防水グロメットの取付構造とそれを備えた電気接続箱
【課題】カバーとグロメットの端部との間における防水性を向上させる。
【解決手段】一方のカバー2に開口部5を設け、開口部に電線挿通用の弾性の防水グロメット4を嵌合し、一方のカバーに他方のカバー3を接合して箱体6を構成し、他方のカバーを防水グロメットの端部に接する防水グロメットの取付構造で、他方のカバー3に、防水グロメットの端面9aを押圧しつつ端面よりも深く入り込む延長リブ20を突出形成した。防水グロメット4の端面9aに交差する前端面15をグロメット嵌合部37の前端面17aに当接させ、延長リブ20で防水グロメットの端面の後端寄りを押圧した。インナ部材21のリブ24を防水グロメットの後端面18に当接させた。延長リブ20に隣接して他方のカバー3に防水パッキン11を設けた。上記防水グロメットの取付構造を備えた電気接続箱1を採用する。
【解決手段】一方のカバー2に開口部5を設け、開口部に電線挿通用の弾性の防水グロメット4を嵌合し、一方のカバーに他方のカバー3を接合して箱体6を構成し、他方のカバーを防水グロメットの端部に接する防水グロメットの取付構造で、他方のカバー3に、防水グロメットの端面9aを押圧しつつ端面よりも深く入り込む延長リブ20を突出形成した。防水グロメット4の端面9aに交差する前端面15をグロメット嵌合部37の前端面17aに当接させ、延長リブ20で防水グロメットの端面の後端寄りを押圧した。インナ部材21のリブ24を防水グロメットの後端面18に当接させた。延長リブ20に隣接して他方のカバー3に防水パッキン11を設けた。上記防水グロメットの取付構造を備えた電気接続箱1を採用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱体の開口部に電線挿通用の防水グロメットを嵌合させて外部から開口部内への水の浸入を防止させる防水グロメットの取付構造とそれを備えた電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11〜図12は、従来の防水グロメットの取付構造とそれを備えた電気接続箱の一形態を示すものである(特許文献1参照)。
【0003】
防水グロメット(以下グロメットと言う)61は弾性のゴム材で形成され、蛇腹部62と基端側の鍔部63とを有し、内部にワイヤハーネス64が挿通され、鍔部63が電気接続箱Jのロアカバー65の開口部67に嵌合されて、電気接続箱Jの内側からワイヤハーネス64が外部に導出され、グロメット61によって外部から開口部内への水や塵等の侵入が防止される。
【0004】
ロアカバー65の開口部67は略U字状に開口され、内周にグロメット61の鍔部63を嵌合させる溝部68を有している。鍔部63の上端面69は平坦に形成され、且つ幅方向のリブ70を有し、電気接続箱Jのアッパカバー66に、鍔部63の上端面69に密着する水平な鍔部71が突出形成され、鍔部71内にパッキン72を嵌合させる溝が形成され、リブ70はパッキン72に押接して鍔部63の上端面側からの水等の侵入を防止する。
【0005】
グロメット61の内側には合成樹脂製の硬質で略筒状のインナ部材73が嵌着され、弾性のグロメット61をサポートしてロアカバー65やアッパカバー66に強く密着させる。インナ部材73は係止爪74でロアカバー65に係止され、グロメット61の浮き上がりが防止される。
【0006】
グロメット61の鍔部63の上端面69とリブ70を山型状に突出させたり、インナ部材73の上端面75を山型に突出形成してグロメット61の鍔部63の上端面69を山型に膨出させて、アッパカバー66に対する防水性を高めた構造も特許文献1に開示されている。
【0007】
電気接続箱Jは合成樹脂製のロアカバー65とアッパカバー66とロアカバー内に装着される配線板やバスバー回路やヒューズやリレー等の電気部品等とで構成される。ロアカバー65とアッパカバー66とで箱体が構成される。ワイヤハーネス64を構成する複数本の電線はこれら配線板や回路や電気部品等に接続される。
【特許文献1】実開平4−85525号公報(第8図,第10図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の防水グロメットの取付構造とそれを備えた電気接続箱にあっては、アッパカバー66とグロメット61の鍔部63の上端面69とが面接触で密着するために、例えばアッパカバー66やグロメット61の鍔部63に傾きを生じたりした場合に、密着性が低下して水が浸入する危険性を生じたり、あるいは自動車のエンジンルーム内の高圧洗浄時にアッパカバー66とグロメット61の鍔部63の上端面69との間から水が浸入してしまうという心配があった。
【0009】
なお、上記形態においてはグロメット61の鍔部63の上端面69をアッパカバー66に密着させたが、例えばグロメット61を上下反転させて使用し、アッパカバーにグロメットの鍔部を嵌合させる開口部を設け、ロアカバーにグロメットの鍔部の下端面を密着させる場合や、ロアカバーとアッパカバーとの両方に開口部を連続して設け、ロアカバー又はアッパカバーにグロメットの鍔部の端面を密着させる等の場合においても、上記問題は同様に生じ得るものである。
【0010】
本発明は、上記した点に鑑み、箱体に装着したグロメットの端部と箱体のカバーとの間における防水性を高めることのできる防水グロメットの取付構造とそれを備えた電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る防水グロメットの取付構造は、一方のカバーに開口部が設けられ、該開口部に電線挿通用の弾性の防水グロメットが嵌合され、該一方のカバーに他方のカバーが接合されて箱体を構成し、該他方のカバーが該防水グロメットの端部に接する防水グロメットの取付構造において、該他方のカバーに、該防水グロメットの端面を押圧しつつ該端面よりも深く入り込む延長リブが突出形成されたことを特徴とする。
【0012】
上記構成により、一方のカバーの開口部内にグロメットが嵌合され、一方のカバーに他方のカバーを接合させると同時に、他方のカバーの延長リブがグロメットを押圧し、延長リブの先端がグロメットに強く密着する。これにより防水性が高まる。
【0013】
請求項2に係る防水グロメットの取付構造は、請求項1記載の防水グロメットの取付構造において、前記防水グロメットの端部が前記他方のカバーのグロメット嵌合部内に位置することを特徴とする。
【0014】
上記構成により、一方のカバーに他方のカバーを接合し、他方のカバーの延長リブがグロメットを押圧した際に、グロメットが他方のカバーのグロメット嵌合部内に嵌合されているから、グロメットがグロメット嵌合部内で圧縮されてグロメット嵌合部の内壁面に強く密着する。これにより防水性が一層高まる。
【0015】
請求項3に係る防水グロメットの取付構造は、請求項2記載の防水グロメットの取付構造において、前記防水グロメットの端面に交差する前端面が前記グロメット嵌合部の前端面に当接し、前記延長リブが該防水グロメットの端面の後端寄りを押圧することを特徴とする。
【0016】
上記構成により、一方のカバーに他方のカバーを接合し、他方のカバーの延長リブがグロメットを押圧した際に、グロメットが、延長リブによる押圧方向と、押圧直交方向すなわちグロメットの前端面をグロメット嵌合部の前端面に当接させる方向とに圧縮され、グロメットの前端面すなわち外部から箱体内に水が浸入する側の部分がグロメット嵌合部の前端面に強く密着し、これにより防水性が高まる。
【0017】
請求項4に係る防水グロメットの取付構造は、請求項1〜3の何れかに記載の防水グロメットの取付構造において、前記防水グロメットの内側に硬質のインナ部材が嵌合されたことを特徴とする。
【0018】
上記構成により、一方のカバーに他方のカバーを接合し、他方のカバーの延長リブがグロメットを押圧した際に、グロメットが硬質のインナ部材との間で圧縮され、延長リブによるグロメットの押圧方向の撓み変形が小さく抑えられ、延長リブとグロメットとが一層強く密着する。また、延長リブによる押圧直交方向すなわちグロメットの前端面をグロメット嵌合部の前端面に当接させる方向に強く押圧されて、グロメットの前端面すなわち外部から箱体内に水が浸入する側の部分がグロメット嵌合部の前端面に一層強く密着する。これらにより防水性が高まる。
【0019】
請求項5に係る防水グロメットの取付構造は、請求項4記載の防水グロメットの取付構造において、前記インナ部材のリブが前記防水グロメットの後端面に当接したことを特徴とする。
【0020】
上記構成により、一方のカバーに他方のカバーを接合し、他方のカバーの延長リブがグロメットを押圧した際に、延長リブに近接してインナ部材のリブが位置し、グロメットの圧縮力をリブが受け止めてグロメットの圧縮反力でグロメットの前端面すなわち外部から箱体内に水が浸入する側の部分をグロメット嵌合部の前端面に強く当接させるから、防水性が高まる。
【0021】
請求項6に係る防水グロメットの取付構造は、請求項1〜5の何れかに記載の防水グロメットの取付構造において、前記延長リブに隣接して前記他方のカバーに防水パッキンが設けられたことを特徴とする。
【0022】
上記構成により、一方のカバーに他方のカバーを接合し、他方のカバーの延長リブがグロメットを押圧した際に、延長リブに隣接するグロメット部分が押圧反対方向に盛り上がり、防水パッキンに強く密着する。これにより防水パッキンによる防水性が向上する。
【0023】
請求項7に係る電気接続箱は、請求項1〜6の何れかに記載の防水グロメットの取付構造を備えたことを特徴とする。
【0024】
上記構成により、上記請求項1〜6の何れかに記載の発明の作用効果を奏する電気接続箱が提供される。電気接続箱において複数本の電線がグロメットを経てカバーの開口部から箱体内(接続箱本体内)に導入され、例えば箱体内のリレーやヒューズやヒュージブルリンク等の電気部品や、回路基板やバスバー等の回路等に接続される。請求項1〜6の何れかに記載の構成によって箱体内の電気部品や回路等が確実に防水されて電気的接続の信頼性が長期間に渡って確保される。
【発明の効果】
【0025】
請求項1記載の発明によれば、他方のカバーの延長リブがグロメットを押圧し、延長リブの先端がグロメットに強く密着することで、従来の弱点であった他方のカバーすなわちグロメットを装着するカバーとは反対側のカバーとグロメットの端部との間における防水性が向上し、例えばエンジンルームの高圧洗浄や車両走行中の跳ね水等が箱体内に浸入する心配がなくなり、箱体内の部品が錆や電気的な接触不良等から安全に保護される。
【0026】
請求項2記載の発明によれば、他方のカバーの延長リブがグロメットを押圧した際に、グロメットがグロメット嵌合部内で圧縮されてグロメット嵌合部の内壁面に強く密着するから、防水性が一層向上し、請求項1記載の発明の効果が促進される。
【0027】
請求項3記載の発明によれば、グロメットが延長リブによる押圧直交方向に圧縮されて、グロメットの前端面すなわち外部から箱体内に水が浸入する側の部分がグロメット嵌合部の前端面に強く密着するから、防水性が向上し、請求項1記載の発明の効果が促進される。
【0028】
請求項4記載の発明によれば、硬質のインナ部材によって延長リブによるグロメットの押圧方向の撓み変形が小さく抑えられ、延長リブとグロメットとが一層強く密着することで、請求項1記載の発明の効果が促進される。
【0029】
請求項5記載の発明によれば、延長リブによるグロメットの圧縮力をインナ部材のリブが受け止めてグロメットの圧縮反力でグロメットの前端面すなわち外部から箱体内に水が浸入する側の部分をグロメット嵌合部の前端面に強く当接させるから、防水性が一層向上し、請求項1記載の発明の効果が促進される。
【0030】
請求項6記載の発明によれば、延長リブがグロメットを押圧した際に、延長リブに隣接するグロメット部分が押圧反対方向に盛り上がり、防水パッキンに強く密着することで、防水パッキンによる防水性が向上し、請求項1記載の発明の効果が促進される。
【0031】
請求項7記載の発明によれば、箱体内のリレーやヒューズやヒュージブルリンク等の電気部品や、回路基板やバスバー等の回路等が確実に防水されて電気的接続の信頼性が長期間に渡って確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1〜図3は、防水グロメットの取付構造とそれを備えた電気接続箱の一実施形態を示すものである。
【0033】
図1において符号2は合成樹脂製のロアカバー、鎖線で示す符号3は、合成樹脂製のアッパカバー、符号4は、ロアカバー2の開口部5に嵌合された合成ゴム製の弾性の防水グロメット(以下グロメットと言う)をそれぞれ示している。図2は図1のA−A断面図、図3は図2の要部B拡大図である。
【0034】
ロアカバー2とアッパカバー3とで略矩形状の箱体6が構成され、ロアカバー内にリレーやヒューズやヒュージブルリンクといった電気部品(図示せず)が装着されて電気接続箱1が構成される。ロアカバー2にアッパカバー3が係止ないし固定手段で固定され、ロアカバー2のブラケット(図示せず)が車両ボディの例えばエンジンルーム等に固定される。
【0035】
グロメット4は水平方向の蛇腹部7と、蛇腹部7の先端側に続く小径な筒状部(図示せず)と、蛇腹部7の基端側に形成された垂直方向の鍔部8とで構成されている。蛇腹部内を図示しないワイヤハーネス(複数本の電線)が屈曲自在に挿通されてアンダカバー側の各電気部品等に接続されると共に、グロメット先端側の筒状部で例えばテープ巻き等で防水されつつ固定される。
【0036】
図3の如く、鍔部8は水平方向の真直な上端壁9を有し、上端壁9の平坦な上端面9aに、アッパカバー3に押接する垂直な前側のリブ(リップ)10と、アッパカバー3に装着された防水パッキン11に押接する垂直な後側のリブ12とを有している。前側のリブ10は後側のリブ12よりも細く、テーパ状に先細となっている。後側のリブ12はほぼ真直に突出し、先端に断面半円状の曲面を有している。両リブ10,12の突出高さは同程度である。
【0037】
前側のリブ10の先端部はアッパカバー3の水平な壁部13の内面に押圧されて適度な密着代を有し、アッパカバー3の内面と鍔部8の上端面9aとの間には僅かな隙間14が形成されている。後側のリブ12はほぼ全長に渡ってアッパカバー側のパッキン11の内部に入り込んでいる。パッキン11の前端面の下半部は隙間14内に露出している。鍔部8の前端面15には水平方向の小さなリブ(リップ)16が突出形成されてアッパカバー3の前端壁(外側壁)17の内面である前端面17aに密着している。
【0038】
後側のリブ12の後方において後側のリブ12と鍔部8の後端面18との間で、パッキン11の後側に隣接してアッパカバー3の垂直な壁部19が鍔部8の上端面9aよりも下側に長くリブ状に延長(突出)形成されて、その延長リブ20が鍔部8の上端面9aを下向きに押圧して鍔部8の内部に入り込んでいる(食い込んでいる)。
【0039】
延長リブ20の体積分だけ鍔部8が下向き及び前向きに圧縮され、鍔部8がアッパカバー3の垂直な前端壁17の内面と下側の合成樹脂製の硬質のインナー部材21とに強く密着する。また、延長リブ20が鍔部8に強く密着する。これらにより、アッパカバー3とグロメット4の鍔部8との間における防水性が向上する。
【0040】
インナー部材21は略環状に形成され、グロメット4の鍔部8に対応する上壁22が水平に真直に形成され、上壁22に、鍔部8の前側のリブ10のほぼ下側に入り込んだ垂直なリブ23と、鍔部8の後端面18に当接する垂直なリブ24とを有し、この前後のリブ23,24の間に溝25が形成され、溝内に鍔部8の後半部が嵌合し、前側のリブ23とアッパカバー3の前端壁17との間に鍔部8の垂直な前端部25が密着して位置し、前端部25は水平な蛇腹部7(図2)に続いている。
【0041】
インナー部材21の後側のリブ24は前側にリブ23よりも少し高く突出し、後側のリブ24の先端の前側上方に少しの距離をおいてアッパカバー3の延長リブ20の先端が位置している。このように延長リブ20がインナー部材21の後側のリブ24に近接しているから、延長リブ20で圧縮されたグロメット4の鍔部8は後方ではなく前方すなわち防水の必要な部分に向けて弾性変形し、アッパカバー3の前端壁17の内面に鍔部8の前端面15が強く密着する。これにより、前述の如く防水性が向上する。
【0042】
図1,図2においてグロメット4の鍔部8は下端部及び両側部において外向きに突出し、鍔部8の外周にロアカバー2のガイド壁26が嵌合して位置し、ガイド壁26の最下部にはエア抜き兼水抜き孔27が設けられ、ガイド壁26の内面には短いリブ28が周設されて鍔部8の外周の溝29に係合密着し、溝29は鍔部8の上端の後側のリブ12とほぼ同一垂直面に位置している。鍔部8の下端部及び両側部の内周面にはインナ部材21の外周面が密着し、インナ部材21の前側のリブ23が鍔壁8の溝30に嵌合し、後側のリブ24が鍔部8の後端面18に密着すると共に、下端部においてロアカバー2の係止枠片31に後側のリブ24の係合突起32が係合している。
【0043】
図4はグロメットの正面図、図5は同じくの上面図をそれぞれ示すものである。
【0044】
図4の如くグロメット4は従来同様に半円状の下半部と矩形状の上半部とを一体化させた形状を呈し、下半部及び両側部がロアカバー2(図2)の開口部内に嵌合し、上端部がアッパカバー3(図2)で密着される。符号7は蛇腹部、33は先端側の筒状部、10は前側のリブ、9aは上端面、16は正面側のリブ(リップ)をそれぞれ示している。
【0045】
図5の如くグロメット4の上端面9aにおいて前後のリブ10,12が平行に突出形成され、前後のリブ10,12はグロメット4の両側端において連結リブ34で一体に連結されて略矩形ループ状に繋がっている。後側のリブ12の後方に上端面9aの一部である平坦な面9a’が位置し、この面9a’に図3のアッパカバー3の延長リブ20が押接される。
【0046】
図6はロアカバーの正面図,図7は図6ののC−C断面図をそれぞれ示すものである。
【0047】
ロアカバー2の垂直な外周壁35に開口部5が設けられ、開口部5の周囲に略U字状のガイド壁(グロメット嵌合部)26が設けられ、ガイド壁26の内側に溝部36が設けられ、溝部内にグロメット4(図4)の鍔部8の下半部及び両側部が上方からスライド式に嵌合されて密着する。本例のガイド壁26の上端26aは外周壁35よりも少し低く位置し、ガイド壁26の上側にグロメット4の上部が突出して位置する。ガイド壁26の内側には前記リブ28や係止枠片31等が形成されている。
【0048】
図8はアッパカバーの正面図、図9は同じく下方視平面図、図10は図8のD−D断面図をそれぞれ示すものである。
【0049】
アッパカバー3の垂直な外周壁19にガイド壁(グロメット嵌合部)37が下向きに略コの字状に短く突出され、且つ外周壁19から前向きに突出されている。ロアカバー2にアッパカバー3を組み付けると同時に、アッパカバー3のガイド壁37がロアカバー側のガイド壁26と接合(合体)して、グロメット4の上部が上側のガイド壁37の内側にスライド式に嵌合する。
【0050】
ガイド壁37は断面略L字状の両側の下半部38と、左右、前、上の三方を封止された上半部39とで構成され、上半部39の内側にグロメット4の鍔部8の上端部を嵌合させる溝40が設けられ、溝40に隣接してガイド壁37の内側でパッキン11を嵌合する溝41が設けられ、溝41の内側に、グロメット4に押接する延長リブ20が垂下形成され、延長リブ20は外周壁19の内面とほぼ同一面に位置している。延長リブ20は外周壁19に沿って水平方向に周状に続き、グロメット4の上端面9aを横断しつつ上端面9aに押接する。延長リブ20の作用効果は前述の通りである。ガイド壁37の下端部42はロアカバー2のガイド壁26の外側に被さるように位置する。
【0051】
なお、上記実施形態においては、アッパカバー3とロアカバー2とで箱体6を構成したが、例えばアッパカバーとミドルカバーとロアカバーとで箱体を構成し、ロアカバーに開口部5とガイド壁26を設け、ミドルカバーに上側のガイド壁37や延長リブ20を設けることも可能である。
【0052】
また、アッパカバーないしミドルカバーに開口部5やガイド壁26を設け、グロメット4を上下反転して上側の開口部5に嵌合させ、ロアカバーに延長リブ20等を設けることも可能である。
【0053】
また、アッパカバー3の延長リブ20をグロメット4の上端面9aの後端寄りではなく例えば中央寄り(前後のリブ10,12の間)や前寄り(前側のリブ14の前方)に対向して設けることも可能である。この場合、パッキン嵌合溝41を構成する後端壁43(図3)はグロメット4の上端面9aに接触ないし非接触で位置する。
【0054】
また、グロメット内の硬質のインナ部材21を廃除して、例えばグロメット自体の剛性を高めたものを使用することも可能であり、この場合においても、カバー3の延長リブ20がグロメット内に食い込んで密着し、防水性を高める。また、インナ部材21をグロメット4にインサート成形等で一体に形成することも可能である。
【0055】
また、グロメット4として蛇腹部7のないものを使用することも可能である。この場合、例えば鍔部8に小径の筒状部33(図4)が一体に続き、筒状部33に電線がテープ巻き等で固定される。
【0056】
また、上記実施形態においては、アッパカバー3にグロメット嵌合部であるガイド壁37を設けたが、ガイド壁37の垂直な前端壁17を廃除して水平な上壁13側のみでグロメット4の鍔部8の上端部に押接させることも可能である。この場合でも、上壁13には延長リブ20が突設されることは言うまでもない。パッキン11は有るに越したことはないが、ない場合でも延長リブ20によってかなりのシール性が発揮される。また、グロメット4の鍔部8の前端面15のリブ16を廃除して前端面15を直接にアッパカバー3の前端面17aに密着させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る防水グロメットの取付構造とそれを備えた電気接続箱の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図2のB部拡大図である。
【図4】グロメットを示す正面図である。
【図5】同じくグロメットを示す上面図である。
【図6】ロアカバーを示す正面図である。
【図7】図6のC−C断面図である。
【図8】アッパカバーを示す正面図である。
【図9】同じくアッパカバーを示す下方視平面図である。
【図10】図8のD−D断面図である。
【図11】従来の防水グロメットの取付構造とそれを備えた電気接続箱の一形態を示す分解斜視図である。
【図12】同じく組立状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 電気接続箱
2 ロアカバー
3 アッパカバー
4 防水グロメット
5 開口部
6 箱体
9a 上端面
11 防水パッキン
15,17a 前端面
18 後端面
20 延長リブ
21 インナ部材
24 リブ
37 ガイド壁(グロメット嵌合部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱体の開口部に電線挿通用の防水グロメットを嵌合させて外部から開口部内への水の浸入を防止させる防水グロメットの取付構造とそれを備えた電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11〜図12は、従来の防水グロメットの取付構造とそれを備えた電気接続箱の一形態を示すものである(特許文献1参照)。
【0003】
防水グロメット(以下グロメットと言う)61は弾性のゴム材で形成され、蛇腹部62と基端側の鍔部63とを有し、内部にワイヤハーネス64が挿通され、鍔部63が電気接続箱Jのロアカバー65の開口部67に嵌合されて、電気接続箱Jの内側からワイヤハーネス64が外部に導出され、グロメット61によって外部から開口部内への水や塵等の侵入が防止される。
【0004】
ロアカバー65の開口部67は略U字状に開口され、内周にグロメット61の鍔部63を嵌合させる溝部68を有している。鍔部63の上端面69は平坦に形成され、且つ幅方向のリブ70を有し、電気接続箱Jのアッパカバー66に、鍔部63の上端面69に密着する水平な鍔部71が突出形成され、鍔部71内にパッキン72を嵌合させる溝が形成され、リブ70はパッキン72に押接して鍔部63の上端面側からの水等の侵入を防止する。
【0005】
グロメット61の内側には合成樹脂製の硬質で略筒状のインナ部材73が嵌着され、弾性のグロメット61をサポートしてロアカバー65やアッパカバー66に強く密着させる。インナ部材73は係止爪74でロアカバー65に係止され、グロメット61の浮き上がりが防止される。
【0006】
グロメット61の鍔部63の上端面69とリブ70を山型状に突出させたり、インナ部材73の上端面75を山型に突出形成してグロメット61の鍔部63の上端面69を山型に膨出させて、アッパカバー66に対する防水性を高めた構造も特許文献1に開示されている。
【0007】
電気接続箱Jは合成樹脂製のロアカバー65とアッパカバー66とロアカバー内に装着される配線板やバスバー回路やヒューズやリレー等の電気部品等とで構成される。ロアカバー65とアッパカバー66とで箱体が構成される。ワイヤハーネス64を構成する複数本の電線はこれら配線板や回路や電気部品等に接続される。
【特許文献1】実開平4−85525号公報(第8図,第10図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の防水グロメットの取付構造とそれを備えた電気接続箱にあっては、アッパカバー66とグロメット61の鍔部63の上端面69とが面接触で密着するために、例えばアッパカバー66やグロメット61の鍔部63に傾きを生じたりした場合に、密着性が低下して水が浸入する危険性を生じたり、あるいは自動車のエンジンルーム内の高圧洗浄時にアッパカバー66とグロメット61の鍔部63の上端面69との間から水が浸入してしまうという心配があった。
【0009】
なお、上記形態においてはグロメット61の鍔部63の上端面69をアッパカバー66に密着させたが、例えばグロメット61を上下反転させて使用し、アッパカバーにグロメットの鍔部を嵌合させる開口部を設け、ロアカバーにグロメットの鍔部の下端面を密着させる場合や、ロアカバーとアッパカバーとの両方に開口部を連続して設け、ロアカバー又はアッパカバーにグロメットの鍔部の端面を密着させる等の場合においても、上記問題は同様に生じ得るものである。
【0010】
本発明は、上記した点に鑑み、箱体に装着したグロメットの端部と箱体のカバーとの間における防水性を高めることのできる防水グロメットの取付構造とそれを備えた電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る防水グロメットの取付構造は、一方のカバーに開口部が設けられ、該開口部に電線挿通用の弾性の防水グロメットが嵌合され、該一方のカバーに他方のカバーが接合されて箱体を構成し、該他方のカバーが該防水グロメットの端部に接する防水グロメットの取付構造において、該他方のカバーに、該防水グロメットの端面を押圧しつつ該端面よりも深く入り込む延長リブが突出形成されたことを特徴とする。
【0012】
上記構成により、一方のカバーの開口部内にグロメットが嵌合され、一方のカバーに他方のカバーを接合させると同時に、他方のカバーの延長リブがグロメットを押圧し、延長リブの先端がグロメットに強く密着する。これにより防水性が高まる。
【0013】
請求項2に係る防水グロメットの取付構造は、請求項1記載の防水グロメットの取付構造において、前記防水グロメットの端部が前記他方のカバーのグロメット嵌合部内に位置することを特徴とする。
【0014】
上記構成により、一方のカバーに他方のカバーを接合し、他方のカバーの延長リブがグロメットを押圧した際に、グロメットが他方のカバーのグロメット嵌合部内に嵌合されているから、グロメットがグロメット嵌合部内で圧縮されてグロメット嵌合部の内壁面に強く密着する。これにより防水性が一層高まる。
【0015】
請求項3に係る防水グロメットの取付構造は、請求項2記載の防水グロメットの取付構造において、前記防水グロメットの端面に交差する前端面が前記グロメット嵌合部の前端面に当接し、前記延長リブが該防水グロメットの端面の後端寄りを押圧することを特徴とする。
【0016】
上記構成により、一方のカバーに他方のカバーを接合し、他方のカバーの延長リブがグロメットを押圧した際に、グロメットが、延長リブによる押圧方向と、押圧直交方向すなわちグロメットの前端面をグロメット嵌合部の前端面に当接させる方向とに圧縮され、グロメットの前端面すなわち外部から箱体内に水が浸入する側の部分がグロメット嵌合部の前端面に強く密着し、これにより防水性が高まる。
【0017】
請求項4に係る防水グロメットの取付構造は、請求項1〜3の何れかに記載の防水グロメットの取付構造において、前記防水グロメットの内側に硬質のインナ部材が嵌合されたことを特徴とする。
【0018】
上記構成により、一方のカバーに他方のカバーを接合し、他方のカバーの延長リブがグロメットを押圧した際に、グロメットが硬質のインナ部材との間で圧縮され、延長リブによるグロメットの押圧方向の撓み変形が小さく抑えられ、延長リブとグロメットとが一層強く密着する。また、延長リブによる押圧直交方向すなわちグロメットの前端面をグロメット嵌合部の前端面に当接させる方向に強く押圧されて、グロメットの前端面すなわち外部から箱体内に水が浸入する側の部分がグロメット嵌合部の前端面に一層強く密着する。これらにより防水性が高まる。
【0019】
請求項5に係る防水グロメットの取付構造は、請求項4記載の防水グロメットの取付構造において、前記インナ部材のリブが前記防水グロメットの後端面に当接したことを特徴とする。
【0020】
上記構成により、一方のカバーに他方のカバーを接合し、他方のカバーの延長リブがグロメットを押圧した際に、延長リブに近接してインナ部材のリブが位置し、グロメットの圧縮力をリブが受け止めてグロメットの圧縮反力でグロメットの前端面すなわち外部から箱体内に水が浸入する側の部分をグロメット嵌合部の前端面に強く当接させるから、防水性が高まる。
【0021】
請求項6に係る防水グロメットの取付構造は、請求項1〜5の何れかに記載の防水グロメットの取付構造において、前記延長リブに隣接して前記他方のカバーに防水パッキンが設けられたことを特徴とする。
【0022】
上記構成により、一方のカバーに他方のカバーを接合し、他方のカバーの延長リブがグロメットを押圧した際に、延長リブに隣接するグロメット部分が押圧反対方向に盛り上がり、防水パッキンに強く密着する。これにより防水パッキンによる防水性が向上する。
【0023】
請求項7に係る電気接続箱は、請求項1〜6の何れかに記載の防水グロメットの取付構造を備えたことを特徴とする。
【0024】
上記構成により、上記請求項1〜6の何れかに記載の発明の作用効果を奏する電気接続箱が提供される。電気接続箱において複数本の電線がグロメットを経てカバーの開口部から箱体内(接続箱本体内)に導入され、例えば箱体内のリレーやヒューズやヒュージブルリンク等の電気部品や、回路基板やバスバー等の回路等に接続される。請求項1〜6の何れかに記載の構成によって箱体内の電気部品や回路等が確実に防水されて電気的接続の信頼性が長期間に渡って確保される。
【発明の効果】
【0025】
請求項1記載の発明によれば、他方のカバーの延長リブがグロメットを押圧し、延長リブの先端がグロメットに強く密着することで、従来の弱点であった他方のカバーすなわちグロメットを装着するカバーとは反対側のカバーとグロメットの端部との間における防水性が向上し、例えばエンジンルームの高圧洗浄や車両走行中の跳ね水等が箱体内に浸入する心配がなくなり、箱体内の部品が錆や電気的な接触不良等から安全に保護される。
【0026】
請求項2記載の発明によれば、他方のカバーの延長リブがグロメットを押圧した際に、グロメットがグロメット嵌合部内で圧縮されてグロメット嵌合部の内壁面に強く密着するから、防水性が一層向上し、請求項1記載の発明の効果が促進される。
【0027】
請求項3記載の発明によれば、グロメットが延長リブによる押圧直交方向に圧縮されて、グロメットの前端面すなわち外部から箱体内に水が浸入する側の部分がグロメット嵌合部の前端面に強く密着するから、防水性が向上し、請求項1記載の発明の効果が促進される。
【0028】
請求項4記載の発明によれば、硬質のインナ部材によって延長リブによるグロメットの押圧方向の撓み変形が小さく抑えられ、延長リブとグロメットとが一層強く密着することで、請求項1記載の発明の効果が促進される。
【0029】
請求項5記載の発明によれば、延長リブによるグロメットの圧縮力をインナ部材のリブが受け止めてグロメットの圧縮反力でグロメットの前端面すなわち外部から箱体内に水が浸入する側の部分をグロメット嵌合部の前端面に強く当接させるから、防水性が一層向上し、請求項1記載の発明の効果が促進される。
【0030】
請求項6記載の発明によれば、延長リブがグロメットを押圧した際に、延長リブに隣接するグロメット部分が押圧反対方向に盛り上がり、防水パッキンに強く密着することで、防水パッキンによる防水性が向上し、請求項1記載の発明の効果が促進される。
【0031】
請求項7記載の発明によれば、箱体内のリレーやヒューズやヒュージブルリンク等の電気部品や、回路基板やバスバー等の回路等が確実に防水されて電気的接続の信頼性が長期間に渡って確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1〜図3は、防水グロメットの取付構造とそれを備えた電気接続箱の一実施形態を示すものである。
【0033】
図1において符号2は合成樹脂製のロアカバー、鎖線で示す符号3は、合成樹脂製のアッパカバー、符号4は、ロアカバー2の開口部5に嵌合された合成ゴム製の弾性の防水グロメット(以下グロメットと言う)をそれぞれ示している。図2は図1のA−A断面図、図3は図2の要部B拡大図である。
【0034】
ロアカバー2とアッパカバー3とで略矩形状の箱体6が構成され、ロアカバー内にリレーやヒューズやヒュージブルリンクといった電気部品(図示せず)が装着されて電気接続箱1が構成される。ロアカバー2にアッパカバー3が係止ないし固定手段で固定され、ロアカバー2のブラケット(図示せず)が車両ボディの例えばエンジンルーム等に固定される。
【0035】
グロメット4は水平方向の蛇腹部7と、蛇腹部7の先端側に続く小径な筒状部(図示せず)と、蛇腹部7の基端側に形成された垂直方向の鍔部8とで構成されている。蛇腹部内を図示しないワイヤハーネス(複数本の電線)が屈曲自在に挿通されてアンダカバー側の各電気部品等に接続されると共に、グロメット先端側の筒状部で例えばテープ巻き等で防水されつつ固定される。
【0036】
図3の如く、鍔部8は水平方向の真直な上端壁9を有し、上端壁9の平坦な上端面9aに、アッパカバー3に押接する垂直な前側のリブ(リップ)10と、アッパカバー3に装着された防水パッキン11に押接する垂直な後側のリブ12とを有している。前側のリブ10は後側のリブ12よりも細く、テーパ状に先細となっている。後側のリブ12はほぼ真直に突出し、先端に断面半円状の曲面を有している。両リブ10,12の突出高さは同程度である。
【0037】
前側のリブ10の先端部はアッパカバー3の水平な壁部13の内面に押圧されて適度な密着代を有し、アッパカバー3の内面と鍔部8の上端面9aとの間には僅かな隙間14が形成されている。後側のリブ12はほぼ全長に渡ってアッパカバー側のパッキン11の内部に入り込んでいる。パッキン11の前端面の下半部は隙間14内に露出している。鍔部8の前端面15には水平方向の小さなリブ(リップ)16が突出形成されてアッパカバー3の前端壁(外側壁)17の内面である前端面17aに密着している。
【0038】
後側のリブ12の後方において後側のリブ12と鍔部8の後端面18との間で、パッキン11の後側に隣接してアッパカバー3の垂直な壁部19が鍔部8の上端面9aよりも下側に長くリブ状に延長(突出)形成されて、その延長リブ20が鍔部8の上端面9aを下向きに押圧して鍔部8の内部に入り込んでいる(食い込んでいる)。
【0039】
延長リブ20の体積分だけ鍔部8が下向き及び前向きに圧縮され、鍔部8がアッパカバー3の垂直な前端壁17の内面と下側の合成樹脂製の硬質のインナー部材21とに強く密着する。また、延長リブ20が鍔部8に強く密着する。これらにより、アッパカバー3とグロメット4の鍔部8との間における防水性が向上する。
【0040】
インナー部材21は略環状に形成され、グロメット4の鍔部8に対応する上壁22が水平に真直に形成され、上壁22に、鍔部8の前側のリブ10のほぼ下側に入り込んだ垂直なリブ23と、鍔部8の後端面18に当接する垂直なリブ24とを有し、この前後のリブ23,24の間に溝25が形成され、溝内に鍔部8の後半部が嵌合し、前側のリブ23とアッパカバー3の前端壁17との間に鍔部8の垂直な前端部25が密着して位置し、前端部25は水平な蛇腹部7(図2)に続いている。
【0041】
インナー部材21の後側のリブ24は前側にリブ23よりも少し高く突出し、後側のリブ24の先端の前側上方に少しの距離をおいてアッパカバー3の延長リブ20の先端が位置している。このように延長リブ20がインナー部材21の後側のリブ24に近接しているから、延長リブ20で圧縮されたグロメット4の鍔部8は後方ではなく前方すなわち防水の必要な部分に向けて弾性変形し、アッパカバー3の前端壁17の内面に鍔部8の前端面15が強く密着する。これにより、前述の如く防水性が向上する。
【0042】
図1,図2においてグロメット4の鍔部8は下端部及び両側部において外向きに突出し、鍔部8の外周にロアカバー2のガイド壁26が嵌合して位置し、ガイド壁26の最下部にはエア抜き兼水抜き孔27が設けられ、ガイド壁26の内面には短いリブ28が周設されて鍔部8の外周の溝29に係合密着し、溝29は鍔部8の上端の後側のリブ12とほぼ同一垂直面に位置している。鍔部8の下端部及び両側部の内周面にはインナ部材21の外周面が密着し、インナ部材21の前側のリブ23が鍔壁8の溝30に嵌合し、後側のリブ24が鍔部8の後端面18に密着すると共に、下端部においてロアカバー2の係止枠片31に後側のリブ24の係合突起32が係合している。
【0043】
図4はグロメットの正面図、図5は同じくの上面図をそれぞれ示すものである。
【0044】
図4の如くグロメット4は従来同様に半円状の下半部と矩形状の上半部とを一体化させた形状を呈し、下半部及び両側部がロアカバー2(図2)の開口部内に嵌合し、上端部がアッパカバー3(図2)で密着される。符号7は蛇腹部、33は先端側の筒状部、10は前側のリブ、9aは上端面、16は正面側のリブ(リップ)をそれぞれ示している。
【0045】
図5の如くグロメット4の上端面9aにおいて前後のリブ10,12が平行に突出形成され、前後のリブ10,12はグロメット4の両側端において連結リブ34で一体に連結されて略矩形ループ状に繋がっている。後側のリブ12の後方に上端面9aの一部である平坦な面9a’が位置し、この面9a’に図3のアッパカバー3の延長リブ20が押接される。
【0046】
図6はロアカバーの正面図,図7は図6ののC−C断面図をそれぞれ示すものである。
【0047】
ロアカバー2の垂直な外周壁35に開口部5が設けられ、開口部5の周囲に略U字状のガイド壁(グロメット嵌合部)26が設けられ、ガイド壁26の内側に溝部36が設けられ、溝部内にグロメット4(図4)の鍔部8の下半部及び両側部が上方からスライド式に嵌合されて密着する。本例のガイド壁26の上端26aは外周壁35よりも少し低く位置し、ガイド壁26の上側にグロメット4の上部が突出して位置する。ガイド壁26の内側には前記リブ28や係止枠片31等が形成されている。
【0048】
図8はアッパカバーの正面図、図9は同じく下方視平面図、図10は図8のD−D断面図をそれぞれ示すものである。
【0049】
アッパカバー3の垂直な外周壁19にガイド壁(グロメット嵌合部)37が下向きに略コの字状に短く突出され、且つ外周壁19から前向きに突出されている。ロアカバー2にアッパカバー3を組み付けると同時に、アッパカバー3のガイド壁37がロアカバー側のガイド壁26と接合(合体)して、グロメット4の上部が上側のガイド壁37の内側にスライド式に嵌合する。
【0050】
ガイド壁37は断面略L字状の両側の下半部38と、左右、前、上の三方を封止された上半部39とで構成され、上半部39の内側にグロメット4の鍔部8の上端部を嵌合させる溝40が設けられ、溝40に隣接してガイド壁37の内側でパッキン11を嵌合する溝41が設けられ、溝41の内側に、グロメット4に押接する延長リブ20が垂下形成され、延長リブ20は外周壁19の内面とほぼ同一面に位置している。延長リブ20は外周壁19に沿って水平方向に周状に続き、グロメット4の上端面9aを横断しつつ上端面9aに押接する。延長リブ20の作用効果は前述の通りである。ガイド壁37の下端部42はロアカバー2のガイド壁26の外側に被さるように位置する。
【0051】
なお、上記実施形態においては、アッパカバー3とロアカバー2とで箱体6を構成したが、例えばアッパカバーとミドルカバーとロアカバーとで箱体を構成し、ロアカバーに開口部5とガイド壁26を設け、ミドルカバーに上側のガイド壁37や延長リブ20を設けることも可能である。
【0052】
また、アッパカバーないしミドルカバーに開口部5やガイド壁26を設け、グロメット4を上下反転して上側の開口部5に嵌合させ、ロアカバーに延長リブ20等を設けることも可能である。
【0053】
また、アッパカバー3の延長リブ20をグロメット4の上端面9aの後端寄りではなく例えば中央寄り(前後のリブ10,12の間)や前寄り(前側のリブ14の前方)に対向して設けることも可能である。この場合、パッキン嵌合溝41を構成する後端壁43(図3)はグロメット4の上端面9aに接触ないし非接触で位置する。
【0054】
また、グロメット内の硬質のインナ部材21を廃除して、例えばグロメット自体の剛性を高めたものを使用することも可能であり、この場合においても、カバー3の延長リブ20がグロメット内に食い込んで密着し、防水性を高める。また、インナ部材21をグロメット4にインサート成形等で一体に形成することも可能である。
【0055】
また、グロメット4として蛇腹部7のないものを使用することも可能である。この場合、例えば鍔部8に小径の筒状部33(図4)が一体に続き、筒状部33に電線がテープ巻き等で固定される。
【0056】
また、上記実施形態においては、アッパカバー3にグロメット嵌合部であるガイド壁37を設けたが、ガイド壁37の垂直な前端壁17を廃除して水平な上壁13側のみでグロメット4の鍔部8の上端部に押接させることも可能である。この場合でも、上壁13には延長リブ20が突設されることは言うまでもない。パッキン11は有るに越したことはないが、ない場合でも延長リブ20によってかなりのシール性が発揮される。また、グロメット4の鍔部8の前端面15のリブ16を廃除して前端面15を直接にアッパカバー3の前端面17aに密着させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る防水グロメットの取付構造とそれを備えた電気接続箱の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図2のB部拡大図である。
【図4】グロメットを示す正面図である。
【図5】同じくグロメットを示す上面図である。
【図6】ロアカバーを示す正面図である。
【図7】図6のC−C断面図である。
【図8】アッパカバーを示す正面図である。
【図9】同じくアッパカバーを示す下方視平面図である。
【図10】図8のD−D断面図である。
【図11】従来の防水グロメットの取付構造とそれを備えた電気接続箱の一形態を示す分解斜視図である。
【図12】同じく組立状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 電気接続箱
2 ロアカバー
3 アッパカバー
4 防水グロメット
5 開口部
6 箱体
9a 上端面
11 防水パッキン
15,17a 前端面
18 後端面
20 延長リブ
21 インナ部材
24 リブ
37 ガイド壁(グロメット嵌合部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のカバーに開口部が設けられ、該開口部に電線挿通用の弾性の防水グロメットが嵌合され、該一方のカバーに他方のカバーが接合されて箱体を構成し、該他方のカバーが該防水グロメットの端部に接する防水グロメットの取付構造において、該他方のカバーに、該防水グロメットの端面を押圧しつつ該端面よりも深く入り込む延長リブが突出形成されたことを特徴とする防水グロメットの取付構造。
【請求項2】
前記防水グロメットの端部が前記他方のカバーのグロメット嵌合部内に位置することを特徴とする請求項1記載の防水グロメットの取付構造。
【請求項3】
前記防水グロメットの端面に交差する前端面が前記グロメット嵌合部の前端面に当接し、前記延長リブが該防水グロメットの端面の後端寄りを押圧することを特徴とする請求項2記載の防水グロメットの取付構造。
【請求項4】
前記防水グロメットの内側に硬質のインナ部材が嵌合されたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の防水グロメットの取付構造。
【請求項5】
前記インナ部材のリブが前記防水グロメットの後端面に当接したことを特徴とする請求項4記載の防水グロメットの取付構造。
【請求項6】
前記延長リブに隣接して前記他方のカバーに防水パッキンが設けられたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の防水グロメットの取付構造。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の防水グロメットの取付構造を備えたことを特徴とする電気接続箱。
【請求項1】
一方のカバーに開口部が設けられ、該開口部に電線挿通用の弾性の防水グロメットが嵌合され、該一方のカバーに他方のカバーが接合されて箱体を構成し、該他方のカバーが該防水グロメットの端部に接する防水グロメットの取付構造において、該他方のカバーに、該防水グロメットの端面を押圧しつつ該端面よりも深く入り込む延長リブが突出形成されたことを特徴とする防水グロメットの取付構造。
【請求項2】
前記防水グロメットの端部が前記他方のカバーのグロメット嵌合部内に位置することを特徴とする請求項1記載の防水グロメットの取付構造。
【請求項3】
前記防水グロメットの端面に交差する前端面が前記グロメット嵌合部の前端面に当接し、前記延長リブが該防水グロメットの端面の後端寄りを押圧することを特徴とする請求項2記載の防水グロメットの取付構造。
【請求項4】
前記防水グロメットの内側に硬質のインナ部材が嵌合されたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の防水グロメットの取付構造。
【請求項5】
前記インナ部材のリブが前記防水グロメットの後端面に当接したことを特徴とする請求項4記載の防水グロメットの取付構造。
【請求項6】
前記延長リブに隣接して前記他方のカバーに防水パッキンが設けられたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の防水グロメットの取付構造。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の防水グロメットの取付構造を備えたことを特徴とする電気接続箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−129545(P2006−129545A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−310595(P2004−310595)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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