説明

除湿機

【課題】除湿器を利用して室内に干した洗濯物を乾燥する際に、洗濯物の臭いを抑制する。
【解決手段】除湿器(1)に噴霧溶液を霧化させ、且つ帯電させた状態で噴霧するための静電噴霧装置(30)を取り付ける。噴霧溶液に抗菌剤を含ませる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内を除湿する除湿機に関し、特に、室内に干した洗濯物の乾燥への利用に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、室内の湿気対策として用いられる除湿器は知られている(例えば、特許文献1参照)。そして、雨天のときなどに室内に干した洗濯物の乾燥を促進するために、この除湿器を利用することが行われている。
【特許文献1】特開2002−102642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、洗濯物を屋外に干す場合には、紫外線等の活性種の働きによって殺菌されるので臭いが発生しにくいが、室内に洗濯物を干すときは、除湿器を利用した場合でも、臭いが残ってしまうという問題がある。
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、除湿器を利用して室内に干した洗濯物を乾燥する際に、洗濯物の臭いを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1の発明に係る除湿器(1)は、噴霧溶液を霧化させ、且つ帯電させた状態で噴霧するための静電噴霧装置(30)が取り付けられ、上記噴霧溶液に抗菌剤が含まれている。
【0006】
上記の構成によると、除湿器(1)の除湿機能によって洗濯物を乾燥させるとともに、静電噴霧装置(30)によって、抗菌剤が含まれる噴霧溶液を洗濯物に噴霧することで、室内に干した洗濯物に噴霧溶液が付着し、含まれる抗菌剤によって洗濯物が抗菌されて消臭される。
【0007】
ここで、霧化した噴霧溶液を噴霧することで、除湿器(1)による洗濯物の乾燥への影響は最小限に抑えられる。
【0008】
また、帯電した噴霧溶液は水分に向かって引き寄せられ付着する性質を有しているため、濡れた洗濯物に引き寄せられやすい。
【0009】
第2の発明に係る除湿器(1)は、上記第1の発明に係る除湿器(1)において、上記静電噴霧装置(30)は、乾燥空気が吹き出される吹出口(45)が形成された吹出部(43)に取り付けられ、上記静電噴霧装置(30)から噴霧される噴霧溶液が、上記吹出口(45)から吹き出される空気流に乗るように構成されている。
【0010】
上記の構成によると、除湿器(1)の吹出口(45)から乾燥空気が吹き出されて洗濯物の乾燥が行われる。一方、この吹出口(45)が形成された吹出部(43)に静電噴霧装置(30)が取り付けられて、この静電噴霧装置(30)から噴霧された帯電した噴霧溶液が吹出口(45)から吹き出される空気流に乗ることで、抗菌剤を含んだ噴霧溶液が洗濯物に効率的に付着する。
【0011】
第3の発明に係る除湿器(1)は、上記第1又は第2の発明に係る除湿器(1)において、上記抗菌剤は銀イオンで構成されている。
【0012】
上記の構成によると、抗菌効果の高い銀イオンで抗菌剤が構成され、この銀イオンを含む噴霧溶液が洗濯物に噴霧される。
【発明の効果】
【0013】
上記第1の発明によれば、除湿器(1)に静電噴霧装置(30)を設け、この静電噴霧装置(30)の噴霧溶液に抗菌剤を含ませたので、除湿器(1)によって室内に干した洗濯物を乾燥させる際に、抗菌剤が含まれる噴霧溶液を洗濯物に噴霧することで、洗濯物を抗菌して消臭することができるので、洗濯物の臭いを抑制することができる。
【0014】
また、静電噴霧装置(30)から噴霧される溶液は帯電しているため、洗濯物の水分に引き寄せられるので、効率的に抗菌剤が含まれた噴霧溶液を洗濯物に付着させることができ、効果的に消臭することができる。
【0015】
上記第2の発明によれば、静電噴霧装置(30)から噴霧される噴霧溶液が、吹出口(45)から吹き出される空気流に乗るように構成したので、抗菌剤を含んだ噴霧溶液が洗濯物全体に効果的に付着し、より効果的に洗濯物を消臭することができる。
【0016】
上記第3の発明によれば、抗菌効果の高い銀イオンで抗菌剤を構成したことで、効果的に洗濯物を消臭することができ、洗濯物の臭いをより一層抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る除湿器(1)は、静電噴霧装置(30)が取り付けられているものである。除湿器(1)を作動させたときに、静電噴霧装置(30)も連動して起動するものとしてもよいし、除湿器(1)による除湿と、静電噴霧装置(30)による噴霧とを別々に操作するものとしてもよい。
【0019】
上記除湿器(1)は、そのケーシング(33)内に通風路(9)を有し、この通風路(9)は、第1通路(18)と第2通路(19)とから構成されている。
【0020】
上記第1通路(18)には、上流側から順に吸着ロータ(10)、蒸発器(14)及び第1送風機(16)が設けられている。吸着ロータ(10)は、湿気吸着性を有する吸着エレメントを備えていて、吸着ロータ(10)のうち第1通路(18)内に位置する領域は、空気中の湿気を吸着する吸着領域(11)となっている。
【0021】
上記第1通路(18)の下流端のケーシング(33)には、第1吹出口(45)が形成された第1吹出部(43)が設けられていて、第1通路(18)内の第1吹出部(43)には、詳しくは後述する静電噴霧装置(30)が取付部材(31)によって取り付けられている。第1吹出口(45)から第1送風機(16)によって室内に乾燥空気が送風されるようになっている。第1吹出部(43)は、室内に干した洗濯物に乾燥空気を供給するために、除湿器(1)の上部に設けられている。
【0022】
上記第2通路(19)は、メイン通路(32)と、このメイン通路(32)と並列に設けられたバイパス通路(35)とを備えている。メイン通路(32)には、上流側から順に、加熱ヒータ(13)及び吸着ロータ(10)が設けられている。吸着ロータ(10)のうちメイン通路(32)内に位置する領域は、吸着された湿気を脱着させて吸着ロータ(10)を再生させる再生領域(12)となる。バイパス通路(35)には、ダンパ(15)が設けられている。このダンパ(15)は、バイパス通路(35)の通風量を調節することによって、吸着ロータ(10)の再生領域(12)が再生に適した温度になるように、メイン通路(32)の通風量を調節する。第2通路(19)の下流側には、凝縮器(3)、貯水タンク(34)及び第2送風機(17)が設けられている。また、第2通路(19)の下流端のケーシング(33)には、第2吹出口(46)が形成された第2吹出部(47)が設けられ、第2吹出口(46)から第2送風機(17)によって室内に空気が送風されるようになっている。
【0023】
図2に示すように、上記蒸発器(14)及び凝縮器(3)は冷媒回路(5)に設けられている。冷媒回路(5)は、圧縮機(6)、蒸発器(14)、膨張弁(4)及び凝縮器(3)が接続されてなる。
【0024】
上記静電噴霧装置(30)は、噴霧溶液である液体を霧化させると共に、該液体に電圧を付与して帯電させて噴霧する静電噴霧装置本体(20)と、静電噴霧装置本体(20)をケーシング(33)に取り付けるための取付部材(31)とを有している。静電噴霧装置本体(20)は取付部材(31)によってケーシング(33)と一体に設けられていてもよいし、取付部材(31)によって着脱自在に取り付けられていてもよい。
【0025】
上記静電噴霧装置本体(20)は、図3に示すように、矩形の箱状に形成され、その内部に、液体が充填された容器(21)と、該容器(21)に挿入されるノズル(22)と、容器(21)内の液体をノズルに供給する液搬送機構(23)と、上記ノズルの先端に電界を形成する電界形成機構(26)と、該電界形成機構(26)及び上記液搬送機構(23)を制御するコントローラ(28)とが収容されている。
【0026】
上記ノズル(22)は、容器(21)の液体を外部に噴霧させるためのものである。ノズル(22)は、後端から先端に亘って内径が一様なチューブ状に形成され、後端が容器(21)の内部で開口する一方、先端が静電噴霧装置本体(20)の外部で開口している。
【0027】
上記液搬送機構(23)は、モータ部(25)が取り付けられたピストン(24)を備え、該ピストン(24)が、シリンダである容器(21)内に設けられている。つまり、液搬送機構(23)は、ピストン(24)を、容器(21)内において移動させることで、容器(21)内の液体をノズル(22)に供給するように構成されている。
【0028】
上記電界形成機構(26)は、線材(27)によってノズル(22)と電気的に接続された電源を有している。つまり、電界形成機構(26)は、電源が、電池からの出力電圧を高電圧に変換し、該高電圧を線材(27)を介してノズル(22)に供給することで、該ノズル(22)の先端に電界を形成するよう構成されている。
【0029】
上記コントローラ(28)は、上記液搬送機構(23)及び電界形成機構(26)に接続されて、それぞれを制御している。まず、液搬送機構(23)においては、ノズル(22)に対する容器(21)内の液体の供給量を調整している。具体的には、ピストン(24)に接続されるモータ部(25)の回転数を制御することで、容器(21)内でのピストン(24)の移動量を制御している。これにより、ノズル(22)に供給する液体量を調整している。次に、電界形成機構(26)においては、電源から出力される電圧を調整している。具体的には、出力される電圧値と、電圧印加のON及びOFFとを制御している。
【0030】
上記取付部材(31)は、静電噴霧装置本体(20)を上記除湿器(1)のケーシング(33)内における第1吹出部(43)に取り付けるためのものである。静電噴霧装置本体(20)は、ノズル(22)の先端が、第1吹出口(45)に向くように第1吹出部(43)に取り付けられ、第1吹出口(45)から吹き出される乾燥空気の空気流に、静電噴霧装置本体(20)から噴霧される液体が乗せられるようになっている。
【0031】
そして、上記静電噴霧装置本体(20)の容器(21)内に充填される噴霧溶液には、抗菌剤として銀イオンが含まれている。
【0032】
(運転動作)
次に、除湿器(1)の動作について説明する。
【0033】
上記冷媒回路(5)では、圧縮機(6)から吐出された冷媒は、凝縮器(3)で凝縮し、膨張弁(4)により減圧膨張され、蒸発器(14)で蒸発して圧縮機(6)に戻る循環を行う。
【0034】
通風路(9)にあっては、一部の室内空気は第1通路(18)を流れ、吸着ロータ(10)の吸着領域(11)において除湿される。このとき、吸着領域(11)において、吸着に伴う発熱が起こり、室内空気は加熱され、除湿されるとともに温度が上昇する。その後、空気は蒸発器(14)において冷媒回路(5)の冷媒によって冷却されて乾燥空気となり、第1送風機(16)によって第1吹出口(45)から室内に吹き出される。
【0035】
一方、第2通路(19)に流入した室内空気は、加熱ヒータ(13)によって加熱されて高温の空気になり、吸着ロータ(10)の再生領域(12)に流入する。この高温空気は再生領域(12)に付着している水分を脱着し、吸着剤を再生させる。再生された吸着剤は、吸着ロータ(10)の回転によって吸着領域(11)側に移動して、再び除湿を行う。
【0036】
上記吸着ロータ(10)から水分を脱着して加湿された多湿空気は、凝縮器(3)を通って冷却されて水分が凝縮し貯水タンク(34)に貯まる。
【0037】
次に、静電噴霧装置(30)の動作について説明する。
【0038】
まず、電源スイッチ(図示なし)をONにすると、ノズル(22)に電界が形成されるとともに、抗菌剤として銀イオンを含む溶液が容器(21)から単位時間当たりにわずかな量ずつ送り出されてノズル(22)の先端に移動する。ここで、電源からノズル(22)を介してノズル(22)内の液体に電荷が付与されるため、液体が分極し、ノズル(22)の先端の気液界面の近傍に例えば+(プラス)の電荷が集まる。そして、ノズル(22)の先端では、気液界面が引き延ばされて円錐状となり、この円錐状となった気液界面の頂部から一部の液体が引きちぎられて液滴化する。この作用が繰り返し発生してノズル(22)から液体の液滴が噴霧される。
【0039】
上記除湿器(1)の第1吹出口(45)から乾燥空気が吹き出されて、室内に干した洗濯物の乾燥が行われているときに、上記静電噴霧装置本体(20)も作動させるときには、上記静電噴霧装置本体(20)が第1吹出部(43)に取り付けられているため、ノズル(22)から噴霧される液滴は、第1吹出口(45)から吹き出される乾燥空気の空気流に乗り、室内に干した洗濯物に付着する。
【0040】
(実施形態の効果)
したがって、本実施形態の除湿器(1)においては、除湿器(1)に静電噴霧装置(30)を設け、この静電噴霧装置(30)の噴霧溶液に抗菌剤を含ませたので、除湿器(1)によって室内に干した洗濯物を乾燥させる際に、抗菌剤が含まれる噴霧溶液を噴霧することで、噴霧溶液が洗濯物に付着し、洗濯物を抗菌して消臭することができるので、洗濯物の臭いを抑制することができる。
【0041】
また、静電噴霧装置(30)から噴霧される溶液は帯電しているため、洗濯物の水分に引き寄せられるので、効率的に抗菌剤が含まれた噴霧溶液を洗濯物に付着させることができるので、効果的に消臭することができる。
【0042】
また、静電噴霧装置(30)から噴霧される噴霧溶液が、除湿器(1)の第1吹出口(45)から吹き出される乾燥空気の空気流に乗るように構成したので、抗菌剤を含んだ噴霧溶液が洗濯物に効率的に付着し、より効果的に洗濯物を消臭することができる。
【0043】
また、抗菌効果の高い銀イオンで抗菌剤を構成したことで、効果的に洗濯物を消臭することができる。
【0044】
(その他の実施形態)
なお、上述の実施形態は、本発明の例示であって、本発明はこの例に限定されるものではない。本発明の除湿器(1)は、噴霧溶液に抗菌剤を含む静電噴霧装置(30)を備えているものであればどのような構成のものでもよい。
【0045】
また、静電噴霧装置(30)は、霧化させ且つ帯電させた噴霧溶液を噴霧するものであれば、どのような構成のものでもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、抗菌剤を銀イオンで構成したが、これには限定されず、銀イオン以外の抗菌効果を有するもので構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明したように、本発明は、室内を除湿する除湿機に関し、特に、室内に干した洗濯物の乾燥への利用に係るものについて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態に係る除湿器の通風路の構成図である。
【図2】除湿器の構成を示すブロック図である。
【図3】静電噴霧装置本体を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 除湿器
30 静電噴霧装置
43 第1吹出部(吹出部)
45 第1吹出口(吹出口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧溶液を霧化させ、且つ帯電させた状態で噴霧するための静電噴霧装置(30)が取り付けられ、
上記噴霧溶液に抗菌剤が含まれていることを特徴とする除湿器。
【請求項2】
請求項1の除湿器において、
上記静電噴霧装置(30)は、乾燥空気が吹き出される吹出口(45)が形成された吹出部(43)に取り付けられ、上記静電噴霧装置(30)から噴霧される噴霧溶液が上記吹出口(45)から吹き出される空気流に乗るように構成されていることを特徴とする除湿器。
【請求項3】
請求項1又は2の除湿器において、
上記抗菌剤は銀イオンで構成されていることを特徴とする除湿器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−183922(P2009−183922A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29518(P2008−29518)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】