集合プリント配線基板
【課題】複数のプリント配線基板を連結した集合プリント配線基板の状態で検査を行ない、複数の電子部品の中のある特定の電子部品の不良が発見された場合、その後のリペア工程で当該不良の電子部品の特定が困難であるという問題があった。
【解決手段】短手方向に一列に整列した複数のプリント配線基板と、複数のプリント配線基板を取り囲む捨て基板とを連結した集合プリント配線基板において、プリント配線基板の表面には、長手方向に直線状に電子部品を固定するためのパッドまたはパターンを形成し、プリント配線基板の短手方向に沿う捨て基板の表面には、個々のプリント配線基板を識別するための表示が、プリント配線基板と対応する位置に設けられると共に、プリント配線基板の長手方向に沿う捨て基板の表面には、パッドまたはパターンに固定される個々の電子部品を識別するための表示が、個々の電子部品と対応する位置に設けた。
【解決手段】短手方向に一列に整列した複数のプリント配線基板と、複数のプリント配線基板を取り囲む捨て基板とを連結した集合プリント配線基板において、プリント配線基板の表面には、長手方向に直線状に電子部品を固定するためのパッドまたはパターンを形成し、プリント配線基板の短手方向に沿う捨て基板の表面には、個々のプリント配線基板を識別するための表示が、プリント配線基板と対応する位置に設けられると共に、プリント配線基板の長手方向に沿う捨て基板の表面には、パッドまたはパターンに固定される個々の電子部品を識別するための表示が、個々の電子部品と対応する位置に設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプリント配線基板(ベアボード)を連結した集合プリント配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
比較的小さなプリント配線基板に電子部品を固定(実装)してプリント配線基板装置を製造する場合は、プリント配線基板の位置決め、搬送等に時間を要し、製造効率が低下する。このため、従来より、プリント配線基板を互いに連結片等を用いて連結した集合プリント配線基板が用いられている(例えば、特許文献1〜6参照)。
【0003】
この集合プリント配線基板は、製造段階において1つの基板として扱い、その表面および/または裏面に形成されたパッド等に電子部品を固定するのが一般的である。
【0004】
その後、集合プリント配線基板からプリント配線基板を分割して各プリント配線基板装置の検査を行うか、集合プリント配線基板のまま各プリント配線基板装置の検査をして集合プリント配線基板からプリント配線基板を分割することにより、完成品としてのプリント配線基板装置ができあがる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−320597号公報
【特許文献2】特開平11−176974号公報
【特許文献3】特開平11−163482号公報
【特許文献4】特開平02−031490号公報
【特許文献5】特開平03−250800号公報
【特許文献6】特開平06−112600号公報
【特許文献7】特開平06−169137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
集合プリント配線基板のまま各プリント配線基板装置の検査を行なった結果、複数の電子部品の中のある特定の電子部品の不良が発見された場合、その後のリペア工程で当該不良の電子部品の特定が困難であるという問題があった。かかる問題は、集合プリント配線基板に同一の電子部品を複数実装する場合に顕著に表れる。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであって、集合プリント配線基板の一部を構成する捨て基板に電子部品を特定できる表示を設けるという簡単な構成により、リペア作業を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、短手方向に一列に整列し、互いに連結片により連結した複数のプリント配線基板と、当該複数のプリント配線基板を取り囲む捨て基板とを連結片により連結した集合プリント配線基板に関するものである。
【0009】
そして、プリント配線基板の表面には、長手方向に直線状に電子部品を固定するためのパッドまたはパターンが形成され、プリント配線基板の短手方向に沿う捨て基板の表面には、個々の前記プリント配線基板を識別するための表示が、プリント配線基板と対応する位置に設けられると共に、プリント配線基板の長手方向に沿う捨て基板の表面には、パッドまたはパターンに固定される個々の電子部品を識別するための表示が、個々の電子部品と対応する位置に設けられたものである。
【0010】
かかる構成により、集合プリント配線基板を構成する個々のプリント配線基板に同一の電子部品が複数固定されている場合であっても、検査終了後に、リペアすべき不良の電子部品を短時間で特定できる。
【0011】
すなわち、検査工程において、集合プリント配線基板のまま全ての電子部品を検査した結果、電子部品の不良が発見された場合、当該検査工程では、不良の電子部品が固定されているプリント配線基板を、プリント配線基板の短手方向に沿う捨て基板の表面に設けられた表示により特定し、かつ、当該プリント配線基板に固定されている不良の電子部品を、プリント配線基板の長手方向に沿う捨て基板の表面に設けられた表示により特定した検査シート、検査データ等を作成できる。
【0012】
そして、次工程のリペア工程では、かかる検査シート、検査データ等に記載された情報により、リペアすべき不良の電子部品が固定されているプリント配線基板を、プリント配線基板の短手方向に沿う捨て基板の表面に設けられた表示により特定し、かつ、当該プリント配線基板に固定されているリペアすべき不良の電子部品を、プリント配線基板の長手方向に沿う捨て基板の表面に設けられた表示により短時間で特定できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、集合プリント配線基板を構成する個々のプリント配線基板に固定された複数の電子部品の中から、検査工程で発見された不良の電子部品を、リペア工程等の次工程で容易かつ確実に特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】集合プリント配線基板の平面図である(実施例1)
【図2】電子部品を固定(実装)した集合プリント配線基板の平面図である(実施例1)
【図3】電子部品を固定(実装)した集合プリント配線基板の端部の斜視図である(実施例1)
【図4】プリント配線基板装置の平面図である(実施例1)
【図5】プリント配線基板装置の端部(図4のW部分)の斜視図である(実施例1)
【図6】プリント配線基板装置の側面図である(実施例1)
【図7】プリントヘッドの平面図である(実施例1)
【図8】プリントヘッドの端部の斜視図である(実施例1)
【図9】プリントヘッドの断面図である(実施例1)
【図10】集合プリント配線基板の平面図である(実施例2)
【図11】V溝の部分を側面から見た拡大図である(実施例2)
【図12】集合プリント配線基板の平面図である(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明に係る第1実施例を、図1乃至図9を用いて説明する。
図1は集合プリント配線基板1の平面図であり、図2は図1に示した集合プリント配線基板1に電子部品10を固定した集合プリント配線基板の平面図、図3は図2に示した集合プリント配線基板1の端部の斜視図、図4は図2および図3に示した集合プリント配線基板を分割して得たプリント配線基板装置11の平面図、図5は図4に示したプリント配線基板装置11の端部Wの斜視図、図6は図5に示したプリント配線基板装置の側面図、図7はプリント配線基板装置11を用いたプリントヘッド20の平面図、図8は図7に示したプリントヘッド20の端部の斜視図、図9は図7および図8に示したプリントヘッド20の断面図である。尚、図3において、図2に示した表示7および8を省略している。
【0017】
〔集合プリント配線基板〕
図1に示すように、本発明に係る集合プリント配線基板1は、短手方向(X方向)に一列に整列し、互いに連結片4により連結した複数(5枚)のプリント配線基板2と、この5枚のプリント配線基板2を取り囲む捨て基板5および6とを連結片4により連結したものである。
【0018】
そして、プリント配線基板2の表面には、後述する電子部品10を、長手方向(Y方向)に直線状(一直線状または千鳥状)に固定するための銅箔からなるベタパターン3が形成されている。
【0019】
また、プリント配線基板2の短手方向(X方向)に沿う一方(紙面左側)の捨て基板6の表面には、個々のプリント配線基板2を識別するための表示8が、プリント配線基板2の真横、すなわち、個々のプリント配線基板2と対応する位置に設けられている。本実施例1においては、プリント配線基板2が5枚あるため、それぞれのプリント配線基板2に対応する捨て基板6の位置に、A〜Eの文字が銅箔により形成されている。表示8は、プリント配線基板2の短手方向(X方向)に沿う両方(紙面左側および右側)の捨て基板6の表面に形成されていても良い。
【0020】
さらに、プリント配線基板2の長手方向(Y方向)に沿う一方(紙面下方)の捨て基板5の表面には、ベタパターン3に固定される個々の電子部品10を識別するための表示7が、個々の電子部品10と対応する位置に設けられている。本実施例1においては、後述するように電子部品10を各プリント配線基板2にそれぞれ20個固定するので、各電子部品10の固定位置に対応する捨て基板5の位置に、1〜20の文字が銅箔により形成されている。表示7は、プリント配線基板2の長手方向(Y方向)に沿う両方(紙面上側および下側)の捨て基板5の表面に形成されていても良い。
【0021】
プリント配線基板2同士およびプリント配線基板2と捨て基板5、6を連結する連結片4は、図1に示すように、板厚方向(X方向およびY方向に垂直なZ方向)に貫通した複数の長孔を設けることにより集合プリント配線基板1に形成されている。尚、本実施例1においては、5枚の長尺なプリント配線基板2を全て同一のものを採用した。
【0022】
〔電子部品を固定した集合プリント配線基板〕
次に、集合プリント配線基板1の効果を説明するために、集合プリント配線基板1に電子部品を固定した電子部品付き集合プリント配線基板について説明する。
【0023】
図2および図3は、図1の集合プリント配線基板1の5枚のプリント配線基板2のベタパターン3のそれぞれに、20個の電子部品(発光素子アレイ)10を接着剤により千鳥状に固定した電子部品付きの集合プリント配線基板である。
【0024】
この電子部品付きの集合プリント配線基板は、このまま検査装置にセットされ、プリント配線基板装置11にプローブにより電源、動作信号が送られ、5枚のプリント配線基板装置11に固定された全ての電子部品10の動作テストが行われる。ここで、プリント配線基板装置11とは、プリント配線基板2に20個の電子部品10が固定され、図4〜図6に示したように分割したときに製品になるものをいう。
【0025】
(プリント配線基板装置)
プリント配線基板装置11の一例をさらに詳細に説明する。
図5に示すように、プリント配線基板11は、プリント配線基板2の表面に形成されたベタパターン3に、電子部品としての発光素子アレイ10を千鳥状に固定し、この発光素子アレイ10の表面のパッド14と、プリント配線基板2の表面の配線パターン16に接続されたパッド15とを金線13により電気的に接続したものである。尚、パッド14、金線13およびパッド15は実際には複数形成されているが、図5においては説明を簡単にするため1セットのみ図示している。
【0026】
このプリント配線基板11を製造するための一連の工程(ベタパターン3への接着剤の塗布→発光素子アレイ10の固定→ワイヤーボンディング)は、プリント配線基板2が連結片4で連結された集合プリント配線基板1に対して行われる。
【0027】
このプリント配線基板11は、図7〜図9に示すように画像形成装置等で用いられるプリントヘッド20に使用されるものである。プリントヘッド20は、複数のロッドレンズ21を整列配置したレンズアレイ22を接着剤等で固定したハウジング23と、このレンズアレイ22の一方のレンズ面と発光素子アレイ10が対向するように、ハウジング23に接着剤等で固定したプリント配線基板装置11とを備えたものである。
【0028】
このプリントヘッド20は、図9に示すように、プリント配線基板装置11の表面に固定した発光素子アレイ10の発光点(LED)26を発光させた場合に、発光点26から、出射した光がレンズアレイ22により収束(集光)する結像点(焦点位置)までの距離が共役長TCになるように設定されている。この共役長TCは、発光点からレンズアレイ22の下面(一方のレンズ面)までの距離Lと、レンズアレイ22の上面(他方のレンズ面)から結像点までの距離Lと、レンズアレイ22の高さTとの和であり、TC=T+2Lという関係が成り立つ。
【0029】
(プリント配線基板装置の検査)
前記したプリント配線基板装置11の検査項目としては、発光素子アレイ10の位置ズレ、光量等が挙げられる。これらの検査項目は、CCDカメラを用いた公知の画像処理技術を用いて、プリント配線基板装置11が連結片4により連結した電子部品付き集合プリント配線基板のまま検査される。
【0030】
その結果、検査工程において、例えば、図2および図3に示した発光素子アレイ12の光量が低く不良品であると判断された場合は、検査シートまたは検査データ等に、リペアすべき発光素子アレイとして「B4」が記録される。
【0031】
(プリント配線基板装置のリペア)
そして、次工程のリペア工程においては、検査シートまたは検査データ等に基づいて、電子部品を固定した集合プリント配線基板の中で、「B4」の発光素子アレイ12を交換すべきことが短時間かつ確実に判断できる。このため、リペア工程の作業者は、他の発光素子アレイ10と間違うことなく、「B4」の位置にある発光素子アレイ12を取り外して、良品の発光素子アレイ10と交換することができる。
【0032】
以上説明したように、本発明に係る集合プリント配線基板1は、個々のプリント配線基板2に固定された複数の電子部品10の中から、検査工程で発見された不良の電子部品12を、リペア工程等の次工程で容易かつ確実に特定できるという効果を奏する。
【実施例2】
【0033】
本発明の他の実施例を図10および図11を用いて説明する。
図10は本発明に係る集合プリント配線基板41の平面図、図11は図10に示したV溝17を矢印Pから見た部分拡大図である。尚、説明を分かりやすくするため、実施例1と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0034】
本実施例2の実施例1との主な相違点は、プリント配線基板2同士並びにプリント配線基板2および捨て基板18、19の連結を、図10および図11に示したように、連結片4ではなく、表面および裏面に形成された両V溝17の間の連結部27にした点である。かかる構成であっても、前記した実施例1と同一の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0035】
本発明の他の実施例を図12を用いて説明する。
図12は、本発明に係る集合プリント配線基板42の平面図である。尚、説明を分かりやすくするため、実施例1と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0036】
本実施例3の実施例1との主な相違点は、プリント配線基板25の表面にパターン3ではなく、パッド24を形成した点である。すなわち、パッド24は、電子部品10が固定される位置に形成されている。かかる構成であっても、前記した実施例1と同一の効果を得ることができる。
【0037】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び図面の記載から当事者が認識する事ができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0038】
例えば、前記した実施例においては、プリント配線基板2に電子部品10を千鳥状に固定したものを示したが、一直線上に固定したものであっても良い。また、前記した実施例においては、電子部品として同一の発光素子アレイを用いたものを示したが、異なる種類の電子部品であっても良い。
【0039】
また、前記した実施例においては、プリント配線基板が5枚の集合プリント配線基板を示したが、プリント配線基板は複数枚(2枚以上)あれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、電子部品が固定されるプリント配線基板が複数枚連結した集合プリント配線基板に適用される。
【符号の説明】
【0041】
1 集合プリント配線基板
2 プリント配線基板
3 パターン
4 連結片
5 捨て基板(長手方向)
6 捨て基板(短手方向)
7 表示(長手方向)
8 表示(短手方向)
9 貫通した長孔
10 電子部品
11 プリント配線基板装置
12 不良の電子部品
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプリント配線基板(ベアボード)を連結した集合プリント配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
比較的小さなプリント配線基板に電子部品を固定(実装)してプリント配線基板装置を製造する場合は、プリント配線基板の位置決め、搬送等に時間を要し、製造効率が低下する。このため、従来より、プリント配線基板を互いに連結片等を用いて連結した集合プリント配線基板が用いられている(例えば、特許文献1〜6参照)。
【0003】
この集合プリント配線基板は、製造段階において1つの基板として扱い、その表面および/または裏面に形成されたパッド等に電子部品を固定するのが一般的である。
【0004】
その後、集合プリント配線基板からプリント配線基板を分割して各プリント配線基板装置の検査を行うか、集合プリント配線基板のまま各プリント配線基板装置の検査をして集合プリント配線基板からプリント配線基板を分割することにより、完成品としてのプリント配線基板装置ができあがる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−320597号公報
【特許文献2】特開平11−176974号公報
【特許文献3】特開平11−163482号公報
【特許文献4】特開平02−031490号公報
【特許文献5】特開平03−250800号公報
【特許文献6】特開平06−112600号公報
【特許文献7】特開平06−169137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
集合プリント配線基板のまま各プリント配線基板装置の検査を行なった結果、複数の電子部品の中のある特定の電子部品の不良が発見された場合、その後のリペア工程で当該不良の電子部品の特定が困難であるという問題があった。かかる問題は、集合プリント配線基板に同一の電子部品を複数実装する場合に顕著に表れる。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであって、集合プリント配線基板の一部を構成する捨て基板に電子部品を特定できる表示を設けるという簡単な構成により、リペア作業を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、短手方向に一列に整列し、互いに連結片により連結した複数のプリント配線基板と、当該複数のプリント配線基板を取り囲む捨て基板とを連結片により連結した集合プリント配線基板に関するものである。
【0009】
そして、プリント配線基板の表面には、長手方向に直線状に電子部品を固定するためのパッドまたはパターンが形成され、プリント配線基板の短手方向に沿う捨て基板の表面には、個々の前記プリント配線基板を識別するための表示が、プリント配線基板と対応する位置に設けられると共に、プリント配線基板の長手方向に沿う捨て基板の表面には、パッドまたはパターンに固定される個々の電子部品を識別するための表示が、個々の電子部品と対応する位置に設けられたものである。
【0010】
かかる構成により、集合プリント配線基板を構成する個々のプリント配線基板に同一の電子部品が複数固定されている場合であっても、検査終了後に、リペアすべき不良の電子部品を短時間で特定できる。
【0011】
すなわち、検査工程において、集合プリント配線基板のまま全ての電子部品を検査した結果、電子部品の不良が発見された場合、当該検査工程では、不良の電子部品が固定されているプリント配線基板を、プリント配線基板の短手方向に沿う捨て基板の表面に設けられた表示により特定し、かつ、当該プリント配線基板に固定されている不良の電子部品を、プリント配線基板の長手方向に沿う捨て基板の表面に設けられた表示により特定した検査シート、検査データ等を作成できる。
【0012】
そして、次工程のリペア工程では、かかる検査シート、検査データ等に記載された情報により、リペアすべき不良の電子部品が固定されているプリント配線基板を、プリント配線基板の短手方向に沿う捨て基板の表面に設けられた表示により特定し、かつ、当該プリント配線基板に固定されているリペアすべき不良の電子部品を、プリント配線基板の長手方向に沿う捨て基板の表面に設けられた表示により短時間で特定できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、集合プリント配線基板を構成する個々のプリント配線基板に固定された複数の電子部品の中から、検査工程で発見された不良の電子部品を、リペア工程等の次工程で容易かつ確実に特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】集合プリント配線基板の平面図である(実施例1)
【図2】電子部品を固定(実装)した集合プリント配線基板の平面図である(実施例1)
【図3】電子部品を固定(実装)した集合プリント配線基板の端部の斜視図である(実施例1)
【図4】プリント配線基板装置の平面図である(実施例1)
【図5】プリント配線基板装置の端部(図4のW部分)の斜視図である(実施例1)
【図6】プリント配線基板装置の側面図である(実施例1)
【図7】プリントヘッドの平面図である(実施例1)
【図8】プリントヘッドの端部の斜視図である(実施例1)
【図9】プリントヘッドの断面図である(実施例1)
【図10】集合プリント配線基板の平面図である(実施例2)
【図11】V溝の部分を側面から見た拡大図である(実施例2)
【図12】集合プリント配線基板の平面図である(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明に係る第1実施例を、図1乃至図9を用いて説明する。
図1は集合プリント配線基板1の平面図であり、図2は図1に示した集合プリント配線基板1に電子部品10を固定した集合プリント配線基板の平面図、図3は図2に示した集合プリント配線基板1の端部の斜視図、図4は図2および図3に示した集合プリント配線基板を分割して得たプリント配線基板装置11の平面図、図5は図4に示したプリント配線基板装置11の端部Wの斜視図、図6は図5に示したプリント配線基板装置の側面図、図7はプリント配線基板装置11を用いたプリントヘッド20の平面図、図8は図7に示したプリントヘッド20の端部の斜視図、図9は図7および図8に示したプリントヘッド20の断面図である。尚、図3において、図2に示した表示7および8を省略している。
【0017】
〔集合プリント配線基板〕
図1に示すように、本発明に係る集合プリント配線基板1は、短手方向(X方向)に一列に整列し、互いに連結片4により連結した複数(5枚)のプリント配線基板2と、この5枚のプリント配線基板2を取り囲む捨て基板5および6とを連結片4により連結したものである。
【0018】
そして、プリント配線基板2の表面には、後述する電子部品10を、長手方向(Y方向)に直線状(一直線状または千鳥状)に固定するための銅箔からなるベタパターン3が形成されている。
【0019】
また、プリント配線基板2の短手方向(X方向)に沿う一方(紙面左側)の捨て基板6の表面には、個々のプリント配線基板2を識別するための表示8が、プリント配線基板2の真横、すなわち、個々のプリント配線基板2と対応する位置に設けられている。本実施例1においては、プリント配線基板2が5枚あるため、それぞれのプリント配線基板2に対応する捨て基板6の位置に、A〜Eの文字が銅箔により形成されている。表示8は、プリント配線基板2の短手方向(X方向)に沿う両方(紙面左側および右側)の捨て基板6の表面に形成されていても良い。
【0020】
さらに、プリント配線基板2の長手方向(Y方向)に沿う一方(紙面下方)の捨て基板5の表面には、ベタパターン3に固定される個々の電子部品10を識別するための表示7が、個々の電子部品10と対応する位置に設けられている。本実施例1においては、後述するように電子部品10を各プリント配線基板2にそれぞれ20個固定するので、各電子部品10の固定位置に対応する捨て基板5の位置に、1〜20の文字が銅箔により形成されている。表示7は、プリント配線基板2の長手方向(Y方向)に沿う両方(紙面上側および下側)の捨て基板5の表面に形成されていても良い。
【0021】
プリント配線基板2同士およびプリント配線基板2と捨て基板5、6を連結する連結片4は、図1に示すように、板厚方向(X方向およびY方向に垂直なZ方向)に貫通した複数の長孔を設けることにより集合プリント配線基板1に形成されている。尚、本実施例1においては、5枚の長尺なプリント配線基板2を全て同一のものを採用した。
【0022】
〔電子部品を固定した集合プリント配線基板〕
次に、集合プリント配線基板1の効果を説明するために、集合プリント配線基板1に電子部品を固定した電子部品付き集合プリント配線基板について説明する。
【0023】
図2および図3は、図1の集合プリント配線基板1の5枚のプリント配線基板2のベタパターン3のそれぞれに、20個の電子部品(発光素子アレイ)10を接着剤により千鳥状に固定した電子部品付きの集合プリント配線基板である。
【0024】
この電子部品付きの集合プリント配線基板は、このまま検査装置にセットされ、プリント配線基板装置11にプローブにより電源、動作信号が送られ、5枚のプリント配線基板装置11に固定された全ての電子部品10の動作テストが行われる。ここで、プリント配線基板装置11とは、プリント配線基板2に20個の電子部品10が固定され、図4〜図6に示したように分割したときに製品になるものをいう。
【0025】
(プリント配線基板装置)
プリント配線基板装置11の一例をさらに詳細に説明する。
図5に示すように、プリント配線基板11は、プリント配線基板2の表面に形成されたベタパターン3に、電子部品としての発光素子アレイ10を千鳥状に固定し、この発光素子アレイ10の表面のパッド14と、プリント配線基板2の表面の配線パターン16に接続されたパッド15とを金線13により電気的に接続したものである。尚、パッド14、金線13およびパッド15は実際には複数形成されているが、図5においては説明を簡単にするため1セットのみ図示している。
【0026】
このプリント配線基板11を製造するための一連の工程(ベタパターン3への接着剤の塗布→発光素子アレイ10の固定→ワイヤーボンディング)は、プリント配線基板2が連結片4で連結された集合プリント配線基板1に対して行われる。
【0027】
このプリント配線基板11は、図7〜図9に示すように画像形成装置等で用いられるプリントヘッド20に使用されるものである。プリントヘッド20は、複数のロッドレンズ21を整列配置したレンズアレイ22を接着剤等で固定したハウジング23と、このレンズアレイ22の一方のレンズ面と発光素子アレイ10が対向するように、ハウジング23に接着剤等で固定したプリント配線基板装置11とを備えたものである。
【0028】
このプリントヘッド20は、図9に示すように、プリント配線基板装置11の表面に固定した発光素子アレイ10の発光点(LED)26を発光させた場合に、発光点26から、出射した光がレンズアレイ22により収束(集光)する結像点(焦点位置)までの距離が共役長TCになるように設定されている。この共役長TCは、発光点からレンズアレイ22の下面(一方のレンズ面)までの距離Lと、レンズアレイ22の上面(他方のレンズ面)から結像点までの距離Lと、レンズアレイ22の高さTとの和であり、TC=T+2Lという関係が成り立つ。
【0029】
(プリント配線基板装置の検査)
前記したプリント配線基板装置11の検査項目としては、発光素子アレイ10の位置ズレ、光量等が挙げられる。これらの検査項目は、CCDカメラを用いた公知の画像処理技術を用いて、プリント配線基板装置11が連結片4により連結した電子部品付き集合プリント配線基板のまま検査される。
【0030】
その結果、検査工程において、例えば、図2および図3に示した発光素子アレイ12の光量が低く不良品であると判断された場合は、検査シートまたは検査データ等に、リペアすべき発光素子アレイとして「B4」が記録される。
【0031】
(プリント配線基板装置のリペア)
そして、次工程のリペア工程においては、検査シートまたは検査データ等に基づいて、電子部品を固定した集合プリント配線基板の中で、「B4」の発光素子アレイ12を交換すべきことが短時間かつ確実に判断できる。このため、リペア工程の作業者は、他の発光素子アレイ10と間違うことなく、「B4」の位置にある発光素子アレイ12を取り外して、良品の発光素子アレイ10と交換することができる。
【0032】
以上説明したように、本発明に係る集合プリント配線基板1は、個々のプリント配線基板2に固定された複数の電子部品10の中から、検査工程で発見された不良の電子部品12を、リペア工程等の次工程で容易かつ確実に特定できるという効果を奏する。
【実施例2】
【0033】
本発明の他の実施例を図10および図11を用いて説明する。
図10は本発明に係る集合プリント配線基板41の平面図、図11は図10に示したV溝17を矢印Pから見た部分拡大図である。尚、説明を分かりやすくするため、実施例1と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0034】
本実施例2の実施例1との主な相違点は、プリント配線基板2同士並びにプリント配線基板2および捨て基板18、19の連結を、図10および図11に示したように、連結片4ではなく、表面および裏面に形成された両V溝17の間の連結部27にした点である。かかる構成であっても、前記した実施例1と同一の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0035】
本発明の他の実施例を図12を用いて説明する。
図12は、本発明に係る集合プリント配線基板42の平面図である。尚、説明を分かりやすくするため、実施例1と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0036】
本実施例3の実施例1との主な相違点は、プリント配線基板25の表面にパターン3ではなく、パッド24を形成した点である。すなわち、パッド24は、電子部品10が固定される位置に形成されている。かかる構成であっても、前記した実施例1と同一の効果を得ることができる。
【0037】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び図面の記載から当事者が認識する事ができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0038】
例えば、前記した実施例においては、プリント配線基板2に電子部品10を千鳥状に固定したものを示したが、一直線上に固定したものであっても良い。また、前記した実施例においては、電子部品として同一の発光素子アレイを用いたものを示したが、異なる種類の電子部品であっても良い。
【0039】
また、前記した実施例においては、プリント配線基板が5枚の集合プリント配線基板を示したが、プリント配線基板は複数枚(2枚以上)あれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、電子部品が固定されるプリント配線基板が複数枚連結した集合プリント配線基板に適用される。
【符号の説明】
【0041】
1 集合プリント配線基板
2 プリント配線基板
3 パターン
4 連結片
5 捨て基板(長手方向)
6 捨て基板(短手方向)
7 表示(長手方向)
8 表示(短手方向)
9 貫通した長孔
10 電子部品
11 プリント配線基板装置
12 不良の電子部品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
短手方向に一列に整列した複数のプリント配線基板と、
当該複数のプリント配線基板を取り囲む捨て基板とを連結した集合プリント配線基板において、
前記プリント配線基板の表面には、長手方向に直線状に電子部品を固定するためのパッドまたはパターンが形成され、
前記プリント配線基板の短手方向に沿う前記捨て基板の表面には、個々の前記プリント配線基板を識別するための表示が、前記プリント配線基板と対応する位置に設けられると共に、
前記プリント配線基板の長手方向に沿う前記捨て基板の表面には、前記パッドまたは前記パターンに固定される個々の前記電子部品を識別するための表示が、個々の前記電子部品と対応する位置に設けられたことを特徴とする集合プリント配線基板
【請求項1】
短手方向に一列に整列した複数のプリント配線基板と、
当該複数のプリント配線基板を取り囲む捨て基板とを連結した集合プリント配線基板において、
前記プリント配線基板の表面には、長手方向に直線状に電子部品を固定するためのパッドまたはパターンが形成され、
前記プリント配線基板の短手方向に沿う前記捨て基板の表面には、個々の前記プリント配線基板を識別するための表示が、前記プリント配線基板と対応する位置に設けられると共に、
前記プリント配線基板の長手方向に沿う前記捨て基板の表面には、前記パッドまたは前記パターンに固定される個々の前記電子部品を識別するための表示が、個々の前記電子部品と対応する位置に設けられたことを特徴とする集合プリント配線基板
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−283959(P2009−283959A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−168392(P2009−168392)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168392(P2009−168392)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【Fターム(参考)】
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