説明

除電装置及び除電方法

【課題】帯電体の周辺の余剰な空気イオンを低減することで、帯電体の除電に有効な空気イオンを高効率で供給することができ、高い除電効果を有する除電装置及び除電方法を提供する。
【解決手段】放電電極2と、放電電極に高電圧送電用ケーブル4を介して高電圧を供給する高電圧電源3とを有し、放電電極2による放電で生成された空気イオンにより除電対象の帯電体1を除電する除電装置であって、放電電極2と帯電体1との間で、放電電極2と帯電体1との中間点11よりも帯電体1に近い位置12に配置された接地部材5を有する。放電電極2から帯電体1に向って空気イオンを供給して、帯電体1の除電を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除電装置及び除電方法に関し、特に、コロナ放電により正負の空気イオンを生成し、この空気イオンを、例えば、コロナ放電により生じるイオン風、圧縮空気噴出機から噴出された空気流、送風機による空気流などにより移送して、除電対象の帯電体の除電を行う除電装置及び除電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放電電極に高電圧送電用ケーブルを介して接続されて高電圧を供給する高電圧電源を有するイオン生成装置(除電装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。このイオン生成装置は、放電電極が放電針を備え、高電圧電源から出力される高電圧を放電針に印加して放電針から発生するコロナ放電により空気分子をイオン化して空気イオンを生成し、その空気イオンによって除電対象の帯電体の電荷を中和することで除電を行う。
【0003】
除電装置としては、交流高電圧方式、直流高電圧方式、パルス状直流高電圧方式などが知られている。交流高電圧方式の除電装置は、放電電極として放電針と対向電極とを有する。対向電極は接地されており、放電針に交流高電圧電源による交流高電圧が印加されると、放電針にコロナ放電が発生し、正の空気イオンと負の空気イオンとが交流高電圧の周波数に応じて交互に放出される。
【0004】
直流高電圧方式の除電装置は、放電電極として正極放電針と負極放電針とを有する。正極放電針に正の直流高電圧が印加されると、コロナ放電により正の空気イオンが生成され、負極放電針に負の直流高電圧が印加されると、コロナ放電により負の空気イオンが生成され、正負の空気イオンが放出される。
【0005】
パルス状直流高電圧方式の除電装置は、正極放電針と負極放電針とを有する。正のパルス状直流高電圧と負のパルス状直流高電圧が交互に正極放電針と負極放電針に印加されて、正の空気イオンと負の空気イオンが交互に放出される。
【0006】
除電装置から帯電体に供給される正負の空気イオンのうち、帯電体の極性に対して逆極性の空気イオンは、帯電体に接触することで電気的に中性の空気分子となる。そして、帯電体が、その逆極性の空気イオンにより中和されることで、除電が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−3568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した除電装置では、正負の空気イオンが放出されるので、除電に寄与しない空気イオン(帯電体と同極性の空気イオン)が、帯電体の周辺に残留してしまう場合があり、この残留空気イオンは空間電荷となる。このため、除電装置から帯電体への空気イオンの供給が、帯電体の周辺に残留した空気イオンにより阻害されて、除電効果が低下する場合がある。
【0009】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、帯電体の周辺の余剰な空気イオンを低減することで、帯電体の除電に有効な空気イオンを高効率で供給することができ、高い除電効果を有する除電装置及び除電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の除電装置は、放電電極と、前記放電電極に高電圧送電用ケーブルを介して高電圧を供給する高電圧電源とを有し、前記放電電極による放電で生成された空気イオンにより除電対象の帯電体を除電する除電装置であって、前記放電電極と前記帯電体との間で、該放電電極と該帯電体との中間点よりも該帯電体に近い位置に配置された接地部材を有することを特徴とする。
【0011】
本発明において中間点とは、放電電極と帯電体との間の中点とその近傍の点を含むようなある程度の幅を有している範囲の点を意味している。
【0012】
本発明の除電装置によれば、接地部材が、放電電極と帯電体との間で、放電電極と帯電体との中間点よりも帯電体に近い位置に配置されている。この位置に接地部材が配置されているので、帯電体と接地部材との間に電界が形成される。放電電極で生成された空気イオンは、この電界の影響を受ける。すなわち、帯電体の極性に対して逆の極性の空気イオンが、帯電体に吸引されて、帯電体の電荷の中和が促進される。一方、帯電体の極性と同極性の空気イオンは、接地部材に吸引されて電荷を接地部材に放出し、電気的に中性の空気分子となる。
【0013】
上記のように接地部材を配置することにより、帯電体と接地部材との間に存在する、帯電体の除電に寄与しない余剰な空気イオンを低減することができる。このため、除電装置は、帯電体を除電するために有効な極性の空気イオンを高効率で帯電体に供給することができ、高い除電効果を有する。
【0014】
また、放電電極から放出される正負の空気イオンの量が等しくない場合であっても、過剰の極性の空気イオンが接地部材に吸着されるので、正負の空気イオンの量を、帯電体を除電するために最適化することができる。これにより、高い除電効果を得ることができる。
【0015】
上記除電装置は、放電電極として放電針と対向電極とを有し、前記高電圧電源が放電電極に交流高電圧を印加するようにしてもよい。すなわち、除電装置が交流高電圧方式であっても、帯電体を除電するために有効な空気イオンを高い効率で帯電体に供給することができる。
【0016】
また、上記除電装置は、放電電極として正極放電針と負極放電針とを有し、前記高電圧電源は、前記正極放電針に正の高電圧を、前記負極放電針に負の高電圧を、それぞれ印加するようにしてもよい。すなわち、除電装置が直流高電圧方式であっても、帯電体を除電するために有効な空気イオンを高い効率で帯電体に供給することができる。
【0017】
また、上記接地部材として、一又は複数の直線状の金属部材を用いてもよい。このように、接地部材が比較的簡単な構成であっても、高い除電効果を有する除電装置を提供することができる。
【0018】
また、接地部材は、格子形状に形成されていてもよい。格子形状の接地部材は、比較的大きな表面積を有するので、除電に寄与しない余剰な空気イオンを高効率で除去することができる。すなわち、接地部材が比較的簡単な構成であっても、高い除電効果を有する除電装置を提供することができる。
【0019】
また、除電装置は、前記放電電極で生成された空気イオンを前記帯電体に移送する空気流を生成する手段として送風機を有してもよい。この場合、除電装置は、送風機からの空気流により、放電電極から帯電体に、比較的多量の空気イオンを供給することができ、高い除電効果を有する。
【0020】
また、除電装置は、前記放電電極で生成された空気イオンを、前記帯電体に移送する空気流を生成する手段として圧縮空気噴出機を有してもよい。このように、除電装置は、圧縮空気噴出機からの空気流により、放電電極から帯電体に比較的多量の空気イオンを供給することができ、高い除電効果を有する。
【0021】
また、接地部材は、「該接地部材と帯電体の間の距離Yが、放電電極と帯電体との間の距離Lの0.05倍以上0.7倍未満である」すなわち0.05≦Y/L<0.7という条件を満たすことで、接地部材と帯電体との間に高電界を形成して、帯電体の除電に寄与しない余剰の空気イオンを低減し、帯電体を除電するために有効な極性の空気イオンを、高効率で帯電体に供給することができる。すなわち、比較的短時間で帯電体を除電することができ、高い除電効果を有する除電装置を提供することができる。
【0022】
また、接地部材は、前記帯電体の帯電に応じた誘起電荷を生じ、該誘起電荷及び該帯電体の帯電に応じた電界を該接地部材と該帯電体との間に形成する位置に配置されていることが好ましい。このように、接地部材と帯電体との間に電界が形成されるので、帯電体の除電に寄与しない余剰の空気イオンを低減して、高い除電効果を有する除電装置を提供することができる。
【0023】
また、接地部材は、前記放電電極から前記帯電体に向う直線上の位置または該位置から前記直線に直交する方向に沿って所定の幅を有する範囲内の位置に配置されていることが好ましい。放電電極から帯電体に向う直線上の位置およびその位置から直線に直交する方向に沿って所定の幅を有する範囲内の位置では、コロナ放電で生成された空気イオンの濃度が比較的高い。この高い空気イオン濃度の位置に接地部材が配置されているので、除電装置は比較的高い除電効果を有する。
【0024】
また、本発明の除電方法は、放電電極と、前記放電電極に高電圧送電用ケーブルを介して高電圧を供給する高電圧電源とを有する除電装置により、前記放電電極による放電で生成された空気イオンにより除電対象の帯電体を除電する除電方法であって、前記放電電極と前記帯電体との間で、該放電電極と該帯電体との中間点よりも該帯電体に近い位置に接地部材を配置し、前記放電電極から前記帯電体に空気イオンを供給して、該帯電体の除電を行うことを特徴とする。
【0025】
本発明の除電方法によれば、帯電体の周辺に残留する余剰な空気イオンを低減することができると共に、帯電体の除電に有効な空気イオンを高効率で供給することができ、比較的高い除電効果を有する。
【0026】
上記除電方法において、接地部材は、「接地部材と帯電体との間の距離Yが、前記放電電極と前記帯電体との間の距離Lの0.05倍以上0.7倍未満である」すなわち0.05≦Y/L<0.7という条件を満たす位置に配置されていることが好ましい。このように、接地部材が上記条件を満たす位置に配置されると、接地部材と帯電体との間に高電界を形成して、帯電体の除電に寄与しない余剰の空気イオンを低減し、帯電体を除電するために有効な極性の空気イオンを、高効率で帯電体に供給することができる。すなわち、比較的短時間で帯電体を除電することができると共に、高い除電効果を有する除電方法を提供することができる。
【0027】
また、上記除電方法において前記接地部材は、前記帯電体の帯電に応じた誘起電荷を生じ、該誘起電荷及び該帯電体の帯電に応じた電界を該接地部材と該帯電体との間に形成する位置に配置されていることが好ましい。このように、接地部材と帯電体との間に電界が形成されるので、帯電体の除電に寄与しない余剰の空気イオンを低減することができ、高い除電効果を有する除電方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態の除電装置の構成図。
【図2】本発明の第2実施形態の除電装置の構成図。
【図3】本発明の第3実施形態の除電装置の接地部材を説明するための斜視図。
【図4】本発明の第4実施形態の除電装置の接地部材の構成図。
【図5】本発明の第5実施形態の除電装置の構成図。
【図6】本発明の第6実施形態の除電装置の構成図。
【図7】本発明の実施形態の除電装置の除電性能を評価するシステム構成(接地部材が放電電極の直下位置にある場合)を示す図。
【図8】除電時の金属製プレートの帯電電圧(接地部材ありとなしの場合)を示す図。
【図9】本発明の実施形態の除電装置の除電性能を評価するシステム構成(接地部材が放電電極の直下位置から水平方向にずれた位置にある場合)を示す図。
【図10】図9に示した場合の除電装置の除電性能を説明するための図であって、(a)は接地部材と金属製プレート間の垂直距離Yとオフセット電圧の関係、(b)は金属製プレートの(+)減衰時間、(c)は金属製プレートの(−)減衰時間を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態の除電装置を図1を参照しながら説明する。本実施形態の除電装置は、コロナ放電により空気イオンを生成し、その空気イオンを除電対象の帯電体1に供給することにより、帯電体1を除電する。除電装置は、図1に示すように、放電電極2、高電圧電源3、高電圧送電用ケーブル(導電線)4、及び接地部材5を有する。
【0030】
放電電極2は、放電針6と対向電極7とを有する。放電針6には高電圧が印加される。放電針6の一部は絶縁体8により被覆されている。対向電極7は、放電針6の近傍に設けられており、導電線10を介して接地されるとともに、高電圧電源3に電気的に接続されている。
【0031】
高電圧電源3は、高電圧送電用ケーブル4を介して放電電極2に高電圧を供給する。高電圧電源3としては、例えば、交流高電圧方式、直流高電圧方式、パルス高電圧方式を採用することができる。本実施形態の高電圧電源3としては、交流高電圧方式のものを採用する。
【0032】
接地部材5は、放電電極2と帯電体1との間に配置されている。接地部材5の形成材料としては、例えば鉄などの金属材料を採用することができる。また、接地部材5は、金属部材で構成され、帯電体1の近傍に配置されている。詳細には、接地部材5は、図1に示すように、放電電極2と帯電体1との間で、その放電電極2と帯電体1との中間点11よりも帯電体1に近い位置12に配置されている。つまり接地部材5は、この中間点11より帯電体1側に配置されている。
【0033】
本発明でいう中間点11は、放電電極2と帯電体1との間の中点とその近傍点を含むようなある程度の幅を有する範囲の点を意味している。
【0034】
また、接地部材5は、導電線(接地線)13を介して接地されている。また、接地部材5は、図1に示すように、静電誘導により、帯電体1の帯電(電荷)に応じた誘起電荷を生じ、その誘起電荷及び帯電体1の帯電に応じた電界Eを、接地部材5と帯電体1との間に生成する。その誘起電荷は、帯電体1の極性に対して逆極性であり、帯電体1と接地部材5との間に、帯電体1の帯電に応じた電界Eが形成される。なお、この電界Eの向きは、帯電体1と誘電電荷の極性により規定される。
【0035】
次に、本実施形態の除電装置の動作を説明する。除電装置では、高電圧電源3から放電電極2に高電圧送電用ケーブル4を介して高電圧を供給すると、放電電極2の先端付近に不均一な電界が形成されてコロナ放電が生じる。このコロナ放電により放電電極2の周囲に正負の空気イオン生成される。より詳細には、高電圧電源3から放電電極2に交流高電圧が印加されると、放電針6の先端部近傍にコロナ放電が発生し、このコロナ放電により、正の空気イオンと負の空気イオンとが交流高電圧の周波数に応じて交互に放出される。
【0036】
コロナ放電により生じた空気イオンは、帯電体1に供給される。この際、この空気イオンは、帯電体1と接地部材5との間に形成された電界Eの影響を受ける。
【0037】
詳細には、コロナ放電により生成された空気イオンのうち、帯電体1の極性に対して逆極性の空気イオンは、帯電体1に吸引されて、電気的に中性の空気分子となる。そして、帯電体1が、その逆極性の空気イオンから電荷を受けて中和されることで、除電が行われる。
【0038】
一方、コロナ放電により生成された空気イオンのうち、帯電体1の帯電極性と同じ極性の空気イオンは、接地部材5に吸引されて、電気的に中性の空気分子となる。また、帯電体1を除電することに寄与しない余剰な空気イオンが、帯電体1の近傍に存在した場合、その余剰な空気イオンが接地部材5に吸引されて、電気的に中性の空気分子となる。
【0039】
以上のように、本実施形態の除電装置は、放電電極2と帯電体1との間に接地部材5を設けた状態で、空気イオンを接地部材5経由で帯電体1に供給している。このため、接地部材5が、帯電体1の除電に寄与しない極性の空気イオンを捕獲するので、帯電体1の除電に寄与する極性の空気イオンを、帯電体1に高効率で供給することができる。つまり、この除電装置は、高い除電効果を有する。
【0040】
また、帯電体1の周囲に、帯電体1の除電に寄与しない余剰な空気イオンが浮遊している場合でも、接地部材5は、その余剰な空気イオンを捕獲して電気的に中性化するので、帯電体1の近傍の余剰な空気イオンを低減することができる。このため、除電装置は、帯電体1を除電するために有効な極性の空気イオンを、高効率で帯電体1に供給することができる。
【0041】
[第2実施形態]
図2を参照しながら、本発明の第2実施形態の除電装置を説明する。第1実施形態と同様な構成要素については、第1実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0042】
本実施形態の除電装置では、高電圧電源3として直流高電圧電源を採用する。本実施形態の放電電極21は、正極放電針22及び負極放電針23を有する。放電電極21の一部は絶縁体24により被覆されている。高電圧電源3と正極放電針22とは、導電線(正側出力線)25を介して電気的に接続され、高電圧電源3と負極放電針23とは導電線(負側出力線)26を介して電気的に接続されている。
【0043】
本実施形態の除電装置では、高電圧電源3から正極放電針22及び負極放電針23に、所定の直流高電圧が印加されると、正極放電針22ではコロナ放電により正の空気イオンが生成され、負極放電針23ではコロナ放電により負の空気イオンが生成され、空気イオンが、接地部材5経由で帯電体1に供給される。接地部材5の動作については、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0044】
以上のように、直流高電圧方式を採用した場合であっても、接地部材5が設けられているので、この除電装置は高い除電効果を有する。
【0045】
また、直流高電圧方式を採用した場合、図2に示すように、直流型の放電電極21として、正極放電針22と負極放電針23の近傍に、対向電極27を設けてもよい。この対向電極27は導電線28を介して接地されると共に、導電線28,29を介して高電圧電源3に電気的に接続されている。この対向電極27を設けることにより、正極放電針22及び負極放電針23の直流コロナ放電を安定化することができる。
【0046】
[第3実施形態]
図3を参照しながら、本実施形態の接地部材30を説明する。第1実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0047】
接地部材30は、図3に示すように、直線状(棒状)の金属部材で構成されている。この直線状(棒状)の接地部材30は、例えば図3に示すように、その長手方向が帯電体1の表面に沿う方向と平行となるように配置されていることが好ましい。このように接地部材30を配置することで、静電誘導により、接地部材30に略均一に誘起電荷が生じ、接地部材30と帯電体1との間に広範囲に亘って電界Eを形成することができる。すなわち、接地部材30と帯電体1との間に広範囲に亘って電界Eが形成されているので、帯電体1の周囲の余剰な空気イオンの単位時間当りの吸引量が大きくなり、より高い除電効果を得ることができる。
【0048】
また、接地部材30として、2つ直線状(棒状)の金属部材で構成されていてもよい。この2つの直線状の金属部材は、その長手方向が平行となるように配置されていてもよいし、互いに直交するように配置されていてもよい。こうすることにより、接地部材30と帯電体1との間に、より広範囲に亘って均一な電界Eを形成することができる。すなわち、空気イオンを接地部材30経由で帯電体1に供給することにより、より高い除電効果を得ることができる。
【0049】
また、接地部材30として、複数の直線状(棒状)の金属部材を採用することで、より高い除電効果を得ることができる。
【0050】
[第4実施形態]
図4を参照しながら、本実施形態の接地部材40を説明する。第1実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0051】
本実施形態の接地部材40は、図4に示すように、格子形状に形成された金属部材で構成されている。この格子形状の接地部材40は、その格子面が帯電体1の表面と略平行となるように配置されていることが好ましい。このように接地部材40を配置することで、静電誘導により、格子形状の接地部材40に略均一に誘起電荷が生じ、接地部材40と帯電体1との間で広範囲に亘って均一な電界Eを形成することができる。これにより、高い除電効果を得ることができる。
【0052】
また、格子形状の接地部材40には、複数の通気孔部41が形成されている。接地部材40は、除電に寄与しない余剰な空気イオンを高効率で除去することができ、除電に寄与する空気イオンを通気孔部41を通して帯電体1に供給することができる。
【0053】
また、格子形状の接地部材40は、例えば棒形状の接地部材と比較して、表面積が大きいので、除電に寄与しない余剰な空気イオンを高効率で除去することができる。
【0054】
接地部材40は、その外周縁部が矩形状、円形状、楕円形状、多角形状等、任意の形状でもよい。また、接地部材40の通気孔部41の形状は、矩形状、円形状、楕円形状、多角形状等、任意の形状でもよい。
【0055】
[第5実施形態]
図5を参照しながら、本発明の第5実施形態の除電装置を説明する。第1実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、説明を省略する。本実施形態の除電装置は、放電電極で生成された空気イオンを、帯電体1に移送する空気流を生成する送風機50を備える。
【0056】
詳細には、図5に示すように、本実施形態の除電装置は、筐体51を有する。この筐体51内に、放電針6と対向電極7とを有する放電電極2、放電針6に高電圧送電用ケーブル(導電線)4を介して電気的に接続された高電圧電源3、及び導電線10が収容されている。筐体51は、空気取入口52と空気排出口53とを備えている。本実施形態では、送風機50が、空気取入口52の近傍に設けられている。この送風機50は、放電電極2で生成された空気イオンを、帯電体1に移送する空気流を生成する。
【0057】
本実施形態の除電装置では、動作時、送風機50が放電電極2の後方から送風し、放電電極2で生成された空気イオンを、空気排出口53を介して帯電体1に移送する。このため、本実施形態の除電装置は、第1実施形態と比較して、比較的多量の空気イオンを接地部材5及び帯電体1に向って放出することができ、高い除電効果を有する。
【0058】
[第6実施形態]
図6を参照しながら、本発明の第6実施形態の除電装置を説明する。第1実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0059】
本実施形態の除電装置は、放電電極2で生成された空気イオンを、帯電体1に移送する空気流を生成する圧縮空気噴出機(空気圧縮機)60、及び放電電極2を収容するノズル61を有する。図6に示すように、ノズル61は内部に放電電極2の放電針6を収容している。また、ノズル61は、放電針6の前方側に開口部61aを備え、放電針6の後方側に孔部61bを備えている。このノズル61の開口部61aには対向電極7が備えられている。また、ノズル61の孔部61bには、圧縮空気噴出機(空気圧縮機)60と連通する空気配管62が接続されている。
【0060】
本実施形態の除電装置では、動作時、圧縮空気噴出機(空気圧縮機)60から出力された空気流が、空気配管62を通ってノズル61の孔部61bから噴出し、その空気流が放電電極2で生成された空気イオンを、ノズル61の開口部61aを介して帯電体1に移送する。このため、本実施形態の除電装置は、簡単な構成で、比較的多量の空気イオンを接地部材5及び帯電体1に向って放出することができ、高い除電効果を有する。
【0061】
[除電性能試験]
本発明の実施形態の除電装置を使用して帯電体の除電を行う場合の除電性能試験について、図7を参照しながら説明する。
【0062】
除電性能試験には、帯電プレートモニタ71を用いた。帯電プレートモニタ71は、その本体72に、絶縁物74を介して所定の大きさ(例えば150mm角)の金属製プレート73を備える。金属製プレート73は、除電対象の帯電体を模擬するものである。また、本体72は、表面電位測定装置75、直流高電圧電源76、及びタイマ77を有する。
【0063】
帯電プレートモニタ71は、直流高電圧電源76から金属製プレート73に、所定の直流電圧(例えば+1000V又は−1000V)を印加することで、その金属製プレート73を正極性又は負極性の電荷で帯電することができるように構成されている。また、帯電プレートモニタ71は、表面電位測定装置75及びタイマ77により、例えば、金属製プレート73の電位が、+1000Vから+100Vまで減衰する時間(「+減衰時間」という)、及び−1000Vから−100Vまで減衰する時間(「−減衰時間」)という)を測定することができるように構成されている。
【0064】
また、除電性能試験に用いる除電装置の放電電極78としては、第6実施形態の除電装置のノズル収容型の放電電極を複数個並べて配置された横長形状(バー状)の放電電極を採用している。第1及び第6実施形態と同様な構成要素については、第1及び第6実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0065】
交流高電圧電源3が出力する交流高電圧のピーク値は9kV、周波数は200Hzである。ノズル61に供給される圧縮空気の圧力は0.15MPaである。
【0066】
また、図7に示すように、帯電プレートモニタ71の金属製プレート73の上方、所定の距離Lだけ離れた位置に、放電電極78を配置した。接地部材5としては、直径φ6mmの真鍮棒を採用した。また、金属製プレート73の上方、所定の距離Yだけ離れた位置に接地部材5を配置した。
【0067】
そして、放電電極78と金属製プレート73との間の距離Lを183mm及び305mmに設定し、接地部材5と金属製プレート73との間の距離Yを複数の値に設定して、除電性能試験を行った。
【0068】
この試験の結果を表1及び表2に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
表1及び表2に示すように、接地部材5を金属製プレート73の近傍に配置すると、接地部材5を設けない場合と比較して、除電対象の金属製プレート(帯電体)73の電荷減衰時間が短くなり、高い除電効果が得られた。また、イオンバランスの指標となる金属製プレート73のオフセット電圧も改善された。
【0072】
また、表1及び表2に示すように、金属製プレート(帯電体)73と放電電極78との間の距離Lと、金属製プレート(帯電体)73と接地部材5との間の距離Yとの比Y/Lが、0.05≦Y/L<0.7となる条件を満たすように、接地部材5を配置すると、電荷減衰時間が短くなり、オフセット電圧が0Vに近い値となり、オフセット電圧も改善されるという結果が得られた。オフセット電圧について、図8を参照しながら説明する。
【0073】
先ず、コロナ放電により生成される空気イオンのイオンバランスが負極性に偏っている場合について説明する。
【0074】
接地部材5を設けないとき、図8のグラフに実線で示すように、金属製プレート(帯電体)73の初期電位が正極性でも負極性でも、除電開始から所定時間経過後、金属製プレート73の最終的な電位(オフセット電圧)が負極性で同じ大きさとなる。一方、放電電極と金属製プレート73との間に接地部材5を設けたとき、接地部材5から負極性の金属製プレート73に向う電界が形成され、負極性の空気イオンが接地部材5に吸引されるため、図8のグラフに点線で示すように、オフセット電圧の大きさ(絶対値)が小さくなるように調整される。
【0075】
空気イオンのイオンバランスが正極に偏っている場合も同様であり、接地部材5を設けたことによる効果により、正極性のオフセット電圧の大きさ(絶対値)が低くなるように調整される。上述したことは表1及び表2にも示される。
【0076】
Y/Lが比較的小さい場合(Y/Lが約0.5より小さい場合)について説明する。表1(L=183mm)に示すように、接地部材5を設けない場合には、オフセット電圧が−75Vである。接地部材5を設けた場合には、Y/Lが0.05から0.38に大きくなると、オフセット電圧が−16Vから−8Vに低減する。表2(L=305mm)に示すように、接地部材5を設けない場合にはオフセット電圧が−61Vである。接地部材5を設けた場合には、Y/Lが0.03から0.54に大きくなると、オフセット電圧が−20Vから−7Vに低減する。
【0077】
この際、放電電極と接地部材5との間にも電界が形成され、この電界により除電に寄与する空気イオンが少量除去されるが、本発明に係る接地部材5は、上述した位置に配置されているので、帯電体と接地部材5との間の電界Eによる除電の効果が大きい。すなわち、本発明の除電装置は、高い除電効果を有する。
【0078】
また、コロナ放電により生成される正極性の空気イオンの量と負極性の空気イオンの量が同じでない場合、つまりイオンバランスがとれていないときに、放電電極と接地部材5との間の電界は、過剰な極性イオン(例えば負極性の空気イオン)を少量除去して帯電体の除電後のオフセット電圧を逆極性(例えば正)に偏らせるように寄与するが、本発明に係る接地部材5は上述した位置に配置されているので、帯電体の除電後のオフセット電圧の偏りを抑えることができる。
【0079】
次に、Y/Lが比較的大きい場合(Y/Lが約0.5より大きい場合)について説明する。表1(L=183mm)に示すように、接地部材5を設けた場合、Y/Lが0.49〜0.78では、オフセット電圧が+1V〜+27Vである。表2(L=305mm)に示すように、接地部材5を設けた場合、Y/Lが0.57〜0.83では、オフセット電圧が+7V〜+73Vである。この理由としては、Y/Lが比較的大きい場合では、放電電極と接地部材5との間に形成される電界により、過剰な負極性の空気イオンが、接地部材5に過剰に吸引され、接地部材5と帯電体との間のイオンバランスが正に偏るためである。上述した場合では、Y/Lが約0.5に近づくほど、接地部材5と帯電体間に形成された電界の効果により、オフセット電圧が低くなるように調整される。
【0080】
つまり、接地部材5と帯電体との間に電界Eが形成されると共に、接地部材5と放電電極との間に電界が形成されるが、接地部材5と帯電体との間に形成される電界Eによる除電に関する効果が比較的大きくなるような位置に、接地部材5が配置されることが望ましい。上記除電性能試験の結果によれば、高い除電効果を得るためには、上記電界E内に空気イオンが存在することを要することからY/Lは0.05以上(距離Yは10mm以上)、0.7未満であることが好ましい。
【0081】
すなわち、接地部材5は、「放電電極78と接地部材5との間の距離Yが、放電電極78と帯電体1との間の距離Lの0.05倍以上0.7倍未満である」との条件を満たす位置に配置されていることが好ましい。この位置に接地部材5が配置されることで、接地部材5と帯電体1との間に高電界Eを形成して、帯電体1の除電に寄与しない余剰の空気イオンを低減し、帯電体1を除電するために有効な極性の空気イオンを、高効率で帯電体1に供給することができる。また、好適には、「距離Yは距離Lの0.1倍以上0.5倍未満である」との条件を満たす位置に接地部材5が配置されることが、より高い除電効果を得るという観点から好ましい。
【0082】
また、減衰時間をより短時間とする観点から、距離Lが比較的短い場合(例えばL=約183mm)、表1に示すように、0.27≦Y/L≦0.49であることが好ましい。また、減衰時間をより短時間とする観点から、距離Lが比較的長い場合(例えばL=約305mm)、表2に示すように、0.41≦Y/L<0.57であることが好ましい。
【0083】
以上、説明したように、本発明に係る除電装置の接地部材5が配置される位置としては、帯電体の除電に寄与しない極性の空気イオンを効果的に除去するという観点から、接地部材5と帯電体との間に電界を形成し、且つ、その電界内にコロナ放電により生成された空気イオンが供給される位置が望ましい。
【0084】
詳細には、接地部材5が放電電極と帯電体の間に配置されると、帯電体と接地部材5との間に電界Eが形成され、その帯電体と接地部材5との間に存在する、除電に寄与する極性空気イオンが、その電界Eにより帯電体に吸引される。除電に寄与しない極性の空気イオンは、接地部材5に吸引されて電気的に中性の空気分子となる。その結果、除電速度が比較的速くなり、空気イオンのイオンバランスが調整される(自己調整)。
【0085】
次に、接地部材によるイオンバランスの自己調整について説明する。帯電体に正負の空気イオンを供給すると、帯電体は、帯電体に対して逆極性の空気イオンを吸引することで除電される。しかし、空気イオンのイオンバランスが偏っていると、帯電体の最終的な帯電(電荷)はゼロにならず、過剰な空気イオンと同極性の帯電を示す。
【0086】
本発明の実施形態に示す除電装置では、接地部材5が放電電極と帯電体との間に配置されている。このため、過剰な極性イオンに対して同極性に帯電した帯電体と接地部材5との間に電界Eが形成されるので、過剰な極性イオンが接地部材5に吸引され、除電開始から所定時間後、帯電体の最終的な帯電(電荷)の大きさが低減する。
【0087】
例えば、空気イオンのイオンバランスが正に偏っている場合、接地部材5を配置したことにより、除電開始から所定時間後、帯電体の最終的な帯電極性が正で、帯電の大きさが低減する。一方、空気イオンのイオンバランスが負に偏っている場合、上記接地部材5を設けたことにより、除電開始から所定時間後、帯電体の最終的な帯電極性が負で、帯電の大きさが低減する。
【0088】
すなわち、空気イオンのイオンバランスが正極性又は負極性に偏っていても、上記接地部材5を設けたことにより、帯電体の最終的な帯電の大きさの絶対値が小さくなるように自己調整される。
【0089】
次に、接地部材5が、放電電極から帯電体に向う直線上の位置または該位置から該直線に直交する方向に沿って所定の幅を有する範囲内の位置に配置されている場合について説明する。
【0090】
上記除電装置の放電電極は、帯電体に対向するように配置されている。具体的には、放電電極の下方に帯電体を配置した場合、コロナ放電により生成された空気イオンは、例えばイオン風,帯電体からの電界,空気流等により、放電電極から下方に移動するとともに、電界による作用や拡散により水平方向に広がる。すなわち、空気イオン濃度は、放電電極の直下位置で最も高く、その放電電極の直下位置から水平方向に沿った距離Xが大きい位置ほど低くなるような分布を有する。このため、接地部材5と帯電体との間に形成される電界中の空気イオン濃度が比較的高くなるような位置に、接地部材5を配置することが望ましい。
【0091】
上述した場合、接地部材の位置としては、高い除電効果を得るという観点から、放電電極の直下位置が最も望ましく、その直下位置から水平方向に沿って所定の幅の範囲内、例えば直下位置から水平方向に約15mm以下の範囲内であってもよい。
【0092】
次に、図9を参照しながら、接地部材5が放電電極78の直下位置から水平方向に距離X(水平距離)だけずれた位置に配置されたときの除電性能を説明する。図7に示した構成と同じものについては、説明を省略する。放電電極78と金属製プレート73との間の距離Lを183mmに設定し、距離Xを0mm,15mm,37.5mmに設定し、接地部材5と金属製プレート73との間の垂直距離Yを複数の値に設定して、オフセット電圧及び金属製プレート73の帯電の減衰時間に関する除電性能試験を行った。この試験の結果を、図10に示す。
【0093】
図10に示すように、距離Lを183mmに設定した場合、放電電極の直下位置及びその近傍(水平距離Xが15mm以内)に接地部材5を配置したときに、高い除電効果が得られた。詳細には、図10(a)に示すように、距離Xが0mmの場合、距離Yを10mmから150mmに大きくすると、距離Yが約90mm未満ではオフセット電圧が負であり、距離Yが約90mm以上ではオフセット電圧が正となる。距離Xが15mmの場合、オフセット電圧は負極性で、距離Yを大きくするほど、値(絶対値)が大きくなる。具体的には、距離Y=10mm〜123mm(Y/L=0.05〜0.67)では、X=15mmのオフセット電圧が−18V〜−50Vとなった。なお、距離Xが37.5mmの場合、Y/Lが0.05〜0.67でもオフセット電圧が−23V〜−86Vとなった。
【0094】
すなわち、接地部材5の距離Xが比較的大きく、接地部材5付近の空気イオン濃度が比較的低い場合、放電電極と接地部材5との間に形成された電界により、接地部材5での過剰イオンの過剰吸引が少量となることを示唆している。
【0095】
図10(b)及び図10(c)に示すように、距離Yが10mm〜123mm(Y/L=0.05〜0.67)では、距離X=0mmと距離X=15mmとの減衰時間の差が小さい。なお、距離Y=37.5mmでは、全体的に減衰時間が長く、特に距離Y>103mm(Y/L>0.56)では、(−)減衰時間が比較的長い。
【0096】
すなわち、上記除電性能試験の結果によれば、除電装置の除電効果は、接地部材5の位置における空気イオンの濃度よりも、接地部材5と帯電体との間の電界内における空気イオン濃度に左右されることを示唆している。つまり、高い除電効果を得るためには、接地部材5と帯電体との間の電界内における空気イオン濃度を高くすることが望ましい。
【0097】
以上、説明したように、接地部材5が「0.05≦Y/L<0.7、かつ、0mm≦X≦15mm」という条件を満たす位置に配置されているので、除電装置は高い除電効果とイオンバランス調整効果を得ることができる。
【0098】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではない。
【符号の説明】
【0099】
1…帯電体(除電対象)、2…放電電極、3…高電圧電源、4…高電圧送電用ケーブル(導電線)、5,30,40…接地部材、6…放電針、7…対向電極、50…送風機、60…圧縮空気噴出機(空気圧縮機)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電電極と、前記放電電極に高電圧送電用ケーブルを介して高電圧を供給する高電圧電源とを有し、前記放電電極による放電で生成された空気イオンにより除電対象の帯電体を除電する除電装置であって、
前記放電電極と前記帯電体との間で、該放電電極と該帯電体との中間点よりも該帯電体に近い位置に配置された接地部材を有することを特徴とする除電装置。
【請求項2】
前記放電電極は、放電針と対向電極とを有し、
前記高電圧電源は、前記放電電極に交流高電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の除電装置。
【請求項3】
前記放電電極は、正極放電針と負極放電針とを有し、
前記高電圧電源は、前記正極放電針に正の高電圧を、前記負極放電針に負の高電圧を、それぞれ印加することを特徴とする請求項1に記載の除電装置。
【請求項4】
前記接地部材は、一又は複数の直線状の金属部材であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の除電装置。
【請求項5】
前記接地部材は、格子形状に形成された金属部材であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の除電装置。
【請求項6】
前記放電電極で生成された空気イオンを前記帯電体に移送する空気流を生成する送風機を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の除電装置。
【請求項7】
前記放電電極で生成された空気イオンを前記帯電体に移送する空気流を生成する圧縮空気噴出機を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の除電装置。
【請求項8】
前記接地部材は、
該接地部材と前記帯電体との間の距離(Y)が、前記放電電極と前記帯電体との間の距離(L)の0.05倍以上0.7倍未満である、との条件を満たす位置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の除電装置。
【請求項9】
前記接地部材は、前記帯電体の帯電に応じた誘起電荷を生じ、該誘起電荷及び該帯電体の帯電に応じた電界を該接地部材と該帯電体との間に形成する位置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の除電装置。
【請求項10】
前記接地部材は、前記放電電極から前記帯電体に向う直線上の位置または該位置から前記直線に直交する方向に沿って所定の幅を有する範囲内の位置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の除電装置。
【請求項11】
放電電極と、前記放電電極に高電圧送電用ケーブルを介して高電圧を供給する高電圧電源とを有する除電装置により、前記放電電極による放電で生成された空気イオンにより除電対象の帯電体を除電する除電方法であって、
前記放電電極と前記帯電体との間で、該放電電極と該帯電体との中間点よりも該帯電体に近い位置に接地部材を配置し、前記放電電極から前記帯電体に空気イオンを供給して、該帯電体の除電を行うことを特徴とする除電方法。
【請求項12】
前記接地部材は、
該接地部材と前記帯電体との間の距離(Y)が、前記放電電極と前記帯電体との間の距離(L)の0.05倍以上0.7倍未満である、との条件を満たす位置に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の除電方法。
【請求項13】
前記接地部材は、前記帯電体の帯電に応じた誘起電荷を生じ、該誘起電荷及び該帯電体の帯電に応じた電界を該接地部材と該帯電体との間に形成する位置に配置されていることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の除電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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