説明

防振挿脱光学要素の位置制御装置

【課題】防振レンズの離脱移動を含む防振可動枠の収納移動の際に、防振コイルに過大な電流が流れることにより防振駆動用アクチュエータが壊れたり無駄な電力を消費するのを防止できる防振挿脱光学要素の位置制御装置を得る。
【解決手段】制御手段(60)は、入力手段(61)が収納指示信号を入力したとき、メインアクチュエータ(62)により進退枠(14と16または70と90)を撮影位置から収納位置へ向けて移動させて離脱駆動機構(24または102)を介して挿脱枠(20または86)を挿入位置から離脱位置へ移動させる前に、防振コイル(31、32)への通電を断って防振駆動アクチュエータ(26)を駆動状態から非駆動状態に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像振れ補正のための防振駆動と、防振駆動範囲外への離脱駆動とが可能な光学要素の位置制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイスコイルモータを用いた防振駆動装置は、光軸直交方向における位置が拘束された拘束枠と、この拘束枠に光軸直交方向に移動可能に支持した防振可動枠(防振レンズ)と、防振駆動アクチュエータ(防振コイル)とを有し、この防振駆動アクチュエータ(防振コイル)の通電制御によって拘束枠に対して防振可動枠を光軸直交平面内で駆動制御している。このような防振駆動装置では、防振駆動アクチュエータ(防振コイル)の非通電時に防振可動枠を特定位置で保持する作用がないので、防振可動枠のがたつきを抑えるために、別部材を用いて防振可動枠を拘束枠に対してロックする場合がある。
【0003】
例えば特許文献1では、光軸直交平面内で回転して防振可動枠(防振レンズ)の移動制限位置と移動制限解除位置とに移動可能な移動制限部材(ロックシャフト)を設けて、防振駆動アクチュエータ(防振コイル)の非通電時に、この移動制限部材を移動制限位置に位置させることで防振可動枠(防振レンズ)をロックしている。また特許文献2では、防振駆動アクチュエータの防振磁石とは別部材の復帰磁石を設けて、防振駆動アクチュエータ(防振コイル)の非通電時に、この復帰磁石を用いて防振可動枠(防振レンズ)をセンタリングさせている。
【0004】
一方、レンズ鏡筒のコンパクト化(薄型化)の目的で、撮影を行わない収納状態において防振レンズを光軸外へ離脱移動させる技術が提案されている。例えば特許文献3では、防振駆動アクチュエータ(防振コイル)により光軸直交平面内で移動する防振可動枠に防振レンズを回転可能に軸支し、メインアクチュエータ(ズームモータ)によって防振可動枠を撮影位置から収納位置に移動させ始めた後に、まず防振可動枠を防振駆動アクチュエータでセンタリングしてからストッパ部材で固定し、次いで防振駆動アクチュエータの通電をオフにし、最後に防振レンズをカムバー(離脱駆動機構)により光軸外に離脱移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−271607号公報
【特許文献2】特開2010−128389号公報
【特許文献3】特開2007−206210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3の構成にあっては、防振駆動アクチュエータに通電したままメインアクチュエータによる防振可動枠の収納移動が開始されるので、この収納移動中に防振駆動アクチュエータが防振可動枠を初期位置に移動させるために駆動し続ける結果、防振コイルに過大な電流が流れて防振駆動アクチュエータが壊れたり無駄な電力を消費するおそれがある。
【0007】
本発明は以上の問題意識に基づいて完成されたものであり、防振レンズの離脱移動を含む防振可動枠の収納移動の際に、防振コイルに過大な電流が流れることにより防振駆動用アクチュエータが壊れたり無駄な電力を消費するのを防止できる防振挿脱光学要素の位置制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の防振挿脱光学要素の位置制御装置は、防振挿脱光学要素を有する撮影光学系;上記撮影光学系の光軸方向の撮影位置と収納位置との間を移動する進退枠;上記進退枠を撮影位置と収納位置との間で駆動するメインアクチュエータ:上記進退枠に、上記撮影光学系の光軸と直交する方向に移動可能に支持された防振可動枠;上記進退枠と防振可動枠の一方と他方に設けられた防振コイルと防振磁石を備え、上記防振コイルの通電制御によって上記進退枠に対して上記防振可動枠を光軸直交平面内で駆動制御する防振駆動アクチュエータ;上記防振挿脱光学要素を保持した挿脱枠;この挿脱枠は、上記撮影位置において上記撮影光学系の光軸上に上記防振挿脱光学要素を位置させる挿入位置と、上記収納位置において上記撮影光学系の光軸上から上記防振挿脱光学要素を離脱させる離脱位置との間を移動可能に上記防振可動枠に支持されていること;上記メインアクチュエータにより上記進退枠が上記撮影位置から収納位置へ移動するとき、上記挿脱枠に係合して上記挿脱枠(防振挿脱光学要素)を上記挿入位置から離脱位置へ移動させる離脱駆動機構;上記防振コイルに通電した上記防振駆動アクチュエータの駆動状態において、上記メインアクチュエータによる上記進退枠の上記撮影位置から収納位置への収納指示信号を入力する入力手段;及び上記入力手段が上記収納指示信号を入力したとき、上記メインアクチュエータにより上記進退枠を上記撮影位置から収納位置へ向けて移動させて上記離脱駆動機構を介して上記挿脱枠を上記挿入位置から離脱位置へ移動させる前に、上記防振コイルへの通電を断って上記防振駆動アクチュエータを駆動状態から非駆動状態に切り替える制御手段;を有することを特徴としている。
【0009】
より具体的に、上記制御手段は、上記入力手段が上記収納指示信号を入力したとき、上記防振コイルへの通電を断って上記防振駆動アクチュエータを駆動状態から非駆動状態に切り替えてから、上記メインアクチュエータにより上記進退枠を上記撮影位置から収納位置へ向けて移動させる。
【0010】
上記制御手段は、上記入力手段が上記収納指示信号を入力したとき、上記防振駆動アクチュエータに上記防振コイルの通電解除指示信号を送った後に、上記メインアクチュエータに収納駆動指示信号を送るのが実際的である。
【0011】
上記離脱駆動機構は、該離脱駆動機構を介して上記挿脱枠を上記挿入位置から離脱位置へ移動させる際に、上記防振可動枠を上記挿脱枠の離脱位置方向に従動移動させ、かつ、該離脱駆動機構により上記挿脱枠を離脱位置で保持した状態では、上記防振可動枠を光軸直交平面内の特定位置で保持することが好ましい。
【0012】
本発明の防振挿脱光学要素の位置制御装置は、上記進退枠と防振可動枠の間に設けられ、該進退枠と防振可動枠によって光軸方向に挟持された状態で光軸直交平面内での防振可動枠の移動を許す防振案内部材;上記進退枠と防振可動枠を光軸方向に接近付勢して上記防振案内部材の挟持状態を維持させる防振可動枠付勢部材;上記挿脱枠を上記挿入位置方向へ移動付勢する挿脱枠付勢部材;及び少なくとも上記離脱位置方向への上記防振可動枠の移動範囲を規制する移動制限手段;を備え、上記挿脱枠付勢部材によって上記挿脱枠に付与される上記離脱位置方向への移動抵抗が、上記防振可動枠付勢部材によって上記防振可動枠に付与される上記防振案内部材との間の移動抵抗よりも大きく、上記離脱駆動機構は、上記移動制限手段による移動規制を受けるまで上記防振可動枠を上記挿脱枠と共に上記離脱位置方向に移動させてから、上記移動制限手段によって上記防振可動枠を光軸直交平面内の特定位置で保持した状態で、上記挿脱枠を単独で上記離脱位置まで移動させることが好ましい。
【0013】
前記防振案内部材はガイドボールから構成することができる。
【0014】
上記メインアクチュエータはズームモータから構成することができる。
【0015】
上記離脱駆動機構を、上記撮影光学系の光軸と平行な回動軸を中心として回動する離脱駆動レバーと、上記位置制御装置に固定された離脱押圧突起とから構成して、上記メインアクチュエータにより上記進退枠が上記撮影位置から収納位置へ移動するとき、上記離脱押圧突起が上記離脱駆動レバーを押圧し、上記離脱駆動レバーが上記挿脱枠を押圧することで、上記挿脱枠を上記挿入位置から離脱位置へ移動させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の防振挿脱光学要素の位置制御装置によれば、防振コイルに通電した防振駆動アクチュエータの駆動状態において、メインアクチュエータによる進退枠の撮影位置から収納位置への収納指示信号が入力されたとき、メインアクチュエータにより進退枠を撮影位置から収納位置へ向けて移動させて離脱駆動機構を介して挿脱枠(防振挿脱光学要素)を挿入位置から離脱位置へ移動させる前に、防振コイルへの通電を断って防振駆動アクチュエータを駆動状態から非駆動状態に切り替えるので、防振レンズの離脱移動を含む防振可動枠の収納移動の際に、防振コイルに過大な電流が流れることにより防振駆動用アクチュエータが壊れたり無駄な電力を消費するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用した防振レンズブロックを後方から見た分解斜視図である。
【図2】センサホルダと直進移動環を取り外した状態の防振レンズブロックを後方から見た斜視図である。
【図3】レンズ鏡筒の収納動作の途中における防振レンズブロックと離脱押圧突起を後方から見た斜視図である。
【図4】撮影状態における挿脱枠と離脱駆動レバーの関係を示す斜視図である。
【図5】撮影状態における挿脱枠と離脱駆動レバーを別の角度で示した斜視図である。
【図6】撮影状態における防振レンズブロックの要部を像面側から見た図である。
【図7】図6から振れ補正時に駆動される部分とコイルを抜粋して示した図である。
【図8】図7から防振駆動アクチュエータの構成要素を強調して示した図である。
【図9】収納状態における防振レンズブロックの要部を像面側から見た図である。
【図10】図9から振れ補正時に駆動される部分とコイルを抜粋して示した図である。
【図11】図10から防振駆動アクチュエータの構成要素を強調して示した図である。
【図12】撮影状態における防振レンズブロックを直進進退環とセンサホルダを除いて像面側から見た図である。
【図13】図12のA−A線に沿う断面図である。
【図14】図12のB−B線に沿う断面図である。
【図15】ズームレンズ鏡筒の回路構成の概略を示すブロック図である。
【図16】制御回路によるズームモータ(メインアクチュエータ)とコイル(防振駆動アクチュエータ)の駆動制御を説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明の別実施形態に係るレンズブロックを後方から見た分解斜視図である。
【図18】防振挿脱レンズを支持する防振ユニットの前方斜視図である。
【図19】防振挿脱レンズを支持する防振ユニットを前方から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1から図3に示す防振レンズブロック10は、レンズ鏡筒の撮影光学系の一部を構成する防振挿脱レンズ(防振挿脱光学要素)12を支持するものであり、図1に示すように、直進移動環(進退枠)14内にシャッタユニット(進退枠)16、防振枠(防振可動枠)18、挿脱枠20、センサホルダ22、離脱駆動レバー(離脱駆動機構)24、防振駆動アクチュエータ26などを備えた構造になっている。
【0019】
防振レンズブロック10が設けられるレンズ鏡筒の全体構造については図示を省略しているが、直進移動環14はレンズ鏡筒内で撮影光学系の撮影光軸Oに沿う方向に直進移動可能に支持されており、レンズ鏡筒を撮影状態から収納状態にするときに被写体側から像面側に向けて移動される。図15に示すように、直進移動環14の進退移動は、メインスイッチ(入力手段)61から入力した撮影指示信号(メインスイッチ61をオンしたとき)または収納指示信号(メインスイッチ61をオフしたとき)を受け取った制御回路(制御手段)60が、ズームモータ(メインアクチュエータ)62に対して撮影駆動指示信号または収納駆動指示信号を送ることにより行われる。制御回路60によるズームモータ62の駆動制御の詳細は後述する。以下の説明では撮影光軸Oに沿う方向のうち被写体側を前方、像面側を後方と呼ぶ。直進移動環14の光軸方向移動を行わせる機構は、周知のカム機構などを適用することができる。
【0020】
直進移動環14は撮影光軸Oを囲む筒状部14aを有し、その内側にシャッタユニット16が固定されている。シャッタユニット16はシャッタ(図示略)を内蔵するシャッタハウジング16aの中央に光軸方向へ貫通する撮影開口16b(図1)を有し、内蔵のシャッタアクチュエータでシャッタを駆動して撮影開口16bを開閉させる。シャッタハウジング16aの外周部には周方向に位置を異ならせて3つ(図1及び図2には1つのみ示している)のばね掛け突起16cが設けられ、シャッタハウジング16aの後面には、2つの移動制限突起(移動制限手段)16dと3つのボール支持孔16eが形成されている。ボール支持孔16eは後方に向けて開口された有底の凹部である(図13参照)。
【0021】
シャッタユニット16の後部に防振枠18が支持される。図13に示すように、防振枠18にはシャッタユニット16に対向する前面側にボール当接面18aが形成され、このボール当接面18aとボール支持孔16eの底面との間にガイドボール(防振案内部材)28を挟持している。前述のようにシャッタユニット16にはボール支持孔16eが3箇所形成されており、これに対応してボール当接面18aとガイドボール28も3つ(3箇所)設けられている。ボール当接面18aは撮影光軸Oと略直交する平滑な平面である。ガイドボール28は光軸直交方向にはボール支持孔16eに対して遊嵌しており、ガイドボール28はボール支持孔16e内の中央付近に位置するときにはボール支持孔16eの内側壁に当接しない。
【0022】
防振枠18の外周部には周方向に位置を異ならせて3つのばね掛け突起18bが設けられ、各ばね掛け突起18bとシャッタユニット16に3つ設けたばね掛け突起16cとの間に引張ばね(防振可動枠付勢部材)30が張設されている。防振枠18は、3つの引張ばね30の付勢力によってシャッタユニット16に接近する方向(前方)に付勢され、ボール当接面18aをガイドボール28に当接させることで防振枠18の前方への移動が規制される。この状態で3箇所のボール当接面18aが3つのガイドボール28に対してそれぞれ点接触しており、この点接触部分を摺接させることで(もしくは、ガイドボール28がボール支持孔16eの内側壁に当接していないときはガイドボール28を転動させながら)、防振枠18は撮影光軸Oと直交する方向へ自在に移動可能になっている。
【0023】
防振枠18にはまた、シャッタユニット16に設けた2つの移動制限突起16dを挿入させる2つの移動制限孔(移動制限手段)18cが形成されている。図6ないし図12に示すように、各移動制限孔18cは、撮影光軸Oと直交する平面内において概ね正方形をなす矩形内面形状を有している。以下では、光軸直交平面内における各移動制限孔18cの内側壁の一方の対角線方向をX軸、他方の対角線方向をY軸と呼ぶ。防振枠18は、移動制限孔18cの内面に移動制限突起16dを当接させるまでの範囲で、撮影光軸Oと直交する平面内でシャッタユニット16(直進移動環14)に対して自在に移動することができる。
【0024】
防振枠18は防振駆動アクチュエータ26によって駆動される。防振駆動アクチュエータ26は、シャッタユニット16側に支持される2つのコイル(防振コイル)31、32と、防振枠18側に支持される2つの永久磁石(防振磁石)34、36を有する。永久磁石34と36はそれぞれ、防振枠18に設けた磁石保持部18d、18eに固定されている。永久磁石34と36の形状及び大きさは略同一であり、それぞれ細長矩形の薄板状をなし、撮影光軸Oを通りかつY軸に沿う仮想平面P(図6ないし図12)に関して対称の関係で配置される。より詳しくは、永久磁石34と36はそれぞれ、短手方向の略中央を通り長手方向に向く磁極境界線M1、M2(図8、図11)で分割される半割領域の一方がN極で他方がS極となっており、永久磁石34の磁極境界線M1と永久磁石36の磁極境界線M2が、Y軸方向の下方(後述する挿脱枠20の挿入位置側)から上方(後述する挿脱枠20の離脱位置側)に向かうにつれて、互いに離間するように傾斜している。仮想平面Pに対する永久磁石34の磁極境界線M1と永久磁石36の磁極境界線M2の傾斜角は、正逆で約45度に設定されている。つまり、永久磁石34と永久磁石36は互いの長手方向(磁極境界線M1、M2)を略直交させる関係にある。
【0025】
図1、図8及び図11に示すように、コイル31、32は、略平行な一対の長辺部と該長辺部を接続する一対の湾曲部を有する空芯コイルであり、その形状及び大きさは略同一である。シャッタハウジング16aの後方側の面には位置決め突起16f、16gが一対ずつ突設され(図1)、コイル31はその空芯部に一対の位置決め突起16fを係合させる態様でシャッタユニット16に支持され、コイル32はその空芯部に一対の位置決め突起16gを係合させる態様でシャッタユニット16に支持されている。この支持状態でコイル31の長軸方向が永久磁石34の磁極境界線M1と略平行になり、コイル32の長軸方向が永久磁石36の磁極境界線M2と略平行になる。図15に示すように、コイル31とコイル32は、シャッタユニット16から延出される図示しないフレキシブル基板を介してカメラの制御基板上の制御回路60に接続されており、この制御回路60による通電指示信号または通電解除指示信号によって通電制御される。制御回路60によるコイル31とコイル32(防振駆動アクチュエータ26)の通電制御の詳細は後述する。
【0026】
以上の構成の防振駆動アクチュエータ26では、コイル31と永久磁石34が光軸方向に対向しており、コイル31に通電すると、撮影光軸Oと直交する平面内で永久磁石34の磁極境界線M1(コイル31の長軸方向線)と略直交する方向への駆動力が作用する。この駆動力の作用方向をF1とする(図8、図11及び図12)。また、図14に示すようにコイル32と永久磁石36が光軸方向に対向しており、コイル32に通電すると、撮影光軸Oと直交する平面内で永久磁石36の磁極境界線M2(コイル32の長軸方向線)と略直交する方向への駆動力が作用する。この駆動力の作用方向をF2とする(図8、図11及び図12)。これら駆動力の作用方向F1、F2はいずれもX軸とY軸の両方に対して約45度の角度で交差する関係にあり、各コイル31、32への通電制御によって、撮影光軸Oと直交する平面内で防振枠18を任意の位置に移動させることができる。前述の通り、その移動範囲は移動制限孔18cが移動制限突起16dの内面に当接することによって規制される。
【0027】
防振枠18の後部にセンサホルダ22が固定されている。センサホルダ22は磁石保持部18d、18eの後部を覆う形状をなし、永久磁石34の後方に位置する位置検出センサ38と、永久磁石36の後方に位置する位置検出センサ40を保持している。位置検出センサ38と位置検出センサ40によって、防振駆動アクチュエータ26による防振枠18の駆動位置を検出することができる。図15に示すように、位置検出センサ38と位置検出センサ40は、シャッタユニット16から延出される図示しないフレキシブル基板を介してカメラの制御基板上の制御回路60に接続されており、検出した防振枠18の位置検出信号を制御回路60に出力する。
【0028】
防振枠18上には、撮影光軸Oと平行な回動軸42を中心として回動(揺動)可能に挿脱枠20が支持されている。回動軸42の両端部は、防振枠18に設けた軸支持孔18fと、防振枠18に固定される抜止部材44に固定されている。挿脱枠20は、防振挿脱レンズ12を保持するレンズ保持筒部20aと、回動軸42を挿通させる軸孔を有する軸孔部20bと、レンズ保持筒部20aと軸孔部20bを接続するアーム部20cを備えている。挿脱枠20は、図2ないし図8及び図12に示す挿入位置と、図9ないし図11に示す離脱位置の間で揺動が可能であり、防振枠18に設けたストッパ18gにレンズ保持筒部20aに設けたストッパ当接部20dを当接させることで挿入位置が決まる。一端部と他端部を防振枠18と挿脱枠20に係止させたトーションコイルばねからなる挿脱枠付勢ばね(挿脱枠付勢部材)46が挿脱枠20を挿入位置方向へ付勢している。また挿脱枠20は、軸孔部20bと抜止部材44の間に挿入した圧縮ばねからなる光軸方向付勢ばね48によって前方に付勢されて光軸方向の位置が安定している。
【0029】
挿脱枠20が挿入位置にあるとき、防振挿脱レンズ12が撮影光軸O上に位置する。防振枠18が移動制限孔18cの内面のうち挿入位置側の端部(図6ないし図12の下端部)に対して移動制限突起16dを当接させるY軸方向の移動規制位置(以下、離脱補助位置と呼ぶ)にある状態で、挿脱枠20が離脱位置に回動すると、防振挿脱レンズ12の中心が撮影光軸Oに対してY軸方向に変位する。防振枠18には、このときのレンズ保持筒部20aの移動軌跡(回動軸42を中心とする円弧状軌跡)に対応する形状をなす逃げ孔18hが光軸方向に貫通形成されており、逃げ孔18hにレンズ保持筒部20aの前端部が進入している。逃げ孔18hは防振枠18の外周部に貫通(開口)しており、この逃げ孔18hの開口部分を補強する橋絡部18iが設けられている。橋絡部18iは後方にオフセットして形成されており、挿脱枠20が離脱位置に回動したときにレンズ保持筒部20aと干渉しないようになっている。
【0030】
直進移動環14内には、撮影光軸Oと平行な回動軸50を中心として回動(揺動)可能に離脱駆動レバー24が支持されている。回動軸50は回動軸42の近傍に位置させて直進移動環14と一体に形成されており、離脱駆動レバー24の軸孔部24aに形成した軸孔に挿通されている。直進移動環14の後部には抜止板52が固定されて離脱駆動レバー24の後方移動を規制している。離脱駆動レバー24は、軸孔部24aから外径方向に延出されるアーム24bの先端付近に離脱押圧部24cを有していて、この離脱押圧部24cが挿脱枠20のアーム部20cに設けた被押圧部20eに当接可能である。前述した挿脱枠付勢ばね46の付勢力は離脱位置から挿入位置方向(図6ないし図12の反時計方向)へ挿脱枠20を回動付勢しており、離脱駆動レバー24も、これと同方向(図6ないし図12の反時計方向)へ離脱駆動レバー付勢ばね54によって回動付勢されている。直進移動環14内には、離脱駆動レバー付勢ばね54による付勢方向への離脱駆動レバー24の回動端を決めるストッパが設けられている。一方、挿脱枠付勢ばね46による付勢方向への挿脱枠20の回動は、ストッパ当接部20dとストッパ18gの当接によって規制される。挿脱枠20と離脱駆動レバー24がそれぞれのストッパに当接している状態が図6であり、このとき被押圧部20eと離脱押圧部24cが互いに離間している(図4、図5参照)。この被押圧部20eと離脱押圧部24cの間のクリアランスは、シャッタユニット16に対する防振枠18の可動範囲(移動制限孔18cの内面に移動制限突起16dが当接するまでの範囲)内では、被押圧部20eを離脱押圧部24cに接触させない大きさに設定されている。換言すれば、防振駆動アクチュエータ26による防振枠18と挿脱枠20の防振用の駆動を離脱駆動レバー24が妨げないように構成されている。そして、挿脱枠20と離脱駆動レバー24に外力が加わらなければ、挿脱枠付勢ばね46の付勢力で挿脱枠20を挿入位置に保持する図6ないし図8の状態に維持される。
【0031】
離脱駆動レバー24は軸孔部24aの近傍に被押圧部24dを備えている。レンズ鏡筒内には、離脱駆動レバー24の後方に位置させて離脱押圧突起(離脱駆動機構)58(図3、図9)が固定されており、収納状態になるときの直進移動環14の後方移動に応じて離脱押圧突起58が被押圧部24dに当接し、離脱駆動レバー24が挿入位置から離脱位置方向へ回動される。詳細には、離脱押圧突起58の先端部には端面カム58aが形成されており、直進移動環14が後退して離脱押圧突起58に接近すると被押圧部24dが端面カム58aに当接する。この当接によって、光軸方向後方への直進移動環14の移動力から離脱駆動レバー24を離脱駆動レバー付勢ばね54の付勢力に抗する方向(挿脱枠20の離脱位置方向)へ回動させる分力が生じ、前述のクリアランス分だけ離脱駆動レバー24が単独で回動してから離脱押圧部24cが挿脱枠20の被押圧部20eに当接する。すると、離脱押圧部24cと被押圧部20eを介して離脱位置方向への押圧力が挿脱枠20に伝達され、挿入付勢ばね46と離脱駆動レバー付勢ばね54の両方の付勢力に抗して離脱駆動レバー24が挿脱枠20を離脱方向へ押圧回動させる。挿脱枠20が離脱位置に達した後、離脱押圧突起58の側面に設けた撮影光軸Oと略平行な離脱保持面58bが被押圧部24dの側面に係合し、挿脱枠20が離脱位置に保持される(図9)。
【0032】
図15、図16を参照して、レンズ鏡筒が収納状態から撮影状態に移行して再び収納状態に戻るまでの間における防振レンズブロック10の動作を説明する。図16のフローチャートはその間における制御回路60によるズームモータ62及びコイル31とコイル32(防振駆動アクチュエータ26)の駆動制御を示している。
【0033】
レンズ鏡筒の収納状態では、図9に示すように、離脱押圧突起58の離脱保持面58bが被押圧部24dに当接する位置関係となって、挿脱枠20が離脱駆動レバー24と共に離脱押圧突起58によって離脱位置に保持されて挿入位置への回動が規制され、防振挿脱レンズ12が光路(撮影光軸O)上から離脱されている。
【0034】
このレンズ鏡筒の収納状態でメインスイッチ61がオンされると、メインスイッチ61から制御回路60に撮影指示信号が送られる。メインスイッチ61からの撮影指示信号を受け取った制御回路60は、ズームモータ62に対して撮影駆動指示信号(正転指示信号)を送ってズームモータ62を回転駆動(正転)させる(S1)。ズームモータ62はレンズ鏡筒が撮影状態になるまで回転駆動され(S2:NO、S1)、レンズ鏡筒が撮影状態になると駆動停止される(S2:YES、S3)。
【0035】
この収納状態から撮影状態までのズームモータ62の回転駆動により、防振レンズブロック10(直進移動環14とシャッタユニット16)が光軸方向前方に移動されて離脱押圧突起58による離脱駆動レバー24の押圧が解除され、離脱駆動レバー24が離脱駆動レバー付勢ばね54の付勢力によって図6に示す位置に戻る。すると、挿脱枠付勢ばね46の付勢力によって挿脱枠20が離脱位置から挿入位置へと回動される。これに伴って防振枠18に対する離脱補助位置への保持も解除される。
【0036】
レンズ鏡筒が撮影状態になると制御回路60は、コイル31とコイル32に対して通電指示信号を送ってコイル31とコイル32を通電させることにより防振駆動アクチュエータ26を駆動状態にするとともに、位置検出センサ38と40をオン状態にする(S4)。本実施形態では、レンズ鏡筒の撮影状態では常に、防振駆動アクチュエータ26を駆動状態にするとともに位置検出センサ38と40をオン状態にすることで、像振れ補正のために防振枠18を防振駆動している。
【0037】
レンズ鏡筒の撮影状態では、図6ないし図8に示すように、挿脱枠20が挿脱枠付勢ばね46の付勢力によって挿入位置に保持されており、防振挿脱レンズ12の中心が撮影光軸Oと一致している。撮影状態では、レンズ鏡筒に加わる振れの方向と大きさに応じて、防振駆動アクチュエータ26によって防振枠18を光軸直交平面内で駆動することで防振挿脱レンズ12を撮影光軸Oに対してシフトさせ、結像面上での被写体像のずれ(像振れ)を抑制することができる。詳細には、レンズ鏡筒に内蔵したジャイロセンサによってレンズ鏡筒の移動角速度を検出し、その振れの角速度を時間積分して移動角度を求め、該移動角度から結像面上での像の移動量を演算すると共に、この像振れをキャンセルするための防振挿脱レンズ12(防振枠18)の駆動量及び駆動方向を演算する。そして、この演算値に基づいてコイル31とコイル32の通電制御を行う。すると、3つのガイドボール28に対して3箇所のボール当接面18aが支持案内を受けながら防振枠18が移動される。防振枠18に防振駆動を行わせるとき、挿脱枠20はストッパ当接部20dをストッパ18gに当接させる挿入位置に保持されており、防振枠18と挿脱枠20(防振挿脱レンズ12)は一体に移動される。
【0038】
また撮影状態では、移動制限突起16dと移動制限孔18cの内面の当接による防振枠18の移動端位置を用いて位置検出センサ38、40の校正を行うことができる。防振駆動アクチュエータ26を構成するコイル31、32と永久磁石34、36の各ペアの駆動力の作用方向F1、F2はX軸及びY軸と略45度の関係で交差しており、移動制限突起16dに対して移動制限孔18cのX軸方向の両端部を当接させる移動端を防振駆動アクチュエータ26のX軸の駆動基準位置とし、移動制限突起16dに対して移動制限孔18cのY軸方向の両端部を当接させる移動端をY軸の駆動基準位置とすることができる。撮影状態における防振枠18の実用上の防振駆動範囲は、移動制限突起16dが移動制限孔18cの内面に当接しない範囲で設定される。
【0039】
メインスイッチ61がオンされたレンズ鏡筒の撮影状態で図示しないレリーズスイッチが半押しされると、オートフォーカスと自動露出が行われ、さらにこのレリーズスイッチが全押しされると(S5:NO、S6:YES)、図示しない撮像素子により被写体の撮像処理が行われる(S7)。
【0040】
そして本実施形態では、レンズ鏡筒の撮影状態でメインスイッチ61がオフされると(S5:YES)、メインスイッチ61から制御回路60に収納指示信号が送られる。メインスイッチ61からの収納指示信号を受け取った制御回路60は、まずコイル31とコイル32に対して通電解除指示信号を送り、その後にズームモータ62に対して収納駆動指示信号(逆転指示信号)を送る。通電解除指示信号が送られてからコイル31とコイル32の通電が絶たれるまでの時間は、収納駆動指示信号が送られてからズームモータ62が回転駆動(逆転)を開始するまでの時間よりも短いので、必ず、まずコイル31とコイル32の通電が絶たれて防振駆動アクチュエータ26が非駆動状態に切り替えられ(S8)、その後ズームモータ62の回転駆動が開始される(S9)。また制御回路60は、ズームモータ62の回転駆動が開始される前に位置検出センサ38と40をオフ状態に切り替える(S8)。ズームモータ62はレンズ鏡筒が収納状態になるまで回転駆動され(S10:NO、S9)、レンズ鏡筒が収納状態になると駆動停止される(S10:YES、S11)。
【0041】
この撮影状態から収納状態までのズームモータ62の回転駆動により、防振レンズブロック10(直進移動環14とシャッタユニット16)が光軸方向後方に移動され、やがて直進移動環14と共に後退している離脱駆動レバー24の被押圧部24dが、離脱押圧突起58の端面カム58aに当て付く。すると、被押圧部24dが端面カム58aに押圧されて、直進移動環14の後退移動力から分力が生じて離脱駆動レバー付勢ばね54の付勢力に抗して離脱駆動レバー24が回動され、離脱押圧部24cが被押圧部20eに当接する。前述の通り、挿脱枠20には挿脱枠付勢ばね46によって挿入位置側への付勢力が作用しており、離脱押圧部24cを被押圧部20eに当接させた離脱駆動レバー24は、挿脱枠付勢ばね46の付勢力に抗して挿脱枠20を挿入位置から離脱位置へ向けて押圧しようとする。加えて、挿脱枠20を支持する防振枠18に対して、3つの引張ばね30によってボール当接面18aをガイドボール28に押し付けさせる方向の付勢力が作用している。つまり、挿脱枠20と防振枠18にはそれぞれ挿脱枠付勢ばね46と引張ばね30の付勢力による移動抵抗が作用している。ここで、挿脱枠付勢ばね46によって与えられる挿脱枠20の回動抵抗が、引張ばね30によって与えられる防振枠18の移動抵抗よりも大きく設定されている。そのため、挿脱枠20に作用する押圧力が防振枠18に伝わり、挿脱枠20の離脱位置方向への回動が開始されるよりも前に、防振枠18が挿脱枠20と共に離脱位置方向へ移動される。そして、移動制限突起16dに対して移動制限孔18cのY軸方向端部(挿入位置側の端部)を当接させる離脱補助位置(図9ないし図11)まで防振枠18が移動される。前述の通り、撮影状態での防振枠18の実用上の防振駆動範囲は、移動制限孔18cの内面が移動制限突起16dに当接する箇所を含まないため、離脱補助位置は実用上の防振駆動範囲の外側に位置している。防振枠18が離脱補助位置に達してそれ以上の移動が規制されると、挿脱枠20が挿入位置から離脱位置へ単独で回動される。つまり、防振挿脱レンズ12の離脱移動は、防振枠18の離脱補助位置へのY軸方向の移動と、挿脱枠20の離脱位置への回動の合成移動として行われる。
【0042】
防振枠18の離脱補助位置への移動と挿脱枠20の離脱位置への回動によって、防振挿脱レンズ12が図9ないし図11に示すように光路(撮影光軸O)上から離脱される。直進移動環14が後方への移動を続けると、離脱押圧突起58の離脱保持面58bが被押圧部24dに当接する位置関係となって(図9)、挿脱枠20は離脱駆動レバー24と共に離脱押圧突起58によって離脱位置に保持されて挿入位置への回動が規制される。このレンズ鏡筒の収納状態では、挿脱枠付勢ばね46によって挿脱枠20に付与される離脱位置方向への移動抵抗(回動抵抗)が、引張ばね30によって防振可動枠18に付与されるガイドボール28との間の移動抵抗よりも大きいため、防振可動枠18が光軸直交平面内の特定位置(移動制限孔18cのY軸方向の一端部が移動制限突起16dが当接した離脱補助位置)で挿脱枠20(離脱駆動レバー24)からの押圧力によってがたつくことなく保持される(ロックされる)。図示しないが、レンズ鏡筒が収納状態まで達すると、防振挿脱レンズ12(レンズ保持筒部20a)の離脱によって空いた直進移動環14内の空間に後方の部材(例えば、撮影状態で防振挿脱レンズ12の後方に位置する別の光学要素)が進入する。これにより、複数の光学要素を光軸上に直列状に並べて収納するタイプのレンズ鏡筒に比べて、収納時の光軸方向サイズを小さくすることができる。
【0043】
以上のように、本実施形態による防振挿脱光学要素12の位置制御装置は、制御手段60が、入力手段61が収納指示信号を入力したとき、メインアクチュエータ62により進退枠(14、16)を撮影位置から収納位置へ向けて移動させて離脱駆動機構24を介して挿脱枠20(防振挿脱光学要素12)を挿入位置から離脱位置へ移動させる前に、防振コイル(31、32)への通電を断って防振駆動アクチュエータ26を駆動状態から非駆動状態に切り替えるように構成されている。この構成によれば、防振挿脱光学要素12の離脱移動を含む防振可動枠18の収納移動の際に、防振コイル(31、32)に電流が流れることにより防振駆動用アクチュエータ26が壊れたり無駄な電力を消費するのを防止することができる。
【0044】
また、上述した特許文献3にあっては、防振可動枠をセンタリングした状態で固定するストッパ部材と、防振レンズを光軸外に離脱移動させるカムバーとが別部材として必要であり、防振可動枠の収納移動と防振レンズの離脱移動のための機構と制御が複雑であるという問題がある。これに対し本実施形態による防振挿脱光学要素12の位置制御装置によれば、挿脱枠20(防振挿脱光学要素12)を挿入位置から離脱位置へ移動させるための離脱駆動レバー(離脱駆動機構)24を利用して防振可動枠18を光軸直交平面内の特定位置(移動制限孔18cのY軸方向の一端部が移動制限突起16dが当接した離脱補助位置)で保持している(離脱駆動レバー24が特許文献3のストッパ部材とカムバーの機能を兼ねている)ので、そのような問題は生じない。
【0045】
以上、図示実施形態に基づき説明したが、本発明を適用可能な防振ブロック(防振駆動機構および離脱駆動機構)はこれに限定されるものではない。図17ないし図19は、本発明の別実施形態に係る防振ブロック11を示しており、この防振ブロック11に本発明を適用することも可能である。
【0046】
図17ないし図19に示す防振ブロック11は、ズームモータ62(図15)の回転駆動により光軸方向に移動される直進移動環(進退部材)70を備えている。直進移動環70の内部には、防振ユニット(防振可動枠)80を介して防振挿脱レンズ(防振挿脱光学要素)12が支持されている。防振ユニット80は、防振挿脱レンズ12を撮影光軸Oと略直交する平面に沿って移動可能に支持している。直進移動環70内にはまた、シャッタを内蔵したシャッタユニット(進退部材)90が防振ユニット80の前部に固定されている。
【0047】
図18、図19に示すように、防振ユニット80は、第1ステージ81と第2ステージ82を備えている。第1ステージ81は、直進移動環70内に固定されたXガイドシャフト83に対して摺動可能に支持され、第2ステージ82は第1ステージ81上に固定されたYガイドシャフト84とYガイドシャフト85に対して摺動可能に支持されている。Xガイドシャフト83は撮影光軸Oと直交する平面内で左右方向に軸線を向けており、以下ではこのXガイドシャフト83の延設方向である第1ステージ81の移動方向をX方向またはX軸と呼ぶ。Yガイドシャフト84、85は、撮影光軸Oと直交する平面内でXガイドシャフト83と直交する上下方向に軸線を向けており、以下ではこのYガイドシャフト84、85の延設方向である第2ステージ82の移動方向をY方向またはY軸と呼ぶ。
【0048】
第1ステージ81は、Y方向に離間しX方向に延設された上辺部81a及び下辺部81bと、X方向に離間しY方向に延設された側辺部81c及び側辺部81dとを有し、これら各辺に囲まれる中央部を開口81eとした四角枠形状をなす。上辺部81a上にはX方向に位置を異ならせてXガイド孔81gが2箇所形成され、各Xガイド孔81gに対してXガイドシャフト83が摺動可能に挿通される。Yガイドシャフト84は開口81e内の側辺部81cに沿う位置に固定され、Yガイドシャフト85は開口81e内の側辺部81dに沿う位置に固定されており、各Yガイドシャフト84、85の下端部が下辺部81bの下方に突出して、直進移動環70内に形成した一対の長孔70c(図17)に挿入されている。長孔70cは、X方向に長手方向を向けた長孔であり、該X方向へのYガイドシャフト84、85の移動を案内する。一方、光軸方向へのYガイドシャフト84、85の移動は、長孔70cの前後の壁面によって規制される。以上の構造によって第1ステージ81は、直進移動環70に対してX方向に移動可能に支持される。
【0049】
第2ステージ82は、防振挿脱レンズ12を保持する挿脱枠86が固定されるレンズ保持筒部82aと、該レンズ保持筒部82aから斜め上方へ「V」字状に延設されY軸に関して略対称な形状をなす一対の支持腕部82b、82cとを有する。各支持腕部82b、82cにY方向へ貫通形成したYガイド孔82d、82eに対して、Yガイドシャフト84、85がそれぞれ摺動可能に挿通される。これにより第2ステージ82は、第1ステージ81に対してY方向へ移動可能に支持される。このY方向への移動により、第2ステージ82が第1ステージ81の開口81e内で占める位置が変化する。
【0050】
第1ステージ81と第2ステージ82は、第2ステージ82の支持腕部82b、82c上に固定された2つの永久磁石(防振磁石)34、36(図18、図19)と、シャッタユニット90に固定された2つのコイル(防振コイル)31、32(図17)を有する防振駆動アクチュエータ26により駆動制御される。
【0051】
シャッタユニット90の後面にはさらに、コイル31に対応させて位置検出センサ38が設けられ、コイル32に対応させて位置検出センサ40が設けられている。位置検出センサ38、40によって、永久磁石34、36と共に移動する防振挿脱レンズ12のX方向及びY方向の位置を検出できる。
【0052】
コイル31、32と位置検出センサ38、40は、シャッタユニット90の後面に固定されたシャッタFPC91上のモジュールとして設けられている。シャッタFPC91は制御回路60(図15)に接続しており、制御回路60によってコイル31、32に対する通電制御が行われる。また、位置検出センサ38と位置センサ40により検出された位置情報が位置検出信号として制御回路60に入力される。
【0053】
レンズ鏡筒の撮影状態では、第2ステージ82の支持腕部82b、82cの上端部が第1ステージ81の上辺部81aに近接して位置しており、防振挿脱レンズ12の光軸が撮影光学系の撮影光軸Oと一致した防振駆動位置にある。一方、レンズ鏡筒の収納状態では、第2ステージ82の支持腕部82b、82cの下端部が第1ステージ81の下辺部81bに当接して下方への移動が規制されており、防振挿脱レンズ12の光軸が撮影光学系の撮影光軸Oから離脱した離脱位置にある。
【0054】
防振駆動アクチュエータ26による防振挿脱レンズ12の位置制御が可能な範囲は防振駆動位置に限定され、防振駆動位置を外れた離脱位置との間の防振挿脱レンズ12(第2ステージ82)のY方向駆動は、防振駆動アクチュエータ26とは別に設けた離脱駆動レバー(離脱駆動機構)102と離脱押圧突起(離脱駆動機構)106とによって行われる。離脱駆動レバー102は、支持軸101によって直進移動環70内に軸支されている。図17に示すように、支持軸101は、離脱駆動レバー102に形成した軸孔102aに挿通され、その前端部が直進移動環70内に形成した軸支持孔70eに支持され、その後端部が直進移動環70に固定されるレバー押さえ部材103に支持されている。この支持状態で支持軸101の軸線は撮影光軸Oと略平行であり、離脱駆動レバー102は支持軸101を中心として揺動することができる。離脱押圧突起106は、防振ユニット80の後方に、光軸方向前方へ突出するように設けられている。
【0055】
離脱駆動レバー102には、挿脱ガイド溝部107と離脱防止溝部104が「くの字」形状に連続して形成されている。挿脱ガイド溝部107は、軸孔102aを中心とする回動半径方向に延びる溝である。離脱防止溝部104は挿脱ガイド溝部107の外径側端部に連通している。離脱防止溝部104の溝幅は、挿脱ガイド溝部107の溝幅よりも広い。
【0056】
第2ステージ82には、支持腕部82bから後方に向けて突出する位置制御ピン82hが設けられ、この位置制御ピン82hは離脱駆動レバー102の揺動位置に応じて挿脱ガイド溝部107内と離脱防止溝部104内のいずれかに位置される。
【0057】
第2ステージ82が離脱位置にあるとき、離脱駆動レバー102は軸孔102aを中心とするレバー延設方向が斜め下方に向く角度(離脱保持位置)に保持され、位置制御ピン82hが挿脱ガイド溝部107内に係合している。このとき第2ステージ82のY方向の位置制御は、位置制御ピン82hに対する挿脱ガイド溝部107の当接によって行われる。ここで離脱駆動レバー102が光軸方向後方から見て時計方向に回動されると、挿脱ガイド溝部107が位置制御ピン82hを上方に押圧し、第2ステージ82が離脱位置から防振位置に向けて移動される。
【0058】
第2ステージ82が防振位置にあるとき、離脱駆動レバー102は軸孔102aを中心とするレバー延設方向が斜め上方に向く角度(挿入位置)に保持され、位置制御ピン82hが離脱防止溝部104内に位置される。このとき、離脱防止溝部104の延設方向(長手方向)がX方向と略平行になり、X方向での位置制御ピン82hの位置規制を行わないため、防振駆動アクチュエータ26によるX方向への第1ステージ81及び第2ステージ82の移動は妨げられない。また、離脱防止溝部104は挿脱ガイド溝部107よりも幅広に設定されており、離脱防止溝部104と位置制御ピン82hとの間には、防振駆動アクチュエータ26によるY方向の第2ステージ82の移動を妨げない十分な隙間が確保されている。
【0059】
第2ステージ82が防振駆動位置にある状態で離脱駆動レバー102を挿入位置から離脱保持位置に向けて回動させると、挿脱ガイド溝部107が位置制御ピン82hを下方に押圧し、第2ステージ82が防振駆動位置から離脱位置に移動される。
【0060】
離脱駆動レバー102は、レバー付勢ばね105によって挿入位置へ回動付勢されており、直進移動環70の内面には、この付勢力によって離脱駆動レバー102が当接するストッパ70fが設けられている。そのため、離脱駆動レバー102は、特別な外力が加わらない状態では挿入位置に保持され、これに応じて第2ステージ82は防振駆動位置に保持される。上述したように、離脱押圧突起106は、防振ユニット80の後方に光軸方向前方へ突出するように設けられており、直進移動環70が光軸方向後方へ移動すると、離脱押圧突起106が離脱駆動レバー102を押圧して、レバー付勢ばね105の付勢力に抗して離脱駆動レバー102が挿入位置から離脱保持位置へ回動される。詳細には、離脱押圧突起106の先端部には端面カム106aが形成されており、直進移動環70が後退して離脱押圧突起106に接近すると、離脱駆動レバー102に設けたカム当接部102bが端面カム106aに当接する。この当接によって、光軸方向後方への直進移動環70の移動力から離脱駆動レバー102を離脱保持位置へ回動させる分力が生じる。離脱駆動レバー102が離脱保持位置に達すると、離脱押圧突起106の側面に設けた撮影光軸Oと略平行な離脱保持面106bが離脱保持面102cに係合し、離脱駆動レバー102が離脱保持位置に保持され続ける。
【0061】
以上のように構成された防振レンズブロック11においても、制御手段60が、入力手段61が収納指示信号を入力したとき、メインアクチュエータ62により進退枠(70、90)を撮影位置から収納位置へ向けて移動させて離脱駆動レバー102を介して挿脱枠86(防振挿脱光学要素12)を挿入位置から離脱位置へ移動させる前に、防振コイル(31、32)への通電を断って防振駆動アクチュエータ26を駆動状態から非駆動状態に切り替える。したがって、防振挿脱光学要素12の離脱移動を含む防振可動枠80の収納移動の際に、防振コイル(31、32)に電流が流れることにより防振駆動用アクチュエータ26が壊れたり無駄な電力を消費するのを防止することができる。
【0062】
以上の実施形態では、制御手段60が、入力手段61が収納指示信号を入力したとき、防振コイル(31、32)への通電を断って防振駆動アクチュエータ26を駆動状態から非駆動状態に切り替えてから、メインアクチュエータ62により進退枠(14と16または70と90)を撮影位置から収納位置へ向けて移動させている。しかし制御手段60は、入力手段61が収納指示信号を入力したとき、メインアクチュエータ62により進退枠(14と16または70と90)を撮影位置から収納位置へ向けて移動させ始めた後、かつ離脱駆動機構(24または102)を介して挿脱枠(20または86)を挿入位置から離脱位置へ移動させ始める前に、防振コイル(31、32)への通電を断って防振駆動アクチュエータ26を駆動状態から非駆動状態に切り替えてもよい。
【0063】
以上の実施形態では、メインアクチュエータ62によって進退枠14と16(または70と90)が撮影位置から収納位置へ移動するとき、離脱押圧突起58(または106)が離脱駆動レバー24(または102)を押圧し、この離脱駆動レバー24(または102)が挿脱枠20(または86)を押圧して、挿脱枠20(または86)を挿入位置から離脱位置へ移動させている。
【0064】
しかし、本発明の適用対象はこれに限定されず、例えば上述した特許文献3のような防振挿脱光学要素の位置制御装置に適用することもできる。すなわち、カムバー(本実施形態の離脱押圧突起58または106に相当)が挿脱枠(本実施形態の挿脱枠20または86に相当)に直接的に押圧することで、挿脱枠を挿入位置から離脱位置へ移動させる態様も可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 11 防振レンズブロック
12 防振挿脱レンズ(防振挿脱光学要素)
14 直進移動環(進退枠)
16 シャッタユニット(進退枠)
16d 移動制限突起(移動制限手段)
16e ボール支持孔
18 防振枠(防振可動枠)
18a ボール当接面
18c 移動制限孔(移動制限手段)
18g ストッパ
20 挿脱枠
20d ストッパ当接部
20e 被押圧部
22 センサホルダ
24 離脱駆動レバー(離脱駆動機構)
24c 離脱押圧部
24d 被押圧部
26 防振駆動アクチュエータ
28 ガイドボール(防振案内部材)
30 引張ばね(防振可動枠付勢部材)
31 32 コイル(防振コイル)
34 36 永久磁石(防振磁石)
38 40 位置検出センサ
44 抜止部材
46 挿脱枠付勢ばね(挿脱枠付勢部材)
54 離脱駆動レバー付勢ばね
58 離脱押圧突起(離脱駆動機構)
58a 端面カム
58b 離脱保持面
60 制御回路(制御手段)
61 メインスイッチ(入力手段)
62 ズームモータ(メインアクチュエータ)
70 直進移動環(進退部材)
70c 長孔
70e 軸支持孔
70f ストッパ
80 防振ユニット(防振可動枠)
81 第1ステージ
81a 上辺部
81b 下辺部
81c 側辺部
81d 側辺部
81e 開口
81g Xガイド孔
82 第2ステージ
82a レンズ保持筒部
82b 82c 支持腕部
82d 82e Yガイド孔
82h 位置制御ピン
83 Xガイドシャフト
84 85 Yガイドシャフト
86 挿脱枠
90 シャッタユニット(進退部材)
91 シャッタFPC
101 支持軸
102 離脱駆動レバー(離脱駆動機構)
102a 軸孔
102b カム当接部
102c 離脱保持面
103 レバー押さえ部材
104 離脱防止溝部
105 レバー付勢ばね
106 離脱押圧突起(離脱駆動機構)
106a 端面カム
106b 離脱保持面
107 挿脱ガイド溝部
O 撮影光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防振挿脱光学要素を有する撮影光学系;
上記撮影光学系の光軸方向の撮影位置と収納位置との間を移動する進退枠;
上記進退枠を撮影位置と収納位置との間で駆動するメインアクチュエータ:
上記進退枠に、上記撮影光学系の光軸と直交する方向に移動可能に支持された防振可動枠;
上記進退枠と防振可動枠の一方と他方に設けられた防振コイルと防振磁石を備え、上記防振コイルの通電制御によって上記進退枠に対して上記防振可動枠を光軸直交平面内で駆動制御する防振駆動アクチュエータ;
上記防振挿脱光学要素を保持した挿脱枠;
この挿脱枠は、上記撮影位置において上記撮影光学系の光軸上に上記防振挿脱光学要素を位置させる挿入位置と、上記収納位置において上記撮影光学系の光軸上から上記防振挿脱光学要素を離脱させる離脱位置との間を移動可能に上記防振可動枠に支持されていること;
上記メインアクチュエータにより上記進退枠が上記撮影位置から収納位置へ移動するとき、上記挿脱枠に係合して上記挿脱枠を上記挿入位置から離脱位置へ移動させる離脱駆動機構;
上記防振コイルに通電した上記防振駆動アクチュエータの駆動状態において、上記メインアクチュエータによる上記進退枠の上記撮影位置から収納位置への収納指示信号を入力する入力手段;及び
上記入力手段が上記収納指示信号を入力したとき、上記メインアクチュエータにより上記進退枠を上記撮影位置から収納位置へ向けて移動させて上記離脱駆動機構を介して上記挿脱枠を上記挿入位置から離脱位置へ移動させる前に、上記防振コイルへの通電を断って上記防振駆動アクチュエータを駆動状態から非駆動状態に切り替える制御手段;
を有することを特徴とする防振挿脱光学要素の位置制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の防振挿脱光学要素の位置制御装置において、
上記制御手段は、上記入力手段が上記収納指示信号を入力したとき、上記防振コイルへの通電を断って上記防振駆動アクチュエータを駆動状態から非駆動状態に切り替えてから、上記メインアクチュエータにより上記進退枠を上記撮影位置から収納位置へ向けて移動させる防振挿脱光学要素の位置制御装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の防振挿脱光学要素の位置制御装置において、
上記制御手段は、上記入力手段が上記収納指示信号を入力したとき、上記防振駆動アクチュエータに上記防振コイルの通電解除指示信号を送った後に、上記メインアクチュエータに収納駆動指示信号を送る防振挿脱光学要素の位置制御装置。
【請求項4】
請求項1記載の防振挿脱光学要素の位置制御装置において、
上記離脱駆動機構は、該離脱駆動機構を介して上記挿脱枠を上記挿入位置から離脱位置へ移動させる際に、上記防振可動枠を上記挿脱枠の離脱位置方向に従動移動させ、かつ、該離脱駆動機構により上記挿脱枠を離脱位置で保持した状態では、上記防振可動枠を光軸直交平面内の特定位置で保持する防振挿脱光学要素の位置制御装置。
【請求項5】
請求項1記載の防振挿脱光学要素の位置制御装置において、
上記進退枠と防振可動枠の間に設けられ、該進退枠と防振可動枠によって光軸方向に挟持された状態で光軸直交平面内での防振可動枠の移動を許す防振案内部材;
上記進退枠と防振可動枠を光軸方向に接近付勢して上記防振案内部材の挟持状態を維持させる防振可動枠付勢部材;
上記挿脱枠を上記挿入位置方向へ移動付勢する挿脱枠付勢部材;及び
少なくとも上記離脱位置方向への上記防振可動枠の移動範囲を規制する移動制限手段;を備え、
上記挿脱枠付勢部材によって上記挿脱枠に付与される上記離脱位置方向への移動抵抗が、上記防振可動枠付勢部材によって上記防振可動枠に付与される上記防振案内部材との間の移動抵抗よりも大きく、
上記離脱駆動機構は、上記移動制限手段による移動規制を受けるまで上記防振可動枠を上記挿脱枠と共に上記離脱位置方向に移動させてから、上記移動制限手段によって上記防振可動枠を光軸直交平面内の特定位置で保持した状態で、上記挿脱枠を単独で上記離脱位置まで移動させる防振挿脱光学要素の位置制御装置。
【請求項6】
請求項5記載の防振挿脱光学要素の位置制御装置において、
前記防振案内部材はガイドボールからなる防振挿脱光学要素の位置制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項記載の防振挿脱光学要素の位置制御装置において、
上記メインアクチュエータはズームモータからなる防振挿脱光学要素の位置制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項記載の防振挿脱光学要素の位置制御装置において、
上記離脱駆動機構は、上記撮影光学系の光軸と平行な回動軸を中心として回動する離脱駆動レバーと、上記位置制御装置に固定された離脱押圧突起とからなり、上記メインアクチュエータにより上記進退枠が上記撮影位置から収納位置へ移動するとき、上記離脱押圧突起が上記離脱駆動レバーを押圧し、上記離脱駆動レバーが上記挿脱枠を押圧することで、上記挿脱枠を上記挿入位置から離脱位置へ移動させる防振挿脱光学要素の位置制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−212113(P2012−212113A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−30143(P2012−30143)
【出願日】平成24年2月15日(2012.2.15)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】