説明

防災監視システム

【課題】火災感知器の増設を必要とする監視区域の変更に簡単且つ容易に対応可能とする。
【解決手段】火災感知器15−11〜15−32をP型受信機10から引き出された感知器回線18−1〜18−3に接続し、火災検出時に発報信号を送って警報を出力させる。警戒区域には、火災検出時に火災発報を示す電文信号を送信する無線式感知器16−11〜16−34と、無線式感知器からの電文信号を中継する電波中継器14−1〜14−3が設置される。無線受信用中継器14−1〜14−3がP型受信機10からの感知器回線18−1〜18−3に接続され、受信電文から火災発報を判別した時に発報信号をP型受信機10に送って警報させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線式感知器から送信された火災発報を示す電文を感知器回線に接続した無線受信用中継器で受信し、発報信号を受信機に送って警報させる防災監視システムに関する。

【背景技術】
【0002】
従来の防災監視システムにあっては、警戒区域に設置された火災感知器を受信機から引き出された感知器回線に接続し、火災感知器の火災検出時に感知器回線に発報電流を流すことにより発報信号を受信機に送って警報を出力させるようにしている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−004033号公報
【特許文献2】特開2001−292089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の防災監視システムにあっては、警戒区域となるフロアの間仕切り変更などが行われた場合、変更後の警戒区域について新たに火災感知器を増設したり、火災感知器の位置を変更したりする場合がある。火災感知器を新たに増設することはシステムの仕様変更を伴い、増設に伴う工事も煩雑でコストも嵩む問題がある。また、火災感知器の位置を変更する場合にも、天井裏の配線の引き回しを変更する等、煩雑な工事が必要となり、コストも嵩む問題がある。
【0005】
即ち、火災感知器を増設する場合、既設の感知器回線を天井内で延長する工事を行って増設位置の天井面に感知器ベースを設置し、そこに感知器本体を装着するため、手間と工数がかかる。また感知器回線に接続できる感知器の最大数は決まっており、最大数を越える火災感知器の増設となる場合には、既設の感知器回線の延長では対応できず、受信機から新たに感知器回線を引きなおす必要があり、大変な手間と工数がかかり、増設を困難なものとしている。
【0006】
また、天井裏の配線の引き回しを変更する場合においても、同様に既設の感知器回線を天井内で延長する工事を行って増設位置の天井面に感知器ベースを設置し、そこに感知器本体を装着するため、手間と工数がかかる。
【0007】
本発明は、火災感知器の増設や位置の変更を必要とする監視区域の変更に簡単且つ容易に対応可能な防災監視システムを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、警戒区域に設置された火災感知器を受信機から引き出された感知器回線に接続し、火災感知器の火災検出時に感知器回線に発報電流を流すことにより発報信号を受信機に送って警報を出力させる防災監視システムに於いて、
警戒区域に設置され、火災検出時に火災発報を示す電文信号を送信する無線式感知器と、
無線式感知器からの電文信号を中継する電波中継器と、
感知器回線に接続され、無線式感知器から送信された電文信号又は電波中継器を経由して無線式感知器から送信された電文信号を受信し、受信電文から火災発報を判別した時に感知器回線に発報電流を流すことにより発報信号を受信機に送信する無線受信用中継器と、
を設けたことを特徴とする。
【0009】
本発明の別の形態にあっては、警戒区域に設置された火災感知器を受信機から引き出された感知器回線に接続し、火災感知器の火災検出時に感知器回線に発報電流を流すことにより発報信号を受信機に送って警報を出力させる防災監視システムに於いて、
警戒区域に設置され、火災検出時に火災発報を示す電文信号を送信する無線式感知器と、
感知器回線に接続され、無線式感知器から送信された電文信号を受信し、受信電文から火災発報を判別した時に感知器回線に発報電流を流すことにより発報信号を受信機に送信する無線受信用中継器と、
を設けたことを特徴とする。
【0010】
ここで、無線式感知器は火災が検出されなくなった時に火災復旧を示す電文信号を送信し、無線受信用中継器は、受信電文から火災復旧を判別した時に感知器回線に流している発報電流を止めて受信機に対する前記発報信号の送信を停止する。
【0011】
また無線式感知器は障害検出時に障害を示す電文信号を送信し、無線受信用中継器は、受信電文から障害を判別した時に感知器回線を断線状態に切り替えて断線監視電流を断つことにより、受信機に障害を通知して警報させる。
【0012】
無線式感知器及び電波中継器は、所定の定期通報時間を経過する毎に、定期通報を示す電文信号を送信し、無線受信用中継器は、受信電文から所定回数連続して定期通報ほ判別できなかった時に、感知器回線を終端抵抗の切り離しにより断線状態に切り替えて断線監視電流を断つことにより、受信機に障害を通知して警報させる。
【0013】
無線式感知器は、送信要求の発生時に、所定の電文送信時間に亘り同一の電文信号を連続送信する電文送信と、所定時間に亘り電文送信を休止する電文休止とを2回以上の所定の回数だけ繰り返す送信処理部を備え、電波中継器は、電文休止を挟んで連続する所定の回数電文送信の少なくともいずれかに受信タイミングが入るように間欠的に受信する間欠受信部を備える。
【0014】
無線式感知器の送信処理部は、送信要求の発生時に、電文送信と電文休止とを所定の回数だけ繰り返した後に、無線式感知器毎にランダムに設定した所定のランダム休止時間を配置し、ランダム休止時間後に、電文送信と電文休止とを所定の回数だけ繰り返す。

【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、既設の感知器回線の増設対応位置に無線受信用中継器を接続し、警戒区域には増設分の無線式感知器を設置することで、警戒区域の間仕切り変更などに対応して感知器回線の延長や受信機からの引き直しといった配線作業を必要とすることがなく、簡単且つ容易に感知器増設に対応することができる。
【0016】
また、無線式感知器は火災を検出した時には火災を示す電文信号を、火災が検出されなくなったときには火災復旧を示す電文信号を、無線式感知器の機能に障害が発生した場合には障害を示す電文信号を送信するため、無線受信用中継器において無線式感知器の状態を常に把握することができ、無線受信用中継器はその状態を必要に応じて受信機へと送信するため、機器の状態を把握するために受信機を確認するだけでシステム全体の状態の概要を把握できるようになる。
【0017】
また、無線受信用中継器は、無線式感知器の持ち去り、故障、無線通信環境の変化等の理由により定期通報を判別できなかった場合に定期通報異常として障害を表示し、受信機へと送信し、受信機ではその旨を表示するため、使用者が無線式感知器の持ち去り、故障、無線通信環境の変化等を把握することができる。
【0018】
また、無線式感知器と無線受信用中継器の距離が遠く、電波が届きにくいことが予想される場合に、無線式感知器と無線受信用中継器の間に電波中継器を設置し、電波の中継を行うことができる。また、施工時に無線受信用中継器及び無線式感知器を実際に設置してみて電波状況が悪かった場合や、施工後の周囲環境の変化によって電波環境が悪化した場合などに、後から電波中継器を追加して設置することもできることから、無線式感知器から出力された信号を確実に受信用中継器まで到達させるような通信環境を築くことができる。
【0019】
また、電波中継器を電池により動作させることで、電源線の配線を不要とし、電波中継器の設置を容易にできるようにしており、電波中継器を電池により動作させる場合、常時受信動作を行うと電池寿命が短くなることから、電文を間欠受信することで電池寿命を長くできるようにしている。電池寿命を長くすることで、設備の保守のためにかかる時間、費用を抑えることができる。

【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による防災監視システムの実施形態を示した説明図
【図2】図1の防災監視システムで送受信する無線信号の電文フォーマットを示した説明図
【図3】図1の無線式感知器及び電波中継器の詳細を示したブロック図
【図4】図1の無線受信用中継器及びP型受信機の詳細を示したブロック図
【図5】無線式感知器による間欠的な電文送信を示したタイムチャート
【図6】2回の送信電文に対し有効に受信する図3の無線中継器による間欠受信処理を示したタイムチャート
【図7】図6の間欠受信において2回目の送信電文を有効に受信する場合を示したタイムチャート
【図8】図2の無線式感知器によるセンサ処理を示したフローチャート
【図9】図2の電波中継器による電波中継処理を示したフローチャート
【図10】図3の無線受信用中継器による無線受信用中継処理を示したフローチャート
【図11】本発明による防災監視システムの他の実施形態を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明による無線防災システムの実施形態を示した説明図である。図1において、監視対象となる建物11の1Fには火災受信機であるP型受信機10が設置され、P型受信機10から1F〜3Fの各階に電源線を兼用した感知器回線18−1~18−3が引き出され、オンオフ型の火災感知器15−11〜15−32を接続している。
【0022】
このようにP型受信機10と火災感知器15−11〜15−32で構成される防災監視システムは、例えば火災感知器15−11で火災を検出すると、P型受信機10からの感知器回線18−1に発報電流を流すことで、発報信号をP型受信機10に送り、P型受信機10にあっては感知器回線18−1に流れる発報電流を検出し、感知器回線18−1に対応した警戒区域となる1階での火災発報を検知し、火災代表灯を動作して主音響警報を出し、同時に火災が検出された地区の表示を行う。
【0023】
ここで、P型受信機10と火災感知器15−11〜15−32で構成される防災監視システムを既設のシステムとすると、本実施形態にあっては、この既設システムに無線式の防災監視システムを追加設置している。
【0024】
追加設置された本実施携帯の無線式防災監視システムとして、1F〜3Fの各階には、無線式感知器16−11〜16−14、16−21〜16−24、及び16−31〜16−34が設置され、それぞれ独立して動作している。また、前記無線式感知器から送信された無線信号を受信するように設置された受信用中継器12−1〜12−3は、P型受信機10から電源線20により直流電力の供給を受けて動作するようにしている。また本実施形態にあっては、無線受信用中継器12−1〜12−3に対し、距離が離れている無線式感知器からの電波の減衰による信号を防ぐために電波中継器14−1〜14−3を設置している。
【0025】
無線式感知器16−11〜16−34及び電波中継器14−1〜14−3のそれぞれには、機器IDを使用した固有のノードIDが予め登録されている。
【0026】
無線式感知器16−11〜16−14は火災による煙濃度または温度が所定の閾値を超えたときに火災イベントの発生と判断し、火災を示す電文信号(以下、単に「電文」という)を間欠的に無線送信する。
【0027】
この間欠送信は、同一の電文データを送信時間T1に亘り、繰り返し送信する送信動作を、所定の送信休止時間T2を挟んで所定の回数Mだけ、例えば3回繰り返し、続いてランダム休止時間T6を空け、同様に同一の電文データを所定の送信時間T1に亘り繰り返し送信する送信動作を、所定の送信休止時間T2を挟んで所定の回数だけ、例えば3回繰り返し、これを1セットの電文送信としている。無線式感知器16−11〜16−14は、火災発報イベント、火災復旧イベント、試験イベント、障害イベント等のイベントが発生した時に1セットの電文送信を行う。
【0028】
尚、例えば、電文データが120bitある電文を2400bpsの速度で送信し、送信時間T1が2秒である場合には、電文データは送信時間T1の間に2400÷120=20回送信されることになる。また、同じ条件で電文データが130bitある電文を送信する場合には、2400÷130≒18.46回送信することになるが、0.46回分、即ち、信号の途中まで送信しても、受信側の機器で電文の内容を解析することができないため、この場合には、18回を送信することとする。
【0029】
電波中継器14−1と無線受信用中継器12−1のそれぞれには、親子関係に基づいて電文を受信する子ノードノードIDが予め登録されている。即ち、無線受信用中継器12−1には子ノードとなる無線式感知器16−13,16−14及び電波中継器14−1のノードIDが予め登録されている。また電波中継器14−1には、子ノードとなる無線式感知器16−11,16−12のノードIDが予め登録されている。
【0030】
なお、2F及び3Fの無線受信用中継器12−2,12−3及び電波中継器14−2,14−3についても同様であり、無線受信用中継器12−2は無線式感知器16−23,16−24及び電波中継器14−2のノードIDを予め登録し、電波中継器14−2は無線式感知器16−21,16−22のノードIDを登録し、無線受信用中継器12−3は無線式感知器16−33,16−34及び電波中継器14−3のノードIDを登録し、電波中継器14−3は無線式感知器16−31,16−32のノードIDを登録している。
【0031】
尚、これらの機器の登録は、無線受信用中継器または電波中継器に対し、所定の操作、例えばスイッチ操作を行うことにより無線受信用中継器はまた電波中継器を登録待ち状態とし、登録待ち状態で受信した無線信号に含まれるノードIDを記憶することにより行う。
【0032】
このような無線受信用中継器12−1及び電波中継器14−1が電文を受信した際には、電文に含まれる送信元IDと予め登録したノードIDとを比較し、例えば両者が一致したときに有効な電文として処理することになる。
【0033】
更に本実施形態にあっては、無線受信用中継器12−1において、親子関係にない無線式感知器16−11,16−12から電波中継器14−1を経由せずに直接受信される電文について、有効な電文としての処理を可能とするため、電波中継器14−1から無線受信用中継器12−1に、登録したノードIDを転送して追加登録し、これによって、受信用中継器12−1で子ノードとして割り当てられていない無線式感知器16−11,16−12からの電文を直接受信した場合にも、追加登録したノードIDとの一致を判別して、有効な電文として処理できるようにしている。
【0034】
電波中継器14−1は、所定のキャリアセンス周期Tcs毎に、無線周波数が一致する機器が送信する電波の有無を検出している。この検出処理をキャリアセンスと呼ぶ。キャリアセンスは、電波中継器14−1が受信している当該無線周波数の電波強度を、無線通信部において測定し、この測定結果が所定の範囲にある場合には電波が有る、それ以外の場合には電波が無い、と判断することにより行う。Tcs毎のキャリアセンスの結果、電波が有る、と判断された場合には、受信動作を行う。
【0035】
尚、キャリアセンス周期Tcsは、無線式感知器16−11,16−12から送信される送信休止時間T2を間に挟んだ例えば2回の送信時間T2のいずれかで電文が有効に受信できるように決めている。このキャリアセンス周期Tcsの詳細は後の説明で明らかにする。
【0036】
電波中継器14−1は間欠受信により無線式感知器16−11,16−12からの電文を受信した際には、電文の送信元IDと登録しているノードIDとを比較し、両者が一致したときに有効な電文として無線受信用中継器12−1に対し中継送信する。電波中継器14−1からの中継電文の送信は、同一の電文データを所定の回数だけ、例えば6回連続して所定の送信時間に亘り送信する送信動作を、所定の送信休止時間を挟んで所定の回数だけ、例えば6回繰り返す。
【0037】
無線受信用中継器12−1は、常時受信状態となっており、子ノードとして割り当てられた無線式感知器16−13,16−14からの電文を受信した際に、電文の送信元IDと登録しているノードIDとを比較し、両者が一致したときに有効な電文として受信処理し、処理結果をP型受信機10に送信する。例えば、無線受信用中継器12−1は、受信した電文が無線式感知器からの火災を示す電文であった場合、P型受信機10に対し感知器回線18−1に対する接点出力として発報電流を流すことで火災発報信号を送信する。
【0038】
また無線受信用中継器12−1は電波中継器14−1を経由して無線式感知器16−11,16−12から電文を受信した場合にも、電文に含まれる送信元IDと予め登録したノードIDとの一致により有効な電文として受信し、受信結果をP型受信機10に送信する。
【0039】
更に無線受信用中継器12−1は、割り当て対象となっていない無線式感知器16−11,16−12より直接、電文を受信した場合についても、受信した電文の送信元IDと追加登録されたノードIDと比較し、両者が一致したときに有効な電文として処理し、処理結果をP型受信機10に送信することになる。
【0040】
また本実施形態にあっては、電波中継器14−1及び無線式感知器16−11〜16−14が正常に動作していること、即ち持ち去りや電池切れが発生していないことを監視するため、当該各ノードは定期通報電文を定期的に送信する。
【0041】
無線式感知器16−11〜16−14及び電波中継器14−1からの定期通報電文の送信に対し、無線受信用中継器12−1は、電文の送信元IDと登録したノードIDの一致により有効な電文として受信したとき、登録したノードIDごとに設けている定期通報タイマをリセットスタートしている。
【0042】
しかしながら、無線受信用中継器12−1は、定期的に定期通報電文が受信されずに定期通報タイマが所定時間を超えてタイムアップした場合には、そのノードが正常に動作していない定期通報異常であることを判断し、P型受信機10に対し障害発生を通知する。
この障害発生通知は、例えばP型受信機10からの感知器回線18−1の終端部に接続している終端抵抗を、無線受信用中継器に内蔵されている、リレー等のスイッチング素子により切り離して擬似的に断線状態を作り出すことで、定期通報異常による障害発生を通知する。
【0043】
図2は図1の追加した無線防災システムで送受信する電文を示した説明図である。図2において、電文フォーマット90は、位相修正信号92、連番94、送信元ID96、電文内容98及びエラーチェックコード100で構成される。受信側では、送信元ID96を見て登録されているノードかどうか判断してから、電文内容98を見て電文の意味を判断して処理する。
【0044】
位相修正信号92は所定ビット長の「101010・・・・10」で繰り返すプリアンブル信号であり、これにより無線通信部に設けた受信用PLLの位相同期による受信準備を行うことが出来る。
【0045】
連番94は電文の送信ごとに例えば0〜255の範囲で順番に変化する値を格納し、受信側で電文送信の順序を知ることができる。送信元ID95には送信元となる機器のノードIDが設定され、本実施形態では例えば48ビットのデータとなる。
【0046】
電文内容98は火災情報や障害情報などが設定される。電文内容98に火災発報、火災復旧を設定した電文は、早く送って迅速な処理を必要とする至急イベントに基づく電文となる。これに対し、電文内容96に障害、試験を設定した電文は、急な処理を必要としない不急イベントに基づく電文ということができる。
【0047】
図3は図1の実施形態に設けた1Fの無線式感知器16−11、電波中継器14−1及び無線受信用中継器16−1を取り出して、その詳細を示したブロック図である。
【0048】
図3において、無線式感知器16−11は、プロセッサ22、無線通信部24、アンテナ25、センサ部26、ディップスイッチなどを用いた操作部28及びバッテリー30で構成される。センサ部26は例えば光電式の煙感知部やサーミスタなどを用いた温度検出部である。
【0049】
プロセッサ22にはプログラムの実行により実現する機能としてセンサ処理部74、送信処理部76が設けられている。
【0050】
センサ処理部74は、火災発報を判断する所定の火災閾値を設定し、センサ部26から出力される例えば煙濃度検出信号と比較し、煙濃度検出信号が火災閾値を超えたときに火災発報イベントの発生と判別する。
【0051】
更に、センサ処理部74は火災イベント以外に、復旧、電池切れ、障害、手動試験、自動試験、定期通報を含むイベント発生を検出し、送信処理部76による送信処理を行わせる。
【0052】
送信処理部76は、イベント発生時に、所定の電文送信時間に亘り同一の電文信号を連続送信する電文送信と、所定時間に亘り電文送信を休止する電文休止とを2回以上繰り返す。
【0053】
即ち、送信処理部76は、図5に示すように、例えば18個の同一電文データ112−1〜112−18を含む送信電文110−1〜110−3を所定の送信時間T1に亘り送信する電文送信を、所定の送信休止時間T2に亘り送信休止する送信休止を挟んで所定の回数、例えば3回繰り返し、続いて無線式感知器に固有なランダム休止時間T6を空け、同様に18個の同一電文データを含む送信電文110−4〜110−6を送信時間T1に亘り送信する電文送信をと、送信休止時間T2の送信休止を挟んで所定の回数、例えば3回繰り返し、これを1セットの電文送信としている。ランダム休止時間T6は送信元IDなどに基づき例えば3〜7secの範囲で異なる時間がランダムに決められる。
【0054】
無線通信部24には送信回路24aが設けられており、日本国内の場合には例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に従った無線通信を行う。なお無線式感知器16にあっては、受信機側に電文を送信するだけであることから、本実施例では受信回路を設けていない。
【0055】
また、無線通信部22のチャンネル周波数は400MHz帯の特定小電力無線局標準規格で使用可能なチャンネルのうち、1または複数のチャンネル、例えば4つのチャンネル周波数f1〜f4のいずれか1つを使用する。チャンネル周波数は図1の各階で同じにしても良いし、混信や輻輳を避けるために例えば隣接する階では異なるチャンネル周波数を使用しても良い。一般に、ある端末があるチャンネル周波数で送信を行っても、他のチャンネル周波数を使用して行われる無線通信には、混信・輻輳を生じるような影響は生じない。
【0056】
次に電波中継器14−1を説明する。電波中継器14−1は、プロセッサ32、受信回路34aと送信回路34bを備えた無線通信部34、アンテナ35、操作部36、表示部37、メモリ38及び電源部40で構成される。プロセッサ32にはプログラムの実行により実現される機能として、キャリアセンス周期設定部80、間欠受信処理部82及び中継処理部84が設けられている。
【0057】
中継処理部84は、操作部36に設けている登録スイッチの操作により、電波中継器14−1の使用を開始する際に、メモリ38の中継制御テーブル85に、自己に割り当てられた図1に示した無線式感知器16−11,16−12のノードIDを登録する。
【0058】
また中継処理部84は、割り当てられた図1の無線式感知器16−11,16−12のノードIDを中継制御テーブル85に登録する毎に、登録したノードIDを読み出して、無線受信用中継器16−1に登録電文により転送し、無線受信用中継器16−1側での追加登録を行わせる。
【0059】
更に中継処理部84は中継制御テーブル85に対するノードIDの登録が終了した後の監視状態では、無線通信部34で無線式感知器から送信された火災電文、定期通報電文などを間欠受信処理部82により受信した際に、各電文に含まれる送信元IDを取得し、中継制御テーブル66に登録しているノードIDと比較し、両者が一致したときに、受信した電文を中継送信し、不一致の場合には中継送信を行わない。
【0060】
キャリアセンス周期設定部80は、無線式感知器16−11から図5に示した送信電文110−1〜110−6が送信されたときに、例えば電文休止時間T2を挟んで連続する2回の送信電文110−1,110−2の電文送信時間T1の少なくともいずれかに、受信動作に最低限必要なキャリアセンス必須時間T5が重なるようにキャリアセンス周期Tcsを設定する。
【0061】
間欠受信処理部82は、キャリアセンス周期Tcs毎に受信回路34aの機能をオンし、キャリアセンスを行って無線周波数が一致する機器が送信している無線信号の有無を検出し、無線信号が無かった場合には受信回路34aの機能とオフし、または、無線信号が有った場合には受信回路34aの機能をオンしつづけて無線信号に含まれる電文の受信を行う。このとき、受信回路34aの機能をオンしてからキャリアセンスを行い、無線信号に含まれる電文を受信完了するまでに必要な時間をキャリアセンス必須時間T5とする。即ち、キャリアセンス必須時間T5は、受信回路34aの設定時間、キャリアセンスにかかる時間及び無線信号を受信するためにかかる時間の和である。
【0062】
通常、無線信号を受信するためにかかる時間とは、電文データを1回受信するためにかかる時間であるが、電文データを途中から受信し始めた場合にはその回の受信は無効となるため、繰り返し送信されている電文データの次の回で受信完了できることになる。つまり、電文データを1回受信するためには、電文データの長さの2倍のビット列を受信するためにかかる時間が必要となる。即ち、無線信号を受信するためにかかる時間は電文データの長さの2倍のビット列を受信するためにかかる時間となる。
【0063】
例えば、電文データが120bitある電文を2400bpsの速度で送信される場合には、120÷2400×2により、電文データを1回受信するためにかかる時間は100msとなる。また、電文データのビット誤りを排除するため、受信した電文データの内容が複数回、例えば2回連続で一致した場合に有効な受信データとして処理しても良いが、この場合には、電文信号を受信するためにかかる時間は電文データの長さの3倍のビット列を受信するのにかかる時間となるため、120÷2400×3により、電文信号を受信するためにかかる時間は150msとなる。
【0064】
電源部40は原則として乾電池等のバッテリー電源を使用しているが、P型受信機10から電源供給を受けるようにしても良い。
【0065】
図6は図3の無線式感知器16−11から繰り返し送信される電文を有効に受信する図3の電波中継器による間欠受信処理を示したタイムチャートである。
【0066】
図6(A)は送信電文であり、1セットの送信電文の先頭部分の送信電文110−1,110−2を示しており、送信電文110−1,110−2は送信時間T1であり、休止時間T2を間に挟んでいる。
【0067】
本実施形態にあっては、N=2回の送信電文110−1,110−2に対しN=2回のキャリアセンスにより電文を必ず1回有効に受信できるようにキャリアセンス周期Tcsを設定している。
【0068】
このようなキャリアセンス周期の算出方法は次のようになる。まず、キャリアセンスを開始してから電文を有効に受信完了できるまでに最低限必要な時間をキャリアセンス必須時間T5とする。キャリアセンス必須時間T5はキャリアセンスして電波があると解ってから行う受信ICの設定時間や、無線電文の受信に掛かる時間が含まれており、使用する受信ICの仕様や電文長に依存する値であり、例えばT5=0.5secとなる。
【0069】
ここで、送信電文110−1,110−2の送信時間T1からキャリアセンス必須時間T5を引いた時間(T1−T5)内にキャリアセンスを開始しなければ、受信を行うことは出来ず、この時間を受信開始可能時間T3とする。即ち受信開始可能時間T3は、
T1−T5= T3
となる。
【0070】
一方、キャリアセンス必須時間T5に送信休止時間T4を加えた時間帯にキャリアセンスを開始しても電文を受信できないことから、これを受信開始不可能時間T4とする。受信開始不可能時間T4は、
T2+T5= T4
となる。
【0071】
図6(B)は、図6(A)の送信信号110−1,110−2に対する受信開始可能時間T3で決まる受信開始可能状態114−1,114−2と受信開始不可能時間T4で決まる受信開始不可能状態116−1,116−2を受信開始可否状態として示している。
【0072】
まずキャリアセンス動作による消費電力を低減するため、キャリアセンス周期Tcsをできる限り長く、例えば、送信電文の送信時間T1より長くしており、
Tcs>T1 (1)
となるように決める必要がある。
【0073】
次に、キャリアセンス周期Tcsは、受信開始不可能時間T4以上でないと、少なくとも2回のキャリアセンスで受信できないため、
Tcs≧T4 (2)
となる。
【0074】
これは、Tcs<T4 だと、受信開始不可能時間T4の中にキャリアセンスタイミングが2回以上入ってしまうため、キャリアセンス2回で受信することが出来ないからである。
【0075】
続いて、2回の受信開始可能時間T3までの間に、少なくとも2回のキャリアセンスタイミングが来るようにするため、
Tcs≦(T3×2+T4)/2 (3)
とする必要がある。
【0076】
ただし、キャリアセンス2回で受信する場合は、
{T3×2/(T3×2+T4)}≧(1/2) (4)
でなくてはならない。この(4)式の条件は、キャリアセンス2回のうち1回は受信開始可能時間T3に行わなくてはならないので、2回の受信開始可能時間T3を含む送信開始不可能時間T4を挟んだ2回の通信電文110−1,110−2に亘る時間(T3×2+T4) のうち、1/2以上は受信可能時間でなくてはならないからである。
【0077】
即ち、式(2)(3)をまとめるとキャリアセンス周期Tcsは、
T4≦Tcs≦(T3×2+T4)/2 (5)
となる。
【0078】
以上の式(1)〜(5)に基づきキャリアセンス周期Tcsを決定できる。
【0079】
具体的な例として
送信時間T1=2sec
送信休止時間T2=2sec
キャリアセンス必須時間T5=0.5sec
受信開始可能時間T3=T1−T5=1.5sec
受信開始不可能時間T4=T2+T5=2.5sec
とした場合、次のように算出される。
式(1)より Tcs>2 sec
式(2)より Tcs≧2.5sec
式(3)より Tcs≧(1.5×2 +2.5)/2
Tcs≦2.75sec
式(4)より、0.55≧0.5となり、これも満たす。
【0080】
式(1)(2)(3)を満たすキャリアセンス周期Tcsは
2.5sec≦Tcs≦2.75sec
となる。ここで、キャリアセンス周期Tcsは長い方が消費電力を低減できるため、長めに取るのが好ましい。例えばT=2.7secとする。
【0081】
図6(C)は前述のようにして決定したキャリアセンス周期Tcs=2.7secのキャリアセンスタイミング118−1〜118−4を示しており、キャリアセンスタイミング118−1が送信電文110−1の開始タイミングに一致した場合を例にとっている。
【0082】
この場合には、図6(D)の電文受信に示すように、キャリアセンスタイミング118−1によるキャリアセンスによりキャリアセンス必須時間T5の時間以上、電文が受信できるので受信を完了することができる。
【0083】
図7は図6と同じキャリアセンス周期Tcs=2.7secに設定した場合であるが、図7(C)に示すように、1回目の送信電文110−1に対してはキャリアセンスタイミング118−1がずれて受信できず、2回目の送信電文110−2に対しキャリアセンスタイミング118−2が適切となって電文受信が行われた状態を示している。
【0084】
この場合、最初の送信電文110−1に対するキャリアセンスタイミング118−1で受信準備動作を開始しているが、キャリアセンス必須時間T5の時間分の受信が出来ないので、受信動作が有効に行われない。しかし、次のキャリアセンスタイミング118−2では、キャリアセンス必須時間T5の時間以上、電文が受信できるので受信を完了することができる。
【0085】
このようなキャリアセンス周期Tcsの決定は、N回の送信電文110−1,110−2に対しM回のキャリアセンスにより電文を必ず1回有効に受信できるようにキャリアセンス周期Tcsを決定する方法として、一般化することができる。
【0086】
式(1)〜(5)を一般化すると次のようになる。
【0087】
式(1)はそのまま
Tcs>T1 (6)
式(2)は
Tcs×(M−1)≧T4 (7)
となる。
【0088】
式(3)は
Tcs≦{T3×N+T4×(N−1)}/M (8)
となる。
【0089】
更に条件式(4)は、
(T3×N)/{T3×N+T4×(N−1)}≧1/M (9)
となる。
【0090】
そして式(7)(8)をまとめた式(5)は、
{T3×N+T4×(N−1)}/M≧Tcs≧T4/(M−1) (10)
となる。
【0091】
N=3,M=3とした場合のキャリアセンス周期Tcsは、一般式(6)〜(10)にN=3を代入することにより式次にようなる。
Tcs>T1 (11)
Tcs×2≧T4 (12)
Tcs≦(T3×3+T4×2)/3 (13)
T3×3/(T3×3+T4×2)≧1/3 (14)
(T3×3+T4×2)/3≧Tcs≧T4/2 (15)
図4は図1の無線受信用中継器12−1及びP型受信機10を取り出して、その詳細を示したブロック図である。
【0092】
図4において、無線受信用中継器12−1は、プロセッサ42、受信回路を備えた受信回路44aを備えた無線通信部44、アンテナ46、感知器回線18−1の終端を接続する有線通信部48、操作部50、表示部52、メモリ54及び電源部56で構成される。
【0093】
プロセッサ42にはプログラムの実行により実現される機能として、受信処理部86が設けられている。またメモリ54には中継制御テーブル87が設けられ、図1に示すように、無線受信用中継器12−1に子ノードとして予め割り当てられた無線式感知器16−13,16−14及び電波中継器14−1のノードIDが登録されている。
【0094】
受信処理部86は中継制御テーブル82に対するノードIDの登録を行う。無線式感知器16−13,16−14及び電波中継器14−1のノードIDを登録する際には、表示部52の例えば7セグメント表示器を使用して感知器又は無線中継器の登録アドレスを指定し、続いて操作部50のディップスイッチなどで登録待ち状態を設定し、この状態で無線式感知器16−13,16−14または電波中継器14−1から送信されてくる起動電文又は試験電文を受信し、電文に含まれる送信元IDを取得して中継制御テーブル87に登録する。
【0095】
また受信処理部86は、子ノードとして割り当てられた無線式感知器16−13,16−14及び電波中継器14−1のノードIDの登録を完了した後、電波中継器14−1より送信されてくる中継制御テーブル84に登録しているノードIDを含む登録要求電文を受信した際に、登録要求電文から取得した無線式感知器16−11,16−12のノードIDを中継制御テーブル87に追加登録する。この場合、同時に親ノードとなる電波中継器14−1のアドレスも送ってくることから、これも登録する。
【0096】
また受信処理部86で定期通報電文が受信されずに定期通報異常となる無線式感知器又は電波中継器を判別した場合、有線通信部18に設けている感知器回線18の終端に接続している断線検出抵抗を切り離し、擬似的に断線状態を作り出すことで、P型受信機10に定期通報異常による障害発生を通知するようにしている。
【0097】
更に電源部56としては、図1に示したように、受信機10からの電源線20による直流電力の供給を受けているが、商用AC100ボルトから直流電力を変換して電源を作り出してもよいし、電池電源を採用してもよい。
【0098】
次に図4のP型受信機10を説明する。図4において、P型受信機10は、制御部として機能するプロセッサ58、回線受信部60−1〜608−3、電源供給部62、表示部64、音響警報部66、操作部68、移報部70及び不揮発メモリ72を備えている。なお自身の動作電源は、適切にバックアップされた商用電源を使用している(図示せず)。
【0099】
回線受信部60−1〜60−3からは感知器回線18−1〜18−3が図1に示したようにそれぞれ引き出され、感知器回線18−1には火災感知器15−11,15−12が接続され、終端には無線受信用中継器16−1が接続されている。
【0100】
回線受信部60−1は、無線受信用中継器16−1に設けた有線通信部48による接点動作で流れる発報電流を検知し、プロセッサ58に対し火災検出信号を出力する。また無線受信用中継器16−1の有線通信部48における終端抵抗の切り離しは、実際の感知器回線の断線の際の監視電流の遮断として検出し、障害検出信号をプロセッサ58に出力する。
【0101】
プロセッサ58はCPU、ROM、RAM、AD変換ポート及び各種の入出力ポートを備え、CPUによるプログラムの実行で火災監視部88の機能を実現している。
【0102】
火災監視部88は回線受信部60−1〜60−3のいずれかによる発報電流の検出で火災発報信号の受信出力が得られると、対応する感知器回線の火災発報と判断し、表示部64に代表火災表示を行うと共に、回線単位の地区表示を行う。また音響警報部66より音響火災警報を出力する。このためP型受信機10から見て感知器回線18−1に接続された無線受信用中継器12−1は、火災感知器15−11,15−12と同じ機能を持つことになる。
【0103】
また火災監視部88は、回線受信部60−1〜60−3により感知器回線18−1〜18−3の断線を検出した場合、表示部64に代表障害表示を行うと共に、障害を発生した地区を回線単位に表示し、更に音響警報部84から音響障害警報を出力する。
【0104】
図8は図2の無線式感知器16−11によるセンサ処理を示したフローチャートであり、プロセッサ22によるプログラムの実行により実現される。図12において、センサ処理は、ステップS1で初期化及び自己診断を行った後、正常であればステップS2に進み、登録処理を実行する。
【0105】
ステップS2の登録処理は、無線式感知器16−11の操作部28に設けたディップスイッチなどにより登録モードをセットすると、ID登録用の試験電文が送信され、このとき、対応する電波中継器14−1の操作部36のディップスイッチにより登録アドレスを指定して登録待ち状態をセットしていると、受信した試験電文に含まれる送信元IDを取り出して、中継制御テーブル85にノードIDとして登録する自動登録が行われる。
【0106】
続いてステップS3でイベント検出の有無を判別している。ステップS3でイベント検出が判別されるとステップS4に進み、火災発報イベントか否か判別し、火災発報イベントを判別するとステップS5に進み、火災発報イベントに基づく1セットの電文送信を行う。
【0107】
またステップS4で火災発報イベントを判別しなかった場合はステップS6に進んで火災復旧イベントか否か判別し、火災復旧イベントを判別するとステップS7で火災復旧イベントに基づく1セットの電文送信を行う。
【0108】
ステップS6で火災復旧イベントを判別しなかった場合は、それ以外の障害イベントや試験イベントなどのその他のイベントであることから、ステップS8に進んでその他のイベントに基づく1セットの電文送信を行う。
【0109】
続いてステップS9では定期通報タイマがタイムアップしたか否か判別しており、定期通報タイマのタイムアップを判別すると、ステップS10で定期通報電文を間欠送信した後、ステップS11で定期通報タイマをリセットスタートする。
【0110】
図9は図3の電波中継器14−1による電波中継処理を示したフローチャートであり、プロセッサ32によるプログラムの実行により実現される処理となる。
【0111】
図9において、電波中継処理は、ステップS21で電源投入に伴う初期化及び自己診断を行った後、異常がなければ、ステップS22で中継制御テーブル85の登録処理を実行する。
【0112】
ステップS22の登録処理が済むと監視状態に入り、ステップS23で設定したキャリアセンス周期Tcsに基づく間欠受信処理を行っている。続いてステップ24で電文を有効に受信したか否か判別する。この有効性の判別は、キャリアセンスにより受信を開始して得られた2つの電文データが一致した時に、有効と判断して電文データとして保持する。
【0113】
ステップ24で電文の有効受信を判別した場合はステップS25に進んで受信した電文を解析し、ステップS26で電文から得られた送信元IDと中継制御テーブル85に登録しているテーブル登録のノードIDとを比較して一致を判別した場合には、有効な受信電文としてステップS17に進み、受信した電文を中継送信する。
【0114】
続いてステップS28で定期通報タイマがタイムアップしたか否か判別しており、タイムアップを判別すると、ステップS29で定期通報電文を送信した後、ステップS30で定期通報タイマをリセットスタートし、ステップS23に戻る。
【0115】
図10は図4の無線受信用中継器16−1による無線受信用中継処理を示したフローチャートである。図10において、無線受信用中継器12−1の電源が投入されると、ステップS31で初期化及び自己診断が実行され、異常がなければ、ステップS32で中継制御テーブル87の登録処理を実行する。
【0116】
登録処理が終了すると監視状態となり、ステップS33で受信電文の送信元IDとテーブル登録のノードIDが一致する有効な電文受信の有無を判別している。ステップS33で有効な電文受信を判別するとステップS34で電文を解析し、ステップS35で火災発報を判別すると、ステップS36で感知器回線18に対する接点出力で発報電流を流すことで、P型受信機10に対し火災発報信号を送信し、火災警報を出力させる。
【0117】
続いてステップS37で定期通報電文の受信の有無を判別しており、定期通報電文の受信を判別すると、ステップS38に進み、送信元IDで特定される該当ノードの定期通報タイマをリセットスタートする。
【0118】
続いてステップS39でタイムアップした定期通報タイマの有無をチェックし、もしタイムアップした定期通報タイマがあれば、ステップS40で定期通報異常と判断し、感知器回線18を擬似的な断線状態とすることで、P型受信機10に対し障害信号を送って障害警報を出力させる。
【0119】
図11は本発明による防災監視システムの他の実施形態であり、この実施形態にあっては、図1の実施形態で設けていた電波中継器14−1〜14−3を除いたシステムとしており、それ以外の構成と動作は図1の実施形態と同じであり、追加設置した無線式防災監視システムの規模が比較的小さい場合ということができる。
【0120】
なお、本発明は火災監視を例にとっているが、これ以外にガス漏れや盗難などの異常監視にも適用できる。
【0121】
また、上記の実施形態はP型受信機から引き出された感知器回線の終端となる終端抵抗の接続位置に無線受信用中継器を接続しているが、終端抵抗の切り離しによる擬似的な断線によらずに障害信号や定期通報異常信号を受信機に送るようにすれば、必ずしも感知回線の終端に接続する必要はなく、感知器回線の途中に分岐接続することもできる。
【0122】
また上記の実施形態は、既設のシステムに無線式の防災監視システムを追加設置する場合を例にとっているが、設置当初から有線式の防災監視システムと無線式の防災監視システムを混在させた形態としても良い。例えば、電波環境の悪化が予想される区域は有線式の防災監視システムとし、それ以外の区域を無線式の防災監視システムとする。
【0123】
また上記の実施形態にあっては、電波中継器14−1〜14−3の間欠受信として、キャリアセンス周期Tcsを電文送信時間T1より長く設定する間欠受信を例にとっているが、キャリアセンス周期Tcsを電文送信時間T1より短く設定する間欠受信としても良い。
【0124】
また上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入する等が出来る。
【0125】
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。

【符号の説明】
【0126】
10:P型受信機
12−1〜12−3:無線受信用中継器
14−1〜14−3:電波中継器
15:電源線
16−11〜16−34:無線式感知器
18−1〜18−3:感知器回線
20−11〜20−32:火災感知器
22,32,42,58:プロセッサ
24,34,44:無線通信部
25,35,46:アンテナ
26:センサ部
28,36,50,68:操作部
30:バッテリー
38,54:メモリ
40,56,62:電源部
48:有線通信部
52,64:表示部
60−1〜60−3:感知器回線
66:音響警報部
70:移報部
72:不揮発メモリ
74:センサ処理部
76:送信処理部
80:キャリアセンス周期設定部
82:間欠受信処理部
84:中継処理部
85,87:中継制御テーブル
86:受信処理部
88:火災処理部
90:電文フォーマット
110−1〜110−6:電文送信
112−1〜112−18:電文データ
114−1〜114−4:キャリアセンスタイミング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
警戒区域に設置された火災感知器を受信機から引き出された感知器回線に接続し、前記火災感知器の火災検出時に前記感知器回線に発報電流を流すことにより発報信号を前記受信機に送って警報を出力させる防災監視システムに於いて、
前記警戒区域に設置され、火災検出時に火災発報を示す電文信号を送信する無線式感知器と、
前記無線式感知器からの電文信号を中継する電波中継器と、
前記感知器回線に接続され、前記無線式感知器から送信された電文信号又は電波中継器を経由して前記無線式感知器から送信された電文信号を受信し、受信電文から火災発報を判別した時に前記感知器回線に発報電流を流すことにより発報信号を前記受信機に送信する無線受信用中継器と、
を設けたことを特徴とする防災監視システム。

【請求項2】
警戒区域に設置された火災感知器を受信機から引き出された感知器回線に接続し、前記火災感知器の火災検出時に前記感知器回線に発報電流を流すことにより発報信号を前記受信機に送って警報を出力させる防災監視システムに於いて、
前記警戒区域に設置され、火災検出時に火災発報を示す電文信号を送信する無線式感知器と、
前記感知器回線に接続され、前記無線式感知器から送信された電文信号を受信し、受信電文から火災発報を判別した時に前記感知器回線に発報電流を流すことにより発報信号を前記受信機に送信する無線受信用中継器と、
を設けたことを特徴とする防災監視システム。

【請求項3】
請求項1又は2記載の防災監視システムに於いて、
前記無線式感知器は火災が検出されなくなった時に火災復旧を示す電文信号を送信し、
前記無線受信用中継器は、受信電文から火災復旧を判別した時に前記感知器回線に流している発報電流を止めて前記受信機に対する前記発報信号の送信を停止することを特徴とする防災監視システム。

【請求項4】
請求項1又は2記載の防災監視システムに於いて、
前記無線式感知器は障害検出時に障害を示す電文信号を送信し、
前記無線受信用中継器は、受信電文から障害を判別した時に前記感知器回線を断線状態に切り替えて断線監視電流を断つことにより、前記受信機に障害を通知して警報させることを特徴とする防災監視システム。

【請求項5】
請求項1記載の防災監視システムに於いて、
前記無線式感知器及び無線中継器は、所定の定期通報時間を経過する毎に、定期通報を示す電文信号を送信し、
前記無線受信用中継器は、受信電文から所定回数連続して定期通報を判別できなかった時に、前記感知器回線を終端抵抗の切り離しにより断線状態に切り替えて断線監視電流を断つことにより、前記受信機に障害を通知して警報させることを特徴とする防災監視システム。

【請求項6】
請求項2記載の防災監視システムに於いて、
前記無線式感知器は、所定の定期通報時間を経過する毎に、定期通報を示す電文信号を送信し、
前記無線受信用中継器は、受信電文から所定回数連続して定期通報を判別できなかった時に、前記感知器回線を終端抵抗の切り離しにより断線状態に切り替えて断線監視電流を断つことにより、前記受信機に障害を通知して警報させることを特徴とする防災監視システム。

【請求項7】
請求項1記載の防災監視システムに於いて、
前記無線式感知器は、送信要求の発生時に、所定の電文送信時間に亘り同一の電文信号を連続送信する電文送信と、所定時間に亘り電文送信を休止する電文休止とを2回以上の所定の回数だけ繰り返す送信処理部を備え、
前記電波中継器は、前記電文休止を挟んで連続する前記した所定の回数電文送信の少なくともいずれかに受信タイミングが入るように間欠的に受信する間欠受信部を備えたことを特徴とする防災監視システム。
【請求項8】
請求項7記載の防災監視システムに於いて、前記無線式感知器の送信処理部は、送信要求の発生時に、電文送信と電文休止とを所定の回数だけ繰り返した後に、無線式感知器毎にランダムに設定した所定のランダム休止時間を配置し、前記ランダム休止時間後に、電文送信と電文休止とを所定の回数だけ繰り返すことを特徴とする防災監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−96169(P2011−96169A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251815(P2009−251815)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】