説明

関節置換術に用いるための器具

【課題】外側進入路を用いる関節置換術に利用できる器具を提供すること。
【解決手段】長骨の骨頭が関節プロテーゼコンポーネントで置換される外科手術で前記長骨の骨頭の切除平面の位置を決定するための器具であって、長骨の軸に対して平行に配置できる軸方向基準シャフトと、軸方向基準シャフトに対して移動可能な切除ガイドと、を含む。この切除ガイドは、一側における長骨の縁に用いる、長骨に対する配置のための基準ブロック、および切除ガイドから骨頭の表面の上に延在できるように形成された少なくとも1つのアームを備えており、長骨の軸に沿った基準ブロックの位置をアームが接触する長骨の骨頭の機能構造を基準にセットできるように、アームを骨頭の機能構造に対して配置できる。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、長骨と他の骨との間の関節に関節プロテーゼを移植する手術に用いられる器具に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
関節置換術を行うために用いる切開部の大きさを最小にするのが望ましい。これは、患者の回復時間の短縮に役立つ。切開部が小さいために、視覚的な検査のための組織へのアクセスが制限されている場合、例えば、切除平面の位置の決定の際に組織の構成要素の位置を求めるために器具を用いる必要があろう。
【0003】
肩関節置換術に一般的に用いられる技術では、前切開部が形成される。関節を外すために三角筋が分離される。このような処置を行うために必要な切開部により、上腕骨頭を視認して、切除平面の適切な位置を決定することができる。
【0004】
〔発明の概要〕
本発明は、外側進入路を用いる関節置換術に利用できる器具を提供する。上外側進入路を用いることにより、軟組織損傷の軽減という利点を得ることができ、比較的小さな切開部を用いることも可能である。
【0005】
したがって、一態様では、本発明は、長骨の骨頭が関節プロテーゼコンポーネントで置換される外科手術で長骨の骨頭の切除平面の位置を決定するための器具を提供する。この器具は、長骨の軸に対して平行に配置できる軸方向基準シャフトと、軸方向基準シャフトに対して移動可能な切除ガイドと、を含む。この切除ガイドは、一側における長骨の縁に用いる、長骨に対する配置のための基準ブロック、および切除ガイドから骨頭の表面の上に延在できるように形成された少なくとも1つのアームを備えており、長骨の軸に沿った基準ブロックの位置をアームが接触する長骨の骨頭の機能構造を基準にセットできるように、アームを骨頭の機能構造に対して配置できる。
【0006】
別の態様では、本発明は、関節置換術で長骨の骨頭を切除する方法を提供する。この方法は、a.軸方向基準シャフトが長骨の軸に平行に延びるように、軸方向基準シャフトを含む器具を長骨に対して配置するステップと、b.軸方向基準シャフトに対して切除ガイドを移動させるステップであって、切除ガイドが、長骨の外側の縁に用いる、長骨に対する配置のための基準ブロック、および切除ガイドが骨頭の上面の上に延在できるように形成された少なくとも1つのアームを備えており、長骨の軸に沿った基準ブロックの位置をアームが接触する長骨の骨頭の機能構造を基準にセットできるように、アームを骨頭の機能構造に対して配置できる、ステップと、を含む。
【0007】
本発明は、視覚検査することができない骨の機能構造を基準に骨の切除平面の位置を決定できる。これは、切開部を介して視認できる機能構造では、切除平面の位置を正確に決定できないため、好ましくは、この切除平面の位置を他の機能構造を基準に決定すべき場合に重要である。具体的には、長骨が、肩関節プロテーゼの上腕骨コンポーネントの移植のために切除される上腕骨である場合、上腕骨頭の上面、上腕骨頭の内側縁のリップ、またはこれらの両方を基準に切除平面の位置を決定するのが好ましいであろう。視覚検査のための上腕骨の上面または内側縁へのアクセスは、外科手術が上外側切開部を介して行われる場合は制限されうる。したがって、本発明の器具は、上外側切開部を介した肩関節置換術の実施を容易にする。このような外科手術は、肩甲下筋を解放する必要がないという点で有利である。したがって、三角筋胸筋組織(deltopectoral tissue)を通る既知の前方進入法に関連しうる術後の肩甲下筋の断裂のリスクが回避される。さらに、この外科手術を行うために必要な上外側切開部の大きさが、前方進入法に必要な大きさよりも小さい。例えば、本発明の器具を用いることを企図する外科手術は、長さが僅か6cm以下の切開部を介して行うことができる。しがたって、本発明のコンポーネントによって促進されるこの技術は、患者の回復期間の短縮に役立つ。
【0008】
上外側切開部を介して行われる肩関節置換術の別の利点は、上外側切開部がたとえ小さくても、三角胸筋組織を通る既知の前方進入法に比べて、関節窩に容易にアクセスすることができる。
【0009】
長骨の軸に沿った基準ブロックの位置は、基準ブロックとアームとの間の長骨の軸に平行な距離を適切に設定して長骨の上面を基準にセットすることができる。この外科手術の後の切除ステップのために、基準ブロックが、切除平面を画定する。アームは、切除ガイドから長骨の反対側に向かって、長骨の目的の切除平面に対してほぼ平行に延びるほぼ真直な部分を含むのが好ましい。したがって、アームと目的の切除平面との間の距離は、インプラントの大きさに一致させることができる。
【0010】
アームは通常、切除ガイドが設けられた長骨の側から、この長骨の骨頭の上を通り、切除ガイドが設けられた長骨の側とは反対側の長骨の機能構造に接触するまで延びている。
【0011】
したがって、別の態様では、本発明は、関節置換術で長骨の骨頭の置換に用いるためのキットを提供する。このキットは、請求項1〜14のいずれかに記載の器具、およびヘッドコンポーネント平面で切除された部分球の形態の外面を有するヘッドコンポーネントを含む。基準ブロックが、基準ブロック平面を画定し、アームが、基準ブロック平面に平行なアーム平面を画定している。基準ブロック平面とアーム平面との間の距離が、ヘッドコンポーネントの頂点とヘッドコンポーネント平面との間の距離にほぼ等しい。
【0012】
キットのヘッドコンポーネントは、トライアルヘッド、または患者に移植されるプロテーゼの一部とすることができる。
【0013】
アームは、関節窩内の骨の骨頭の縁、特に、関節窩にアクセスできる骨の側とは反対側の縁に取り付けできるリップを有するのが好ましい。例えば、骨の上のリップは、上外側切開部を介して行われる外科手術の際に上腕骨の骨頭の内外の縁に取り付けることができる。このリップは、アームの端部に設けることができる。長骨の骨頭の縁へのリップの係合を用いて、長骨の軸に沿った骨頭に対するアーム(したがって、基準ブロックも)の位置を決定することができる。骨とリップの係合を用いて、特にリップが骨組織の表面を刺入するのに十分に尖っている場合、アームと骨との相対運動を制限する助けることもできる。アームは、切除ガイド内をアームの長さに沿ってスライドできるように、スライド構造に切除ガイドに係合するのが好ましい。これにより、アームのリップが骨の表面に刺入するように、このリップを内側の骨の表面に向かって引くことができる。
【0014】
アームが、骨の骨頭の縁に取り付けできるリップを有する場合、このアームを用いて骨の骨頭の大きさを測定することができる。例えば、アームが、その自由端またはその近傍にリップ、および切除ガイドに向かって延びた真直部分を有する場合、この真直部分に対して垂直に測定される自由端と真直部分との間の距離が、関節プロテーゼコンポーネントの適切なサイズのヘッド部を選択する際に重要な骨頭の深さの指標となる。
【0015】
アームと基準ブロックは、軸方向基準シャフトに対して共に移動できるのが好ましい。アームと基準ブロックとの間の間隔(骨の軸に平行に測定される)は、骨の端部から切除される骨の所望の深さに従って調節できるのが好ましいであろう。例えば、アームは、クランプが解除されると、骨の軸に平行な方向に切除ガイドに沿ったアームのスライドを可能にするスライド構造にクランプ(例えば、ネジを用いて)によって切除ガイドに係合することができる。
【0016】
本器具は、切除ガイドから骨の骨頭の上面の上に延在できるように形成された、第1のアームと同様の第2のアームを含むのが好ましい。例えば、第1のアームおよび第2のアームは、髄内軸を画定する器具のコンポーネントの両側にそれぞれ位置するように配置することができる。
【0017】
本発明の器具は、骨の軸を決定するために骨の髄腔内に取り付けできる髄内要素を含むのが好ましい。例えば、髄内要素はリーマとすることができる。本器具は、髄内要素にクランプすることができ、かつ切除ガイドに係合するように髄内要素から横断方向に延びる横断方向基準シャフトを含むのが好ましい。横断方向基準シャフトは、骨の軸に対して平行に切除ガイドと共に移動することができる。横断方向基準シャフトは、切除ガイドが骨の軸に平行な横断方向基準シャフトに対して移動できるように、髄内要素に対して固定することができる。
【0018】
本発明の器具は、軸方向基準シャフトに対する切除ガイドの運動を制限するためのクランプを含むことができる。
【0019】
基準ブロックを用いて、骨の軸に対する切除平面の向きを画定することができる。基準ブロックは、目的の切除平面に延在するか、またはこの切除平面に平行な機能構造を有するのが好ましい。例えば、基準ブロックは、切除ステップで切除器具(特に鋸)の刃を案内するための表面を有することができる。基準ブロックは、別個の切除ガイドブロックを固定するべく、骨の孔の位置を画定するために孔を備えることができる。基準表面は、切除ステップで切除器具(特に鋸)の刃を案内するために用いるスロットを画定することができる。
【0020】
本発明のコンポーネントを外科手術に用いて、例えば、肩関節、肘関節、手関節、股関節、膝関節、および足関節を含め、様々な関節の要素を置換することができる。本コンポーネントは、特に上腕骨または大腿骨の骨頭の切除のための平面を決定するために、股関節および肩関節を置換する外科手術に用いるのに特に適している。
【0021】
長骨の骨頭を置換するための外科手術は、以下のステップを含む。
・切開部を形成するステップ
・骨頭を除去するために長骨を切除する平面の位置を求めるステップ
・長骨の骨頭を除去するために切除するステップ
・トライアルインプラントコンポーネント、そして最終的に関節プロテーゼのインプラントコンポーネントを受容できるように、切除された骨内に腔を形成するステップ
【0022】
この外科手術は、特に以下のステップを含むのが好ましい。
・適切な横断方向の大きさ(インプラントが円形の場合は直径となる)を有するインプラントを選択するために、トライアルディスクを用いて切除された骨の適切な幅を決定するステップ
・適切な高さを有するインプラントを選択するために、切除ガイドを用いて切除された骨の骨頭の高さを決定するステップ
・トライアルヘッドコンポーネントを用いて関節運動の際の軟組織のバランスを評価するステップ
【0023】
後続のステップには、関節プロテーゼコンポーネントの最終準備およびその移植が含まれる。
【0024】
切除ガイドの可動部品の目的の位置は、移植を受ける骨の形状および大きさが適切なイメージング技術によって評価される手術前の計画ステップの結果として決定することができる。特に基準ブロックを含む本発明の器具のコンポーネントは、これらの位置(向きも含む)を、例えば磁気トラッキング装置を用いて遠隔的にトラッキングできる機能を備えることができる。このような装置、および本発明の器具などの外科器具に含めることができる構成要素は周知である。これにより、例えば、基準ブロックの位置および向きを監視することができる。
【0025】
小さな切開部を介してトライアルインプラントコンポーネントを関節窩内に挿入しやすいように嵩張らないトライアルインプラントコンポーネントを使用するのが好ましい。
【0026】
長骨の腔は、適当な器具を用いて準備することができる。このような器具には、一般に知られているドリル、リーマ、ブローチ、およびラスプが含まれる。
【0027】
別の態様では、本発明は、上外側進入最小侵襲性肩関節形成術の方法を提供する。この方法は、以下に示す一部または全てのステップを含むことができる。
・三角繊維の方向に沿って三角筋に切開部を形成するステップ
・三角繊維に沿って三角筋を分離させるステップ
・関節上腕靭帯および烏口肩峰靭帯を除去し、2頭筋腱を解放するステップ
・切除ガイドを用いて上腕骨頭を切除するステップ
・ブローチ器具を用いて上腕骨に腔を形成するステップ
・腔内に挿入されたトライアルステムを用いてステムインプラントのサイズを決定するステップ
・トライアルヘッドを上腕骨のトライアルステムに係合させてヘッドインプラントのサイズを決定するステップ
・決定したサイズのステムインプラントおよびヘッドインプラント、およびこれらの任意の組合せを移植するステップ
【0028】
この方法は、手術部位へのアクセスを得るために三角筋を通る切開部を用いるため、外科手術の際に回旋腱板筋、特に肩甲下筋が、影響を受けたり、損傷したり、切断されることがない。結果として、患者の術後の合併症のリスクが軽減される。この方法は、多数の他の利点も有する。この方法により、患者の回復期間が短縮され、患者の肩甲下筋の断裂のリスクが低減され、肩関節が弱くなるリスクが低減され、そして肩の運動が制限されるリスクが低減される。
【0029】
この切開部は、三角繊維の方向に形成される。この切開部は、実質的に垂直に形成されるのが好ましい。三角筋を繊維の方向に分離して、この外科手術の際に三角筋が損傷しないようにするのが好ましい。三角筋を通る切開部が形成されたら、別の切開部を、回旋腱板筋を介して形成する。この回旋腱板筋を通る切開部は、棘上筋と肩甲下筋との間に形成するのが好ましい。したがって、本発明は、外科手術の際に回旋腱板筋、特に肩甲下筋が損傷しないという利点を有する。本発明の外科手術方法を受ける患者の回復期間は、従来の方法で外科手術を受ける患者の回復期間に比べて著しく短縮することができる。
【0030】
本発明のト器具は、外科器具の製造に一般に使用されているような材料、特に金属材料から形成できる。好適な例として、ある種のステンレス鋼を挙げることができる。
【0031】
〔詳細な説明〕
例として、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0032】
ここで図面を参照すると、図1は、関節窩2、およびこの関節窩と関節運動する上腕骨頭6を有する上腕骨4を含む肩関節の骨格構造を示している。三角繊維の方向に沿った三角筋における上外側切開部を介して肩関節にアクセスすることができる。関節上腕靭帯および烏口肩峰靭帯を除去し、2頭筋腱を解放することができる。三角筋は、三角繊維に沿って分離する。
【0033】
リーマ器具8を用いて、髄内腔の位置を決定して、髄内インプラント受容するための髄内腔を形成する。
【0034】
横断アーム10がリーマ器具にクランプされている。適当なクランプは、リーマ器具の周りに延びた、止めネジによってリーマ器具の周りに近接できるカラーを含むことができる。横断アームは、通路12が形成されている。
【0035】
切除ガイド14は、横断アーム10の通路12を通過できるシャフト16を含む。横断アーム10の壁部の開口に螺合する刻み付き頭を備えたネジ18をシャフトの表面に係合させて、シャフトが通路内で動かないようにアームに対して固定することができる。
【0036】
切除ガイド14は、取付けブロック20を含み、この取付けブロック内を第1のガイドアーム22および第2のガイドアーム24がスライドできる。各ガイドアームは、取付けブロックから延びた概ね真直な部分26を有しており、自由端に向かって湾曲し、折返しリップ28まで延びている。ガイドアームは、例えば各アームの表面に作用するネジ29などの適当なクランプによって、取付けブロック内をスライドしないように固定することができる。
【0037】
切除ガイド14は、下端部に基準ブロック30を含む。基準ブロックは、シャフト16に対して固定されている。基準ブロックは、ガイドアーム22、24の真直部分26に対してほぼ平行な上面32を有する。基準ブロックの上面とガイドアームの下面(基準ブロックに面した面)との間の距離は、移植する肩関節プロテーゼの上腕骨コンポーネントのヘッド部の高さと同じになるように選択される。この距離は、本器具を用いて上腕骨を切除して所定範囲の異なる高さのヘッド部を上腕骨が受容できるように調節可能である。ヘッド部が部分球の外面形状である場合、その高さは、頂点と切断された平面との間で測定される。肩関節プロテーゼの上腕骨コンポーネントの一般的なヘッド部の高さは、約15mm〜約21mmとすることができる。好ましくは、この高さは、切除された上腕骨の天然の骨頭の高さに可能な限り近づけるべきである。
【0038】
基準ブロック30は、上面32に対して平行な3つのガイド貫通孔34を有する。
【0039】
図4a−図4dは、基準ブロック30が上腕骨の外側縁に対して適切に配置された(図1−図3)後に、上腕骨の骨頭を切除するための処置の段階を示している。
【0040】
図4aに示されている第1のステップでは、ピン40が、基準ブロック30のガイド孔34内に挿入され、上腕骨の皮質骨内に進入するように外科用マレットを用いてタッピングされる。
【0041】
図4bに示されているように、基準ブロック30およびガイドアーム22、24を備えた切除ガイド14が上腕骨から取り外されている。この取外しの際は、全てのピンが互いに平行でない場合は一部または全てのピン40を取り外す必要がある。図4に示されているように、2本のピンが互いに平行である。中心の第3のピンが他の2つのピンに対して平行でないため、基準ブロック30を上腕骨から取り外せるように、この第3のピンを取り外すべきである。
【0042】
図4cに示されているように、切除ガイドブロック42が、適切な固定孔46を通るピン44(基準ブロック30のガイド孔34を通過して上腕骨にタッピングされたピンと同じピンにすることもできる)によって上腕骨に対して固定されている。外側の2つのピンが互いに対して平行であり、中心ピンが非平行な場合は、中心ピンの挿入により、上腕骨の壁面に対する切除ガイドブロックの固定が助けられる。
【0043】
切除ガイドブロック42は、図4dに示されているように、上腕骨の骨頭を切除する際に振動する鋸の刃を案内するために用いることができる切除ガイド面48を有する。
【0044】
〔実施の態様〕
(1)長骨の骨頭が関節プロテーゼコンポーネントで置換される外科手術で前記長骨の骨頭の切除平面の位置を決定するための器具において、
前記長骨の軸に対して平行に配置できる軸方向基準シャフトと、
前記軸方向基準シャフトに対して移動可能な切除ガイドと、を含み、
前記切除ガイドが、一側における前記長骨の縁に用いる、前記長骨に対する配置のための基準ブロック、および前記切除ガイドから前記骨頭の表面の上に延在できるように形成された少なくとも1つのアームを備えており、前記長骨の軸に沿った基準ブロックの位置を前記アームが接触する前記長骨の骨頭の機能構造を基準にセットできるように、前記アームを前記骨頭の機能構造に対して配置できる、器具。
(2)実施態様(1)に記載の器具において、
前記アームは、切開部から離れた側の前記長骨の骨頭の縁に取り付けることができるリップを有する、器具。
(3)実施態様(2)に記載の器具において、
前記リップは、前記アームの端部に設けられている、器具。
(4)実施態様(1)に記載の器具において、
前記アームおよび前記基準ブロックは、前記軸方向基準シャフトに対して共に移動することができる、器具。
(5)実施態様(1)に記載の器具において、
前記アームは、前記切除ガイド内で前記アームの長さに沿ってスライドできるように、スライド構造に前記切除ガイドに係合する、器具。
【0045】
(6)実施態様(1)に記載の器具において、
前記アームは、前記切除ガイドから前記長骨の反対側に向かって、前記長骨の目的の切除平面に対してほぼ平行に延びるほぼ真直な部分を含む、器具。
(7)実施態様(1)に記載の器具において、
前記長骨の軸を決定するために前記長骨の髄内腔に取付けできる髄内要素を含む、器具。
(8)実施態様(7)に記載の器具において、
前記髄内要素はリーマである、器具。
(9)実施態様(7)に記載の器具において、
前記髄内要素に締結することができ、前記切除ガイドに係合できるように前記髄内要素から横断方向に延びた横断方向基準シャフトを含む、器具。
(10)実施態様(1)に記載の器具において、
前記切除ガイドから前記長骨の骨頭の上面の上に延在できるように形成された第1のアームおよび第2のアームを含む、器具。
【0046】
(11)実施態様(1)に記載の器具において、
前記切除ガイドが前記軸方向基準シャフトに対して移動ないように前記切除ガイドを固定するためのクランプを含む、器具。
(12)実施態様(1)に記載の器具において、
前記基準ブロックは、前記目的の切除平面に延在するか、またはこの切除平面に平行な機能構造を有する、器具。
(13)実施態様(12)に記載の器具において、
前記基準ブロックは、切除ガイドブロックを固定するための前記長骨の孔の位置を画定するために孔が形成されている、器具。
(14)実施態様(12)に記載の器具において、
前記基準ブロックは、この基準ブロックが前記長骨の骨頭に適切に整合した場合に前記切除平面に一致する表面を有する、器具。
(15)関節置換術で長骨の骨頭の置換に用いるためのキットにおいて、
実施態様(1)〜(14)のいずれかに記載の器具、およびヘッドコンポーネント平面で切除された部分球の形態の外面を有するヘッドコンポーネントを含み、
前記基準ブロックが、基準ブロック平面を画定し、前記アームが、前記基準ブロック平面に平行なアーム平面を画定しており、前記基準ブロック平面と前記アーム平面との間の距離が、前記ヘッドコンポーネントの頂点と前記ヘッドコンポーネント平面との間の距離にほぼ等しい、キット。
【0047】
(16)実施態様(15)に記載のキットにおいて、
前記ヘッドコンポーネントは、トライアルヘッドである、キット。
(17)実施態様(15)に記載のキットにおいて、
前記ヘッドコンポーネントは、患者に移植されるプロテーゼの一部である、キット。
(18)関節置換術で長骨の骨頭を切除する方法において、
a.軸方向基準シャフトが前記長骨の軸に平行に延びるように、前記軸方向基準シャフトを含む器具を前記長骨に対して配置するステップと、
b.前記軸方向基準シャフトに対して切除ガイドを移動させるステップであって、前記切除ガイドが、前記長骨の外側の縁に用いる、前記長骨に対する配置のための基準ブロック、および前記切除ガイドが前記骨頭の上面の上に延在できるように形成された少なくとも1つのアームを備えており、前記長骨の軸に沿った前記基準ブロックの位置を前記アームが接触する前記長骨の骨頭の機能構造を基準にセットできるように、前記アームを前記骨頭の機能構造に対して配置できる、ステップと、
を含む、方法。
(19)実施態様(18)に記載の方法において、
磁気トラッキング装置を用いて前記基準ブロックの位置を遠隔からトラッキングするステップを含む、方法。
(20)肩関節置換術の方法において、
a.三角繊維の方向に沿って三角筋に切開部を形成するステップと、
b.前記三角繊維に沿って前記三角筋を分離させるステップと、
c.関節上腕靭帯および烏口肩峰靭帯を除去し、2頭筋腱を解放するステップと、
d.上腕骨頭を切除するステップと、
e.ブローチ器具を用いて前記上腕骨に腔を形成するステップと、
f.前記上腕骨の腔内にプロテーゼコンポーネントを移植するステップと、
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の器具が上腕骨に取り付けられた、外された肩関節の前方外側からの等角図である。
【図2】図1に示されている肩関節および器具の後方からの等角図である。
【図3】本発明の器具が取り付けられた上腕骨頭の前方からの拡大図である。
【図4a】上腕骨の骨頭の切除平面の位置を決定し、その切除を行うための外科手術の第1の段階を示す図である。上腕骨は、支持面の極軸に対して垂直な上腕骨のほぼ球状の支持面の縁をマークする平面付近で切除すべきである。
【図4b】上腕骨の骨頭の切除平面の位置を決定し、その切除を行うための外科手術の第2の段階を示す図である。
【図4c】上腕骨の骨頭の切除平面の位置を決定し、その切除を行うための外科手術の第3の段階を示す図である。
【図4d】上腕骨の骨頭の切除平面の位置を決定し、その切除を行うための外科手術の第4の段階を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長骨の骨頭が関節プロテーゼコンポーネントで置換される外科手術で前記長骨の骨頭の切除平面の位置を決定するための器具において、
前記長骨の軸に対して平行に配置できる軸方向基準シャフトと、
前記軸方向基準シャフトに対して移動可能な切除ガイドと、を含み、
前記切除ガイドが、一側における前記長骨の縁に用いる、前記長骨に対する配置のための基準ブロック、および前記切除ガイドから前記骨頭の表面の上に延在できるように形成された少なくとも1つのアームを備えており、前記長骨の軸に沿った基準ブロックの位置を前記アームが接触する前記長骨の骨頭の機能構造を基準にセットできるように、前記アームを前記骨頭の機能構造に対して配置できる、器具。
【請求項2】
請求項1に記載の器具において、
前記アームは、切開部から離れた側の前記長骨の骨頭の縁に取り付けることができるリップを有する、器具。
【請求項3】
請求項2に記載の器具において、
前記リップは、前記アームの端部に設けられている、器具。
【請求項4】
請求項1に記載の器具において、
前記アームおよび前記基準ブロックは、前記軸方向基準シャフトに対して共に移動することができる、器具。
【請求項5】
請求項1に記載の器具において、
前記アームは、前記切除ガイド内で前記アームの長さに沿ってスライドできるように、スライド構造に前記切除ガイドに係合する、器具。
【請求項6】
請求項1に記載の器具において、
前記アームは、前記切除ガイドから前記長骨の反対側に向かって、前記長骨の目的の切除平面に対してほぼ平行に延びるほぼ真直な部分を含む、器具。
【請求項7】
請求項1に記載の器具において、
前記長骨の軸を決定するために前記長骨の髄内腔に取付けできる髄内要素を含む、器具。
【請求項8】
請求項7に記載の器具において、
前記髄内要素はリーマである、器具。
【請求項9】
請求項7に記載の器具において、
前記髄内要素に締結することができ、前記切除ガイドに係合できるように前記髄内要素から横断方向に延びた横断方向基準シャフトを含む、器具。
【請求項10】
請求項1に記載の器具において、
前記切除ガイドから前記長骨の骨頭の上面の上に延在できるように形成された第1のアームおよび第2のアームを含む、器具。
【請求項11】
請求項1に記載の器具において、
前記切除ガイドが前記軸方向基準シャフトに対して移動ないように前記切除ガイドを固定するためのクランプを含む、器具。
【請求項12】
請求項1に記載の器具において、
前記基準ブロックは、前記目的の切除平面に延在するか、またはこの切除平面に平行な機能構造を有する、器具。
【請求項13】
請求項12に記載の器具において、
前記基準ブロックは、切除ガイドブロックを固定するための前記長骨の孔の位置を画定するために孔が形成されている、器具。
【請求項14】
請求項12に記載の器具において、
前記基準ブロックは、この基準ブロックが前記長骨の骨頭に適切に整合した場合に前記切除平面に一致する表面を有する、器具。
【請求項15】
関節置換術で長骨の骨頭の置換に用いるためのキットにおいて、
請求項1〜14のいずれかに記載の器具、およびヘッドコンポーネント平面で切除された部分球の形態の外面を有するヘッドコンポーネントを含み、
前記基準ブロックが、基準ブロック平面を画定し、前記アームが、前記基準ブロック平面に平行なアーム平面を画定しており、前記基準ブロック平面と前記アーム平面との間の距離が、前記ヘッドコンポーネントの頂点と前記ヘッドコンポーネント平面との間の距離にほぼ等しい、キット。
【請求項16】
請求項15に記載のキットにおいて、
前記ヘッドコンポーネントは、トライアルヘッドである、キット。
【請求項17】
請求項15に記載のキットにおいて、
前記ヘッドコンポーネントは、患者に移植されるプロテーゼの一部である、キット。
【請求項18】
関節置換術で長骨の骨頭を切除する方法において、
a.軸方向基準シャフトが前記長骨の軸に平行に延びるように、前記軸方向基準シャフトを含む器具を前記長骨に対して配置するステップと、
b.前記軸方向基準シャフトに対して切除ガイドを移動させるステップであって、前記切除ガイドが、前記長骨の外側の縁に用いる、前記長骨に対する配置のための基準ブロック、および前記切除ガイドが前記骨頭の上面の上に延在できるように形成された少なくとも1つのアームを備えており、前記長骨の軸に沿った前記基準ブロックの位置を前記アームが接触する前記長骨の骨頭の機能構造を基準にセットできるように、前記アームを前記骨頭の機能構造に対して配置できる、ステップと、
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【公表番号】特表2008−541914(P2008−541914A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514229(P2008−514229)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【国際出願番号】PCT/IB2006/002189
【国際公開番号】WO2006/136955
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(507395463)デピュイ・アイルランド・リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Ireland Limited
【住所又は居所原語表記】Ringsakiddy, County Cork Ireland
【出願人】(507395544)
【氏名又は名称原語表記】LAFOSSE, Laurent
【住所又は居所原語表記】3 ave de Chavoire, F−74940 Annecy Le Vieux, France
【Fターム(参考)】