説明

限流遮断器

【課題】 機械スイッチから成る主接点と補助接点とを同一のハウジング内に組み付けて、1つの操作ハンドルにより主接点及び補助接点を閉操作できる限流遮断器を提供する。
【解決手段】 3相電路を遮断するための主接点11と、主接点11の夫々に対して直列に配置した1組の補助接点12の組とを有し、補助接点12は夫々並列にダイオード及びスナバ回路が接続されると共に、個々の電路の補助接点12を開動作させるために個々の電路に補助接点用電磁コイル14を備え、電路Lに短絡電流等の異常電流が流れたら補助接点用電磁コイル14に設けたプランジャ28の動作で補助接点12が開動作して限流動作させると共に、主接点11が開動作して遮断動作する。補助接点12は、掛合片29により開状態が保持されると共に、主接点11を開閉する主軸10の閉方向の回動を受けて掛合片29のラッチを解除する係合段部31を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短絡電流等の異常電流が電路に流れた場合に、電路電流を抑制する限流機能を備えた遮断器に関し、特に限流の為の接点と電路遮断のための接点の2種類の接点を備えた限流遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
限流のための接点(補助接点)と電路遮断のための接点(主接点)を備えた限流遮断器として特許文献1に開示された構成のものがある。この特許文献1では、1つ或いは2つのNFB(No−Fuse−Breaker)型高速機械スイッチを補助接点として電路上に直列に配置し、その少なくとも一方にダイオード、スナバ回路、限流インピーダンス等を並列に接続して、電力系統の事故等で電路に異常電流が発生したらこの補助接点を開動作させて限流させたのち主接点である高耐圧遮断スイッチを開動作させて遮断する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−270171号公報(図11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では高速機械スイッチを公知の回路遮断器(NFB)により構成しているため、三相電路に限流遮断器を設ける場合は、3つの高耐圧遮断スイッチに加えて、限流用に3つの回路遮断器が必要であった。このように、3相電路に適用する場合は、少なくとも6個の機械スイッチが必要となるため、限流遮断器全体が大型なものとなったし、遮断動作や投入動作も主接点と補助接点を夫々投入する必要があり、操作が面倒なものとなっていた。このようなことから、簡単な操作で投入操作でき、且つ小型な限流遮断器が望まれていた。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、機械スイッチから成る主接点と補助接点とを備えて、1つの操作ハンドルにより3相電路に設けた主接点及び補助接点の双方を閉操作できる限流遮断器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、3相から成る電路に短絡電流等の異常電流が流れたら電路を遮断するための3連の主接点と、前記主接点の夫々に対して直列に配置した補助接点の組を少なくとも1組有し、少なくとも1組の前記補助接点は、夫々並列にダイオード及びスナバ回路が接続されると共に、前記異常電流の発生を受けて個々の電路の補助接点を独立して開動作させる開放制御手段を備え、前記電路に異常電流が流れたら前記開放制御手段が補助接点を開動作させて限流動作させ、その後主接点が開動作して遮断動作する限流遮断器であって、前記3連の主接点を連動させるために3相の電路に跨って配置されて回動する主軸を有する一方、前記補助接点は常時閉方向へ付勢状態にあると共に、開状態を保持するラッチ手段と、前記主軸の閉方向への回動を受けて前記ラッチ手段のラッチを解除するラッチ解除手段とを備え、前記開状態にある補助接点は、前記主接点を開閉操作する操作ハンドルの閉操作による前記主軸の回転を受けて、前記ラッチ手段のラッチが解除されて補助接点が閉動作することを特徴とする。
この構成によれば、開動作した補助接点はラッチ手段により開状態が保持されるので、一旦開動作した補助接点は別途閉操作するまで閉動作することが無く、限流動作を安定して実施する。そして、開状態にある補助接点は、主接点を開閉操作する操作ハンドルの閉操作を受けて閉動作するので、補助接点を別途閉操作する必要がない。また、主接点を閉操作する主軸の回転を受けてラッチ手段のラッチが解除されて補助接点も閉動作するため、簡易な機構で補助接点を閉動作させることができる。更に、主軸の周囲に主接点及び補助接点を配置するよう構成でき、1つのハウジングに全ての接点を収容し易く限流遮断器の小型化が可能となる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、前記開放制御手段は、前記補助接点を開動作させるためのプランジャを有する電磁コイルを補助接点毎に備える一方、電路に発生する異常電流を検知し、異常電流を検知したら前記電磁コイルにプランジャ駆動電流を供給する異常電流検知手段を備え、電路に異常電流が流れたら前記電磁コイルが前記プランジャを引き込み操作し、補助接点が開動作することを特徴とする。
この構成によれば、補助接点は電路に異常電流が流れたら開動作する。そして、電磁コイルに設けたプランジャの引き込み動作で開動作するため、高速に開動作させることができ、速やかに限流動作できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、開状態にある補助接点は、主接点を開閉操作する操作ハンドルの閉操作を受けて閉動作するので、補助接点を別途閉操作する必要がない。また、主接点を閉操作する主軸の回転を受けてラッチ手段のラッチが解除されて補助接点も閉動作するため、簡易な機構で補助接点を閉動作させることができる。更に、主軸の周囲に主接点及び補助接点を配置するよう構成でき、1つのハウジングに全ての接点を収容し易く限流遮断器の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る限流遮断器の一例を示す外観図である。
【図2】図1において操作ハンドルオフ状態の接点状態を説明する説明図であり、(a)は正面図、(b)は接点の状態を示す横断面説明図である。
【図3】図1において操作ハンドルオン状態の接点状態を説明する説明図であり、(a)は正面図、(b)は接点の状態を示す横断面説明図である。
【図4】主接点部と補助接点部の構成を示す説明図であり、(a)は電路を遮断した通常のオフ状態、(b)は電路を接続した通常のオン状態を示している。
【図5】図1の回路図である。
【図6】遮断動作する流れを示す接点部の説明図であり、(a)は遮断動作開始時の状態、(b)は遮断動作の1段階が終了した状態、(c)は遮断動作の2段階が終了して遮断動作が完了した状態を示している。
【図7】遮断動作した限流遮断器を再投入した場合の動作の流れを示す接点部の説明図であり、(a)は補助接点のラッチを解除した直後の状態、(b)はラッチが解除されてた再投入動作の第1段階が終了した状態、(c)は再投入の第2段階が完了して再投入が完了した状態を示している。
【図8】操作ハンドルと主軸の連結構造を示し、オフ操作状態の正面視説明図である。
【図9】操作ハンドルと主軸の連結状態を示し、オン操作状態の正面視説明図である。
【図10】本発明の他の例を示し、補助接点が2連で設けられた場合の接点部の斜視説明図である。
【図11】図10に示す構成の限流遮断器の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る3相電路に使用する限流遮断器の一例を示す外観図であり、後述する1組の主接点11と1組の補助接点12を備えた構成を示している。図1において、1は電源側端子、2は負荷側端子、3は開閉操作する操作ハンドルであり、主接点と補助接点は全てハウジング5内に組み込まれている。尚、7(7b)はスナバ回路等を接続するための接続端子である。
【0011】
図2、図3は操作ハンドル3と主接点及び補助接点の関係を示し、図2(a)は操作ハンドル3をオフ操作した状態の正面図、(b)はそのときの接点の状態を示す断面説明図である。また、図3(a)は操作ハンドル3をオン操作した状態の正面図、(b)はそのときの接点の状態を示している。図2、図3において、10は3相の各電路を横断するように配設された主軸、11は3相の各電路に配置されて電路を遮断するための主接点、12は主接点11に直列に配置されて電路電流を限流させるための補助接点、13は主軸10を介して主接点11を駆動する主接点用電磁コイル、14は補助接点12を駆動する補助接点用電磁コイルである。主接点用電磁コイル13、及び補助接点用電磁コイル14は接点と対を成すように電路毎に設けられている。
【0012】
尚、接続端子7(7a,7b,7c)のうち、中央の接続端子7cは補助接点が1つの場合は必要なく、後述する補助接点12が2連の場合に設けられる端子である。
【0013】
図5はこの限流遮断器の回路図を示している。図5に示すように、主接点11及び補助接点12は3相の電路Lの各電路に直列に設けられ、スナバ回路等の限流手段(図示せず)を接続するための接続端子7(7a,7b)が補助接点の両端に設けられている。
【0014】
図4は主接点11を開閉する主接点機構、及び補助接点12を開閉する補助接点機構を抜き出した説明図であり、(a)は電路Lを開放した通常のオフ状態、(b)は電路Lを接続した通常のオン状態を示している。主接点11は高耐圧遮断スイッチであり、断路固定接点18aと断路可動接点19aとで構成されている。
主接点機構は、断路固定接点18aを備えた断路固定座18と、断路可動接点19aを先端に備え、基部に設けた回動軸20により断路可動接点19aの開閉を行う断路ブレード19と、断路ブレード19と一体化されて主軸10に連結される連結ピン21aを有する断路リンク21を備え、主軸10には断路リンク21の連結ピン21aを嵌合させる長孔22aを備えた断路連結金具22が設けられている。
尚、断路ブレード19の回動軸20、主軸10はハウジング5に固定されている。
【0015】
補助接点12は高速機械スイッチであり、固定補助接点25aと可動補助接点26aとで構成されている。補助接点機構は、固定補助接点25aを備えた固定座25と、可動補助接点26aを一端に備えたブレード26と、ブレード26の他端を構成するブレード絶縁具27を押圧してブレード26の回動を駆動する押し具28aと、この押し具28aを固着したプランジャ28を備えた電磁コイル14と、ブレード26の回動状態(開状態)を保持するための鉤状の先端を有する掛合片29と、掛合片29が掛合するようブレード26に設けられた掛合ピン30と、掛合片29の掛合ピン30への掛合を解除するために掛合片29の基部に設けた係合段部31等を備えている。
【0016】
ブレード26は、ブレード回動軸26bを中心にL字状を成し、回動することで可動補助接点26aの開閉を行う。また、係合段部31が主軸10と係合することで掛合片29は回転軸29aを中心に回動する。一方、主軸10には、係合段部31と係合する矩形突起から成る係合金具33が設けられている。
尚、電磁コイル14、ブレード回動軸26b、掛合片29の回転軸29aはハウジング5に固定されている。
【0017】
図4(a)のオフ状態から図4(b)のオン状態への移行は以下のように行われる。先ず、図2(a)に示す操作ハンドル3オフの状態での通常状態では、接点は図4(a)の状態にある。このとき、主接点11は開放されたオフ状態、補助接点12は接触したオン状態にあり、主接点11が開放されているため電路Lは遮断されて電流は流れない。
この状態から操作ハンドル3をオン操作すると、図4(b)の状態に移行し、主接点11が接触してオン状態となり、補助接点12は変化せずにオン状態を維持する。この結果、電路Lは導通状態となる。
詳しくは、操作ハンドル3のオン方向への回動操作により、主軸10が回動して断路連結金具22、断路リンク21を介して断路ブレード19が回動する。その結果、断路可動接点19aが断路固定接点18aに接触する。また、この動作の間、掛合片29は掛合ピン30に掛合していないので、係合金具33が係合段部31に接触するが、補助接点12の接触状態に変化はない。
【0018】
このように構成された限流遮断器の遮断動作を次に説明する。図6は遮断動作の流れを示す接点部の説明図であり、(a)は遮断動作開始時の状態、(b)は遮断動作の1段階が終了した状態、(c)は遮断動作の2段階が終了して遮断動作が完了した状態を示している。この図6に示すように短絡電流等の異常電流が電路Lに流れたら、2段階で開動作する。即ち、最初に補助接点12が開動作し、遅れて主接点11が開動作する。尚、遮断動作する前の限流遮断器オンの状態は、図4(b)の状態となっている。
【0019】
具体的に、電路Lに異常電流が発生すると、限流遮断器とは別体で設けられた異常電流検知手段(図示せず)がそれを検知し、電路電流の半サイクル以内のタイミングで異常電流が発生した電路Lに設けられた補助接点用電磁コイル14に動作電流を供給する。この結果、電磁コイル14に電磁力が発生し、電路電流略半サイクル程度のタイミングで瞬時にプランジャ28を引き込み、押し具28aが図6(a)の矢印P1に示す方向に移動してブレード26を押す。この動作により、図4(b)の状態にあった補助接点12は図6(a)に示す状態となり、固定補助接点25aに接触していた可動補助接点26aがオフ動作(解離動作)する。
この補助接点12のオフ動作により、補助接点12に並列に接続されている図示しないスナバ回路等に電路電流が流れ、電路電流を減少(限流)させる。
【0020】
ブレード26は、ブレード回転軸26bに設けられた図示しないねじりバネ等の付勢手段により可動補助接点26aが固定補助接点25aに接触する方向に常時付勢されているが、押し具28aの押圧動作により開動作が進むと、ブレード26の掛合ピン30に掛合片29が掛合して開状態が保持される。この結果、別途閉操作されるまでオン動作することがない。これが図6(b)の状態であり、遮断動作の第1段階が終了する。尚、突出動作した押し具28aは、電路電流の減少により基の規定位置に戻る。
【0021】
一方、異常電流が発生した電路Lに設けられた主接点用電磁コイル13にも同様に外部の異常電流検知手段から動作電流が供給され、発生した電磁力により主軸10を図6(b)の矢印Q1の方向へ回転させる(詳述せず)。その結果、3個の主接点11,11,11は同時に開動作する。
具体的に、主接点用電磁コイル13の作用で、主軸10は図6(b)に示す矢印Q1の方向に回転する。この結果、連結されている断路リンク21を介して断路ブレード19が図6(b)の矢印R1に示す方向に回動軸20を中心に回動し、断路可動接点19aが開動作する。
この主軸10の回転は、図示しない保持手段により保持され、操作ハンドル3による投入操作が行われるまで戻ることがない。この結果、図6(c)に示す状態となり、遮断動作の第2段階が終了し、遮断動作が完了する。こうして、主接点11の開放により3相の電路Lが遮断されて、電路及び電路上の機器が保護される。
【0022】
尚、3相に設けられた計3個の補助接点12,12,12は、夫々の電路に設けられた3個の電磁コイル14,14,14により独立して動作する。そして、主軸10の回転により操作ハンドル3は、オン位置からトリップ位置(図示せず)に移動する。
【0023】
こうして遮断動作した限流遮断器のリセット及び再投入動作は、以下のようである。図7は、遮断動作した限流遮断器を再投入操作した場合の接点部の動作の流れを説明する説明図であり、(a)は補助接点のラッチを解除した直後の状態、(b)はラッチが解除されて再投入動作の第1段階が終了した状態、(c)は再投入の第2段階が完了して再投入が完了した状態を示している。この図に基づいて説明する。
遮断動作してトリップ状態にある操作ハンドル3を、投入方向へ回動すると、主軸10が遮断動作とは反対の図7(a)の矢印Q2の方向へ回転する。すると、まず掛合片29の掛合ピン30への掛合が解除される(図7(a)の状態)。この結果、ブレード26が図示しないねじりバネの付勢を受けて図7(b)に示す矢印S1の方向へ回動し、可動補助接点26aが固定補助接点25aと接触する。
【0024】
その後、操作ハンドル3を引き続き投入方向へ回動すると、主軸10が更に回転し、断路ブレード19が遮断動作とは反対方向となる図7(b)の矢印R2に示す方向へ回動し、断路固定接点18aに断路可動接点19aが接触する(図7(c)の状態)。即ち、主接点11が接続されて再投入動作が完了する。こうして電路Lは接続される。
尚、この状態で操作ハンドル3をオフ操作すると、主軸10が回転して主接点11のみ解離動作する。これがリセットした状態であり、図4(a)に示す通常のオフ状態となる。
【0025】
ここで、操作ハンドル3の操作により主接点11が開閉される連結構造を簡単に説明する。図8、図9は、操作ハンドル3と主軸10の連結構造を示し、図8は図2と同様にオフ操作状態、図9は図3と同様にオン操作状態の夫々正面視説明図である。この図を参照して説明する。尚、図示する上方を遮断器の上方として説明する。
操作ハンドル3の軸3aは、第1連結部材40と、下部に回動軸(図示せず)を有してこの第1連結部材40に連結される第2連結部材41とを介して、2部材で構成されて伸張/折り曲げ動作するリンク部材42の上端に連結されている。リンク部材42は、下端部が主軸10に連結されており、操作ハンドル3の回動操作は、第1連結部材40、第2連結部材41、リンク部材42を介して主軸10に伝達され、主軸10は回転する。
【0026】
そして、コイルバネ44が第2連結部材41とリンク部材42の中央の折り曲げ中心との間に取り付けられている。このコイルバネ44は、第2連結部材41に連結されている上端が、操作ハンドル3の回動を受けて図9に示す位置まで左方に移動する。
図8に示す状態では、コイルバネ44によるリンク部材42は折り曲がる方向に付勢されるが、コイルバネ44の軸線X1が図8に示す軸線X2に示す位置より左側に移動したら、リンク部材42はそれまでとは逆の伸張方向に付勢される。
この結果、操作ハンドル3がオフの状態では、リンク部材42は折り曲がる方向へ付勢されるため、主軸10には図8に示す矢印T1方向の回転力が付与され、主接点11は開状態を維持する。一方、操作ハンドル3がオン操作されると、リンク部材42が伸張する方向へ付勢されるため、主軸10には図9に示す矢印T2方向の回転力が付与され、主接点11は閉状態を維持する。こうして、操作ハンドル3の操作で主接点11は開閉される。
【0027】
このように、開動作した補助接点12は掛合片29が掛合ピン30に掛合することにより開状態が保持されるので、一旦開動作した補助接点12は別途閉操作するまで閉動作することが無く、限流動作を安定して実施する。そして、開状態にある補助接点12は、主接点11を開閉操作する操作ハンドル3の閉操作を受けて閉動作するので、補助接点12を別途閉操作する必要がない。また、主接点11を操作する主軸10の回転を受けて掛合片29のラッチが解作されて補助接点12も閉動作するため、簡易な機構で補助接点を閉動作させることができる。更に、主軸10の周囲に主接点11及び補助接点12を配置するよう構成でき、1つのハウジング5に全ての接点を収容し易く限流遮断器の小型化が可能となる。
更に、補助接点12は電磁コイル14のプランジャ28の移動動作により開動作するので、高速に開動作させることができ、速やかに限流動作する。
【0028】
尚、上記実施形態は1組の補助接点12を設けた場合、即ち補助接点12を電路Lの夫々に1個設た場合を示したが、補助接点12は複数組設けても良い。複数設けることで、補助接点12の耐圧を上げることができる。
図10は、補助接点12を2組(第1補助接点12aと第2補助接点12b)設けた場合の具体的な構成を示している。図10において、第1補助接点12aは上記実施形態の補助接点12と同様の構成であり、125は2組目の補助接点12bの固定座、125aは固定補助接点、126はブレード、126aは可動補助接点である。また、114は2組目のブレード126を押圧する補助接点用電磁コイルである。この図10に示すように、2組の補助接点12a,12bを設ける場合は、向かい合うように千鳥状に配置することで省スペースに配置できる。また、図11はこの回路図を示し、接続端子7として3番目の端子7cが設けられる。
【符号の説明】
【0029】
3・・操作ハンドル、7・・接続端子、10・・主軸、11・・主接点、12・・補助接点、14・・補助接点用電磁コイル(開放制御手段)、28・・プランジャ(開放制御手段)、28a・・押し具、29・・掛合片(ラッチ手段)、30・・掛合ピン(ラッチ手段)、31・・係合段部(ラッチ解除手段)、33・・係合金具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相から成る電路に短絡電流等の異常電流が流れたら電路を遮断するための3連の主接点と、前記主接点の夫々に対して直列に配置した補助接点の組を少なくとも1組有し、少なくとも1組の前記補助接点は、夫々並列にダイオード及びスナバ回路が接続されると共に、前記異常電流の発生を受けて個々の電路の補助接点を独立して開動作させる開放制御手段を備え、前記電路に異常電流が流れたら前記開放制御手段が補助接点を開動作させて限流動作させ、その後主接点が開動作して遮断動作する限流遮断器であって、
前記3連の主接点を連動させるために3相の電路に跨って配置されて回動する主軸を有する一方、
前記補助接点は常時閉方向へ付勢状態にあると共に、開状態を保持するラッチ手段と、前記主軸の閉方向への回動を受けて前記ラッチ手段のラッチを解除するラッチ解除手段とを備え、
前記開状態にある補助接点は、前記主接点を開閉操作する操作ハンドルの閉操作による前記主軸の回転を受けて、前記ラッチ手段のラッチが解除されて補助接点が閉動作することを特徴とする限流遮断器。
【請求項2】
前記開放制御手段は、前記補助接点を開動作させるためのプランジャを有する電磁コイルを補助接点毎に備える一方、
電路に発生する異常電流を検知し、異常電流を検知したら前記電磁コイルにプランジャ駆動電流を供給する異常電流検知手段を備え、
電路に異常電流が流れたら前記電磁コイルが前記プランジャを引き込み操作し、補助接点が開動作することを特徴とする請求項1記載の限流遮断器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−110075(P2013−110075A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256436(P2011−256436)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【出願人】(500433225)学校法人中部大学 (105)
【Fターム(参考)】