説明

集積回路チップ及びこれを含む送受信システム

【課題】 伝送チップ上でのデータピン配列と、伝送チップと受信チップとの間のライン配列とが互いに異なってもクロストークを防止できる技術を提供すること。
【解決手段】伝送チップと、受信チップと、前記伝送チップから前記受信チップにデータを伝送するための複数のラインとを備え、前記伝送チップは、前記複数のラインに伝送されるデータパターンと前記複数のラインの配列情報とに応じて、前記複数のライン上で発生するクロストーク防止動作を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 データの伝送に関し、特に、データ伝送時に発生するクロストークを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高速のデータ伝送におけるジッタ成分は、ISI(Inter Symbol Interference)とともにランダムジッタ(random jitter)成分が存在するようになるが、その中で最も大きな影響を及ぼすものがクロストーク(cross talk)である。
【0003】
図1は、データが伝送される複数のラインLINE_0〜LINE_3上でクロストークが問題となる部分を示した図である。図面の左のデータがラインLINE_0〜LINE_3に先に載置されるデータであり、図面の右のデータがラインLINE_0〜LINE_3に後で載置されるデータを示す。
【0004】
クロストークは、隣接したライン間に発生するキャパシタ成分によって発生するが、クロストークによる問題は、隣接したラインのデータが中間ラインのデータと反対方向に遷移する場合に一番大きくなる。このような場合のデータパターンを2攻撃者(aggressor)1被害者(victim)パターンという。
【0005】
図1の「101」、「102」、「103」、「104」、「105」は、このようなパターンが表れる場合を示す。「101」を参照すれば、ライン1LINE_1のデータはL→Hに遷移したが、ライン0LINE_0とライン2LINE_2のデータは全てH→Lに遷移する。したがって、クロストークによりライン1LINE_1のデータが遷移するのに困難が生じる。同様に、「102」、「103」、「105」の場合にも、中間ラインのデータが両側ラインのデータと異なる方向に遷移するため、中間ラインのデータが遷移するのに困難が生じるようになる。
【0006】
「104」の場合は、ライン1LINE_1とライン2LINE_2とのデータが全て遷移するのに困難がある。ライン1LINE_1とライン2LINE_2との周辺データが全て自身と異なる方向に遷移するからである。
【0007】
図2は、データを伝送する伝送チップでクロストークを防止する従来のスキームを示した図である。
【0008】
図2に示すように、伝送チップ200は、データパターン感知部210、クロストーク防止部220、及びデータ出力回路230を備える。
【0009】
データパターン感知部210は、伝送チップが伝送するデータD0〜D7のパターンを感知し、データラインLINE_0〜LINE_7のうち、いずれのデータライン上でクロストークが問題になるかを把握する。例えば、図1の「101」ないし「105」のように、隣接したラインのデータが互いに反対方向に遷移することを感知する。
【0010】
クロストーク防止部220は、データパターン感知部210の感知結果に応じて伝送するデータのクロストークを防止するための動作を行う。クロストーク防止方式には、(1)データの遅延値変更、(2)データの駆動力変更、及び(3)データの論理値変更など、種々の方法が存在する。(1)データの遅延値を変更する場合に、攻撃者データの遅延値を増やしたり被害者データの遅延値を減らしてクロストークによる影響を低減し、(2)被害者データの駆動力を強く制御したり攻撃者データの駆動力を弱く制御してクロストークによる影響を低減し、(3)データを反転してクロストークが発生するデータパターンを除去する。
【0011】
データ出力回路230は、クロストーク防止部220によりクロストーク防止動作が行われたデータをチップ外部に出力する。
【0012】
すなわち、従来のクロストーク防止スキームによれば、伝送データのパターンを感知し、その結果に応じてクロストーク防止動作を行う。
【0013】
図3A及び図3Bは、伝送チップ200と受信チップ300との間のデータラインLINE_0〜LINE_7の配線を示した図である。図3A及び図3Bに示されたキャパシタは、データラインLINE_0〜LINE_7間の寄生キャパシタ成分を示す。
【0014】
図3Aに示すように、伝送チップ200上でのデータピン0〜7の配列とデータラインLINE_0〜LINE_7の配列とが一致する。したがって、図2のようなデータパターンを感知し、その結果に応じてクロストーク防止動作を行うことがクロストークの影響を減らすのに効果を発揮することができる。
【0015】
図3Bに示すように、伝送チップ200上でのデータピン0〜7の配列とデータラインLINE_0〜LINE_7の配列とが互いに異なる。伝送チップ200では、伝送チップ200を基準とし、隣接したデータピンを考慮してクロストーク防止動作を行うが、データライン上LINE_0〜LINE_7での隣接したラインと伝送チップ200での隣接したピン0〜7とが互いに異なるため、図2のような方式のクロストーク防止動作は何らの効果も発揮できない。例えば、伝送チップは、データピン3の隣接ピンであるデータピン2とデータピン4のデータパターンを感知してクロストーク防止動作を行うが、データラインLINE_3の隣接ラインは、データラインLINE_1とデータラインLINE_7とになるため、クロストーク防止動作が全く役に立たない。すなわち、伝送チップ200のデータピン0〜7上での隣接ピンとデータラインLINE_0〜LINE_7上での隣接ラインとが全く変わるので、データピン0〜7上での隣接ピン同士のデータパターンを基盤としたクロストーク防止スキームは無用の物になる。
【0016】
高速のデータ伝送が要求されるほどデータの帯域幅(すなわち、データラインの個数)が増加し、これにより、回路基板も複数の層で製造されるなど、ますます複雑になっている。これにより、図3Bのように、伝送チップ200上でのデータピン0〜7の配列と回路基板上でのデータラインLINE_0〜LINE_7の配列とが互いに異なるようになる場合が一層多くなっている。
【0017】
したがって、伝送チップ200上のデータピン0〜7配列と、チップとチップとの間のラインLINE_0〜LINE_7配列とが互いに異なる場合にも、効果的なクロストーク防止動作の実行を可能とする技術が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上記のような従来技術の問題を解決するために提案されたものであって、その目的は、伝送チップ上でのデータピン配列と、伝送チップと受信チップとの間のライン配列とが互いに異なってもクロストークを防止できる技術を提供しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
そこで、上記の目的を達成するための本発明の一実施形態に係る送受信システムは、伝送チップと、受信チップと、前記伝送チップから前記受信チップにデータを伝送するための複数のラインとを備え、前記伝送チップは、前記複数のラインに伝送されるデータパターンと前記複数のラインの配列情報とに応じて、前記複数のライン上で発生するクロストーク防止動作を行うことができる。
【0020】
ここで、伝送チップは、配列情報を格納する格納回路と、前記配列情報を利用して前記複数のラインに載置されるデータパターンを感知するパターン感知回路と、前記パターン感知回路のパターン感知結果に応じて、前記伝送チップが前記複数のラインに出力するデータのクロストーク防止動作を行うクロストーク防止部とを備えることができる。
【0021】
また、 上記の目的を達成するための本発明の一実施形態に係る集積回路チップは、複数のラインにデータを伝送する集積回路チップであって、前記複数のラインにデータを伝送する複数のドライバと、前記複数のラインの配列情報を格納する格納回路と、前記配列情報を利用して前記複数のラインに伝送されるデータパターンを感知するパターン感知回路と、前記パターン感知回路のパターン感知結果に応じて、前記複数のドライバが伝送するデータを制御するクロストーク防止部とを備えることができる。
【0022】
ここで、前記パターン感知回路は、前記配列情報を利用して前記複数のラインのうち、隣接するラインに出力されるデータ同士にマッチングさせるデータマッチング部と、前記データマッチング部によりマッチングされたデータのパターンを感知するパターン感知部とを備えることができる。
【0023】
また、上記の目的を達成するための本発明の一実施形態に係る回路ボードは、基板と、前記基板上の伝送チップと、前記基板上の受信チップと、前記基板上に形成される前記伝送チップと前記受信チップとの間の複数の伝送ラインとを備え、前記伝送チップは、前記複数のラインに伝送されるデータのパターンと前記複数の伝送ラインの配列情報とに応じて、前記複数のライン上で発生するクロストーク防止動作を行うことができる。
【0024】
ここで、前記伝送チップは、前記配列情報を格納する格納回路と、前記配列情報を利用して前記複数のラインに載置されるデータパターンを感知するパターン感知回路と、前記パターン感知回路のパターン感知結果に応じて、前記伝送チップが前記複数のラインに出力するデータのクロストーク防止動作を行うクロストーク防止部とを備えることができる。
【0025】
さらに、 上記の目的を達成するための本発明の一実施形態に係る集積回路チップのデータ伝送方法は、チップ外部の複数のラインの配列に関する情報である配列情報を利用して、出力データが前記チップ外部の複数のラインで形成するデータパターンを感知するパターン感知ステップと、前記パターン感知ステップで感知されたデータパターンを利用して出力データのクロストーク防止動作を行うステップと、前記クロストーク防止動作が行われた出力データをチップ外部に出力するステップとを含む。
【0026】
ここで、前記クロストーク防止動作を行うステップでは、前記出力データの遅延値を調節したり、前記出力するステップでの前記出力データの駆動力を設定することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、伝送チップ上でのデータピン配列だけでなく、伝送チップと受信チップとの間のライン配列に基づいてデータパターンが感知され、感知されたデータパターンを利用してクロストーク防止動作が行われる。したがって、伝送チップ上でのデータピン配列と伝送ライン上でのライン配列とが異なってもクロストークを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】データが伝送される複数のラインLINE_0〜LINE_3上でクロストークが問題となる部分を示した図である。
【図2】データを伝送する伝送チップでクロストークを防止する従来のスキームを示した図である。
【図3A】伝送チップ200と受信チップ300との間のデータラインLINE_0〜LINE_7の配線を示した図である。
【図3B】伝送チップ200と受信チップ300との間のデータラインLINE_0〜LINE_7の配線を示した図である。
【図4】本発明に係る送受信システムの一実施形態の構成図である。
【図5】図4の伝送チップ410の一実施形態の構成図である。
【図6】図5のパターン感知回路520の一実施形態の構成図である。
【図7】図5のクロストーク防止部530の一実施形態の構成図である。
【図8】本発明に係る回路ボードの一実施形態の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有した者が本発明の技術的思想を容易に実施できるように詳細に説明するために、本発明の最も好ましい実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0030】
図4は、本発明に係る送受信システムの一実施形態の構成図である。
【0031】
図4に示すように、送受信システムは、伝送チップ410、受信チップ420、及び複数のラインLINE_0〜LINE_7を備える。
【0032】
伝送チップ410は、自身の出力データを複数のラインLINE_0〜LINE_7を介して受信チップ420に伝送する。伝送チップ410には「配列情報」が入力される。「配列情報」は、伝送チップ410外部の複数のラインLINE_0〜LINE_7がどのように配列されているかを表す情報である。伝送チップ410は、「配列情報」を介して伝送チップ410外部でどのようなラインが隣接して配置されるかが分かり、その結果、実際に隣接して配置されるラインに載置されるデータパターンを考慮してクロストーク防止動作を行うことができる。例えば、「配列情報」がなければ、伝送チップ410はデータピン3に出力されるデータのクロストーク防止のために、データピン2、3、4のデータパターンを感知してクロストーク防止動作を行うが、「配列情報」を利用すれば、データピン3に出力されるデータのクロストーク防止のために、データピン1、3、7のデータパターンを感知してクロストーク防止動作を行うことができる。
【0033】
すなわち、「配列情報」を利用することにより、伝送チップ410は、外部データラインLINE_0〜LINE_7上でクロストークが発生するデータパターンを正確に感知することが可能である。従来は、伝送チップ410上のデータピン配列と伝送ラインの配列とが互いに異なる場合、伝送チップのクロストーク防止動作が何ら効果を発揮できなかったが、「配列情報」を利用する本発明では、伝送チップ410上のデータピン配列と伝送ラインの配列とが互いに異なっても伝送チップ410がこれを考慮することが可能となり、その結果、効果的なクロストーク防止動作を行うことができる。
【0034】
表1は、図4と同様に、データピン0〜7及びデータラインLINE_0〜LINE_7が配列された場合の、「配列情報」の例示である。
【0035】
【表1】

【0036】
表1に示すように、それぞれのデータピン0〜7から出力されたデータがデータラインLINE_0〜LINE_7上ではどの位置に伝送されるかを確認することができる。すなわち、データピン3に出力されるデータは、データピン1とデータピン7に出力されるデータと隣接したラインに出力されるという点を表1のような「配列情報」を介して確認することができる。
【0037】
「配列情報」は、伝送チップ410の外部から入力されるが、伝送チップ410と同じシステム(またはボード)上に存在する他のチップ(例えば、受信チップ420)から入力されることができ、システム製造社が伝送チップ410に入力してくれることもできる。または、伝送チップ410の製造社が伝送チップを購買し、これを利用してシステムを構成する購買者から基板上のライン配列に関する情報を受けて、伝送チップ410内に入力してくれることもできる。いずれの方法を使用しても、伝送チップ410に伝送チップ410外部のラインの配列に関する情報である「配列情報」を入力してくれればよい。
【0038】
図5は、図4の伝送チップ410の一実施形態の構成図である。
【0039】
図5に示すように、伝送チップ410は、格納回路510、パターン感知回路520、クロストーク防止部530、及びデータ出力部540を備える。
【0040】
格納回路510は、「配列情報」を格納する回路である。格納回路510としては、ラッチ回路、ヒューズ回路、及び不揮発性メモリなどのデータ格納が可能などのような回路も使用可能である。
【0041】
パターン感知回路520は、格納回路510に格納された「配列情報」を利用して複数のラインLINE_0〜LINE_7に載置されるデータD0〜D7のパターンを感知する。「配列情報」は、複数のラインLINE_0〜LINE_7がチップ410外部でどのように配列されるかに関する情報を含むので、パターン感知回路520は、チップ410外部で複数のラインLINE_0〜LINE_7が配列された状態でのデータパターンを感知することが可能である。パターン感知回路520のパターン感知結果RESULT_0〜RESULT_7は、当該データD0〜D7が被害者(victim)であるか否かを表す。これは例示であり、パターン感知結果RESULT_0〜RESULT_7の各々が複数のビット(multi bit)で構成され、当該データD0〜D7が攻撃者であるか、被害者であるか、それとも、攻撃者でも被害者でもないかの情報を含むことができる。
【0042】
クロストーク防止部530は、パターン感知回路520のパターン感知結果に応じて伝送チップ410が出力するデータD0〜D7のクロストーク防止動作を行う。前述したように、クロストーク防止動作には、(1)データD0〜D7の遅延値変更、(2)データ出力部540の駆動力を変更する方式、及び(3)データの論理値変更など、様々な方式が存在し得る。以下では、クロストーク防止部530が被害者データの遅延値を減らす方式(すなわち、パターン感知結果RESULT_0〜RESULT_7が活性化されると遅延値を減らす方式)でクロストーク防止動作を行うと仮定して説明する。
【0043】
データ出力部540は、クロストーク防止部530によりクロストーク防止動作が行われたデータ(D0_CONTROLLED〜D7_CONTROLLED)を複数のラインに(すなわち、チップ外部に)出力する。データ出力部540は、各々1つのデータピン0〜7に対応するドライバ541〜548を備えて構成されることができる。
【0044】
図6は、図5のパターン感知回路520の一実施形態の構成図である。
【0045】
図6に示すように、パターン感知回路520は、「配列情報」を利用して複数のラインLINE_0〜LINE_7のうち、隣接するラインに出力されるデータ同士にマッチングさせるデータマッチング部610と、データマッチング部610によりマッチングされたデータのパターンを感知するパターン感知部620とを備える。
【0046】
データマッチング部610は、「配列情報」と出力データD0〜D7を受信し、複数のラインLINE_0〜LINE_7上で隣接したラインに出力されるデータをマッチングさせて出力する。データマッチング部610から出力されるDX_UP(Xは0〜7のうち1つの数)は、データDXが出力されるラインのすぐ上のラインに出力されるデータを意味し、DX_DNは、データDXが出力されるラインのすぐ下のラインに出力されるデータを意味する。
【0047】
下記の表2は、配列情報が表1のような場合、表2から出力される信号がどのようなデータになるかを表す。
【0048】
【表2】

【0049】
表2に示すように、データD5は、データD5_UP=D4及びデータD5_DN=D6と隣接したラインに伝送されるので互いにマッチングされ、データD3は、データD3_UP=D1及びデータD3_DN=D7と隣接したラインに伝送されるので互いにマッチングされることが確認できる。一方、D2_UPは「H」レベルで固定されるが、これは、データD2は、チップ外部で最外郭ラインLINE_2に伝送されるので、データD2が伝送されるラインLINE_2の上方には隣接したラインが存在しないためである。同様に、データD6もチップ外部で最外郭ラインLINE_6に伝送されるので、データD6が伝送されるラインLINE_6の下方には隣接したラインが存在せずに、D5_DNが「H」レベルに固定される。
【0050】
パターン感知部620は、データマッチング部610によりマッチングされたデータのパターンを感知する。パターン感知部620は、データ個数の分だけの感知器621〜628を備える。感知器621は、データD0に関してマッチングされたデータD0_UP、D0、D0_DNを受信してデータパターンを感知し、感知器622は、データD1に関してマッチングされたデータD1_UP、D1、D1_DNを受信してデータパターンを感知する。同様に、感知器622〜628も各々対応するデータに関してマッチングされたデータを受信してデータパターンを感知する。感知器621〜628は、自身に対応するデータD0〜D7が被害者である場合、出力信号RESULT_0〜RESULT_7を活性化して出力する。
【0051】
次の表3は、感知器621〜628が出力信号RESULT_0〜RESULT_7を活性化するための条件を表す。表3において、Xは0ないし7の間の整数を表す。
【0052】
【表3】

【0053】
表3に示すように、データDXのみ周辺のデータDX_UP、DX_DNと反対方向に遷移される場合、出力信号RESULT_Xが活性化されることを確認することができる。
【0054】
図7は、図5のクロストーク防止部530の一実施形態の構成図である。
【0055】
図7に示すように、クロストーク防止部530は、データD0〜D7の各々に対応する複数の遅延部710〜780を備えて構成される。
【0056】
遅延部710〜780は、パターン感知回路520のパターン感知結果RESULT_0〜RESULT_7の各々に応じてデータD0〜D7を遅延させる。パターン感知結果RESULT_0〜RESULT_7が非活性化されると、データD0〜D7を初期遅延値の分だけ遅延させて出力し、パターン感知結果RESULT_0〜RESULT_7が活性化されると、データD0〜D7を初期遅延値より小さな値で遅延させて出力する。すなわち、パターン感知結果RESULT_0〜RESULT_7が活性化されると、パターン感知結果RESULT_0〜RESULT_7に対応する遅延部710〜780の遅延値が減る。
【0057】
前述したように、パターン感知結果RESULT_0〜RESULT_7は、対応するデータD0〜D7が被害者である場合に活性化されるので、遅延部710〜780は、被害者データを少なく遅延させ、そうでないデータを多く遅延させるようになる。つまり、データラインLINE_0〜LINE_7上で遷移し難い被害者データを、そうでないデータ(例えば、攻撃者データ)より先に遷移させることにより、クロストークにより被害者データの遷移が難しくなる(または遷移されない)現象を防止するようになる。
【0058】
図8は、本発明に係る回路ボードの一実施形態の構成図である。
【0059】
図8に示すように、回路ボードは、基板800、基板800上の伝送チップ410、基板800上の受信チップ420、及び複数の伝送ラインLINE_0〜LINE_7を備える。そして、その他の基板上の複数のチップ810、820、830を備えることができる。
【0060】
伝送チップ410は前述したように、「配列情報」を利用して基板800上でのラインLINE_0〜LINE_7の配列状態を把握し、これを利用してクロストーク防止動作を行う。図8では、基板800上のいずれか1つのチップ830からラインLINE_0〜LINE_7の配列状態を表す「配列情報」が伝送チップ410に入力されることを図示した。
【0061】
図8に例示された回路ボードは、パソコンのメインボード、グラフィックカード、モバイルフォンの回路基板など、種々のアプリケーションのうち1つになり得る。また、伝送チップ410及びメモリ受信チップ420はメモリコントローラになり得る。
【0062】
図4〜図7をさらに参照して、本発明に係る集積回路チップのデータ伝送方法について説明する。
【0063】
本発明に係る集積回路チップのデータ伝送方法は、チップ410外部の複数のラインLINE_0〜LINE_7の配列に関する情報である配列情報を利用して出力データD0〜D7が複数のラインLINE_0〜LINE_7で形成するデータパターンを感知するパターン感知ステップと、パターン感知ステップで感知されたデータパターンを利用して出力データD0〜D7のクロストーク防止動作を行うステップと、クロストーク防止動作が行われた出力データD0_CONTROLLED〜D7_CONTROLLEDをチップ410外部に出力するステップとを含む。
【0064】
前述したように、クロストーク防止動作を行うステップでは、出力データD0〜D7の遅延値を調節したり、データ出力部540の駆動力を調節する方式でクロストーク防止動作が行われ得る。
【0065】
パターン感知ステップは、配列情報を利用して複数のラインLINE_0〜LINE_7のうち、隣接するラインに出力されるデータ同士にマッチングさせるステップと、マッチングされたデータのパターンを感知するステップとを含むことができる。
【0066】
本発明の技術思想は、上記好ましい実施形態によって具体的に記述されたが、前記した実施形態は、その説明のためのものであり、その制限のためのものではないことに注意すべきである。また、本発明の技術分野における通常の知識を有した者であれば、本発明の技術思想の範囲内で様々な実施形態が可能であることが分かるであろう。
【0067】
特に、本発明の核心は、「配列情報」の利用によって伝送チップで、チップ外部のデータライン上で発生するデータパターンを正確に感知可能なようにして、伝送チップでのデータピン配列とチップ外部のデータラインの配列とが互いに異なる点を克服可能にするという点にあるので、このような本発明がデータパターンの感知を介してクロストーク防止動作を行う様々なクロストーク防止スキームに適用可能であるということが分かるであろう。
【符号の説明】
【0068】
410 伝送チップ
420 受信チップ
LINE_0〜LINE_7 データライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送チップと、
受信チップと、
前記伝送チップから前記受信チップにデータを伝送するための複数のラインと、
を備え、
前記伝送チップは、前記複数のラインに伝送されるデータパターンと前記複数のラインの配列情報とに応じて、前記複数のライン上で発生するクロストーク防止動作を行うことを特徴とする送受信システム。
【請求項2】
前記伝送チップは、
前記配列情報を格納する格納回路と、
前記配列情報を利用して前記複数のラインに載置されるデータパターンを感知するパターン感知回路と、
前記パターン感知回路のパターン感知結果に応じて、前記伝送チップが前記複数のラインに出力するデータのクロストーク防止動作を行うクロストーク防止部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の送受信システム。
【請求項3】
前記パターン感知回路は、
前記配列情報を利用して前記複数のラインのうち、隣接するラインに出力されるデータ同士にマッチングさせるデータマッチング部と、
前記データマッチング部によりマッチングされたデータのパターンを感知するパターン感知部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の送受信システム。
【請求項4】
前記伝送チップは、
前記複数のラインにデータを出力する複数のドライバをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の送受信システム。
【請求項5】
前記クロストーク防止部は、
前記複数のドライバのうち、少なくとも1つ以上のドライバが伝送するデータの遅延値を調節することを特徴とする請求項4に記載の送受信システム。
【請求項6】
前記クロストーク防止部は、
前記複数のドライバのうち、少なくとも1つ以上のドライバの駆動力を調節することを特徴とする請求項3に記載の送受信システム。
【請求項7】
複数のラインにデータを伝送する集積回路チップであって、
前記複数のラインにデータを伝送する複数のドライバと、
前記複数のラインの配列情報を格納する格納回路と、
前記配列情報を利用して前記複数のラインに伝送されるデータパターンを感知するパターン感知回路と、
前記パターン感知回路のパターン感知結果に応じて、前記複数のドライバが伝送するデータを制御するクロストーク防止部と、
を備えることを特徴とする集積回路チップ。
【請求項8】
前記配列情報は、前記集積回路チップの外部から入力されることを特徴とする請求項7に記載の集積回路チップ。
【請求項9】
前記パターン感知回路は、
前記配列情報を利用して前記複数のラインのうち、隣接するラインに出力されるデータ同士にマッチングさせるデータマッチング部と、
前記データマッチング部によりマッチングされたデータのパターンを感知するパターン感知部と、
を備えることを特徴とする請求項7に記載の集積回路チップ。
【請求項10】
前記クロストーク防止部は、
前記複数のドライバのうち、少なくとも1つ以上のドライバが伝送するデータの遅延値を調節することを特徴とする請求項7に記載の集積回路チップ。
【請求項11】
前記クロストーク防止部は、
前記複数のドライバのうち、少なくとも1つ以上のドライバの駆動力を調節することを特徴とする請求項7に記載の集積回路チップ。
【請求項12】
基板と、
前記基板上の伝送チップと、
前記基板上の受信チップと、
前記基板上に形成される前記伝送チップと前記受信チップとの間の複数の伝送ラインと、
を備え、
前記伝送チップは、前記複数のラインに伝送されるデータのパターンと前記複数の伝送ラインの配列情報とに応じて、前記複数のライン上で発生するクロストーク防止動作を行うことを特徴とする回路ボード。
【請求項13】
前記伝送チップは、
前記配列情報を格納する格納回路と、
前記配列情報を利用して前記複数のラインに載置されるデータパターンを感知するパターン感知回路と、
前記パターン感知回路のパターン感知結果に応じて、前記伝送チップが前記複数のラインに出力するデータのクロストーク防止動作を行うクロストーク防止部と、
を備えることを特徴とする請求項12に記載の回路ボード。
【請求項14】
前記パターン感知回路は、
前記配列情報を利用して前記複数のラインのうち、隣接するラインに出力されるデータ同士にマッチングさせるデータマッチング部と、
前記データマッチング部によりマッチングされたデータのパターンを感知するパターン感知部と、
を備えることを特徴とする請求項13に記載の回路ボード。
【請求項15】
前記伝送チップは、
前記複数のラインにデータを出力する複数のドライバをさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の回路ボード。
【請求項16】
チップ外部の複数のラインの配列に関する情報である配列情報を利用して、出力データが前記複数のラインで形成するデータパターンを感知するパターン感知ステップと、
前記パターン感知ステップで感知されたデータパターンを利用して出力データのクロストーク防止動作を行うステップと、
前記クロストーク防止動作が行われた出力データをチップ外部に出力するステップと、
を含むことを特徴とする集積回路チップのデータ伝送方法。
【請求項17】
前記クロストーク防止動作を行うステップでは、
前記出力データの遅延値を調節することを特徴とする請求項16に記載の集積回路チップのデータ伝送方法。
【請求項18】
前記クロストーク防止動作を行うステップでは、
前記出力するステップでの前記出力データの駆動力を設定することを特徴とする請求項16に記載の集積回路チップのデータ伝送方法。
【請求項19】
前記パターン感知ステップは、
前記配列情報を利用して前記複数のラインのうち、隣接するラインに出力されるデータ同士にマッチングさせるステップと、
マッチングされたデータのパターンを感知するステップと、
を含むことを特徴とする請求項16に記載の集積回路チップのデータ伝送方法。
【請求項20】
前記集積回路チップは、複数のデータピンを含み、
前記複数のデータピンと前記複数のデータラインとは一対一に対応し、
前記配列情報は、前記複数のデータラインの配列と前記複数のデータピンの配列との間の関係を表すことを特徴とする請求項16に記載の集積回路チップのデータ伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−46415(P2013−46415A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−169359(P2012−169359)
【出願日】平成24年7月31日(2012.7.31)
【出願人】(310024033)エスケーハイニックス株式会社 (122)
【氏名又は名称原語表記】SK hynix Inc.
【住所又は居所原語表記】2091, Gyeongchung−daero,Bubal−eub,Icheon−si,Gyeonggi−do,Korea
【Fターム(参考)】