説明

階段フェンス

【課題】蹴込み板の備えられる階段空間から当該階段裏側にフェンスを格納し、必要に応じて引き出し、起立して通路を塞ぐように用い得る階段フェンスの提供
【解決手段】階段の下部側にあって通路10cを塞ぐフェンスAを床面40a上又は段板11面上にある段板11の下方から階段10の階段下空間C内に出し入れ可能に収納し且つ引き出して床面40a上又は段板11面上に起立させて起立状態に保持手段Bで保持し、又は、階段の上部側にあって通路10cを塞ぐように用い得るフェンスAを階上から一段目又は二段目の段板11面上に起立可能且つ当該段板11面から床下空間Dに出し入れ可能に格納し、且つ、引き出し起立状態に保持手段Bで保持し得る構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、階段の構成する通路を塞ぐことによって当該階段通路への出入りを遮断するように用いることのできるフェンスを、必要時に、容易に取り出し用い得ると共に、不使用時に、簡易に収納し得るようにした階段フェンスの提供に関する。
【背景技術】
【0002】
幼児童、認知症者、ペット等が同居する居住環境において、当該幼児童等が、介護者の眼に届かない状態で階段を上ったり、あるいは、階段を下りたりすることがないように階段の下側や階段の上側に別段にフェンス等を備え付け設置して通常は閉鎖状態にしておき、必要に応じて開いて階段の上り下りをなすようにしていた。
【0003】
しかしながら、このような手法にあっては、既設の階段に個別にフェンスを備え付けたり、あるいは、別段に販売されているフェンス類を用いて個別に各階段の特長に合わせて設置する必要があり、設置処理が煩雑であると共に、幼児童等が階段通路に立ち入るのを確実に防ぐように構成するには相当の設備コストを要する不具合があった。
【0004】
かかる点から、階上にあって階段に連続する床に沿って腰壁等を有する場合、この腰壁等を用いて当該腰壁等の内部に引戸建具を収納用意し、この腰壁等から引き出して階段上を塞ぐようにして転落を防止するようにしたものがあった(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−50752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このように階上にあって階段上を塞ぐ引戸建具を都合良く収納し得る腰壁等の構造体を有しない構造の住宅にあっては、かかる引戸建具を都合良く備え付け難い場合があった。
【0007】
また、一階における階段の上り口を随時塞ぐように当該引戸建具を壁内に収納状態に設置用意することは難しく、この階段下からの階段通路への立ち入りを防ぐ手段を講ずる必要があった。
【0008】
この発明は、かかる点に着眼して、階段の上側にあっても、また、下側にあっても、随時、取り出し使用し、かつ、収納し得るフェンスを、確実に、しかも、容易に備え付け得るようにした階段フェンスの提供をなそうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために第1の発明は、階下の床面上又は一段目の段板面上に起立されて通路を塞ぐフェンスであって、
このフェンスが、前記床面上又は段板面上にある段板の下方から階段の階段下空間内に出し入れ可能に収納されており、
しかも、当該階段下空間から引き出して前記床面上又は段板面上に当該フェンスを起立させた際に、当該フェンスを起立状態に保持する保持手段を備えていることを特徴とする階段フェンスとしてある。
【0010】
このように構成される階段フェンスにあっては、階段下空間を用いることによって、この階段が構成する通路を階段の下側において塞ぐフェンスを当該階段下空間から随時必要に応じて引き出し、これを起立させて当該階段下からの階段への立ち入りを防ぎ、また、フェンスの設置が不要な際には、このフェンスを倒し込んで階段下空間内に押し入れて保管することができる。
【0011】
ついで、前記構成に係る階段フェンスにおいて、起立状態にして用いられる前記フェンスが、当該フェンスの下部側の回動軸線でガイド手段に起伏可能に組み付けてあると共に該フェンスを倒した状態で前記階段における段板の下方から当該階段の階段下空間内に出し入れ可能に納め入れ得るようにした階段フェンスでは、階段下空間から確実かつ円滑にフェンスの出し入れができ、しかも、このガイド手段に下部側を枢支させた状態で当該フェンスを起立状態に確実に保持することができる。
【0012】
更に、前記構成に係る階段フェンスにあって、起立状態にして用いられる前記フェンスが、上端に手摺を備えており、当該フェンスを段板の下方から当該階段の階段下空間内に納め入れた際に、当該手摺が該フェンスの出し入れ用開口を塞いで蹴込み板の一部をなすようにしてある階段フェンスでは、当該フェンスを階段下空間に収納した際に、階段の蹴込み面が通例の階段と同様の意匠面を備えたものとして構成することができる。
【0013】
また、前記課題を解決するために第2の発明は、階上の床面から一段下又は二段下の段板面上に起立されて通路を塞ぐフェンスであって、
このフェンスが、前記段板面上にある上框又は段板の下方から床下空間内に出し入れ可能に収納されており、
しかも、この床下空間から引き出して前記段板面上に当該フェンスを起立させた際に、当該フェンスを起立状態に保持する保持手段を備えていることを特徴とする階段フェンスとしてある。
【0014】
このように構成される階段フェンスにあっては、階上の床下空間を有効に用いることによって、この階段が構成する通路を階段の上部側において塞ぐフェンスを当該床下空間から随時必要に応じて引き出し、これを起立させて階上の床面からの階段への立ち入りを防ぎ、また、フェンスの設置が不要な際には、このフェンスを倒し込んで階上の床下空間内に押し入れ保管することができる。
【0015】
また、前記構成に係る階段フェンスにあって、起立状態にして用いられる前記フェンスが、当該フェンスの下部側の回動軸線でガイド手段に起伏可能に組み付けてあると共に該フェンスを倒した状態で前記階上の上框又は段板の下方から当該床下空間内に出し入れ可能に納め入れ得るようにした階段フェンスでは、床下空間から確実かつ円滑にフェンスの出し入れができ、しかも、このガイド手段に下部側を枢支させた状態で確実に当該フェンスを起立状態に保持することができる。
【0016】
更に、前記構成に係る階段フェンスにおいて、起立状態にして用いられる前記フェンスが、上端に手摺を備えており、当該フェンスを上框又は段板の下方から階上の床下空間内に納め入れた際に、当該手摺が該フェンスの出し入れ用開口を塞いで蹴込み板の一部をなすようにした階段フェンスでは、当該フェンスを床下空間に収納した際に、階段の意匠面を通例の階段と同様に構成することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る階段フェンスは、蹴込み板の備えられる階段空間を活用して、階段の下側にあっては、この蹴込み板の備えられる段板下から階段下空間にフェンスを出し入れ可能に収納し、階段の上側にあっては、上階の上框又は段板の下方から上階の床下空間にフェンスを出し入れ可能に収納し、この収納フェンスを必要に応じて取り出し、かつ、起立させて、階段通路に対する立ち入りを効果的に阻止し得る階段フェンスを効率良く構成できる利点を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図1〜図15にもとづいて、この発明を実施するための最良の形態に係る階段フェンスAについて説明する。
【0019】
ここで図1〜図8は当該第1の発明を実施するための最良の形態に係る典型的な階段フェンスAを示しており、図1では、当該フェンスAを階段10の下側に設置した状態を斜め上方から見て、図2では、これを正面から見て、図3〜図5では、当該フェンスAの収納状態と起立使用状態と、その出し入れ状態とを断面して側方から見て示している。図6では、当該フェンスAの回動可能な組み付け部材の各要部の部品を分離して斜め上方から見て示しており、図7及び図8では、当該フェンスAの保持手段Bによる保持状態を、図7では上方から見て、図8では断面して前方から見て示している。
【0020】
また図9〜図15は当該第2の発明を実施するための最良の形態に係る典型的な階段フェンスAを示しており、図9では、当該フェンスAを階段10の上部に設置した状態を正面から見て、図10では、当該フェンスAの起立使用状態を断面して側方から見て示している。図11及び図12では、当該フェンスAの使用状態の要部を示しており、図11では、踏み込みプレート26を跳ね上げている状態を、図12では、当該踏み込みプレート26を階上10bの床面40aに連続するようにセットした状態を、それぞれ斜め上方から見て示している。図13では、回動可能な組み付け部材の各要部の部品を分離して斜め上方から見て示している。図14及び図15では、当該フェンスAの保持手段Bによる保持状態を、図14では上方から見て、図15では断面して前方から見て示している。
【0021】
まず、第1の発明を実施するための最良の形態に係る階段フェンスAは、階下10aの床40の床面40a上又は一段目の段板11の段板面上に起立されて階段10の構成する通路10cを塞ぐフェンスAであって、
このフェンスAが、前記床面40a上又は段板11面上にある段板11の下方から階段10の階段下空間C内に出し入れ可能に収納されており、
しかも、当該階段下空間Cから引き出して前記床面40a上又は段板11面上に当該フェンスAを起立させた際に、当該フェンスAを起立状態に保持する保持手段Bを備える構成としてある。
【0022】
なお、ここで階段フェンスAの備えられる階段10は、いかなる形態の階段であってもよく、例えば、直階段、かね折階段、折返し階段、回り階段等、いかなる形態の階段に対しても当該階段フェンスAを備え付けることができる。
【0023】
また、この階段10に備えられるフェンスAは、当該階段10に対して幼児童、認知症者、ペット等が上るのを阻止し得るように前記床面40a上又は前記段板11面上に備えられて通路10cを塞ぐ構成としたものであれば、いかなる素材によって構成してあっても、また、いかなる、通路に構成してあっても、さらには、いかなる形態に構成してあってもよい。
【0024】
典型的には、床面40a上に、段板11に接するように起立されて階段通路10cを塞いだり、段板11面上に次の段板11に接するように起立されて階段通路10cを塞ぐように設置される。かかるフェンスAは、幼児童等が乗り越え得ない所定高さを備え、かつ、幼児童等がすり抜け得ない態様のものとして構成してあり、例えば、パネル、ボード等による目隠し状態のフェンスAとしてあっても、また、縦桟、横桟あるいは縦桟と横桟との組合せよりなる柵状材あるいは各種の網状材等による眼透かし状態のフェンスAとしてあってもよい。
【0025】
また、このフェンスAを起立状態に保持する保持手段Bは、前記床面40a上又は段板11面上に起立されるフェンスAを当該起立状態に維持して、階下10aの床面40aから幼児童等が当該階段10を上がり得ないように、その起立状態を保持する手段であれば、いかなる保持手段Bであってもよく、例えば、当該フェンスAを壁等に直接留め付けるようにしてあっても、また、当該フェンスAが倒れないように当該フェンスA自体に備えられる転倒防止手段で起立状態を保持するように構成する等、いかなる形態に備えられていても良い。また、フェンスAを壁等に直接留め付ける場合にあっても、当該留め付け手段をフェンスA側に設けるようにしてあっても、また、建物側に設けるようにしてあっても、さらには、両者に設けた各留め具相互の留め付け合いによって、このフェンスAを起立状態に保持する等、各種形態で、当該フェンスAを起立状態に保持するようにしてある。
【0026】
また、階段下空間Cに対するフェンスAの出し入れ可能な収納は、いかなる形態において収納されていても良く、また、いかなる手段で出し入れされるようにしてあっても良い。例えば、当該フェンスAを一体的なものとして構成し、このフェンスAをその下端側から階段下空間C内に押し入れ、かつ、引き出すようにしてあっても、また、このフェンスAを折り畳み得るように構成して、当該フェンスAを折り畳み状態で階段下空間Cに押し入れ、かつ、引き出すようにしてあってもよい。また、かかるフェンスAの押し入れ、かつ、引き出す手段として適宜のガイド手段30を当該フェンスA、建物側、又は両者に設け、このガイド手段30を用いて当該フェンスAを階段下空間C内に押し入れ、かつ、引きだし用いるようにしてあってもよい。
【0027】
このように構成される階段フェンスAにあっては、階段下空間Cを用いることによって、この階段10が構成する通路10cを階段10の下側において塞ぐフェンスAを当該階段下空間Cから随時必要に応じて引き出し、これを起立させて当該階段10下からの階段10への立ち入りを防ぎ、また、フェンスAの設置が不要な際には、このフェンスAを倒し込んで階段下空間C内に押し入れて保管することができる。
【0028】
ついで、前記構成に係る階段フェンスAにおいて、起立状態にして用いられる前記フェンスAが、当該フェンスAの下部側の回動軸線でガイド手段30に起伏可能に組み付けてあると共に該フェンスAを倒した状態で前記階段10における段板11の下方から当該階段10の階段下空間C内に出し入れ可能に納め入れ得るようにした階段フェンスAでは、階段下空間Cから確実かつ円滑にフェンスAの出し入れができ、しかも、このガイド手段30に下部側を枢支させた状態で当該フェンスAを起立状態に確実に保持することができる。
【0029】
かかるフェンスAの起伏可能に組み付けられるガイド手段30は、いかなる形態のガイド手段であってもよく、このフェンスAが、例えば、ガイドレールに摺動自在に組み付けられているスライダーに回動可能に組み付けてあっても、また、このフェンスAの下部側をガイドレールに直接摺動自在、かつ、回動可能に組み付ける等、いかなる形態のガイド手段で、当該フェンスAを起伏可能としてあってもよい。
【0030】
更に、前記構成に係る階段フェンスAにあって、起立状態にして用いられる前記フェンスAが、上端に手摺22’を備えており、当該フェンスAを段板11の下方から当該階段10の階段下空間C内に納め入れた際に、当該手摺22’が該フェンスAの出し入れ用開口12bを塞いで蹴込み板12の一部をなすようにしてある階段フェンスAでは、当該フェンスAを階段下空間Cに収納した際に、階段10の蹴込み面が通例の階段と同様の意匠面を備えたものとして構成することができる。
【0031】
ついで、第2の発明を実施するための最良の形態に係る階段フェンスAは、階上10bの床40の床面40aから一段下又は二段下の段板11面上に起立されて階段10の構成する通路10cを塞ぐフェンスAであって、
このフェンスAが、前記段板11面上にある上框42又は段板11の下方から床下空間D内に出し入れ可能に収納されており、
しかも、この床下空間Dから引き出して前記段板11面上に当該フェンスAを起立させた際に、当該フェンスAを起立状態に保持する保持手段Bを備えた構成としてある。
【0032】
なお、ここで階段フェンスAの備えられる階段10は、いかなる形態の階段であってもよく、例えば、直階段、かね折階段、折返し階段、回り階段等、いかなる形態の階段に対しても当該階段フェンスAを備え付けることができる。
【0033】
また、この階段10に備えられるフェンスAは、当該階段10より幼児童、認知症者、ペット等が下りるのを阻止し得るように前記段板11面上に備えられて階段通路10cを塞ぐ構成としたものであれば、いかなる素材によって構成してあっても、また、いかなる形態に構成してあってもよい。
【0034】
典型的には、段板11面上に上階10b’の上框42に接するように起立されて階段通路10cを塞いだり、段板11面上に上の段板11に接するように起立されて階段通路10cを塞ぐように設置される。かかるフェンスAは、幼児童等が乗り越え得ない所定高さを備え、かつ、幼児童等がすり抜け得ない態様のものとして構成してあり、例えば、パネル、ボード等による目隠し状態のフェンスAとしてあっても、また、縦桟、横桟あるいは縦桟と横桟との組合せよりなる柵状材あるいは各種の網状材等による眼透かし状態のフェンスAとしてあってもよい。
【0035】
また、このフェンスAを起立状態に保持する保持手段Bは、前記段板11面上に起立されるフェンスAを当該起立状態に維持して、上階10b’の床面40aから幼児童等が当該階段10を下り得ないように、その起立状態を保持する手段であれば、いかなる保持手段Bであってもよく、例えば、当該フェンスAを壁等に直接留め付けるようにしてあっても、また、当該フェンスAが倒れないように当該フェンスA自体に備えられる転倒防止手段で起立状態を保持するように構成する等、いかなる形態に備えられていても良い。また、フェンスAを壁等に直接留め付ける場合にあっても、当該留め付け手段をフェンスA側に設けるようにしてあっても、また、建物側に設けるようにしてあっても、さらには、両者に設けた各留め具相互の留め付け合いによって、このフェンスAを起立状態に保持する等、各種形態で、当該フェンスAを起立状態に保持するようにしてある。
【0036】
また、床下空間Dに対するフェンスAの出し入れ可能な収納は、いかなる形態において収納されていても良く、また、いかなる手段で出し入れされるようにしてあっても良い。例えば、当該フェンスAを一体的なものとして構成し、このフェンスAをその下端側から床下空間D内に押し入れ、かつ、引き出すようにしてあっても、また、このフェンスAを折り畳み得るように構成して、当該フェンスAを折り畳み状態で床下空間Dに押し入れ、かつ、引き出すようにしてあってもよい。また、かかるフェンスAの押し入れ、かつ、引き出す手段として適宜のガイド手段30を当該フェンスA、建物側、又は両者に設け、このガイド手段30を用いて当該フェンスAを床下空間D内に押し入れ、かつ、引きだし用いるようにしてあってもよい。
【0037】
このように構成される階段フェンスAにあっては、階上10bの床下空間Dを有効に用いることによって、この階段10が構成する通路10cを階段10の上部側において塞ぐフェンスAを当該床下空間Dから随時必要に応じて引き出し、これを起立させて階上10bの床面40aからの階段10への立ち入りを防ぎ、また、フェンスAの設置が不要な際には、このフェンスAを倒し込んで階上10bの床下空間D内に押し入れ保管することができる。
【0038】
また、前記構成に係る階段フェンスAにあって、起立状態にして用いられる前記フェンスAが、当該フェンスAの下部側の回動軸線でガイド手段30に起伏可能に組み付けてあると共に該フェンスAを倒した状態で前記階上10bの上框42又は段板11の下方から当該床下空間D内に出し入れ可能に納め入れ得るようにした階段フェンスAでは、床下空間Dから確実かつ円滑にフェンスAの出し入れができ、しかも、このガイド手段30に下部側を枢支させた状態で確実に当該フェンスAを起立状態に保持することができる。
【0039】
かかるフェンスAの起伏可能に組み付けられるガイド手段30は、いかなる形態のガイド手段であってもよく、このフェンスAが、例えば、ガイドレールに摺動自在に組み付けられているスライダーに回動可能に組み付けてあっても、また、このフェンスAの下部側をガイドレールに直接摺動自在、かつ、回動可能に組み付ける等、いかなる形態のガイド手段で、当該フェンスAを起伏可能としてあってもよい。
【0040】
更に、前記構成に係る階段フェンスAにおいて、起立状態にして用いられる前記フェンスAが、上端に手摺22’を備えており、当該フェンスAを上框42又は段板11の下方から階上10bの床下空間D内に納め入れた際に、当該手摺22’が該フェンスAの出し入れ用開口12bを塞いで蹴込み板12の一部をなすようにした階段フェンスAでは、当該フェンスAを床下空間Dに収納した際に、階段10の意匠面を通例の階段と同様に構成することができる。
【0041】
まず、図1〜図8に示される階段フェンスAについて具体的に説明する。
【0042】
この図示例に係る階段フェンスAは、階下10aの床面40a上又は一段目の段板11面上に通路10cを塞ぐように起立させることによって、幼児童、認知症者、ペット等が階段10へ上がるのを確実に防ぐようにしたものであって、このフェンスAが、当該フェンスAの下部側の回動軸線でガイド手段30に起伏可能に組み付けてあると共に、前記起立状態に当該フェンスAを保持する保持手段Bを備えた構成としてあり、このフェンスAを倒した状態で前記階段10における段板11の下方から当該階段10の階段下空間C内に出し入れ可能に納め入れ得るように構成してある。
【0043】
特に、この図示例では、階下10aの床面40a上に当該フェンスAを起立状態にセットし得る形態の階段フェンスAが示してある。この図示例に係るフェンスAは、ガイド手段30に対して起伏可能に組み付けてある。このガイド手段30は、ガイドレール31と、このガイドレール31に案内されるスライダー32とを備えた構成としてある。そして、この図示例では、このスライダー32に当該フェンスAの下部側が起伏可能に組み付けてあり、この組み付け位置にあるフェンスAの回動軸線で回動可能としてある。
【0044】
かかるガイド手段30を構成するガイドレール31は、段板11の支持される支持部材としての側桁13、この図示例にあっては、一段目の段板11と階下10aの床40との間に備えられる蹴込み板12aの内側、より具体的には、蹴込み板12aの仮想の背面のなす面、すなわち、蹴込み板12aの下方にあって床面40aとの間に構成される開口12bのなす面に先端開口31bを位置づけるようにして、当該段板11の両側にある各側桁13に沿って階段下空間Cに延びるように床板41の面に平行に備えられており、この対をなして備えられる各ガイドレール31が当該ガイドレール31内に摺動自在に備えられるスライダー32にフェンスAを連結する軸部材33の案内されるガイド溝31aを互いに向きあわせるように備えた構成としてある。
【0045】
かかるガイドレール31は、更に具体的には、アルミ形材等で構成された矩形断面の角筒の一側面の長手側にわたって当該ガイドレール31の内外を連通する態様にガイド溝31aを、当該面のやや上部側に偏らせて備えた構成としてあり、このガイド溝31aを向き合わせるようにして床板41に連続して、しかも、この床板41の後端面41aに当該ガイドレール31の先端開口31b面の下部側を接しさせて、該床板41によって先端開口31bの下部側を塞ぐように設けてあり、例えば、床板41の張り込まれる根太43に対して床板41に連続して該ガイドレール31を、前記蹴込み板12の仮想の背面位置にある側桁13部分から階段下空間Cに向けて、段板11の両側端の下方、すなわち、段板11の組み付けられる各側桁13に沿うように、平行に設けてあり、この階段下空間Cに平行に配置される一対のガイドレール31によってフェンスAを当該階段下空間Cに対して出し入れ可能に収納し得る構成としてある。
【0046】
かかるガイドレール31に摺動自在に組み付けられて当該ガイドレール31と共にガイド手段30を構成するスライダー32は、このガイドレール31内にがた無く嵌め込まれた横長の板状体としてあり、下部に前後方向に間隔を離して当該ガイドレール31の内側底面に接して転動されるボール32eを受ける半球状凹部を備え、しかも、先端側部分を、下部側が欠切状態とされて縦幅の狭くされた突き出し部32bとして構成してあり、この突き出し部32b端にフェンスAを軸部材33によって回動可能に連結するようにしてある。
【0047】
かかるスライダー32は、より具体的には、前記矩形断面の角筒内に転動用のボール32eを下部に備えて密に嵌め入れられて、このスライダー32に組み付けられるフェンスAが安定に案内される摺接長さを備えたスライダー本体部32aと、このスライダー本体部32aの前部側部分であって、長手側の下端縁部分を欠切状態にカットして上下方向に幅狭となるようにスライダー本体部32aから一連に突設された突き出し部32bとを備えており、この突き出し部32bとスライダー本体部32aとの間にある段差面32cが、前記ガイドレール31の前端開口31bの突き当てられる床板41の端面に当接される位置まで、ガイドレール31から前方に向けて当該スライダー32の突き出し部32bが突き出し得る構成としてある。
【0048】
かかるガイド手段30におけるスライダー32に案内されて段板11の下方から階段下空間Cに出し入れされるフェンスAは、下枠材21と、手摺22’を兼ねる上枠材22と、この下枠材21と上枠材22とを両側において連結する左右一対の支柱23とで同一の仮想の面内に位置づけられる矩形の枠体20をなすように構成してあり、この支柱23間に所定の間隔毎に上枠材22と下枠材21とにわたるように遮蔽手段としての桟材24が設けてあり、幼児童、認知症者、ペット等が通り抜けできないフェンスAを構成しうるようにしてある。
【0049】
この図示例に係るフェンスAにあっては、当該フェンスAを起立した際に、矩形の枠体20における下枠材21の両側にある支柱23の下端から前記スライダー32の突き出し部32bに沿うように当該支柱23にほぼ直交してL字状をなすように前方に突き出す軸受け部25を備えており、当該フェンスAの起立状態において、当該軸受け部25の先端側に前記下枠材21に平行で、かつ、ほぼ水平の軸孔25aを設けてあり、この軸孔25aと前記スライダー32の突き出し部32bの先端側に備えられている軸孔32dとに、当該突き出し部32bと軸受け部25とを所定間隔に離すスリーブ33bを介在させて頭付軸33aを挿通し、この頭付軸33aの挿通先端をカシメることによって、フェンスAを前記スリーブ33bでスライダー32に所定間隔離した状態で当該頭付軸33aの軸線を回動軸線として起伏可能に組み付けてある。
【0050】
このように、各支柱23、下枠材21、上枠材22を備える枠体20のなす仮想の面から当該フェンスAの軸受け部25が、当該面に直交する向きに突き出し状態に設けてあり、しかも、フェンスAを起立した状態で、このフェンスAよりも前方、この図示例にあっては、床面40a側に突き出した位置で当該フェンスAを回動可能にガイド手段30のスライダー32における突き出し部32bの先端側に枢支してあり、起立状態にあるフェンスAは、当該軸を回動中心にして前方に、すなわち、下枠材21を一旦上方に向けて浮きあげるようにして倒し込まれ、この軸受け部25の突き出し寸法に相当する高さ位置に、スライダー32の軸支位置より上方に位置づけられてほぼ水平向きとされ、この状態で、階段下空間Cに対して押し込むことができる。
【0051】
このように階段下空間Cに押し込まれるフェンスAは、図3に示されるように、階段下空間Cに対する押し込み位置で、手摺22’を構成する板状をなす上枠材22が段板11の下方の蹴込み板12にある開口12bを都合良く塞ぎ、この上枠材22の板部の下部が、図3の状態で前記ガイドレール31に当接して開口12bを塞ぐように停止され際に、開口12bの上部側に備えられている蹴込み板12aと共に一連に連続する蹴込み板12を構成するようにしてあり、しかも、このガイドレール31の前端に対する上枠材22の当接によってフェンスAが必要以上に階段下空間Cに押し込まれるのを防ぐようにしてある。
【0052】
また、かかる状態においてフェンスAは、この床面40aに側端面を接する上枠材22と前記突き出し寸法を有する軸受け部25とによって、ガイドレール31の上方位置にほぼ水平の収納状態に維持される。なお、かかるフェンスAの倒し込み状態において板状をなす手摺22’として用いられる上枠材22における下部側に引き手用の欠切部22aを設け、この欠切部22aに指をかけて当該フェンスAの引きだし、押し入れをなし得るようにしてある。
【0053】
なお、前記構成に係るフェンスAにあって、軸受け部25の先端側に備えられる軸孔25aを巡るように当該軸受け部25の先端側を当該軸孔25aと同心の弧状面として構成することによって、フェンスAを起立させた状態で、この軸受け部25と下枠材21のそれぞれの下面を床面40aに密に接触させた状態とし、しかも、この軸受け部25の弧状面を床面40aに向けて回動させてフェンスAを倒し込んだ際に、フェンスAを床面40aや階段下空間Cにおける床面40a等から所定間隔浮き上がらせた状態、この図示例では、当該軸受け部25と支柱23より幅方向に突き出すように構成されている上枠材22との各突き出し寸法に相当する寸法分上方にあって、引きだしや、押し込み操作をなすことができるように構成してある。
【0054】
かかる段板11の下方から階段下空間Cに格納されているフェンスAを、当該フェンスAにおける上枠材22における前記欠切部22aに指をかけて前方に引き出すことによって、当該フェンスAにおける各支柱23の下端側にある軸受け部25の軸33aを支点に当該フェンスAの上枠材22側が適宜持ち上げられた状態でガイドレール31に案内されてスライダー32を摺動しながら前方に引き出すことができ、このフェンスAがガイドレール31の先端まで引き出された後、当該フェンスAの組み付けられているスライダー32における突き出し部32bが当該ガイドレール31から更に前方に向けて、この図示例にあっては前記軸33aを回動軸線として起立されるフェンスAにおける支柱23が床面40a上にある段板11の先端面に都合良く接する位置迄引きだし、この引きだし位置で、当該スライダー32における突き出し部32bの後部側にある段差面32cが床板41の後端面41aに当接して、スライダー32の摺動を阻止し、この状態でフェンスAを回動起立させることによって、当該フェンスAが段板11の先端面に支柱23の背面を接し、かつ、下枠材21と軸受け部25の下面を床面40aに平行に接するようにして、安定に起立状態に維持される。
【0055】
また、このように起立されるフェンスAによって通路10cは塞がれ、幼児童、認知症者、ペット等が階段10に上れない状態を作り出すことができる。
【0056】
このように起立されたフェンスAは適宜の保持手段Bによって、当該起立状態を維持し得るようにしてある。この図示例にあっては、かかる保持手段Bの典型的な事例として、当該起立状態にあるフェンスAを壁46に備えられる受け部に対して直接保持させるようにしてあり、ストッパー50とストッパー受け60とで、当該フェンスAを起立状態に保持するようにしてある。
【0057】
かかる保持手段Bとしてのストッパー50は、手摺22’即ち、蹴込み板として機能される上枠材22の板面の両側部分に埋込状態に設けられている各扁平箱状体51と、この箱状体51にそれぞれ摺動可能に備えられた厚板状のラッチ53とを備えており、上枠材22の側端から当該ラッチ53が出没し得るように箱状体51は上枠材22の側端側が開口51bされた筒状に構成してある。かかる箱状体51に摺動可能に組み込まれたラッチ53は、この箱状体51の上面の長手向き、すなわち、上枠材22における長手側に長い長溝51aを上面に備えており、この溝51aから当該ラッチ53の操作摘み53aを突き出し状態に備えている。また、ラッチ53を突き出し状態にストッパー受け60として構成されているラッチ受け60’に差し入れた際に、当該突き出し状態を維持する手段として、前記箱状体51の上面に留めバネ52を備え、この留めバネ52の屈曲係止部52aを箱状体51の操作穴51cからラッチ53の上面に接するように設けてある。かかる留めバネ52は、ラッチ53の引き込み位置では、留めバネ52の屈曲係止部52aが当該留めバネ52の弾性によって箱状体51に設けられている操作穴51cからラッチ53の上面に弾性的に接して当該ラッチ53の移動を弾性的に抑制しており、このラッチ53を突き出してラッチ受け60’に差し入れた際に、このラッチ53の上面に凹設されている係止凹部53bに弾性的に押し入れられ、ラッチ53の移動を封ずるようにしてある。従って、一旦ラッチ受け60’に差し入れ状態とされて当該留めバネ52を係止凹部53bに係止した状態のラッチ53は、この留めバネ52を指で当該留めバネ52の弾性に抗して上方に引き上げて、この係止凹部53bに対する留めバネ52の係止を解かない限り、引き込み方向に移動されることがなく、フェンスAの保持が予期せずに解かれる不具合がない。
【0058】
また、かかるラッチ53を受けるラッチ受け60’は、起立されるフェンスAの上枠材22の両側方の壁46部分にあって、このラッチ53の突き出されるフェンスAの側方の壁面における当該ラッチ53を受け入れ得る位置に凹部62を備えた盤状本体部61を壁46に木ねじ等で組み付けた構成としてあり、この図示例では、この盤状本体部61にラッチ53を受ける水平の、かつ、横長の凹部62を備えるラッチ受け60’として構成してある。
【0059】
なお、この図示例に係る階段フェンスAは、土台44上にある根太43に床板41を張り込み下階10a’の床40を構成し、この階段10の備え付けられる各壁46部に側桁13を備えて、この側桁13に各段板11を支持させてあり、この各段板11間の空間を蹴込み板12によって塞いだ構成としてあって、階段下空間Cにある前記各側桁13の面に沿って階段下空間C内に延びるように、当該階段下空間Cの床部分にある根太43上にほぼ水平をなすようにガイドレール31を設けてあり、この対をなすガイドレール31を互いのガイド溝31aを向き合わせるようにして当該ガイドレール31における先端開口31bの下部側が前記床板41の後部側端面に当接するように備え付けてある。
【0060】
また、この図示例にあっては、階段10における蹴込み面の意匠を整える意図からフェンスAを構成する上枠材22が、このフェンスAの備えられる段板11の下方にある蹴込み板12aと床面40aとの間に構成されている開口12bの開口幅内に都合良く納まる幅の板状材によって構成してあり、また、このフェンスAを階段下空間Cに押し入れた際に、当該フェンスAが階段下空間C内に納め入れ得るガイド手段30を備えており、しかも、上枠材22が前記開口12bを都合良く塞ぐ位置に停止し得るように、この上枠材22が前記ガイドレール31の前端に当接し得る構成としてある。
【0061】
ついで、図9〜図15に示される階段フェンスAについて具体的に説明する。
【0062】
この図9〜図15に示される第2の発明を実施するための最良の形態に係る階段フェンスAは、階上10bの床40の床面40aから一段下又は二段下の段板11面上に起立されて階段10の構成する通路10cを塞ぐフェンスAであって、このフェンスAが、前記段板11面上にある上框42又は段板11の下方から床下空間D内に出し入れ可能に収納されており、しかも、この床下空間Dから引き出して前記段板11面上に当該フェンスAを起立させた際に、当該フェンスAを起立状態に保持する保持手段Bを備えた構成としてある。
【0063】
特に、この図示例では、受け梁45の都合から、敢えて、階上10bにおける床10から二段下にある段板11の面上に当該フェンスAを起立状態にセットし得る形態の階段フェンスAが示してある。この図示例に係るフェンスAは、ガイド手段30に対して起伏可能に組み付けてある。このガイド手段30は、ガイドレール31と、このガイドレール31に案内されるスライダー32とを備えた構成としてある。そして、この図示例では、このスライダー32に当該フェンスAの下部側が起伏可能に組み付けてあり、この組み付け位置にあるフェンスAの回動軸線で回動可能としてある。
【0064】
かかるガイド手段30を構成するガイドレール31は、段板11の支持される支持部材としての側桁13、この図示例にあっては、階上10bの床面40aから一段目の段板11と二段目の段板11との間に備えられる蹴込み板12aの内側、より具体的には、蹴込み板12aの仮想の背面のなす面、即ち、蹴込み板12aの下方にあって、床面40aとの間に構成されている開口12bのなす面に先端開口31bを位置づけるようにして、当該段板11の両側にある各側桁13に沿って床下空間Dに延びるように二段目の段板11の面に平行に備えられており、この対をなして備えられる各ガイドレール31が当該ガイドレール31内に摺動自在に備えられるスライダー32にフェンスAを連結する軸部材33の案内されるガイド溝31aを互いに向きあわせるように備えた構成としてある。
【0065】
かかるガイドレール31は、更に具体的には、アルミ形材等で構成された矩形断面の角筒の一側面の長手側にわたって当該ガイドレール31の内外を連通する態様にガイド溝31aを、当該面のやや上部側に偏らせて備えた構成としてあり、このガイド溝31aを向き合わせるようにして二段目の段板11に連続して、しかも、この段板11の後端面に当該ガイドレール31の先端開口31bの下部側を塞ぐ当接板部31cを向き合わせるようにして設けてあり、例えば、床下空間Dを構成する根太43に対して段板11に連続して該ガイドレール31を、前記蹴込み板12aの仮想の背面位置にある側桁13部分から床下空間Dに向けて、段板11の両側端の下方、すなわち、段板11の組み付けられる各側桁13に沿うように、平行に設けてあり、この床下空間Dに平行に配置される一対のガイドレール31によってフェンスAを当該床下空間Dに対して出し入れ可能に収納し得る構成としてある。
【0066】
かかるガイドレール31に摺動自在に組み付けられて当該ガイドレール31と共にガイド手段30を構成するスライダー32は、このガイドレール31内にがた無く嵌め込まれた横長の板状体としてあり、下部に前後方向に間隔を離して当該ガイドレール31の内側底面に接して転動されるボール32eを受ける半球状凹部を備え、しかも、先端側部分を、下部側が欠切状態とされて縦幅の狭くされた突き出し部32bとして構成してあり、この突き出し部32b端にフェンスAを軸部材33によって回動可能に連結するようにしてある。
【0067】
かかるスライダー32は、より具体的には、前記矩形断面の角筒内に転動用のボール32eを下部に備えて密に嵌め入れられて、このスライダー32に組み付けられるフェンスAが安定に案内される摺接長さを備えたスライダー本体部32aと、このスライダー本体部32aの前部側部分であって、長手側の下端縁部分を欠切状態にカットして上下方向に幅狭となるようにスライダー本体部32aから一連に突設された突き出し部32bとを備えており、この突き出し部32bとスライダー本体部32aとの間にある段差面32cが、前記ガイドレール31の前端開口31bに備えられている当接板部31cに当接される位置まで、ガイドレール31から前方に向けて当該スライダー32の突き出し部32bが突き出し得る構成としてある。
【0068】
かかるガイド手段30におけるスライダー32に案内されて段板11の下方から床下空間Dに出し入れされるフェンスAは、下枠材21と、手摺22’を兼ねる上枠材22と、この下枠材21と上枠材22とを両側において連結する左右一対の支柱23とで同一の仮想の面内に位置づけられる矩形の枠体20をなすように構成してあり、この支柱23間に所定の間隔毎に上枠材22と下枠材21とにわたるように遮蔽手段としての桟材24が設けてあり、幼児童、認知症者、ペット等が通り抜けできないフェンスAを構成しうるようにしてある。
【0069】
この図示例に係るフェンスAにあっては、当該フェンスAを起立した際に、矩形の枠体20における下枠材21の両側にある支柱23の下端から前記スライダー32の突き出し部32bに沿うように当該支柱23にほぼ直交してL字状をなすように前方に突き出す軸受け部25を備えており、当該フェンスAの起立状態において、当該軸受け部25の先端側に前記下枠材21に平行で、かつ、ほぼ水平の軸孔25aを設けてあり、この軸孔25aと前記スライダー32の突き出し部32bの先端側に備えられている軸孔32dとに、当該突き出し部32bと軸受け部25とを所定間隔に離すスリーブ33bを介在させて頭付軸33aを挿通し、この頭付軸33aの挿通先端をカシメることによって、フェンスAを前記スリーブ33bでスライダー32に所定間隔離した状態で当該頭付軸33aの軸線を回動軸線として起伏可能に組み付けてある。
【0070】
このように、各支柱23、下枠材21、上枠材22を備える枠体20のなす仮想の面から当該フェンスAの軸受け部25が、当該面に直交する向きに突き出し状態に設けてあり、しかも、フェンスAを起立した状態で、このフェンスAよりも前方、この図示例にあっては、階上10bの床面40aから二段目の段板11の面側に突き出した位置で当該フェンスAを回動可能にガイド手段30のスライダー32における突き出し部32bの先端側に枢支してあり、起立状態にあるフェンスAは、当該軸を回動中心にして前方に、すなわち、下枠材21を一旦上方に向けて浮きあげるようにして倒し込まれ、この軸受け部25の突き出し寸法に相当する高さ位置に、スライダー32の軸支位置より上方に位置づけられてほぼ水平向きとされ、この状態で、床下空間Dに対して押し込むことができる。
【0071】
このように床下空間Cに押し込まれるフェンスAは、図10の仮想線に示されるように、床下空間Cに対する押し込み位置で、手摺22’を構成する板状をなす上枠材22が段板11の下方の蹴込み板12aにある開口12bを都合良く塞ぎ、この上枠材22の板部の下部が、この仮想線の状態で前記ガイドレール31に当接して開口12bを塞ぐように停止された際に、開口12bの上部側に備えられている蹴込み板12aと共に一連に連続する蹴込み板12を構成するようにしてあり、しかも、このガイドレール31の前端に対する上枠材22の当接によってフェンスAが必要以上に床下空間Cに押し込まれるのを防ぐようにしてある。
【0072】
また、かかる状態においてフェンスAは、この段板11の面に側端面を接する上枠材22と前記突き出し寸法を有する軸受け部25とによって、ガイドレール31の上方位置にほぼ水平の収納状態に維持される。なお、かかるフェンスAの倒し込み状態において板状をなす手摺22’として用いられる上枠材22における下部側に引き手用の欠切部22aを設け、この欠切部22aに指をかけて当該フェンスAの引きだし、押し入れをなし得るようにしてある。
【0073】
なお、前記構成に係るフェンスAにあって、軸受け部25の先端側に備えられる軸孔25aを巡るように当該軸受け部25の先端側を当該軸孔25aと同心の弧状面として構成することによって、フェンスAを起立させた状態で、この軸受け部25と下枠材21のそれぞれの下面を段板11の面に密に接触させた状態とし、しかも、この軸受け部25の弧状面を段板11の面に向けて回動させてフェンスAを倒し込んだ際に、フェンスAを段板11の面や床下空間Cに根太43等から所定間隔浮き上がらせた状態、この図示例では、当該軸受け部25と支柱23より幅方向に突き出すように構成してある上枠材22の各突き出し寸法に相当する寸法分上方にあって、引きだしや、押し込み操作をなすことができるように構成してある。
【0074】
かかる階上10bの床40の一段下にある段板11の下方から床下空間Cに格納されているフェンスAを、当該フェンスAにおける上枠材22における前記欠切部22aに指をかけて前方に引き出すことによって、当該フェンスAにおける各支柱23の下端側にある軸受け部25の軸33aを支点に当該フェンスAの上枠材22側が適宜持ち上げられた状態でガイドレール31に案内されてスライダー32を摺動しながら前方に引き出すことができ、このフェンスAがガイドレール31の先端まで引き出された後、当該フェンスAの組み付けられているスライダー32における突き出し部32bが当該ガイドレール31から更に前方に向けて、この図示例にあっては前記軸33aを回動軸線として起立されるフェンスAにおける支柱23が二段目の段板11の上にある一段目の段板11の先端面に都合良く接する位置迄引きだし、この引きだし位置で、当該スライダー32における突き出し部32bの後部側にある段差面32cが当接板部31cに当接して、スライダー32の摺動を阻止し、この状態でフェンスAを回動起立させることによって、当該フェンスAが一段下にある段板11の先端面に支柱23の背面を接し、かつ、下枠材21と軸受け部25の下面を二段目の段板11の面に平行に接するようにして、安定に起立状態に維持される。
【0075】
かかる階段10の上部側に備えられるフェンスAは、階上10bから二段下の段板11の面に起立セットされるフェンスAと、当該階上10bにおける床40との間に階段10の一段相当の段状凹部を生ずることから、この階上10bから一段下にある段板11の上方に階上11bの床40の床面40aに同面をなすように踏み込みプレート26を設けるようにしてある。
【0076】
かかる踏み込みプレート26は、前記起立状態にあるフェンスAにおける各支柱23と当該支柱23に隣り合う桟材24との間及び各桟材24、24間のそれぞれに、軸26aで回動可能に設けてあり、この図示例にあっては、各踏み込みプレート26を起立した状態で、その下端側を軸26aによってフェンスAに回動可能に組み付けてあり、しかも、その先端側(自由端側、すなわち、この起立状態では上端側)を階上10bの側で板状をなす連結材26bによって一体に連結した構成としてある。また、このフェンスAに回動可能に備えられている踏み込みプレート26は、これを階上10bの上框42に向けて倒し込んだ際に、この上框42に先端が近接する長さを備えた構成としてあり、しかも、この上框42に向けて倒し込まれる踏み込みプレート26が、ほぼ水平状態に維持されるように前記フェンスAにおける階段10の上側、すなわち、前記連結材の備えられている側のフェンスAの各支柱23及び各桟材24とにわたるように角棒状をなすストッパー材27を水平状態に当該フェンスAに一体に設けてある。
【0077】
このように備えられる踏み込みプレート26は、フェンスAを倒し込んだ際には、当該フェンスAに対して軸26aと連結材26bとで、当該フェンスAのなす仮想の面内に位置づけられた状態で移動され、このフェンスAを図11のように起立した際に、はじめて、当該状態から上框41に向けて回動され、階上10bの床40の床面40aと同面をなすように前記ストッパー材27で支承される位置まで回動され、この水平状態に当該ストッパー材27及び軸26aで維持され、階上10bの床面40aから出入りし得る構成とされる。(図10及び図12参照)
【0078】
また、かかる踏み込みプレート26は、これを階段10の下側に向けて倒し込んだ際に、当該フェンスAのなす仮想の面内に位置づけられるように回動され、フェンスAの床下空間Dに対する格納の妨げとなることはない。
【0079】
このように段板11の面に起立されるフェンスAによって通路10cは塞がれ、幼児童、認知症者、ペット等が階段10に上れない状態を作り出すことができる。
【0080】
このように起立されたフェンスAは適宜の保持手段Bによって、当該起立状態を維持し得るようにしてある。この図示例にあっては、かかる保持手段Bの典型的な事例として、当該起立状態にあるフェンスAを壁46に備えられる受け部に対して直接保持させるようにしてあり、ストッパー50とストッパー受け60とで、当該フェンスAを起立状態に保持するようにしてある。
【0081】
かかる保持手段Bとしてのストッパー50は、手摺22’及び蹴込み板として機能される上枠材22の板面の両側部分に埋込状態に設けられている各扁平箱状体51と、この箱状体51にそれぞれ摺動可能に備えられた厚板状のラッチ53とを備えており、上枠材22の側端から当該ラッチ53が出没し得るように箱状体51は上枠材22の側端側が開口51bされた筒状に構成してある。かかる箱状体51に摺動可能に組み込まれたラッチ53は、この箱状体51の上面の長手向き、すなわち、上枠材22における長手側に長い長溝51aを上面に備えており、この溝51aから当該ラッチ53の操作摘み53aを突き出し状態に備えている。また、ラッチ53を突き出し状態にストッパー受け60として構成されているラッチ受け60’に差し入れた際に、当該突き出し状態を維持する手段として、前記箱状体51の上面に留めバネ52を備え、この留めバネ52の屈曲係止部52aを箱状体51の操作穴51cからラッチ53の上面に接するように設けてある。かかる留めバネ52は、ラッチ53の引き込み位置では、留めバネ52の屈曲係止部52aが当該留めバネ52の弾性によって箱状体51に設けられている操作穴51cからラッチ53の上面に弾性的に接して当該ラッチ53の移動を弾性的に抑制しており、このラッチ53を突き出してラッチ受け60’に差し入れた際に、このラッチ53の上面に凹設されている係止凹部53bに弾性的に押し入れられ、ラッチ53の移動を封ずるようにしてある。従って、一旦ラッチ受け60’に差し入れ状態とされて当該留めバネ52を係止凹部53bに係止した状態のラッチ53は、この留めバネ52を指で当該留めバネ52の弾性に抗して上方に引き上げて、この係止凹部53bに対する留めバネ52の係止を解かない限り、引き込み方向に移動されることがなく、フェンスAの保持が予期せずに解かれる不具合がない。
【0082】
また、かかるラッチ53を受けるラッチ受け60’は、起立されるフェンスAの上枠材22の両側方の壁46部分にあって、このラッチ53の突き出されるフェンスAの側方の壁面における当該ラッチ53を受け入れ得る位置に凹部62を備えた盤状本体部61を壁46に木ねじ等で組み付けた構成としてあり、この図示例では、この盤状本体部61にラッチ53を受ける水平の、かつ、横長の凹部62を備えるラッチ受け60’として構成してある。
【0083】
なお、この図示例に係る階段フェンスAは、受け梁45で受けられた根太43に床板41を張り込み、かつ、上框41を備え付けて上階10b’の床40を構成し、この階段10の備え付けられる各壁46部に側桁13を備えて、この側桁13に各段板11を支持させてあり、この各段板11間の空間を蹴込み板12によって塞いだ構成としてあって、床下空間Cにある根太43の面に沿って床下空間C内に延びるように、当該床下空間Cの根太43上にほぼ水平をなすようにガイドレール31を設けてあり、この対をなすガイドレール31を互いのガイド溝31aを向き合わせるようにして当該ガイドレール31における先端開口31bの下部側にある当接板部31cが前記段板11の後部側端面に当接するように備え付けてある。
【0084】
また、この図示例にあっては、階段10における蹴込み面の意匠を整える意図からフェンスAを構成する上枠材22が、このフェンスAの備えられる段板11、11間にある蹴込み板12aに構成されている開口12bの開口幅内に都合良く納まる幅の板状材によって構成してあり、また、このフェンスAを床下空間Cに押し入れた際に、当該フェンスAが床下空間C内に納め入れ得るガイド手段30を備えており、しかも、上枠材22が前記開口12bを都合良く塞ぐ位置に停止し得るように、この上枠材22が前記ガイドレール31の前端に当接し得る構成としてある。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】典型的な階段フェンスの使用状態を示す斜視図
【図2】同正面図
【図3】同フェンスの格納状態を示す断面図
【図4】同フェンスの引き出し状態を示す断面図
【図5】同フェンスの起立状態を示し断面図
【図6】同要部部品の分離斜視図
【図7】同保持手段による保持状態を示す要部平面図
【図8】同断面図
【図9】他の階段フェンスの使用状態を示す正面図
【図10】同フェンスを引き出し起立して用いている状態を示す断面図
【図11】同一使用過程を示す要部斜視図
【図12】同他の使用過程を示す要部斜視図
【図13】同要部部品の分離斜視図
【図14】同保持手段による保持状態を示す要部平面図
【図15】同断面図
【符号の説明】
【0086】
A フェンス
B 保持手段
C 階段下空間
D 床下空間
10 階段
10c 通路
11 段板
12 蹴込み板
12b 開口
30 ガイド手段
40 床

【特許請求の範囲】
【請求項1】
階下の床面上又は一段目の段板面上に起立されて通路を塞ぐフェンスであって、
このフェンスが、前記床面上又は段板面上にある段板の下方から階段の階段下空間内に出し入れ可能に収納されており、
しかも、当該階段下空間から引き出して前記床面上又は段板面上に当該フェンスを起立させた際に、当該フェンスを起立状態に保持する保持手段を備えていることを特徴とする階段フェンス。
【請求項2】
起立状態にして用いられる前記フェンスが、当該フェンスの下部側の回動軸線でガイド手段に起伏可能に組み付けてあると共に該フェンスを倒した状態で前記階段における段板の下方から当該階段の階段下空間内に出し入れ可能に納め入れ得るようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の階段フェンス。
【請求項3】
起立状態にして用いられる前記フェンスが、上端に手摺を備えており、当該フェンスを段板の下方から当該階段の階段下空間内に納め入れた際に、当該手摺が該フェンスの出し入れ用開口を塞いで蹴込み板の一部をなすようにしてあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の階段フェンス。
【請求項4】
階上の床面から一段下又は二段下の段板面上に起立されて通路を塞ぐフェンスであって、
このフェンスが、前記段板面上にある上框又は段板の下方から床下空間内に出し入れ可能に収納されており、
しかも、当該床下空間から引き出して前記段板面上に当該フェンスを起立させた際に、当該フェンスを起立状態に保持する保持手段を備えていることを特徴とする階段フェンス。
【請求項5】
起立状態にして用いられる前記フェンスが、当該フェンスの下部側の回動軸線でガイド手段に起伏可能に組み付けてあると共に該フェンスを倒した状態で前記上框又は段板の下方から床下空間内に出し入れ可能に納め入れ得るようにしてあることを特徴とする請求項4に記載の階段フェンス。
【請求項6】
起立状態にして用いられる前記フェンスが、上端に手摺を備えており、当該フェンスを上框又は段板の下方から床下空間内に納め入れた際に、当該手摺が該フェンスの出し入れ用開口を塞いで蹴込み板の一部をなすようにしてあることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の階段フェンス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−270561(P2007−270561A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99525(P2006−99525)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】