説明

集積ディスプレイ装置

複数のグループに結合されている複数の表示素子(Dx)を有するディスプレイと、ディスプレイを制御するさまざまな回路部とを備えた集積ディスプレイ装置を説明する。ディスプレイは、特に、例えば、行および列に配された表示素子の形式をとるグループを有する(PまたはO)LEDマトリックスのようなピクセルベースのディスプレイである。回路部の動作原理は、シフトレジスタのそれであり、走査線およびデータ線用の通常の(N×M)個の外部接触は、8または10個のそのような接触に減らすことができる。この回路部の本質的な利点は、回路部が、1つの回路ボード上のディスプレイ装置に、マトリックスディスプレイとともに集積化できることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のグループに結合されている複数の表示素子を有するディスプレイを備えた集積ディスプレイ装置、特に、例えば、行および列に配された表示素子の形式をとるグループを有する(PまたはO)LEDマトリックスのようなピクセルベースのディスプレイを備えた集積ディスプレイ装置、また、このようなディスプレイを制御する回路部を備えた集積ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ピクセルベースのディスプレイは、例えばPLED(ポリマーLED)またはOLED(有機LED)のようなLEDのような、N行およびM列の形式をとる複数のグループに配された個々の表示素子のマトリックス型配置から例えば構成される。最も単純な場合、各行および各列は、表示素子を制御し、または、給電する固有の電気的接触を有するので、ディスプレイは、全部で(N+M)個の外部の電気的接続を有することになる。接続の数、そして、関連する駆動回路の費用は、非常に多くの表示素子を有するディスプレイの場合に特に非常に高くなるが、これは欠点とみなされている。
【0003】
ある手段によってこのようなディスプレイの外部接続の数を減らすさまざまな提案がすでになされている。
【0004】
例えば、欧州特許0809228号は、LEDマトリックスディスプレイの行および/または列を制御または選択するデコーダまたはシフトレジスタを有する駆動回路部を開示している。しかしながら、この駆動回路装置の欠点は、デコーダ素子またはバスラインの数が依然として比較的多い点にある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、必要な外部接続端子の数をもっと劇的に減らす、冒頭で説明したような集積ディスプレイ装置を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、ディスプレイとディスプレイを制御する回路部とを、スペースをセーブするように共通のチップ上に収めることができる、冒頭で説明したような集積ディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1にしたがって、
複数のグループに結合されている複数の表示素子(Dx)を有するディスプレイと、
第1のクロック信号により閉じることができ、第2のクロック信号により開くことができる複数のスイッチ(Sw1,Sw2,...)および複数のインバータ(In1,In2,...)を有し、前記ディスプレイを制御する回路部であって、前記スイッチおよびインバータは、表示素子(Dx)の各グループが各インバータ(In1,In2,...)の出力部に接続されるように、交互に直列に接続されている回路部と、
第3のクロック信号が前記直列回路部の入力部に入力されると、一度に少なくとも1つのグループの表示素子(Dx)が次々に選択されていくように、前記第1および前記第2のクロック信号を前記直列回路部の第1、第3、第5、などのスイッチ(Sw1,Sw3,Sw5,...)に交番で入力し、前記第2および前記第1のクロック信号を第2、第4、第6、などのスイッチ(Sw2,Sw4,Sw6,...)に交番で入力するのを媒介する少なくとも1つのクロックバスライン(Φ1,Φ2)とを有する集積ディスプレイ装置によって達成される。
【0008】
この解決方法の特別な利点は、クロックバスラインが以下で説明する理由により比較的小さいキャパシタンスしか有せず、また、クロックバスラインをディスプレイの端部で配することができることにある。これにより、第1に、個々の表示素子を相互により短い距離で配することができるという結果、第2に、クロックバスラインは比較的大きな幅を有することができるので、これらのラインの対応する低い抵抗と比較的短いRC時間が達成されるという結果を生じる。
【0009】
この解決方法の他の利点は、ディスプレイ装置を、表示素子のグループのインターレースおよびノンインターレース動作の双方で構築できることである。
【0010】
ここで、シフトレジスタの回路構成は、もちろん、画像記録を行うCCDチップを制御するために提供される米国特許4,723,168号および米国特許4,903,284号に認められるが、LEDマトリックス用ではないことに注意されたい。したがって、この従来技術は、本発明に関連するものとしてはみなされない。
【0011】
従属請求項は、本発明の他の好適な実施態様に関する。
【0012】
請求項2の実施態様により、一方で、表示素子の比較的高い密度を実現することができる(すなわち、これらの素子間の距離が短くなる)。他方で、クロックバスラインには、比較的大きな幅を与えて、その抵抗が対応して小さくなるようにしてもいよい。
【0013】
請求項3の実施態様は、好ましくは集積ディスプレイ装置の一部として与えられるディスプレイの配置に関する。
【0014】
請求項4は、回路部の好適な実現に関する。
【0015】
請求項5および6は、表示素子のグループのノンインターレース制御のための回路部を有するディスプレイ装置に関する。
【0016】
これに対し、請求項7から9は、表示素子のグループのインターレース制御に関する。これらの実施態様は、ディスプレイの走査線ばかりではなく、データ線も制御することができるという利点をも有する。
【0017】
本発明のさらなる詳細、特徴、利点は、図面を参照して与えられる、好ましい実施態様の詳細な記載からあきらかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、公知のパッシブ(PまたはO)LEDマトリックスディスプレイを概略的に示しており、図2は、公知のアクティブディスプレイを示している。ディスプレイは、3つの水平方向の行(N=3)および3つの垂直方向の列(M=3)の形式をとるグループに配された表示素子Dxを有するので、(PまたはO)LED素子の形式をとる全部で9個の表示素子Dx(画素)を制御することができる。行は、ディスプレイの動作している間、次々にアドレスされる。すなわち、行は、電源電圧の正極V+に連続して次々に接続され、その結果、選択される(走査線)のに対し、表示される画像情報を含む信号(データ線)は列V1−,V2−,V3−に出力される。これらの信号は、任意の時刻においてその瞬間に選択されている行に応じて公知の方法で出力される。したがって、このようなディスプレイを制御するのに必要な外部接続(一般にはボンド接続)の数は、(N+M)個となる。ここで説明している場合では、これらは6個の接続端子である。
【0019】
図3は、走査線、すなわち、図3の場合では、アクティブまたはパッシブマトリックスディスプレイの水平方向の行R1,R2,...、を制御する、本発明の第1の回路部を示している。表示素子は、アクティブおよび/またはパッシブLED、PLED(ポリマーLED)および/またはOLED(有機LED)であってもよい。
【0020】
この回路部は、マトリックスディスプレイの第1の行R1が第2のインバータIn2の出力部に接続され、第2の行R2が第4のインバータIn4の出力部に接続される、などのように、第1のスイッチSw1と第1のインバータIn1、第2のスイッチSw2と第2のインバータIn2、などの直列回路部から構成されている。スイッチSwおよびインバータInの数は、マトリックスディスプレイの各行Rを、説明したような方法でこの回路部に接続することができるような数になる。
【0021】
第1、第3、第5のスイッチSw1,Sw3,Sw5,...などは、第1のクロックバスラインΦ1を介してスイッチされ、第2、第4のスイッチSw2,Sw4,...などは、第2のクロックバスラインΦ2を介してスイッチされる。
【0022】
スイッチSw1,Sw2,...は、第1のクロック信号によって閉じることができ、第2のクロック信号によって開くことができる。これらのクロック信号は、関連するクロックバスラインを介してスイッチに入力される。
【0023】
スイッチSw1,Sw2,...などは、第1のクロックバスラインΦ1に接続されているスイッチSw1,Sw3,Sw5,...などが開き、第2のクロックバスラインΦ2に接続されているスイッチSw2,Sw4,...などが閉じ、または、第1のクロックバスラインΦ1に接続されているスイッチSw1,Sw3,Sw5,...などが閉じ、第2のクロックバスラインΦ2に接続されているスイッチSw2,Sw4,...などが開くように、第1および第2のクロック信号によって交互にスイッチされる。
【0024】
第3のクロックバスラインΦ0を通して与えられる開始パルスは、この直列回路部の入力部(つまり、第1のスイッチSw1の入力部)に入力される。
【0025】
インバータIn1,In2,...はいずれも、電源電圧(DCバス)の正(+)および負(−)の端子に接続されている。
【0026】
このように、スイッチングユニットは、ディスプレイの各行Rxを制御するために必要とされる。スイッチングユニットは、例えば第1の行R1の場合、第1のスイッチSw1と、第1のインバータIn1と、第2のスイッチSw2と、第2のインバータIn2との直列回路部から構成される。
【0027】
図4は、このようなスイッチングユニットを詳細に示している。2つのスイッチSw1,Sw2は、n型トランジスタによってそれぞれ形成され、2つのインバータIn1,In2は、p型トランジスタとn型トランジスタとの並列回路部によってそれぞれ形成されている。
【0028】
したがって、マトリックスディスプレイの第Nの行を制御するこの回路部を用いると、行R1,R2,...の数Nとは関係なく、3つのクロックバスラインΦ0,Φ1,Φ2の3つの接続と、正および負のDCバス(+,−)の2つの接続、つまり、全部で5つの接続またはバスラインが必要になる。
【0029】
回路に必要なものは、(4×N)個のn型トランジスタおよび(2×N)個のp型トランジスタになる(図4を参照)。
【0030】
クロックバスラインΦ0,Φ1,Φ2はそれぞれ、任意の時刻にN個のトランジスタをアドレスするように働くにすぎないため、比較的小さいキャパシタンスをそれぞれ有する。また、第1および第2のクロックバスラインΦ1,Φ2は、より大きな幅を持つように、特にディスプレイの端部に配してもよく、ディスプレイの(P)LED素子のフィールドにわたって延在させる必要はない。これにより、クロックバスラインの抵抗は対応して下がり、RC時間は比較的短くなる。
【0031】
これらの理由のため、ディスプレイと一緒に回路部も単一のキャリアまたはチップ上に配し、集積することができる。実際のディスプレイは、クロックバスラインがディスプレイの端部に配されるため、表示素子でもっといっぱいになるようにしてもよい。これは、特にアクティブ(P)LEDマトリックスの場合、主要な利点である。
【0032】
ディスプレイの端部に配されるクロックバスラインΦ1,Φ2は、アルミニウムからなるのが好ましい。
【0033】
第1の回路部は、シフトレジスタの機能を実行する。開始パルスが第3のクロックバスラインΦ0に加えられた後、各行Rxは、次々に、第1および第2のクロックバスラインΦ1,Φ2(これらにより、これらに接続されるスイッチSw1,Sw3,...;Sw2,Sw4,...は開き、閉じる)上の第1および第2のクロック信号(+,0)によって、関連するインバータIn1,In2,...に印加される電源電圧の正極(+)に個々に接続される。
【0034】
行Rxは、例えば行Rxが第1、第3、などのインバータIn1,In2,...のそれぞれの出力部に接続されていれば、(PまたはO)LED素子の性質に応じて、関連するインバータに印加されている電源電圧の負極(−)に接続されてももちろんよい。また、行Rxは、DC電圧とパルス信号の組み合わせによって、選択されてもよい。
【0035】
以上のようにして、ディスプレイのN個の(走査)行Rxは、ノンインターレース方法によって次々にアドレスされる。表1は、例としてN=3行の(PまたはO)LEDマトリックスディスプレイのクロックダイアグラムを示している。
【表1】

【0036】
ここで、“1/2”,“1 1/2”,“2 1/2”が付された列は、行R1,R2,R3のそれぞれの接続の間に存在するインバータIn1,In3,In5,...の出力部におけるレベルを示している。列“1”,“2”,“3”の太文字の+符号は、その中の(PまたはO)LED素子が、マトリックスディスプレイの列に出力される、画像情報を含む信号にしたがってオン状態となっている、アドレスされたそれぞれの行R1,R2,...を示している。
【0037】
すべてのN=3の行は、開始パルスが第3のクロックバスラインΦ0に加えられた後の8(すなわち2N+2)クロックパルス後にアドレスが完了しているのが表1から明らかである。
【0038】
関連する行のLED素子の発光は、第1のクロックバスラインΦ1が0レベルになるごとに開始し、第2のクロックバスラインΦ2が0レベルになると終了する。
【0039】
上述した場合のように、正(+)レベルでアドレスされず、0レベルでアドレスされるLED素子を有するマトリックスディスプレイを用いる場合、第3のクロックバスラインΦ0に加えられる開始パルスが、表1のパルス時刻0および3から8において正レベルであり、パルス時刻1および2において0レベルとなるようにすることで、以上のことを実現してもよい。
【0040】
あるいは、表1と同じクロックパルスとレベルダイアグラムが与えられるならば、アドレスされるマトリックスディスプレイの行R1,R2,...は、上で説明したように、“1/2”,“1 1/2”,“2 1/2”で示された図3のインバータIn1,In3,In5,...の出力部に接続してもよい。
【0041】
図5は、マトリックスディスプレイの(走査)列S1,S2,S3を制御する実施形態における第1の回路部を示しており、これらは走査線を表している(これに対し、データ線は、行R1,R2,R3,...に接続されている)。
【0042】
この回路部は、回路構成に関しては、図3に示された回路部とほぼ同一であるので、その構成要素と機能については、図3および図4および表1に関連する説明を参照することができる。
【0043】
しかしながら、図3とは対照的に、マトリックスディスプレイの第1、第2、第3の列S1,S2,S3,...は、今度は、第2、第4、第6などのインバータIn2,In4,In6,...の出力部に接続されている。
【0044】
図6は、アクティブまたはパッシブ(PまたはO)LEDマトリックスディスプレイの行R1,R2,R3,...を制御する、本発明の第2の回路部を示している。
【0045】
この回路部もやはり、図3に示したような、第1のスイッチSw1と、第1のインバータIn1と、第2のスイッチSw2と、第2のインバータIn2などの直列回路によって形成されている。
【0046】
第1、第3、第5、...のスイッチSw1,Sw3,Sw5,...などは、第1のクロックバスラインΦ1を介してやはりスイッチされるのに対し、第2、第4、...のスイッチSw2,Sw4,...などは、第2のクロックバスラインΦ2を介してスイッチされる。
【0047】
これらのスイッチは、交互に、第1のクロックバスラインΦ1に接続されたスイッチSw1,Sw3,Sw5,...などが開き、第2のクロックバスラインΦ2に接続されたスイッチSw2,Sw4,...などが閉じるか、第1のクロックバスラインΦ1に接続されたスイッチSw1,Sw3,Sw5,...などが閉じ、第2のクロックバスラインΦ2に接続されたスイッチSw2,Sw4,...などが開くように、それぞれ第1および第2のクロック信号によって同様に開閉される。
【0048】
第3のクロックバスラインΦ0を介して与えられる開始パルスは、直列回路部の入力部(すなわち、第1のスイッチSw1の入力部)に同様に入力される。
【0049】
インバータIn1,In2,...はいずれも、図3のように、電源電圧DCバスの正(+)および負(−)の端子に接続されている。
【0050】
第1の回路部とは対照的に、この第2の回路部では、コンバータUm1,Um2,...が各インバータIn1,In2,...と関連づけられている。さらに詳しく言えば、ディスプレイの第1、第3、第5、などの行R1,R3,R5,...は、それぞれ第1、第3、第5のコンバータUm1,Um3,Um5,...を介して、第4または第5のクロックバスラインA1,B1に接続されており、第2、第4、第6、などの行R2,R4,R6,...は、それぞれ第2、第4、第6のコンバータUm2,Um4,など...を介して、第6または第7のクロックバスラインA2,B2に接続されている。
【0051】
図6に示すように、コンバータUm1,Um2,...はそれぞれ、任意の時刻において端子の1つは開いており、他方の端子は閉じているように、それぞれ関連するインバータIn1,In2,...の入力部または出力部に加えられる信号によってスイッチされる2つの端子を有する。
【0052】
第1の回路部のこのような変形により、インターレースモードにおいて、マトリックスディスプレイの接続された行R1,R2,R3,...の制御が可能になる。
【0053】
図6は、2つのハーフイメージを有する“abab”スケジュールによるインターレース制御(ラインスキッピング方法)の最も簡単な場合を示している。第1のハーフイメージを選択するために、1レベルが第5のクロックバスラインB1に加えられ、0レベルが第6のクロックバスラインA2に加えられるのに対し、第2のハーフイメージの選択は、0レベルを第5のクロックバスラインB1に加え、1レベルを第6のクロックバスラインA2に加えることによってなされる。
【0054】
第4および第7のクロックバスラインA1,B2は、0レベルに固定して接続されているので、両者は同じボンド接続を有していてもよい。このボンド接続は、望むならば、回路部の0リードとして用いてもよい。
【0055】
以上のように、例えば第1の行R1の場合、第1のスイッチSw1と第1のインバータIn1とに加えて第1のコンバータUm1とから構成される、各行Rxを制御するスイッチングユニットが必要である。
【0056】
図7は、このようなスイッチングユニットを詳細に示している。スイッチSwは、n型トランジスタと、p型トランジスタおよびn型トランジスタの並列回路部によるインバータInとによって形成されているのに対し、コンバータUmは、それぞれp型およびn型トランジスタを有する2つのオン/オフスイッチによって実現されている。
【0057】
したがって、マトリックスディスプレイのN行を制御するこの第2の回路部を用いると、行Rxの数Nとは関係なく、第1から第3のクロックバスラインΦ0,Φ1,Φ2用の3つの接続端子と、第5および第6のクロックバスラインB1,A2用の2つの接続端子とが必要になる。また、インバータ用の正および負のDCバス(+,−)用の2つの端子が備えられる。これにより、全部で7本のバスラインが必要になる。回路に必要なものは、(4×N)個のn型トランジスタおよび(3×N)個のp型トランジスタになる(図7を参照)。
【0058】
第1および第2のクロックバスラインΦ1,Φ2は、それぞれN個のトランジスタしかアドレスしないので、やはり比較的低いキャパシタンスを有する。また、クロックバスラインΦ0,Φ1,Φ2は、(P)LED素子のフィールドに直接延在するのではなく、ディスプレイの端部に配してもよいので、やはり、比較的大きな幅と、低い抵抗と、比較的短いRC時間とを有してもよい。これらの理由で、この第2の回路部は、同様に、ディスプレイ装置を形成するために、ジョイントチップまたはキャリア上に、ディスプレイとともに集積してもよい。ここで、クロックバスラインは、好ましくはディスプレイの外側端部に配されるので、実際のディスプレイは、同様に、かなり高い密度の表示素子で満たすことができる。
【0059】
第2の回路部の動作機能は、また、シフトレジスタの動作機能である。開始パルスが第3のクロックバスラインΦ0に加えられると、関連するインバータIn1,In2,...に印加される電源電圧の正極(+)が、第1の回路部に関して行った説明にしたがって、第1および第2のクロックバスラインΦ1,Φ2にのった第1および第2のクロック信号(+,0)によって、各行Rxに順次出力される。
【0060】
行Rxは、上で説明したように、(PまたはO)LED素子の性質にしたがい、かわりに、関連するインバータに印加される電源電圧の負極(−)に接続してもよく、また、DC電圧とパルス信号との組み合わせを出力してもよい。
【0061】
ここで、2つのハーフイメージの選択は、上で説明したように、第5および第6のクロックバスラインB1,A2に加えられる電圧レベルによって行われる。1レベルを第5のクロックバスラインB1に加え、0レベルを第6のクロックバスラインA2に加えることにより、第1のハーフイメージの(P)LED素子(行R1,R3,R5,などと続く)が制御されるのに対し、0レベルを第5のクロックバスラインB1に加え、1レベルを第6のクロックバスラインA2に加えることにより、第2のハーフイメージの(P)LED素子(行R2,R4,R6,などと続く)がオン状態になる。
【0062】
上で説明した場合のように、正レベルではなく0レベルで制御される(PまたはO)LED素子を有するマトリックスディスプレイを用いるならば、第4および第7のクロックバスラインA1,B2を0レベルではなく、1レベルにセットするという簡単な方法によりこれを実現してもよい。この場合、行は0レベルでアクセスされるので、第2のハーフイメージのLED素子(行R2,R4,R6,などと続く)は、1レベルを第5のクロックバスラインB1に加え、0レベルを第6のクロックバスラインA2に加えることにより、オン状態になる。しかしながら、0レベルを第5のクロックバスラインB1に加え、1レベルを第6のクロックバスラインA2に加えると、第1のハーフイメージ(行R1,R3,R5,などと続く)が表示される。
【0063】
第4および第7のクロックバスラインA1,B2は、回路ボードの0レベル端子に固定的に接続するのではなく、同じ回路レイアウトを有する(PまたはO)LEDの双方の動作が可能となるように、スイッチで切り替え可能なように構築されるのが好ましい。また、回路部のトランジスタの閾値と、LED(パッシブマトリックス、有機物)またはピクセルトランジスタ(アクティブマトリックス)の閾値との間の差の調整を行ってもよい。
【0064】
以上のように、第2の実施形態の回路部において、ディスプレイのN行Rxは、順次、かつ、インターレースモードでアドレスされる。表2は、この例として、N=6行の(PまたはO)LEDマトリックスディスプレイのパルスダイアグラムを示している。
【表2】

【0065】
表の記載は、符号+および0で示される、関連する行R1,R2,...のインバータIn1,In2,...の出力部における1および0レベルに加えて、接続されている第4から第7のクロックバスラインA1,B1,A2,B2と、行R1,R2,R3のコンバータUm1,Um2,Um3,...のそれぞれのスイッチの位置(と、与えられた状態の下で行に加えられている電圧)をも含んでいる。
【0066】
表2から、ハーフイメージ、すなわち、N=6のラインを有するマトリックスディスプレイの行R1,R3,R5または行R2,R4,R6(太文字で印字されている)は、開始パルスを第3クロックバスラインΦ0に加えた後の8クロックパルス後にアドレスが完了していることがあきらかである。
【0067】
また、表2から、マトリックスディスプレイの行のノンインターレース制御が、1レベルを第5および第6のクロックバスラインB1,A2の双方に加える場合に得られることがあきらかである。しかしながら、この場合、2行が同時にアドレスされるので、一般的に望ましくない画像解像度の低下が生じうる。
【0068】
図8は、マトリックスディスプレイの列S1,S2,S3を制御する態様における第2の回路部を示している。
【0069】
この回路部は、回路構成については、図6に示された回路部とほぼ同一なので、その構成要素と機能については、図6および7および表2に関する説明を参照できる。図6との差は、マトリックスディスプレイの列S1,S2,S3,...が、コンバータUm1,Um2,Um3,...に接続されていることである。
【0070】
第2の回路部では、別のクロックバスラインAおよびBを備え、例えば、コンバータUm3およびUm4に接続すると、他のインターレーススキーム、例えば、“abcdabcd”のインターレース動作も実現することができる。
【0071】
第1の回路部とは異なり、第2の回路部は、走査線(すなわち、走査行または走査列)を制御することができるだけではなく、ディスプレイのデータ線も制御することができる。この場合、第5および第6クロックバスラインB1,A2は、0レベルと1レベルの間においてハーフイメージの周波数で切り替わるのではなく、0レベルとLEDデータレベルの間においてLED周波数で切り替わる。スイッチングは、反転されたアドレッシングがなされる(図9で示された極性に対して反転された極性を有するダイオードを備えた)LED素子の場合、1レベルとLEDデータレベルの間で起こる。
【0072】
最後に、図9は、N=3行およびM=6列を有するディスプレイ装置を示しており、したがって、(パッシブ)LEDマトリックスディスプレイは、示されているように、18個のLED素子(表示素子Dx)を有する。ディスプレイの行は、第1の実施形態の回路部で制御されるのに対し、列は、列にデータ信号を出力するように、第2の実施形態の回路部で制御される。
【0073】
ここで、行(走査行)は、上述したように、第1の回路部の3つのクロックバスラインΦ0s,Φ1s,Φ2sを介して順次選択されるのに対し、表示される画像情報を含む信号(データ列)は、上で説明したように、5つのクロックバスラインΦ0d,Φ1d,Φ2d,B1,A2を介して第2の回路部に入力される。
【0074】
正または負の電源電圧が、同様に、2つのDCバス(+,−)を介してインバータに印加される。したがって、10本のバスラインが、ディスプレイの行および列の数とは全く独立に必要である。
【0075】
ディスプレイ装置のマトリックスディスプレイの制御を行う回路に必要なものは、12(=4×N)+24(=4×M)個のn型トランジスタと、6(=2×N)+18(=3×M)個のp型トランジスタとなる。
【0076】
最後に、第2の回路部をも有するマトリックスディスプレイの走査行を制御することも可能である。
【0077】
マトリックスディスプレイは、ディスプレイの行および列の数に関係なく、全部で10本のクラックバスラインと2本のDCバス、つまり、全部で12本のバスラインを介して制御される。
【0078】
この場合、図9に示されたディスプレイは、N=3行とM=6列を有しており、その結果、全部で、12(=4×N)+24(=4×M)個のn型トランジスタと、9(=3×N)+18(=3×M)個のp型トランジスタのマトリックスディスプレイを制御する回路が必要になる。
【0079】
示されたパッシブマトリックス素子のかわりに、図2のアクティブマトリックス素子が用いてもよいことは、双方の回路部ばかりではなく、ディスプレイの行および/または列を制御するための組み合わせについても当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】パッシブLEDマトリックスの回路図である。
【図2】アクティブLEDマトリックスの回路図である。
【図3】LEDマトリックスの行を制御する第1の回路部の一部を示した図である。
【図4】第1の回路部の一部を詳細に示した図である。
【図5】LEDマトリックスの列を制御する図3の回路部を示した図である。
【図6】LEDマトリックスの行を制御する第2の回路部の一部を示した図である。
【図7】第2の回路部の一部を詳細に示した図である。
【図8】LEDマトリックスの列を制御する図6の回路部を示した図である。
【図9】第1および第2の回路部とパッシブLEDマトリックスを有するディスプレイ装置を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のグループに結合されている複数の表示素子を有するディスプレイと、
第1のクロック信号により閉じることができ、第2のクロック信号により開くことができる複数のスイッチおよび複数のインバータを有する、前記ディスプレイを制御する回路部であって、前記スイッチおよびインバータは、表示素子の各グループが各インバータの出力部に接続されるように、交互に直列に接続されている当該回路部と、
少なくとも1つのクロックバスラインとを有し、
第3のクロック信号が前記直列回路部の入力部に入力されると、一度に少なくとも1つのグループの表示素子が次々に選択されていくように、前記少なくとも1つのクロックバスラインを介して前記第1および前記第2のクロック信号を前記直列回路部の第1、第3、第5、などのスイッチに交番で入力し、前記第2および前記第1のクロック信号を第2、第4、第6、などのスイッチに交番で入力する、集積ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記表示素子がディスプレイフィールドの形式で配されているキャリアを有し、前記少なくとも1つのクロックバスラインは、前記ディスプレイフィールドの端部に沿って延在している、請求項1に記載の集積ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記表示素子のグループは、マトリックスディスプレイの行または列によってそれぞれ形成されている、請求項1に記載の集積ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記スイッチは、n型トランジスタによってそれぞれ形成され、前記インバータは、p型トランジスタとn型トランジスタとの並列回路部によってそれぞれ形成されている、請求項1に記載の集積ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記表示素子のグループは、該グループのノンインターレース制御において、前記直列回路部の前記第2、第4、第6、などのインバータの各出力部に接続されている、請求項1に記載の集積ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記表示素子のグループは、マトリックスディスプレイのサンプルされた行またはサンプルされた列である、請求項5に記載の集積ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記表示素子のグループは、該グループのインターレース制御において、ハーフイメージの切り替えのために、コンバータを介して第5または第6のクロックバスラインにそれぞれ接続することができ、前記コンバータは、関連するインバータの入力部および/または出力部に与えられる信号によってそれぞれ切り替えることができる、請求項1に記載の集積ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記コンバータは、p型およびn型トランジスタをそれぞれ有する2つのオン/オフスイッチによって形成されている、請求項7に記載の集積ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記表示素子のグループは、マトリックスディスプレイのサンプルされた行および/またはサンプルされた走査列および/またはデータ行および/またはデータ列である、請求項7に記載の集積ディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−521503(P2007−521503A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516721(P2006−516721)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050942
【国際公開番号】WO2004/114267
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】