除去装置
【課題】掘削機のスクリューに付着した土等を効率よく除去する。
【解決手段】除去装置は、リーダーに設けたレールに沿って昇降する移動体と、この移動体に回転可能に設けた覆い筒５と、この覆い筒５を回転させる回転駆動機構と、覆い筒５に設けた除去板７とを備えている。そして、上記除去板は上記スクリューＳのフィンよりも大きな傾斜角を有するとともに、当該覆い筒５の回転方向前方における除去板先端をスクリューＳの表面に接近させる一方、除去板の先端よりも覆い筒５の回転方向前方部分を切り欠いて開放部６としている。
【解決手段】除去装置は、リーダーに設けたレールに沿って昇降する移動体と、この移動体に回転可能に設けた覆い筒５と、この覆い筒５を回転させる回転駆動機構と、覆い筒５に設けた除去板７とを備えている。そして、上記除去板は上記スクリューＳのフィンよりも大きな傾斜角を有するとともに、当該覆い筒５の回転方向前方における除去板先端をスクリューＳの表面に接近させる一方、除去板の先端よりも覆い筒５の回転方向前方部分を切り欠いて開放部６としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、掘削機のスクリューに付着した土等の付着物を除去する除去装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
スクリューを回転しながら地中に押し込み、その後にそれを引き上げて掘削することが従来から行われている。このようにスクリューを地中に押し込んでからそれを引き上げる際には、当然のこととしてスクリューには土等が付着したままになるが、このスクリューに付着した土は、シャベル等を用いて人力で取り除くようにしていた。
しかし、スクリューに付着した土等を人力で取り除く作業が過酷でかつ危険なことから、近年、それを自動化する装置が開発されている。
【０００３】
この装置は、例えば、図４〜７に示すように、掘削場所に起立させたガイド支柱であるリーダーＬに一対のレール１を設けるとともに、このレール１には昇降機Ｇを昇降可能に設けている。そして、この昇降機Ｇには回転駆動機構Ｒを設けるとともに、この回転駆動機構ＲにスクリューＳを取り外し可能に設けている。
【０００４】
したがって、図４のように回転駆動機構ＲにスクリューＳを取付けるとともに、スクリューＳを回転させながら押し下げていくと、スクリューＳは地中に押し込まれていく。スクリューＳを目的の深さまで押し込んだら、スクリューＳを掘削時と同一方向に回転させつつ、それを引き上げるが、このときスクリューＳのフィン間に満たされた土等も同時に引き上げられるので、図５に示す掘削穴Ｈが形成される。
【０００５】
また、上記スクリューＳにはシャフト２を設けているが、このシャフト２は図５に示すように円筒状にし、この円筒のシャフト２の先端には噴出口３を形成している。このようにしたシャフト２にはコンクリートミルク等の崩壊防止材を流し込むとともに、この崩壊防止材を上記噴出口３から噴出させながら、それを掘削穴Ｈの周囲壁面に吹き付けるようにしている。このように崩壊防止材を掘削穴Ｈの周囲壁面に吹き付けるのは、掘削穴Ｈが崩壊するのを防止するためである。
なお、図中符号４はシャフト２の先端に設けた掘削刃で、シャフト２を地中に先導するためのものである。
【０００６】
また、上記リーダーＬであって、上記昇降機Ｇよりも下方におけるレール１には、除去装置Ｅを設けているが、この除去装置Ｅは、図６に示すように、レール１に沿って昇降する移動体Ｖと、この移動体Ｖに回転可能に設けた回転体Ｔとからなるとともに、上記移動体Ｖには、油圧モータＭを搭載している。そして、この油圧モータＭの駆動力は、図示していない動力伝達機構を介して回転体Ｔに伝達される。したがって、油圧モータＭが駆動すれば、それにともなって回転体Ｔも回転することになる。
【０００７】
上記のようにした回転体Ｔは覆い筒５を設けているが、この覆い筒５は、スクリューＳの外周を覆う直径を保持している。そして、この覆い筒５内には図示していない除去板を設け、回転体Ｔが回転したとき、この除去板がスクリューＳのフィンの表面に沿って移動し、スクリューＳのフィン間に満たされた土等を除去するようにしている。
【特許文献１】特開平１１−２５６９７１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
上記のようにした従来の掘削装置では、スクリューＳに付着した土等を除去しているときに、その土等が覆い筒５内に閉じ込められてしまう。このように覆い筒５内に土等が閉じ込められると、その土等が覆い筒５の内周壁面に接触する圧力が大きくなり、それが回転体Ｔを回転するときの抵抗となる。したがって、その圧力が大きくなればなるほど、エネルギーロスになるという問題があった。
また、このスクリューＳに、例えば、図７に示すような大きな石等が乗ってしまうと、この石がスクリューＳと覆い筒５との間に挟まってしまう。スクリューＳと覆い筒５との間に大きな石等が挟まってしまうと、回転体Ｔが回転できなくなり、その作業を中止しなければならないという問題もあった。
この発明の目的は、スクリューに石等が乗っていても、回転体の回転に影響を及ぼさない装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
第１の発明は、リーダーに設けたレールに、回転駆動機構を備えた昇降機を設け、この昇降機には上記回転駆動機構に連係した掘削用のスクリューを設けた掘削機に用いるスクリューに付着した土等を取り除く付着物の除去装置を前提にする。この除去装置は、上記レールに沿って昇降する移動体と、この移動体に回転可能に設けた覆い筒と、この覆い筒を回転させる回転駆動機構と、覆い筒に設けた除去板とを備えている。そして、上記除去板は上記スクリューのフィンよりも大きな傾斜角を有するとともに、当該覆い筒の回転方向前方における除去板先端をスクリューの表面に接近させる一方、除去板の先端よりも覆い筒の回転方向前方部分を切り欠いて開放部としている。
【００１０】
第２の発明は、スクリューの表面と対向する、上記除去板の下面に、残物除去部材を設けたものである。
第３の発明は、当該装置の周囲所要箇所に、除去物の飛散防止体を設けたものである。
【発明の効果】
【００１１】
第１の発明によれば、除去板の先端よりも覆い筒の回転方向前方部分を切り欠いて開放部としたので、除去板で押し出された土等はこの開放部から外部にスムーズに排出される。したがって、土等によって覆い筒内の圧力が大きくなることがなく、その分、省エネルギーとなる。
また、スクリューの上に大きな石等が乗ってしまったとしても、この石は上記開放部から確実に排出されるので、回転体が回転できなくなって作業を中止しなければならないという問題は発生しない。
【００１２】
第２の発明によれば、除去板がスクリュー上に残した土等を残物除去部材で取り去るので、例えば、小さな土の塊や小石等がスクリュー上に残らない。スクリュー上に残物があると、スクリューが高い位置に引き上げられたときに、そこから残物が落下すれば、たとえ小さな土の塊や小石であっても、加速されて衝撃力が大きくなる。
しかし、上記残物除去部材でかなり小さなものまで、取り除くことができるので、上記のような問題が発生しない。
【００１３】
第３の発明によれば、回転体の周囲所定の箇所に、除去物の飛散防止体を設けたので、例えば、塀等に隣接する位置で掘削作業を実施する場合でも、除去装置から飛散した土等が塀等の外に落ちることがなく、安全性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
図１〜３に示した実施形態は、リーダーＬにスクリューＳを設けるとともに、このリーダーＬに除去装置Ｅを設けることは、従来と全く同じである。また、この除去装置が、移動体Ｖと回転体Ｔとからなり、回転体Ｔが油圧モータＭの駆動力で回転する点も従来と同じである。したがって、従来と同一の構成要素に関しては、同一符号をもって説明する。
ただし、この実施形態の回転体Ｔの覆い筒５は、図１に示すように、その覆い筒５の一部を切り欠いてなる開放部６を形成した点が上記従来と相違するものである。
そして、上記開放部６は、覆い筒５の回転方向後方の切り欠き量を大きくするとともに、回転方向前方に進むにしたがって、その切り欠き量を小さくしている。このように切り欠き量が大きい部分と小さい部分とを設けたのは、開放部６のすべてを大きく切り欠くと、覆い筒５の強度が維持できなくなるからである。
【００１５】
また、上記覆い筒５の内周面には除去板７を設けているが、この除去板７は、図２に示すようにスクリューＳのフィンよりもその傾斜角を大きくするとともに、この除去板７の先端すなわち回転体Ｔの回転方向に対する前方端を、上記開放部６に臨ませている。
上記のようにした除去板７の下面すなわちスクリューＳと対向する側面には、図２に示すように、スクリューＳのフィンに残った小さな土等を掃き落とすための残物除去部材８を設けている。なお、この実施形態における残物除去部材８は、その先端に刷毛を設け、この刷毛をスクリューのフィンに接触させながら残物を掃き落とすようにしている。
ただし、この発明における残物除去部材８は、刷毛だけでなく単なる板などであってもよい。
【００１６】
さらに、この実施形態では、図３に示すように飛散防止体９を設けているが、この飛散防止体９は図３に示すように、塀１０が位置する側に設けるものである。このように飛散防止体９を設けておけば、作業中に土等が塀１０から外に飛散することがなくなる。なお、この飛散防止体９は、例えば、板材であってもよいし、帆布などの布材であってもよい。
【００１７】
次に、この発明の作用を説明する。
先ず、スクリューＳを回転させながら地中に押し込むとともに、それが目的の深さまで達したら、スクリューＳを地中に押し込むのを止める。そして、スクリューＳを地中に押し込んだときと同じ方向に回転させつつ、それを引き上げるとともに、シャフト２からコンクリートミルク等の崩壊防止材を注入する。注入された崩壊防止材は、シャフト２の先端に形成した噴出口３から掘削穴Ｈの周囲壁面に吹き付けられる。
【００１８】
上記のように崩壊防止材を掘削穴Ｈの周囲壁面に吹き付けるために、スクリューＳを回転させながら引き上げるが、このときスクリューＳのフィン間には掘削穴Ｈから除去すべき土等が図５に示すように満たされた状態にある。
また、スクリューＳを引き上げるときには、回転体ＴをスクリューＳと同一方向に回転させつつ除去装置Ｅを下降させるが、このときの回転体ＴをスクリューＳよりも速く回転させる。つまり、回転体ＴとスクリューＳとを同一方向に回転させつつ、両者を相対回転させる。
【００１９】
上記のように回転体ＴをスクリューＳよりも速く回転させながら、両者を相対回転させれば、回転体Ｔに設けた除去板７がスクリューＳのフィン上を移動し、そのフィン間に満たされた状態にある土等を掻き取ることになる。
したがって、スクリューＳを回転させて崩壊防止材を掘削穴Ｈの周囲壁面に吹き付けながら、スクリューＳに付着した土等を同時に落とすことができる。つまり、地中へのスクリューＳの押し込み、スクリューＳの引き上げ、スクリューＳに付着した土等の除去および掘削穴Ｈの周囲に崩壊防止材を吹き付ける作業を連続的にでき、その分、作業効率を著しく向上させることができる。
しかも、上記したようにスクリューＳを引き上げるとき、そのスクリューＳを掘削時と同一方向に回転させながら引き上げるので、掘削した穴Ｈが崩壊したりしない。
【００２０】
なお、上記のように除去板７を回してスクリューＳに付着した土等を取り除くとき、その土等は開放部６からスムーズに放出される。したがって、覆い筒５内の圧力が大きくならず、その分、省エネルギー効果が発揮される。また、スクリューＳの上に大きな石等が乗っていても、この開放部６から確実に排出される。
【００２１】
なお、上記のようにして除去板７をスクリューＳに付着した土等を除去できたとしても、小さな土の塊や小石までも完全に除去できるわけではない。
しかし、この実施形態では、残物除去部材８を設けたので、これら小さな土の塊や小石などを完全に除去できる。
これら土の塊や小石などがスクリューＳの上に残ったままにしておくと、その部分が高い位置まで引き上げられた状態で、小石等が落ちたときなどには、非常に大きな危険をともなう。しかし、上記したようにこの実施形態では、残物除去部材８でスクリューＳ上に残った小石等を除去できるので、このような危険がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】除去装置の要部を示す図である。
【図２】スクリューと除去板との関係を示す部分図である。
【図３】当該装置に飛散防止体を設けた状態の概略図である。
【図４】掘削機の全体図である。
【図５】スクリューを掘削穴から引き抜くときの崩壊防止材を噴出する状態を示した部分断面図である。
【図６】従来の除去装置を示す正面図である。
【図７】覆い筒とスクリューとの間に石などを挟み込む状況を示した図である。
【符号の説明】
【００２３】
Ｌ リーダー
１ レール
Ｇ 昇降機
Ｒ 回転駆動機構
Ｓ スクリュー
Ｅ 除去装置
５ 覆い筒
６ 開放部
７ 除去板
８ 残物除去部材
９ 飛散防止体
【技術分野】
【０００１】
この発明は、掘削機のスクリューに付着した土等の付着物を除去する除去装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
スクリューを回転しながら地中に押し込み、その後にそれを引き上げて掘削することが従来から行われている。このようにスクリューを地中に押し込んでからそれを引き上げる際には、当然のこととしてスクリューには土等が付着したままになるが、このスクリューに付着した土は、シャベル等を用いて人力で取り除くようにしていた。
しかし、スクリューに付着した土等を人力で取り除く作業が過酷でかつ危険なことから、近年、それを自動化する装置が開発されている。
【０００３】
この装置は、例えば、図４〜７に示すように、掘削場所に起立させたガイド支柱であるリーダーＬに一対のレール１を設けるとともに、このレール１には昇降機Ｇを昇降可能に設けている。そして、この昇降機Ｇには回転駆動機構Ｒを設けるとともに、この回転駆動機構ＲにスクリューＳを取り外し可能に設けている。
【０００４】
したがって、図４のように回転駆動機構ＲにスクリューＳを取付けるとともに、スクリューＳを回転させながら押し下げていくと、スクリューＳは地中に押し込まれていく。スクリューＳを目的の深さまで押し込んだら、スクリューＳを掘削時と同一方向に回転させつつ、それを引き上げるが、このときスクリューＳのフィン間に満たされた土等も同時に引き上げられるので、図５に示す掘削穴Ｈが形成される。
【０００５】
また、上記スクリューＳにはシャフト２を設けているが、このシャフト２は図５に示すように円筒状にし、この円筒のシャフト２の先端には噴出口３を形成している。このようにしたシャフト２にはコンクリートミルク等の崩壊防止材を流し込むとともに、この崩壊防止材を上記噴出口３から噴出させながら、それを掘削穴Ｈの周囲壁面に吹き付けるようにしている。このように崩壊防止材を掘削穴Ｈの周囲壁面に吹き付けるのは、掘削穴Ｈが崩壊するのを防止するためである。
なお、図中符号４はシャフト２の先端に設けた掘削刃で、シャフト２を地中に先導するためのものである。
【０００６】
また、上記リーダーＬであって、上記昇降機Ｇよりも下方におけるレール１には、除去装置Ｅを設けているが、この除去装置Ｅは、図６に示すように、レール１に沿って昇降する移動体Ｖと、この移動体Ｖに回転可能に設けた回転体Ｔとからなるとともに、上記移動体Ｖには、油圧モータＭを搭載している。そして、この油圧モータＭの駆動力は、図示していない動力伝達機構を介して回転体Ｔに伝達される。したがって、油圧モータＭが駆動すれば、それにともなって回転体Ｔも回転することになる。
【０００７】
上記のようにした回転体Ｔは覆い筒５を設けているが、この覆い筒５は、スクリューＳの外周を覆う直径を保持している。そして、この覆い筒５内には図示していない除去板を設け、回転体Ｔが回転したとき、この除去板がスクリューＳのフィンの表面に沿って移動し、スクリューＳのフィン間に満たされた土等を除去するようにしている。
【特許文献１】特開平１１−２５６９７１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
上記のようにした従来の掘削装置では、スクリューＳに付着した土等を除去しているときに、その土等が覆い筒５内に閉じ込められてしまう。このように覆い筒５内に土等が閉じ込められると、その土等が覆い筒５の内周壁面に接触する圧力が大きくなり、それが回転体Ｔを回転するときの抵抗となる。したがって、その圧力が大きくなればなるほど、エネルギーロスになるという問題があった。
また、このスクリューＳに、例えば、図７に示すような大きな石等が乗ってしまうと、この石がスクリューＳと覆い筒５との間に挟まってしまう。スクリューＳと覆い筒５との間に大きな石等が挟まってしまうと、回転体Ｔが回転できなくなり、その作業を中止しなければならないという問題もあった。
この発明の目的は、スクリューに石等が乗っていても、回転体の回転に影響を及ぼさない装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
第１の発明は、リーダーに設けたレールに、回転駆動機構を備えた昇降機を設け、この昇降機には上記回転駆動機構に連係した掘削用のスクリューを設けた掘削機に用いるスクリューに付着した土等を取り除く付着物の除去装置を前提にする。この除去装置は、上記レールに沿って昇降する移動体と、この移動体に回転可能に設けた覆い筒と、この覆い筒を回転させる回転駆動機構と、覆い筒に設けた除去板とを備えている。そして、上記除去板は上記スクリューのフィンよりも大きな傾斜角を有するとともに、当該覆い筒の回転方向前方における除去板先端をスクリューの表面に接近させる一方、除去板の先端よりも覆い筒の回転方向前方部分を切り欠いて開放部としている。
【００１０】
第２の発明は、スクリューの表面と対向する、上記除去板の下面に、残物除去部材を設けたものである。
第３の発明は、当該装置の周囲所要箇所に、除去物の飛散防止体を設けたものである。
【発明の効果】
【００１１】
第１の発明によれば、除去板の先端よりも覆い筒の回転方向前方部分を切り欠いて開放部としたので、除去板で押し出された土等はこの開放部から外部にスムーズに排出される。したがって、土等によって覆い筒内の圧力が大きくなることがなく、その分、省エネルギーとなる。
また、スクリューの上に大きな石等が乗ってしまったとしても、この石は上記開放部から確実に排出されるので、回転体が回転できなくなって作業を中止しなければならないという問題は発生しない。
【００１２】
第２の発明によれば、除去板がスクリュー上に残した土等を残物除去部材で取り去るので、例えば、小さな土の塊や小石等がスクリュー上に残らない。スクリュー上に残物があると、スクリューが高い位置に引き上げられたときに、そこから残物が落下すれば、たとえ小さな土の塊や小石であっても、加速されて衝撃力が大きくなる。
しかし、上記残物除去部材でかなり小さなものまで、取り除くことができるので、上記のような問題が発生しない。
【００１３】
第３の発明によれば、回転体の周囲所定の箇所に、除去物の飛散防止体を設けたので、例えば、塀等に隣接する位置で掘削作業を実施する場合でも、除去装置から飛散した土等が塀等の外に落ちることがなく、安全性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
図１〜３に示した実施形態は、リーダーＬにスクリューＳを設けるとともに、このリーダーＬに除去装置Ｅを設けることは、従来と全く同じである。また、この除去装置が、移動体Ｖと回転体Ｔとからなり、回転体Ｔが油圧モータＭの駆動力で回転する点も従来と同じである。したがって、従来と同一の構成要素に関しては、同一符号をもって説明する。
ただし、この実施形態の回転体Ｔの覆い筒５は、図１に示すように、その覆い筒５の一部を切り欠いてなる開放部６を形成した点が上記従来と相違するものである。
そして、上記開放部６は、覆い筒５の回転方向後方の切り欠き量を大きくするとともに、回転方向前方に進むにしたがって、その切り欠き量を小さくしている。このように切り欠き量が大きい部分と小さい部分とを設けたのは、開放部６のすべてを大きく切り欠くと、覆い筒５の強度が維持できなくなるからである。
【００１５】
また、上記覆い筒５の内周面には除去板７を設けているが、この除去板７は、図２に示すようにスクリューＳのフィンよりもその傾斜角を大きくするとともに、この除去板７の先端すなわち回転体Ｔの回転方向に対する前方端を、上記開放部６に臨ませている。
上記のようにした除去板７の下面すなわちスクリューＳと対向する側面には、図２に示すように、スクリューＳのフィンに残った小さな土等を掃き落とすための残物除去部材８を設けている。なお、この実施形態における残物除去部材８は、その先端に刷毛を設け、この刷毛をスクリューのフィンに接触させながら残物を掃き落とすようにしている。
ただし、この発明における残物除去部材８は、刷毛だけでなく単なる板などであってもよい。
【００１６】
さらに、この実施形態では、図３に示すように飛散防止体９を設けているが、この飛散防止体９は図３に示すように、塀１０が位置する側に設けるものである。このように飛散防止体９を設けておけば、作業中に土等が塀１０から外に飛散することがなくなる。なお、この飛散防止体９は、例えば、板材であってもよいし、帆布などの布材であってもよい。
【００１７】
次に、この発明の作用を説明する。
先ず、スクリューＳを回転させながら地中に押し込むとともに、それが目的の深さまで達したら、スクリューＳを地中に押し込むのを止める。そして、スクリューＳを地中に押し込んだときと同じ方向に回転させつつ、それを引き上げるとともに、シャフト２からコンクリートミルク等の崩壊防止材を注入する。注入された崩壊防止材は、シャフト２の先端に形成した噴出口３から掘削穴Ｈの周囲壁面に吹き付けられる。
【００１８】
上記のように崩壊防止材を掘削穴Ｈの周囲壁面に吹き付けるために、スクリューＳを回転させながら引き上げるが、このときスクリューＳのフィン間には掘削穴Ｈから除去すべき土等が図５に示すように満たされた状態にある。
また、スクリューＳを引き上げるときには、回転体ＴをスクリューＳと同一方向に回転させつつ除去装置Ｅを下降させるが、このときの回転体ＴをスクリューＳよりも速く回転させる。つまり、回転体ＴとスクリューＳとを同一方向に回転させつつ、両者を相対回転させる。
【００１９】
上記のように回転体ＴをスクリューＳよりも速く回転させながら、両者を相対回転させれば、回転体Ｔに設けた除去板７がスクリューＳのフィン上を移動し、そのフィン間に満たされた状態にある土等を掻き取ることになる。
したがって、スクリューＳを回転させて崩壊防止材を掘削穴Ｈの周囲壁面に吹き付けながら、スクリューＳに付着した土等を同時に落とすことができる。つまり、地中へのスクリューＳの押し込み、スクリューＳの引き上げ、スクリューＳに付着した土等の除去および掘削穴Ｈの周囲に崩壊防止材を吹き付ける作業を連続的にでき、その分、作業効率を著しく向上させることができる。
しかも、上記したようにスクリューＳを引き上げるとき、そのスクリューＳを掘削時と同一方向に回転させながら引き上げるので、掘削した穴Ｈが崩壊したりしない。
【００２０】
なお、上記のように除去板７を回してスクリューＳに付着した土等を取り除くとき、その土等は開放部６からスムーズに放出される。したがって、覆い筒５内の圧力が大きくならず、その分、省エネルギー効果が発揮される。また、スクリューＳの上に大きな石等が乗っていても、この開放部６から確実に排出される。
【００２１】
なお、上記のようにして除去板７をスクリューＳに付着した土等を除去できたとしても、小さな土の塊や小石までも完全に除去できるわけではない。
しかし、この実施形態では、残物除去部材８を設けたので、これら小さな土の塊や小石などを完全に除去できる。
これら土の塊や小石などがスクリューＳの上に残ったままにしておくと、その部分が高い位置まで引き上げられた状態で、小石等が落ちたときなどには、非常に大きな危険をともなう。しかし、上記したようにこの実施形態では、残物除去部材８でスクリューＳ上に残った小石等を除去できるので、このような危険がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】除去装置の要部を示す図である。
【図２】スクリューと除去板との関係を示す部分図である。
【図３】当該装置に飛散防止体を設けた状態の概略図である。
【図４】掘削機の全体図である。
【図５】スクリューを掘削穴から引き抜くときの崩壊防止材を噴出する状態を示した部分断面図である。
【図６】従来の除去装置を示す正面図である。
【図７】覆い筒とスクリューとの間に石などを挟み込む状況を示した図である。
【符号の説明】
【００２３】
Ｌ リーダー
１ レール
Ｇ 昇降機
Ｒ 回転駆動機構
Ｓ スクリュー
Ｅ 除去装置
５ 覆い筒
６ 開放部
７ 除去板
８ 残物除去部材
９ 飛散防止体
【特許請求の範囲】
【請求項１】
リーダーに設けたレールに、回転駆動機構を備えた昇降機を設け、この昇降機には上記回転駆動機構に連係した掘削用のスクリューを設けた掘削機に用いるスクリューに付着した土等を取り除く付着物の除去装置であって、この除去装置は、上記レールに沿って昇降する移動体と、この移動体に回転可能に設けた覆い筒と、この覆い筒を回転させる回転駆動機構と、覆い筒に設けた除去板とを備え、上記除去板は上記スクリューのフィンよりも大きな傾斜角を有するとともに、当該覆い筒の回転方向前方における除去板先端をスクリューの表面に接近させる一方、除去板の先端よりも覆い筒の回転方向前方部分を切り欠いて開放部とした除去装置。
【請求項２】
スクリューの表面と対向する、上記除去板の下面に、残物除去部材を設けた請求項１記載の除去装置。
【請求項３】
当該装置の周囲所要箇所に、除去物の飛散防止体を設けた請求項１または２記載の除去装置。
【請求項１】
リーダーに設けたレールに、回転駆動機構を備えた昇降機を設け、この昇降機には上記回転駆動機構に連係した掘削用のスクリューを設けた掘削機に用いるスクリューに付着した土等を取り除く付着物の除去装置であって、この除去装置は、上記レールに沿って昇降する移動体と、この移動体に回転可能に設けた覆い筒と、この覆い筒を回転させる回転駆動機構と、覆い筒に設けた除去板とを備え、上記除去板は上記スクリューのフィンよりも大きな傾斜角を有するとともに、当該覆い筒の回転方向前方における除去板先端をスクリューの表面に接近させる一方、除去板の先端よりも覆い筒の回転方向前方部分を切り欠いて開放部とした除去装置。
【請求項２】
スクリューの表面と対向する、上記除去板の下面に、残物除去部材を設けた請求項１記載の除去装置。
【請求項３】
当該装置の周囲所要箇所に、除去物の飛散防止体を設けた請求項１または２記載の除去装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２０１０−１０６５６６（Ｐ２０１０−１０６５６６Ａ）
【公開日】平成２２年５月１３日（２０１０．５．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２８００６５（Ｐ２００８−２８００６５）
【出願日】平成２０年１０月３０日（２００８．１０．３０）
【出願人】（５０９２９２０９８）株式会社エレファント・ワールド (1)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年５月１３日（２０１０．５．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１０月３０日（２００８．１０．３０）
【出願人】（５０９２９２０９８）株式会社エレファント・ワールド (1)
【Ｆターム（参考）】
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