説明

集水用側溝蓋、並びに集水用側溝蓋の成形方法、および集水用側溝蓋の集水案内部材

【課題】本発明は集水用側溝蓋、並びに集水用側溝蓋の成形方法、および集水用側溝蓋の集水案内部材に関し、自動車が上面を走行する等の大きな荷重が加わった場合に、側溝蓋には割れや亀裂が生じ難く、合成樹脂または金属にて形成された集水長孔部が陥没したり、抜け出たり、破損し難く、構造的に堅牢で、構造が簡単であり、側溝蓋の幅、長さ、高さが長短異なる場合にも、部品が共用されて集水用側溝蓋の製作、組立が容易に行え、設備費、資材費が安価になる。
【解決手段】蓋本体1の上面に合成樹脂または金属にて形成された集水案内部材2の上部に設けた平面視扁平な漏斗状の集水長孔部3が長手方向Iに開設され、集水案内部材の中央下方に下向きに設けた管状の導水管部4が側溝本体5の内部に向けて排水可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集水用側溝蓋、並びに集水用側溝蓋の成形方法、および集水用側溝蓋の集水用案内部材に関し、新設または既設の側溝本体に、集水機能に優れた側溝蓋または暗渠形式の側溝蓋を容易かつ確実に装備し得るようにするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、集水機能を備えた側溝蓋として、蓋板の上面形状を皿形状や略V字形状、あるいは片傾斜形状、L型形状、もしくはフラット形状とし、蓋板の中央部には縦方向あるいは横方向に1〜数個の逆V字状の漏斗形状としたスリット孔を設け、あるいは前記スリット孔に連通した浅い集水溝を配置した構成により、雨水などの路上の表面水の集水機能を発揮し、該蓋板側面に幅方向や長さ方向の位置規制用の凸部を形成した構成により、車両走行によるガタツキ騒音の低減をはかるようにしたものがあった(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−235365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、集水機能を備えた従来の側溝蓋では、その上面形状を皿形状や略V字形状、あるいは片傾斜形状、L型形状、もしくはフラット形状とした蓋板の中央部に縦方向或いは横方向に1〜数個設けられたスリット孔は、下方を広げた逆Vの漏斗形状に形成されているので、スリット孔を介して溝本体は幅方向に2分割されて分断される傾向であるため、構造的に脆弱であり、割れを生じ易く、重量が大きな自動車が蓋板の上面を走行するというような大きな荷重が加わった場合には、荷重に耐えきれずに、蓋板は割れや亀裂を生じてしまうおそれがあった。
【0005】
また、特許文献1に記載された従来の側溝蓋では、前記スリット孔を補強するために、スリット孔内に埋め込まれるスリット用補強材は、金属または合成樹脂により前記スリット孔の内周に略合致する枠体の内部を多数の仕切板により仕切った構成なので、構造が複雑であり、製作および組立が容易には行えなかった。しかも、スリット孔は、断面が下方を広げた逆Vの漏斗形状に形成されているので、スリット孔内にスリット用補強材を埋設した場合にも、自動車が蓋板の上面を走行する場合に、その荷重によりスリット用補強材がスリット孔から陥没し易く、抜け出て脱落したり、破損し易い。
【0006】
また、断面が下方を広げた逆Vの漏斗形状に形成されたスリット孔内に埋設されるスリット用補強材は、前記スリット孔の内周に略合致する高さおよび長さを有する枠体の内部を多数の仕切板により仕切った構成なので、側溝本体の大きさ、すなわち、幅および長さが長短異なると、側溝本体の大きさの大小に応じて側溝蓋の幅、長さ、側溝蓋の高さ(厚み)は高低異なる。従って、側溝蓋の幅、長さ、側溝蓋の高さが長短異なるのに相違して、側溝蓋を成形するためには、専用の型枠が必要になるとともに、スリット孔の内周を補強するために、スリット孔内に埋め込まれるスリット用補強材もスリット孔の幅、長さ、高さが異なる幾種類もの用材を用意しなければならないという制約があり、製作が容易には行えず、部品数が多くなることから、型枠代をはじめ設備費および資材費が高額になり、製作コストが高価になり、不経済であった。
【0007】
本発明は上記従来の欠点を解決するためになされたものであり、自動車が上面を走行する等の大きな荷重が加わった場合に、側溝蓋には割れや亀裂が生じ難く、また、合成樹脂または金属にて形成された集水長孔部が陥没したり、抜け出たり、破損し難く、構造的に堅牢であり、また、構造が簡単であり、側溝蓋の幅、長さ、高さが長短異なる場合にも、専用の型枠を必要とすることなく、しかも部品が共用されて集水用側溝蓋の製作および組立が容易に行え、設備費および資材費が安価になり、製作コストが低廉な集水用側溝蓋、並びに集水用側溝蓋の成形方法、および集水用側溝蓋の案内部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の発明は、蓋本体の上面に合成樹脂または金属にて形成された集水案内部材の上部に設けられた平面視扁平な漏斗状の集水長孔部が長手方向に開設され、前記集水案内部材の中央下方に下向きに設けられた導水管部が側溝本体の内部に向けて排水可能に設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記集水案内部材が、前記集水長孔部の長手方向に交差する外側一方に、案内溝を上下互い違いに有する把持アーム部が複数個設けられ、集水案内部材の該把持アーム部はガイド用鉄筋が嵌入されることにより設置向きが整列化されて調整可能に設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記集水案内部材の前記導水管部が、前記蓋本体の厚みに応じて長さが調整される排水短管と、該排水短管の下方外周に嵌入されるゴムまたは合成樹脂よりなる設置高さ決定リングとを介して前記蓋本体の下面に設けられた導出孔に組付けられることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1−3において、前記蓋本体の上面には、前記集水長孔部に向かう下り勾配の傾斜面が側溝本体の幅方向に設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1−4において、前記蓋本体の上面に集水溝が長手方向に設けられ、前記集水溝の底部には前記集水案内部材の前記集水長孔部が適宜間隔に複数個開設されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項6に記載の発明は、側溝本体の対向する蓋がかり部に敷設される側溝蓋の成形方法であって、
強化繊維入りコンクリートにより平面略矩形に形成されてその側端から所望幅に長手方向に所望間隔にて複数個の導出孔が設けられた型枠板を前記蓋掛かり部に載置する工程と、
前記型枠板の上面に縦横に鉄筋を配筋する工程と、
合成樹脂または金属にて形成され平面視扁平な漏斗状の集水長孔部を有し、該集水長孔部の中央下面に設けた導水管部が排水短管を介して前記導出孔に組付けられる工程と、
前記蓋掛かり部の左右の立壁と、前記型枠板とにより囲まれる凹部内にコンクリートを打設する工程と、を備えることにより成形される
ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項7に記載の発明は、合成樹脂または金属にて形成され上部には蓋本体の上面に長手方向に開設される扁平な漏斗状の集水長孔部を有し、該集水長孔部の中央下方には導水管部が下方に向けて設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項8に記載の発明は、請求項7において、前記集水長孔部の長手方向に交差する外側一方には、案内溝を上下互い違いに有する把持アーム部が複数個設けられ、該把持アーム部にはガイド用鉄筋が長手方向に嵌入されることにより前記集水長孔部の設置向きが整列化されて調整可能に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、蓋本体の上面に合成樹脂または金属にて形成された集水案内部材の上部に設けられた平面視扁平な漏斗状の集水長孔部が長手方向に開設され、前記集水案内部材の中央下方に下向きに設けられた導水管部が側溝本体の内部に向けて排水可能に設けられているので、自動車が側溝蓋の上面を走行する等の大きな荷重が加わった場合に、側溝蓋には割れや亀裂が生じ難く、また、合成樹脂または金属にて形成された集水長孔部が陥没したり、抜け出たり、破損し難く、構造的に堅牢にして構造が簡単であり、側溝蓋の幅、長さ、高さが長短異なる場合にも、専用の型枠を必要とすることなく、しかも部品が共用されて製作および組立が容易に行え、設備費および資材費が安価で、製作コストが低廉である。
【0017】
また、本発明の請求項2に記載の発明によれば、請求項1において、前記集水案内部材が、前記集水長孔部の長手方向に交差する外側一方に案内溝を上下互い違いに有する把持アーム部が複数個設けられ、該把持アーム部はガイド用鉄筋が嵌入されることにより前記集水案内部材の設置向きが整列化されて調整可能に設けられているので、蓋本体に対して複数個の集水案内部材の設置向きを整列化して配列するには、集水案内部材の集水長孔部の長手方向に交差する外側一方に上下互い違いに設けた案内溝を有する把持アーム部内にガイド用鉄筋を嵌入することにより、集水案内部材の集水長孔部は長手方向に設置向きが整列化して配列される。
【0018】
また、本発明の請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2において、前記集水案内部材の前記導水管部が、前記蓋本体の厚みに応じて長さが調整される排水短管と、該排水短管の下方外周に嵌入されるゴムまたは合成樹脂よりなる設置高さ決定リングとを介して前記蓋本体の下面に設けられた導出孔に組付けられるので、側溝蓋の幅、長さ、高さが長短異なる場合にも、前記集水案内部材の導水管部を、前記蓋本体の厚みに応じて長さが調整される排水短管と、該排水短管の下方外周に嵌入されるゴムまたは合成樹脂よりなる設置高さ決定リングとを介して蓋本体の下面に設けられた導出孔に組付けるようにすれば、側溝蓋の幅、長さが異なり、高さが長短異なる場合にも、専用の型枠を必要とすることなく、しかも部品が共用されて製作および組立が容易に行え、設備費および資材費が安価で、製作コストが低廉に済む。
【0019】
また、本発明の請求項4に記載の発明によれば、請求項1−3において、前記蓋本体の上面には、前記集水長孔部に向かう下り勾配の傾斜面が側溝本体の幅方向に設けられているので、雨水は蓋本体の上面に、幅方向に設けられた下り勾配の傾斜面を集水長孔部に向かって流れ下り、集水長孔部から導水管部、および導出孔を経て側溝本体内に設けられた流水孔内に効率良く集水されて流入される。
【0020】
また、本発明の請求項5に記載の発明によれば、請求項1−4において、前記蓋本体の上面に集水溝が長手方向に設けられ、前記集水溝の底部には前記集水案内部材の前記集水長孔部が適宜間隔に複数個開設されるので、雨水は蓋本体の上面に設けられた集水溝に集水され、この集水溝を流れ下り、集水溝の底部に複数個開設される集水案内部材の集水長孔部から導水管部、および導出孔を経て側溝本体内に設けられた流水孔に効率良く集水されて流入される。
【0021】
また、本発明の請求項6に記載の発明によれば、側溝本体の対向する蓋がかり部に敷設される側溝蓋の成形方法であって、強化繊維入りコンクリートにより平面略矩形に形成されてその側端から所望幅に長手方向に所望間隔にて複数個の導出孔が設けられた型枠板を前記蓋掛かり部に載置する工程と、前記型枠板の上面に縦横に鉄筋を配筋する工程と、合成樹脂または金属にて形成され平面視扁平な漏斗状の集水長孔部を有し、該集水長孔部の中央下面に設けた導水管部が排水短管を介して前記導出孔に組付けられる工程と、前記蓋掛かり部の左右の立壁と、前記型枠板とにより囲まれる凹部内にコンクリートを打設する工程と、を備えることにより成形されるので、例えば施工現場において側溝蓋の幅、長さ、高さが長短異なる場合にも、専用の型枠を必要とすることなく、しかも部品が共用されて製作および組立が容易に行え、設備費および資材費が安価で、製作コストが低廉であり、また、自動車が側溝蓋の上面を走行する等の大きな荷重が加わった場合に、側溝蓋には割れや亀裂が生じ難い。また、集水案内部材は、合成樹脂または金属にて形成された集水長孔部が大きな荷重を受けても陥没したり、抜け出たり、破損し難く、構造的に堅牢であり、また、構造が簡単である。
【0022】
また、本発明の請求項7に記載の発明によれば、合成樹脂または金属にて形成され上部には蓋本体の上面に長手方向に開設される扁平な漏斗状の集水長孔部を有し、該集水長孔部の中央下方には導水管部が下方に向けて設けられているので、集水案内部材は合成樹脂または金属にて多量にかつ製作コストが安価に量産されて製作することができる。また、側溝蓋の幅、長さ、高さが長短異なる場合にも、専用の型枠を必要とすることなく、しかも部品として、集水案内部材が共用されて製作および組立が容易に行え、設備費および資材費が安価で、製作コストが低廉になる。また、自動車が側溝蓋の上面を走行する等の大きな荷重が加わった場合に、側溝蓋には割れや亀裂が生じ難い。また、合成樹脂または金属にて形成された集水案内部材の集水長孔部が上方から大きな荷重を受けても陥没したり、抜け出たり、破損し難く、構造的に堅牢であり、しかも、構造も簡単である。
【0023】
また、本発明の請求項8に記載の発明によれば、請求項7において、前記集水長孔部の長手方向に交差する外側一方には、案内溝を上下互い違いに有する把持アーム部が複数個設けられ、該把持アーム部にはガイド用鉄筋が長手方向に嵌入されることにより前記集水長孔部の設置向きが整列化されて調整可能に設けられているので、蓋本体に対して複数個の集水案内部材を設置向きを整列化して配列するには、集水案内部材の、集水長孔部の長手方向に交差する外側一方に上下互い違いに設けられた案内溝を有する把持アーム部内にガイド用鉄筋を嵌入させることにより、集水案内部材の、集水長孔部は長手方向に設置向きが整列化され、調整される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本発明の集水用側溝蓋の実施形態1を示す説明的な斜視図である。
【図2】図2は同じく側溝蓋の成形時に側溝本体の蓋掛かり部に型枠板を敷設し、配筋をなした状態の説明的な斜視図である。
【図3】図3は同じく本実施形態1の集水用案内部材を型枠板の上面に整列化した状態の斜視図である。
【図4】図4は同じく型枠板に設けた導出孔と集水案内部材とを接続する状態の分解斜視図である。
【図5】図5は同じく型枠板に設けた導出孔と集水案内部材とを接続した状態の断面図である。
【図6】図6は本発明の集水用側溝蓋の実施形態2を示す斜視図である。
【図7】図7は本発明の集水用側溝蓋の実施形態3を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に従って本発明の実施の最良の形態により、本発明の詳細を説明する。
【0026】
<実施形態1>
先ず、図1ないし図5に従い、本発明の集水用側溝蓋を暗渠形のものにつき説明する。この実施形態1では、蓋本体1の上面に合成樹脂または金属にて形成された集水案内部材2の上部に設けられた平面視扁平な漏斗状の集水長孔部3が長手方向Iに開設され、前記集水案内部材2の中央下方に下向きに設けられた管状の導水管部4が側溝本体5の内部に向けて排水可能に設けられている。
【0027】
前記蓋本体1は、例えば工場において成形されることも可能であるし、または施工現場において最適に成形される。また、側溝本体5としては、新たに工場にて成形される新設のものまたは既に工場にて成形されて施工現場にて敷設された既設のものが用いられる。6は側溝本体5の上部に対向して設けられる蓋掛かり部であり、この蓋掛かり部6,6には前記蓋本体1が敷設される。6Aは前記蓋掛かり部6,6の対向する立壁である。
【0028】
7は後述するように、本実施形態1の集水用側溝蓋を成形する場合に、使用される型枠板であり、この型枠板7は前記蓋掛かり部6,6に載置され、強化繊維入りコンクリートにより平面略矩形に形成されてその側端から所望位置をもって長手方向Iに所望間隔Pにて導出孔7aが設けられている。前記導出孔7aは、後記排水短管9が嵌入される内形状、寸法に形成される。前記型枠板7を成形するための強化繊維入りコンクリート板に用いられる強化繊維は、例えばガラス繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、ポリアラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリル繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレン繊維の何れかが使用される。この強化繊維コンクリートよりなる型枠板7は、保管と運搬とを便宜にするために、縦の長さL1と、幅方向Wの横の長さL2とが規格化されたものを、例えばダイヤモンド・カッターを用いて所望の長さ、および幅に裁断することも可能である。また、強化繊維入りコンクリート板は、曲げ強度が、10.0〜30.0(N/mm2)であり、圧縮強度は50(N/mm2)以上である。また、前記強化繊維入りコンクリートには、後述のコンクリートCの打設面をショットブラスト加工により表面が粗面となった付着面7bを設けている。この付着面7bによってコンクリートCは型枠板7と付着し、一体の構造となる。
【0029】
前記集水案内部材2の扁平な漏斗状の集水長孔部3の長さl、および幅wは好適なものに選定され、および前記集水長孔部3の内底面の傾斜角度θは、15度〜45度の範囲内の好適なものに選定される。また、前記集水案内部材2が、前記集水長孔部3の長手方向Iに交差する外側一方に断面略楕円形の案内溝Uを上下互い違いに有する把持アーム部3A,3Bが複数個、例えば、図1、図3、図4では2個設けられ、該把持アーム部3A,3Bの案内溝U,Uにはガイド用鉄筋8が嵌入されることにより前記集水案内部材2の設置向きが整列化されるように調整可能に設けられている。
【0030】
9は、本実施形態1の集水用側溝蓋を成形する時に、側溝本体5の大きさの大小に応じて前記集水案内部材2の前記導水管部4が、前記蓋本体1の高さ、すなわち厚みTに応じて長さL3が調整される排水短管であり、この排水短管9と、該排水短管9の下方外周に嵌入されるゴムまたは合成樹脂よりなる設置高さ決定リング10とを介して前記蓋本体1の下面に設けられた導出孔7aに組付けられ、蓋本体1の高さ、すなわち厚みTが厚薄異なる場合にも、集水案内部材2の用材として、その共用化をはかることができ、特許文献1に記載された従来の側溝蓋とは異なり、専用の型枠板を必要とすることなく、単に板状の前記型枠板7を用いることによって集水用側溝蓋を成形することができる。この排水短管9としては、塩化ビニールそのほかの合成樹脂管が使用される。
【0031】
なお、図中、11は本実施形態1の集水用側溝蓋を成形する際に、型枠板7の上面に縦横に配筋される構造材としての鉄筋であり、この鉄筋11が設けられることにより、集水用側溝蓋の強度が向上される。
【0032】
Cは、本実施形態1の集水用側溝蓋を成形する際に、前記蓋掛かり部6,6の左右の立壁6A,6Aと、前記型枠板7とにより囲まれる凹部12内に打設される後打ちのコンクリートである。
【0033】
本発明の集水用側溝蓋の実施形態1は以上の構成からなり、以下この側溝蓋の形成工法とともに、作用を工程順に説明する。
【0034】
先ず、第1工程として、側溝本体5の対向する蓋がかり部6,6に敷設される側溝蓋の形成方法であって、強化繊維入りコンクリートにより平面略矩形に形成されてその側端から所望幅に長手方向Iに所望間隔Pにて複数個の導出孔7a,7a・・・が設けられた型枠板7を対向する前記蓋掛かり部6,6に載置する。
【0035】
次いで第2工程として、前記型枠板7の上面に縦横に鉄筋11を配筋する。このように、鉄筋11が縦横に配筋されるから、集水蓋は、引張力、および圧縮力を受けても強度を発揮する。
【0036】
第3工程として、合成樹脂または金属にて形成され平面視扁平な漏斗状の集水長孔部3を有し、該集水長孔部3の中央下面に設けた管状の導水管部4を排水短管9を介して前記導出孔7aに組付ける。
【0037】
この際、本実施形態1の集水用側溝蓋は、前記集水案内部材2が、前記集水長孔部3の長手方向Iに交差する外側一方に断面略半円形の案内溝U、Uを上下互い違いに有する把持アーム部3A,3Bが複数個、図1、図3、図4では2個が設けられているので、該把持アーム部3A,3Bにガイド用鉄筋8を嵌入することにより成形すべき蓋本体1に対して集水案内部材2,2・・の設置向きが一直線にかつ整然と、しかも迅速かつ確実に整列化して配列できる。
【0038】
また、本実施形態1の集水用側溝蓋は、例えば側溝本体5の大きさの大小に応じて施工現場において側溝蓋の幅、長さが異なり、高さ、すなわち、厚みTが異なる場合には、前記集水案内部材2の集水長孔部3の中央下面に設けた管状の導水管部4の下方に接続される排水短管9に対してゴムまたは合成樹脂よりなる設置高さ決定リング10の下方外周への嵌入位置を調整することにより、前記蓋本体1の厚みTに応じて排水短管9の長さL3を調整してから、蓋本体1の厚みTに応じてこの排水短管9を蓋本体1の下面に設けられた導出孔7aに嵌入し、組付けることができる。従って、蓋本体1の高さ、すなわち厚みTが厚薄異なる場合にも、専用の型枠を必要とすることなく、集水案内部材2の用材としての共用化をはかることができるため、特許文献1に記載された従来の集水機能を備えた側溝蓋では、断面が下方を広げた逆Vの漏斗形状に形成されたスリット孔内に、埋設されるスリット用補強材は、該スリット孔の内周に略合致する高さおよび長さを有する枠体の内部を多数の仕切板により仕切った構成であり、側溝本体の大きさ、すなわち、幅および長さが長短異なるのに起因してスリット用補強材もスリット孔の幅、長さ、高さが異なった幾種類ものもの用材を用意しなければならないという制約があり、製作が容易には行えず、部品数が多くなることから設備費および資材費が高額になり、製作コストが高価であって不経済であったのとは異なり、しかも側溝蓋の幅、長さが異なり、高さ、すなわち、厚みTが異なる場合にも、用材として集水案内部材2が共用されることにより製作および組立が容易に行え、設備費および資材費が安価で、製作コストが低廉である。
【0039】
そして、設置高さ決定リング10は、前述のように、ゴムまたは合成樹脂により形成されているので、排水短管9に対する摩擦力が大きく、確実に取付け高さを決定することができるとともに、緩衝性が発揮され、集水案内部材2は緩みやずれを生ずることはない。
【0040】
第4工程として、前記蓋掛かり部6,6の左右の立壁6A,6Aと、前記型枠板7とにより囲まれる凹部12内に例えば施工現場において、コンクリートCを打設し、その後、養生、固化することにより集水用側溝蓋は成形される。
【0041】
このようにして成形された集水用側溝蓋は、雨が降った場合に、雨水は蓋本体1の上面に、平面視扁平な漏斗状に長手方向Iに開設された集水案内部材2の集水長孔部3から、導水管部4、および導出孔7aを経て側溝本体5内に設けられた流水孔5Aに効率良く集水されて流入され、流水孔5Aにて流出される。
【0042】
この際、前記集水案内部材2は、合成樹脂または金属により成形され、平面視扁平な漏斗状の集水長孔部3の長さl、および幅wは好適なものに選定され、そして前記集水長孔部3の内底面の傾斜角度θは、15度〜45度の範囲内の好適なものに選定されるので、雨水は漏斗状の集水案内部材2の内底面の傾斜面を中心の導水管部4に向かって左右から迅速かつ円滑に流れ落ちる。従って、集水長孔部3に砂、ごみが詰まることはない。
【0043】
そして、本実施形態1の集水用側溝蓋は、側溝本体5の対向する蓋がかり部6,6に載置された強化繊維入りコンクリートよりなる型枠板7と、前記蓋がかり部6,6の立壁6A,6Aとで構成される凹部12内に、コンクリートCを打設し、養生、固化することにより成形されるので、型枠板7が捨型枠となって型枠板7とコンクリートCとが型枠板7に設けられた付着面7bを介して一体に構成され、専用の型枠板を必要とすることなく、製作および組付けは容易かつ確実に行え、効率的である。
【0044】
しかも、本実施形態1の集水用側溝蓋は、前述のように、型枠板7とコンクリートCとが一体に構成され、蓋本体1の内部には鉄筋11が縦横に配筋されているので、蓋本体1は引張り、および圧縮に対して強度が発揮される。従って、自動車が蓋本体1の上面を走行する等の大きな荷重が加わった場合に、側溝蓋には割れや亀裂が生じ難い。
【0045】
また、合成樹脂または金属にて形成された集水案内部材の集水長孔部3は、側溝蓋の上面に自動車が走行する等して大きな荷重を受けても蓋本体1に埋設されているので、特許文献1に記載された従来の集水機能を備えた側溝蓋では、断面が下方を広げた逆Vの漏斗形状に形成されたスリット孔内に埋設されたスリット用補強材に対して自動車が蓋板の上面を走行した場合に、その荷重によりスリット用補強材がスリット孔から陥没し易く、抜け出て脱落したり、破損し易く、陥没したり、抜け出たりするのとは異なり、集水案内部材2の集水長孔部3は破損し難く、構造的に堅牢である。
【0046】
また、本実施形態1で使用される集水案内部材2は、合成樹脂または金属にて形成され上部には蓋本体1の上面に長手方向Iに開設される扁平な漏斗状の集水長孔部3を有し、該集水長孔部3の中央下方には導水管部4が下方に向けて設けられているので、集水案内部材2は合成樹脂または金属にて多量にかつ製作コストが安価に量産して製作することができ、しかも構造が簡単である。
【0047】
<実施形態2>
図6に示すものは、本発明の集水用側溝蓋の実施形態2である。前記実施形態1では、蓋本体1の上面が平坦に成形されるが、この実施形態2では、前記蓋本体1の上面には、前記集水長孔部3に向かう下り勾配θ1の傾斜面20が幅方向Wに設けられている構成により、雨水は蓋本体1の上面に、幅方向Wに設けられた下り勾配θ1の傾斜面20を集水長孔部3に向かって流れ下り、集水長孔部3から導水管部4、排水短管9、導出孔7aを経て側溝本体5内に設けられた流水孔5A内に効率良く集水されて流入される効果があるほかは、前記実施形態1と同様の構成であり、効果を奏する。
【0048】
<実施形態3>
図7に示すものは、本発明の集水用側溝蓋の実施形態3である。この実施形態3では、前記蓋本体1の上面に集水溝30が長手方向Iに設けられ、前記集水溝30の底部30aには前記集水案内部材2の前記集水長孔部3が適宜間隔に複数個開設されている構成により、雨水は蓋本体1の上面に設けられた集水溝30に集水され、この集水溝30を流れ下り、集水溝30の底部30aに複数個開設される集水案内部材2,2・・・の集水長孔部3から導水管部4、排水短管9、および導出孔7aを経て側溝本体5内に設けられた流水孔5Aに効率良く集水されて流入されるほかは、前記実施形態1と同様の構成であり、同様の効果を奏する。なお、図7では集水溝30および集水案内部材2は蓋本体1の上面中央より幅方向Wに偏位して設けられているが、これに限らず、集水溝30および集水案内部材2は蓋本体1の上面中央に設けられてもよい。
【0049】
また、上記説明では、暗渠形式の集水用側溝蓋につき、代表的に説明しているが、これに限らず、集水蓋を側溝本体5に対して開閉可能とする開渠形の側溝蓋を成形する場合も本発明の適用範囲である。
【0050】
しかも、導水管部4の外形状は、図示するものに限らず、その改変は自由に行える。
【0051】
そして、図示する上記説明では、集水案内部材2の集水長孔部3の外側一方に、把持アーム部3A,3Bを設けているが、これに限ることなく、集水長孔部3の外側他方に、把持アーム部3A,3Bを設けることにより、ガイド用鉄筋8を用いて集水案内部材2の設置向きを整列化する場合も本発明の適用範囲である。また、集水案内部材2の集水長孔部3の配列、増減変更は、図示するものに限らず、自由に行える。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は自動車が上面を走行する等の大きな荷重が加わった場合に、側溝蓋には割れや亀裂が生じ難く、また、合成樹脂または金属にて形成された集水長孔部が陥没したり、抜け出たり、破損し難く、構造的に堅牢であり、そして、構造が簡単であり、側溝蓋の幅、長さ、高さが長短異なる場合にも、部品が共用されて集水用側溝蓋の製作および組立が容易に行え、設備費および資材費が安価になり、製作コストが低廉な用途・機能に適する。
【符号の説明】
【0053】
1 蓋本体
2 集水室内部材
3 集水長孔部
3A 把持アーム部
3B 把持アーム部
4 導水管部
5 側溝本体
5A 流水孔
6 蓋掛かり部
6A 立壁
7 型枠板
7a 導出孔
7b 付着面
8 ガイド用鉄筋
9 排水短管
10 設置高さ決定リング
11 鉄筋
12 凹部
C コンクリート
I 長手方向
P 間隔
U 案内溝
W 幅方向
l 長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋本体の上面に合成樹脂または金属にて形成された集水案内部材の上部に設けられた平面視扁平な漏斗状の集水長孔部が長手方向に開設され、前記集水案内部材の中央下方に下向きに設けられた導水管部が側溝本体の内部に向けて排水可能に設けられていることを特徴とする集水用側溝蓋。
【請求項2】
前記集水案内部材が、前記集水長孔部の長手方向に交差する外側一方に案内溝を上下互い違いに有する把持アーム部が複数個設けられ、集水案内部材の該把持アーム部はガイド用鉄筋が嵌入されることにより設置向きが整列化されて調整可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の集水用側溝蓋。
【請求項3】
前記集水案内部材の前記導水管部が、前記蓋本体の厚みに応じて長さが調整される排水短管と、該排水短管の下方外周に嵌入されるゴムまたは合成樹脂よりなる設置高さ決定リングとを介して前記蓋本体の下面に設けられた導出孔に組付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の集水用側溝蓋。
【請求項4】
前記蓋本体の上面には、前記集水長孔部に向かう下り勾配の傾斜面が側溝本体の幅方向に設けられていることを特徴とする請求項1−3の何れかに記載の集水用側溝蓋。
【請求項5】
前記蓋本体の上面に集水溝が長手方向に設けられ、前記集水溝の底部には前記集水案内部材の前記集水長孔部が適宜間隔に複数個開設されることを特徴とする請求項1−4の何れかに記載の集水用側溝蓋。
【請求項6】
側溝本体の対向する蓋がかり部に敷設される側溝蓋の成形方法であって、
強化繊維入りコンクリートにより平面略矩形に形成されてその側端から所望幅に長手方向に所望間隔にて複数個の導出孔が設けられた型枠板を前記蓋掛かり部に載置する工程と、
前記型枠板の上面に縦横に鉄筋を配筋する工程と、
合成樹脂または金属にて形成され平面視扁平な漏斗状の集水長孔部を有し、該集水長孔部の中央下面に設けた導水管部を排水短管を介して前記導出孔に組付ける工程と、
前記蓋掛かり部の左右の立壁と、前記型枠板とにより囲まれる凹部内にコンクリートを打設する工程と、を備えることにより成形される
ことを特徴とする集水用側溝蓋の成形方法。
【請求項7】
合成樹脂または金属にて形成され上部には蓋本体の上面に長手方向に開設される扁平な漏斗状の集水長孔部を有し、該集水長孔部の中央下方には導水管部が下方に向けて設けられていることを特徴とする集水用側溝蓋の集水案内部材。
【請求項8】
前記集水長孔部の長手方向に交差する外側一方には、案内溝を上下互い違いに有する把持アーム部が複数個設けられ、該把持部にはガイド用鉄筋が長手方向に嵌入されることにより前記集水長孔部の設置向きが整列化されて調整可能に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の集水用側溝蓋の集水案内部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−225086(P2012−225086A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94979(P2011−94979)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(591077678)インフラテック株式会社 (17)
【Fターム(参考)】