説明

防蟻構造および防蟻工法

【課題】防蟻品質を管理することができるとともに、施工環境が良好で簡単な作業で施工でき、さらに防蟻剤の使用量を低下できる防蟻構造および防蟻工法を提供する。
【解決手段】樹脂性基材と整泡剤と防蟻薬剤とを撹拌して形成された防蟻性発泡体9を、布基礎2と土間コンクリートスラブ3との継目部分12または土間コンクリートスラブ3の配管貫通部分14などの、建物基礎4の白蟻の侵入の恐れのある白蟻侵入部分11に、噴射ノズルを用いて集中的に吹き付けて付着・固化させてシーリング処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物下部の地盤から白蟻が基礎の上部に侵入してくるのを防止するための防蟻構造および防蟻工法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物下部の地盤から白蟻が基礎の上部に侵入してくるのを防止するための基礎回りの防蟻工法(白蟻浸入防止措置)としては、地盤の土壌に、防蟻性能を有する薬液を散布するのが一般的であった(従来技術1)。
【0003】
近年では、その他の防蟻工法として、布基礎で囲まれる部分に、所定厚さの土間コンクリートスラブを形成して、基礎上部と、布基礎で囲まれる部分の下部の土壌とを遮断することも行われている(従来技術2)。
【特許文献1】特開2001−336231号公報
【特許文献2】特開2002−4450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術1の防蟻工法では、施工時における薬液の散布量や濃度に関する品質は、作業者がどの部分に多く散布するかに依存してしまい、不安定であるといった問題があった。また、土壌上に散布の履歴が残らないため、施工後の確認・検査が実質不可能であり、品質管理上の問題があった。さらに、土壌全面に、薬液を散布するので、散布量が多く、環境的に好ましくない。
【0005】
そして、所定年数経過して防蟻性能が低下したときの再施工時では、作業員は床下に潜り込んで薬液の散布作業を行わなければならないが、床下は閉鎖された空間であるので、薬液が充満した状態で作業を行わなければならず、作業環境は好ましくない。また、再施工の薬液散布時には、住居内で居住者が生活をしているので、住居空間への影響も懸念されるといった問題も発生する。
【0006】
一方、従来技術2の防蟻工法では、コンクリートが硬化する際の収縮や、土間コンクリートの僅かな沈下などによって、布基礎と土間コンクリートスラブとの継目部分には、隙間が発生してしまうことがあり、この隙間を白蟻が通過して、基礎の上部に侵入してしまうことがあった。そのため、土間コンクリートスラブの表面に防蟻性能を有する薬液を散布することが行われるが、この場合も、従来技術1と同様の問題が発生する。
【0007】
なお、特許文献1の技術では、布基礎と土間コンクリートスラブとの継目部分に帯状のガラス繊維布帛を設けることで、白蟻の通過を防止している。一方、特許文献2の技術では、基礎と土間コンクリートスラブとの継目部分に溝を形成して、その溝に防蟻剤を充填することで、白蟻の通過を防止している。しかしながら、これら特許文献1および特許文献2では、ともに継目部分の構造が複雑になることで、施工手間が増加してしまうといった問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、前記の問題を解決するためになされたものであり、防蟻品質を管理することができるとともに、施工環境が良好で簡単な作業で施工でき、さらに防蟻剤の使用量を低減できる防蟻構造および防蟻工法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための請求項1に係る発明は、樹脂性基材と整泡剤と防蟻薬剤とを撹拌して形成された防蟻性発泡体を、建物基礎の白蟻の侵入の恐れのある白蟻侵入部分に噴射ノズルを用いて吹き付けて付着・固化させることを特徴とする防蟻構造である。
【0010】
前記構造によれば、白蟻侵入部分に防蟻性発泡体を吹き付けているので、施工の履歴が残るため、吹付け位置や吹付け量などを目視によって確認でき、防蟻品質を管理することができる。また、防蟻性発泡体は、施工空間に浮遊することはなく、施工環境が良好である。さらに、防蟻性発泡体を白蟻侵入部分に吹き付けるといった簡単な作業で防蟻構造を施工でき、さらに防蟻剤の使用量を低減することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記白蟻侵入部分が、布基礎と土間コンクリートスラブとの継目部分や土間コンクリートスラブの配管貫通部分であって、前記防蟻性発泡体は、前記白蟻侵入部分に集中的に吹き付けられてシーリング処理されることを特徴とする請求項1に記載の防蟻構造である。
【0012】
前記構成によれば、防蟻性発泡体を、布基礎と土間コンクリートスラブとの継目部分や土間コンクリートスラブの配管貫通部分に集中的に吹き付けることによって、少ない防蟻性発泡体の吹付け量で、効果的に防蟻性能を高めることができる。
【0013】
請求項3に係る発明は、前記防蟻性発泡体は、液状防蟻剤を吸水することによって、防蟻性能を維持することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防蟻構造である。
【0014】
前記構成によれば、所定年数経過して防蟻性能が低下した際の際施工時の防蟻性発泡体の吹付け作業を省略して防蟻性能を維持できるので、メンテナンスの施工手間が大幅に省略され、施工費用および時間の大幅な低減が達成できる。
【0015】
請求項4に係る発明は、樹脂性基材と整泡剤と防蟻薬剤とを撹拌して防蟻性発泡体を形成する防蟻性発泡体形成工程と、建物基礎の白蟻の侵入の恐れのある白蟻侵入部分に前記防蟻性発泡体を、噴射ノズルを用いて吹き付ける防蟻性発泡体吹付工程と、吹き付けられた前記防蟻性発泡体を所定時間放置して前記白蟻侵入部分に付着・固化させる防蟻性発泡体固化工程と、を有することを特徴とする防蟻工法である。
【0016】
前記工法によれば、防蟻性発泡体を形成した後に、噴射ノズルを用いて白蟻侵入部分に吹き付けているので、施工の履歴が残る。そのため、吹付け位置や吹付け量などを目視によって確認でき、防蟻品質を管理することができる。また、防蟻性発泡体は、施工空間に浮遊することはなく、施工環境が良好である。さらに、防蟻性発泡体を白蟻侵入部分に吹き付けるといった簡単な作業で防蟻構造を施工でき、さらに防蟻剤の使用量を低減することができる。また、防蟻性発泡体を所定時間放置するので、防蟻性発泡体が白蟻侵入部分に流下してその部分の厚さを厚くでき、防蟻性能を高めることができる。
【0017】
請求項5に係る発明は、所定年数経過して防蟻性能が低下した前記防蟻性発泡体に、液状防蟻剤を補給することで吸水させて、防蟻性能を再活性化することを特徴とする請求項4に記載の防蟻工法である。
【0018】
前記工法によれば、所定年数経過して防蟻性能が低下した際の際施工時の防蟻性発泡体の吹付け作業を省略して防蟻性能を維持できるので、メンテナンスの施工手間が大幅に省略され、施工費用および施工時間の大幅な低減が達成できる。また、既に発泡体により主要な処理部位が示されているので、施工を行いやすい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、防蟻品質を管理することができるとともに、施工環境が良好で簡単な作業で施工でき、さらに防蟻剤の使用量を低減できるといった優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係る防蟻構造を実施するための最良の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明に係る防蟻構造を実施するための最良の実施の形態の取付状態を示した断面図である。図2は、本発明に係る防蟻構造を実施するための最良の実施の形態を示した斜視図である。図3は、本発明に係る防蟻工法の防蟻性発泡体形成工程を説明するための概略斜視図である。図4は、本発明に係る防蟻工法を説明するための図面であって、(a)は防蟻性発泡体吹付工程を説明するための概略断面図、(b)は防蟻性発泡体固化工程を説明するための概略断面図である。
【0022】
なお、本実施の形態では、図1に示すように、本発明に係る防蟻構造1を、布基礎2で囲まれる部分(布基礎2の屋内側)に、所定厚さの土間コンクリートスラブ3を形成して、基礎4の上部と布基礎2で囲まれる部分の下部の土壌5とを遮断するようにした基礎4に適用した構成を例に挙げて説明する。
【0023】
まず、本実施の形態に係る防蟻構造の構成を説明する。
【0024】
図1および図2に示すように、かかる防蟻構造1は、樹脂性基材6と整泡剤7と防蟻薬剤8(符号6〜8は図3(a)参照)とを撹拌して形成された防蟻性発泡体9を、建物基礎4の白蟻の侵入の恐れのある白蟻侵入部分11に噴射ノズル21(図4(a)参照)を用いて吹き付けて付着・固化させるようにしたことを特徴とする。防蟻性発泡体9は、連続発泡体にて構成されており吸水性を備えている。
【0025】
白蟻侵入部分11は、布基礎2と土間コンクリートスラブ3との継目部分12や、土間コンクリートスラブ3を配管13が貫通する配管貫通部分14などである。なお、白蟻侵入部分11は、前記した部分12,14に限られるものではなく、例えば、土壌5と接する部分でコンクリートに隙間が発生する可能性がある他の部分、例えば、土間コンクリートスラブ3の打ち継ぎ部分なども含む。
【0026】
防蟻性発泡体9は、白蟻侵入部分11に集中的に吹き付けられてシーリング処理されている。具体的には、防蟻性発泡体9は、継目部分12と配管貫通部分14の入隅部に沿って、帯状に吹き付けられており、入隅部を覆ってシールするように構成されている。
【0027】
樹脂性基材6は、例えば、水性の樹脂エマルジョンにて構成されている。樹脂エマルジョンは、ウレタン系、アクリル系、アクリルブタジエンスチレン共重合物、エチレンビニルアセテート共重合物などが使用されている。樹脂エマルジョンは、所望の粘性を有し、布基礎2の立上り部分2aや配管13の垂直面16に、適度な厚みで付着する性能を有している。具体的には、樹脂エマルジョンは、所定の吸水性を保つため、または経時後の皮膜の変形を抑えるために、ある一定範囲のガラス転移温度に調整することが望ましい。そして、樹脂エマルジョンは、二種または三種以上を適宜混合して用いることができる。
【0028】
削除
【0029】
本発明で使用する整泡剤7は、起泡剤と言い換えることもでき、発泡体を形成するフォーム液の界面張力に強く影響を与える添加剤をいう。整泡剤7は、適宜選択することが可能であり、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ヤシ油石けん、ミリスチン酸ナトリウム、ステアリン酸アンモニウム、パルミチン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、高級アルコール硫酸エステルナトリウム、高級脂肪酸アミドアルキルスルホン酸ナトリウム、サポニン、ゼラチン、カゼインおよび低粘度シリコーンオイルを用いることができる。整泡剤7は、前記の材料のうち二種または三種以上を適宜混合して用いることができる。
【0030】
防蟻薬剤8は、例えば、白蟻に有効なピレスロイド系殺虫剤にて構成されている。樹脂性基材6の0.05〜10重量%の防蟻薬剤8が、樹脂性基材6に混入されている。防蟻薬剤8の濃度は、公的機関によって認定された認定濃度の範囲内(上限値以下)で、所望の防蟻性能を発揮するように設定される。
【0031】
次に、本実施の形態にかかる防蟻構造を形成するための防蟻工法を説明するとともに、防蟻構造および防蟻工法の作用を説明する。
【0032】
[防蟻性発泡体形成工程]
まず、図3(a)に示すように、耐圧容器17内に、水性の樹脂エマルジョンからなる樹脂性基材6と、特定のアニオン界面活性剤からなる整泡剤7と、ピレスロイド系殺虫剤からなる防蟻薬剤8とを、所定の比率で注入する。なお、前記した各材料を構成する物質は一例であって、前記構成に限られるものではない。
【0033】
次に、図3(b)に示すように、撹拌翼18aが取り付けられた回転軸18bを複数(例えば2軸)有する撹拌装置18を、耐圧容器17内に挿入して、各材料を抱き込むように撹拌して、防蟻性発泡体9を形成する。
【0034】
[防蟻性発泡体吹付工程]
その後、図4(a)に示すように、噴射ノズル21を耐圧容器17に接続して、防蟻性発泡体9を白蟻侵入部分11(図4では布基礎2と土間コンクリートスラブ3との継目部分12)へ吹き付ける。噴射ノズル21は、コンプレッサ22が接続されており、防蟻性発泡体9は、圧縮空気とともに白蟻侵入部分11に吹き付けられる。噴射ノズル21は、防蟻性発泡体9の泡が潰れない程度のノズル径を有している。このとき、防蟻性発泡体9を、白蟻侵入部分11に沿って帯状に吹き付け、シーリング処理する。防蟻性発泡体9は、従来の薬液散布と比較して短時間で吹付けを行うことができるので、作業性の悪い床下空間であっても、比較的楽に作業を行うことができる。防蟻性発泡体9は、白蟻侵入部分11の若干上方(吹付け範囲の下端部が継目部分12に位置する程度)に向けて吹き付けるようにする。防蟻性発泡体9は、低粘度(蜂蜜程度の粘度)の液状化形態であるので、施工空間に飛散して浮遊することはなく、良好な施工環境を保持できるとともに、上部の住居空間へ影響を与えることはない。特に、基礎4の上部の床を構築した後に、防蟻施工を行う場合には、防蟻剤が施工空間から逃げないので、本発明のように防蟻剤が飛散・浮遊しないことによる作用効果は大きい。
【0035】
また、噴射ノズル21を用いて防蟻性発泡体9を吹き付けているので、防蟻性発泡体9を白蟻侵入部分11に的確かつ容易に集中的な吹き付を行うことができる。したがって、白蟻侵入部分11を効率的に閉塞することができ、防蟻性発泡体9の吹付け量を低減できる。これによって、施工コストを低減できるとともに、施工手間も低減することができる。さらに、防蟻剤の使用量が少ないことで、環境に与える影響を大幅に低減できる。
【0036】
さらに、防蟻性発泡体9は、液体ではなく低粘度の固体であるため、施工履歴が残り、吹き付けた後に目視確認することができる。したがって、防蟻性発泡体9の吹付け残しを確実になくすことができる。また、施工位置および吹付け量(吹付け厚さ)を確認できるので、防蟻品質を管理することができる。このように、防蟻性発泡体9の吹付け量や、処理結果の確認ができることによって、防蟻品質の確保と合わせて、防蟻性発泡体9の適量管理が可能となり、薬液散布に代表される従来の方法と比較して、防蟻剤の総使用量を低減することができる。
【0037】
また、防蟻性発泡体9は、適度な粘度を有しているので、布基礎2や配管13の側面の立上り部にも付着可能であり、白蟻侵入部分11の周囲を所定の幅で覆うことができる。また、防蟻性発泡体9は、地震時の建物の変形に追従することができ、防蟻性発泡体9には、隙間が発生しないので、白蟻の通路が形成されることはない。
【0038】
図示しないが、配管貫通部分14(図1および図2参照)に防蟻性発泡体9を吹き付ける際には、先端がL字状に屈曲したノズルを噴射ノズル21に取り付ければ、噴射ノズル21を配管13の周囲で取り回すだけでよいので、狭い床下空間で、身体ごと動く必要がなく作業員の負担を低減できる。
【0039】
[防蟻性発泡体固化工程]
防蟻性発泡体9の吹付けが終了したならば、防蟻性発泡体9を所定時間放置して、白蟻侵入部分11に付着させ、固化させる。このとき、防蟻性発泡体9は、低粘度であるので、図4(b)に示すように、自重によって下方に流下する。防蟻性発泡体9は、白蟻侵入部分11の上方に吹き付けられているので、下方に流下することで、土間コンクリートスラブ3の表面に沿って広がる。これによって、白蟻侵入部分11(継目部分12)の近傍の防蟻性発泡体9の厚さが厚くなるとともに、白蟻侵入部分11の上方と側方で、防蟻性発泡体9が所定の幅で白蟻侵入部分11を覆って白蟻侵入部分11に付着することとなるので、防蟻性能が高まる。以上の組成および工程で防蟻性発泡体9を形成したことによって、ここで固化した防蟻性発泡体9は、連続発泡体となり、内部の多数の泡が互いに繋がって連通するようになっている。
【0040】
以上の工程を有する防蟻工法によって形成された防蟻構造1では、継目部分12や配管貫通部分14の隙間から白蟻が侵入してきたとしても、防蟻性発泡体9にて通路が塞がれているので、白蟻を堰き止めて通過を防止することができる(貫通防止機能)。ここで、白蟻は、防蟻性発泡体9をかじろうとする場合があるが、防蟻剤によって、白蟻は死ぬ。また、白蟻がかじろうとする継目部分12や配管貫通部分14部分の防蟻性発泡体9は、厚さが厚くなっているので、防蟻性発泡体9に孔があくことはない。また、白蟻が白蟻侵入部分11で死ぬと、白蟻の通路を白蟻の死骸が塞ぐこととなるので、しばらくの間は、他の白蟻がその通路を通って侵入することはなくなる。
【0041】
[所定年数経過後]
防蟻処理施工後、所定年数(例えば、5年間あるいは10年間)を経過すると、防蟻剤は有機成分であるので劣化して、防蟻性能が低下してしまう。この場合、防蟻性発泡体9に、乳剤状の液状防蟻剤を塗布またはスプレーして補給する。このとき、防蟻性発泡体9は、連続発泡体であるので、液状防蟻剤を効率的に吸収(吸水)することができる。これによって、防蟻性発泡体9は、内部に液体防蟻剤を吸収して保持することができ、防蟻性能を再活性化することができる。なお、液状防蟻剤の補給は、飛散性を考慮すると塗布で行うほうが好ましい。
【0042】
以上のように、本発明に係る防蟻工法によれば、液状防蟻剤を防蟻性発泡体9に塗布するだけで、防蟻性能を復活させて維持することができる。したがって、再度、防蟻性発泡体9を吹き付けなくてもよく、噴射ノズル21などの機器を準備する必要はない。そのため、メンテナンス時の施工手間は非常に少なくなり、施工が容易であるとともに、非常に経済的である。特に、メンテナンス時では、必ず床下での作業となるので、作業手間が低減される効果は大きい。さらに、既に防蟻性発泡体9により主要な処理部位が示されているので、施工の目印となり、施工を行いやすい。また、防蟻性発泡体9は、液状防蟻剤を吸収するだけで、その厚さは厚くならないので、継目部分12や配管貫通部分14などの白蟻侵入部分11の近傍で、防蟻性能を維持できる。さらに、液状防蟻剤は、防蟻性発泡体9内の連続的な泡を通って、白蟻侵入部分11の近傍まで流れ込む。したがって、土壌5から隙間を通って上がってきた白蟻が防蟻性発泡体9をかじり進むことはない。ここで、忌避効果のある液状防蟻剤を使用すれば、液状防蟻剤が、防蟻性発泡体9内で白蟻侵入部分11の近傍まで行き渡るので、白蟻が防蟻性発泡体9に近づくのを防止できる。
【0043】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。例えば、本実施の形態では、継目部分12の全長に渡って防蟻性発泡体9を吹き付けているが、白蟻の侵入孔が特定できる場合は、その侵入孔に部分的に防蟻性発泡体9を吹き付けるようにしてもよい。これによれば、防蟻性発泡体9の使用量をさらに低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る防蟻構造を実施するための最良の実施の形態を示した断面図である。
【図2】本発明に係る防蟻構造を実施するための最良の実施の形態を示した斜視図である。
【図3】(a)および(b)は、ともに本発明に係る防蟻工法の防蟻性発泡体形成工程を説明するための概略斜視図である。
【図4】本発明に係る防蟻工法を説明するための図面であって、(a)は防蟻性発泡体吹付工程を説明するための概略断面図、(b)は防蟻性発泡体固化工程を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 防蟻構造
2 布基礎
3 土間コンクリートスラブ
6 樹脂性基材
7 整泡剤
8 防蟻薬剤
9 防蟻性発泡体
11 白蟻侵入部分
12 継目部分
14 配管貫通部分
21 噴射ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂性基材と整泡剤と防蟻薬剤とを撹拌して形成された防蟻性発泡体を、建物基礎の白蟻の侵入の恐れのある白蟻侵入部分に噴射ノズルを用いて吹き付けて付着・固化させる
ことを特徴とする防蟻構造。
【請求項2】
前記白蟻侵入部分は、布基礎と土間コンクリートスラブとの継目部分または土間コンクリートスラブの配管貫通部分であって、
前記防蟻性発泡体は、前記白蟻侵入部分に集中的に吹き付けられてシーリング処理される
ことを特徴とする請求項1に記載の防蟻構造。
【請求項3】
前記防蟻性発泡体は、液状防蟻剤を吸水することによって、防蟻性能を維持する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防蟻構造。
【請求項4】
樹脂性基材と整泡剤と防蟻薬剤とを撹拌して防蟻性発泡体を形成する防蟻性発泡体形成工程と、
建物基礎の白蟻の侵入の恐れのある白蟻侵入部分に前記防蟻性発泡体を噴射ノズルを用いて吹き付ける防蟻性発泡体吹付工程と、
吹き付けられた前記防蟻性発泡体を所定時間放置して前記白蟻侵入部分に付着・固化させる防蟻性発泡体固化工程と、を有する
ことを特徴とする防蟻工法。
【請求項5】
所定年数経過して防蟻性能が低下した前記防蟻性発泡体に、液状防蟻剤を補給することで吸水させて、防蟻性能を再活性化する
ことを特徴とする請求項4に記載の防蟻工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−211538(P2007−211538A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34692(P2006−34692)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000174884)三井ホーム株式会社 (87)
【出願人】(000180081)株式会社ザイエンス (11)
【出願人】(390039295)株式会社コシイプレザービング (16)
【出願人】(000105648)コニシ株式会社 (217)
【Fターム(参考)】