説明

隙間隠し部材

【課題】加工することなく異なる管径に対応できる隙間隠し部材を提供する。
【解決手段】キャビネットの配管通し用の穴とこの穴に通した配管との隙間を隠す隙間隠し部材10であって、板状の本体部11と、本体部11に形成され配管を通す円形の開口12と、開口縁12Eから開口12の中心C側へ突出し本体部11より薄い第1の突部13と、第1の突部13から開口12の中心C側へ突出し本体部11より薄い複数の第2の突部14と、を備え、第2の突部14同士が離隔している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネットの配管通し用の穴とこの穴に通した配管との隙間を隠す隙間隠し部材に関する。
【背景技術】
【0002】
システムキッチンや洗面化粧台を構成するキャビネットには、給水管、給湯管、排水管などの配管を通す穴が形成されている。この配管通し用の穴とこの穴に通した配管との隙間を隠すために、従来、種々の蓋が利用されている(特許文献1,2)。
図5は従来の蓋100を配管110に取り付けた状態を示す図であり、図中の120はキャビネットの底板、121が配管通し用の穴である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−181675号公報
【特許文献2】特開2003−235657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2の蓋は、異なる管径に対応できるが、各管径に応じて作業者が蓋を構成するプレート部材を加工しなければならなかった。
【0005】
上記課題に鑑みて、加工することなく異なる管径に対応できる隙間隠し部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、キャビネットの配管通し用の穴とこの穴に通した配管との隙間を隠す隙間隠し部材であって、板状の本体部と、本体部に形成され、上記配管を通す円形の開口と、開口縁から当該開口の中心側へ突出し本体部より薄い第1の突部と、第1の突部から上記開口の中心側へ突出し本体部より薄い複数の第2の突部とを備え、第2の突部同士が離隔している。隙間隠し部材は、キャビネットの配管通し用の穴とこの穴に通した配管との隙間を隠す。本明細書では、用語『隠す』とは、外部から隙間を見えづらくする態様、例えば不完全に隙間が塞がれる態様を含む意味で用いる。
【0007】
本発明の隙間隠し部材において、好ましくは、第1の突部は、隣り合う第2の突部同士の間の領域部分に、切れ込み或いは切り欠きなどの分離手段を備えている。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、キャビネットの配管通し用の穴と、この穴に通した配管との隙間を隠す隙間隠し部材であって、板状の本体部と、本体部に形成され配管を通す円形の開口と、開口縁から当該開口の中心側へ突出し本体部より薄い突部と、を備え、突部同士が離隔している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、配管の径サイズに応じて突部、第1の突部、第2の突部が曲がることで、従来技術のような加工する手間を省けて、便利である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(A)は本実施形態に係る隙間隠し部材の平面図、(B)は(A)のI−I線に沿った隙間隠し部材の断面図である。
【図2】(A)〜(C)は図1の隙間隠し部材を径サイズの異なる配管に取り付けた状態を示す図である。
【図3】図1の隙間隠し部材の本変形例を示す平面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る隙間隠し部材を示す平面図である。
【図5】従来の隙間隠し部材を配管に取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1(A)は本発明の実施形態に係る隙間隠し部材10を示す平面図、(B)は(A)のI−I線に沿った断面図である。
【0012】
隙間隠し部材10は、本体部11と、この本体部に形成された開口12と、を備えている。
【0013】
本体部11は、板状の部材であって、図1(A)に示すように、輪郭Bが円形に形成されている。本実施形態では、本体部11の上面11Aと底面11Bとがそれぞれ平坦に形成されている。
【0014】
この本体部11の円形の輪郭Bと中心Cを同じにする円形の開口12が、本体部11に形成されている。この開口12は、後述するように配管30A〜30Cを通すための穴である。この開口12は、図1(B)に示すように、本体部11の厚み方向へ本体部11を貫通している。
【0015】
本実施形態の隙間隠し部材10は、さらに、開口縁12Eから開口12の中心C側へ突出した第1の突部13と、第1の突部13から開口12の中心C側へ突出した複数の第2の突部14と、を備えている。
【0016】
第1の突部13は、図1(A)に示すように、開口縁12Eの全領域から開口12の中心C側へ突出している。第1の突部13は、開口縁12Eから開口12の中心Cへの突出長L(図1(A)参照)が開口縁12Eの全領域に亘って等しくなるように設定されている。この第1の突部13の厚みt2は、図1(B)に示すように、本体部11の厚みt1より薄く(t2<t1)設定されている。第1の突部13の底面は、本体部11の底面11Bと面一に形成されている。
【0017】
各第2の突部14は、図1(A)に示すように、第1の突部13から開口12の中心C側へ突出している。具体的には、第2の突部14は、第1の突部13が画成する内周縁から開口12の中心C側へ延出している。本実施形態では、4つの第2の突部14が開口12の中心Cまわりに等角度間隔(θ=90度)に設けられていて、各第2の突部14同士は離隔している。
【0018】
各第2の突部14は同じ形状、図示例では半円形状に形成されている。図1(A)に示すように、各第2の突部14の輪郭を画する円弧14Aの中間点(以下、頂点Pと呼ぶ場合がある)に、上記等角度間隔を規定する仮想線L1が通る。これらの第2の突部14は、図1(B)に示すように、第1の突部13と同じ厚みt2に設定されており、各第2の突部14の底面は、本体部11の底面11Bと面一に形成されている。
【0019】
第1の突部13と第2の突部14とが連続してなすそれらの上面15A及び底面15Bは図1(B)に示すように平坦に形成されており、これらの面15A,15Bは本体部11の上面11A及び底面11Bに対して平行に形成されている。
【0020】
次に、本実施形態の隙間隠し部材10の作用について説明する。
開口12の中心Cから各第2の突部14の頂点Pまでの距離に相当する半径R1を有する配管30Aに隙間隠し部材10を装着すると、図2(A)に示すように、各第2の突部14は、開口12の中心C側へ延びた当初の姿勢で、頂点Pで配管30Aに当接する。4つの第2の突部14が、それぞれ頂点Pで配管30Aに当接することで、隙間隠し部材10は配管30Aに保持される。これにより、隙間隠し部材10は、キャビネット50の配管通し用の穴51とこの穴51に通した配管30Aとの隙間Sを隠す。
【0021】
次に、隙間隠し部材10を先の配管30Aとは径のサイズが異なる配管30Bに取り付ける場合について説明する。
ここでは、配管30Bの半径R2が先の配管30Aよりも大きく開口12の中心Cから第1の突部までの距離R3に相当する場合(R1<R2<R3)を想定する。
半径R2を有する配管30Bに隙間隠し部材10を装着すると、図2(B)に示すように、各第2の突部14が第1の突部13との付け根部分で曲がり、配管30Bに当接する。4つの第2の突部14が、それぞれ曲がって弾性接触することで、隙間隠し部材10は配管30Bに保持される。
【0022】
配管30Cの径サイズが配管30Bより大きい場合(半径がR3の場合)に、配管30Cに隙間隠し部材10を装着すると、図2(C)に示すように、第1の突部13が本体部11との付け根部分で曲がり当接する。この場合も、4つの第2の突部14が曲がって、配管30Cに弾性接触することで、隙間隠し部材10は配管30Cに保持される。
【0023】
このように、本実施形態の隙間隠し部材10によれば、配管の径サイズに応じて第1の突部13又は第2の突部14が曲がることで、従来技術のような加工する手間を省けて、便利である。
【0024】
図3は本実施形態の変形例に係る隙間隠し部材10Aを示す平面図である。
隙間隠し部材10Aは、前述の隙間隠し部材10の構成に加えて、第1の突部13が切り欠き13Aを備えている。具体的には、第1の突部13は、隣り合う第2の突部14,14同士の間の領域部分Aに切り欠き13Aを備えている。図示例では、第2突部14が4つ設けられていることに対応して、切り欠き13Aも4つ形成されている。切り欠き13Aは、領域部分Aにおいて、隣合う突部14,14同士の中間の位置に設けられている。なお、前述の隙間隠し部材10と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0025】
これらの切り欠き13Aを備えることで、隙間隠し部材10を、前述の図2(C)の配管に取り付ける場合、第1の突部13が曲がり易くなる。
なお、分離手段として切り欠き13Aに代えて切り込みなどを利用してもよい。
【0026】
図4は他の実施形態に係る隙間隠し部材10Bを示す平面図である。
隙間隠し部材10Bは、前述の隙間隠し部材10,10Aと異なり、第1の突部13を備えていないことを特徴とし、前述の第2の突部14が開口縁から開口12の中心C側へ突出していることを特徴としている。なお、前述の隙間隠し部材10と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0027】
この隙間隠し部材10Bでも、第2の突部14が当初の姿勢で配管に接触するか、曲がって配管に弾性接触することができる。
【0028】
以上説明したが、本発明は発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施をすることができる。
【0029】
例えば、本体部11の上面11Aと底面11Bとは凹凸を有する面に形成されてもよい。本体部11の輪郭Bは、円形、三角、四角などの矩形に限らず、楕円状でもよい。
【0030】
第1の突部13と第2の突部14とは、図1(B)に示すような本体部11の底面11Bと面一に限らず、面15Bが底面11Bより表面11A寄りにオフセットしてもよい。
【0031】
第1の突部は、開口12の全域に設ける場合に限らず、開口12の全域の内、一部を欠落させて或いは間欠的に設けてもよい。
【0032】
第2の突部の数は図示例に限らず、5個以上の複数でもよい。また、複数の第2の突部14の配置は、中心Cまわりに等角度間隔に限らず、例えば隣合う第2の突部14同士の間隔毎に角度を異なるように設定してもよい。第2の突部の形状も図示例に限らず、三角形、四角形などもよい。
【0033】
本発明の隙間隠し部材は本体部と第1の突部と第2の突部とを一体にして構成されている。隙間隠し部材は、PP(ポリプロピレン),PE(ポリエチレン)等の樹脂で構成されるが、材質はそれに限定されるものではなく、弾性変形可能な材質であれば良い。
【0034】
本発明の隙間隠し部材は、図4に二点鎖線で示すように、中心Cから半径方向に沿って延びた溝部60を内周縁から外周縁に形成し、本体部11を溝部60で割れるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
10,10A,10B 隙間隠し部材
11 本体部
11A 本体部の上面
11B 本体部の底面
12 開口
12E 開口縁
13 第1の突部
13A 第1の突部の切り欠き
14 第2の突部
14A 円弧
15A 上面
15B 底面
L1 仮想線
P 頂点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットの配管通し用の穴とこの穴に通した配管との隙間を隠す隙間隠し部材であって、
板状の本体部と、
上記本体部に形成され、上記配管を通す円形の開口と、
開口縁から当該開口の中心側へ突出し、上記本体部より薄い第1の突部と、
上記第1の突部から上記開口の中心側へ突出し、上記本体部より薄い複数の第2の突部と、を備え、
上記第2の突部同士が離隔している、隙間隠し部材。
【請求項2】
前記第1の突部は、隣り合う前記第2の突部同士の間の領域部分に、切れ込み或いは切り欠きなどの分離手段を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の隙間隠し部材。
【請求項3】
キャビネットの配管通し用の穴と、この穴に通した配管との隙間を隠す隙間隠し部材であって、
板状の本体部と、
上記本体部に形成され、上記配管を通す円形の開口と、
開口縁から当該開口の中心側へ突出し、上記本体部より薄い突部と、を備え、
上記突部同士が離隔している、隙間隠し部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−78708(P2011−78708A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235789(P2009−235789)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(392008529)ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Fターム(参考)】