、図12は、ワイヤ61によって形成された耐震構造6の全体を構成部材1−1〜1−5の断面によって示す。
【0050】
図10を参照して、図12に示す最上段の構成部材1−1の頂部面に形成されたワイヤ挿入部62は、構成部材1−1の内部を真下に穿設された挿通穴63に通じ、さらに、この最上段の構成部材1−1に形成された挿通穴63は、第2段の構成部材1−2の挿入部62から挿通穴63に通じ、最終的には、最下段の構成部材1−5の挿入穴62から最下段の挿通穴63に通じている。そして、最下段の構成部材1−5の内面側には、最上段の構成部材1−1のワイヤの挿入穴62から、挿入されたワイヤ61の先端を抽出して留めるワイヤの留止穴64が形成されている。
【0051】
このようにワイヤによる耐震構造6は、ワイヤ61を最上段の部材1−1の挿入穴62から挿入し、最上段の挿通穴63から、第2段の部材1−2,第3段の部材1−3,第4段の部材1−4、および最終段の部材1−5のそれぞれの挿入穴62と挿通穴63を経て、最終的には、最終段の部材1−5の内面に形成された留止穴64に抽出する。そして、最上段の部材1−1の挿入穴62内のワイヤを通称ポッチによって固定した後、留止穴64に抽出したワイヤを緊張して、その先端部分をクリップによって留止固定する。
【0052】
この耐震と固定を兼ねた構造6によって、組立て家具10は、各構成部材1−1から1−5に強固に緊締されることになる。耐震試験の結果、震度6弱の地震に相当する揺れに対しても全く崩壊することはなかった。
【符号の説明】
【0053】
101 組立て家具の天板
102 組立て家具の本体
1 第1の構成部材 11 側板 12 背板
2 第2の構成部材 21 部材天板
3 第3の構成部材 31 扉
4 第4の構成部材 41 引き出し
5 第5の構成部材 51 ガラス製の扉
10 第1の組立て家具
20 第2の組立て家具
30 第3の組立て家具
40 第4の組立て家具 401 キッチン用部材の配管
50 第5の組立て家具 501 鏡 502洗面具の配管
6 耐震構造 61 ワイヤ 62 ワイヤ挿入部 63 ワイヤ挿通穴

64 抽出ワイヤ留止穴
7 組立てダボ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
比較的厚めの天板と、
前記天板と同一厚み、同一巾、同一長さの板材によって形成された背板と、前記天板と同一厚み、同一巾であって、この巾と同一高さの板材からなる両側板から形成された複数の部材からなり、
前記天板と前記各部材の背板と両側板との内外面には化粧板が施されており、
前記天板と前記複数の部材を任意に選択して組立てた組立て家具。
【請求項2】
前記複数の部材が、背板と両側板から形成される第1の部材と、この第1の部材の上面に天板を設けた第2の部材と、この第1の部材に機能部材を設けた第3の部材からなる請求項1に記載の組立て家具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の組立て家具の複数個を、居住空間に配置して、寝室、リビング、キッチン、廊下等の機能空間を創り出す組立て家具の配置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−427(P2011−427A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114456(P2010−114456)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(500292080)株式会社槇 (1)
【Fターム(参考)】