説明

集団一斉授業のためのインターネットを利用した双方向教育システム

【課題】個別指導のみならず、他の教室への一斉授業への利用も可能であるなど、場所を選ばず自宅であろうと他の教室であろうと実技研修の屋外であろうと指導の動画映像と音声、プリント類がリアルタイムに享受でき、さらに、学習者と指導者との間、および学習者同士間などで、相互に自由に学習課題を共有することが出来るリアルタイム双方向教育システムを提供する。
【解決手段】 サーバーを備えるキーステーションと、前記サーバーにインターネットを介して接続された指導者PCと学習者PCとを含む双方向教育システムであって、IT環境を複合的に活用し双方向リアルタイムに鮮明な映像・音声・書類等を共有することで、一対一のみならず一対多もしくは多対多の実技指導を含む場面で円滑なコミュニケーションを成立させ教育を成り立たせる手段。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバーを備えるキーステーションと、サーバーにインターネットを介して接続された指導者PCと学習者PCとを含み、学習者はPCからキーステーションにアクセスすることで、任意の指導者の指導を映像と音声によって享受することが出来る。また、指導者と学習者はもちろん、学習者同士も双方向リアルタイムに会話することが出来、学習上の課題などが多角的にとらえられ指導効果の相乗効果が期待できる教育システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、教室に行かなくとも授業が提示される教育システムは、指導者が個別に指導するものでしかなかった。放送を利用した教育システムや、磁気テープなどの記録媒体を利用した教育システムなどがあった。このような教育システムが対象とする学習者は、学校で教わる授業内容に対する理解を補う目的の学習者や、学校で教わる授業内容よりさらに高度な内容を学習する目的の学習者だけでなく、離島、僻地、あるいは海外などに居住して、物理的および地理的に教室へ通えない学習者、または、不登校などの心理的および健康的などの他の原因で教室へ通えない学習者なども含むものである。
【0003】
従来のこのような教育システムは、提示した授業に対して学習者が十分に理解していても、または理解していなくとも、学習情報提供者から学習者へ学習に関する情報を一方的に提示するものであった。
【0004】
例えば、放送を利用した従来の教育システムでは、学習情報提供者側から授業内容を放送し、学習者側でその放送を受信して授業の提示を受けるものであり、各学習者の放送される授業内容に対する理解には関わらずに、次々と新しい授業内容が放送されるものであった。しかしながら、一般的に、学習者にとって理解できない授業内容があると、その授業内容に関連する、またはその授業内容から発展した授業内容は、学習者にとって理解できなくなってしまうものであった。同様のことは、授業の動画映像などを記録した記録媒体を用いる教育システムに関しても起こるものであった。
【0005】
学習者は、授業内容に対して理解できない内容があったために学習につまずくと、以降の学習意欲を失って、学習効率が低下するものであった。そこで、授業内容に対する理解の程度を確認するために、学習者が、授業内容に関連する問題を解いて、正解を導き出せるかどうか調べる方法があった。不正解であった場合に、学習者は、誤った問題に関連する内容を理解できていないという事実は判っても、実際に、どの内容は理解できていて、どの内容が理解できていないのかまでは判らないものであった。学習者にとって、自分が理解できている内容と理解できていない内容とが明確になれば、どの内容を自分で学習すれば良いかについての目標がはっきりして、学習意欲も向上するが、従来の教室に行かなくとも授業が提示される教育システムではそのようなことはできなかった。
【0006】
加えて、従来の教室に行かなくとも授業が提示される教育システムでは、学習者と教師との間、または学習者間でコミュニケーションする手段を有さないため、例えば、提示された授業に関する学習者の質問や疑問など理解し難い内容があっても、それらを教師または他の学習者に質問することができなかった。そのため、学習者は、理解し難い内容に関する疑問を即座に解決することなく、不十分な理解のままで以降の授業を提示されることになる。このことは、さらに以降の授業内容を理解し難い状況にして、学習者の学習意欲を持続させることが難しいものであった。
【0007】
また、コミュニケーションする手段が無いため、学習者は孤独な学習環境において学習せざるを得ず、学習者は、悩みごとを教師または他の学習者に相談することができなかった。すなわち、従来の教室に行かなくとも授業が提示される教育システムは、学習に関する情報を提供するだけのシステムであり、他者とのコミュニケーションのないシステムであり、不登校などの心理的な原因で教室へ通えない学習者に対しては、不適切なものであった。
【0008】
近年、インターネット技術が発達し、双方向に迅速に多量の情報を送受信できる環境が整ってきているが、教室に行かなくとも授業が提示される教育システムにおいて、学習者と学習情報提供者との間、または学習者同士の間で情報の双方向送受信を活用して、学習の効率を向上させ、または学習者の心のメンテナンスを図れるような教育システムは存在しなかった。
【0009】
サーバーが学習者の問題点を発見しそれに対する対策問題や課題を与え解決していく方式はあくまでもフローチャート式のルーティンワークのプログラムによるものであり、実際に授業に携わるものにとっては学習者の多様な問題点をカバーしきれるものではないとの指摘も多かった。
【0010】
さらに、教室に行かなくとも授業が提示される教育システムにおいては常に指導者側はサーバーを有する教室から授業を行うなど大がかりな設備が必要であり、実技指導の現場などから発信することには不便があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
専門的指導者のいる教室および指導現場に行く必要なく指導の動画映像を享受でき、さらに学習者と指導者との間、および学習者同士間などで、相互に自由に学習上の問題点を情報交換することができる、個別のみならず一斉授業に利用できるリアルタイムの双方向教育システムが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の双方向教育システムは、サーバーを備えるキーステーションと、前記サーバーにインターネットを介して接続された指導者PCと学習者PCとを含むリアルタイムの双方向コミュニケーションの図れる教育システムであって、サーバーは、指導者PCからの動画情報と音声による指導項目とプリント類配付をとりもつ機能を持つ。学習者PCは、映像および音声、プリント類の出力手段と入力手段とを有し、インターネットを介して前記サーバーに送信することが出来る。プロジェクターによってリアルタイムに授業を投影することで教室間相互に授業を共有することが出来、従来の録画媒体による指導や、個別指導のインターネット教育システムから大きく可能性を広げることが出来るものである。
【0013】
従来のコンピューター教育システムは、学習者の問題点をYES・NO判断によるフローチャート式に把握し対策を講じることを特徴としてきたが、本発明では指導者が画像、音声により学習者の問題点を把握し対策することを特徴とする。教育の現場において本発明は指導者の使うべき手段であり、決してその役割を代替するものではない。
【0014】
本発明のリアルタイム双方向教育システムは、キーステーションや指導者PCと学習者PCとの間、学習者PCと他の学習者PCとの間、指導者PCと学習者の保護者のPCとの間、または学習者の保護者のPCと他の学習者の保護者のPCとの間のみならず、キーステーションを介して他の教室同士など多数の学習者を擁するサテライト教室と相互に自由に情報交換をすることができるリアルタイムのコミュニケーション手段を含むことを特徴とする。
【0015】
コミュニケーション手段として、電子メール(eメール)、ホームページ、チャット、掲示板などを副次的に用いることはあるが、本発明のサーバー内の双方向同時に発信・受信可能な映像と音声により相互に自由に情報交換をすることができる。そのため、学習者は、孤独な学習環境ではなく、あたかも学校の教室で他の学習者と一緒に授業を受け、授業に関すること、日常生活のこと、進学・進路に関すること、または悩みに関することを話し合っているかのように、キーステーションあるいは他の学習者と情報交換することができる。そのため学習効率の向上、および教育システムへの積極的な参加への動機付けを継続することが可能となる。特に、このようなリアルタイムのコミュニケーション手段を備える双方向教育システムは、不登校などの心理的な原因で教室へ通えず、他者との間のコミュニケーションが苦手な学習者に対しては適切に機能する可能性がある。加えて、学習者の保護者を含む情報交換を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1に本発明のリアルタイム双方向教育システムの構成図を示す。
【0017】
図1に示されるリアルタイム双方向教育システムには、キーステーションと、指導者PC、学習者PCと、キーステーションと指導者PC、学習者PCとに接続され情報の双方向送受信を可能にするインターネットとを有する。
【0018】
指導者PCは、情報の入力・出力の手段として、キーボード、マウス、ヘッドセット、USBカメラ、webカメラ、スキャナー、プリンターなどを有する。
【0019】
学習者PCは、情報の入力・出力の手段として、キーボード、マウス、ヘッドセット、USBカメラ、スキャナー、プリンターなどを有する。また一斉授業では教室にプロジェクターを備えることで容易に集団指導に利用することが出来る。
【0020】
指導者、学習者はキーステーションのサーバーを介してリアルタイムに相互につながりあうことが可能で指導者Aの指導を学習者AとBが、指導者Bの指導を学習者Cが同時に享受することが可能である。
【0021】
学習者は、キーステーション1に対して、指導内容に関すること、技術的な質問、日常生活のこと、進学・進路に関すること、または悩みに関することを相談することができる。また、学習者同士間でもこのような相談や情報交換を行うことができる。このようなリアルタイムのコミュニケーションが可能であるため、指導内容に関する疑問を即座に解消して学習効率を向上させるだけでなく、教育システムへの積極的な参加意欲を継続することが可能となる。さらに、孤独な学習環境ではなく、同じ指導の提示を受けて学習する他の学習者と一緒に集団で学習するような環境を実現することができる。すなわち、本発明のリアルタイム双方向教育システムは、単なる学習情報を提供するだけの教育システムや、学習内容を機械的なフローチャート式のルーティンワークで処理し用意されたメッセージを送るだけのシステムではなく、学習者の心のメンテナンスを行うこともできる血の通った教育のための補助システムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明のリアルタイム双方向教育システムによって、従来の個別指導に利用されてきたインターネット教育システムを教室同士の規模で結びつけることが出来る。またそれのみならず、プールサイドであろうと屋外であろうとインターネット環境を得ることが出来る場所でありさえすれば黒板を備えた教室でなくとも、指導を映像、音声、プリント類でリアルタイムに享受することが出来、加えて、学習者と指導者との間、および学習者同士間などで、相互に自由に情報交換をすることができるため、広い地域の多数の学習者があたかも直接眼前で指導されたかのような学習効果を得ることが出来る。それは、事前に用意されたルーティンワークによって教師の役割を代替させるという発想のものではないため、指導者と生徒がリアルタイムに作り出していくという授業本来の醍醐味を阻害することなく味わえるため、本システムを利用する指導者の裁量または利用の仕方により、その及ぼす効果は数多くの可能性を秘めたものである。また、指導者のみならず本発明を利用しようという方々の利用形態によって、医療や介護、各種相談業務などへ利用が波及することも効果として大いに期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のリアルタイム双方向教育システムの構成図を示す。
【図2】学習者の享受する指導場面の動画映像の一例(書道実技の用筆法の板書例)を示す。
【図3】指導者が享受する学習者の様子の動画映像の一例を示す。動画情報により学習者の筆が必要以上に逆方向に傾いたことを指導者が発見した場面を示す。
【符号の説明】
【0024】
1 キーステーション
2 サーバー
3 4 5 指導者PC
6 指導者の入力・出力手段
10 インターネット
21、22、23 学習者PC
24 学習者の入力・出力手段
31 学習者PCに映し出される動画例
32 指導者PCに映し出された学習者
33 必要以上に逆方向に傾いた学習者の筆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバーを備えるキーステーションと、前記サーバーにインターネットを介して接続された指導者PCと学習者PCとを含む双方向教育システムであって、IT環境を複合的に活用し、双方向リアルタイムに鮮明な映像・音声・書類等を介して、一対一のみならず一対多もしくは多対多の実技指導を含む場面で、円滑なコミュニケーションにより教育を成り立たせることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−65291(P2008−65291A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274482(P2006−274482)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(506319628)株式会社新教育センター (1)
【Fターム(参考)】