説明

防水キャップ及びワイパピボット並びに車両用ワイパ装置

【課題】ピボット孔だけでなく、ピボット孔以外の場所から浸入した水についても防水を図る。
【解決手段】防水キャップ34における装着部50の周囲には、ピボット軸30の軸方向一方側(Z1側)に向けて開口を有する凹状の水受け部48が形成されている。また、水受け部48からはピボット軸30に対するワイパモータ14と反対側(X1側)に向けて延設部52が延設されており、この延設部52における水受け部48に対する反対側(X1側)からはピボット軸30の軸方向他方側(Z2側)へ垂れ壁部54が延設されている。この構成によれば、ピボット孔116から水が浸入してきても、この水を水受け部48にて受け止めることができ、また、水受け部48に対する車両幅方向外側(X1側)に位置する車体の隙間から水が浸入してきた場合でも、この水がピボットレバー26に到達することを延設部52及び垂れ壁部54によって阻止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水キャップ及びワイパピボット並びに車両用ワイパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ワイパ装置に用いられる防水キャップとしては、例えば、次のものがある(特許文献1参照)。特許文献1に記載の防水キャップは、ピボットホルダが挿入される筒部の径方向外側に傘部を有し、車体に形成されたピボット孔から浸入した水を傘部にて受け止め、傘部に形成された排水孔から下方へ排水する構成とされている。
【特許文献1】特開第3934509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の防水キャップにおける傘部は、ピボット軸の周囲に広がる構成とされている。このため、特許文献1に記載の防水キャップでは、ピボット孔から浸入した水については傘部で受け止めることができるが、例えば、カウルルーバの合わせ部、カウルルーバとエンジンフードとの隙間、カウルルーバとフロントサイドフェンダとの隙間など、傘部に対する車両幅方向外側に位置する車体の隙間から浸入した水については防水が考慮されていない。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ピボット孔だけでなく、ピボット孔以外の場所から浸入した水についても防水を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の防水キャップは、基端側にピボットレバーが一体回動可能に固定され先端側にワイパアームが固定されるピボット軸と、前記ピボット軸を回動可能に保持するピボットホルダとを有するワイパピボットに備えられる防水キャップであって、前記ピボット軸の軸方向一方側に向けて開口を有する凹状に形成され、前記ピボットレバーに対する前記ピボット軸の前記軸方向一方側に配置される水受け部と、前記水受け部の底部に形成され、前記ピボットホルダに装着される装着部と、前記水受け部から前記ピボット軸の軸方向と交差する方向の少なくとも一方側へ延設された延設部と、前記延設部における前記水受け部に対する反対側から前記ピボット軸の軸方向他方側へ延設された垂れ壁部と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の防水キャップによれば、装着部の周囲には、ピボット軸の軸方向一方側に向けて開口を有する凹状の水受け部が形成されており、この水受け部は、ピボットレバーに対するピボット軸の軸方向一方側に配置される。従って、ピボット軸に対する軸方向一方側に形成されたピボット孔から水が浸入してきても、この水を水受け部にて受け止めることができる。これにより、ピボット孔から浸入した水によって例えばピボットレバーと連結ロッドとの連結部等が被水することを防止することができる。
【0007】
また、請求項1に記載の防水キャップによれば、水受け部からはピボット軸の軸方向と交差する方向の少なくとも一方側へ延設部が延設されており、この延設部における水受け部に対する反対側からはピボット軸の軸方向他方側へ垂れ壁部が延設されている。従って、ピボット孔以外の場所、すなわち、水受け部に対するピボット軸の軸方向と交差する方向の少なくとも一方側に位置する車体の隙間から水が浸入してきた場合でも、この水がピボットレバーに到達することを延設部及び垂れ壁部によって阻止することができる。
【0008】
このように、請求項1に記載の防水キャップによれば、ピボット孔だけでなく、ピボット孔以外の場所から浸入した水についても防水を図ることができる。
【0009】
請求項2に記載の防水キャップは、請求項1に記載の防水キャップにおいて、前記延設部は、前記水受け部から前記ピボット軸の軸方向と交差する方向の一方側へ延設されると共に、前記ピボット軸の軸方向と交差する方向の一方側の回動限に回動されたときにおける前記ピボットレバーを前記ピボット軸の前記軸方向一方側から覆う構成とされ、前記水受け部は、前記ピボット軸の軸方向と交差する方向の他方側の回動限に回動されたときにおける前記ピボットレバーを前記ピボット軸の前記軸方向一方側から覆う構成とされ、前記垂れ壁部は、前記ピボット軸の軸方向と交差する方向の一方側の回動限に回動されたときにおける前記ピボットレバーの先端側に対する前記水受け部と反対側に配置される、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の防水キャップによれば、ピボットレバーがピボット軸の軸方向と交差する方向の一方側の回動限又は他方側の回動限に回動されたときでも、このピボットレバーが延設部又は水受け部によってピボット軸の軸方向一方側から覆われる。従って、回動可能範囲のいずれかの位置にピボットレバーが位置されていても、このピボットレバーが被水することを延設部又は水受け部によって防止することができる。
【0011】
しかも、請求項2に記載の防水キャップによれば、垂れ壁部は、ピボットレバーがピボット軸の軸方向と交差する方向の一方側の回動限に回動された場合でも、このピボットレバーの先端側に対する水受け部と反対側に配置される。従って、ピボットレバーの回動が垂れ壁部によって阻害されることを防止しつつ、この垂れ壁部によってもピボットレバーの防水を図ることができる。
【0012】
また、前記課題を解決するために、請求項3に記載のワイパピボットは、基端側にピボットレバーが一体回動可能に固定され先端側にワイパアームが固定されるピボット軸と、前記ピボット軸を回動可能に保持するピボットホルダと、請求項1又は請求項2に記載の防水キャップと、を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載のワイパピボットによれば、請求項1又は請求項2に記載の防水キャップが備えられているので、これにより、ピボット孔だけでなく、ピボット孔以外の場所から浸入した水についても防水を図ることができる。
【0014】
請求項4に記載のワイパピボットは、請求項3に記載のワイパピボットにおいて、前記ピボットレバーに対する前記ピボット軸の前記軸方向一方側に配置され、前記ピボット軸の軸方向と交差する方向の一方側へ延びるステーが設けられ、前記ステーの先端側には、車体への取付部が設けられ、前記防水キャップは、前記ステーの長手方向における前記取付部と前記ステーの長手方向中間部との間に配置され、前記ピボット軸の前記軸方向一方側から他方側へ延びる第一防水壁部と、前記ステーの長手方向における前記ステーの長手方向中間部と前記ピボットレバーとの間に配置され、前記ピボット軸の軸方向における前記ステー側から前記ピボットレバーに対する前記ピボット軸の軸方向他方側へ延びる第二防水壁部と、を有し、前記ステーの長手方向中間部には、前記ステーの長手方向における前記第一防水壁部と前記第二防水壁部との間に中間防水壁部が形成されている、ことを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載のワイパピボットによれば、車体へ取り付けるスペースを確保するために防水キャップで覆うことができない取付部に水が浸入してきた場合でも、この水を取付部から第一防水壁部、中間防水壁部、第二防水壁部を介してピボットレバーに対するピボット軸の軸方向他方側へ排出することができる。これにより、例えば、ピボット軸とピボットホルダとの隙間に水が浸入したり、ピボットレバーと連結ロッドとの連結部等が被水したりすることを防止することができる。
【0016】
請求項5に記載のワイパピボットは、請求項4に記載のワイパピボットにおいて、前記第一防水壁部は、前記延設部と連続して形成されている、ことを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載のワイパピボットによれば、第一防水壁部が延設部と連続して形成されているので、第一防水壁部と延設部との隙間を無くすことができる。これにより、防水性能をより一層向上することができる。
【0018】
請求項6に記載のワイパピボットは、請求項4又は請求項5に記載のワイパピボットにおいて、前記垂れ壁部と前記第二防水壁部とは、連結壁部により連結されている、ことを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載のワイパピボットによれば、取付部に水が浸入してきた場合でも、この水がピボットレバーに到達することを、垂れ壁部や第二防水壁部だけでなく、この垂れ壁部と第二防水壁部との間に形成された連結壁部によっても阻止することができる。
【0020】
また、前記課題を解決するために、請求項7に記載の車両用ワイパ装置は、ワイパモータと、請求項3〜請求項6のいずれか一項に記載のワイパピボットと、前記ピボットレバーを含み、前記ワイパモータの回転駆動力を前記ピボット軸に伝達するためのリンク機構と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の車両用ワイパ装置によれば、請求項3〜請求項6のいずれか一項に記載のワイパピボットが備えられているので、ピボット孔だけでなく、ピボット孔以外の場所から浸入した水についても防水を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づき、本発明の一実施形態について説明する。
【0023】
図1Aには、本発明の一実施形態に係る車両用ワイパ装置10が搭載された車両100が示されており、図1Bには、図1Aに示される車両100のA部が拡大されて示されている。また、図2には、図1Bに示される車両100のA部がカウルルーバ102及びエンジンフード104の一部を切り欠いた状態で示されている。
【0024】
なお、これらの図及び以下に説明する各図において示される矢印FR、矢印UP、矢印OUTは、それぞれ車両100における前後方向前側、上下方向上側、幅方向外側(車両右側)をそれぞれ示している。
【0025】
図1A〜図2に示されるように、本発明の一実施形態に係る車両用ワイパ装置10は、車両100に備えられたフロントウィンドウガラス108の下端部に対する車両前後方向前側で車両幅方向外側寄りの位置に配置されている。車両用ワイパ装置10は、図1Aに示される一対のワイパ110,112を往復回動させるものであり、図2に示されるように、パイプフレーム12と、ワイパモータ14と、ワイパピボット16と、リンク機構18とを有して構成されている。
【0026】
なお、一方のワイパピボット16とワイパモータ14を挟んだ反対側(つまり、車両幅方向中央側)には、一方のワイパピボット16と同様な構成を有する図示しない他方のワイパピボットが配置されており、車両用ワイパ装置10は、上述の各構成要素に、この図示しない他方のワイパピボットを含めてモジュール化されている。
【0027】
すなわち、ワイパモータ14は、図示しないブラケット等を介してパイプフレーム12の長手方向中間部に固定されている。パイプフレーム12の長手方向一方側には、後述するフレーム連結部40を介して一方のワイパピボット16が固定されており、パイプフレーム12の長手方向他方側には、図示しないフレーム連結部を介して上述の他方のワイパピボットが固定されている。
【0028】
リンク機構18は、クランクアーム20と、第一連結ロッド22と、第二連結ロッド24と、ピボットレバー26とを備えて構成されている。クランクアーム20の長手方向一端側は、ワイパモータ14の出力軸28に一体回動可能に固定されており、クランクアーム20の長手方向他端側は、第一連結ロッド22の長手方向一端側に相対回動可能に連結されている。
【0029】
また、第一連結ロッド22の長手方向他端側は、ピボットレバー26の先端側に相対回動可能に連結されており、ピボットレバー26の基端側は、後述する一方のワイパピボット16に備えられたピボット軸30の基端側に一体回動可能に固定されている。また、ピボットレバー26の先端側には、第二連結ロッド24の長手方向一方側が相対回動可能に連結されている。
【0030】
なお、上述の図示しない他方のワイパピボットに備えられたピボット軸には、その基端側にピボットレバー26と同様なピボットレバーが一体回動可能に固定されており、このピボットレバーの先端側には、第二連結ロッド24の長手方向他方側が相対回動可能に連結されている。
【0031】
そして、このモジュール化された車両用ワイパ装置10は、後述する一方のワイパピボット16に備えられたステー42、及び、図示しない他方のワイパピボットに備えられた同様のステー、更にはワイパモータ14などに形成された図示しないステーによって3箇所以上で車両100の車体に固定されている。
【0032】
また、この車両用ワイパ装置10では、ワイパモータ14が作動すると、ワイパモータ14の回転駆動力がリンク機構18を介して一方のピボット軸30及び図示しない他方のピボット軸に伝達され、これにより、この一方のピボット軸30及び図示しない他方のピボット軸の各先端側に一体回動可能に固定された一対のワイパ110,112(図1参照)を往復回動させる構成とされている。
【0033】
ここで、図3乃至図5には、この一対のワイパ110,112のうち一方のワイパ110が一体回動可能に固定されるワイパピボット16が詳細に示されている。これらの図に示されるように、ワイパピボット16は、ピボット軸30と、ピボットホルダ32と、防水キャップ34とを備えて構成されている。
【0034】
ピボット軸30は、筒状に形成されたピボットホルダ32に挿通されて、このピボットホルダ32に回動可能に保持されている。このピボット軸30及びピボットホルダ32は、図5に示されるように、車両上下方向に延びる仮想軸線L1に対して車両前後方向前側に所定角度θだけ傾斜した状態で車両100に取り付けられている。
【0035】
図6には、防水キャップ34が取り外された状態におけるワイパピボット16が詳細に示されている。この図に示されるように、ピボット軸30には、先端側にネジ部36が形成されると共に、ネジ部36に対する基端側にスプライン軸部38が形成されている。スプライン軸部38には、図1Aに示されるワイパ110を構成するワイパアーム114の基端側に形成された図示しない嵌合孔が嵌合され、この嵌合孔を貫通されたネジ部36に図示しないナットが螺合されることで、ピボット軸30にワイパアーム114が一体回動可能に固定されている(図1A参照)。
【0036】
ピボットホルダ32には、図6に示されるように、ピボット軸30の軸方向と直交する方向に沿って延びるフレーム連結部40及びステー42が設けられている。フレーム連結部40は、ピボットホルダ32からパイプフレーム12側に向けて、すなわち換言すれば、図2に示されるように、ピボットホルダ32からピボット軸30に対するワイパモータ14側(つまり、車両幅方向中央側で矢印X2側)に向けて延設されている。
【0037】
一方、ステー42は、ピボットホルダ32からパイプフレーム12と反対側に向けて、すなわち換言すれば、図2に示されるように、ピボットホルダ32からピボット軸30に対するワイパモータ14と反対側(つまり、車両幅方向外側で矢印X1側)に向けて延設されている。
【0038】
また、このステー42は、図6に示されるように、ピボットレバー26に対するピボット軸30の軸方向一方側(矢印Z1側)に配置されている。そして、このステー42の先端側には、図6に示されるように、例えば、ボルト、ゴムブッシュ、ワッシャ等からなる車体への取付部44が設けられており、ステー42の長手方向中間部42Aには、中間防水壁部46が形成されている。
【0039】
中間防水壁部46は、ステー42におけるピボット軸30の軸方向両側の面からピボット軸30の軸方向両側へ向けて突出されており、且つ、ステー42の長手方向(矢印L方向)及びピボット軸30の軸方向(矢印Z方向)とそれぞれ直交する方向(矢印W方向)に沿って延在されている。
【0040】
図7乃至図9には、上述のワイパピボット16に備えられた防水キャップ34が詳細に示されている。これらの図及び図2乃至図5に示されるように、防水キャップ34は、水受け部48と、装着部50と、延設部52と、垂れ壁部54とを備え、その全体が樹脂で形成されている。
【0041】
水受け部48は、底部56と一対の側壁部58,60とを有して構成されており、上述のピボット軸30の軸方向一方側(矢印Z1側)に向けて開口を有する凹状に形成されている。底部56は、ピボット軸30の軸方向と直交する平面状に形成されており、且つ、図2乃至図4に示されるように、ピボット軸30側からピボットレバー26の先端側に向けて延出されている。
【0042】
一対の側壁部58,60は、底部56の延出方向に沿って形成されており、ピボット軸30側からピボットレバー26の先端側に向かうに従って互いの間隔が狭まるテーパ状をなしている。また、一対の側壁部58,60におけるピボットレバー26の先端側は、排水口62として開口されている。
【0043】
また、この底部56及び一対の側壁部58,60を有して構成された水受け部48は、図2乃至図4に示されるように、ピボットレバー26に対するピボット軸30の軸方向一方側(矢印Z1側)に配置されている。また、この水受け部48は、図2の想像線(二点鎖線)で示される如くピボット軸30に対するワイパモータ14側(つまり、車両幅方向中央側で矢印X2側)の回動限に回動されたときにおけるピボットレバー26をピボット軸30の軸方向一方側から覆う構成とされている。
【0044】
装着部50は、上述の水受け部48の底部56からピボット軸30の軸方向一方側(矢印Z1側)へ延びる筒状に形成されている。そして、防水キャップ34は、装着部50にピボットホルダ32が嵌入されて装着部50がピボットホルダ32に装着されることで、このピボットホルダ32に取り付けられている。
【0045】
延設部52は、図2に示されるように、水受け部48からピボット軸30に対するワイパモータ14と反対側(つまり、車両幅方向外側で矢印X1側)に向けて延設されると共に、ピボット軸30の軸方向と直交する平面状に形成されている。この延設部52は、図2に示される如くピボット軸30に対するワイパモータ14と反対側の回動限に回動されたときにおけるピボットレバー26をピボット軸30の軸方向一方側(矢印Z1側)から覆う構成とされている。
【0046】
垂れ壁部54は、図3に示されるように、延設部52における水受け部48に対する反対側(矢印X1側)の縁部52Aからピボット軸30の軸方向他方側(矢印Z2側)へ延設されている。この垂れ壁部54は、図2に示される如くピボット軸30に対するワイパモータ14と反対側(つまり、車両幅方向外側で矢印X1側)の回動限に回動されたときにおけるピボットレバー26の先端側に対して、水受け部48と反対側(矢印X1側)に配置されている。
【0047】
また、この防水キャップ34には、図9に示されるように、第一防水壁部64と第二防水壁部66が形成されている。第一防水壁部64は、図4に示されるように、ステー42の長手方向(矢印L方向)における取付部44とステー42の長手方向中間部42Aとの間に配置されると共に、ピボット軸30の軸方向一方側から他方側(矢印Z1側から矢印Z2側)へ延びる構成とされている。また、この第一防水壁部64は、図9に示されるように、上述の延設部52と連続して形成されている。
【0048】
第二防水壁部66は、図4に示されるように、ステー42の長手方向(矢印L方向)における長手方向中間部42Aとピボットレバー26との間に配置されている。また、この第二防水壁部66は、図5に示されるように、ピボット軸30の軸方向(矢印Z方向)におけるステー42側からピボットレバー26に対するピボット軸30の軸方向他方側(矢印Z2側)へ延びる構成とされている。さらに、この第二防水壁部66は、図9に示されるように、連結壁部68を介して上述の垂れ壁部54と連結されている。
【0049】
また、図4に示されるように、上述のステー42の長手方向中間部42Aに形成された中間防水壁部46は、ステー42の長手方向(矢印L方向)における第一防水壁部64と第二防水壁部66との間に配置されている。
【0050】
なお、上記実施形態において、ピボット軸30に対するパイプフレーム12と反対側(換言すれば、ワイパモータ14と反対側(つまり、車両幅方向外側で矢印X1側))が本発明における「ピボット軸の軸方向と交差する方向の一方側」に相当する。また、ピボット軸30に対するパイプフレーム12側(換言すれが、ワイパモータ14側(つまり、車両幅方向中央側で矢印X2側))が本発明における「ピボット軸の軸方向と交差する方向の他方側」に相当する。
【0051】
そして、上記構成からなる車両用ワイパ装置10によれば、以下の特有な効果を奏する。
【0052】
すなわち、本発明の一実施形態に係る車両用ワイパ装置10によれば、図2に示されるように、防水キャップ34における装着部50の周囲には、ピボット軸30の軸方向一方側(矢印Z1側)に向けて開口を有する凹状の水受け部48が形成されており、この水受け部48は、ピボットレバー26に対するピボット軸30の軸方向一方側に配置されている。
【0053】
従って、図1Bの矢印W1で示される如く、ピボット軸30に対する軸方向一方側(矢印Z1側)に形成されたピボット孔116から水が浸入してきても、図2に示されるように、この水を水受け部48にて受け止めることができる。これにより、ピボット孔116から浸入した水によって例えばピボットレバー26と第一連結ロッド22又は第二連結ロッド24との連結部等が被水することを防止することができる。
【0054】
また、本発明の一実施形態に係る車両用ワイパ装置10によれば、水受け部48からはピボット軸30に対するワイパモータ14と反対側(つまり、車両幅方向外側で矢印X1側)に向けて延設部52が延設されており、この延設部52における水受け部48に対する反対側(矢印X1側)からはピボット軸30の軸方向他方側(矢印Z2側)へ垂れ壁部54が延設されている。
【0055】
従って、図1B及び図2の矢印W2で示されるように、ピボット孔116以外の場所、すなわち、カウルルーバ102の合わせ部118、カウルルーバ102とエンジンフード104との隙間120、カウルルーバ102とフロントサイドフェンダ106との隙間122など、水受け部48に対する車両幅方向外側(矢印X1側)に位置する車体の隙間から水が浸入してきた場合でも、この水がピボットレバー26に到達することを延設部52及び垂れ壁部54によって阻止することができる。
【0056】
このように、本発明の一実施形態に係る車両用ワイパ装置10によれば、ピボット孔116だけでなく、ピボット孔116以外の場所から浸入した水についても防水を図ることができる。
【0057】
また、本発明の一実施形態に係る車両用ワイパ装置10によれば、ピボットレバー26がピボット軸30に対するワイパモータ14と反対側(つまり、車両幅方向外側で矢印X1側)の回動限又はピボット軸30に対するワイパモータ14側(つまり、車両幅方向中央側で矢印X2側)の回動限に回動されたときでも、このピボットレバー26が延設部52又は水受け部48によってピボット軸30の軸方向一方側(矢印Z1側)から覆われる。従って、回動可能範囲のいずれかの位置にピボットレバー26が位置されていても、このピボットレバー26が被水することを延設部52又は水受け部48によって防止することができる。
【0058】
しかも、本発明の一実施形態に係る車両用ワイパ装置10によれば、垂れ壁部54は、図2に示されるように、ピボットレバー26がピボット軸30に対するワイパモータ14と反対側(つまり、車両幅方向外側で矢印X1側)の回動限に回動された場合でも、このピボットレバー26の先端側に対する水受け部48と反対側(矢印X1側)に配置されている。従って、ピボットレバー26の回動が垂れ壁部54によって阻害されることを防止しつつ、この垂れ壁部54によってもピボットレバー26の防水を図ることができる。
【0059】
また、本発明の一実施形態に係る車両用ワイパ装置10によれば、図3の矢印W3で示されるように、車体へ取り付けるスペースを確保するために防水キャップ34で覆うことができない取付部44に水が浸入してきた場合でも、図4,図5に示されるように、この水を取付部44から第一防水壁部64、中間防水壁部46を介して第二防水壁部66に誘導できる。
【0060】
そして、この第二防水壁部66に誘導された水を第二防水壁部66を介してピボットレバー26に対するピボット軸30の軸方向他方側(矢印Z2側)へ排出することができる。これにより、例えば、ピボット軸30とピボットホルダ32との隙間に水が浸入したり、ピボットレバー26と第一連結ロッド22又は第二連結ロッド24との連結部等が被水したりすることを防止することができる。
【0061】
また、本発明の一実施形態に係る車両用ワイパ装置10によれば、図9に示されるように、第一防水壁部64が延設部52と連続して形成されているので、第一防水壁部64と延設部52との隙間を無くすことができる。これにより、防水性能をより一層向上することができる。
【0062】
また、本発明の一実施形態に係る車両用ワイパ装置10によれば、図4,図5の矢印W3で示されるように、取付部44に水が浸入してきた場合でも、この水がピボットレバー26に到達することを、垂れ壁部54や第二防水壁部66だけでなく、この垂れ壁部54と第二防水壁部66との間に形成された連結壁部68によっても阻止することができる。
【0063】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【0064】
例えば、上記実施形態では、カウルルーバ102の合わせ部118、カウルルーバ102とエンジンフード104との隙間120、カウルルーバ102とフロントサイドフェンダ106との隙間122が水受け部48に対するワイパモータ14と反対側(つまり、車両幅方向外側で矢印X1側)に形成されていたため、これに合わせて延設部52が水受け部48からピボット軸30に対するワイパモータ14と反対側(矢印X1側)に向けて延設されていたが、次のように構成されていても良い。
【0065】
すなわち、例えば、カウルルーバ102の合わせ部118が水受け部48に対するワイパモータ14側(つまり、車両幅方向中央側で矢印X2側)に形成されていた場合には、これに合わせて延設部52が水受け部48からワイパモータ14側(矢印X2側)に向けて延設されていても良い。
【0066】
また、例えば、カウルルーバ102の合わせ部118が水受け部48に対するワイパモータ14と反対側(つまり、車両幅方向外側で矢印X1側)と、水受け部48に対するワイパモータ14側(つまり、車両幅方向中央側で矢印X2側)とに形成されていた場合には、これに合わせて延設部52が水受け部48からピボット軸30に対するワイパモータ14と反対側(矢印X1側)と、水受け部48からワイパモータ14側(矢印X2側)とに向けてそれぞれ延設されていても良い。
【0067】
なお、延設部52が水受け部48からワイパモータ14側(矢印X2側)に向けて延設される場合には、垂れ壁部54に第一連結ロッド22及び第二連結ロッド24との干渉防止用の切り欠き等が形成されることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1A】本発明の一実施形態に係る車両用ワイパ装置が搭載された車両を示す図である。
【図1B】図1Aに示される車両のA部拡大図である。
【図2】図1Bに示される車両のA部をカウルルーバ及びエンジンフードの一部が切り欠かれた状態で示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るワイパピボットを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るワイパピボットを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るワイパピボットを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るワイパピボットを示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る防水キャップを示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る防水キャップを示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る防水キャップを示す図である。
【符号の説明】
【0069】
10…車両用ワイパ装置、12…パイプフレーム、14…ワイパモータ、16…ワイパピボット、18…リンク機構、20…クランクアーム、22…第一連結ロッド、24…第二連結ロッド、26…ピボットレバー、28…出力軸、30…ピボット軸、32…ピボットホルダ、34…防水キャップ、36…ネジ部、38…スプライン軸部、40…フレーム連結部、42…ステー、44…取付部、46…中間防水壁部、48…水受け部、50…装着部、52…延設部、54…垂れ壁部、56…底部、58,60…側壁部、62…排水口、64…第一防水壁部、66…第二防水壁部、68…連結壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端側にピボットレバーが一体回動可能に固定され先端側にワイパアームが固定されるピボット軸と、前記ピボット軸を回動可能に保持するピボットホルダとを有するワイパピボットに備えられる防水キャップであって、
前記ピボット軸の軸方向一方側に向けて開口を有する凹状に形成され、前記ピボットレバーに対する前記ピボット軸の前記軸方向一方側に配置される水受け部と、
前記水受け部の底部に形成され、前記ピボットホルダに装着される装着部と、
前記水受け部から前記ピボット軸の軸方向と交差する方向の少なくとも一方側へ延設された延設部と、
前記延設部における前記水受け部に対する反対側から前記ピボット軸の軸方向他方側へ延設された垂れ壁部と、
を備えたことを特徴とする防水キャップ。
【請求項2】
前記延設部は、前記水受け部から前記ピボット軸の軸方向と交差する方向の一方側へ延設されると共に、前記ピボット軸の軸方向と交差する方向の一方側の回動限に回動されたときにおける前記ピボットレバーを前記ピボット軸の前記軸方向一方側から覆う構成とされ、
前記水受け部は、前記ピボット軸の軸方向と交差する方向の他方側の回動限に回動されたときにおける前記ピボットレバーを前記ピボット軸の前記軸方向一方側から覆う構成とされ、
前記垂れ壁部は、前記ピボット軸の軸方向と交差する方向の一方側の回動限に回動されたときにおける前記ピボットレバーの先端側に対する前記水受け部と反対側に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の防水キャップ。
【請求項3】
基端側にピボットレバーが一体回動可能に固定され先端側にワイパアームが固定されるピボット軸と、
前記ピボット軸を回動可能に保持するピボットホルダと、
請求項1又は請求項2に記載の防水キャップと、
を備えたことを特徴とするワイパピボット。
【請求項4】
前記ピボットホルダには、前記ピボットレバーに対する前記ピボット軸の前記軸方向一方側に配置され、前記ピボット軸の軸方向と交差する方向の一方側へ延びるステーが設けられ、
前記ステーの先端側には、車体への取付部が設けられ、
前記防水キャップは、
前記ステーの長手方向における前記取付部と前記ステーの長手方向中間部との間に配置され、前記ピボット軸の前記軸方向一方側から他方側へ延びる第一防水壁部と、
前記ステーの長手方向における前記ステーの長手方向中間部と前記ピボットレバーとの間に配置され、前記ピボット軸の軸方向における前記ステー側から前記ピボットレバーに対する前記ピボット軸の軸方向他方側へ延びる第二防水壁部と、
を有し、
前記ステーの長手方向中間部には、前記ステーの長手方向における前記第一防水壁部と前記第二防水壁部との間に中間防水壁部が形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のワイパピボット。
【請求項5】
前記第一防水壁部は、前記延設部と連続して形成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載のワイパピボット。
【請求項6】
前記垂れ壁部と前記第二防水壁部とは、連結壁部により連結されている、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のワイパピボット。
【請求項7】
ワイパモータと、
請求項3〜請求項6のいずれか一項に記載のワイパピボットと、
前記ピボットレバーを含み、前記ワイパモータの回転駆動力を前記ピボット軸に伝達するためのリンク機構と、
を備えたことを特徴とする車両用ワイパ装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−179104(P2009−179104A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17864(P2008−17864)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】