説明

防犯装置

【課題】窓ガラス等が破壊されても侵入者が錠部を簡単に開錠することができない防犯装置を提供する。
【解決手段】錠部近傍に設置される防犯装置であって、可動部(上アーム4、下アーム5、レンズキャップ6、及びセンサ基板7によって構成される左右の各アーム部)と、ロック解除部(ロック解除スイッチ9)とを備え、前記可動部の可動により、前記錠部の開錠を阻害しない第1の状態(アーム部が閉じた状態)と、前記錠部の開錠を阻害する第2の状態(アーム部が開いた状態)とを取ることができ、前記ロック解除部によってロックが解除されていなければ、前記第2の状態から前記第1の状態に移行することができない防犯装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠部近傍に設置される防犯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、窓ガラス等の打ち破りに対して警報を発する防犯装置(例えば、特許文献1参照)や窓ガラス等の焼き破りに対して警報を発する防犯装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−36483号公報(要約)
【特許文献2】特開2006−236322号公報(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1や特許文献2で提案されている防犯装置は、窓ガラス等が破壊される際に警報を発することができるものの、窓ガラス等が破壊された後には侵入者が錠部を簡単に開錠することができるという問題を有していた。また、特許文献1や特許文献2で提案されている防犯装置は、住宅等の建物の外部から視認し難いため、犯罪抑止力が小さいという問題も有していた。
【0005】
本発明は、上記の状況に鑑み、窓ガラス等が破壊されても侵入者が錠部を簡単に開錠することができない防犯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明に係る防犯装置は、錠部近傍に設置される防犯装置であって、可動部と、ロック解除部とを備え、前記可動部の可動により、前記錠部の開錠を阻害しない第1の状態と、前記錠部の開錠を阻害する第2の状態とを取ることができ、前記ロック解除部によってロックが解除されていなければ、前記第2の状態から前記第1の状態に移行することができない構成としている。
【0007】
また、検知対象物の異常を検知するための防犯センサを備え、前記第1の状態のときに前記防犯センサを用いた異常検知が行われず、前記第2の状態のときに前記防犯センサを用いた異常検知が行われるようにしてもよい。さらに、前記可動部に前記防犯センサを設けてもよい。
【0008】
また、前記防犯センサを含む電子部品を実装する基板を一つのみ備え、前記基板が筐体で覆われるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る防犯装置によると、侵入者が錠部の開錠を試みても、第2の状態が錠部の開錠を阻害する。さらに、第1の状態にすることにより、錠部の開錠の阻害を解除することができるが、ロック解除部によってロックが解除されていなければ、第2の状態から第1の状態に移行することができないので、侵入者が本発明に係る防犯装置を第1の状態にすることは困難である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る防犯装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る防犯装置の分解側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る防犯装置が備える中ケース及びスプリングの正面図である。
【図4A】本発明の第1実施形態に係る防犯装置が備える中ケースとロック解除スイッチとの位置関係を示す図である。
【図4B】本発明の第1実施形態に係る防犯装置が備える中ケースとスイッチとの位置関係を示す図である。
【図5A】本発明の第1実施形態に係る防犯装置のアーム部が閉じた状態を示す外観図である。
【図5B】本発明の第1実施形態に係る防犯装置のアーム部が開いた状態を示す外観図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る防犯装置の電気的構成を示す図である。
【図7A】本発明の第2実施形態に係る防犯装置の分解斜視図である。
【図7B】本発明の第2実施形態に係る防犯装置が備えるベース台とロック解除スイッチとの位置関係を示す図である。
【図7C】本発明の第2実施形態に係る防犯装置の側面図である。
【図7D】本発明の第2実施形態に係る防犯装置の上斜め後方から見た斜視図である。
【図8A】本発明の第2実施形態に係る防犯装置の第1の状態を示す外観図である。
【図8B】本発明の第2実施形態に係る防犯装置の第2の状態を示す外観図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る防犯装置の分解斜視図である。
【図10A】本発明の第3実施形態に係る防犯装置の第1の状態を示す外観図である。
【図10B】本発明の第3実施形態に係る防犯装置の第2の状態を示す外観図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る防犯装置の他の電気的構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0012】
<本発明の第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る防犯装置の分解斜視図を図1に示し、本発明の第1実施形態に係る防犯装置の分解側面図を図2に示す。
【0013】
本発明の第1実施形態に係る防犯装置は、上ケース1と、中ケース2と、下ケース3と、左側上アーム4Lと、左側下アーム5Lと、左側レンズキャップ6Lと、左側センサ基板7Lと、右側上アーム4Rと、右側下アーム5Rと、右側レンズキャップ6Rと、右側センサ基板7Rと、回路基板8と、ロック解除スイッチ9と、スプリングS1及びS2とを備えている。下ケース3は、例えば両面接着テープにより、窓枠の内面等に取り付けることができる。
【0014】
左側下アーム5L及び左側センサ基板7Lが左側上アーム4Lにねじ止めされ、左側上アーム4Lと左側下アーム5Lとが左側センサ基板7Lを格納する。また、左側レンズキャップ6Lによって集束される赤外線が左側下アーム5Lの開口部を介して左側センサ基板7Lに搭載されている左側焦電センサ17L(図6参照)に入射されるように、左側レンズキャップ6Lが左側下アーム5Lの開口部にセットされる。左側上アーム4L、左側下アーム5L、左側レンズキャップ6L、及び左側センサ基板7Lによって左側アーム部が構成される。
【0015】
同様に、右側下アーム5R及び右側センサ基板7Rが右側上アーム4Rにねじ止めされ、右側上アーム4Rと右側下アーム5Rとが右側センサ基板7Rを格納する。また、右側レンズキャップ6Rによって集束される赤外線が右側下アーム5Rの開口部を介して右側センサ基板7Rに搭載されている右側焦電センサ17R(図6参照)に入射されるように、右側レンズキャップ6Rが右側下アーム5Rの開口部にセットされる。右側上アーム4R、右側下アーム5R、右側レンズキャップ6R、及び右側センサ基板7Rによって右側アーム部が構成される。
【0016】
左側アーム部と右側アーム部はそれぞれ中ケース2に対して回動自在にねじ止めされている。また、左側上アーム4Lのギア部と右側上アーム4Rのギア部とが噛合しているため、左側アーム部と右側アーム部とは連動して回動する。
【0017】
さらに、下ケース3が中ケース2にねじ止めされ、下ケース3と中ケース2とが回路基板8及びロック解除スイッチ9を格納する。ロック解除スイッチ9はスプリングS1を介して下ケース3に支持されている。
【0018】
ボタン電池10は、中ケース2の開口部2A(図3参照)から、回路基板8のボタン電池設置箇所8Aにセットすることができる。また、上ケース1を中ケース2から取り外すことによって、ボタン電池10の取り替えが可能となる。
【0019】
ロック解除スイッチ9が下ケース3側に押されていない場合、ロック解除スイッチ9の係止部9A(図4A参照)は中ケース2の開口部2B(図3参照)から図4Aに示すように上ケース1側に突出し、左側下アーム5L及び右側下アーム5Rの各段部5A(図1参照)に当接するので、左側アーム部及び右側アーム部が開くことを防止する。したがって、ロック解除スイッチ9が下ケース3側に押されていない場合、図5Aに示すような状態(錠部の開錠を阻害しない第1の状態)になる。
【0020】
これに対して、ロック解除スイッチ9が下ケース3側に押されている場合、ロック解除スイッチ9の係止部9Aは図4Bに示すように上ケース1側に突出せず、左側下アーム5L及び右側下アーム5Rの各段部5A(図1参照)に当接しないので、左側アーム部及び右側アーム部がスプリングS2(図3参照)の復元力により開く。したがって、ロック解除スイッチ9が下ケース3側に押されている場合、図5Bに示すような状態(錠部の開錠を阻害する第2の状態)になり、錠部(例えばクレセント錠)の開錠を阻害する。なお、図5Bから図5Aの状態に移行させるには、ロック解除スイッチ9が下ケース3側に押しながら、左側アーム部及び右側アーム部を閉じる必要がある。
【0021】
ここで、本発明の第1実施形態に係る防犯装置の電気的構成を図6に示す。本発明の第1実施形態に係る防犯装置では、A/D変換回路を含む焦電センサインターフェイス回路11と、制御部12と、アンプ13と、選択回路14と、信号処理回路15と、報知部16と、スイッチ19とが回路基板8に実装されており、左側焦電センサ17L及び左側超音波マイク18Lが左側センサ基板7Lに実装されており、右側焦電センサ17R及び右側超音波マイク18Rが右側センサ基板7Rに実装されている。
【0022】
左側焦電センサ17Lと焦電センサインターフェイス回路11及び左側超音波マイク18Lとアンプ13はそれぞれ、左側センサ基板7L−回路基板8間の各リード線を介して接続されている。同様に、右側焦電センサ17Rと焦電センサインターフェイス回路11及び右側超音波マイク18Rとアンプ13はそれぞれ、右側センサ基板7R−回路基板8間の各リード線を介して接続されている。
【0023】
窓ガラス等から発せられる赤外線を検知するための左側焦電センサ17L及び右側焦電センサ17Rは、左側焦電センサ17L及び右側焦電センサ17Rの出力信号をA/D変換する等の処理を行う焦電センサインターフェイス回路11を介して制御部12に接続されている。また、窓ガラス等が破壊する寸前に発生する超音波エネルギー(AE(Acoustic Emission)波)を検知するための左側超音波マイク18L及び右側超音波マイク18Rは、左側超音波マイク18L及び右側超音波マイク18Rの出力信号を増幅するアンプ13と、アンプ13の出力信号に対して帯域制限(周波数の選択)を行う選択回路14と、選択回路14の出力信号をA/D変換する等の処理を行う信号処理回路15を介して制御部12に接続されている。
【0024】
制御部12は、焦電センサインターフェイス回路11の出力信号に基づいて、検知対象物(例えば窓ガラス)の焼き破りを事前に検知する。例えば、焦電センサインターフェイス回路11の出力信号に基づいて検知対象物の温度を算出し、その温度の単位時間毎の変化が所定値より大きい場合に、検知対象物の焼き破りが行われていると判断し、報知部16を動作させる。また、制御部12は、信号処理回路15の出力信号に基づいて、検知対象物(例えば窓ガラス)の打ち破りを検知する。例えば、信号処理回路15の出力信号が所定のレベル以上である場合に、検知対象物の打ち破りが行われたと判断し、報知部16を動作させる。
【0025】
報知部16は、制御部12の指示により動作状態になると、ブザー音等の警報音を出力する。これに代えて、又は、これに加えて、家屋内に配備されているホームセキュリティシステム、外部の通信システムに接続可能な家屋内の通信装置、或いは、外部の通信システムに所定の無線信号を送信するようにしてもよい。
【0026】
さらに、ボタン電池10はスイッチ19を介して制御部12に接続されている。スイッチ19は、中ケース2の開口部2C(図3参照)を介して回路基板8側に突出している右側下アーム5Rの突起部5Bの位置に応じて、ON/OFFが切り替わる。より具体的には、左側アーム部及び右側アーム部が閉じている状態では、スイッチ19はOFF状態となり、ボタン電池10から制御部12に電力が供給されないため、焦電センサや超音波マイクによる検知が停止され、左側アーム部及び右側アーム部が開いている状態では、スイッチ19はON状態となり、ボタン電池10から制御部12に電力が供給され、焦電センサや超音波マイクによる検知が行われる。
【0027】
上記のような構成である本発明の第1実施形態に係る防犯装置によると、検知対象物(例えば窓ガラス)の焼き破りや打ち破りの検知を行っているか否かを使用者が防犯装置の形状によって容易に認識することができる。一方、左側アーム部及び右側アーム部が開いた状態は侵入者が外部からも容易に視認することができ、さらに、左側アーム部及び右側アーム部が開いた状態では錠部を簡単に開錠することができないことも侵入者が容易に認識することできるので、犯罪抑止力が大きい。
【0028】
上記のような構成である本発明の第1実施形態に係る防犯装置によると、窓ガラス等が焼き破りや打ち破りによって破壊される際に警報を発することができる。また、窓ガラス等が破壊されて警報が発せられていても侵入を断念にしない侵入者が錠部の開錠を試みても、開いた状態のアーム部が錠部の開錠を阻害する。さらに、アーム部を閉じた状態にすることにより、警報の発報と錠部の開錠の阻害とを解除することができるが、ロック解除スイッチ9を下ケース3側に押さなければアーム部を閉じることができないので、侵入者が本発明の第1実施形態に係る防犯装置のアーム部を閉じた状態にすることは困難である。
【0029】
上記のような構成である本発明の第1実施形態に係る防犯装置によると、アーム部が開いた状態において左右それぞれに防犯センサ(焦電センサ、超音波マイク)が配置されることになるので、例えば引き違い式窓の左右の窓ガラスそれぞれを防犯センサの検知対象物にすることができる。
【0030】
<本発明の第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る防犯装置について説明する。なお、本発明の第2実施形態に係る防犯装置の説明において、本発明の第1実施形態に係る防犯装置と同一あるいは類似する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を適宜省略する。
【0031】
本発明の第2実施形態に係る防犯装置の電気的構成は、本発明の第1実施形態に係る防犯装置と同様に図6に示すような構成である。ただし、本発明の第2実施形態に係る防犯装置では、左側焦電センサ17L、左側超音波マイク18L、右側焦電センサ17R、及び右側超音波マイク18Rも回路基板8に実装されている。また、スイッチ19は、下ケース3とベース台20との位置関係に応じて、ON/OFFが切り替わる。より具体的には、後述する図8Aに示す第1の状態では、スイッチ19はOFF状態となり、ボタン電池10から制御部12に電力が供給されないため、焦電センサや超音波マイクによる検知が停止され、後述する図8Bに示す第2の状態では、スイッチ19はON状態となり、ボタン電池10から制御部12に電力が供給され、焦電センサや超音波マイクによる検知が行われる。
【0032】
本発明の第2実施形態に係る防犯装置の分解斜視図を図7Aに示す。本発明の第2実施形態に係る防犯装置は、上ケース1と、中ケース2と、下ケース3と、左側レンズキャップ6Lと、右側レンズキャップ6Rと、回路基板8と、ベース台20と、ロック解除スイッチ9とを備えている。ベース台20は、例えば両面接着テープにより、窓枠の内面等に取り付けることができる。
【0033】
回路基板8が下ケース3にねじ止めされ、下ケース3が中ケース2にねじ止めされ、下ケース3と中ケース2とが回路基板8を格納する。左側レンズキャップ6Lによって集束される赤外線が下ケース3の左側開口部を介して回路基板8に搭載されている左側焦電センサ17L(図6参照)に入射されるように、左側レンズキャップ6Lが下ケース3の左側開口部にセットされる。同様に、右側レンズキャップ6Rによって集束される赤外線が下ケース3の右側開口部を介して回路基板8に搭載されている右側焦電センサ17R(図6参照)に入射されるように、右側レンズキャップ6Rが下ケース3の右側開口部にセットされる。
【0034】
また、ロック解除スイッチ9がスプリングS1を介してベース台20に支持されており(図7B参照)、ベース台20が下ケース3に対して回動自在にねじ止めされている。ただし、下ケース3のベース台20に対する回動は、ロック解除スイッチ9がスプリングS1側に押されていてロック解除スイッチ9の突起部9B(図7C参照)が下ケース3の溝部3A(図7D参照)にはまることができる状態においてのみ可能である。
【0035】
ボタン電池10は回路基板8のボタン電池設置箇所8Aにセットすることができる。また、上ケース1を中ケース2から取り外すことによって、ボタン電池10の取り替えが可能となる。
【0036】
本発明の第2実施形態に係る防犯装置は、図8Aに示す錠部の開錠を阻害しない第1の状態と、図8Bに示す錠部の開錠を阻害する第2の状態とを取ることができる。第2の状態から第1の状態への移行する際には、ロック解除スイッチ9によってロックが解除される必要がある。
【0037】
上記のような構成である本発明の第2実施形態に係る防犯装置によると、検知対象物(例えば窓ガラス)の焼き破りや打ち破りの検知を行っているか否かを使用者が防犯装置の形状によって容易に認識することができる。一方、図8Bに示す錠部の開錠を阻害する第2の状態は侵入者が外部からも容易に視認することができ、さらに、図8Bに示す錠部の開錠を阻害する第2の状態では錠部を簡単に開錠することができないことも侵入者が容易に認識することできるので、犯罪抑止力が大きい。
【0038】
上記のような構成である本発明の第2実施形態に係る防犯装置によると、窓ガラス等が焼き破りや打ち破りによって破壊される際に警報を発することができる。また、窓ガラス等が破壊されて警報が発せられていても侵入を断念にしない侵入者が錠部の開錠を試みても、図8Bに示す第2の状態が錠部の開錠を阻害する。さらに、図8Aに示す第1の状態にすることにより、警報の発報と錠部の開錠の阻害とを解除することができるが、ロック解除スイッチ9によってロックが解除されなければ図8Bに示す第2の状態から図8Aに示す第1の状態に移行することができないので、侵入者が本発明の第2実施形態に係る防犯装置を図8Aに示す第1の状態にすることは困難である。
【0039】
上記のような構成である本発明の第2実施形態に係る防犯装置によると、図8Bに示す第2の状態において左右それぞれに防犯センサ(焦電センサ、超音波マイク)が配置されることになるので、例えば引き違い式窓の左右の窓ガラスそれぞれを防犯センサの検知対象物にすることができる。
【0040】
上記のような構成である本発明の第2実施形態に係る防犯装置によると、電子部品を実装する基板が単一であるため、その単一の基板を筐体(上ケース1、中ケース2、及び下ケース3によって構成される筐体)で覆うことができるので、シールド効果が高い。したがって、侵入者が電磁波等により本発明の第2実施形態に係る防犯装置の電子部品の破壊を試みても、その破壊に対する耐性が高いので、安全である。
【0041】
<本発明の第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る防犯装置について説明する。なお、本発明の第3実施形態に係る防犯装置の説明において、本発明の第1実施形態に係る防犯装置や本発明の第2実施形態に係る防犯装置と同一あるいは類似する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を適宜省略する。
【0042】
本発明の第3実施形態に係る防犯装置の電気的構成は、本発明の第1実施形態に係る防犯装置と同様に図6に示すような構成である。ただし、本発明の第3実施形態に係る防犯装置では、右側焦電センサ17R及び右側超音波マイク18Rも回路基板8に実装されている。また、スイッチ19は、アーム部とベース台20との位置関係に応じて、ON/OFFが切り替わる。より具体的には、後述する図10Aに示す第1の状態では、スイッチ19はOFF状態となり、ボタン電池10から制御部12に電力が供給されないため、焦電センサや超音波マイクによる検知が停止され、後述する図10Bに示す第2の状態では、スイッチ19はON状態となり、ボタン電池10から制御部12に電力が供給され、焦電センサや超音波マイクによる検知が行われる。
【0043】
本発明の第3実施形態に係る防犯装置の分解斜視図を図9に示す。本発明の第3実施形態に係る防犯装置は、上ケース1と、左側上アーム4Lと、左側下アーム5Lと、左側レンズキャップ6Lと、左側センサ基板7Lと、右側上アーム4Rと、右側下アーム5Rと、右側レンズキャップ6Rと、回路基板8と、ベース台20と、かさ歯車21〜23とを備えている。ベース台20は、例えば両面接着テープにより、窓枠の内面等に取り付けることができる。
【0044】
左側下アーム5L及び左側センサ基板7Lが左側上アーム4Lにねじ止めされ、左側上アーム4Lと左側下アーム5Lとが左側センサ基板7Lを格納する。また、左側レンズキャップ6Lによって集束される赤外線が左側下アーム5Lの開口部を介して左側センサ基板7Lに搭載されている左側焦電センサ17L(図6参照)に入射されるように、左側レンズキャップ6Lが左側下アーム5Lの開口部にセットされる。左側上アーム4L、左側下アーム5L、左側レンズキャップ6L、及び左側センサ基板7Lによって左側アーム部が構成される。
【0045】
また、右側下アーム5R及び回路基板8が右側上アーム4Rにねじ止めされ、右側上アーム4Lと右側下アーム5Lとが回路基板8を格納する。また、右側レンズキャップ6Rによって集束される赤外線が右側下アーム5Rの開口部を介して回路基板8に搭載されている右側焦電センサ17R(図6参照)に入射されるように、右側レンズキャップ6Rが右側下アーム5Rの開口部にセットされる。右側上アーム4R、右側下アーム5R、右側レンズキャップ6R、及び回路基板8によって右側アーム部が構成される。
【0046】
ベース台20は右側下アーム5Rに対して回動自在にねじ止めされている。また、右側下アーム5Rに設けられるかさ歯車21と、左側下アーム5Lに設けられるかさ歯車23とがかさ歯車22を介して噛合しているため、左側アーム部と右側アーム部とは連動して回動する。ただし、左側アーム部と右側アーム部とのベース台20に対する回動は、ロックが解除されている状態においてのみ可能である。なお、本実施形態ではロック解除スイッチ等のロック解除機構の図示及び説明を省略しているが、例えば第2実施形態と同様のロック解除機構を用いることができる。
【0047】
ボタン電池10は、右側上アーム4Rの開口部2Aから、回路基板8のボタン電池設置箇所にセットすることができる。また、上ケース1を右側上アーム4Rから取り外すことによって、ボタン電池10の取り替えが可能となる。
【0048】
本発明の第3実施形態に係る防犯装置は、図10Aに示す錠部の開錠を阻害しない第1の状態と、図10Bに示す錠部の開錠を阻害する第2の状態とを取ることができる。第2の状態から第1の状態への移行する際には、ロック解除機構によってロックが解除される必要がある。
【0049】
上記のような構成である本発明の第3実施形態に係る防犯装置によると、検知対象物(例えば窓ガラス)の焼き破りや打ち破りの検知を行っているか否かを使用者が防犯装置の形状によって容易に認識することができる。一方、図10Bに示す錠部の開錠を阻害する第2の状態は侵入者が外部からも容易に視認することができ、さらに、図10Bに示す錠部の開錠を阻害する第2の状態では錠部を簡単に開錠することができないことも侵入者が容易に認識することできるので、犯罪抑止力が大きい。
【0050】
上記のような構成である本発明の第3実施形態に係る防犯装置によると、窓ガラス等が焼き破りや打ち破りによって破壊される際に警報を発することができる。また、窓ガラス等が破壊されて警報が発せられていても侵入を断念にしない侵入者が錠部の開錠を試みても、図10Bに示す第2の状態が錠部の開錠を阻害する。さらに、図10Aに示す第1の状態にすることにより、警報の発報と錠部の開錠の阻害とを解除することができるが、ロック解除機構によってロックが解除されなければ図10Bに示す第2の状態から図10Aに示す第1の状態に移行することができないので、侵入者が本発明の第3実施形態に係る防犯装置を図10Aに示す第1の状態にすることは困難である。
【0051】
上記のような構成である本発明の第3実施形態に係る防犯装置によると、図10Bに示す第2の状態において左右それぞれに防犯センサ(焦電センサ、超音波マイク)が配置されることになるので、例えば引き違い式窓の左右の窓ガラスそれぞれを防犯センサの検知対象物にすることができる。
【0052】
<その他>
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。
【0053】
例えば、上述した実施形態では、検知対象物の焼き破りと検知対象物の打ち破りの双方を検知して警報を発したが、いずれか一方のみを検知する形態でも良く、また、双方とも検知しない形態であっても良い。
【0054】
また、例えば、図6に示す電気的構成の代わりに、図11に示すような電気的構成を採用してもよい。図11に示す電気的構成では、ボタン電池10が制御部12に直接接続されている点、及び、スイッチ19がOFF状態であれば制御部12は動作停止状態となり、スイッチ19がON状態であれば制御部12は動作状態となる点が、図6に示す電気的構成と異なっている。
【符号の説明】
【0055】
1 上ケース
2 中ケース
2A、2B、2C 開口部
3 下ケース
3A 溝部
4L 左側上アーム
4R 右側上アーム
5A 段部
5B 突起部
5L 左側下アーム
5R 右側下アーム
6L 左側レンズキャップ
6R 右側レンズキャップ
7L 左側センサ基板
7R 右側センサ基板
8 回路基板
8A ボタン電池設置箇所
9 ロック解除スイッチ
9A 係止部
9B 突起部
10 ボタン電池
11 焦電センサインターフェイス回路
12 制御部
13 アンプ
14 選択回路
15 信号処理回路
16 報知部
17L 左側焦電センサ
17R 右側焦電センサ
18L 左側超音波マイク
18R 右側超音波マイク
19 スイッチ
20 ベース台
21〜23 かさ歯車
S1、S2 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠部近傍に設置される防犯装置であって、
可動部と、ロック解除部とを備え、
前記可動部の可動により、前記錠部の開錠を阻害しない第1の状態と、前記錠部の開錠を阻害する第2の状態とを取ることができ、
前記ロック解除部によってロックが解除されていなければ、前記第2の状態から前記第1の状態に移行することができないことを特徴とする防犯装置。
【請求項2】
検知対象物の異常を検知するための防犯センサを備え、
前記第1の状態のときに前記防犯センサを用いた異常検知が行われず、前記第2の状態のときに前記防犯センサを用いた異常検知が行われることを特徴とする請求項1に記載の防犯装置。
【請求項3】
前記可動部に前記防犯センサが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の防犯装置。
【請求項4】
前記防犯センサを含む電子部品を実装する基板を一つのみ備え、
前記基板が筐体で覆われていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の防犯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−127286(P2011−127286A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284124(P2009−284124)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(503123705)エフビーオートメ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】