説明

集合プリント配線基板、プリント配線基板装置、プリントヘッドおよび画像形成装置

【課題】個々のプリント配線基板への電子部品の固定に悪影響を及ぼすことなく、かつ、集合プリント配線基板の両面から視認可能な表示部を備えた集合プリント配線基板等を提供する。
【解決手段】透光性を有する絶縁基材の少なくとも表面17に金属箔層3からなる導体パターンが形成されたプリント配線基板2を複数連結した集合プリント配線基板1であって、個々のプリント配線基板2には、プリント配線基板2の良否判断結果を表示する表示部7が設けられ、表示部7におけるプリント配線基板2の肉厚方向(Z方向)は、絶縁基材のみからなり、表示部7の周囲は、少なくとも金属箔層またはシルク層が形成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプリント配線基板(ベアボード)を連結した集合プリント配線基板等に関する。
【背景技術】
【0002】
比較的小さなプリント配線基板に電子部品を固定(実装)してプリント配線基板装置を製造する場合は、プリント配線基板の位置決め、搬送等に時間を要し、製造効率が低下する。このため、従来より、プリント配線基板を互いに連結片等により連結した集合プリント配線基板が用いられている(例えば、特許文献1〜10参照)。
【0003】
この集合プリント配線基板は、製造段階において1つの基板として扱い、その表面および/または裏面に形成されたパッド等に電子部品を固定するのが一般的である。つまり、集合プリント配線基板は、電子部品を固定するに際し、そのままSMD(Surface Mount Device)リフロー、COB(Chip On Board)キュア等の加熱冷却工程に流される。
【0004】
その後、集合プリント配線基板からプリント配線基板を切り離して(分割して)各プリント配線基板装置の検査を行う、または集合プリント配線基板のまま各プリント配線基板装置の検査を行ない集合プリント配線基板からプリント配線基板を分割することにより、完成品としてのプリント配線基板装置ができあがる。
【0005】
前記したプリント配線基板装置の製造で用いられる集合プリント配線基板は、電子部品を固定する前の集合プリント配線基板の検査において、一部のプリント配線基板に導体パターンが断線している等の不具合が発見される場合がある。この場合、かかる不具合を有する(不良の)プリント配線基板についても電子部品を固定すると、電子部品が無駄になるため、不良のプリント配線基板を見分ける各種手段が提案されている(例えば、特許文献9および10参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平04−320597号公報
【特許文献2】特開平11−176974号公報
【特許文献3】特開平11−163482号公報
【特許文献4】特開平02−031490号公報
【特許文献5】特開平03−250800号公報
【特許文献6】特開平06−112600号公報
【特許文献7】特開平06−169137号公報
【特許文献8】特開2009−283959号公報
【特許文献9】特開平09−214080号公報
【特許文献10】特開平11−191668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献9には、集合プリント配線基板に切欠き部を設け、当該切欠き部に対して押圧により切断可能な連結部で連結され、導体パターンの良否判断結果を表示するための表示部を備えた技術が記載されている。しかし、表示部を押圧により切断すると、集合プリント配線基板の切断面からガラスエポキシ等の基材の粉が発生するという問題がある。
【0008】
かかる問題についてさらに詳述すると、前記したように、集合プリント配線基板を用いてプリント配線基板装置を製造する場合は、集合プリント配線基板のまま電子部品を個々のプリント配線基板に固定する。このため、電子部品実装装置により集合プリント配線基板に電子部品を位置決め固定する際に集合プリント配線基板に生じる振動により、切断面から基材の粉が固定済みの電子部品の表面に飛び散る場合がある。そうすると、電子部品として発光素子または受光素子を採用した場合は、基材の粉が発光素子または受光素子の光軸を遮り、プリント配線基板装置としての不具合を誘発することになる。
【0009】
また、特許文献9には、集合プリント配線基板の所定の位置に設けた貫通穴をシールによって塞ぐことにより良品または不良品であることを識別する表示部を備えた技術が記載されている。しかし、集合プリント配線基板を構成する個々のプリント配線基板に貫通穴をあけると、少なくとも貫通穴近傍のプリント配線基板の平面度が悪化するという問題がある。かかる問題を有する集合プリント配線基板は、個々のプリント配線基板上に高精度に電子部品を固定しなければならないプリント配線基板装置においては、採用することができない。
【0010】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであって、個々のプリント配線基板への電子部品の固定に悪影響を及ぼすことなく、かつ、集合プリント配線基板の両面から視認可能な表示部を備えた集合プリント配線基板等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(第1発明)
第1発明は、透光性を有する絶縁基材の少なくとも表面に金属箔層からなる導体パターンが形成されたプリント配線基板を複数連結した集合プリント配線基板において、個々のプリント配線基板には、プリント配線基板の良否判断結果を表示する表示部が設けられ、表示部におけるプリント配線基板の肉厚方向は、絶縁基材のみからなり、表示部の周囲は、少なくとも金属箔層またはシルク層が形成されたことを特徴とする。
【0012】
かかる構成により、電子部品を固定する前の集合プリント配線基板について、導体パターン等の検査を行ない、特定のプリント配線基板の不良が発見された際、当該不良のプリント配線基板の表示部を、表面または裏面の一方の面から油性マジック等を用いて塗りつぶす(マーキングする)ことにより、両面(表面および裏面)から不良であることを確認できる。つまり、表面から表示部を油性マジック等で塗りつぶせば、裏面を塗りつぶすことなく裏面からも不良のプリント配線基板であることを確認できる。
【0013】
また、裏面から表示部を油性マジック等で塗りつぶせば、表面を塗りつぶすことなく表面からも不良のプリント配線基板であることを確認できる。このため、プリント配線基板装置の製造工数を削減でき、プリント配線基板装置を安価に製造できる。さらに、表示部はプリント配線基板の絶縁基材からなるので、表示部の存在が個々のプリント配線基板の平面度に影響を与えることが無く、表示部から絶縁基材の粉が発生することも無い。
【0014】
(第2発明)
第2発明は、透光性を有する絶縁基材の少なくとも表面に金属箔層からなる導体パターンが形成されたプリント配線基板を複数連結した集合プリント配線基板において、集合プリント配線基板は、捨て基板がさらに連結されており、捨て基板には、個々のプリント配線基板と対応する位置に、プリント配線基板の良否判断結果を表示する表示部が設けられ、表示部における捨て基板の肉厚方向は、絶縁基材のみからなり、表示部の周囲は、少なくとも金属箔層またはシルク層が形成されたことを特徴とする。
【0015】
かかる構成により、電子部品を固定する前の集合プリント配線基板について、導体パターン等の検査を行ない、特定のプリント配線基板の不良が発見された際、捨て基板における当該不良のプリント配線基板と対応する位置に形成された表示部を、表面または裏面の一方の面から油性マジック等を用いて塗りつぶすことにより、両面(表面および裏面)から不良であることを確認できる。つまり、捨て基板の表面から表示部を油性マジック等で塗りつぶせば、捨て基板の裏面を塗りつぶすことなく捨て基板の裏面からも不良のプリント配線基板であることを確認できる。
【0016】
また、捨て基板の裏面から表示部を油性マジック等で塗りつぶせば、捨て基板の表面を塗りつぶすことなく捨て基板の表面からも不良のプリント配線基板であることを確認できる。このため、プリント配線基板装置の製造工数を削減でき、プリント配線基板装置を安価にできる。さらに、捨て基板の表示部はプリント配線基板の絶縁基材からなるので、捨て基板の表示部の存在が個々のプリント配線基板の平面度に影響を与えることが無く、捨て基板の表示部から絶縁基材の粉が発生することも無い。
【0017】
(第3発明)
第3発明に係るプリント配線基板装置は、第1発明または第2発明の集合プリント配線基板に複数の電子部品を固定し、連結を切り離して得たことを特徴とする。
(第4発明)
第4発明に係るプリントヘッドは、電子部品が発光素子である第3発明のプリント配線基板装置と、複数のロッドレンズを整列配置したレンズアレイとを備え、レンズアレイの一方のレンズ面と発光素子が対向するように、レンズアレイおよびプリント配線基板装置をハウジングに固定したことを特徴とする。
(第5発明)
第5発明に係る画像形成装置は、表面に静電潜像を形成する感光体と、感光体と対向した第4発明のプリントヘッドとを備えたことを特徴とする。
【0018】
第3発明に係るプリント配線基板装置、第4発明に係るプリントヘッドおよび第5発明に係る画像形成装置は、第1発明または第2発明に係る集合プリント配線基板を用いているので、前記した第1発明または第2発明の効果を奏している。このため、各装置を高精度かつ安価に製造できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、表示部へのマーキングおよび不良基板の確認を簡略化できるので、プリント配線基板装置を安価に製造できる。また、表示部はプリント配線基板の絶縁基材からなるので、表示部の存在が個々のプリント配線基板の平面度に影響を与えることが無く、表示部から絶縁基材の粉が発生することも無い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】集合プリント配線基板の平面図(実施例1)
【図2】図1の集合プリント配線基板の部分Aの部分拡大図(実施例1)
【図3】集合プリント配線基板の背面図(実施例1)
【図4】図3の集合プリント配線基板の部分Eの部分拡大図(実施例1)
【図5】図2おけるD−D断面図(実施例1)
【図6】表示部にマークをした状態を示す部分Aの部分拡大図(実施例1)
【図7】図6の状態における部分Eの部分拡大図(実施例1)
【図8】電子部品を固定した集合プリント配線基板の平面図(実施例1)
【図9】電子部品を固定した集合プリント配線基板の端部の斜視図(実施例1)
【図10】プリント配線基板装置の平面図(実施例1)
【図11】プリント配線基板装置の端部(図10の部分B)の拡大斜視図(実施例1)
【図12】プリント配線基板装置の側面図(実施例1)
【図13】プリントヘッドの平面図(実施例1)
【図14】プリントヘッドの端部の斜視図(実施例1)
【図15】プリントヘッドの断面図(実施例1)
【図16】画像形成装置の構成を説明するための図(実施例1)
【図17】プリントヘッドと感光体の位置関係を示す図(実施例1)
【図18】集合プリント配線基板の表面の表示部およびその近傍の部分拡大図(実施例2)
【図19】集合プリント配線基板の裏面の表示部およびその近傍の部分拡大図(実施例2)
【図20】表示部およびその近傍の断面図
【図21】表示部およびその近傍の断面図
【図22】表示部およびその近傍の断面図
【図23】集合プリント配線基板の平面図(実施例3)
【図24】集合プリント配線基板の平面図(実施例4)
【図25】集合プリント配線基板の平面図
【図26】図25の集合プリント配線基板の連結部分を側面からみた(図25の矢視F)部分拡大図
【図27】図2おけるH−H断面図(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に図面を用いて、本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
本発明の一実施例を、図1乃至図17を用いて説明する。
図1は集合プリント配線基板の平面図(ソルダーレジスト8の図示を省略)、図2は図1の集合プリント配線基板1の部分Aの拡大図、図3は図1に示した集合プリント配線基板1の背面図(ソルダーレジスト8の図示を省略)、図4は図3の集合プリント配線基板1の部分Eの拡大図、図5は図2おけるD−D断面図、図6は表示部にマーキングをした状態を示す図1の部分Aの拡大図、図7は図6の状態における図3の部分Eの拡大図である。
【0023】
また、図8は図1の集合プリント配線基板1に電子部品10を固定した集合プリント配線基板1の平面図(ソルダーレジスト8の図示を省略)、図9は図8の集合プリント配線基板1の端部の斜視図(ソルダーレジスト8の図示を省略)、図10は図8および図9の集合プリント配線基板1の連結片4を切り離して得たプリント配線基板装置11の平面図(ソルダーレジスト8の図示を省略)、図11は図10のプリント配線基板装置11の部分Bの拡大斜視図(ソルダーレジスト8の図示を省略)、図12は図11のプリント配線基板装置11の側面図(矢視C、ソルダーレジスト8の図示を省略)、図13はプリントヘッドの平面図、図14は図13のプリントヘッド20の端部の斜視図、図15は図13のプリントヘッド20の断面図、図16は画像形成装置の構成を説明するための図、図17はプリントヘッドと感光体の位置関係を示す図である。尚、図1等でソルダーレジスト8の図示を省略しているが、ソルダーレジスト8は、後述する表示部7、ベタパターンおよびパッドを除くプリント配線基板および捨て基板の全面に塗布されている。
【0024】
〔集合プリント配線基板〕
図1に示すように、本発明に係る集合プリント配線基板1は、プリント配線基板2の短手方向(X方向)に一列に整列され、連結片4により互いに連結されたガラスエポキシ製の複数(5枚)のプリント配線基板2と、この5枚のプリント配線基板2の外側において取り囲むガラスエポキシ製の捨て基板5とを、連結片4(ガラスエポキシ製)により連結したものである。
【0025】
プリント配線基板2の表面17には、後述する電子部品としての発光素子を長手方向に直線状(一直線状または千鳥状)に固定するための金属箔層3(例えば、銅箔層)からなる導体パターン(ベタパターン)が形成されている。尚、図1および図3等においてはその他の導体パターンの図示を省略しているが、導体パターンとしては、当該ベタパターン以外に、図11に示す金属箔層3からなる細長い配線パターンも含まれる。
【0026】
プリント配線基板2同士、およびプリント配線基板2と捨て基板5を連結する連結片4は、図1に示すように、肉厚方向(板厚方向=Z方向)に貫通した複数の長孔9を設けることにより形成される。より具体的には、図1の長穴9に対応した位置に配設された突起を備えた金型を用いて、1枚のガラスエポキシ基板を打ち抜くことにより、個々の連結片4およびプリント配線基板2が形成される。尚、5枚の長尺なプリント配線基板2は、金属箔層3からなる導体パターンの引き回し、パッドの位置等の電気的、機械的な機能がそれぞれ同一になるように構成されている。
【0027】
(表示部)
個々のプリント配線基板2には、図1〜図7に示すように、プリント配線基板2の良否判断結果を表示する表示部7が設けられている。この表示部7におけるプリント配線基板2の肉厚方向(Z方向)は、図2、図4および図5に示すように、絶縁基材6のみからなり、表示部7の周囲は、少なくとも金属箔層3からなる導体パターンが形成されている。
【0028】
表示部7について、さらに詳細に説明する。
表示部7は、集合プリント配線基板1を構成する個々のプリント配線基板2について、導体パターンの断線の有無、プリント配線基板のキズの有無等の検査を行った結果、不良と判断された場合に、図6に示すように、油性マジック、油性インク等を用いてマーキングするために用いられる。
【0029】
例えば、図1に示す集合プリント配線基板1を外観検査装置を用いて検査した結果、紙面上から5枚目のプリント配線基板2に導体パターンの断線が発見された場合、当該プリント配線基板2の表示部7にマーキングする(図6)。尚、プリント配線基板に異常が見られなかった場合(良品のプリント配線基板)は、表示部7にマーキングしない。
【0030】
この表示部7は、図5に示すように、肉厚方向は透光性を有する絶縁基材6のみからなる。別言すると、表示部7の肉厚方向には、金属箔層3、ソルダーレジスト層8およびシルク層16が無い。そして、表示部7を取り囲むように金属箔層3が設けられているので、表示部7の範囲(外縁)が明確に示される。また、表示部7が透光性を有する絶縁基材6からなるので、表示部7にプリント配線基板2の表面17から黒色の油性インク等を用いてマーキングすると(図6)、プリント配線基板2の裏面18からマーキングの有無を確認できる(図7)。
【0031】
よって、表示部7に対してプリント配線基板2の両面からマーキングする必要が無く、プリント配線基板2の表面17または裏面18からマーキングをするだけで、電子部品実装装置、基板外観検査装置および作業者は、プリント配線基板2の両面から良品であるか不良品であるかを確認できる。
【0032】
尚、透光性を有する絶縁基材とは、プリント配線基板の裏面から光を当てた場合に、当該光の有無を表面から確認できる材料をいう。例えば、ガラスエポキシ材料等である。また、ソルダーレジスト層8とは、表示部7以外のプリント配線基板2の表面17および裏面18を覆い、半田等による被覆や電子部品10の固定の際、金属箔層3からなる導体パターンの表面に不必要な半田、導電性接着剤等が付着することを防ぐ保護コーティング層をいう。また、ソルダーレジスト層8は、永久保護マスクとして、プリント配線基板2の導体パターンを湿度やほこり等から保護すると同時に、電気的トラブルから導体パターンを守る絶縁体機能があり、耐薬品性、耐熱性に優れ、半田付け等をする際の高熱や金めっきにも耐えられる保護皮膜である。ソルダーレジスト層8の形成方法は、一般的に活性エネルギー線を、マスクパターンを介して照射することにより形成するフォトリソグラフィー法が用いられている。
【0033】
〔プリント配線基板装置〕
次に、集合プリント配線基板1を構成する個々のプリント配線基板2に発光素子10を固定して得られるプリント配線基板装置11について説明する。尚、以下は、図1および図3に示した集合プリント配線基板1の中で紙面上から5枚目のみが不良品であることを前提にして説明する。
【0034】
まず、集合プリント配線基板1の中で、表示部7がマーキングされていない良品のプリント配線基板2のベタパターン3に熱硬化性の導電性接着剤を塗布する。そして、個々のプリント配線基板2の金属箔層3(ベタパターン)に塗布された導電性接着剤の上に、特許第4289656号公報、特許第4289656号公報等に記載された技術を用いて20個の発光素子10を高精度に位置決めして置く。
【0035】
集合プリント配線基板1に塗布された導電性接着剤の上に、合計80個の発光素子10を置いた後、この集合プリント配線基板1を加熱炉(オーブン)に入れ、例えば110℃に加熱して導電性接着剤を硬化させる。そうすると、表示部7にマーキングの無い集合プリント配線基板1に全ての発光素子10が固定される。
【0036】
そして、図11および図12に示すように、図示しないワイヤーボンディング装置を用いて、発光素子10の表面のパッド14と、プリント配線基板2の表面17の金属箔層3(配線パターン)に接続されたパッド15とを金線13により電気的に接続する。
【0037】
具体的には、ワイヤーボンディング装置は、まず、当該ワイヤーボンディング装置に設けられたCCDカメラにより、表示部7にマーキングが無いことを確認する。そして、図11および図12に示すように、ワイヤーボンディング装置のキャピラリの先端から突出し溶融した金線13をプリント配線基板2のパッド15にボールボンディング接続し、キャピラリの先端から金線13を繰り出しながらキャピラリを移動させ、キャピラリの先端に位置する金線13を発光素子10のアルミニウム製のパッド14に押し付けてステッチボンディング接続する。
【0038】
ワイヤーボンディング装置がCCDカメラにより表示部7にマーキングがあることを認識した場合は、上記動作はせず、次のプリント配線基板2の表示部7のマーキングの有無を確認する。尚、パッド14、金線13およびパッド15は実際には複数組形成されているが、説明を簡単にするため図11および図12においては1組のみ図示している。
【0039】
全ての発光素子10についてのワイヤーボンディングを終えた後、連結片4で分割(切断)すれば、不良品のプリント配線基板である1枚を除く計4枚のプリント配線基板装置11が得られる。
【0040】
以上説明したように、本発明に係る集合プリント配線基板1を用いれば、各プリント配線基板2の良品/不良品のマーキングを容易にできる。また、表示部7はプリント配線基板2の絶縁基材6のみからなるので、表示部7の存在が個々のプリント配線基板2の平面度に影響を与えることが無く、表示部7から絶縁基材6の粉が発生することも無い。
【0041】
〔プリントヘッド〕
次に、前記したプリント配線基板装置11を、図13〜図15に示すプリントヘッド20に使用した場合について説明する。
プリントヘッド20は、複数のロッドレンズ21を整列配置したレンズアレイ22を接着剤等で固定したハウジング23と、このレンズアレイ22の一方のレンズ面と発光素子10が対向するように、ハウジング23に接着剤等で固定したプリント配線基板装置11とを備えたものである。尚、発光素子とは、直線状に複数(例えば256個)の発光点が形成された半導体素子をいう。
【0042】
プリントヘッド20は、図15に示すように、プリント配線基板装置11の表面17に固定した発光素子10の発光点(LED)を発光させた場合に、発光点から出射された光がレンズアレイ22により収束(集光)する結像点(焦点位置)までの距離が共役長TCになるように設定されている。この共役長TCは、発光点からレンズアレイ22の下面(一方のレンズ面)までの距離Lと、レンズアレイ22の上面(他方のレンズ面)から結像点までの距離Lと、レンズアレイ22の高さTとの和であり、TC=T+2Lという関係が成り立つ。
【0043】
本発明に係るプリントヘッド20は、プリント配線基板装置11の平面度が高く、反りや歪みが少ないので、発光素子10の各発光点から出射される光の光軸の曲がりが小さく、結像点の直線性が高い。また、プリント配線基板装置11の表示部7から絶縁基材6の粉が出ないので、発光素子10の発光点上に当該粉が付着することも無い。
【0044】
〔画像形成装置〕
図16に示すように、本発明に係る画像形成装置は、所謂タンデム型のデジタルカラープリンタ131であり、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成プロセス部110、画像形成プロセス部110を制御する制御部130、パーソナルコンピュータ102や画像読取装置103から受信された画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理部140を備えている。
【0045】
画像形成プロセス部110は、一定の間隔をおいて並列配置される4つの画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kを備えている。そして、これらの画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kのそれぞれは、静電潜像を形成してトナー像を担持する像担持体としての感光体ドラム25と、この感光体ドラム25の表面を所定電位で一様に帯電する帯電装置113と、帯電装置113によって表面が帯電された感光体ドラム25を露光する露光装置としてのプリントヘッド20と、プリントヘッド20によって得られた静電潜像を現像する現像装置115と、転写後の感光体ドラム25の表面を清掃するクリーナー(ブレード)116とを備えている。
【0046】
さらに、現像装置115の下流側近傍には、感光体ドラム25に対向して、感光体ドラム25上に形成されたテスト用パッチ(濃度見本)のトナー像濃度を検出する濃度検出回路117が備えられている。この濃度検出回路117は制御部130に接続され、トナー像濃度検出値を出力する。ここで、各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kは、現像装置115に収納されたトナーを除いて、略同様に構成されている。そして、画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
【0047】
また、画像形成プロセス部110は、各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kの感光体ドラム25にて形成された各色のトナー像が多重転写される中間転写ベルト121と、各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kの各色のトナー像を中間転写ベルト121に順次転写(一次転写)させる一次転写帯電装置としての一次転写ロール122と、中間転写ベルト121上に転写された重畳トナー像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写帯電装置としての二次転写ロール123と、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置125とを備えている。
【0048】
画像形成プロセス部110は、制御部130から供給された同期信号等の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。その際に、パーソナルコンピュータ102や画像読取装置103から入力された画像データは、画像処理部140によって画像処理が施され、インタフェースを介して各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kに供給される。
【0049】
そして、例えばイエローの画像形成ユニット111Yでは、帯電装置113により所定電位で一様に帯電された感光体ドラム25の表面が、画像処理部140から得られた画像データに基づいて発光する本発明に係るプリントヘッド20により露光されて、感光体ドラム25上に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置115により現像され、感光体ドラム25上にはイエローのトナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット111M、111C、111Kのそれぞれの感光体ドラム25においても、マゼンタ、シアン、黒の各色トナー像が形成される。
【0050】
各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kのそれぞれの感光体ドラム25に形成された各色トナー像は、図16の矢印G方向に回動する中間転写ベルト121上に、一次転写ロール122により順次静電吸引され、中間転写ベルト121上に重畳されたトナー像が形成される。
【0051】
この重畳トナー像は、中間転写ベルト121の回動に伴って二次転写ロール123が配設された領域(二次転写部)に搬送される。そして、重畳トナー像が二次転写部に搬送されると、トナー像が二次転写部に搬送されるタイミングに合わせて用紙Pが二次転写部に供給される。
【0052】
そして、二次転写部にて二次転写ロール123により形成される転写電界により、重畳トナー像は搬送されてきた用紙P上に一括して静電転写される。その後、重畳トナー像が静電転写された用紙Pは、中間転写ベルト121から剥離され、搬送ベルト124により定着装置125まで搬送される。
【0053】
定着装置125に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着装置125によって熱および圧力による定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、デジタルカラープリンタ131の排出部に設けられた図示しない排紙載置部に搬送される。つまり、本発明に係る画像形成装置は、プリントヘッド1を備えているので、高画質な画像を形成できる。
【実施例2】
【0054】
本発明の他の実施例を図18、図19および図27を用いて説明する。
図18は集合プリント配線基板を構成する個々のプリント配線基板の表面17の表示部7およびその近傍の部分拡大図、図19は図18の表示部7およびその近傍を裏面から見た部分拡大図、図27は図18におけるH−H断面図である。尚、本実施例2に係る集合プリント配線基板は、実施例1に示した集合プリント配線基板1における表示部7およびその近傍部分のみ相違するため、かかる相違点のみについて説明し、実施例1と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
実施例1は、表示部7を金属箔層3で取り囲んだ集合プリント配線基板1を示した。本実施例2においては、表示部7を金属箔層7ではなく、シルク層16で取り囲んだものである。図18、図19および図27を用いてより詳細に説明すると、集合プリント配線基板を構成する個々のプリント配線基板41は、絶縁基材6の表面17および裏面18における表示部7を除く部分にソルダーレジスト8が塗布されている。そして、プリント配線基板41の表面17のソルダーレジスト8の表面には、さらに表示部7の周囲にシルク層16が形成されている。
【0056】
シルク層16は光を透過させないため、光を透過する表示部7の外縁が明確になる。このため、実施例2に係る集合プリント配線基板においても、実施例1に係る集合プリント配線基板1と同様の効果を得ることができる。
【0057】
尚、シルク層とは、不透光性の熱硬化型マーキングインクからなる層のことであり、例えば、樹脂(エポキシ樹脂)、フィラー(セラミック粒子等の無機フィラー)、溶剤(方向俗炭化水素系溶剤)、硬化剤(アミノ系硬化剤)および着色顔料(酸化チタン)等を混合した液体からなり、125度±5度程度で熱硬化するものが採用される。また、図18、図19および図27には、表面17のみシルク層16を形成した構成を示したが、裏面18における表示部7の周囲のみに形成しても良いし、両面(表面17および裏面18)における表示部7の周囲にシルク層16を形成しても良い。
【実施例3】
【0058】
本発明の他の実施例を図23を用いて説明する。
図23は、集合プリント配線基板の平面図(ソルダーレジスト8の図示を省略)である。説明を簡単にするため、実施例1と同一の部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
本実施例3に係る集合プリント配線基板41の実施例1に係る集合プリント配線基板1との相違点は、捨て基板5の有無のみである。
図23に示すように、捨て基板5が無くても、各プリント配線基板2は表示部7を備えているので、実施例1と同一の効果を得ることができる。
【実施例4】
【0060】
本発明の他の実施例を図24を用いて説明する。
図24は、集合プリント配線基板の平面図(ソルダーレジスト8の図示を省略)である。説明を簡単にするため、実施例1と同一の部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
本実施例4に係る集合プリント配線基板42の実施例1に係る集合プリント配線基板1との相違点は、捨て基板に表示部7が設けられた点と、連結片4の位置が異なる点のみである。図24に示すように、各プリント配線基板2と対応する捨て基板5の位置に表示部7が設けられていても、実施例1と同一の効果を得ることができる。尚、図24における表示部7およびその近傍の仕様は、図2、図4および図5に示した仕様と同一である。
【0062】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び図面の記載から当事者が認識する事ができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0063】
例えば、前記した実施例においては、プリント配線基板2に電子部品10を千鳥状に固定したものを示したが、一直線上に固定したものであっても良い。また、前記した実施例においては、プリント配線基板が5枚の集合プリント配線基板を示したが、プリント配線基板は複数枚(2枚以上)あれば良い。
【0064】
また、前記した実施例においては、電子部品(発光素子)10を熱硬化性の導電性接着剤でプリント配線基板2に固定するものを示したが、これに限るものではなく、クリーム半田(ハンダペースト)を用い、リフロー炉で加熱して固定するものであっても良い。
【0065】
また、前記した実施例においては、プリント配線基板2同士、およびプリント配線基板2と捨て基板5を連結片4により連結するものを示したが、図25(ソルダーレジスト8の図示を省略)および図26(ソルダーレジスト8の図示を省略)に示すように、V溝により連結し、切断(分離)可能なものであっても良い。
【0066】
また、前記した実施例1においては、表示部7の周囲に設ける金属箔層3を、プリント配線基板2の両面に形成したものを示したが、当該金属箔層3は、表面17のみ(図20)または裏面18のみ(図21)であっても良い。さらに、前記した実施例のように、金属箔層3は、プリント配線基板2の表面17および/または裏面18にあるものに限らず、図22に示すように、プリント配線基板2の絶縁基材6の中にあっても良い。この場合は、言うまでもなく、表示部7を構成するエリア24(破線で囲った部分)にソルダーレジスト層8、シルク層16および金属箔層3が無く、透光性の絶縁基材6のみからなることが必要である。よって、本発明は、多層プリント配線基板においても適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、電子部品が固定されるプリント配線基板が複数枚連結した集合プリント配線基板等に適用される。
【符号の説明】
【0068】
1 集合プリント配線基板
2 プリント配線基板
3 金属箔層
4 連結片
5 捨て基板
6 絶縁基材
7 表示部
8 ソルダーレジスト
10 電子部品(発光素子)
11 プリント配線基板装置
16 シルク層
20 プリントヘッド
21 ロッドレンズ
22 レンズアレイ
23 ハウジング
25 感光体ドラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する絶縁基材の少なくとも表面に金属箔層からなる導体パターンが形成されたプリント配線基板を複数連結した集合プリント配線基板において、
個々の前記プリント配線基板には、該プリント配線基板の良否判断結果を表示する表示部が設けられ、
該表示部における前記プリント配線基板の肉厚方向は、前記絶縁基材のみからなり、
該表示部の周囲は、少なくとも前記金属箔層またはシルク層が形成されたことを特徴とする集合プリント配線基板
【請求項2】
透光性を有する絶縁基材の少なくとも表面に金属箔層からなる導体パターンが形成されたプリント配線基板を複数連結した集合プリント配線基板において、
該集合プリント配線基板には、さらに捨て基板が連結されており、
該捨て基板には、個々の前記プリント配線基板と対応する位置に、該プリント配線基板の良否判断結果を表示する表示部が設けられ、
該表示部における前記捨て基板の肉厚方向は、前記絶縁基材のみからなり、
該表示部の周囲は、少なくとも前記金属箔層またはシルク層が形成されたことを特徴とする集合プリント配線基板
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の集合プリント配線基板に複数の電子部品を固定し、連結を切り離して得たプリント配線基板装置
【請求項4】
前記電子部品が発光素子である請求項3に記載のプリント配線基板装置と、
複数のロッドレンズを整列配置したレンズアレイとを備え、
該レンズアレイの一方のレンズ面と前記発光素子が対向するように、前記レンズアレイおよび前記プリント配線基板装置をハウジングに固定したプリントヘッド
【請求項5】
表面に静電潜像を形成する感光体と、
該感光体と対向した請求項4に記載のプリントヘッドとを備えた画像形成装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−166056(P2011−166056A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29915(P2010−29915)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】