説明

防振ドリップトレイ組立体を有する飲料製造装置

本発明は飲料製造装置に関し、この飲料製造装置は、作業面(4)の上に置かれる装置ベース(21)と、ドリップトレイ(11)および格子(12)を備えて飲料製造装置の嵌め込み領域(22)内に保持されるドリップトレイ組立体(1)とを備え、ドリップトレイ組立体は、ドリップトレイ組立体が作業面の上に少なくとも部分的に支持されるように支持手段(13)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を引き起こす送水ポンプが組み込まれた飲料製造用の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料製造装置は通常、水をくみ上げその水を食品原料と混ぜるためにポンプを使用する。使用されている現行のポンプは、組み込まれると小さな振動を引き起こすピストンポンプである。この振動は、すべての装置部品が小さな振動を受けるほど顕著である。
【0003】
飲料製造装置は通常、飲料の供給先となる容器の中にすぐには落ちない滴下液体および廃液(水または飲料)を集めるようになされたドリップトレイも組み込んでいる。ドリップトレイは通常、トレイとトレイの上部に置かれる格子とで構成される。格子は、飲料が供給される容器を支持するとともに、この容器の底部が滴下液体または廃液の中に置かれないようにすることを目的としている。格子は一般に、格子をトレイから容易に取り外すことができ、トレイを空にすることができ、かつトレイおよび格子を十分に洗浄することができるように、固定手段を用いずにまたは部分的固定手段を用いてトレイの上部に単に置かれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飲料装置が飲料を製造し、ポンプによって引き起こされた振動を受けると、格子およびドリップトレイは一緒に震動しカチンと音を立てる。その場合、飲料装置は、ポンプによって直接的に引き起こされた騒音とドリップトレイ組立体によって引き起こされた間接的な騒音とにより、非常に騒々しくなる可能性がある。これらの振動に関係するもう1つの欠点は、格子上に置かれたカップも震動することがあり、それによって飲料をカップから流出させる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、上記の問題に対する解決法を提供するとともに、ドリップトレイ組立体から発せられる騒音が低減される飲料製造装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、本発明は、
作業面の上に置かれる装置ベースと、
ドリップトレイおよび格子を備えて飲料製造装置の嵌め込み領域内に保持されるドリップトレイ組立体と、
を備える飲料製造装置であって、
ドリップトレイ組立体は、ドリップトレイ組立体が作業面の上に少なくとも部分的に支持されるように少なくとも1つの支持手段を備える、飲料製造装置に関する。
【0007】
本発明の飲料製造装置は、一般に装置の様々な部品をすべて支持する装置ベースを備える。この装置ベースは一般に、作業面上、例えばテーブル上または台所の調理台上に位置する。この装置は、通常は液体の排出および洗浄を容易にするために取り外し可能であるドリップトレイ組立体を備える。ドリップトレイ組立体は、少なくともドリップトレイおよび格子を備える。ドリップトレイは、格子から液体を集める収集タンクである。格子は、ドリップトレイ上部に単に載っていてドリップトレイを覆うことができ、液体が格子の穴を通ってドリップトレイへ流れる。特定の実施形態では、格子は、格子の側面のうちの1つによりドリップトレイにヒンジ付けされ、わずかに傾けられた板、また格子上に落ちる液体がドリップトレイの方向に流れるように傾けられうる板とすることができる。飲料製造装置がカプセルから飲料を製造する装置である場合、ドリップトレイ組立体は、例えばドリップトレイの側面に取り付けられたカプセルトレイを備えることもできる。
【0008】
ドリップトレイ組立体は装置の嵌め込み領域内に保持され、この領域は一般に装置ベース内に配置される。一般にドリップトレイ組立体は取り外し可能である。
【0009】
本発明によれば、ドリップトレイ組立体は、組立体が作業面の上に少なくとも部分的に支持されるように支持手段を備える。その場合、最新技術に反して、ドリップトレイ組立体は、装置ベースの上に完全には支持されず、装置ベースの上にせいぜい部分的に支持される。その場合、ドリップトレイ組立体は、直接間接を問わず、もはや完全に装置ベース上に位置するわけではない。したがって、ドリップトレイ組立体が作業面とこのように少なくとも部分的に接触することにより、装置が振動を起こしたときにドリップトレイ組立体を固定できる。組立体は固定され、装置によって引き起こされた振動は、ドリップトレイ組立体にこれ以上は伝達されないか、または少なくとも完全には伝達されない。装置が振動すると、ドリップトレイ組立体と最終的に接触している装置の各部分は、ドリップトレイ組立体を動かさずにドリップトレイ組立体に沿って摺動する。ドリップトレイと格子がもはやカチンと音を立てることはない。
【0010】
一実施形態によれば、装置ベースには、支持手段が作業面の上に支持されるように、ドリップトレイ組立体の少なくとも1つの支持手段に面する少なくとも1つの開口がある。装置ベースの開口により、ドリップトレイ組立体が装置の嵌め込み領域内に置かれたときに、ドリップトレイ組立体の支持手段は作業面と直接接触することができる。この開口は任意の形状にすることができる。ドリップトレイ組立体の1つまたは複数の支持手段に正確に面して装置ベース内に1つまたは複数の単純な開口が存在することができ、またはすべての支持手段に面して単一の開口が存在することもできる。
【0011】
別の実施形態によれば、ドリップトレイ組立体の少なくとも一部は、ドリップトレイ組立体の少なくとも1つの支持手段が作業面の上に支持されるように、装置ベースから突き出ている。ドリップトレイ組立体は大きく突き出ている必要はなく、支持手段の長さで十分である。
【0012】
支持手段は、ドリップトレイ組立体の少なくとも一部を嵌め込み領域より例えば少なくとも0.5mm高く上げることが好ましい。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、ドリップトレイ組立体を作業面の上に完全に支持することができる。その場合、ドリップトレイ組立体は装置の他のどの部分とも接触せず、振動はドリップトレイ組立体に全く伝達されない。ドリップトレイ組立体の振動によって引き起こされる騒音は完全になくなる。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、ドリップトレイ組立体を作業面の上に部分的に支持し、かつ飲料製造装置、好ましくは装置ベースの一部の上に部分的に支持することができる。ドリップトレイ組立体は依然として装置と部分的に接触したままであるが、著しい振動がなくなり、騒音を低減することができる。最後の実施形態では、ドリップトレイ組立体のうち装置の一部の上に支持されている部分は、衝撃吸収リブによって装置と接触することができる。
【0015】
本発明の支持手段は、飲料製造装置と作業面との間を接触させるために通常使用される任意の材料で作ることができる。支持手段は、ゴム、シリコーンまたはラバーのようなノンスリップ材料で作られることが好ましい。
【0016】
本発明は、振動を引き起こす送水ポンプを備える飲料製造装置に特に有用である。さらに、本発明を実施することにより、装置の他の要素の振動に起因してカップの動きとドリップトレイ組立体とによって引き起こされる騒音を低減することもできる。
【0017】
本発明の特徴および利点は、以下の図に関連してよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態によるドリップトレイ組立体を備えた飲料装置の斜視図である。
【図2】本発明の別の実施形態によるドリップトレイ組立体を備えた飲料装置の斜視図である。
【図3】ドリップトレイ組立体がカプセルトレイを備えている、図1に示されている飲料装置と同様の飲料装置の斜視図である。
【図4】ドリップトレイ組立体用の異なる嵌め込み領域を有する、図1に示されている飲料装置と同様の飲料装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、飲料を調製するための飲料装置3を概略的に示す。飲料装置は、カバーおよびフレーム構造31と前部ハウジング32とを備える。カバーおよびフレーム構造31と前部ハウジング32は、水タンク、ポンプ、湯沸器、食品原料タンクまたは食品原料カプセル受器、混合ボウルまたはカプセル抽出器、これらの様々な要素を連結しているすべてのパイプ、ならびに飲料製造を制御する電子コントローラなどの、飲料を製造するために必要な通常の装置をすべて収容している。前部ハウジング32には、収集器および漏斗状管部分の形をとる飲料出口33がある。飲料装置は、飲料の調製および/または装置のサービスに関する短いメッセージや情報を送達するために、適切な命令手段、最終的には情報画面も有する。
【0020】
飲料装置は、作業面4上にすべての装置要素を支持するベース21を備える。ベース21には、ドリップトレイ組立体1を受容するための嵌め込み領域22がある。
【0021】
ドリップトレイ組立体1は、ドリップトレイ11と、飲料容器での通常の使用時に収集タンクを覆う格子12とを備える。格子12は、ドリップトレイ11に対して取り外し可能である。ドリップトレイには、ドリップトレイの底部に固定された、例えばゴム脚部などの支持手段13もあり、装置ベース21には、嵌め込み領域22に、ドリップトレイ組立体1が装置内に置かれたときに支持手段13に面する開口23がある。次いで、組立体が所定の位置にあると、ドリップトレイ組立体の前部は作業面4の上に支持される。ドリップトレイ組立体の後部は装置ベース上に位置し、ドリップトレイ組立体の前側は作業面上に位置する。ドリップトレイ組立体が作業面とこのように接触することにより、その接触が部分的であっても、装置が振動を起こしたときに、ドリップトレイ組立体を固定できる。ドリップトレイ組立体の後部が装置上に位置していても、組立体は固定され、装置ベースが振動すると装置ベースと接触している後部だけが装置ベース上で摺動する。
【0022】
図示されていない別の実施形態によれば、装置ベース21に開口23を設けず、そしてドリップトレイ11が嵌め込み領域22内に置かれたときに、ドリップトレイ11の前部が装置ベース21から突き出て、かつ支持手段13が作業面4上に位置するように、図1に示されているよりもドリップトレイ11を長くすることが考えられる。
【0023】
図2では、飲料装置3は、ドリップトレイにドリップトレイの底部に固定された3つの支持手段13がある点と、ドリップトレイ組立体装置の嵌め込み領域22にドリップトレイの3つの支持手段13を作業面4の上に支持できる十分大きい開口23があるという点で、図1に示されている装置とは異なる。その場合、ドリップトレイ組立体1が装置内に配置されると、ドリップトレイ組立体1は完全に作業面4の上に支持される。支持手段は、ドリップトレイの下面のいかなる部分も装置と接触しないように、ドリップトレイ組立体を十分に高く上げる。
【0024】
図3では、飲料装置3は、カプセル受容器34から装置の中に挿入された食品原料カプセルをカプセル抽出器と協働して抽出することにより飲料を提供するという点で、図1に示されている装置とは異なる。その場合、ドリップトレイ組立体はカプセルトレイ14を備え、装置の嵌め込み領域には、ドリップトレイ組立体が装置の中に挿入されたときにカプセルトレイを受容するように、対応する場所24がある。
【0025】
図4は、装置ベースプレート21内に、長方形凹部23の形をとるドリップトレイ組立体1用の嵌め込み領域22がある、図1に示されている飲料装置を示す。
【0026】
上述の実施形態は本発明を限定するものではなく例示するものであり、当業者なら添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替実施形態を設計できるであろうことに留意されたい。特許請求の範囲では、丸括弧の間の参照符号が請求項を限定するものと解釈されるべきでない。「備える(comprising)」という用語は、請求項内に挙げられたもの以外の要素またはステップの存在を除外しない。要素の前に置いた「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、複数のかかる要素の存在を除外しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業面(4)の上に置かれる装置ベース(21)と、
ドリップトレイ(11)および格子(12)を備えて飲料製造装置の嵌め込み領域(22)内に保持されるドリップトレイ組立体(1)と、
を備える飲料製造装置であって、
前記ドリップトレイ組立体は、前記ドリップトレイ組立体が前記作業面の上に少なくとも部分的に支持されるように少なくとも1つの支持手段(13)を備える、飲料製造装置。
【請求項2】
前記装置ベース(21)には、前記支持手段が前記作業面(4)の上に支持されるように、前記支持手段(13)に面する少なくとも1つの開口(23)がある、請求項1に記載の飲料製造装置。
【請求項3】
前記ドリップトレイ組立体(1)の少なくとも一部は、前記ドリップトレイ組立体の前記支持手段(13)が前記作業面(4)の上に支持されるように、前記装置ベース(22)から突き出ている、請求項1または2に記載の飲料製造装置。
【請求項4】
前記ドリップトレイ組立体(1)がカプセルトレイ(14)を備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲料製造装置。
【請求項5】
前記ドリップトレイ組立体(1)が取り外し可能である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の飲料製造装置。
【請求項6】
前記支持手段(13)が、前記ドリップトレイ組立体(1)の少なくとも一部を前記嵌め込み領域(22)より高く上げる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の飲料製造装置。
【請求項7】
前記支持手段(13)が、前記ドリップトレイ組立体(1)の少なくとも一部を前記嵌め込み領域(22)より少なくとも0.5mm高く上げる、請求項6に記載の飲料製造装置。
【請求項8】
前記ドリップトレイ組立体(1)が前記作業面(4)の上に完全に支持されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の飲料製造装置。
【請求項9】
前記ドリップトレイ組立体(1)が、前記作業面(4)の上に部分的に支持され、かつ当該飲料製造装置の一部の上に部分的に支持されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の飲料製造装置。
【請求項10】
前記支持手段(13)がノンスリップ材料で作られる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の飲料製造装置。
【請求項11】
振動を引き起こす送水ポンプを備える、請求項1〜10のいずれか一項に記載の飲料製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−500100(P2013−500100A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522102(P2012−522102)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060453
【国際公開番号】WO2011/012489
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】