説明

防水型コネクタ

【課題】
組み付けが容易な防水型コネクタを得ることを課題とする。
【解決手段】
筒状体の絶縁性のケース4と、このケース4の内側に配置される板状のコンタクト5と、このコンタクト5が嵌め込まれる保持孔25が形成された、このケース4の一端面を塞ぐ底部2と、この底部2の周囲に形成されるシール部3と、を備え、底部2に形成される保持孔25は、底部2の周面に形成される溝部23につながっていて、コンタクト5は、この溝部23を通って保持孔25に嵌めこまれ、残された隙間が液状シリコーンで塞がれてシール部3を形成するところに特徴を有する防水型コネクタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水型コネクタに関し、詳しくは、ハウジングが分割式の防水型コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯機器に装着されるイヤホーンジャックに防水性が求められるようになってきている。従来技術のイヤホーンジャックは、底付きの筒状ハウジングと、そこに配置するコンタクトとを備えている(特許文献1)。コンタクトは、ハウジングの圧入孔に圧入されて保持されている。しかし、このままでは、圧入されたコンタクトの周囲には隙間が生じているので、防水性を保障するだけの機密性は講じられていない。
機密性を確保するために、圧入されたコンタクト周囲の隙間に防水材や止水材を注入して隙間を埋める方法が知られている。しかし、これら防水材等を塗布する方法は、性能を安定させることが困難であるとともに、工程や管理の複雑さが増すことにもなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−190680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、簡易に組み立てられる防水型コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明に係る防水型コネクタは、(1)挿抜方向の両端面に開口部を有する筒状体の絶縁ハウジング本体と、このハウジング本体の内側に配置される板状のコンタクトと、このコンタクトが嵌入される孔部が形成された、このハウジング本体の一端面を塞ぐハウジング底部と、このハウジング底部の周面に形成される環状のシール部と、を備えたことを特徴とするものである。
【0006】
本発明によれば、ハウジングが、本体と底部に分割され、コンタクトは、底部に保持されている。これにより、コンタクトの組み付けが容易になる。さらに、底部の周囲にシール部が形成され、底部を本体に嵌入させることで、底部と本体間の隙間を埋めることができる。このように、容易にコネクタのハウジングの機密性が講じられるものである。
【0007】
さらに好ましくは、本発明に係る防水型コネクタは、(2)前記ハウジング底部に形成される孔部は、前記ハウジング底部の周面に挿抜方向に沿って形成される溝部につながっていて、前記コンタクトは、この溝部を通って前記孔部に嵌入されるところに特徴を有する(1)記載のものである。
【0008】
この発明によれば、コンタクトが保持される孔部は、ハウジング底部の周面に挿抜方向に形成される溝部につながっている。これにより、コンタクトは、短手方向から溝部に嵌め込むことができるので、コンタクトの組み付け作業がさらに容易になる。
孔部は、コンタクトを保持するものだから、その孔幅は、コンタクトの厚みと同等か、或いは若干小さ目が好ましい。また、溝部は、孔部へコンタクトを誘導するものだから、溝幅は、孔幅と同等か、或いは若干大き目が好ましい。さらに、溝部は、孔部に対して直線的につながっている態様が好ましい。また、溝部は、孔部と外観上区別がつかない態様
であってよい。
【0009】
さらに好ましくは、本発明に係る防水型コネクタは、(3)前記シール部が、液状シリコーンが流し込まれて形成されるところに特徴を有する(1)又は(2)に記載のものである。
【0010】
この発明によれば、シール部が液状シリコーンで形成されるので、微細な隙間もシリコーンの高浸透性によって、シリコーン成分で塞がれる。このように弾性を有するシリコーンで、圧入されたコンタクト周辺の隙間、コンタクトの誘導後に残った溝部の空間、及びハウジング底部周面と、ハウジング本体間の隙間が一様に塞がれることになる。これにより、機密性が確保されたハウジング構造が容易に得られるようになる。
また、本発明のシール部は、液状シリコーンの流し込みにより形成されるものである。これにより、従来人手に頼っていたシール材の装着がインサート成形機械によって自動化される。さらに、液状シリコーンのキュア時間は、数十秒と比較的短時間のものを選択可能であるから、樹脂の射出成形と同等のサイクルタイムで成形されうる。したがって、高い生産性を損なうことなく、従来の成形工程内にシール部成形工程を組み込むことが可能である。
【0011】
さらに好ましくは、本発明に係る防水型コネクタの組み立て方法は、(4)筒状体の絶縁ハウジング本体と、このハウジング本体の一端面に嵌入される、周面にシール部が形成されたハウジング底部と、を有する防水コネクタの組み立て方法であって、前記ハウジング底部にコンタクトが嵌め込まれる工程と、このハウジング底部の周面にシール部が形成される工程と、このハウジング底部が前記ハウジング本体に嵌入される工程と、を備えるところに特徴を有するものである。
【0012】
この発明によれば、ハウジング底部にコンタクトが集中して保持される。これにより、シールを要する範囲が限定されるので、機密性を確保したハウジングの組み付けが容易に行ないうる。
さらに、シール部がハウジング底部の周囲に形成され、組み付けられた際、シール部は、ハウジング底部周面と、ハウジング本体内周面とで挟持される状体になる。このように、シール材が安定した圧縮を受けて機密性を確保するので、信頼性の高い防水型コネクタが容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るイヤホーンジャックコネクタの分解斜視図である。
【図2】図2は、同、イヤホーンジャックコネクタの外観斜視図である。
【図3】図3は、同、底部からコンタクトを分解したところの分解斜視図である。
【図4】図4は、(A)は、同、底部にコンタクトを組み付けたところの外観斜視図である。(B)は、同、底部にコンタクトを組み付けたところの正面図である。
【図5】図5は、(A)は、同、底部の周囲にシール部が形成された状態の外観斜視図である。(B)は、同、底部の周囲にシール部が形成された状態の正面図である。
【図6】図6は、同、イヤホーンジャックコネクタの長手方向に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で実施することができる。図1は、本発明の実施形態に係るイヤホーンジャックコネクタの分解斜視図である。図2は、同、イヤホーンジャックコネクタの外観斜視図である。図3は、同、底部からコンタクトを分解したところの分解斜視図である。
【0015】
なお、特許請求の範囲で用いたハウジング本体は、本実施の形態で用いるケースを含み、同じく、ハウジング底部は、底部を含み、さらに、孔部は保持孔を含むものである。
ここで、説明中指示方向の明確化のために、あらかじめ方向を定義しておく。図1に示されるように、図面上斜めに延びるコネクタの右手側が前、反対方向が後、この前方向に向かって右手側が右、反対方向が左である。
【0016】
〈イヤホーンジャックコネクタ〉
イヤホーンジャックコネクタ1は、図1〜図3に示されるように、ケース4、底部2、コンタクト5、シール部3、及び補強金具6を備えている。シール部3は、底部2に備わり、補強金具6は、ケース4に、備わっている。
【0017】
〈ケース〉
ケース4は、合成樹脂の一体成形品である。ケース4は、前後面に開口部を有する断面四角形の筒状体である。前側は、図示しないイヤホーンプラグが挿抜される側である。ケース4の前側は円筒形で、イヤホーンプラグを受け入れる開口部41を備え、後側は、間口が四角形の開口部44を備えている。ケース4の内部は、円柱状のイヤホーンプラグを受け入れるための空間部が形成されている。この空間部には、イヤホーンプラグに接続するために5個のコンタクト50、51、52、53、54(以下コンタクト5と表記する)が配置されるようになっている。コンタクトは、それぞれ固有の信号を伝送するものだから、混線しないように所定の間隔を空けて装着されている。また、接触しないように、たとえば図3に示されるように、コンタクト53は、コンタクト54の接触部から逃げるための窓部が設けられている。
【0018】
ケース4は、上面40a、底面40b、側面40c、40dからなる断面矩形のケース本体40と、円筒形の挿入部45とを備えている。ケース本体40には、嵌入された底部2を係止するための係止片43が側面40c、40d後端に備わり、側面40c、40d前方には、補助金具6を保持するための係止片42が備わる。
挿入部45は、ケース本体40の前端に備わる。挿入部45は開口部41を備えている。この開口部41は、イヤホーンプラグが挿抜されるところであって、断面形状は円形である。
【0019】
〈底部〉
底部2は、図1、図3に示されるように、扁平矩形状の成形体であり、四隅は、曲面で形成されている。底部2は、絶縁性の合成樹脂成形品である。底部2は、最も外側(後側)に後壁20、内側(前側)に前壁21、及びこれらの間に本体22を備えた側面視略H形の構造である。前壁21、後壁20は、ほぼ同じ形状の外周を有し、本体22は、これら前後壁20、21に比べてやや小さめの外周を有する。そのために、底部2の縁部の断面は、中央部が窪んだ凹状である。この中央部の窪みは、シール部3の脱抜を防ぐために有効である。
【0020】
底部2は、コンタクト5を保持するための保持孔25a、25b、25c、25d、25e(以下、保持孔25と表記する)を備えている。本実施形態の場合は、5個のコンタクト5を備えるものなので、5個の保持孔25を備えている。底部2は、周面に挿抜方向に沿って形成された溝部23a、23b、23c、23d、23e(以下、溝部23と表記する)を備えている。保持孔25は、この溝部23通して周面まで直線的につながっている。このように、保持孔25は、溝部23を介して底部2周面まで直線的につながっているので、この溝部23を通してコンタクト5を無理なく嵌め込み可能である。
【0021】
保持孔25にコンタクト5が嵌め込まれると溝部23のスリットは不要になる。このス
リットは、機密性を阻害するものなので、底部2周面にシール部3が形成されるときに、このスリット(溝部23)も同時に塞がれる。本実施形態の場合、4個の保持孔25(25a〜25d)は、縦向き(上下方向)に形成され、残り1個の保持孔25eは、横向き(左右方向)に形成されている。それぞれの保持孔25は、コンタクト5同士が接近しすぎないように、所定の間隔を空けて形成されている。底部2は、前壁21両端から前方に向かって矩形状の支持部24が延出している。支持部24は、コンタクト5の基端部を支持して、コンタクト5を倒れや変形から防ぐものである。
【0022】
〈コンタクト〉
コンタクト5は、図1、図3に示されるように、本実施形態では、5個備わっている。コンタクト5はいずれもケース4内部で前方向に延び、相手側プラグに接続するように、くの字状に屈曲された接触部を先端に備えている。コンタクト5の後端は、底部2から外部(後側)に延出し、その直後に、図示していないが回路基板がある下方向に向かって延びている。後端はこの回路基板の端子部に実装されるようになっている。
【0023】
それぞれのコンタクト5は、互いに接触することがないように、逃がし箇所や、必要な間隔が設けられている。本実施形態のコンタクト5は、母材が銅合金でニッケル下地が施された表面金メッキの耐蝕構造を備えている。コンタクト5は、金型で打ち抜かれた板状金属片に曲げ等の加工が加えられている。
【0024】
コンタクトは、図3に示されるように、底部2の溝部23を介して保持孔25に嵌め込まれる。このように櫛刃状の溝に差し込む方式なので、圧入時に要する圧入力に比べて、コンタクト5は、保持孔25に対して小さい力で嵌入される。コンタクト5と、保持孔25との間には、嵌め込み時に、僅かではあるが部分的に隙間が形成されている。このような隙間は、僅かではあってもハウジングの機密性を阻害するものである。そのために、この隙間もシール部3が形成される際に、シール材で塞がれる。
【0025】
コンタクトは、図3に示されるように、先端(前方)に相手側プラグに接続するくの字状に曲がる接触部、後端(後方)に回路基板に実装される実装部、及び間に底部2の保持孔25に固定される固定部56を備えている。固定部56は、平坦な板状体で、側面に下方に向かう突起部57を備えている。固定部56は、底部2の周面から溝部23を通って保持孔25で保持される。このとき、突起部57は、保持を安定化させるのに有効である。
【0026】
〈補強金具〉
補強金具6は、イヤホーンジャックコネクタ1が回路基板に実装された際、実装強度を補強するために備わるものである。補強金具6は、強度バランスを考慮して取り付けられる。本実施形態の場合補強金具6は、図2に示されるように、コンタクト5の実装部が集中する後方側に対応する位置、すなわち前方側に取り付けられている。補強金具6は、銅合金に表面をめっき処理したものである。補強金具は、本体60と、脚部61、61とを備える、コの字状に金属板を曲げ加工したものである。脚部61、61の中央に空けられた係止窓62をケース4側面40c、40d前方に備わる係止片42に係合させてケース4に固定する。補強金具6の先端は、図示していないが回路基板に向かって下方向に延び、先端で基板端子に実装される。
【0027】
〈シール部〉
図4は、(A)は、同、底部にコンタクトを組み付けたところの外観斜視図である。(B)は、同、底部にコンタクトを組み付けたところの正面図である。図5は、(A)は、同、底部の周囲にシール部が形成された状態の外観斜視図である。(B)は、同、底部の周囲にシール部が形成された状態の正面図である。図6は、同、イヤホーンジャックコネ
クタの長手方向に沿った断面図である。
【0028】
シール部3は、図4、図5、及び図6に示されるように、底部2の周面に備わる本体30と、底部の角部に備わる隅部31とを有している。シール部3は、液状シリコーンを硬化させたものである。本実施形態の場合信越化学工業(株)社製の製品名KE−2090−50を使用する。本実施形体で使用する液状シリコーンは、2液混合型である。勿論、他社同等品を使用してもよい。
シール材に求められる特性は、キュア温度、キュア時間等のキュア条件、ハウジング樹脂との密着性、硬化後の弾性、液状での流動性浸透性などである。
【0029】
シール部3は、底部2の保持孔25に嵌めこまれたコンタクト5周辺の隙間にも液状シリコーンが侵入するので、この隙間にも形成される。シール部3は、コンタクト5が保持孔25に嵌め込まれるまでに通過した溝部23にも、液状シリコーンが行渡るので、この溝部23にも形成される。さらに、シール部3は、底部2周面の溝部23に沿って環状に形成される。このようにシール部3は、底部2周面よりも外方向に張り出して形成される。この張り出した部分の弾性的変形によって、底部2と、ケース4との間の機密性が保持される。
【0030】
〈シール部の形成方法〉
底部2の溝部23を介して、コンタクト5を保持孔25に嵌入する。この状態の底部2をインサート金型にセットし、シール部3が形成される部分(キャビティー)にシリコーンを流し込む。このようにインサート成形の要領でシール部を形成する。この液状シリコーンをシール部3が形成されるキャビティーに流し込むとき、液状シリコーンの高い浸透性によって、シリコーンは底部2の溝部23を伝い、コンタクト5と、保持孔25との間の僅かな隙間にも入り込む。さらに、液状シリコーンは、コンタクトの誘導を終えて不要になった溝部23の間にも入り込む。このようにして、機密性を阻害する隙間が、液状シリコーンによって塞がれる。説明したように、液状シリコーンの性質をシール材として利用することで、図5に示されるように、高い機密性を備えた底部2構造が容易に得られる。
【0031】
液状シリコーンは、コンタクト5、と保持孔25との隙間、溝部23、底部2の周面、及び底部2の隅部31に充填される。これにより、底部2の機密性は確保される。また、底部2と、ケース4との隙間を塞ぐためのシール部3が底部2周面に形成されているので、底部2と、ケース4との間の機密性も確保される。シール部3は、底部2の隅部31が特に厚く形成されている。
液状シリコーンのインサート成形時のゲート位置は、機密性の確保には、直接寄与しない部分、たとえば、底部2の隅部31のいずれかに設けることで、ゲートカット、カット後の処理等の問題を比較的容易に解決することができる。
【0032】
〈底部とケースとの組み付け〉
底部2と、ケース4との組み付けは、図1、図2に示されるように、コンタクト5が保持孔25に保持され、周面がシール部3で形成された底部2を、ケース4に嵌入させて行なわれる。底部2は、コンタクト5の接触部がケース4に収まるように、ケース4の後側開口部44から挿入される。コンタクト5のほぼ全長がケース4に収まるころに底部2がケース4後側開口部44に係る。このとき、シール部3周面がケース4内側に摺接しながらさらに奥へと進む。
【0033】
底部2をケース4に対して、正規嵌入位置まで挿入すると、底部2の係合片26、26と、ケース4の係合片43、43とが係合する。これによって、底部2は、ケース4に固定される。底部2周面と、ケース4とのクリアランス(隙間)は、全周に亘ってシール部
3によって埋められている。これによって、底部2と、ケース4との間の機密性は確保される。
【0034】
〈発明の原理、作用〉
詳述したように、本発明は、従来一体構造であったハウジングを、ケース4と、底部2とに分割して構成するところに特徴がある。分割することで全てのコンタクト5を底部2に組み付け易くなる。組み付け方法も従来のコンタクトの長手方向に沿って押し込む方式の圧入方法に変わって、櫛歯状に形成された溝部23にコンタクト5を短手方向から差し込む要領で組み付けられるようになる。この方式であれば、圧入時に要するほど大きな力はいらない。またコンタクト5を底部2に集中して組み付け可能であるので、組み付けられたコンタクト5間の配置の良否が一見して分かるようになる。
【0035】
〈発明の効果〉
本発明は、ハウジングを筒状部の本体と、底部とに分割することで、組み立ての容易な防水型コネクタを提供するところに特徴を有するものである。分割することによって、コンタクトの組み付けが容易になり、ハウジング底部にコンタクト保持部を集中させることで、機密性の確保も容易になる。このように無理のない組み付けが行ない得ることで、製品検査もおこない易く、品質の向上も望めるものである。
【0036】
本発明のもうひとつの特徴は、コンタクト5の機密性を確保すべき部材を一点に集中させることによって、組み付けが容易な防水型コネクタを得るものである。これによって、従来技術では、ハウジングの内側にあって外部からは見えにくかったコンタクト(接触部)の様子が、コンタクト5が組み付けられた底部2が、ハウジング本体(ケース4)から分割されているので、コンタクト5の全体の様子が見えるようになる。このことによって、コンタクト5の組み付け不具合が減少し品質の向上が望まれる。
【0037】
本発明のもうひとつの特徴は、シール部の形成に液状シリコーンを使用するところである。液状シリコーンは、流動性がよく浸透性も優れているので細かな形状部や、微小な隙間にも侵入可能である。これによって、機密性を確保する材料として優れている。さらに、本発明で使用する液状シリコーンは、2液混合タイプで、高温キュアによって、数十秒で硬化可能なものである。この特性によって、作業効率を高レベルで維持可能である。
このような特性の材料を、インサート成形によって使用し、シール部を形成することで、シール部材の成形、組み付けが自動で行なえるようになる。
コンタクトの組み付け、シール部の形成、及びハウジング底部のハウジング本体への嵌入ともに、無理のない工程によって構成されている。これによって、容易な作業で、信頼性の高い、防水型コネクタが得られる。
【0038】
〈他の実施形態〉
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明思想の範囲内で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 イヤホーンジャック
2 底部
20 後壁
21 前壁
22 本体
23 (23a、23b、23c、23d、23e) 溝部
24 支持部
25 保持孔
26 係合片
3 シール部
30 本体
31 隅部
32 (32a、32b、32c、32d、32e) 溝部
4 ケース
40 40a 40b 40c 40d 本体
41 開口部
42 係止片
45 挿入部
5 (50、51、52、53、54) コンタクト
57 突起部
6 補強金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿抜方向の両端面に開口部を有する筒状体の絶縁ハウジング本体と、
このハウジング本体の内側に配置される板状のコンタクトと、
このコンタクトが嵌入される孔部が形成された、このハウジング本体の一端面を塞ぐハウジング底部と、
このハウジング底部の周面に形成される環状のシール部と、
を備えたことを特徴とする防水型コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジング底部に形成される孔部は、前記ハウジング底部の周面に挿抜方向に沿って形成される溝部につながっていて、前記コンタクトは、この溝部を通って前記孔部に嵌入されるところに特徴を有する請求項1記載の防水型コネクタ。
【請求項3】
前記シール部が、液状シリコーンが流し込まれて形成されるところに特徴を有する請求項1又は2記載の防水型コネクタ。
【請求項4】
筒状体の絶縁ハウジング本体と、このハウジング本体の一端面に嵌入される、周面にシール部が形成されたハウジング底部と、を有する防水型コネクタの組み立て方法であって、前記ハウジング底部にコンタクトが嵌め込まれる工程と、
このハウジング底部の周面にシール部が形成される工程と、
このハウジング底部が前記ハウジング本体に嵌入される工程と、を備えるところに特徴を有する防水型コネクタの組み立て方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−48019(P2013−48019A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185412(P2011−185412)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】