隣接セル処理装置および隣接セル処理方法
【課題】適切な隣接セル情報を生成することにより、無線通信システムにおける動作の効率化を図ることが可能な隣接セル処理装置および隣接セル処理方法を提供する。
【解決手段】隣接セル処理装置は、対象の無線基地局装置以外の複数の無線基地局装置のうち、対象の無線基地局装置の周辺に配置された１または複数の無線基地局装置を示す隣接セル情報を無線端末装置ごとに生成するための隣接セル情報生成部１２と、隣接セル情報生成部１２によって生成された隣接セル情報を対応の無線端末装置または対象無線基地局装置へ送信するための隣接セル情報送信部１３とを備える。
【解決手段】隣接セル処理装置は、対象の無線基地局装置以外の複数の無線基地局装置のうち、対象の無線基地局装置の周辺に配置された１または複数の無線基地局装置を示す隣接セル情報を無線端末装置ごとに生成するための隣接セル情報生成部１２と、隣接セル情報生成部１２によって生成された隣接セル情報を対応の無線端末装置または対象無線基地局装置へ送信するための隣接セル情報送信部１３とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、隣接セル処理装置および隣接セル処理方法に関し、特に、無線端末装置が移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な通信システムにおける隣接セル処理装置および隣接セル処理方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、移動通信システムでは、半径数百メートルから数十キロメートルのセルすなわち無線端末装置が通信可能なエリアを形成する無線基地局装置（以下、マクロ基地局とも称する。）による通信サービスが提供されてきた。
【０００３】
近年、移動通信サービスの加入者数の劇的な増加およびデータ通信による通信トラヒック量の増大から、より半径の小さいセルを形成することによって加入者および通信トラヒックを分散し、また、一定レベルの通信速度をユーザへ安定して提供することが望まれている。また、ビルの超高層化に伴う不感地対策のため、企業フロア内および一般家庭内への無線基地局装置の設置も望まれている。
【０００４】
これらの要望と併せて、無線基地局装置で使用される種々のデバイスの処理能力が飛躍的に向上したことによって無線基地局装置の小型化が進み、このような小型化された基地局が注目を集めている。
【０００５】
この小型基地局（以下、フェムト基地局とも称する。）が形成するフェムトセル（Femto Cell）の半径は１０メートル前後と小さいため、フェムト基地局は、マクロ基地局が形成するマクロセル（Macro Cell）の圏外となりマクロ基地局の設置が困難な屋内および地下街等の場所で使用されることが考えられる。
【０００６】
また、フェムト基地局は特定のエリアに多数設置されることから、フェムト基地局を直接コアネットワークに接続することは難しい。このため、特定のエリアに設置された多数のフェムト基地局を一旦、ＨｅＮＢ−ＧＷ等のゲートウェイ装置に接続し、フェムト基地局とコアネットワークとをＨｅＮＢ−ＧＷ経由で接続することが考えられる。
【０００７】
このような構成において、フェムト基地局を設置する際に１つ１つのフェムト基地局の設定を事業者またはフェムト基地局の購入者が行なっていくと、相当な作業と費用を要する。また、新たにフェムト基地局が設置されてフェムト基地局が増加するたびに、新たに設置されたフェムト基地局だけでなく、既存の周辺のフェムト基地局の再設定も行なわなければならなくなる。
【０００８】
このような問題点を解決するための構成として、たとえば、特許文献１には、以下のような技術が開示されている。すなわち、新たなセルは、既存のセルによって用いられている様々な異なるチャネルの信号強度を測定する。新たなセルは、大きな信号強度を持つチャネルに対応する候補チャネルのリストを作成し、このリストをセルラシステムの移動体交換センタに送信する。移動体交換センタは、どの候補チャネルが既存のセル内で用いられているビーコンに対応するかを決定し、新たなセルに、これら既存の各セルに関する構成情報を送信する。こうして、新たなセルは、隣接セルに関する構成情報を自動的に受信する。移動体交換センタが、識別されたネーバー（隣接セル）が最大値Ｎに達してないことを決定した場合は、移動体交換センタは、新たなセルに対して、追加の候補チャネル（つまり、より低い信号強度を持つ候補チャネル）を送信することを要請する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
【特許文献１】特開平１１―３３１９３１号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
移動通信システムにおいて、たとえば、無線端末装置は、１または複数の無線基地局装置が登録された隣接セル情報を用いて、自律的に、または無線基地局装置からの指示に従い、隣接セル情報に登録された無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、この測定結果を無線基地局装置に報告する。この場合、ハンドオーバ先としては向かない無線基地局装置が隣接セル情報に登録されていると、無線端末装置が無駄な測定動作を行ない、また、無駄なハンドオーバが発生してしまう。
【００１１】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、適切な隣接セル情報を生成することにより、無線通信システムにおける動作の効率化を図ることが可能な隣接セル処理装置および隣接セル処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
（１）上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる隣接セル処理装置は、無線端末装置が移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な通信システムにおける隣接セル処理装置であって、対象の上記無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置のうち、上記対象無線基地局装置の周辺に配置された１または複数の上記無線基地局装置を示す隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成するための隣接セル情報生成部と、上記隣接セル情報生成部によって生成された上記隣接セル情報を対応の上記無線端末装置または上記対象無線基地局装置へ送信するための隣接セル情報送信部とを備える。
【００１３】
このような構成により、無線端末装置ごとに異なる通信環境に応じて適切な隣接セル情報を生成することができる。具体的には、無線端末装置による無駄な測定動作を減らす、すなわち無線端末装置が存在を認識できないセルの測定を行なう回数を減らすことができる。また、無線端末装置による無駄な移動動作を減らすことができる。したがって、適切な隣接セル情報を生成することにより、無線通信システムにおける動作の効率化を図ることができる。
【００１４】
（２）好ましくは、上記隣接セル処理装置は、さらに、上記隣接セル情報を生成するための情報を、上記無線端末装置ごとに、上記無線端末装置および上記無線基地局装置の少なくとも一方からの情報に基づいて取得するための情報取得部を備え、上記隣接セル情報生成部は、上記情報取得部によって取得された上記無線端末装置ごとの上記情報に基づいて、上記隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成する。
【００１５】
このような構成により、無線基地局装置の移動および電源のオン／オフに関わらず、隣接セル情報を自動的に最適化することができるため、人手を介すことなく、無線通信システムにおける動作の効率化を図ることができる。また、自動的に隣接セル情報の最適化が行われることから、無線基地局装置に対する特別な設置処理が不要となるため、無線基地局装置を設置するための作業時間および費用の低減を図ることができる。
【００１６】
（３）より好ましくは、上記情報取得部は、対象の上記無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置から送信される無線信号を上記無線端末装置が測定した結果を示す測定情報を、上記無線端末装置ごとに、上記無線端末装置および上記無線基地局装置の少なくとも一方からの情報に基づいて取得し、上記隣接セル情報生成部は、上記情報取得部によって取得された上記無線端末装置ごとの上記測定情報に基づいて、上記隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成する。
【００１７】
このように、隣接セル情報を生成するための情報として、無線基地局装置から送信される無線信号を無線端末装置が実際に測定した結果を示す測定情報を取得する構成により、無線端末装置ごとの隣接セル情報を適切に生成することができる。
【００１８】
（４）より好ましくは、上記情報取得部は、上記無線端末装置の移動動作履歴を示す移動情報を、上記無線端末装置ごとに、上記無線端末装置および上記無線基地局装置の少なくとも一方からの情報に基づいて取得し、上記隣接セル情報生成部は、上記情報取得部によって取得された上記無線端末装置ごとの上記移動情報に基づいて、上記隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成する。
【００１９】
このように、隣接セル情報を生成するための情報として、無線端末装置の移動動作履歴を示す移動情報を取得する構成により、無線端末装置ごとの隣接セル情報を適切に生成することができる。
【００２０】
（５）より好ましくは、上記対象無線基地局装置以外の複数の無線基地局装置のうちの少なくともいずれか１つは、すべての上記無線端末装置に対して通信を許可するオープンアクセスモードで動作するか、設定された加入者グループに属しており、同じ上記加入者グループに属する上記無線端末装置に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作するか、または設定された加入者グループに属しており、同じ上記加入者グループに属する上記無線端末装置および異なる上記加入者グループに属する上記無線端末装置の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作するかを設定可能であり、上記情報取得部は、上記対象無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置が、上記オープンアクセスモード、上記クローズドアクセスモードおよび上記ハイブリッドモードのいずれで動作しているかを示し、かつ上記無線端末装置、および上記対象無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置がそれぞれ属する上記加入者グループを示す属性情報を取得し、上記隣接セル情報生成部は、上記無線基地局装置が上記オープンアクセスモード、上記クローズドアクセスモードおよび上記ハイブリッドモードのいずれで動作するか、ならびに上記無線端末装置の属する上記加入者グループと上記無線基地局装置の属する上記加入者グループとの異同に基づいて、上記隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成する。
【００２１】
このように、隣接セル情報を生成するための情報として、各無線基地局装置のアクセスモード、ならびに無線端末装置および無線基地局装置の加入者グループを示す属性情報を取得する構成により、無線端末装置ごとの隣接セル情報を適切に生成することができる。
【００２２】
（６）より好ましくは、上記隣接セル情報生成部は、上記対象無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置の中から、上記クローズドアクセスモードで動作し、かつ対応の上記無線端末装置と異なる上記加入者グループに属する上記無線基地局装置を少なくとも除いた上記隣接セル情報を生成する。
【００２３】
このような構成により、無線端末装置が利用できない無線リソースである無線基地局装置を隣接セル情報から適切に削除することができる。
【００２４】
（７）好ましくは、上記対象無線基地局装置は、上記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された上記無線端末装置および登録されていない上記無線端末装置の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作し、上記隣接セル情報生成部は、上記対象無線基地局装置において登録された上記無線端末装置ごとに上記隣接セル情報を生成する。
【００２５】
このように、無線基地局装置のメンバーとなる無線端末装置用の隣接セル情報を生成する構成では、メンバーである無線端末装置の加入者グループが無線基地局装置において既知であることから、無線端末装置ごとの隣接セル情報を容易に生成することが可能となる。また、登録ユーザの所有する無線端末装置用の隣接セル情報を生成することにより、当該無線端末装置の電力消費を低減することができるため、適切な通信サービスを提供することができる。
【００２６】
（８）好ましくは、上記対象無線基地局装置は、上記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された上記無線端末装置に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作し、上記隣接セル情報生成部は、上記対象無線基地局装置において登録された上記無線端末装置ごとに上記隣接セル情報を生成する。
【００２７】
このように、無線基地局装置のメンバーとなる無線端末装置用の隣接セル情報を生成する構成では、メンバーである無線端末装置の加入者グループが無線基地局装置において既知であることから、無線端末装置ごとの隣接セル情報を容易に生成することが可能となる。また、登録ユーザの所有する無線端末装置用の隣接セル情報を生成することにより、当該無線端末装置の電力消費を低減することができるため、適切な通信サービスを提供することができる。
【００２８】
（９）好ましくは、上記対象無線基地局装置は、上記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された上記無線端末装置および登録されていない上記無線端末装置の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作するか、または上記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された上記無線端末装置に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作し、上記隣接セル処理装置は、さらに、上記対象無線基地局装置において登録された上記無線端末装置に対して、上記対象無線基地局装置以外の上記無線基地局装置から送信される無線信号の受信レベルを複数の周波数において測定することを指示するための電力測定指示部と、上記無線端末装置の測定結果を示す上記無線端末装置ごとの測定情報を取得するための情報取得部とを備え、上記隣接セル情報生成部は、上記情報取得部によって取得された上記無線端末装置ごとの上記測定情報に基づいて、上記隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成する。
【００２９】
このように、複数の周波数における測定結果を用いて隣接セル情報を生成する構成により、適切な隣接セル情報を早期に構築することが可能となり、無線通信システムにおける動作の効率化を早期に実現することができる。また、登録された無線端末装置に対して複数の周波数における測定を指示する構成により、隣接セル情報を生成するための情報を効率的に取得することが可能となる。
【００３０】
（１０）好ましくは、上記隣接セル情報生成部は、さらに、上記対象無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置のうち、上記対象無線基地局装置の周辺に配置された１または複数の上記無線基地局装置を示す、複数の無線端末装置に通知するための総合隣接セル情報を生成する。
【００３１】
このように、多様な隣接セル情報を用いることにより、無線通信システムにおける動作のさらなる効率化を図ることが可能である。
【００３２】
（１１）より好ましくは、上記隣接セル情報生成部は、さらに、生成した上記無線端末装置ごとの上記隣接セル情報に基づいて総合隣接セル情報を生成する。
【００３３】
このような構成により、特定の無線端末装置に加えて、無線通信システムにおける他の無線端末装置に通知すべき隣接セル情報を適切に生成することができるため、無線通信システムにおける動作のさらなる効率化を図ることが可能である。
【００３４】
（１２）より好ましくは、上記隣接セル情報生成部は、生成した上記無線端末装置ごとの上記隣接セル情報がそれぞれ示す１または複数の上記無線基地局装置を含む総合隣接セル情報を生成する。
【００３５】
このような構成により、たとえば建物における各部屋に存在する各無線端末装置が共通で認識できるセルが存在しない場合に、非登録の無線端末装置へ通知する隣接セル情報、および報知用の隣接セル情報において登録される無線基地局装置がゼロになることを防ぐことができる。
【００３６】
（１３）より好ましくは、上記隣接セル情報送信部は、上記対象無線基地局装置と通信可能な複数の無線端末装置に上記総合隣接セル情報を報知する。
【００３７】
このような構成により、特定の無線端末装置に加えて、無線通信システムにおける他の無線端末装置に共通の隣接セル情報を通知することが可能となるため、無線通信システムにおける動作のさらなる効率化を図ることができる。
【００３８】
（１４）より好ましくは、上記対象無線基地局装置は、上記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された上記無線端末装置および登録されていない上記無線端末装置の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作するか、または上記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された上記無線端末装置に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作し、上記隣接セル情報送信部は、上記対象無線基地局装置において登録されていない上記無線端末装置へ上記総合隣接セル情報を送信する。
【００３９】
このような構成により、ハイブリッドモードまたはクローズドアクセスモードで動作する無線基地局装置において、メンバーの無線端末装置に加えて、ノンメンバーの無線端末装置に共通の隣接セル情報を通知することが可能となるため、無線通信システムにおける動作のさらなる効率化を図ることができる。
【００４０】
（１５）好ましくは、上記隣接セル情報生成部は、対象の上記無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置のうち、上記対象無線基地局装置と通信する上記無線端末装置の移動先候補となる１または複数の上記無線基地局装置を示す隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成する。
【００４１】
このような構成により、設置された無線基地局装置のセル内における移動動作を最適な状態にすることが可能となる。また、隣接セル情報の最適化を行なうことにより、通信中の無線端末装置の移動先候補となる隣接セルの数を低減することができるため、無駄な移動動作が発生することを防ぐことができる。
【００４２】
（１６）好ましくは、上記隣接セル情報生成部は、対象の上記無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置のうち、上記無線端末装置の測定対象となる１または複数の上記無線基地局装置を示す隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成する。
【００４３】
このように、隣接セル情報の最適化を行なうことにより、無線端末装置が測定を行なう対象となる隣接セルの数を低減することができるため、無線端末装置が無駄な測定動作を行なうことを防ぐことができる。
【００４４】
（１７）好ましくは、上記隣接セル情報生成部は、対象の上記無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置のうち、上記無線端末装置が受信レベルを測定する対象となる無線信号を送信する１または複数の上記無線基地局装置を示す隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成する。
【００４５】
このように、隣接セル情報の最適化を行なうことにより、無線端末装置が受信レベル測定を行なう対象となる隣接セルの数を低減することができるため、無線端末装置が無駄な測定動作を行なうことを防ぐことができる。特に、アイドル状態の無線端末装置の消費電力を低減することができるため、顕著な効果が得られる。
【００４６】
（１８）より好ましくは、上記隣接セル情報生成部は、対象の上記無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置のうち、上記対象無線基地局装置と通信中でない上記無線端末装置が受信レベルを測定する対象となる無線信号を送信する１または複数の上記無線基地局装置を示す隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成する。
【００４７】
このような構成により、無線基地局装置からの報知情報等によって指示される定期的な電力測定の対象となる隣接セルの数を低減することができるため、無線端末装置が無駄な測定動作を行なうことを防ぐことができる。
【００４８】
（１９）好ましくは、上記通信システムにおける上記複数の無線基地局装置のうちの少なくともいずれかはフェムト基地局である。
【００４９】
このように、無線基地局装置の移動および電源のオン／オフが頻繁に起こる無線通信システムにおいて適切な隣接セル情報を生成することにより、無線通信システムにおける動作の効率化を図るという効果をより顕著に得ることができる。
【００５０】
（２０）好ましくは、上記隣接セル処理装置は、１または複数の上記無線基地局装置に含まれる。
【００５１】
このような構成により、たとえばゲートウェイ装置または上位装置で各無線基地局装置の隣接セル情報の最適化を行なう必要がなくなり、無線通信システムにおける処理負荷の分散、ならびに無線基地局装置とゲートウェイ装置または上位装置との間における通信量の低減を図ることができる。
【００５２】
（２１）上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる隣接セル処理方法は、無線端末装置が移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な通信システムにおける隣接セル処理方法であって、対象の上記無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置のうち、上記対象無線基地局装置の周辺に配置された１または複数の上記無線基地局装置を示す隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成するステップと、生成した上記隣接セル情報を対応の上記無線端末装置または上記対象無線基地局装置へ送信するステップとを含む。
【００５３】
このような構成により、無線端末装置ごとに異なる通信環境に応じて適切な隣接セル情報を生成することができる。具体的には、無線端末装置による無駄な測定動作を減らす、すなわち無線端末装置が存在を認識できないセルの測定を行なう回数を減らすことができる。また、無線端末装置による無駄な移動動作を減らすことができる。したがって、適切な隣接セル情報を生成することにより、無線通信システムにおける動作の効率化を図ることができる。
【発明の効果】
【００５４】
本発明によれば、適切な隣接セル情報を生成することにより、無線通信システムにおける動作の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００５５】
【図１】本発明の第１の実施の形態に係るフェムト基地局のアクセスモードと接続可能な無線端末装置との関係を示す図である。
【図２】本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおける無線基地局装置の配置例を示す図である。
【図３】本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおける無線基地局装置の配置例を詳細に示す図である。
【図４】本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおける無線基地局装置の配置例を詳細に示す図である。
【図５】本発明の第１の実施の形態に係る無線基地局装置の構成を示す図である。
【図６】本発明の第１の実施の形態に係る信号処理部の構成を示す図である。
【図７】本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線基地局装置が隣接セル情報を生成するシーケンスの一例を示す図である。
【図８】本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。
【図９】無線基地局装置の生成する隣接セル情報の一例を示す図である。
【図１０】無線基地局装置の生成する隣接セル情報の一例を示す図である。
【図１１】無線基地局装置の生成する総合隣接セル情報の一例を示す図である。
【図１２】本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線基地局装置が隣接セル情報を無線端末装置へ通知する方法の一例を示す図である。
【図１３】本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線基地局装置が総合隣接セル情報を無線端末装置へ通知する方法の一例を示す図である。
【図１４】無線基地局装置の生成する隣接セル情報の一例を示す図である。
【図１５】無線基地局装置の生成する隣接セル情報の一例を示す図である。
【図１６】無線基地局装置の生成する総合隣接セル情報の一例を示す図である。
【図１７】本発明の第３の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【図１８】本発明の第３の実施の形態に係るゲートウェイ装置の構成を示す図である。
【図１９】本発明の第３の実施の形態に係るゲートウェイ装置におけるデータ処理部の構成を示す図である。
【図２０】本発明の第３の実施の形態に係るゲートウェイ装置が隣接セル情報を通知する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【００５６】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【００５７】
＜第１の実施の形態＞
無線基地局装置は、自らの形成するセルおよび周辺セルについての情報、すなわち無線信号の周波数および周辺セルのＩＤ（identification）等を無線端末装置に通知する。無線端末装置は、無線基地局装置から通知された情報に基づいて、周辺セルの検出および測定を行なう。無線端末装置は、この測定結果に基づいて、周辺セルへの移動を開始する。ここで、無線端末装置の「移動」とは、ハンドオーバを意味することに加えて、アイドル状態の無線端末装置が今後通信を開始する、すなわち通話またはデータ通信を開始する際にどのセルを介して通信を行なうかを選択することを意味する。
【００５８】
たとえば、無線端末装置が無線基地局装置と通信しているときには、無線端末装置の移動先は無線基地局装置またはコアネットワークにおける上位装置が決定する。また、無線端末装置が無線基地局装置と通信していないときには、無線端末装置の移動先は無線端末装置が決定する。
【００５９】
フェムトセルおよびアクセスモードは、３ＧＰＰ（Third Generation Partnership Project） ＳＰＥＣ ＴＳ２２．２２０において以下のように説明されている。すなわち、フェムト基地局は、無線インタフェースを介して接続されている無線端末装置を、ＩＰバックホール（backhaul）を用いて、移動通信事業者網に接続する顧客構内装置である。
【００６０】
また、フェムトセルのアクセスモードにおいて、クローズドアクセスモードのフェムト基地局は、関連するＣＳＧ（Closed Subscriber Group）メンバーにのみサービスを提供する。また、ハイブリッドモードのフェムト基地局は、関連するＣＳＧメンバーおよびＣＳＧノンメンバーにサービスを提供する。また、オープンアクセスモードのフェムト基地局は、通常の基地局として動作する。
【００６１】
本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおいても、このような３ＧＰＰの定義を適用してもよい。
【００６２】
また、上記定義と合わせて、あるいは別個に、以下のような定義を適用することも可能である。
【００６３】
マクロ基地局は、事業者の管理下にあり、事業者と契約している無線基地局装置が通信可能な無線基地局装置である。また、マクロ基地局は、基本的に電源がオフになることはないと考えられる。
【００６４】
また、フェムト基地局は、主に個人または法人の建物内に設置され、ユーザの事情により移動するまたは電源がオフとなる可能性がある無線基地局装置である。
【００６５】
また、フェムト基地局は、オープン／ハイブリッド／クローズドのいずれかのアクセスモードで動作する。フェムト基地局は、クローズドアクセスモードで動作する場合には、登録済みのメンバー（端末）のみ接続可能となる。また、クローズドアクセスモードで動作する場合には、登録済みのメンバーにのみサービスを提供する。また、ハイブリッドモードで動作する場合には、登録済みのメンバー、および未登録のメンバーすなわちノンメンバーの両方にサービスを提供する。また、オープンアクセスモードで動作する場合には、マクロ基地局と同じ動作をする。
【００６６】
図１は、本発明の第１の実施の形態に係るフェムト基地局のアクセスモードと接続可能な無線端末装置との関係を示す図である。
【００６７】
図１を参照して、本発明の第１の実施の形態に係るフェムト基地局は、３つのアクセスモードを有する。すなわち、クローズドアクセスモードでは、フェムト基地局と接続可能な無線端末装置は登録済みの無線端末装置のみである。また、オープンアクセスモードでは、フェムト基地局と接続可能な無線端末装置はすべての無線端末装置であり、通常のマクロ基地局と同様である。また、ハイブリッドモードでは、フェムト基地局と接続可能な無線端末装置はすべての無線端末装置である。ただし、ハイブリッドモードでは、メンバーすなわち登録されている無線端末装置は、ノンメンバーすなわち登録されていない無線端末装置と比べて、フェムト基地局の通信リソースの割り当ておよび課金等で優遇される場合がある。
【００６８】
すなわち、本発明の第１の実施の形態に係るフェムト基地局は、すべての無線端末装置に対して通信を許可するオープンアクセスモードで動作するか、無線端末装置を登録することが可能であり、登録された無線端末装置に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作するか、または無線端末装置を登録することが可能であり、登録された無線端末装置および登録されていない無線端末装置の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作するかを設定可能である。
【００６９】
クローズドアクセスモードのセルにおいては、無線端末装置が自立的に周辺セルを検出することが３ＧＰＰで規定されている。また、オープンアクセスモードのマクロセルにおいては、事業者が計画的に無線基地局装置を設置する場合には、周辺のマクロセルに関する情報も事業者が把握しており、無線基地局装置の設置時および保守時等に設定される。
【００７０】
ところで、ユーザは、フェムト基地局を任意の場所に設置できることから、フェムト基地局が現在地を把握することは困難である。このため、フェムト基地局において、周辺セルの情報を得ることも困難である。
【００７１】
前述のように、クローズドアクセスモードのセルにおける無線端末装置のフェムトセル検出方法および移動方法は３ＧＰＰで規定されている。しかしながら、マクロセルまたはフェムトセルから、マクロセルまたはオープンアクセスモードのフェムトセルへ無線端末装置が移動する場合には、移動元の無線基地局装置が移動先の無線基地局装置の情報を無線端末装置に通知する必要がある。
【００７２】
ここで、フェムト基地局はユーザによって独自に使用場所が決められるため、フェムト基地局の移動および電源のオン／オフが起こり得る。これにより、次の２つが課題となる。すなわち、フェムト基地局が現在地を把握できないので、周辺に配置されたセルの情報をＯＡＭ機能（保守機能）によって取得することが困難である。また、無線基地局装置の周辺にフェムト基地局が存在する場合であってフェムト基地局の電源がオフされているときには、無線端末装置は当該フェムト基地局へ移動することができないので、フェムト基地局の電源のオン／オフを検出する必要が生じてしまう。
【００７３】
なお、フェムト基地局がＧＰＳ（Global Positioning System）等を利用して現在地を特定できる場合には、フェムト基地局が事業者網に問い合わせを行ない、地理的に近いセルの情報を取得することも考えられるが、精度の問題から、正確な位置を特定することは困難である。
【００７４】
［構成および基本動作］
図２は、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおける無線基地局装置の配置例を示す図である。
【００７５】
図２を参照して、無線通信システム３０１は、たとえば３ＧＰＰで規格化されたＬＴＥ（Long Term Evolution）に従う移動体通信システムであり、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｂ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅを備える。建物５１内に、無線基地局装置１０１Ａが設置され、無線端末装置２０２が存在している。
【００７６】
無線通信システム３０１では、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅがフェムト基地局であり、無線基地局装置１０１Ｂがマクロ基地局である。
【００７７】
無線基地局装置１０１Ｂは、たとえば半径数キロメートルのマクロセルＭＣＢを形成する。また、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅは、たとえば半径数１０メートルのフェムトセルＦＣＡ，ＦＣＣ，ＦＣＤ，ＦＣＥをそれぞれ形成する。
【００７８】
ここでは、マクロ基地局１０１Ｂが形成するマクロセル内に、複数のフェムト基地局が存在する状態を考える。
【００７９】
無線基地局装置１０１Ｂは、マクロセルＭＣＢ内に存在する無線端末装置２０２と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置２０２と通信することが可能である。
【００８０】
無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅは、屋内および地下街等、無線基地局装置１０１Ｂからの無線信号を無線端末装置２０２が受信しにくい場所に設置され、それぞれフェムトセルＦＣＡ，ＦＣＣ，ＦＣＤ，ＦＣＥ内に存在する無線端末装置２０２と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置２０２と通信することが可能である。
【００８１】
図２では、無線基地局装置１０１Ｃおよび１０１Ｅがそれぞれ形成するフェムトセルＦＣＣ，ＦＣＥの各々の一部が重なり合っている。また、無線基地局装置１０１Ｅおよび１０１Ｄがそれぞれ形成するフェムトセルＦＣＥ，ＦＣＤの各々の一部が重なり合っている。また、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅは、無線基地局装置１０１Ｂが形成するマクロセルＭＣＢ内に配置されている。建物５１は、マクロセルＭＣＢ内に存在し、フェムトセルＦＣＣ，ＦＣＤ，ＦＣＥの各々の一部に入っている。
【００８２】
図３は、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおける無線基地局装置の配置例を詳細に示す図である。
【００８３】
図３を参照して、建物５１は、部屋ａ，ｂ，ｃ，ｄ，ｅから成り、部屋ａ，ｂ，ｃ，ｄ，ｅのほぼ全領域が無線基地局装置１０１Ａの圏内となっている。現在、部屋ａおよび部屋ｃにそれぞれ無線端末装置２０２ａおよび無線端末装置２０２ｂが存在し、無線基地局装置１０１Ａと通信している。また、無線端末装置２０２ａは無線基地局装置１０１Ｂ，１０１Ｃ，１０１Ｅの圏内に存在し、無線端末装置２０２ｂは基地局１０１Ｂ，１０１Ｄ，１０１Ｅの圏内に存在している。
【００８４】
フェムトセルＦＣＡは、フェムトセルＦＣＣ，ＦＣＤ，ＦＣＥの各々の一部と重なり合っている。無線基地局装置１０１Ａと通信している無線端末装置２０２ａは、フェムトセルＦＣＡ，ＦＣＣ，ＦＣＥ内に位置しており、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｃ，１０１Ｅからの無線信号を受信可能である。また、無線基地局装置１０１Ａと通信している無線端末装置２０２ｂは、フェムトセルＦＣＡ，ＦＣＤ，ＦＣＥ内に位置しており、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｄ，１０１Ｅからの無線信号を受信可能である。
【００８５】
本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｂ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅが、それぞれ隣接セル処理装置として動作する。すなわち、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｂ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅの各々は、単体で隣接セル情報の最適化を行なう。
【００８６】
以下、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｂ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅの各々を無線基地局装置１０１と称する場合がある。また、図２および図３では、１つのマクロ基地局と、４つのフェムト基地局とを代表的に示しているが、少数またはさらに多数のマクロ基地局およびフェムト基地局が設けられてもよい。
【００８７】
図４は、図２に示す無線通信システムにおける、各無線基地局装置の属性を示す図である。
【００８８】
図４を参照して、無線通信システム３０１において、無線基地局装置１０１ＡのセルＩＤが１１１１であり、アクセスモードがハイブリッドモードであり、ＣＳＧ（Closed Subscriber Group） ＩＤが７７７７である。無線基地局装置１０１ＢのセルＩＤが２２２２であり、マクロ基地局であり、ＣＳＧ ＩＤは有していない。無線基地局装置１０１ＣのセルＩＤが３３３３であり、アクセスモードがオープンアクセスモードであり、ＣＳＧ ＩＤは有していない。無線基地局装置１０１ＤのセルＩＤが４４４４であり、アクセスモードがハイブリッドモードであり、ＣＳＧ ＩＤが８８８８である。無線基地局装置１０１ＥのセルＩＤが５５５５であり、アクセスモードがクローズドアクセスモードであり、ＣＳＧ ＩＤが８８８８である。
【００８９】
ここで、ＣＳＧ ＩＤは、無線端末装置２０２、ならびにクローズドアクセスモードおよびハイブリッドモードの無線基地局装置１０１に割り当てられるＩＤである。このＣＳＧ ＩＤにより、無線端末装置２０２は、ある無線基地局装置１０１にとって自己がメンバーであるかノンメンバーであるかを識別することができる。
【００９０】
すなわち、フェムト基地局である無線基地局装置１０１は、すべての無線端末装置２０２に対して通信を許可するオープンアクセスモードで動作するか、設定された加入者グループに属しており、同じ加入者グループに属する無線端末装置２０２に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作するか、または設定された加入者グループに属しており、同じ加入者グループに属する無線端末装置２０２および異なる加入者グループに属する無線端末装置２０２の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作するかを設定可能である。
【００９１】
図５は、本発明の第１の実施の形態に係る無線基地局装置の構成を示す図である。
図５を参照して、無線基地局装置１０１は、アンテナ９１と、サーキュレータ９２と、無線受信部９３と、無線送信部９４と、信号処理部９５とを備える。信号処理部９５は、受信信号処理部９６と、送信信号処理部９７とを含む。信号処理部９５は、ＣＰＵ（Central Processing Unit）またはＤＳＰ（Digital Signal Processor）等によって実現される。
【００９２】
サーキュレータ９２は、アンテナ９１において受信された無線端末装置２０２からの無線信号を無線受信部９３へ出力し、また、無線送信部９４から受けた無線信号をアンテナ９１へ出力する。
【００９３】
無線受信部９３は、サーキュレータ９２から受けた無線信号をベースバンド信号またはＩＦ（Intermediate Frequency）信号に周波数変換し、この周波数変換した信号をデジタル信号に変換して受信信号処理部９６へ出力する。
【００９４】
受信信号処理部９６は、無線受信部９３から受けたデジタル信号に対してＣＤＭＡ（Code Division Multiple Access）方式における逆拡散等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号の一部または全部を所定のフレームフォーマットに変換してコアネットワーク側へ送信する。
【００９５】
送信信号処理部９７は、コアネットワーク側から受信した通信データを所定のフレームフォーマットに変換した通信データまたは自ら生成した通信データに対してＯＦＤＭ（Orthogonal Frequency Division Multiplex）方式におけるＩＦＦＴ（Inverse Fast Fourier Transform）等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号を無線送信部９４へ出力する。
【００９６】
無線送信部９４は、送信信号処理部９７から受けたデジタル信号をアナログ信号に変換し、変換したアナログ信号を無線信号に周波数変換してサーキュレータ９２へ出力する。
【００９７】
図６は、本発明の第１の実施の形態に係る信号処理部の構成を示す図である。
図６を参照して、受信信号処理部９６は、各種情報取得部１１と、隣接セル情報生成部１２とを含む。送信信号処理部９７は、隣接セル情報送信部１３と、電力測定指示部１４とを含む。
【００９８】
各種情報取得部１１は、隣接セル情報の生成に必要な種々の情報を取得する。たとえば、各種情報取得部１１は、このような各種情報を他の無線基地局装置１０１および無線端末装置２０２の少なくとも一方からの情報に基づいて取得する。
【００９９】
隣接セル情報生成部１２は、各種情報取得部１１によって取得された情報に基づいて、隣接セル情報を与える対象となる無線基地局装置（以下、対象基地局とも称する。）以外の無線通信システム３０１における複数の無線基地局装置１０１のうち、対象基地局の周辺に設置された１または複数の無線基地局装置１０１を示す隣接セル情報を、無線端末装置２０２ごとに生成する。たとえば、隣接セル情報生成部１２は、隣接セル情報を、対象基地局と通信可能な無線端末装置２０２ごとに生成する。本発明の第１の実施の形態に係る無線基地局装置では、対象基地局は自己の無線基地局装置１０１である。
【０１００】
隣接セル情報送信部１３は、隣接セル情報生成部１２によって生成された無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報を、対応の無線端末装置２０２へそれぞれ送信する。
【０１０１】
電力測定指示部１４は、対象基地局以外の他の無線基地局装置１０１から送信される無線信号の受信レベルを無線端末装置２０２に測定させるための測定開始要求を無線端末装置２０２へ送信する。
【０１０２】
［動作］
次に、本発明の第１の実施の形態に係る無線基地局装置が隣接セル情報を生成する際の動作について説明する。
【０１０３】
各種情報取得部１１は、たとえば、対象基地局以外の他の無線基地局装置１０１から送信される無線信号を無線端末装置２０２が測定した結果を示す測定情報を、無線端末装置２０２ごとに、無線端末装置２０２からの情報に基づいて取得する。
【０１０４】
隣接セル情報生成部１２は、各種情報取得部１１によって取得された無線端末装置２０２ごとの測定情報に基づいて、隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０１０５】
図７は、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線基地局装置が隣接セル情報を生成するシーケンスの一例を示す図である。
【０１０６】
たとえばＬＴＥでは、最初に無線端末装置２０２が無線基地局装置１０１とのＲＲＣ（Radio Resource Control）コネクションを確立した時、すなわち無線基地局装置１０１と通信を開始するための処理を完了した時に、当該無線基地局装置１０１は、当該無線端末装置２０２に対して全周波数検索を指示する。
【０１０７】
ここで、全周波数検索とは、無線通信システム３０１において設定されたすべての種類の送信周波数について、各無線基地局装置１０１からの無線信号の受信レベルを測定することを意味する。
【０１０８】
そして、無線基地局装置１０１は、無線端末装置２０２からの測定結果の報告に基づいて隣接セル情報を生成し、図示しない記憶部に保存する。
【０１０９】
より詳細には、図７を参照して、まず、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２の測定対象となる他の無線基地局装置を設定する（ステップＳ１０１）。
【０１１０】
次に、無線基地局装置１０１Ａは、設定した他の無線基地局装置から送信される無線信号の受信レベルを無線端末装置２０２に測定させるための測定開始要求を無線端末装置２０２へ送信する。この測定開始要求に、測定対象となる周波数および無線基地局装置の情報が含まれる（ステップＳ１０２）。
【０１１１】
次に、無線端末装置２０２は、無線基地局装置１０１Ａから測定開始要求を受信して、受信した測定開始要求の示す無線基地局装置から送信される無線信号の受信レベルを測定する（ステップＳ１０３）。
【０１１２】
次に、無線端末装置２０２は、この受信レベルの測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置１０１Ａへ送信する（ステップＳ１０４）。
【０１１３】
次に、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置２０２用の隣接セル情報を生成する（ステップＳ１０５）。
【０１１４】
このように、全周波数検索の結果を用いて隣接セル情報を生成する構成により、適切な隣接セル情報を早期に構築することが可能となり、無線通信システム３０１における動作の効率化を早期に実現することができる。
【０１１５】
図８は、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。
【０１１６】
図８を参照して、まず、無線基地局装置１０１Ａは、自己と通信中の無線端末装置２０２の測定対象となる周波数と、当該周波数の無線信号を送信する他の無線基地局装置とを設定する（ステップＳ８１）。
【０１１７】
次に、無線基地局装置１０１Ａは、設定した他の無線基地局装置から送信される無線信号の受信レベルを無線端末装置２０２に測定させるための測定開始要求を無線端末装置２０２へ送信する。この測定開始要求には、測定対象となる無線基地局装置１０１の情報すなわちセルＩＤが含まれる。この情報は、たとえば、図７に示すシーケンス等によって生成した無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報である。また、この測定開始要求には、各無線基地局装置１０１の送信周波数が含まれる（ステップＳ８２）。
【０１１８】
次に、無線端末装置２０２は、無線基地局装置１０１Ａから測定開始要求を受信して、受信した測定開始要求の示す周波数において、測定開始要求の示す無線基地局装置から送信される無線信号の受信レベルを測定する（ステップＳ８３）。
【０１１９】
次に、無線端末装置２０２は、この受信レベルの測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置１０１Ａへ送信する。たとえば、無線端末装置２０２は、受信レベルの測定を定期的に行ない、無線基地局装置１０１Ａとの通信状態が悪くなった場合、および無線基地局装置１０１Ａ以外の他の無線基地局装置１０１との通信状態が良くなった場合に、測定結果通知を無線基地局装置１０１Ａへ送信する（ステップＳ８４）。
【０１２０】
次に、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２から受信した測定結果通知に基づいて、セルＩＤごとの測定結果を示す測定情報を取得し、図示しない記憶部に保存する（ステップＳ８５）。
【０１２１】
次に、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置２０２がハンドオーバすべきか否かを判断し、ハンドオーバすべきであると判断すると、対応の隣接セル情報を参照してたとえば無線基地局装置１０１Ｂをハンドオーバ先として決定し、無線基地局装置１０１Ｂを示すハンドオーバ要求を上位装置へ送信する（ステップＳ８６）。
【０１２２】
ここで、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバとは、通話中またはデータ通信中の無線端末装置２０２の通信相手となる無線基地局装置１０１が切り替えられることを意味する。
【０１２３】
次に、上位装置は、無線基地局装置１０１Ａからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置１０１Ｂへ当該ハンドオーバ要求を送信する（ステップＳ８７）。
【０１２４】
次に、無線基地局装置１０１Ｂは、上位装置からハンドオーバ要求を受信して、上位装置へ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する（ステップＳ８８）。
【０１２５】
次に、上位装置は、無線基地局装置１０１Ｂからハンドオーバ応答を受信して、無線基地局装置１０１Ａへハンドオーバ指示を送信する（ステップＳ８９）。
【０１２６】
次に、無線基地局装置１０１Ａは、上位装置からハンドオーバ指示を受信して、無線端末装置２０２へＲＲＣコネクション再確立指示を送信する（ステップＳ９０）。
【０１２７】
次に、無線基地局装置１０１Ａは、上位装置へ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する（ステップＳ９１）。
【０１２８】
次に、上位装置は、無線基地局装置１０１Ａから状態通知を受信して、無線基地局装置１０１Ｂへ無線端末装置２０２との通信内容等を示す状態通知を送信する（ステップＳ９２）。
【０１２９】
また、無線端末装置２０２および無線基地局装置１０１Ｂ間でＲＲＣコネクションが確立されると、無線端末装置２０２は、無線基地局装置１０１ＢへＲＲＣコネクション確立通知を送信する（ステップＳ９３）。
【０１３０】
次に、無線基地局装置１０１Ｂは、無線端末装置２０２からＲＲＣコネクション確立通知を受信して、上位装置へハンドオーバ完了通知を送信する（ステップＳ９４）。
【０１３１】
次に、上位装置は、無線基地局装置１０１Ｂからハンドオーバ完了通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置１０１Ａへ送信する（ステップＳ９５）。
【０１３２】
次に、無線基地局装置１０１Ａは、上位装置から端末情報解放指示を受信して、無線端末装置２０２に関する情報を解放し、上位装置へ端末情報解放完了通知を送信する（ステップＳ９６）。
【０１３３】
次に、無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報について具体的に説明する。
本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、無線基地局装置１０１は、複数の隣接セル情報を作成し、更新する。たとえば、無線基地局装置１０１Ａに登録されている無線端末装置が無線端末装置２０２ａおよび無線端末装置２０２ｂの２台であったとする。この場合、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２ａおよび無線端末装置２０２ｂの各々の隣接セル情報を作成する。また、無線基地局装置１０１Ａは、非登録端末への通知用、および報知用として、無線端末装置２０２ａおよび無線端末装置２０２ｂの各々の隣接セル情報をまとめた総合隣接セル情報を作成する。
【０１３４】
図９は、無線基地局装置の生成する隣接セル情報の一例を示す図である。
図９を参照して、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２ａ用の隣接セル情報として、無線基地局装置１０１ＢのセルＩＤが２２２２であり、マクロ基地局であり、ＣＳＧ ＩＤは有しておらず、無線基地局装置１０１ＣのセルＩＤが３３３３であり、アクセスモードがオープンアクセスモードであり、ＣＳＧ ＩＤは有しておらず、無線基地局装置１０１ＥのセルＩＤが５５５５であり、アクセスモードがクローズドアクセスモードであり、ＣＳＧ ＩＤが８８８８であることを示す隣接セル情報を生成する。
【０１３５】
図１０は、無線基地局装置の生成する隣接セル情報の一例を示す図である。
図１０を参照して、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２ｂ用の隣接セル情報として、無線基地局装置１０１ＢのセルＩＤが２２２２であり、マクロ基地局であり、ＣＳＧ ＩＤは有しておらず、無線基地局装置１０１ＤのセルＩＤが４４４４であり、アクセスモードがハイブリッドモードであり、ＣＳＧ ＩＤが８８８８であり、無線基地局装置１０１ＥのセルＩＤが５５５５であり、アクセスモードがクローズドアクセスモードであり、ＣＳＧ ＩＤが８８８８であることを示す隣接セル情報を生成する。
【０１３６】
そして、無線基地局装置１０１Ａは、隣接セル情報を更新した場合には、更新した隣接セル情報を対応の無線端末装置２０２に通知する。
【０１３７】
なお、隣接セル情報生成部１２は、各種情報取得部１１によって取得された各種情報に基づいて、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１を隣接セル情報に登録するか否かをそれぞれ決定する構成であってもよい。すなわち、ある基準を満たした無線基地局装置１０１のみを隣接セル情報に登録する構成であってもよい。
【０１３８】
具体的には、各種情報取得部１１は、無線端末装置２０２から受信した測定結果通知に基づいて、対象基地局以外の無線基地局装置１０１から送信される無線信号の受信レベルを示す測定情報を取得する。各種情報取得部１１は、この測定情報を無線端末装置２０２ごとに図示しない記憶部に保存する。
【０１３９】
そして、隣接セル情報生成部１２は、受信レベルが所定値以上となる無線基地局装置１０１を、対応の無線端末装置２０２の隣接セル情報に登録する。
【０１４０】
あるいは、各種情報取得部１１は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１から送信される無線信号に基づいて無線端末装置２０２が無線基地局装置１０１の存在を検出した回数、および無線端末装置２０２が無線基地局装置１０１の存在を検出する検出率の少なくとも一方を示す測定情報を、無線端末装置２０２からの情報に基づいて取得する構成であってもよい。ここで、検出率は、無線端末装置２０２が測定を実施した回数に対する、当該無線端末装置２０２が無線基地局装置１０１の存在を検出した回数の割合である。
【０１４１】
たとえば、無線基地局装置１０１Ａは、自己と通信中の無線端末装置２０２に対して全周波数検索を複数回指示し、無線端末装置２０２において実施された複数回分の全周波数検索による測定結果通知から、検出回数または検出率を取得する。
【０１４２】
そして、隣接セル情報生成部１２は、検出回数が所定値以上となる無線基地局装置１０１、または検出率が所定値以上となる無線基地局装置１０１を、対応の無線端末装置２０２の隣接セル情報に登録する。
【０１４３】
あるいは、無線基地局装置１０１は、隣接セル情報において以下のような登録基準を採用してもよい。すなわち、ハンドオーバ情報取得部１１は、無線端末装置２０２のハンドオーバ動作履歴を示すハンドオーバ情報を、無線端末装置２０２ごとに、当該無線端末装置２０２および他の無線基地局装置１０１の少なくとも一方からの情報に基づいて取得する。
【０１４４】
そして、隣接セル情報生成部１２は、ハンドオーバ情報取得部１１によって取得された無線端末装置２０２ごとのハンドオーバ情報に基づいて、隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０１４５】
具体的には、各種情報取得部１１は、対象基地局から対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１への無線端末装置２０２のハンドオーバの回数、および対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１から対象基地局への無線端末装置２０２のハンドオーバの回数の少なくとも一方を示すハンドオーバ情報を取得する。各種情報取得部１１は、このハンドオーバ情報をたとえば図８に示すシーケンスにおけるハンドオーバ完了通知によって取得し、無線端末装置２０２ごとに図示しない記憶部に保存する。
【０１４６】
そして、隣接セル情報生成部１２は、ハンドオーバ回数が所定値以上となる無線基地局装置１０１を、対応の無線端末装置２０２の隣接セル情報に登録する。
【０１４７】
なお、各種情報取得部１１は、ハンドオーバ成功率を算出することが可能である場合には、ハンドオーバ回数の代わりにハンドオーバ成功率を示すハンドオーバ情報を取得する構成であってもよい。ここで、ハンドオーバ成功率は、図８に示すシーケンスにおけるハンドオーバ完了通知数／ハンドオーバ要求数で求められる。
【０１４８】
また、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１のうち、対象基地局の周辺に配置された１または複数の無線基地局装置１０１を順位付けした隣接セル情報を生成する構成であってもよい。
【０１４９】
すなわち、隣接セル情報生成部１２は、各種情報取得部１１によって取得された各種情報に基づいて、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１を順位付けし、順位付けの結果に基づいた隣接セル情報を生成する。
【０１５０】
無線基地局装置１０１に順位が付された隣接セル情報を生成する構成では、無線基地局装置１０１が無線端末装置２０２のハンドオーバ先を決定する際に当該隣接セル情報の順位を使用することが考えられる。すなわち、各無線端末装置２０２のハンドオーバ先を決定する際に、隣接セル情報の順位に従ってハンドオーバ先の無線基地局装置１０１を選択する。
【０１５１】
また、無線基地局装置１０１Ａは、たとえば順位付けした無線基地局装置のうち、上位からＮ個（Ｎは１以上の整数）を隣接セル情報として無線端末装置２０２に通知する。
【０１５２】
具体的には、無線端末装置２０２に通知する隣接セル情報に登録可能な無線基地局装置が２つと限定されている場合には、無線基地局装置１０１Ａは、たとえば、セルＩＤ２２２２（無線基地局装置１０１Ｂ）、およびセルＩＤ３３３３（無線基地局装置１０１Ｃ）を示す隣接セル情報を無線端末装置２０２ａに通知する。
【０１５３】
ただし、無線端末装置２０２が検出したセルすなわち無線端末装置２０２が送信無線信号を測定可能な無線基地局装置１０１であれば、基本的には当該無線端末装置２０２の移動対象となりうる。このため、無線端末装置２０２ごとに隣接セル情報を生成する構成では、当該無線端末装置２０２が検出した無線基地局装置１０１をすべて隣接セル情報に登録する構成が好ましい。
【０１５４】
図１１は、無線基地局装置の生成する総合隣接セル情報の一例を示す図である。
図１１を参照して、隣接セル情報生成部１２は、生成した無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報がそれぞれ示す１または複数の無線基地局装置１０１を含む総合隣接セル情報を生成する。
【０１５５】
具体的には、線基地局装置１０１Ａは、総合隣接セル情報として、セルＩＤ２２２２（無線基地局装置１０１Ｂ）、セルＩＤ３３３３（無線基地局装置１０１Ｃ）、セルＩＤ４４４４（無線基地局装置１０１Ｄ）およびセルＩＤ５５５５（無線基地局装置１０１Ｅ）を示す隣接セル情報を生成する。
【０１５６】
［隣接セル情報の通知］
上述のように、無線基地局装置１０１は、各種情報の取得に伴い、隣接セル情報の最適化を行なう。そして、この最適化された隣接セル情報は無線端末装置２０２へ通知する必要がある。すなわち、無線基地局装置１０１における隣接セル情報送信部１３は、隣接セル情報生成部１２によって生成された無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報を対応の無線端末装置２０２へ送信する。この通知方法としては、たとえば以下のような方法が考えられる。
【０１５７】
図１２は、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線基地局装置が隣接セル情報を無線端末装置へ通知する方法の一例を示す図である。
【０１５８】
図１２を参照して、無線基地局装置１０１Ａは、自己と通信中の無線端末装置２０２に対して、測定変更要求を利用して隣接セル情報の更新を通知する。
【０１５９】
より詳細には、無線基地局装置１０１Ａは、隣接セル情報の最適化が発生すると（ステップＳ２７）、更新された隣接セル情報を測定変更要求に含めて無線端末装置２０２へ送信する（ステップＳ４１）。
【０１６０】
次に、無線端末装置２０２は、自ら保持している隣接セル情報を、無線基地局装置１０１Ａから受信した測定変更要求に含まれる隣接セル情報に変更し、変更した隣接セル情報の示す無線基地局装置１０１から送信される無線信号の受信レベルを測定する（ステップＳ４２）。
【０１６１】
図１３は、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線基地局装置が総合隣接セル情報を無線端末装置へ通知する方法の一例を示す図である。
【０１６２】
隣接セル情報送信部１３は、対象基地局と通信可能な複数の無線端末装置２０２に総合隣接セル情報を報知する。また、隣接セル情報送信部１３は、対象基地局において登録されていない無線端末装置２０２へ総合隣接セル情報を通知する。
【０１６３】
具体的には、図１３を参照して、無線基地局装置１０１Ａは、アイドル状態すなわち通話およびデータ通信を行なっていない状態の無線端末装置２０２に対して、総合隣接セル情報を報知情報に含めて通知する。この場合、無線基地局装置１０１Ａは、報知情報変化通知を利用して、総合隣接セル情報が更新されたことを各無線端末装置２０２に通知する。
【０１６４】
より詳細には、無線基地局装置１０１Ａは、総合隣接セル情報の最適化が発生すると（ステップＳ２７）、報知情報変化通知をフェムトセルＦＣＡに存在する各無線端末装置２０２へブロードキャストする（ステップＳ２８）。
【０１６５】
次に、無線基地局装置１０１Ａは、更新した総合隣接セル情報を含んだ報知情報をフェムトセルＦＣＡに存在する各無線端末装置２０２へブロードキャストする。そして、報知情報変化通知を受信した無線端末装置２０２は、無線基地局装置１０１Ａから送信される報知情報から総合隣接セル情報を読み出し、自ら保持している隣接セル情報を、読み出した総合隣接セル情報に更新する（ステップＳ２９）。
【０１６６】
次に、無線端末装置２０２は、自律的にまたは無線基地局装置１０１Ａから測定開始要求を受信して、更新した隣接セル情報の示す無線基地局装置１０１から送信される無線信号の受信レベルを測定する（ステップＳ３０）。
【０１６７】
なお、無線基地局装置１０１Ａは、ノンメンバーの無線端末装置２０２に対して総合隣接セル情報を通知する方法として、図１３に示すようにノンメンバーの無線端末装置２０２に対して総合隣接セル情報を報知してもよいし、また、図１２に示すようにノンメンバーの無線端末装置２０２に対して個別に総合隣接セル情報を通知してもよい。
【０１６８】
ところで、移動通信システムにおいて、たとえば、無線端末装置は、１または複数の無線基地局装置が登録された隣接セル情報を用いて、自律的に、または無線基地局装置からの指示に従い、隣接セル情報に登録された無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、この測定結果を無線基地局装置に報告する。この場合、ハンドオーバ先としては向かない無線基地局装置が隣接セル情報に登録されていると、無線端末装置が無駄な測定動作を行ない、また、無駄なハンドオーバが発生してしまう。
【０１６９】
具体的には、宅内に設置したフェムト基地局において、各ユーザが自室で通信する場合を考えると、それぞれのユーザの部屋における周辺セルは異なる場合がある。すなわち、図２および図３に示すような通信システムにおいては、無線端末装置２０２ごとに通信可能な無線基地局装置１０１が異なる。たとえば、無線端末装置２０２ａに無線基地局装置１０１Ｄの測定を指示しても、無線基地局装置１０１Ｄを検出できないことから、無線端末装置２０２ａによる無線基地局装置１０１Ｄの測定は無駄な動作となる。
【０１７０】
これに対して、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１のうち、対象基地局の周辺に配置された１または複数の無線基地局装置１０１を示す隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。具体的には、たとえば、ハンドオーバを行なうための測定を無線端末装置２０２に指示する際に、無線基地局装置１０１から通知する隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに変える。
【０１７１】
このような構成により、無線端末装置２０２ごとに異なる通信環境に応じて適切な隣接セル情報を生成することができる。具体的には、無線端末装置２０２による無駄な測定動作を減らす、すなわち無線端末装置２０２が存在を認識できないセルの測定を行なう回数を減らすことができる。また、無線端末装置２０２による無駄なハンドオーバ動作を減らすことができる。
【０１７２】
したがって、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、適切な隣接セル情報を生成することにより、無線通信システムにおける動作の効率化を図ることができる。
【０１７３】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、各種情報取得部１１は、隣接セル情報を生成するための情報を、無線端末装置２０２ごとに、無線端末装置２０２および無線基地局装置１０１の少なくとも一方からの情報に基づいて取得する。そして、隣接セル情報生成部１２は、各種情報取得部１１によって取得された無線端末装置２０２ごとの情報に基づいて、隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０１７４】
このような構成により、フェムト基地局の移動および電源のオン／オフに関わらず、隣接セル情報を自動的に最適化することができるため、人手を介すことなく、無線通信システム３０１における動作の効率化を図ることができる。また、自動的に隣接セル情報の最適化が行われることから、無線基地局装置１０１に対する特別な設置処理が不要となるため、無線基地局装置１０１を設置するための作業時間および費用の低減を図ることができる。
【０１７５】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、各種情報取得部１１は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１から送信される無線信号を無線端末装置２０２が測定した結果を示す測定情報を、無線端末装置２０２ごとに、当該無線端末装置２０２からの情報に基づいて取得する。
【０１７６】
このように、隣接セル情報を生成するための情報として、無線基地局装置１０１から送信される無線信号を無線端末装置２０２が実際に測定した結果を示す測定情報を取得する構成により、無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報を適切に生成することができる。
【０１７７】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、各種情報取得部１１は、無線端末装置２０２のハンドオーバ動作履歴を示すハンドオーバ情報を、無線端末装置２０２ごとに、当該無線端末装置２０２および無線基地局装置１０１の少なくとも一方からの情報に基づいて取得する。
【０１７８】
このように、隣接セル情報を生成するための情報として、無線端末装置２０２のハンドオーバ動作履歴を示すハンドオーバ情報を取得する構成により、無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報を適切に生成することができる。
【０１７９】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、隣接セル情報送信部１３は、対象基地局と通信可能な複数の無線端末装置２０２に総合隣接セル情報を報知する。
【０１８０】
このような構成により、特定の無線端末装置２０２に加えて、無線通信システム３０１における他の無線端末装置２０２に共通の隣接セル情報を通知することが可能となるため、無線通信システムにおける動作のさらなる効率化を図ることができる。
【０１８１】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、隣接セル情報送信部１３は、対象基地局において登録されていない無線端末装置２０２へ総合隣接セル情報を送信する。
【０１８２】
このような構成により、ハイブリッドモードまたはクローズドアクセスモードで動作する無線基地局装置１０１において、メンバーの無線端末装置２０２に加えて、ノンメンバーの無線端末装置２０２に共通の隣接セル情報を通知することが可能となるため、無線通信システムにおける動作のさらなる効率化を図ることができる。
【０１８３】
また、フェムト基地局の購入者は、当該フェムト基地局の設置場所を独自に決めることができる。このため、フェムト基地局が設置された無線通信システムでは、フェムト基地局の移動および電源のオン／オフが起こりやすいことから、周辺にフェムト基地局が存在する無線基地局装置において適切な隣接セル情報を生成することが困難となる。
【０１８４】
これに対して、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおける複数の無線基地局装置１０１のうちの少なくともいずれかはフェムト基地局である。
【０１８５】
このように、無線基地局装置の移動および電源のオン／オフが頻繁に起こる無線通信システムにおいて適切な隣接セル情報を生成することにより、無線通信システムにおける動作の効率化を図るという効果をより顕著に得ることができる。
【０１８６】
また、特許文献１に記載の技術を用いて自動的にフェムト基地局の設定を行なうと、周辺のフェムト基地局をすべて隣接セルとして扱って隣接セル情報に登録し、ハンドオーバ先の候補としてしまう。このため、無線端末装置に対してフェムト基地局が壁の向こう側に存在する等、本来ハンドオーバ先としては向かないフェムト基地局も隣接セル情報に登録してしまう可能性がある。
【０１８７】
これに対して、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、隣接セル情報生成部１２は、各種情報取得部１１によって取得された情報に基づいて、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１のうち、対象基地局と通信する無線端末装置２０２のハンドオーバ先候補となる１または複数の無線基地局装置１０１を示す隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０１８８】
このような構成により、設置された無線基地局装置１０１のフェムトセル内におけるハンドオーバ動作を最適な状態にすることが可能となる。また、隣接セル情報の最適化を行なうことにより、通信中の無線端末装置２０２のハンドオーバ先候補となる隣接セルの数を低減することができるため、無駄なハンドオーバが発生することを防ぐことができる。
【０１８９】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１のうち、無線端末装置２０２の測定対象となる１または複数の無線基地局装置１０１を示す隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０１９０】
このように、隣接セル情報の最適化を行なうことにより、無線端末装置２０２が測定を行なう対象となる隣接セルの数を低減することができるため、無線端末装置２０２が無駄な測定動作を行なうことを防ぐことができる。
【０１９１】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１のうち、無線端末装置２０２が受信レベルを測定する対象となる無線信号を送信する１または複数の無線基地局装置１０１を示す隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０１９２】
このように、隣接セル情報の最適化を行なうことにより、無線端末装置２０２が受信レベル測定を行なう対象となる隣接セルの数を低減することができるため、無線端末装置２０２が無駄な測定動作を行なうことを防ぐことができる。特に、アイドル状態の無線端末装置２０２の消費電力を低減することができるため、顕著な効果が得られる。
【０１９３】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１のうち、アイドル状態すなわち対象基地局と通信中でない無線端末装置２０２が受信レベルを測定する対象となる無線信号を送信する１または複数の無線基地局装置１０１を示す隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０１９４】
このような構成により、無線基地局装置１０１からの報知情報等によって指示される定期的な電力測定の対象となる隣接セルの数を低減することができるため、無線端末装置２０２が無駄な測定動作を行なうことを防ぐことができる。
【０１９５】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、無線基地局装置１０１が、単体で隣接セル情報の最適化を行なう。すなわち、本発明の第１の実施の形態に係る隣接セル処理装置は、無線基地局装置１０１に含まれる。
【０１９６】
このような構成により、たとえばコアネットワークにおける上位装置で各無線基地局装置１０１の隣接セル情報の最適化を行なう必要がなくなり、無線通信システム３０１における処理負荷の分散、ならびに無線基地局装置１０１および上位装置間における通信量の低減を図ることができる。
【０１９７】
なお、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、隣接セル情報生成部１２は、生成した無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報がそれぞれ示す１または複数の無線基地局装置１０１を含む総合隣接セル情報を生成する。具体的には、図９および図１０に示す隣接セル情報に登録された無線基地局装置１０１をすべて含む総合隣接セル情報を生成する、すなわち各隣接セル情報における無線基地局装置１０１のＯＲをとった総合隣接セル情報を生成する構成であるとしたが、このような構成に限定するものではない。
【０１９８】
隣接セル情報生成部１２は、無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報に加えて、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１のうち、対象基地局の周辺に配置された１または複数の無線基地局装置１０１を示す、複数の無線端末装置２０２に通知するための総合隣接セル情報を生成する構成であればよい。このように、多様な隣接セル情報を用いることにより、無線通信システムにおける動作のさらなる効率化を図ることが可能である。
【０１９９】
また、隣接セル情報生成部１２は、生成した無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報に基づいて総合隣接セル情報を生成する構成であれば、特定の無線端末装置２０２に加えて、無線通信システム３０１における他の無線端末装置２０２に通知すべき隣接セル情報を適切に生成することができるため、無線通信システムにおける動作のさらなる効率化を図ることが可能である。
【０２００】
具体的には、図９に示す隣接セル情報に登録された無線基地局装置１０１と図１０に示す隣接セル情報に登録された無線基地局装置１０１とで共通の無線基地局装置１０１を登録した総合隣接セル情報を生成する、すなわち各隣接セル情報における無線基地局装置１０１のＡＮＤをとった総合隣接セル情報を生成する構成であってもよい。
【０２０１】
ただし、ＯＲをとる構成を採用することにより、たとえば建物５１における各部屋に存在する各無線端末装置２０２が共通で認識できるセルが存在しない場合に、非登録の無線端末装置２０２へ通知する隣接セル情報、および報知用の隣接セル情報において登録される無線基地局装置１０１がゼロになることを防ぐことができる。
【０２０２】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線基地局装置では、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局と通信する無線端末装置２０２が、対象基地局以外の無線基地局装置１０１から送信される無線信号の受信レベルをすべての周波数について測定した結果に基づいて、隣接セル情報の初期情報を生成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。無線通信システム３０１における無線基地局装置１０１の送信周波数を全種類測定する構成に限らず、それらの一部である複数の周波数を測定する構成であってもよい。
【０２０３】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、ハンドオーバの動作として、無線端末装置２０２の通信相手となる無線基地局装置１０１が無線基地局装置１０１主導で切り替えられる構成であるとしたが、これに限定するものではない。無線端末装置２０２の通信相手となる無線基地局装置１０１が無線端末装置２０２主導で切り替えられる構成であってもよい。
【０２０４】
また、本発明の第１の実施の形態では、無線端末装置のハンドオーバ動作について具体的な説明を行なったが、無線基地局装置と通信中の無線端末装置が行なう基地局間移動（セル間移動）動作であるハンドオーバに限らず、アイドル状態の無線端末装置が行なう基地局間移動（セル間移動）動作についても、本発明は適用される。すなわち、本発明の第１の実施の形態において、「ハンドオーバ」を「移動」に置き換えた構成および動作についても、本発明は適用される。
【０２０５】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【０２０６】
＜第２の実施の形態＞
本実施の形態は、第１の実施の形態に係る無線通信システムと比べて隣接セル情報における無線基地局装置の登録基準を変更した無線通信システムに関する。以下で説明する内容以外は第１の実施の形態に係る無線通信システムと同様である。
【０２０７】
本発明の第２の実施の形態に係る無線基地局装置において、各種情報取得部１１は、他の無線基地局装置１０１から定期的にまたは不定期に送信される報知情報等から属性情報を取得し、図示しない記憶部に保存する。隣接セル情報生成部１２は、各種情報取得部１１によって取得された属性情報に基づいて、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１のうち、対象基地局の周辺に配置された１または複数の無線基地局装置１０１を示す隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０２０８】
無線基地局装置１０１は、クローズドアクセスモードまたはハイブリッドモードで動作する場合において、設定された加入者グループに属する、すなわちＣＳＧ ＩＤが設定されている。そして、無線基地局装置１０１は、同じ加入者グループに属する無線端末装置２０２すなわち自己と同じＣＳＧ ＩＤを有する無線端末装置２０２に対して通信を許可する。
【０２０９】
したがって、無線端末装置２０２が利用できる可能性の高い無線リソースという観点から無線基地局装置の優先順位を考えると、（１）クローズドアクセスモードで動作し、かつ当該無線端末装置２０２がメンバーとなるフェムト基地局すなわち自己と同じＣＳＧ ＩＤを有するフェムト基地局、（２）ハイブリッドモードで動作し、かつ当該無線端末装置２０２がメンバーとなるフェムト基地局、（３）マクロ基地局、（４）オープンアクセスモードで動作するフェムト基地局、（５）ハイブリッドモードで動作し、かつ当該無線端末装置２０２がノンメンバーとなるフェムト基地局すなわち自己と異なるＣＳＧ ＩＤを有するフェムト基地局、の順番となる。
【０２１０】
無線基地局装置１０１においては、他の無線基地局装置１０１からの報知情報等により周辺の無線基地局装置１０１のＣＳＧ ＩＤが判明している。そして、無線基地局装置１０１は、自己と同じＣＳＧ ＩＤを持つ無線端末装置２０２に対して隣接セル情報を個別に適用する、たとえば無線端末装置２０２に対する測定要求またはハンドオーバ先の検索において隣接セル情報を個別に使用する。
【０２１１】
すなわち、各種情報取得部１１は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１が、オープンアクセスモード、クローズドアクセスモードおよびハイブリッドモードのいずれで動作しているかを示し、かつ無線端末装置２０２、および対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１がそれぞれ属する加入者グループを示す属性情報を取得する。
【０２１２】
そして、隣接セル情報生成部１２は、無線基地局装置１０１がオープンアクセスモード、クローズドアクセスモードおよびハイブリッドモードのいずれで動作するか、ならびに無線端末装置２０２の属する加入者グループと無線基地局装置１０１の属する加入者グループとの異同に基づいて、隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０２１３】
なお、クローズドアクセスモードで動作するフェムト基地局であり、かつ無線端末装置２０２がノンメンバーとなるフェムト基地局については、当該無線端末装置２０２は通信を行なえないことから、対応の隣接セル情報から除外する。すなわち、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１の中から、クローズドアクセスモードで動作し、かつ対応の無線端末装置２０２と異なる加入者グループに属する無線基地局装置１０１を少なくとも除いた隣接セル情報を生成する。
【０２１４】
次に、無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報について具体的に説明する。ここでは、無線端末装置２０２ａのＣＳＧ ＩＤが８８８８であり、無線端末装置２０２ｂのＣＳＧ ＩＤが７７７７である場合について説明する。
【０２１５】
図１４は、無線基地局装置の生成する隣接セル情報の一例を示す図である。各無線基地局装置のアクセスモードおよびＣＳＧ ＩＤは、本発明の第１の実施の形態に係る通信システムと同様である。
【０２１６】
図１４を参照して、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２ｂ用の隣接セル情報を生成する。すなわち、対象基地局である無線基地局装置１０１Ａがハイブリッドモードで動作する場合において、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局において登録された無線端末装置２０２ごとに隣接セル情報を生成する。
【０２１７】
このように、無線基地局装置１０１Ａのメンバーとなる無線端末装置用の隣接セル情報を生成する構成では、メンバーである無線端末装置のＣＳＧ ＩＤが無線基地局装置１０１Ａにおいて既知であることから、無線端末装置ごとの隣接セル情報を容易に生成することが可能となる。また、登録ユーザの所有する無線端末装置用の隣接セル情報を生成することにより、当該無線端末装置の電力消費を低減することができるため、適切な通信サービスを提供することができる。
【０２１８】
具体的には、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２ｂ用の隣接セル情報として、セルＩＤ２２２２（無線基地局装置１０１Ｂ）、およびセルＩＤ４４４４（無線基地局装置１０１Ｄ）を示す隣接セル情報を生成する。
【０２１９】
ここで、無線端末装置２０２ｂは、無線基地局装置１０１Ｅにとってノンメンバーになることから、無線端末装置２０２ｂ用の隣接セル情報から、無線基地局装置１０１Ｅは除外されている。
【０２２０】
同様に、対象基地局がクローズドアクセスモードで動作する場合において、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局において登録された無線端末装置２０２ごとに隣接セル情報を生成する構成であってもよい。
【０２２１】
このような構成であっても、無線基地局装置１０１Ａのメンバーとなる無線端末装置用の隣接セル情報を生成する構成では、メンバーである無線端末装置のＣＳＧ ＩＤが無線基地局装置１０１Ａにおいて既知であることから、無線端末装置ごとの隣接セル情報を容易に生成することが可能となる。また、登録ユーザの所有する無線端末装置用の隣接セル情報を生成することにより、当該無線端末装置２０２の電力消費を低減することができるため、適切な通信サービスを提供することができる。
【０２２２】
図１５は、無線基地局装置の生成する隣接セル情報の一例を示す図である。
図１５を参照して、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２ａ用の隣接セル情報として、セルＩＤ５５５５（無線基地局装置１０１Ｅ）、セルＩＤ２２２２（無線基地局装置１０１Ｂ）、およびセルＩＤ３３３３（無線基地局装置１０１Ｃ）を示す隣接セル情報を生成する。
【０２２３】
このように、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局である無線基地局装置１０１Ａのノンメンバーとなる無線端末装置２０２ａ用の隣接セル情報を生成する構成であってもよい。
【０２２４】
ここで、図１４および図１５に示す隣接セル情報では、前述の（１）〜（４）の優先順位に従い、無線基地局装置１０１が順番に並べられている。
【０２２５】
また、電力測定指示部１４は、対象基地局において登録された無線端末装置２０２に対して、全周波数検索、すなわち対象基地局以外の無線基地局装置１０１から送信される無線信号の受信レベルをすべての周波数において測定することを指示する。
【０２２６】
すなわち、無線基地局装置１０１Ａがフェムト基地局であり、かつハイブリッドモードまたはクローズドアクセスモードで動作する場合には、無線基地局装置１０１Ａは、登録された無線端末装置２０２に対して、他の無線基地局装置１０１から送信される無線信号の受信レベルをすべての周波数において測定することを指示する。
【０２２７】
そして、各種情報取得部１１は、無線端末装置２０２ごとに、全周波数検索の結果を示す測定情報を取得する。
【０２２８】
このように、全周波数検索の結果を用いて隣接セル情報を生成する構成により、適切な隣接セル情報を早期に構築することが可能となり、無線通信システム３０１における動作の効率化を早期に実現することができる。また、メンバーの無線端末装置２０２に対して全周波数検索を指示する構成により、隣接セル情報を生成するための情報を効率的に取得することが可能となる。
【０２２９】
図１６は、無線基地局装置の生成する総合隣接セル情報の一例を示す図である。
図１６を参照して、無線基地局装置１０１Ａは、総合隣接セル情報として、セルＩＤ２２２２（無線基地局装置１０１Ｂ）、セルＩＤ３３３３（無線基地局装置１０１Ｃ）、セルＩＤ４４４４（無線基地局装置１０１Ｄ）、およびセルＩＤ５５５５（無線基地局装置１０１Ｅ）を示す隣接セル情報を生成する。
【０２３０】
以上のように、本発明の第２の実施の形態に係る無線通信システムでは、各種情報取得部１１は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１が、オープンアクセスモード、クローズドアクセスモードおよびハイブリッドモードのいずれで動作しているかを示し、かつ無線端末装置２０２、および対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１がそれぞれ属する加入者グループを示す属性情報を取得する。そして、隣接セル情報生成部１２は、無線基地局装置１０１がオープンアクセスモード、クローズドアクセスモードおよびハイブリッドモードのいずれで動作するか、ならびに無線端末装置２０２の属する加入者グループと無線基地局装置１０１の属する加入者グループとの異同に基づいて、隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０２３１】
このように、隣接セル情報を生成するための情報として、各無線基地局装置１０１のアクセスモードおよびＣＳＧ ＩＤを示す属性情報を取得する構成により、無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報を適切に生成することができる。
【０２３２】
また、本発明の第２の実施の形態に係る無線通信システムでは、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１の中から、クローズドアクセスモードで動作し、かつ対応の無線端末装置２０２と異なる加入者グループに属する無線基地局装置１０１を少なくとも除いた無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報を生成する。
【０２３３】
このような構成により、無線端末装置２０２が利用できない無線リソースである無線基地局装置１０１を隣接セル情報から適切に削除することができる。
【０２３４】
なお、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、無線基地局装置１０１が他の無線基地局装置１０１からの情報に基づいて無線基地局装置１０１の属性情報を取得する構成であるとしたが、これに限定するものではない。無線端末装置２０２が無線基地局装置１０１からの報知情報等によって当該無線基地局装置１０１の属性を取得することが可能である場合には、無線端末装置２０２が、取得した属性を対象基地局に報告し、対象基地局がこの報告に基づいて他の無線基地局装置１０１の属性情報を取得する構成であってもよい。
【０２３５】
その他の構成および動作は第１の実施の形態に係る無線通信システムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【０２３６】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【０２３７】
＜第３の実施の形態＞
本実施の形態は、第１および第２の実施の形態に係る無線通信システムと比べて無線基地局装置の代わりにゲートウェイ装置が隣接セル処理装置として動作する無線通信システムに関する。以下で説明する内容以外は第１および第２の実施の形態に係る無線通信システムと同様である。
【０２３８】
図１７は、本発明の第３の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
図１７を参照して、無線通信システム３０２は、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｂ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅと、ゲートウェイ装置２０３と、上位装置２０５とを備える。
【０２３９】
無線通信システム３０２では、無線通信システム３０１と同様に、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅがフェムト基地局であり、無線基地局装置１０１Ｂがマクロ基地局である。
【０２４０】
以下、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅの各々をフェムト基地局１０１と称する場合がある。また、図１７では、１つのマクロ基地局と、４つのフェムト基地局とを代表的に示しているが、さらに多数のマクロ基地局およびフェムト基地局が設けられてもよい。
【０２４１】
ゲートウェイ装置２０３は、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅとコアネットワーク２０４における上位装置２０５との間で送信される種々の通信データの中継処理等を行なう。
【０２４２】
図１８は、本発明の第３の実施の形態に係るゲートウェイ装置の構成を示す図である。
図１８を参照して、ゲートウェイ装置２０３は、基地局側送受信部８１と、データ処理部８２と、コアネットワーク側送受信部８３とを備える。
【０２４３】
基地局側送受信部８１は、データ処理部８２から受けた通信データを各フェムト基地局１０１へ送信し、また、各フェムト基地局１０１から受信した通信データをデータ処理部８２へ出力する。
【０２４４】
データ処理部８２は、基地局側送受信部８１から受けた通信データに種々の処理を行ない、コアネットワーク側送受信部８３へ出力し、また、コアネットワーク側送受信部８３から受けた通信データに種々の処理を行ない、基地局側送受信部８１へ出力する。
【０２４５】
コアネットワーク側送受信部８３は、データ処理部８２から受けた通信データをコアネットワーク２０４における上位装置２０５へ出力し、また、コアネットワーク２０４における上位装置２０５から受信した通信データをデータ処理部８２へ出力する。
【０２４６】
本発明の第３の実施の形態に係る無線通信システムでは、ゲートウェイ装置２０３が、その配下の各フェムト基地局を監視して隣接セル情報の最適化を行なう。
【０２４７】
図１９は、本発明の第３の実施の形態に係るゲートウェイ装置におけるデータ処理部の構成を示す図である。
【０２４８】
図１９を参照して、データ処理部８２は、各種情報取得部２１と、隣接セル情報生成部２２と、隣接セル情報送信部２３とを含む。
【０２４９】
各種情報取得部２１は、隣接セル情報の生成に必要な種々の情報を、各フェムト基地局１０１からの情報に基づいて取得する。
【０２５０】
隣接セル情報生成部２２は、各種情報取得部２１によって取得された各種情報に基づいて、対象基地局以外の無線通信システム３０２における複数の無線基地局装置のうち、対象基地局の周辺に設置された１または複数の無線基地局装置を示す隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０２５１】
隣接セル情報送信部２３は、隣接セル情報生成部２２によって生成された無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報を対象基地局へ送信する。これら無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報は、対象基地局から対応の無線端末装置２０２へ通知される。
【０２５２】
隣接セル情報生成部２２による隣接セル情報の生成方法の内容は、本発明の第１および第２の実施の形態に係る隣接セル情報生成部１２による隣接セル情報の生成方法とたとえば同様である。
【０２５３】
図２０は、本発明の第３の実施の形態に係るゲートウェイ装置が隣接セル情報を通知する方法を示す図である。
【０２５４】
図２０を参照して、ゲートウェイ装置２０３は、フェムト基地局１０１Ａ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅに対して、それぞれ対応の隣接セル情報を通知する。
【０２５５】
なお、本発明の第３の実施の形態に係るゲートウェイ装置は、無線基地局装置と別個に設けられる構成であるとしたが、これに限定するものではない。ゲートウェイ装置２０３が、無線通信システム３０２における各無線基地局装置のうちの少なくとも１つに含まれる構成であってもよい。この場合、ゲートウェイ装置２０３を搭載する無線基地局装置は、自己の形成するセルに存在する無線端末装置２０２、および他の無線基地局装置からの情報に基づいて各種情報を取得する。そして、ゲートウェイ装置２０３は、生成した隣接セル情報を、自己の形成するセルに存在する無線端末装置２０２、および他の無線基地局装置へ通知する。
【０２５６】
また、本発明の第１〜第３の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、隣接セル情報生成部は、無線基地局装置から送信される無線信号の測定結果を示す測定情報、無線端末装置のハンドオーバ動作履歴を示すハンドオーバ情報、および無線基地局装置の属性を示す属性情報等の組み合わせに基づいて隣接セル情報を生成する構成であってもよい。
【０２５７】
また、本発明の第３の実施の形態に係るゲートウェイ装置と同様に、本発明の第１および第２の実施の形態において、無線基地局装置１０１の代わりに上位装置２０５が隣接セル処理装置として動作する構成であってもよい。
【０２５８】
その他の構成および動作は第１および第２の実施の形態に係る無線通信システムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【０２５９】
なお、無線基地局装置が複数のセクタを有している場合、すなわち１つのセルが複数のセクタに分割されている場合には、隣接セル情報において１つのセクタを１つの無線基地局装置として扱えばよく、本発明は、このような場合にも適用される。
【０２６０】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【０２６１】
１１，２１ 各種情報取得部
１２，２２ 隣接セル情報生成部
１３，２３ 隣接セル情報送信部
１４ 電力測定指示部
８１ 基地局側送受信部
８２ データ処理部
８３ コアネットワーク側送受信部
９１ アンテナ
９２ サーキュレータ
９３ 無線受信部
９４ 無線送信部
９５ 信号処理部
９６ 受信信号処理部
９７ 送信信号処理部
１０１Ａ，１０１Ｂ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅ 無線基地局装置
２０２ 無線端末装置
２０３ ゲートウェイ装置
２０５ 上位装置
３０１，３０２ 無線通信システム
ＦＣＡ，ＦＣＣ，ＦＣＤ，ＦＣＥ フェムトセル
ＭＣＢ マクロセル
【技術分野】
【０００１】
本発明は、隣接セル処理装置および隣接セル処理方法に関し、特に、無線端末装置が移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な通信システムにおける隣接セル処理装置および隣接セル処理方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、移動通信システムでは、半径数百メートルから数十キロメートルのセルすなわち無線端末装置が通信可能なエリアを形成する無線基地局装置（以下、マクロ基地局とも称する。）による通信サービスが提供されてきた。
【０００３】
近年、移動通信サービスの加入者数の劇的な増加およびデータ通信による通信トラヒック量の増大から、より半径の小さいセルを形成することによって加入者および通信トラヒックを分散し、また、一定レベルの通信速度をユーザへ安定して提供することが望まれている。また、ビルの超高層化に伴う不感地対策のため、企業フロア内および一般家庭内への無線基地局装置の設置も望まれている。
【０００４】
これらの要望と併せて、無線基地局装置で使用される種々のデバイスの処理能力が飛躍的に向上したことによって無線基地局装置の小型化が進み、このような小型化された基地局が注目を集めている。
【０００５】
この小型基地局（以下、フェムト基地局とも称する。）が形成するフェムトセル（Femto Cell）の半径は１０メートル前後と小さいため、フェムト基地局は、マクロ基地局が形成するマクロセル（Macro Cell）の圏外となりマクロ基地局の設置が困難な屋内および地下街等の場所で使用されることが考えられる。
【０００６】
また、フェムト基地局は特定のエリアに多数設置されることから、フェムト基地局を直接コアネットワークに接続することは難しい。このため、特定のエリアに設置された多数のフェムト基地局を一旦、ＨｅＮＢ−ＧＷ等のゲートウェイ装置に接続し、フェムト基地局とコアネットワークとをＨｅＮＢ−ＧＷ経由で接続することが考えられる。
【０００７】
このような構成において、フェムト基地局を設置する際に１つ１つのフェムト基地局の設定を事業者またはフェムト基地局の購入者が行なっていくと、相当な作業と費用を要する。また、新たにフェムト基地局が設置されてフェムト基地局が増加するたびに、新たに設置されたフェムト基地局だけでなく、既存の周辺のフェムト基地局の再設定も行なわなければならなくなる。
【０００８】
このような問題点を解決するための構成として、たとえば、特許文献１には、以下のような技術が開示されている。すなわち、新たなセルは、既存のセルによって用いられている様々な異なるチャネルの信号強度を測定する。新たなセルは、大きな信号強度を持つチャネルに対応する候補チャネルのリストを作成し、このリストをセルラシステムの移動体交換センタに送信する。移動体交換センタは、どの候補チャネルが既存のセル内で用いられているビーコンに対応するかを決定し、新たなセルに、これら既存の各セルに関する構成情報を送信する。こうして、新たなセルは、隣接セルに関する構成情報を自動的に受信する。移動体交換センタが、識別されたネーバー（隣接セル）が最大値Ｎに達してないことを決定した場合は、移動体交換センタは、新たなセルに対して、追加の候補チャネル（つまり、より低い信号強度を持つ候補チャネル）を送信することを要請する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
【特許文献１】特開平１１―３３１９３１号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
移動通信システムにおいて、たとえば、無線端末装置は、１または複数の無線基地局装置が登録された隣接セル情報を用いて、自律的に、または無線基地局装置からの指示に従い、隣接セル情報に登録された無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、この測定結果を無線基地局装置に報告する。この場合、ハンドオーバ先としては向かない無線基地局装置が隣接セル情報に登録されていると、無線端末装置が無駄な測定動作を行ない、また、無駄なハンドオーバが発生してしまう。
【００１１】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、適切な隣接セル情報を生成することにより、無線通信システムにおける動作の効率化を図ることが可能な隣接セル処理装置および隣接セル処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
（１）上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる隣接セル処理装置は、無線端末装置が移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な通信システムにおける隣接セル処理装置であって、対象の上記無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置のうち、上記対象無線基地局装置の周辺に配置された１または複数の上記無線基地局装置を示す隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成するための隣接セル情報生成部と、上記隣接セル情報生成部によって生成された上記隣接セル情報を対応の上記無線端末装置または上記対象無線基地局装置へ送信するための隣接セル情報送信部とを備える。
【００１３】
このような構成により、無線端末装置ごとに異なる通信環境に応じて適切な隣接セル情報を生成することができる。具体的には、無線端末装置による無駄な測定動作を減らす、すなわち無線端末装置が存在を認識できないセルの測定を行なう回数を減らすことができる。また、無線端末装置による無駄な移動動作を減らすことができる。したがって、適切な隣接セル情報を生成することにより、無線通信システムにおける動作の効率化を図ることができる。
【００１４】
（２）好ましくは、上記隣接セル処理装置は、さらに、上記隣接セル情報を生成するための情報を、上記無線端末装置ごとに、上記無線端末装置および上記無線基地局装置の少なくとも一方からの情報に基づいて取得するための情報取得部を備え、上記隣接セル情報生成部は、上記情報取得部によって取得された上記無線端末装置ごとの上記情報に基づいて、上記隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成する。
【００１５】
このような構成により、無線基地局装置の移動および電源のオン／オフに関わらず、隣接セル情報を自動的に最適化することができるため、人手を介すことなく、無線通信システムにおける動作の効率化を図ることができる。また、自動的に隣接セル情報の最適化が行われることから、無線基地局装置に対する特別な設置処理が不要となるため、無線基地局装置を設置するための作業時間および費用の低減を図ることができる。
【００１６】
（３）より好ましくは、上記情報取得部は、対象の上記無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置から送信される無線信号を上記無線端末装置が測定した結果を示す測定情報を、上記無線端末装置ごとに、上記無線端末装置および上記無線基地局装置の少なくとも一方からの情報に基づいて取得し、上記隣接セル情報生成部は、上記情報取得部によって取得された上記無線端末装置ごとの上記測定情報に基づいて、上記隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成する。
【００１７】
このように、隣接セル情報を生成するための情報として、無線基地局装置から送信される無線信号を無線端末装置が実際に測定した結果を示す測定情報を取得する構成により、無線端末装置ごとの隣接セル情報を適切に生成することができる。
【００１８】
（４）より好ましくは、上記情報取得部は、上記無線端末装置の移動動作履歴を示す移動情報を、上記無線端末装置ごとに、上記無線端末装置および上記無線基地局装置の少なくとも一方からの情報に基づいて取得し、上記隣接セル情報生成部は、上記情報取得部によって取得された上記無線端末装置ごとの上記移動情報に基づいて、上記隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成する。
【００１９】
このように、隣接セル情報を生成するための情報として、無線端末装置の移動動作履歴を示す移動情報を取得する構成により、無線端末装置ごとの隣接セル情報を適切に生成することができる。
【００２０】
（５）より好ましくは、上記対象無線基地局装置以外の複数の無線基地局装置のうちの少なくともいずれか１つは、すべての上記無線端末装置に対して通信を許可するオープンアクセスモードで動作するか、設定された加入者グループに属しており、同じ上記加入者グループに属する上記無線端末装置に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作するか、または設定された加入者グループに属しており、同じ上記加入者グループに属する上記無線端末装置および異なる上記加入者グループに属する上記無線端末装置の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作するかを設定可能であり、上記情報取得部は、上記対象無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置が、上記オープンアクセスモード、上記クローズドアクセスモードおよび上記ハイブリッドモードのいずれで動作しているかを示し、かつ上記無線端末装置、および上記対象無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置がそれぞれ属する上記加入者グループを示す属性情報を取得し、上記隣接セル情報生成部は、上記無線基地局装置が上記オープンアクセスモード、上記クローズドアクセスモードおよび上記ハイブリッドモードのいずれで動作するか、ならびに上記無線端末装置の属する上記加入者グループと上記無線基地局装置の属する上記加入者グループとの異同に基づいて、上記隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成する。
【００２１】
このように、隣接セル情報を生成するための情報として、各無線基地局装置のアクセスモード、ならびに無線端末装置および無線基地局装置の加入者グループを示す属性情報を取得する構成により、無線端末装置ごとの隣接セル情報を適切に生成することができる。
【００２２】
（６）より好ましくは、上記隣接セル情報生成部は、上記対象無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置の中から、上記クローズドアクセスモードで動作し、かつ対応の上記無線端末装置と異なる上記加入者グループに属する上記無線基地局装置を少なくとも除いた上記隣接セル情報を生成する。
【００２３】
このような構成により、無線端末装置が利用できない無線リソースである無線基地局装置を隣接セル情報から適切に削除することができる。
【００２４】
（７）好ましくは、上記対象無線基地局装置は、上記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された上記無線端末装置および登録されていない上記無線端末装置の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作し、上記隣接セル情報生成部は、上記対象無線基地局装置において登録された上記無線端末装置ごとに上記隣接セル情報を生成する。
【００２５】
このように、無線基地局装置のメンバーとなる無線端末装置用の隣接セル情報を生成する構成では、メンバーである無線端末装置の加入者グループが無線基地局装置において既知であることから、無線端末装置ごとの隣接セル情報を容易に生成することが可能となる。また、登録ユーザの所有する無線端末装置用の隣接セル情報を生成することにより、当該無線端末装置の電力消費を低減することができるため、適切な通信サービスを提供することができる。
【００２６】
（８）好ましくは、上記対象無線基地局装置は、上記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された上記無線端末装置に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作し、上記隣接セル情報生成部は、上記対象無線基地局装置において登録された上記無線端末装置ごとに上記隣接セル情報を生成する。
【００２７】
このように、無線基地局装置のメンバーとなる無線端末装置用の隣接セル情報を生成する構成では、メンバーである無線端末装置の加入者グループが無線基地局装置において既知であることから、無線端末装置ごとの隣接セル情報を容易に生成することが可能となる。また、登録ユーザの所有する無線端末装置用の隣接セル情報を生成することにより、当該無線端末装置の電力消費を低減することができるため、適切な通信サービスを提供することができる。
【００２８】
（９）好ましくは、上記対象無線基地局装置は、上記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された上記無線端末装置および登録されていない上記無線端末装置の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作するか、または上記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された上記無線端末装置に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作し、上記隣接セル処理装置は、さらに、上記対象無線基地局装置において登録された上記無線端末装置に対して、上記対象無線基地局装置以外の上記無線基地局装置から送信される無線信号の受信レベルを複数の周波数において測定することを指示するための電力測定指示部と、上記無線端末装置の測定結果を示す上記無線端末装置ごとの測定情報を取得するための情報取得部とを備え、上記隣接セル情報生成部は、上記情報取得部によって取得された上記無線端末装置ごとの上記測定情報に基づいて、上記隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成する。
【００２９】
このように、複数の周波数における測定結果を用いて隣接セル情報を生成する構成により、適切な隣接セル情報を早期に構築することが可能となり、無線通信システムにおける動作の効率化を早期に実現することができる。また、登録された無線端末装置に対して複数の周波数における測定を指示する構成により、隣接セル情報を生成するための情報を効率的に取得することが可能となる。
【００３０】
（１０）好ましくは、上記隣接セル情報生成部は、さらに、上記対象無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置のうち、上記対象無線基地局装置の周辺に配置された１または複数の上記無線基地局装置を示す、複数の無線端末装置に通知するための総合隣接セル情報を生成する。
【００３１】
このように、多様な隣接セル情報を用いることにより、無線通信システムにおける動作のさらなる効率化を図ることが可能である。
【００３２】
（１１）より好ましくは、上記隣接セル情報生成部は、さらに、生成した上記無線端末装置ごとの上記隣接セル情報に基づいて総合隣接セル情報を生成する。
【００３３】
このような構成により、特定の無線端末装置に加えて、無線通信システムにおける他の無線端末装置に通知すべき隣接セル情報を適切に生成することができるため、無線通信システムにおける動作のさらなる効率化を図ることが可能である。
【００３４】
（１２）より好ましくは、上記隣接セル情報生成部は、生成した上記無線端末装置ごとの上記隣接セル情報がそれぞれ示す１または複数の上記無線基地局装置を含む総合隣接セル情報を生成する。
【００３５】
このような構成により、たとえば建物における各部屋に存在する各無線端末装置が共通で認識できるセルが存在しない場合に、非登録の無線端末装置へ通知する隣接セル情報、および報知用の隣接セル情報において登録される無線基地局装置がゼロになることを防ぐことができる。
【００３６】
（１３）より好ましくは、上記隣接セル情報送信部は、上記対象無線基地局装置と通信可能な複数の無線端末装置に上記総合隣接セル情報を報知する。
【００３７】
このような構成により、特定の無線端末装置に加えて、無線通信システムにおける他の無線端末装置に共通の隣接セル情報を通知することが可能となるため、無線通信システムにおける動作のさらなる効率化を図ることができる。
【００３８】
（１４）より好ましくは、上記対象無線基地局装置は、上記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された上記無線端末装置および登録されていない上記無線端末装置の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作するか、または上記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された上記無線端末装置に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作し、上記隣接セル情報送信部は、上記対象無線基地局装置において登録されていない上記無線端末装置へ上記総合隣接セル情報を送信する。
【００３９】
このような構成により、ハイブリッドモードまたはクローズドアクセスモードで動作する無線基地局装置において、メンバーの無線端末装置に加えて、ノンメンバーの無線端末装置に共通の隣接セル情報を通知することが可能となるため、無線通信システムにおける動作のさらなる効率化を図ることができる。
【００４０】
（１５）好ましくは、上記隣接セル情報生成部は、対象の上記無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置のうち、上記対象無線基地局装置と通信する上記無線端末装置の移動先候補となる１または複数の上記無線基地局装置を示す隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成する。
【００４１】
このような構成により、設置された無線基地局装置のセル内における移動動作を最適な状態にすることが可能となる。また、隣接セル情報の最適化を行なうことにより、通信中の無線端末装置の移動先候補となる隣接セルの数を低減することができるため、無駄な移動動作が発生することを防ぐことができる。
【００４２】
（１６）好ましくは、上記隣接セル情報生成部は、対象の上記無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置のうち、上記無線端末装置の測定対象となる１または複数の上記無線基地局装置を示す隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成する。
【００４３】
このように、隣接セル情報の最適化を行なうことにより、無線端末装置が測定を行なう対象となる隣接セルの数を低減することができるため、無線端末装置が無駄な測定動作を行なうことを防ぐことができる。
【００４４】
（１７）好ましくは、上記隣接セル情報生成部は、対象の上記無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置のうち、上記無線端末装置が受信レベルを測定する対象となる無線信号を送信する１または複数の上記無線基地局装置を示す隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成する。
【００４５】
このように、隣接セル情報の最適化を行なうことにより、無線端末装置が受信レベル測定を行なう対象となる隣接セルの数を低減することができるため、無線端末装置が無駄な測定動作を行なうことを防ぐことができる。特に、アイドル状態の無線端末装置の消費電力を低減することができるため、顕著な効果が得られる。
【００４６】
（１８）より好ましくは、上記隣接セル情報生成部は、対象の上記無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置のうち、上記対象無線基地局装置と通信中でない上記無線端末装置が受信レベルを測定する対象となる無線信号を送信する１または複数の上記無線基地局装置を示す隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成する。
【００４７】
このような構成により、無線基地局装置からの報知情報等によって指示される定期的な電力測定の対象となる隣接セルの数を低減することができるため、無線端末装置が無駄な測定動作を行なうことを防ぐことができる。
【００４８】
（１９）好ましくは、上記通信システムにおける上記複数の無線基地局装置のうちの少なくともいずれかはフェムト基地局である。
【００４９】
このように、無線基地局装置の移動および電源のオン／オフが頻繁に起こる無線通信システムにおいて適切な隣接セル情報を生成することにより、無線通信システムにおける動作の効率化を図るという効果をより顕著に得ることができる。
【００５０】
（２０）好ましくは、上記隣接セル処理装置は、１または複数の上記無線基地局装置に含まれる。
【００５１】
このような構成により、たとえばゲートウェイ装置または上位装置で各無線基地局装置の隣接セル情報の最適化を行なう必要がなくなり、無線通信システムにおける処理負荷の分散、ならびに無線基地局装置とゲートウェイ装置または上位装置との間における通信量の低減を図ることができる。
【００５２】
（２１）上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる隣接セル処理方法は、無線端末装置が移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な通信システムにおける隣接セル処理方法であって、対象の上記無線基地局装置以外の複数の上記無線基地局装置のうち、上記対象無線基地局装置の周辺に配置された１または複数の上記無線基地局装置を示す隣接セル情報を上記無線端末装置ごとに生成するステップと、生成した上記隣接セル情報を対応の上記無線端末装置または上記対象無線基地局装置へ送信するステップとを含む。
【００５３】
このような構成により、無線端末装置ごとに異なる通信環境に応じて適切な隣接セル情報を生成することができる。具体的には、無線端末装置による無駄な測定動作を減らす、すなわち無線端末装置が存在を認識できないセルの測定を行なう回数を減らすことができる。また、無線端末装置による無駄な移動動作を減らすことができる。したがって、適切な隣接セル情報を生成することにより、無線通信システムにおける動作の効率化を図ることができる。
【発明の効果】
【００５４】
本発明によれば、適切な隣接セル情報を生成することにより、無線通信システムにおける動作の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００５５】
【図１】本発明の第１の実施の形態に係るフェムト基地局のアクセスモードと接続可能な無線端末装置との関係を示す図である。
【図２】本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおける無線基地局装置の配置例を示す図である。
【図３】本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおける無線基地局装置の配置例を詳細に示す図である。
【図４】本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおける無線基地局装置の配置例を詳細に示す図である。
【図５】本発明の第１の実施の形態に係る無線基地局装置の構成を示す図である。
【図６】本発明の第１の実施の形態に係る信号処理部の構成を示す図である。
【図７】本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線基地局装置が隣接セル情報を生成するシーケンスの一例を示す図である。
【図８】本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。
【図９】無線基地局装置の生成する隣接セル情報の一例を示す図である。
【図１０】無線基地局装置の生成する隣接セル情報の一例を示す図である。
【図１１】無線基地局装置の生成する総合隣接セル情報の一例を示す図である。
【図１２】本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線基地局装置が隣接セル情報を無線端末装置へ通知する方法の一例を示す図である。
【図１３】本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線基地局装置が総合隣接セル情報を無線端末装置へ通知する方法の一例を示す図である。
【図１４】無線基地局装置の生成する隣接セル情報の一例を示す図である。
【図１５】無線基地局装置の生成する隣接セル情報の一例を示す図である。
【図１６】無線基地局装置の生成する総合隣接セル情報の一例を示す図である。
【図１７】本発明の第３の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【図１８】本発明の第３の実施の形態に係るゲートウェイ装置の構成を示す図である。
【図１９】本発明の第３の実施の形態に係るゲートウェイ装置におけるデータ処理部の構成を示す図である。
【図２０】本発明の第３の実施の形態に係るゲートウェイ装置が隣接セル情報を通知する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【００５６】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【００５７】
＜第１の実施の形態＞
無線基地局装置は、自らの形成するセルおよび周辺セルについての情報、すなわち無線信号の周波数および周辺セルのＩＤ（identification）等を無線端末装置に通知する。無線端末装置は、無線基地局装置から通知された情報に基づいて、周辺セルの検出および測定を行なう。無線端末装置は、この測定結果に基づいて、周辺セルへの移動を開始する。ここで、無線端末装置の「移動」とは、ハンドオーバを意味することに加えて、アイドル状態の無線端末装置が今後通信を開始する、すなわち通話またはデータ通信を開始する際にどのセルを介して通信を行なうかを選択することを意味する。
【００５８】
たとえば、無線端末装置が無線基地局装置と通信しているときには、無線端末装置の移動先は無線基地局装置またはコアネットワークにおける上位装置が決定する。また、無線端末装置が無線基地局装置と通信していないときには、無線端末装置の移動先は無線端末装置が決定する。
【００５９】
フェムトセルおよびアクセスモードは、３ＧＰＰ（Third Generation Partnership Project） ＳＰＥＣ ＴＳ２２．２２０において以下のように説明されている。すなわち、フェムト基地局は、無線インタフェースを介して接続されている無線端末装置を、ＩＰバックホール（backhaul）を用いて、移動通信事業者網に接続する顧客構内装置である。
【００６０】
また、フェムトセルのアクセスモードにおいて、クローズドアクセスモードのフェムト基地局は、関連するＣＳＧ（Closed Subscriber Group）メンバーにのみサービスを提供する。また、ハイブリッドモードのフェムト基地局は、関連するＣＳＧメンバーおよびＣＳＧノンメンバーにサービスを提供する。また、オープンアクセスモードのフェムト基地局は、通常の基地局として動作する。
【００６１】
本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおいても、このような３ＧＰＰの定義を適用してもよい。
【００６２】
また、上記定義と合わせて、あるいは別個に、以下のような定義を適用することも可能である。
【００６３】
マクロ基地局は、事業者の管理下にあり、事業者と契約している無線基地局装置が通信可能な無線基地局装置である。また、マクロ基地局は、基本的に電源がオフになることはないと考えられる。
【００６４】
また、フェムト基地局は、主に個人または法人の建物内に設置され、ユーザの事情により移動するまたは電源がオフとなる可能性がある無線基地局装置である。
【００６５】
また、フェムト基地局は、オープン／ハイブリッド／クローズドのいずれかのアクセスモードで動作する。フェムト基地局は、クローズドアクセスモードで動作する場合には、登録済みのメンバー（端末）のみ接続可能となる。また、クローズドアクセスモードで動作する場合には、登録済みのメンバーにのみサービスを提供する。また、ハイブリッドモードで動作する場合には、登録済みのメンバー、および未登録のメンバーすなわちノンメンバーの両方にサービスを提供する。また、オープンアクセスモードで動作する場合には、マクロ基地局と同じ動作をする。
【００６６】
図１は、本発明の第１の実施の形態に係るフェムト基地局のアクセスモードと接続可能な無線端末装置との関係を示す図である。
【００６７】
図１を参照して、本発明の第１の実施の形態に係るフェムト基地局は、３つのアクセスモードを有する。すなわち、クローズドアクセスモードでは、フェムト基地局と接続可能な無線端末装置は登録済みの無線端末装置のみである。また、オープンアクセスモードでは、フェムト基地局と接続可能な無線端末装置はすべての無線端末装置であり、通常のマクロ基地局と同様である。また、ハイブリッドモードでは、フェムト基地局と接続可能な無線端末装置はすべての無線端末装置である。ただし、ハイブリッドモードでは、メンバーすなわち登録されている無線端末装置は、ノンメンバーすなわち登録されていない無線端末装置と比べて、フェムト基地局の通信リソースの割り当ておよび課金等で優遇される場合がある。
【００６８】
すなわち、本発明の第１の実施の形態に係るフェムト基地局は、すべての無線端末装置に対して通信を許可するオープンアクセスモードで動作するか、無線端末装置を登録することが可能であり、登録された無線端末装置に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作するか、または無線端末装置を登録することが可能であり、登録された無線端末装置および登録されていない無線端末装置の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作するかを設定可能である。
【００６９】
クローズドアクセスモードのセルにおいては、無線端末装置が自立的に周辺セルを検出することが３ＧＰＰで規定されている。また、オープンアクセスモードのマクロセルにおいては、事業者が計画的に無線基地局装置を設置する場合には、周辺のマクロセルに関する情報も事業者が把握しており、無線基地局装置の設置時および保守時等に設定される。
【００７０】
ところで、ユーザは、フェムト基地局を任意の場所に設置できることから、フェムト基地局が現在地を把握することは困難である。このため、フェムト基地局において、周辺セルの情報を得ることも困難である。
【００７１】
前述のように、クローズドアクセスモードのセルにおける無線端末装置のフェムトセル検出方法および移動方法は３ＧＰＰで規定されている。しかしながら、マクロセルまたはフェムトセルから、マクロセルまたはオープンアクセスモードのフェムトセルへ無線端末装置が移動する場合には、移動元の無線基地局装置が移動先の無線基地局装置の情報を無線端末装置に通知する必要がある。
【００７２】
ここで、フェムト基地局はユーザによって独自に使用場所が決められるため、フェムト基地局の移動および電源のオン／オフが起こり得る。これにより、次の２つが課題となる。すなわち、フェムト基地局が現在地を把握できないので、周辺に配置されたセルの情報をＯＡＭ機能（保守機能）によって取得することが困難である。また、無線基地局装置の周辺にフェムト基地局が存在する場合であってフェムト基地局の電源がオフされているときには、無線端末装置は当該フェムト基地局へ移動することができないので、フェムト基地局の電源のオン／オフを検出する必要が生じてしまう。
【００７３】
なお、フェムト基地局がＧＰＳ（Global Positioning System）等を利用して現在地を特定できる場合には、フェムト基地局が事業者網に問い合わせを行ない、地理的に近いセルの情報を取得することも考えられるが、精度の問題から、正確な位置を特定することは困難である。
【００７４】
［構成および基本動作］
図２は、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおける無線基地局装置の配置例を示す図である。
【００７５】
図２を参照して、無線通信システム３０１は、たとえば３ＧＰＰで規格化されたＬＴＥ（Long Term Evolution）に従う移動体通信システムであり、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｂ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅを備える。建物５１内に、無線基地局装置１０１Ａが設置され、無線端末装置２０２が存在している。
【００７６】
無線通信システム３０１では、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅがフェムト基地局であり、無線基地局装置１０１Ｂがマクロ基地局である。
【００７７】
無線基地局装置１０１Ｂは、たとえば半径数キロメートルのマクロセルＭＣＢを形成する。また、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅは、たとえば半径数１０メートルのフェムトセルＦＣＡ，ＦＣＣ，ＦＣＤ，ＦＣＥをそれぞれ形成する。
【００７８】
ここでは、マクロ基地局１０１Ｂが形成するマクロセル内に、複数のフェムト基地局が存在する状態を考える。
【００７９】
無線基地局装置１０１Ｂは、マクロセルＭＣＢ内に存在する無線端末装置２０２と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置２０２と通信することが可能である。
【００８０】
無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅは、屋内および地下街等、無線基地局装置１０１Ｂからの無線信号を無線端末装置２０２が受信しにくい場所に設置され、それぞれフェムトセルＦＣＡ，ＦＣＣ，ＦＣＤ，ＦＣＥ内に存在する無線端末装置２０２と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置２０２と通信することが可能である。
【００８１】
図２では、無線基地局装置１０１Ｃおよび１０１Ｅがそれぞれ形成するフェムトセルＦＣＣ，ＦＣＥの各々の一部が重なり合っている。また、無線基地局装置１０１Ｅおよび１０１Ｄがそれぞれ形成するフェムトセルＦＣＥ，ＦＣＤの各々の一部が重なり合っている。また、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅは、無線基地局装置１０１Ｂが形成するマクロセルＭＣＢ内に配置されている。建物５１は、マクロセルＭＣＢ内に存在し、フェムトセルＦＣＣ，ＦＣＤ，ＦＣＥの各々の一部に入っている。
【００８２】
図３は、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおける無線基地局装置の配置例を詳細に示す図である。
【００８３】
図３を参照して、建物５１は、部屋ａ，ｂ，ｃ，ｄ，ｅから成り、部屋ａ，ｂ，ｃ，ｄ，ｅのほぼ全領域が無線基地局装置１０１Ａの圏内となっている。現在、部屋ａおよび部屋ｃにそれぞれ無線端末装置２０２ａおよび無線端末装置２０２ｂが存在し、無線基地局装置１０１Ａと通信している。また、無線端末装置２０２ａは無線基地局装置１０１Ｂ，１０１Ｃ，１０１Ｅの圏内に存在し、無線端末装置２０２ｂは基地局１０１Ｂ，１０１Ｄ，１０１Ｅの圏内に存在している。
【００８４】
フェムトセルＦＣＡは、フェムトセルＦＣＣ，ＦＣＤ，ＦＣＥの各々の一部と重なり合っている。無線基地局装置１０１Ａと通信している無線端末装置２０２ａは、フェムトセルＦＣＡ，ＦＣＣ，ＦＣＥ内に位置しており、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｃ，１０１Ｅからの無線信号を受信可能である。また、無線基地局装置１０１Ａと通信している無線端末装置２０２ｂは、フェムトセルＦＣＡ，ＦＣＤ，ＦＣＥ内に位置しており、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｄ，１０１Ｅからの無線信号を受信可能である。
【００８５】
本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｂ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅが、それぞれ隣接セル処理装置として動作する。すなわち、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｂ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅの各々は、単体で隣接セル情報の最適化を行なう。
【００８６】
以下、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｂ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅの各々を無線基地局装置１０１と称する場合がある。また、図２および図３では、１つのマクロ基地局と、４つのフェムト基地局とを代表的に示しているが、少数またはさらに多数のマクロ基地局およびフェムト基地局が設けられてもよい。
【００８７】
図４は、図２に示す無線通信システムにおける、各無線基地局装置の属性を示す図である。
【００８８】
図４を参照して、無線通信システム３０１において、無線基地局装置１０１ＡのセルＩＤが１１１１であり、アクセスモードがハイブリッドモードであり、ＣＳＧ（Closed Subscriber Group） ＩＤが７７７７である。無線基地局装置１０１ＢのセルＩＤが２２２２であり、マクロ基地局であり、ＣＳＧ ＩＤは有していない。無線基地局装置１０１ＣのセルＩＤが３３３３であり、アクセスモードがオープンアクセスモードであり、ＣＳＧ ＩＤは有していない。無線基地局装置１０１ＤのセルＩＤが４４４４であり、アクセスモードがハイブリッドモードであり、ＣＳＧ ＩＤが８８８８である。無線基地局装置１０１ＥのセルＩＤが５５５５であり、アクセスモードがクローズドアクセスモードであり、ＣＳＧ ＩＤが８８８８である。
【００８９】
ここで、ＣＳＧ ＩＤは、無線端末装置２０２、ならびにクローズドアクセスモードおよびハイブリッドモードの無線基地局装置１０１に割り当てられるＩＤである。このＣＳＧ ＩＤにより、無線端末装置２０２は、ある無線基地局装置１０１にとって自己がメンバーであるかノンメンバーであるかを識別することができる。
【００９０】
すなわち、フェムト基地局である無線基地局装置１０１は、すべての無線端末装置２０２に対して通信を許可するオープンアクセスモードで動作するか、設定された加入者グループに属しており、同じ加入者グループに属する無線端末装置２０２に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作するか、または設定された加入者グループに属しており、同じ加入者グループに属する無線端末装置２０２および異なる加入者グループに属する無線端末装置２０２の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作するかを設定可能である。
【００９１】
図５は、本発明の第１の実施の形態に係る無線基地局装置の構成を示す図である。
図５を参照して、無線基地局装置１０１は、アンテナ９１と、サーキュレータ９２と、無線受信部９３と、無線送信部９４と、信号処理部９５とを備える。信号処理部９５は、受信信号処理部９６と、送信信号処理部９７とを含む。信号処理部９５は、ＣＰＵ（Central Processing Unit）またはＤＳＰ（Digital Signal Processor）等によって実現される。
【００９２】
サーキュレータ９２は、アンテナ９１において受信された無線端末装置２０２からの無線信号を無線受信部９３へ出力し、また、無線送信部９４から受けた無線信号をアンテナ９１へ出力する。
【００９３】
無線受信部９３は、サーキュレータ９２から受けた無線信号をベースバンド信号またはＩＦ（Intermediate Frequency）信号に周波数変換し、この周波数変換した信号をデジタル信号に変換して受信信号処理部９６へ出力する。
【００９４】
受信信号処理部９６は、無線受信部９３から受けたデジタル信号に対してＣＤＭＡ（Code Division Multiple Access）方式における逆拡散等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号の一部または全部を所定のフレームフォーマットに変換してコアネットワーク側へ送信する。
【００９５】
送信信号処理部９７は、コアネットワーク側から受信した通信データを所定のフレームフォーマットに変換した通信データまたは自ら生成した通信データに対してＯＦＤＭ（Orthogonal Frequency Division Multiplex）方式におけるＩＦＦＴ（Inverse Fast Fourier Transform）等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号を無線送信部９４へ出力する。
【００９６】
無線送信部９４は、送信信号処理部９７から受けたデジタル信号をアナログ信号に変換し、変換したアナログ信号を無線信号に周波数変換してサーキュレータ９２へ出力する。
【００９７】
図６は、本発明の第１の実施の形態に係る信号処理部の構成を示す図である。
図６を参照して、受信信号処理部９６は、各種情報取得部１１と、隣接セル情報生成部１２とを含む。送信信号処理部９７は、隣接セル情報送信部１３と、電力測定指示部１４とを含む。
【００９８】
各種情報取得部１１は、隣接セル情報の生成に必要な種々の情報を取得する。たとえば、各種情報取得部１１は、このような各種情報を他の無線基地局装置１０１および無線端末装置２０２の少なくとも一方からの情報に基づいて取得する。
【００９９】
隣接セル情報生成部１２は、各種情報取得部１１によって取得された情報に基づいて、隣接セル情報を与える対象となる無線基地局装置（以下、対象基地局とも称する。）以外の無線通信システム３０１における複数の無線基地局装置１０１のうち、対象基地局の周辺に設置された１または複数の無線基地局装置１０１を示す隣接セル情報を、無線端末装置２０２ごとに生成する。たとえば、隣接セル情報生成部１２は、隣接セル情報を、対象基地局と通信可能な無線端末装置２０２ごとに生成する。本発明の第１の実施の形態に係る無線基地局装置では、対象基地局は自己の無線基地局装置１０１である。
【０１００】
隣接セル情報送信部１３は、隣接セル情報生成部１２によって生成された無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報を、対応の無線端末装置２０２へそれぞれ送信する。
【０１０１】
電力測定指示部１４は、対象基地局以外の他の無線基地局装置１０１から送信される無線信号の受信レベルを無線端末装置２０２に測定させるための測定開始要求を無線端末装置２０２へ送信する。
【０１０２】
［動作］
次に、本発明の第１の実施の形態に係る無線基地局装置が隣接セル情報を生成する際の動作について説明する。
【０１０３】
各種情報取得部１１は、たとえば、対象基地局以外の他の無線基地局装置１０１から送信される無線信号を無線端末装置２０２が測定した結果を示す測定情報を、無線端末装置２０２ごとに、無線端末装置２０２からの情報に基づいて取得する。
【０１０４】
隣接セル情報生成部１２は、各種情報取得部１１によって取得された無線端末装置２０２ごとの測定情報に基づいて、隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０１０５】
図７は、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線基地局装置が隣接セル情報を生成するシーケンスの一例を示す図である。
【０１０６】
たとえばＬＴＥでは、最初に無線端末装置２０２が無線基地局装置１０１とのＲＲＣ（Radio Resource Control）コネクションを確立した時、すなわち無線基地局装置１０１と通信を開始するための処理を完了した時に、当該無線基地局装置１０１は、当該無線端末装置２０２に対して全周波数検索を指示する。
【０１０７】
ここで、全周波数検索とは、無線通信システム３０１において設定されたすべての種類の送信周波数について、各無線基地局装置１０１からの無線信号の受信レベルを測定することを意味する。
【０１０８】
そして、無線基地局装置１０１は、無線端末装置２０２からの測定結果の報告に基づいて隣接セル情報を生成し、図示しない記憶部に保存する。
【０１０９】
より詳細には、図７を参照して、まず、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２の測定対象となる他の無線基地局装置を設定する（ステップＳ１０１）。
【０１１０】
次に、無線基地局装置１０１Ａは、設定した他の無線基地局装置から送信される無線信号の受信レベルを無線端末装置２０２に測定させるための測定開始要求を無線端末装置２０２へ送信する。この測定開始要求に、測定対象となる周波数および無線基地局装置の情報が含まれる（ステップＳ１０２）。
【０１１１】
次に、無線端末装置２０２は、無線基地局装置１０１Ａから測定開始要求を受信して、受信した測定開始要求の示す無線基地局装置から送信される無線信号の受信レベルを測定する（ステップＳ１０３）。
【０１１２】
次に、無線端末装置２０２は、この受信レベルの測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置１０１Ａへ送信する（ステップＳ１０４）。
【０１１３】
次に、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置２０２用の隣接セル情報を生成する（ステップＳ１０５）。
【０１１４】
このように、全周波数検索の結果を用いて隣接セル情報を生成する構成により、適切な隣接セル情報を早期に構築することが可能となり、無線通信システム３０１における動作の効率化を早期に実現することができる。
【０１１５】
図８は、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。
【０１１６】
図８を参照して、まず、無線基地局装置１０１Ａは、自己と通信中の無線端末装置２０２の測定対象となる周波数と、当該周波数の無線信号を送信する他の無線基地局装置とを設定する（ステップＳ８１）。
【０１１７】
次に、無線基地局装置１０１Ａは、設定した他の無線基地局装置から送信される無線信号の受信レベルを無線端末装置２０２に測定させるための測定開始要求を無線端末装置２０２へ送信する。この測定開始要求には、測定対象となる無線基地局装置１０１の情報すなわちセルＩＤが含まれる。この情報は、たとえば、図７に示すシーケンス等によって生成した無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報である。また、この測定開始要求には、各無線基地局装置１０１の送信周波数が含まれる（ステップＳ８２）。
【０１１８】
次に、無線端末装置２０２は、無線基地局装置１０１Ａから測定開始要求を受信して、受信した測定開始要求の示す周波数において、測定開始要求の示す無線基地局装置から送信される無線信号の受信レベルを測定する（ステップＳ８３）。
【０１１９】
次に、無線端末装置２０２は、この受信レベルの測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置１０１Ａへ送信する。たとえば、無線端末装置２０２は、受信レベルの測定を定期的に行ない、無線基地局装置１０１Ａとの通信状態が悪くなった場合、および無線基地局装置１０１Ａ以外の他の無線基地局装置１０１との通信状態が良くなった場合に、測定結果通知を無線基地局装置１０１Ａへ送信する（ステップＳ８４）。
【０１２０】
次に、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２から受信した測定結果通知に基づいて、セルＩＤごとの測定結果を示す測定情報を取得し、図示しない記憶部に保存する（ステップＳ８５）。
【０１２１】
次に、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置２０２がハンドオーバすべきか否かを判断し、ハンドオーバすべきであると判断すると、対応の隣接セル情報を参照してたとえば無線基地局装置１０１Ｂをハンドオーバ先として決定し、無線基地局装置１０１Ｂを示すハンドオーバ要求を上位装置へ送信する（ステップＳ８６）。
【０１２２】
ここで、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバとは、通話中またはデータ通信中の無線端末装置２０２の通信相手となる無線基地局装置１０１が切り替えられることを意味する。
【０１２３】
次に、上位装置は、無線基地局装置１０１Ａからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置１０１Ｂへ当該ハンドオーバ要求を送信する（ステップＳ８７）。
【０１２４】
次に、無線基地局装置１０１Ｂは、上位装置からハンドオーバ要求を受信して、上位装置へ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する（ステップＳ８８）。
【０１２５】
次に、上位装置は、無線基地局装置１０１Ｂからハンドオーバ応答を受信して、無線基地局装置１０１Ａへハンドオーバ指示を送信する（ステップＳ８９）。
【０１２６】
次に、無線基地局装置１０１Ａは、上位装置からハンドオーバ指示を受信して、無線端末装置２０２へＲＲＣコネクション再確立指示を送信する（ステップＳ９０）。
【０１２７】
次に、無線基地局装置１０１Ａは、上位装置へ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する（ステップＳ９１）。
【０１２８】
次に、上位装置は、無線基地局装置１０１Ａから状態通知を受信して、無線基地局装置１０１Ｂへ無線端末装置２０２との通信内容等を示す状態通知を送信する（ステップＳ９２）。
【０１２９】
また、無線端末装置２０２および無線基地局装置１０１Ｂ間でＲＲＣコネクションが確立されると、無線端末装置２０２は、無線基地局装置１０１ＢへＲＲＣコネクション確立通知を送信する（ステップＳ９３）。
【０１３０】
次に、無線基地局装置１０１Ｂは、無線端末装置２０２からＲＲＣコネクション確立通知を受信して、上位装置へハンドオーバ完了通知を送信する（ステップＳ９４）。
【０１３１】
次に、上位装置は、無線基地局装置１０１Ｂからハンドオーバ完了通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置１０１Ａへ送信する（ステップＳ９５）。
【０１３２】
次に、無線基地局装置１０１Ａは、上位装置から端末情報解放指示を受信して、無線端末装置２０２に関する情報を解放し、上位装置へ端末情報解放完了通知を送信する（ステップＳ９６）。
【０１３３】
次に、無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報について具体的に説明する。
本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、無線基地局装置１０１は、複数の隣接セル情報を作成し、更新する。たとえば、無線基地局装置１０１Ａに登録されている無線端末装置が無線端末装置２０２ａおよび無線端末装置２０２ｂの２台であったとする。この場合、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２ａおよび無線端末装置２０２ｂの各々の隣接セル情報を作成する。また、無線基地局装置１０１Ａは、非登録端末への通知用、および報知用として、無線端末装置２０２ａおよび無線端末装置２０２ｂの各々の隣接セル情報をまとめた総合隣接セル情報を作成する。
【０１３４】
図９は、無線基地局装置の生成する隣接セル情報の一例を示す図である。
図９を参照して、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２ａ用の隣接セル情報として、無線基地局装置１０１ＢのセルＩＤが２２２２であり、マクロ基地局であり、ＣＳＧ ＩＤは有しておらず、無線基地局装置１０１ＣのセルＩＤが３３３３であり、アクセスモードがオープンアクセスモードであり、ＣＳＧ ＩＤは有しておらず、無線基地局装置１０１ＥのセルＩＤが５５５５であり、アクセスモードがクローズドアクセスモードであり、ＣＳＧ ＩＤが８８８８であることを示す隣接セル情報を生成する。
【０１３５】
図１０は、無線基地局装置の生成する隣接セル情報の一例を示す図である。
図１０を参照して、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２ｂ用の隣接セル情報として、無線基地局装置１０１ＢのセルＩＤが２２２２であり、マクロ基地局であり、ＣＳＧ ＩＤは有しておらず、無線基地局装置１０１ＤのセルＩＤが４４４４であり、アクセスモードがハイブリッドモードであり、ＣＳＧ ＩＤが８８８８であり、無線基地局装置１０１ＥのセルＩＤが５５５５であり、アクセスモードがクローズドアクセスモードであり、ＣＳＧ ＩＤが８８８８であることを示す隣接セル情報を生成する。
【０１３６】
そして、無線基地局装置１０１Ａは、隣接セル情報を更新した場合には、更新した隣接セル情報を対応の無線端末装置２０２に通知する。
【０１３７】
なお、隣接セル情報生成部１２は、各種情報取得部１１によって取得された各種情報に基づいて、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１を隣接セル情報に登録するか否かをそれぞれ決定する構成であってもよい。すなわち、ある基準を満たした無線基地局装置１０１のみを隣接セル情報に登録する構成であってもよい。
【０１３８】
具体的には、各種情報取得部１１は、無線端末装置２０２から受信した測定結果通知に基づいて、対象基地局以外の無線基地局装置１０１から送信される無線信号の受信レベルを示す測定情報を取得する。各種情報取得部１１は、この測定情報を無線端末装置２０２ごとに図示しない記憶部に保存する。
【０１３９】
そして、隣接セル情報生成部１２は、受信レベルが所定値以上となる無線基地局装置１０１を、対応の無線端末装置２０２の隣接セル情報に登録する。
【０１４０】
あるいは、各種情報取得部１１は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１から送信される無線信号に基づいて無線端末装置２０２が無線基地局装置１０１の存在を検出した回数、および無線端末装置２０２が無線基地局装置１０１の存在を検出する検出率の少なくとも一方を示す測定情報を、無線端末装置２０２からの情報に基づいて取得する構成であってもよい。ここで、検出率は、無線端末装置２０２が測定を実施した回数に対する、当該無線端末装置２０２が無線基地局装置１０１の存在を検出した回数の割合である。
【０１４１】
たとえば、無線基地局装置１０１Ａは、自己と通信中の無線端末装置２０２に対して全周波数検索を複数回指示し、無線端末装置２０２において実施された複数回分の全周波数検索による測定結果通知から、検出回数または検出率を取得する。
【０１４２】
そして、隣接セル情報生成部１２は、検出回数が所定値以上となる無線基地局装置１０１、または検出率が所定値以上となる無線基地局装置１０１を、対応の無線端末装置２０２の隣接セル情報に登録する。
【０１４３】
あるいは、無線基地局装置１０１は、隣接セル情報において以下のような登録基準を採用してもよい。すなわち、ハンドオーバ情報取得部１１は、無線端末装置２０２のハンドオーバ動作履歴を示すハンドオーバ情報を、無線端末装置２０２ごとに、当該無線端末装置２０２および他の無線基地局装置１０１の少なくとも一方からの情報に基づいて取得する。
【０１４４】
そして、隣接セル情報生成部１２は、ハンドオーバ情報取得部１１によって取得された無線端末装置２０２ごとのハンドオーバ情報に基づいて、隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０１４５】
具体的には、各種情報取得部１１は、対象基地局から対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１への無線端末装置２０２のハンドオーバの回数、および対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１から対象基地局への無線端末装置２０２のハンドオーバの回数の少なくとも一方を示すハンドオーバ情報を取得する。各種情報取得部１１は、このハンドオーバ情報をたとえば図８に示すシーケンスにおけるハンドオーバ完了通知によって取得し、無線端末装置２０２ごとに図示しない記憶部に保存する。
【０１４６】
そして、隣接セル情報生成部１２は、ハンドオーバ回数が所定値以上となる無線基地局装置１０１を、対応の無線端末装置２０２の隣接セル情報に登録する。
【０１４７】
なお、各種情報取得部１１は、ハンドオーバ成功率を算出することが可能である場合には、ハンドオーバ回数の代わりにハンドオーバ成功率を示すハンドオーバ情報を取得する構成であってもよい。ここで、ハンドオーバ成功率は、図８に示すシーケンスにおけるハンドオーバ完了通知数／ハンドオーバ要求数で求められる。
【０１４８】
また、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１のうち、対象基地局の周辺に配置された１または複数の無線基地局装置１０１を順位付けした隣接セル情報を生成する構成であってもよい。
【０１４９】
すなわち、隣接セル情報生成部１２は、各種情報取得部１１によって取得された各種情報に基づいて、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１を順位付けし、順位付けの結果に基づいた隣接セル情報を生成する。
【０１５０】
無線基地局装置１０１に順位が付された隣接セル情報を生成する構成では、無線基地局装置１０１が無線端末装置２０２のハンドオーバ先を決定する際に当該隣接セル情報の順位を使用することが考えられる。すなわち、各無線端末装置２０２のハンドオーバ先を決定する際に、隣接セル情報の順位に従ってハンドオーバ先の無線基地局装置１０１を選択する。
【０１５１】
また、無線基地局装置１０１Ａは、たとえば順位付けした無線基地局装置のうち、上位からＮ個（Ｎは１以上の整数）を隣接セル情報として無線端末装置２０２に通知する。
【０１５２】
具体的には、無線端末装置２０２に通知する隣接セル情報に登録可能な無線基地局装置が２つと限定されている場合には、無線基地局装置１０１Ａは、たとえば、セルＩＤ２２２２（無線基地局装置１０１Ｂ）、およびセルＩＤ３３３３（無線基地局装置１０１Ｃ）を示す隣接セル情報を無線端末装置２０２ａに通知する。
【０１５３】
ただし、無線端末装置２０２が検出したセルすなわち無線端末装置２０２が送信無線信号を測定可能な無線基地局装置１０１であれば、基本的には当該無線端末装置２０２の移動対象となりうる。このため、無線端末装置２０２ごとに隣接セル情報を生成する構成では、当該無線端末装置２０２が検出した無線基地局装置１０１をすべて隣接セル情報に登録する構成が好ましい。
【０１５４】
図１１は、無線基地局装置の生成する総合隣接セル情報の一例を示す図である。
図１１を参照して、隣接セル情報生成部１２は、生成した無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報がそれぞれ示す１または複数の無線基地局装置１０１を含む総合隣接セル情報を生成する。
【０１５５】
具体的には、線基地局装置１０１Ａは、総合隣接セル情報として、セルＩＤ２２２２（無線基地局装置１０１Ｂ）、セルＩＤ３３３３（無線基地局装置１０１Ｃ）、セルＩＤ４４４４（無線基地局装置１０１Ｄ）およびセルＩＤ５５５５（無線基地局装置１０１Ｅ）を示す隣接セル情報を生成する。
【０１５６】
［隣接セル情報の通知］
上述のように、無線基地局装置１０１は、各種情報の取得に伴い、隣接セル情報の最適化を行なう。そして、この最適化された隣接セル情報は無線端末装置２０２へ通知する必要がある。すなわち、無線基地局装置１０１における隣接セル情報送信部１３は、隣接セル情報生成部１２によって生成された無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報を対応の無線端末装置２０２へ送信する。この通知方法としては、たとえば以下のような方法が考えられる。
【０１５７】
図１２は、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線基地局装置が隣接セル情報を無線端末装置へ通知する方法の一例を示す図である。
【０１５８】
図１２を参照して、無線基地局装置１０１Ａは、自己と通信中の無線端末装置２０２に対して、測定変更要求を利用して隣接セル情報の更新を通知する。
【０１５９】
より詳細には、無線基地局装置１０１Ａは、隣接セル情報の最適化が発生すると（ステップＳ２７）、更新された隣接セル情報を測定変更要求に含めて無線端末装置２０２へ送信する（ステップＳ４１）。
【０１６０】
次に、無線端末装置２０２は、自ら保持している隣接セル情報を、無線基地局装置１０１Ａから受信した測定変更要求に含まれる隣接セル情報に変更し、変更した隣接セル情報の示す無線基地局装置１０１から送信される無線信号の受信レベルを測定する（ステップＳ４２）。
【０１６１】
図１３は、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線基地局装置が総合隣接セル情報を無線端末装置へ通知する方法の一例を示す図である。
【０１６２】
隣接セル情報送信部１３は、対象基地局と通信可能な複数の無線端末装置２０２に総合隣接セル情報を報知する。また、隣接セル情報送信部１３は、対象基地局において登録されていない無線端末装置２０２へ総合隣接セル情報を通知する。
【０１６３】
具体的には、図１３を参照して、無線基地局装置１０１Ａは、アイドル状態すなわち通話およびデータ通信を行なっていない状態の無線端末装置２０２に対して、総合隣接セル情報を報知情報に含めて通知する。この場合、無線基地局装置１０１Ａは、報知情報変化通知を利用して、総合隣接セル情報が更新されたことを各無線端末装置２０２に通知する。
【０１６４】
より詳細には、無線基地局装置１０１Ａは、総合隣接セル情報の最適化が発生すると（ステップＳ２７）、報知情報変化通知をフェムトセルＦＣＡに存在する各無線端末装置２０２へブロードキャストする（ステップＳ２８）。
【０１６５】
次に、無線基地局装置１０１Ａは、更新した総合隣接セル情報を含んだ報知情報をフェムトセルＦＣＡに存在する各無線端末装置２０２へブロードキャストする。そして、報知情報変化通知を受信した無線端末装置２０２は、無線基地局装置１０１Ａから送信される報知情報から総合隣接セル情報を読み出し、自ら保持している隣接セル情報を、読み出した総合隣接セル情報に更新する（ステップＳ２９）。
【０１６６】
次に、無線端末装置２０２は、自律的にまたは無線基地局装置１０１Ａから測定開始要求を受信して、更新した隣接セル情報の示す無線基地局装置１０１から送信される無線信号の受信レベルを測定する（ステップＳ３０）。
【０１６７】
なお、無線基地局装置１０１Ａは、ノンメンバーの無線端末装置２０２に対して総合隣接セル情報を通知する方法として、図１３に示すようにノンメンバーの無線端末装置２０２に対して総合隣接セル情報を報知してもよいし、また、図１２に示すようにノンメンバーの無線端末装置２０２に対して個別に総合隣接セル情報を通知してもよい。
【０１６８】
ところで、移動通信システムにおいて、たとえば、無線端末装置は、１または複数の無線基地局装置が登録された隣接セル情報を用いて、自律的に、または無線基地局装置からの指示に従い、隣接セル情報に登録された無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、この測定結果を無線基地局装置に報告する。この場合、ハンドオーバ先としては向かない無線基地局装置が隣接セル情報に登録されていると、無線端末装置が無駄な測定動作を行ない、また、無駄なハンドオーバが発生してしまう。
【０１６９】
具体的には、宅内に設置したフェムト基地局において、各ユーザが自室で通信する場合を考えると、それぞれのユーザの部屋における周辺セルは異なる場合がある。すなわち、図２および図３に示すような通信システムにおいては、無線端末装置２０２ごとに通信可能な無線基地局装置１０１が異なる。たとえば、無線端末装置２０２ａに無線基地局装置１０１Ｄの測定を指示しても、無線基地局装置１０１Ｄを検出できないことから、無線端末装置２０２ａによる無線基地局装置１０１Ｄの測定は無駄な動作となる。
【０１７０】
これに対して、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１のうち、対象基地局の周辺に配置された１または複数の無線基地局装置１０１を示す隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。具体的には、たとえば、ハンドオーバを行なうための測定を無線端末装置２０２に指示する際に、無線基地局装置１０１から通知する隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに変える。
【０１７１】
このような構成により、無線端末装置２０２ごとに異なる通信環境に応じて適切な隣接セル情報を生成することができる。具体的には、無線端末装置２０２による無駄な測定動作を減らす、すなわち無線端末装置２０２が存在を認識できないセルの測定を行なう回数を減らすことができる。また、無線端末装置２０２による無駄なハンドオーバ動作を減らすことができる。
【０１７２】
したがって、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、適切な隣接セル情報を生成することにより、無線通信システムにおける動作の効率化を図ることができる。
【０１７３】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、各種情報取得部１１は、隣接セル情報を生成するための情報を、無線端末装置２０２ごとに、無線端末装置２０２および無線基地局装置１０１の少なくとも一方からの情報に基づいて取得する。そして、隣接セル情報生成部１２は、各種情報取得部１１によって取得された無線端末装置２０２ごとの情報に基づいて、隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０１７４】
このような構成により、フェムト基地局の移動および電源のオン／オフに関わらず、隣接セル情報を自動的に最適化することができるため、人手を介すことなく、無線通信システム３０１における動作の効率化を図ることができる。また、自動的に隣接セル情報の最適化が行われることから、無線基地局装置１０１に対する特別な設置処理が不要となるため、無線基地局装置１０１を設置するための作業時間および費用の低減を図ることができる。
【０１７５】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、各種情報取得部１１は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１から送信される無線信号を無線端末装置２０２が測定した結果を示す測定情報を、無線端末装置２０２ごとに、当該無線端末装置２０２からの情報に基づいて取得する。
【０１７６】
このように、隣接セル情報を生成するための情報として、無線基地局装置１０１から送信される無線信号を無線端末装置２０２が実際に測定した結果を示す測定情報を取得する構成により、無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報を適切に生成することができる。
【０１７７】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、各種情報取得部１１は、無線端末装置２０２のハンドオーバ動作履歴を示すハンドオーバ情報を、無線端末装置２０２ごとに、当該無線端末装置２０２および無線基地局装置１０１の少なくとも一方からの情報に基づいて取得する。
【０１７８】
このように、隣接セル情報を生成するための情報として、無線端末装置２０２のハンドオーバ動作履歴を示すハンドオーバ情報を取得する構成により、無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報を適切に生成することができる。
【０１７９】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、隣接セル情報送信部１３は、対象基地局と通信可能な複数の無線端末装置２０２に総合隣接セル情報を報知する。
【０１８０】
このような構成により、特定の無線端末装置２０２に加えて、無線通信システム３０１における他の無線端末装置２０２に共通の隣接セル情報を通知することが可能となるため、無線通信システムにおける動作のさらなる効率化を図ることができる。
【０１８１】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、隣接セル情報送信部１３は、対象基地局において登録されていない無線端末装置２０２へ総合隣接セル情報を送信する。
【０１８２】
このような構成により、ハイブリッドモードまたはクローズドアクセスモードで動作する無線基地局装置１０１において、メンバーの無線端末装置２０２に加えて、ノンメンバーの無線端末装置２０２に共通の隣接セル情報を通知することが可能となるため、無線通信システムにおける動作のさらなる効率化を図ることができる。
【０１８３】
また、フェムト基地局の購入者は、当該フェムト基地局の設置場所を独自に決めることができる。このため、フェムト基地局が設置された無線通信システムでは、フェムト基地局の移動および電源のオン／オフが起こりやすいことから、周辺にフェムト基地局が存在する無線基地局装置において適切な隣接セル情報を生成することが困難となる。
【０１８４】
これに対して、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムにおける複数の無線基地局装置１０１のうちの少なくともいずれかはフェムト基地局である。
【０１８５】
このように、無線基地局装置の移動および電源のオン／オフが頻繁に起こる無線通信システムにおいて適切な隣接セル情報を生成することにより、無線通信システムにおける動作の効率化を図るという効果をより顕著に得ることができる。
【０１８６】
また、特許文献１に記載の技術を用いて自動的にフェムト基地局の設定を行なうと、周辺のフェムト基地局をすべて隣接セルとして扱って隣接セル情報に登録し、ハンドオーバ先の候補としてしまう。このため、無線端末装置に対してフェムト基地局が壁の向こう側に存在する等、本来ハンドオーバ先としては向かないフェムト基地局も隣接セル情報に登録してしまう可能性がある。
【０１８７】
これに対して、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、隣接セル情報生成部１２は、各種情報取得部１１によって取得された情報に基づいて、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１のうち、対象基地局と通信する無線端末装置２０２のハンドオーバ先候補となる１または複数の無線基地局装置１０１を示す隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０１８８】
このような構成により、設置された無線基地局装置１０１のフェムトセル内におけるハンドオーバ動作を最適な状態にすることが可能となる。また、隣接セル情報の最適化を行なうことにより、通信中の無線端末装置２０２のハンドオーバ先候補となる隣接セルの数を低減することができるため、無駄なハンドオーバが発生することを防ぐことができる。
【０１８９】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１のうち、無線端末装置２０２の測定対象となる１または複数の無線基地局装置１０１を示す隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０１９０】
このように、隣接セル情報の最適化を行なうことにより、無線端末装置２０２が測定を行なう対象となる隣接セルの数を低減することができるため、無線端末装置２０２が無駄な測定動作を行なうことを防ぐことができる。
【０１９１】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１のうち、無線端末装置２０２が受信レベルを測定する対象となる無線信号を送信する１または複数の無線基地局装置１０１を示す隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０１９２】
このように、隣接セル情報の最適化を行なうことにより、無線端末装置２０２が受信レベル測定を行なう対象となる隣接セルの数を低減することができるため、無線端末装置２０２が無駄な測定動作を行なうことを防ぐことができる。特に、アイドル状態の無線端末装置２０２の消費電力を低減することができるため、顕著な効果が得られる。
【０１９３】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１のうち、アイドル状態すなわち対象基地局と通信中でない無線端末装置２０２が受信レベルを測定する対象となる無線信号を送信する１または複数の無線基地局装置１０１を示す隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０１９４】
このような構成により、無線基地局装置１０１からの報知情報等によって指示される定期的な電力測定の対象となる隣接セルの数を低減することができるため、無線端末装置２０２が無駄な測定動作を行なうことを防ぐことができる。
【０１９５】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、無線基地局装置１０１が、単体で隣接セル情報の最適化を行なう。すなわち、本発明の第１の実施の形態に係る隣接セル処理装置は、無線基地局装置１０１に含まれる。
【０１９６】
このような構成により、たとえばコアネットワークにおける上位装置で各無線基地局装置１０１の隣接セル情報の最適化を行なう必要がなくなり、無線通信システム３０１における処理負荷の分散、ならびに無線基地局装置１０１および上位装置間における通信量の低減を図ることができる。
【０１９７】
なお、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、隣接セル情報生成部１２は、生成した無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報がそれぞれ示す１または複数の無線基地局装置１０１を含む総合隣接セル情報を生成する。具体的には、図９および図１０に示す隣接セル情報に登録された無線基地局装置１０１をすべて含む総合隣接セル情報を生成する、すなわち各隣接セル情報における無線基地局装置１０１のＯＲをとった総合隣接セル情報を生成する構成であるとしたが、このような構成に限定するものではない。
【０１９８】
隣接セル情報生成部１２は、無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報に加えて、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１のうち、対象基地局の周辺に配置された１または複数の無線基地局装置１０１を示す、複数の無線端末装置２０２に通知するための総合隣接セル情報を生成する構成であればよい。このように、多様な隣接セル情報を用いることにより、無線通信システムにおける動作のさらなる効率化を図ることが可能である。
【０１９９】
また、隣接セル情報生成部１２は、生成した無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報に基づいて総合隣接セル情報を生成する構成であれば、特定の無線端末装置２０２に加えて、無線通信システム３０１における他の無線端末装置２０２に通知すべき隣接セル情報を適切に生成することができるため、無線通信システムにおける動作のさらなる効率化を図ることが可能である。
【０２００】
具体的には、図９に示す隣接セル情報に登録された無線基地局装置１０１と図１０に示す隣接セル情報に登録された無線基地局装置１０１とで共通の無線基地局装置１０１を登録した総合隣接セル情報を生成する、すなわち各隣接セル情報における無線基地局装置１０１のＡＮＤをとった総合隣接セル情報を生成する構成であってもよい。
【０２０１】
ただし、ＯＲをとる構成を採用することにより、たとえば建物５１における各部屋に存在する各無線端末装置２０２が共通で認識できるセルが存在しない場合に、非登録の無線端末装置２０２へ通知する隣接セル情報、および報知用の隣接セル情報において登録される無線基地局装置１０１がゼロになることを防ぐことができる。
【０２０２】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線基地局装置では、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局と通信する無線端末装置２０２が、対象基地局以外の無線基地局装置１０１から送信される無線信号の受信レベルをすべての周波数について測定した結果に基づいて、隣接セル情報の初期情報を生成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。無線通信システム３０１における無線基地局装置１０１の送信周波数を全種類測定する構成に限らず、それらの一部である複数の周波数を測定する構成であってもよい。
【０２０３】
また、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、ハンドオーバの動作として、無線端末装置２０２の通信相手となる無線基地局装置１０１が無線基地局装置１０１主導で切り替えられる構成であるとしたが、これに限定するものではない。無線端末装置２０２の通信相手となる無線基地局装置１０１が無線端末装置２０２主導で切り替えられる構成であってもよい。
【０２０４】
また、本発明の第１の実施の形態では、無線端末装置のハンドオーバ動作について具体的な説明を行なったが、無線基地局装置と通信中の無線端末装置が行なう基地局間移動（セル間移動）動作であるハンドオーバに限らず、アイドル状態の無線端末装置が行なう基地局間移動（セル間移動）動作についても、本発明は適用される。すなわち、本発明の第１の実施の形態において、「ハンドオーバ」を「移動」に置き換えた構成および動作についても、本発明は適用される。
【０２０５】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【０２０６】
＜第２の実施の形態＞
本実施の形態は、第１の実施の形態に係る無線通信システムと比べて隣接セル情報における無線基地局装置の登録基準を変更した無線通信システムに関する。以下で説明する内容以外は第１の実施の形態に係る無線通信システムと同様である。
【０２０７】
本発明の第２の実施の形態に係る無線基地局装置において、各種情報取得部１１は、他の無線基地局装置１０１から定期的にまたは不定期に送信される報知情報等から属性情報を取得し、図示しない記憶部に保存する。隣接セル情報生成部１２は、各種情報取得部１１によって取得された属性情報に基づいて、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１のうち、対象基地局の周辺に配置された１または複数の無線基地局装置１０１を示す隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０２０８】
無線基地局装置１０１は、クローズドアクセスモードまたはハイブリッドモードで動作する場合において、設定された加入者グループに属する、すなわちＣＳＧ ＩＤが設定されている。そして、無線基地局装置１０１は、同じ加入者グループに属する無線端末装置２０２すなわち自己と同じＣＳＧ ＩＤを有する無線端末装置２０２に対して通信を許可する。
【０２０９】
したがって、無線端末装置２０２が利用できる可能性の高い無線リソースという観点から無線基地局装置の優先順位を考えると、（１）クローズドアクセスモードで動作し、かつ当該無線端末装置２０２がメンバーとなるフェムト基地局すなわち自己と同じＣＳＧ ＩＤを有するフェムト基地局、（２）ハイブリッドモードで動作し、かつ当該無線端末装置２０２がメンバーとなるフェムト基地局、（３）マクロ基地局、（４）オープンアクセスモードで動作するフェムト基地局、（５）ハイブリッドモードで動作し、かつ当該無線端末装置２０２がノンメンバーとなるフェムト基地局すなわち自己と異なるＣＳＧ ＩＤを有するフェムト基地局、の順番となる。
【０２１０】
無線基地局装置１０１においては、他の無線基地局装置１０１からの報知情報等により周辺の無線基地局装置１０１のＣＳＧ ＩＤが判明している。そして、無線基地局装置１０１は、自己と同じＣＳＧ ＩＤを持つ無線端末装置２０２に対して隣接セル情報を個別に適用する、たとえば無線端末装置２０２に対する測定要求またはハンドオーバ先の検索において隣接セル情報を個別に使用する。
【０２１１】
すなわち、各種情報取得部１１は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１が、オープンアクセスモード、クローズドアクセスモードおよびハイブリッドモードのいずれで動作しているかを示し、かつ無線端末装置２０２、および対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１がそれぞれ属する加入者グループを示す属性情報を取得する。
【０２１２】
そして、隣接セル情報生成部１２は、無線基地局装置１０１がオープンアクセスモード、クローズドアクセスモードおよびハイブリッドモードのいずれで動作するか、ならびに無線端末装置２０２の属する加入者グループと無線基地局装置１０１の属する加入者グループとの異同に基づいて、隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０２１３】
なお、クローズドアクセスモードで動作するフェムト基地局であり、かつ無線端末装置２０２がノンメンバーとなるフェムト基地局については、当該無線端末装置２０２は通信を行なえないことから、対応の隣接セル情報から除外する。すなわち、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１の中から、クローズドアクセスモードで動作し、かつ対応の無線端末装置２０２と異なる加入者グループに属する無線基地局装置１０１を少なくとも除いた隣接セル情報を生成する。
【０２１４】
次に、無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報について具体的に説明する。ここでは、無線端末装置２０２ａのＣＳＧ ＩＤが８８８８であり、無線端末装置２０２ｂのＣＳＧ ＩＤが７７７７である場合について説明する。
【０２１５】
図１４は、無線基地局装置の生成する隣接セル情報の一例を示す図である。各無線基地局装置のアクセスモードおよびＣＳＧ ＩＤは、本発明の第１の実施の形態に係る通信システムと同様である。
【０２１６】
図１４を参照して、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２ｂ用の隣接セル情報を生成する。すなわち、対象基地局である無線基地局装置１０１Ａがハイブリッドモードで動作する場合において、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局において登録された無線端末装置２０２ごとに隣接セル情報を生成する。
【０２１７】
このように、無線基地局装置１０１Ａのメンバーとなる無線端末装置用の隣接セル情報を生成する構成では、メンバーである無線端末装置のＣＳＧ ＩＤが無線基地局装置１０１Ａにおいて既知であることから、無線端末装置ごとの隣接セル情報を容易に生成することが可能となる。また、登録ユーザの所有する無線端末装置用の隣接セル情報を生成することにより、当該無線端末装置の電力消費を低減することができるため、適切な通信サービスを提供することができる。
【０２１８】
具体的には、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２ｂ用の隣接セル情報として、セルＩＤ２２２２（無線基地局装置１０１Ｂ）、およびセルＩＤ４４４４（無線基地局装置１０１Ｄ）を示す隣接セル情報を生成する。
【０２１９】
ここで、無線端末装置２０２ｂは、無線基地局装置１０１Ｅにとってノンメンバーになることから、無線端末装置２０２ｂ用の隣接セル情報から、無線基地局装置１０１Ｅは除外されている。
【０２２０】
同様に、対象基地局がクローズドアクセスモードで動作する場合において、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局において登録された無線端末装置２０２ごとに隣接セル情報を生成する構成であってもよい。
【０２２１】
このような構成であっても、無線基地局装置１０１Ａのメンバーとなる無線端末装置用の隣接セル情報を生成する構成では、メンバーである無線端末装置のＣＳＧ ＩＤが無線基地局装置１０１Ａにおいて既知であることから、無線端末装置ごとの隣接セル情報を容易に生成することが可能となる。また、登録ユーザの所有する無線端末装置用の隣接セル情報を生成することにより、当該無線端末装置２０２の電力消費を低減することができるため、適切な通信サービスを提供することができる。
【０２２２】
図１５は、無線基地局装置の生成する隣接セル情報の一例を示す図である。
図１５を参照して、無線基地局装置１０１Ａは、無線端末装置２０２ａ用の隣接セル情報として、セルＩＤ５５５５（無線基地局装置１０１Ｅ）、セルＩＤ２２２２（無線基地局装置１０１Ｂ）、およびセルＩＤ３３３３（無線基地局装置１０１Ｃ）を示す隣接セル情報を生成する。
【０２２３】
このように、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局である無線基地局装置１０１Ａのノンメンバーとなる無線端末装置２０２ａ用の隣接セル情報を生成する構成であってもよい。
【０２２４】
ここで、図１４および図１５に示す隣接セル情報では、前述の（１）〜（４）の優先順位に従い、無線基地局装置１０１が順番に並べられている。
【０２２５】
また、電力測定指示部１４は、対象基地局において登録された無線端末装置２０２に対して、全周波数検索、すなわち対象基地局以外の無線基地局装置１０１から送信される無線信号の受信レベルをすべての周波数において測定することを指示する。
【０２２６】
すなわち、無線基地局装置１０１Ａがフェムト基地局であり、かつハイブリッドモードまたはクローズドアクセスモードで動作する場合には、無線基地局装置１０１Ａは、登録された無線端末装置２０２に対して、他の無線基地局装置１０１から送信される無線信号の受信レベルをすべての周波数において測定することを指示する。
【０２２７】
そして、各種情報取得部１１は、無線端末装置２０２ごとに、全周波数検索の結果を示す測定情報を取得する。
【０２２８】
このように、全周波数検索の結果を用いて隣接セル情報を生成する構成により、適切な隣接セル情報を早期に構築することが可能となり、無線通信システム３０１における動作の効率化を早期に実現することができる。また、メンバーの無線端末装置２０２に対して全周波数検索を指示する構成により、隣接セル情報を生成するための情報を効率的に取得することが可能となる。
【０２２９】
図１６は、無線基地局装置の生成する総合隣接セル情報の一例を示す図である。
図１６を参照して、無線基地局装置１０１Ａは、総合隣接セル情報として、セルＩＤ２２２２（無線基地局装置１０１Ｂ）、セルＩＤ３３３３（無線基地局装置１０１Ｃ）、セルＩＤ４４４４（無線基地局装置１０１Ｄ）、およびセルＩＤ５５５５（無線基地局装置１０１Ｅ）を示す隣接セル情報を生成する。
【０２３０】
以上のように、本発明の第２の実施の形態に係る無線通信システムでは、各種情報取得部１１は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１が、オープンアクセスモード、クローズドアクセスモードおよびハイブリッドモードのいずれで動作しているかを示し、かつ無線端末装置２０２、および対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１がそれぞれ属する加入者グループを示す属性情報を取得する。そして、隣接セル情報生成部１２は、無線基地局装置１０１がオープンアクセスモード、クローズドアクセスモードおよびハイブリッドモードのいずれで動作するか、ならびに無線端末装置２０２の属する加入者グループと無線基地局装置１０１の属する加入者グループとの異同に基づいて、隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０２３１】
このように、隣接セル情報を生成するための情報として、各無線基地局装置１０１のアクセスモードおよびＣＳＧ ＩＤを示す属性情報を取得する構成により、無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報を適切に生成することができる。
【０２３２】
また、本発明の第２の実施の形態に係る無線通信システムでは、隣接セル情報生成部１２は、対象基地局以外の複数の無線基地局装置１０１の中から、クローズドアクセスモードで動作し、かつ対応の無線端末装置２０２と異なる加入者グループに属する無線基地局装置１０１を少なくとも除いた無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報を生成する。
【０２３３】
このような構成により、無線端末装置２０２が利用できない無線リソースである無線基地局装置１０１を隣接セル情報から適切に削除することができる。
【０２３４】
なお、本発明の第１の実施の形態に係る無線通信システムでは、無線基地局装置１０１が他の無線基地局装置１０１からの情報に基づいて無線基地局装置１０１の属性情報を取得する構成であるとしたが、これに限定するものではない。無線端末装置２０２が無線基地局装置１０１からの報知情報等によって当該無線基地局装置１０１の属性を取得することが可能である場合には、無線端末装置２０２が、取得した属性を対象基地局に報告し、対象基地局がこの報告に基づいて他の無線基地局装置１０１の属性情報を取得する構成であってもよい。
【０２３５】
その他の構成および動作は第１の実施の形態に係る無線通信システムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【０２３６】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【０２３７】
＜第３の実施の形態＞
本実施の形態は、第１および第２の実施の形態に係る無線通信システムと比べて無線基地局装置の代わりにゲートウェイ装置が隣接セル処理装置として動作する無線通信システムに関する。以下で説明する内容以外は第１および第２の実施の形態に係る無線通信システムと同様である。
【０２３８】
図１７は、本発明の第３の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
図１７を参照して、無線通信システム３０２は、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｂ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅと、ゲートウェイ装置２０３と、上位装置２０５とを備える。
【０２３９】
無線通信システム３０２では、無線通信システム３０１と同様に、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅがフェムト基地局であり、無線基地局装置１０１Ｂがマクロ基地局である。
【０２４０】
以下、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅの各々をフェムト基地局１０１と称する場合がある。また、図１７では、１つのマクロ基地局と、４つのフェムト基地局とを代表的に示しているが、さらに多数のマクロ基地局およびフェムト基地局が設けられてもよい。
【０２４１】
ゲートウェイ装置２０３は、無線基地局装置１０１Ａ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅとコアネットワーク２０４における上位装置２０５との間で送信される種々の通信データの中継処理等を行なう。
【０２４２】
図１８は、本発明の第３の実施の形態に係るゲートウェイ装置の構成を示す図である。
図１８を参照して、ゲートウェイ装置２０３は、基地局側送受信部８１と、データ処理部８２と、コアネットワーク側送受信部８３とを備える。
【０２４３】
基地局側送受信部８１は、データ処理部８２から受けた通信データを各フェムト基地局１０１へ送信し、また、各フェムト基地局１０１から受信した通信データをデータ処理部８２へ出力する。
【０２４４】
データ処理部８２は、基地局側送受信部８１から受けた通信データに種々の処理を行ない、コアネットワーク側送受信部８３へ出力し、また、コアネットワーク側送受信部８３から受けた通信データに種々の処理を行ない、基地局側送受信部８１へ出力する。
【０２４５】
コアネットワーク側送受信部８３は、データ処理部８２から受けた通信データをコアネットワーク２０４における上位装置２０５へ出力し、また、コアネットワーク２０４における上位装置２０５から受信した通信データをデータ処理部８２へ出力する。
【０２４６】
本発明の第３の実施の形態に係る無線通信システムでは、ゲートウェイ装置２０３が、その配下の各フェムト基地局を監視して隣接セル情報の最適化を行なう。
【０２４７】
図１９は、本発明の第３の実施の形態に係るゲートウェイ装置におけるデータ処理部の構成を示す図である。
【０２４８】
図１９を参照して、データ処理部８２は、各種情報取得部２１と、隣接セル情報生成部２２と、隣接セル情報送信部２３とを含む。
【０２４９】
各種情報取得部２１は、隣接セル情報の生成に必要な種々の情報を、各フェムト基地局１０１からの情報に基づいて取得する。
【０２５０】
隣接セル情報生成部２２は、各種情報取得部２１によって取得された各種情報に基づいて、対象基地局以外の無線通信システム３０２における複数の無線基地局装置のうち、対象基地局の周辺に設置された１または複数の無線基地局装置を示す隣接セル情報を無線端末装置２０２ごとに生成する。
【０２５１】
隣接セル情報送信部２３は、隣接セル情報生成部２２によって生成された無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報を対象基地局へ送信する。これら無線端末装置２０２ごとの隣接セル情報は、対象基地局から対応の無線端末装置２０２へ通知される。
【０２５２】
隣接セル情報生成部２２による隣接セル情報の生成方法の内容は、本発明の第１および第２の実施の形態に係る隣接セル情報生成部１２による隣接セル情報の生成方法とたとえば同様である。
【０２５３】
図２０は、本発明の第３の実施の形態に係るゲートウェイ装置が隣接セル情報を通知する方法を示す図である。
【０２５４】
図２０を参照して、ゲートウェイ装置２０３は、フェムト基地局１０１Ａ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅに対して、それぞれ対応の隣接セル情報を通知する。
【０２５５】
なお、本発明の第３の実施の形態に係るゲートウェイ装置は、無線基地局装置と別個に設けられる構成であるとしたが、これに限定するものではない。ゲートウェイ装置２０３が、無線通信システム３０２における各無線基地局装置のうちの少なくとも１つに含まれる構成であってもよい。この場合、ゲートウェイ装置２０３を搭載する無線基地局装置は、自己の形成するセルに存在する無線端末装置２０２、および他の無線基地局装置からの情報に基づいて各種情報を取得する。そして、ゲートウェイ装置２０３は、生成した隣接セル情報を、自己の形成するセルに存在する無線端末装置２０２、および他の無線基地局装置へ通知する。
【０２５６】
また、本発明の第１〜第３の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、隣接セル情報生成部は、無線基地局装置から送信される無線信号の測定結果を示す測定情報、無線端末装置のハンドオーバ動作履歴を示すハンドオーバ情報、および無線基地局装置の属性を示す属性情報等の組み合わせに基づいて隣接セル情報を生成する構成であってもよい。
【０２５７】
また、本発明の第３の実施の形態に係るゲートウェイ装置と同様に、本発明の第１および第２の実施の形態において、無線基地局装置１０１の代わりに上位装置２０５が隣接セル処理装置として動作する構成であってもよい。
【０２５８】
その他の構成および動作は第１および第２の実施の形態に係る無線通信システムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【０２５９】
なお、無線基地局装置が複数のセクタを有している場合、すなわち１つのセルが複数のセクタに分割されている場合には、隣接セル情報において１つのセクタを１つの無線基地局装置として扱えばよく、本発明は、このような場合にも適用される。
【０２６０】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【０２６１】
１１，２１ 各種情報取得部
１２，２２ 隣接セル情報生成部
１３，２３ 隣接セル情報送信部
１４ 電力測定指示部
８１ 基地局側送受信部
８２ データ処理部
８３ コアネットワーク側送受信部
９１ アンテナ
９２ サーキュレータ
９３ 無線受信部
９４ 無線送信部
９５ 信号処理部
９６ 受信信号処理部
９７ 送信信号処理部
１０１Ａ，１０１Ｂ，１０１Ｃ，１０１Ｄ，１０１Ｅ 無線基地局装置
２０２ 無線端末装置
２０３ ゲートウェイ装置
２０５ 上位装置
３０１，３０２ 無線通信システム
ＦＣＡ，ＦＣＣ，ＦＣＤ，ＦＣＥ フェムトセル
ＭＣＢ マクロセル
【特許請求の範囲】
【請求項１】
無線端末装置が移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な通信システムにおける隣接セル処理装置であって、
対象の前記無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置のうち、前記対象無線基地局装置の周辺に配置された１または複数の前記無線基地局装置を示す隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成するための隣接セル情報生成部と、
前記隣接セル情報生成部によって生成された前記隣接セル情報を対応の前記無線端末装置または前記対象無線基地局装置へ送信するための隣接セル情報送信部とを備える、隣接セル処理装置。
【請求項２】
前記隣接セル処理装置は、さらに、
前記隣接セル情報を生成するための情報を、前記無線端末装置ごとに、前記無線端末装置および前記無線基地局装置の少なくとも一方からの情報に基づいて取得するための情報取得部を備え、
前記隣接セル情報生成部は、前記情報取得部によって取得された前記無線端末装置ごとの前記情報に基づいて、前記隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成する、請求項１に記載の隣接セル処理装置。
【請求項３】
前記情報取得部は、対象の前記無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置から送信される無線信号を前記無線端末装置が測定した結果を示す測定情報を、前記無線端末装置ごとに、前記無線端末装置および前記無線基地局装置の少なくとも一方からの情報に基づいて取得し、
前記隣接セル情報生成部は、前記情報取得部によって取得された前記無線端末装置ごとの前記測定情報に基づいて、前記隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成する、請求項２に記載の隣接セル処理装置。
【請求項４】
前記情報取得部は、前記無線端末装置の移動動作履歴を示す移動情報を、前記無線端末装置ごとに、前記無線端末装置および前記無線基地局装置の少なくとも一方からの情報に基づいて取得し、
前記隣接セル情報生成部は、前記情報取得部によって取得された前記無線端末装置ごとの前記移動情報に基づいて、前記隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成する、請求項２に記載の隣接セル処理装置。
【請求項５】
前記対象無線基地局装置以外の複数の無線基地局装置のうちの少なくともいずれか１つは、すべての前記無線端末装置に対して通信を許可するオープンアクセスモードで動作するか、設定された加入者グループに属しており、同じ前記加入者グループに属する前記無線端末装置に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作するか、または設定された加入者グループに属しており、同じ前記加入者グループに属する前記無線端末装置および異なる前記加入者グループに属する前記無線端末装置の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作するかを設定可能であり、
前記情報取得部は、前記対象無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置が、前記オープンアクセスモード、前記クローズドアクセスモードおよび前記ハイブリッドモードのいずれで動作しているかを示し、かつ前記無線端末装置、および前記対象無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置がそれぞれ属する前記加入者グループを示す属性情報を取得し、
前記隣接セル情報生成部は、前記無線基地局装置が前記オープンアクセスモード、前記クローズドアクセスモードおよび前記ハイブリッドモードのいずれで動作するか、ならびに前記無線端末装置の属する前記加入者グループと前記無線基地局装置の属する前記加入者グループとの異同に基づいて、前記隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成する、請求項２に記載の隣接セル処理装置。
【請求項６】
前記隣接セル情報生成部は、前記対象無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置の中から、前記クローズドアクセスモードで動作し、かつ対応の前記無線端末装置と異なる前記加入者グループに属する前記無線基地局装置を少なくとも除いた前記隣接セル情報を生成する、請求項５に記載の隣接セル処理装置。
【請求項７】
前記対象無線基地局装置は、前記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された前記無線端末装置および登録されていない前記無線端末装置の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作し、
前記隣接セル情報生成部は、前記対象無線基地局装置において登録された前記無線端末装置ごとに前記隣接セル情報を生成する、請求項１から６のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項８】
前記対象無線基地局装置は、前記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された前記無線端末装置に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作し、
前記隣接セル情報生成部は、前記対象無線基地局装置において登録された前記無線端末装置ごとに前記隣接セル情報を生成する、請求項１から６のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項９】
前記対象無線基地局装置は、前記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された前記無線端末装置および登録されていない前記無線端末装置の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作するか、または前記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された前記無線端末装置に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作し、
前記隣接セル処理装置は、さらに、
前記対象無線基地局装置において登録された前記無線端末装置に対して、前記対象無線基地局装置以外の前記無線基地局装置から送信される無線信号の受信レベルを複数の周波数において測定することを指示するための電力測定指示部と、
前記無線端末装置の測定結果を示す前記無線端末装置ごとの測定情報を取得するための情報取得部とを備え、
前記隣接セル情報生成部は、前記情報取得部によって取得された前記無線端末装置ごとの前記測定情報に基づいて、前記隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成する、請求項１に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１０】
前記隣接セル情報生成部は、さらに、前記対象無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置のうち、前記対象無線基地局装置の周辺に配置された１または複数の前記無線基地局装置を示す、複数の無線端末装置に通知するための総合隣接セル情報を生成する、請求項１から９のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１１】
前記隣接セル情報生成部は、さらに、生成した前記無線端末装置ごとの前記隣接セル情報に基づいて前記総合隣接セル情報を生成する、請求項１０に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１２】
前記隣接セル情報生成部は、生成した前記無線端末装置ごとの前記隣接セル情報がそれぞれ示す１または複数の前記無線基地局装置を含む総合隣接セル情報を生成する、請求項１１に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１３】
前記隣接セル情報送信部は、前記対象無線基地局装置と通信可能な複数の無線端末装置に前記総合隣接セル情報を報知する、請求項１０から１２のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１４】
前記対象無線基地局装置は、前記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された前記無線端末装置および登録されていない前記無線端末装置の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作するか、または前記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された前記無線端末装置に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作し、
前記隣接セル情報送信部は、前記対象無線基地局装置において登録されていない前記無線端末装置へ前記総合隣接セル情報を送信する、請求項１０から１２のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１５】
前記隣接セル情報生成部は、対象の前記無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置のうち、前記対象無線基地局装置と通信する前記無線端末装置の移動先候補となる１または複数の前記無線基地局装置を示す隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成する、請求項１から１４のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１６】
前記隣接セル情報生成部は、対象の前記無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置のうち、前記無線端末装置の測定対象となる１または複数の前記無線基地局装置を示す隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成する、請求項１から１４のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１７】
前記隣接セル情報生成部は、対象の前記無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置のうち、前記無線端末装置が受信レベルを測定する対象となる無線信号を送信する１または複数の前記無線基地局装置を示す隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成する、請求項１から１６のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１８】
前記隣接セル情報生成部は、対象の前記無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置のうち、前記対象無線基地局装置と通信中でない前記無線端末装置が受信レベルを測定する対象となる無線信号を送信する１または複数の前記無線基地局装置を示す隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成する、請求項１７に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１９】
前記対象無線基地局装置はフェムト基地局である、請求項１から１８のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項２０】
前記隣接セル処理装置は、１または複数の前記無線基地局装置に含まれる、請求項１から１９のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項２１】
無線端末装置が移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な通信システムにおける隣接セル処理方法であって、
対象の前記無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置のうち、前記対象無線基地局装置の周辺に配置された１または複数の前記無線基地局装置を示す隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成するステップと、
生成した前記隣接セル情報を対応の前記無線端末装置または前記対象無線基地局装置へ送信するステップとを含む、隣接セル処理方法。
【請求項１】
無線端末装置が移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な通信システムにおける隣接セル処理装置であって、
対象の前記無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置のうち、前記対象無線基地局装置の周辺に配置された１または複数の前記無線基地局装置を示す隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成するための隣接セル情報生成部と、
前記隣接セル情報生成部によって生成された前記隣接セル情報を対応の前記無線端末装置または前記対象無線基地局装置へ送信するための隣接セル情報送信部とを備える、隣接セル処理装置。
【請求項２】
前記隣接セル処理装置は、さらに、
前記隣接セル情報を生成するための情報を、前記無線端末装置ごとに、前記無線端末装置および前記無線基地局装置の少なくとも一方からの情報に基づいて取得するための情報取得部を備え、
前記隣接セル情報生成部は、前記情報取得部によって取得された前記無線端末装置ごとの前記情報に基づいて、前記隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成する、請求項１に記載の隣接セル処理装置。
【請求項３】
前記情報取得部は、対象の前記無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置から送信される無線信号を前記無線端末装置が測定した結果を示す測定情報を、前記無線端末装置ごとに、前記無線端末装置および前記無線基地局装置の少なくとも一方からの情報に基づいて取得し、
前記隣接セル情報生成部は、前記情報取得部によって取得された前記無線端末装置ごとの前記測定情報に基づいて、前記隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成する、請求項２に記載の隣接セル処理装置。
【請求項４】
前記情報取得部は、前記無線端末装置の移動動作履歴を示す移動情報を、前記無線端末装置ごとに、前記無線端末装置および前記無線基地局装置の少なくとも一方からの情報に基づいて取得し、
前記隣接セル情報生成部は、前記情報取得部によって取得された前記無線端末装置ごとの前記移動情報に基づいて、前記隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成する、請求項２に記載の隣接セル処理装置。
【請求項５】
前記対象無線基地局装置以外の複数の無線基地局装置のうちの少なくともいずれか１つは、すべての前記無線端末装置に対して通信を許可するオープンアクセスモードで動作するか、設定された加入者グループに属しており、同じ前記加入者グループに属する前記無線端末装置に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作するか、または設定された加入者グループに属しており、同じ前記加入者グループに属する前記無線端末装置および異なる前記加入者グループに属する前記無線端末装置の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作するかを設定可能であり、
前記情報取得部は、前記対象無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置が、前記オープンアクセスモード、前記クローズドアクセスモードおよび前記ハイブリッドモードのいずれで動作しているかを示し、かつ前記無線端末装置、および前記対象無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置がそれぞれ属する前記加入者グループを示す属性情報を取得し、
前記隣接セル情報生成部は、前記無線基地局装置が前記オープンアクセスモード、前記クローズドアクセスモードおよび前記ハイブリッドモードのいずれで動作するか、ならびに前記無線端末装置の属する前記加入者グループと前記無線基地局装置の属する前記加入者グループとの異同に基づいて、前記隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成する、請求項２に記載の隣接セル処理装置。
【請求項６】
前記隣接セル情報生成部は、前記対象無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置の中から、前記クローズドアクセスモードで動作し、かつ対応の前記無線端末装置と異なる前記加入者グループに属する前記無線基地局装置を少なくとも除いた前記隣接セル情報を生成する、請求項５に記載の隣接セル処理装置。
【請求項７】
前記対象無線基地局装置は、前記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された前記無線端末装置および登録されていない前記無線端末装置の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作し、
前記隣接セル情報生成部は、前記対象無線基地局装置において登録された前記無線端末装置ごとに前記隣接セル情報を生成する、請求項１から６のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項８】
前記対象無線基地局装置は、前記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された前記無線端末装置に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作し、
前記隣接セル情報生成部は、前記対象無線基地局装置において登録された前記無線端末装置ごとに前記隣接セル情報を生成する、請求項１から６のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項９】
前記対象無線基地局装置は、前記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された前記無線端末装置および登録されていない前記無線端末装置の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作するか、または前記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された前記無線端末装置に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作し、
前記隣接セル処理装置は、さらに、
前記対象無線基地局装置において登録された前記無線端末装置に対して、前記対象無線基地局装置以外の前記無線基地局装置から送信される無線信号の受信レベルを複数の周波数において測定することを指示するための電力測定指示部と、
前記無線端末装置の測定結果を示す前記無線端末装置ごとの測定情報を取得するための情報取得部とを備え、
前記隣接セル情報生成部は、前記情報取得部によって取得された前記無線端末装置ごとの前記測定情報に基づいて、前記隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成する、請求項１に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１０】
前記隣接セル情報生成部は、さらに、前記対象無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置のうち、前記対象無線基地局装置の周辺に配置された１または複数の前記無線基地局装置を示す、複数の無線端末装置に通知するための総合隣接セル情報を生成する、請求項１から９のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１１】
前記隣接セル情報生成部は、さらに、生成した前記無線端末装置ごとの前記隣接セル情報に基づいて前記総合隣接セル情報を生成する、請求項１０に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１２】
前記隣接セル情報生成部は、生成した前記無線端末装置ごとの前記隣接セル情報がそれぞれ示す１または複数の前記無線基地局装置を含む総合隣接セル情報を生成する、請求項１１に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１３】
前記隣接セル情報送信部は、前記対象無線基地局装置と通信可能な複数の無線端末装置に前記総合隣接セル情報を報知する、請求項１０から１２のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１４】
前記対象無線基地局装置は、前記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された前記無線端末装置および登録されていない前記無線端末装置の両方に対して通信を許可するハイブリッドモードで動作するか、または前記無線端末装置を登録することが可能であり、登録された前記無線端末装置に対して通信を許可するクローズドアクセスモードで動作し、
前記隣接セル情報送信部は、前記対象無線基地局装置において登録されていない前記無線端末装置へ前記総合隣接セル情報を送信する、請求項１０から１２のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１５】
前記隣接セル情報生成部は、対象の前記無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置のうち、前記対象無線基地局装置と通信する前記無線端末装置の移動先候補となる１または複数の前記無線基地局装置を示す隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成する、請求項１から１４のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１６】
前記隣接セル情報生成部は、対象の前記無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置のうち、前記無線端末装置の測定対象となる１または複数の前記無線基地局装置を示す隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成する、請求項１から１４のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１７】
前記隣接セル情報生成部は、対象の前記無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置のうち、前記無線端末装置が受信レベルを測定する対象となる無線信号を送信する１または複数の前記無線基地局装置を示す隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成する、請求項１から１６のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１８】
前記隣接セル情報生成部は、対象の前記無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置のうち、前記対象無線基地局装置と通信中でない前記無線端末装置が受信レベルを測定する対象となる無線信号を送信する１または複数の前記無線基地局装置を示す隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成する、請求項１７に記載の隣接セル処理装置。
【請求項１９】
前記対象無線基地局装置はフェムト基地局である、請求項１から１８のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項２０】
前記隣接セル処理装置は、１または複数の前記無線基地局装置に含まれる、請求項１から１９のいずれか１項に記載の隣接セル処理装置。
【請求項２１】
無線端末装置が移動動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な通信システムにおける隣接セル処理方法であって、
対象の前記無線基地局装置以外の複数の前記無線基地局装置のうち、前記対象無線基地局装置の周辺に配置された１または複数の前記無線基地局装置を示す隣接セル情報を前記無線端末装置ごとに生成するステップと、
生成した前記隣接セル情報を対応の前記無線端末装置または前記対象無線基地局装置へ送信するステップとを含む、隣接セル処理方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【公開番号】特開２０１２−７００７５（Ｐ２０１２−７００７５Ａ）
【公開日】平成２４年４月５日（２０１２．４．５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−２１１０７０（Ｐ２０１０−２１１０７０）
【出願日】平成２２年９月２１日（２０１０．９．２１）
【出願人】（０００００２１３０）住友電気工業株式会社 (12,747)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年４月５日（２０１２．４．５）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年９月２１日（２０１０．９．２１）
【出願人】（０００００２１３０）住友電気工業株式会社 (12,747)
【Ｆターム（参考）】
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