説明

集積回路部品及び回路部品内蔵コネクタ

【課題】回路部品内蔵コネクタの小型化を図ることができる集積回路部品及び小型化を図ることができる回路部品内蔵コネクタを提供する。
【解決手段】回路部品内蔵コネクタ1はハウジング9,25とハウジング9,25内に内蔵されたICチップ4とハウジング9,25に取り付けられかつICチップ4を介して互いに接続するとともに電子機器を接続する一対の端子金具6,22を備えている。ICチップ4はシリコン層に実装されたトランジスタとシリコン層の表面と当該表面の裏側の配線パターンの表面とのそれぞれにトランジスタに接続した電極38を設けている。一対の端子金具6,22それぞれが電極38それぞれと接触した状態でハウジング9,25に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などに備えられる電子機器同士を接続するために用いられる集積回路部品及び回路部品内蔵コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、電子機器としてのアンテナと、各種の放送波を前記アンテナを介して受信する電子機器としての受信機が備えられる。このような自動車には、前記アンテナと前記受信機とを接続するために回路部品内蔵コネクタ(例えば、特許文献1参照)が用いられる。
【0003】
特許文献1に示された回路部品内蔵コネクタは、筒状のハウジングと、このハウジング内に収容された印刷配線板と、当該印刷配線板に実装された回路部品とを備えている。筒状のハウジングには、前記アンテナ及び受信機に接続したケーブルと接続するためのコネクタ部が設けられている。印刷配線板は、回路部品などを介してコネクタ部即ちケーブル同士を接続する。回路部品として、増幅器などが用いられている。この特許文献1に示された回路部品内蔵コネクタの増幅器は、受信信号に強度が過大である場合の増幅時に信号が歪みにくくするように、ダイナミックレンジを広くとった回路構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−4906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に示された回路部品内蔵コネクタは、ハウジング内に収容した印刷配線板によって、回路部品を介して一対のコネクタ部即ち電子機器同士を接続するために、当該印刷配線板のみだけでなく、前述したコネクタ部に前記ケーブルと前記印刷配線板とに接続する端子金具を設ける必要があった。このように、前述した回路部品内蔵コネクタでは、ハウジング内に回路部品を実装しかつ一対の端子金具が取り付けられた印刷配線板を収容するために、当該ハウジングが大型化する傾向即ち回路部品内蔵コネクタ自体が大型化する傾向であった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、回路部品内蔵コネクタの小型化を図ることができる集積回路部品及び小型化を図ることができる回路部品内蔵コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の集積回路部品は、部品本体と、この部品本体に実装された回路素子と、を備えた集積回路部品において、前記部品本体の一方の表面と当該一方の表面の裏側の他方の表面とのそれぞれに、前記回路素子に接続した電極を設けたことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の本発明の回路部品内蔵コネクタは、請求項1に記載の回路部品内蔵コネクタにおいて、ハウジングと、このハウジング内に内蔵された集積回路部品と、前記ハウジングに取り付けられかつ前記集積回路部品を介して互いに接続するとともに電子機器を接続する一対の端子金具と、を備えた回路部品内蔵コネクタにおいて、前記集積回路部品として、請求項1記載の集積回路部品を備え、前記一対の端子金具それぞれが前記電極それぞれと接触した状態で前記ハウジングに取り付けられていることを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の本発明の集積回路部品によれば、回路素子を内蔵した部品本体の両表面に当該回路素子と接続した電極を設けているので、当該電極に電子機器に接続したケーブルが取り付けられた端子金具などを接続することで、当該集積回路部品や端子金具以外の部品を用いることなく、電子機器同士を電気的に接続することができる。
【0010】
請求項2に記載の本発明の回路部品内蔵コネクタによれば、回路素子を内蔵した部品本体の両表面に当該回路素子と接続した電極を設けた集積回路部品と、この集積回路部品の各電極に接触した状態でハウジングに取り付けられる一対の端子金具を備えているので、前述した集積回路部品や端子金具以外の部品を用いることなく、電子機器同士を電気的に接続することができる。
【0011】
また、集積回路部品の電極に端子金具を直接接触して、これらを互いに電気的に接続しているので、ワイヤボンディングなどを用いる必要がなくなるので、構成が簡便になる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、請求項1記載の本発明は、当該集積回路部品や端子金具以外の部品を用いることなく、電子機器同士を電気的に接続することができるので、当該集積回路部品を備えた回路部品内蔵コネクタ自体の小型化を図ることができる。
【0013】
請求項2に記載の本発明は、前述した集積回路部品や端子金具以外の部品を用いることなく、電子機器同士を電気的に接続することができるので、これらの集積回路部品や端子金具以外の部品をハウジング内に収容する必要がなく、当該ハウジング即ち回路部品内蔵コネクタ自体の小型化を図ることができる。
【0014】
また、ワイヤボンディングなどを用いる必要がなくなり、構成が簡便になるので、小型化と低コスト化を図ることができ、良好な高周波特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる回路部品内蔵コネクタの斜視図である。
【図2】図1に示された回路部品内蔵コネクタの分解斜視図である。
【図3】図1中のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図1に示された回路部品内蔵コネクタのICチップの分解斜視図である。
【図5】図4に示されたICチップのトランジスタの回路図である。
【図6】本発明の第2の実施形態にかかる回路部品内蔵コネクタの断面図である。
【図7】図6に示された回路部品内蔵コネクタの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の実施形態にかかる回路部品内蔵コネクタ(以下、単にコネクタと呼ぶ)1を、図1ないし図5を参照して説明する。
【0017】
コネクタ1は、自動車に備えられる電子機器としての図示しないアンテナと、自動車に備えられる電子機器としての受信機とを接続するために用いられる。コネクタ1は、図1及び図2に示すように、第1コネクタ2と、第2コネクタ3と、集積回路部品としてのICチップ4(図2に示す)とを備えている。
【0018】
第1コネクタ2は、図2及び図3に示すように、電線としての同軸ケーブル5に接続される端子金具6と、絶縁部材7と、アース部材8と、ハウジングとしての第1ハウジング9とを備えている。
【0019】
同軸ケーブル5は、図2及び図3に示すように、中心導体10と、該中心導体10を被覆した絶縁性の内部被覆11と、該内部被覆11を被覆した外部導体としての編組導体12と、該編組導体12を被覆した外被としての絶縁性の絶縁シース13と、を備えた周知の同軸ケーブルである。
【0020】
上記中心導体10は、導電性の金属で構成されていて、断面円形の線状に形成されている。中心導体10は、一本または複数本の素線で構成されている。上記内部被覆11は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。上記編組導体12は、導電性の金属で構成された複数の素線が互いに編まれて、編状に形成されている。上記絶縁シース13は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。
【0021】
前述した構成の同軸ケーブル5は、その端末において、絶縁シース13の一部が除去されて、編組導体12が露出しており、露出した編組導体12が折り返されて絶縁シース13に被せられて、アース部材8に接続されている。また、同軸ケーブル5は、その端末において、内部被覆11と編組導体12の一部が除去されて、中心導体10が露出している。同軸ケーブル5の基端部は、前述したアンテナや受信機などの一対の電子機器のうち一方に接続されている。
【0022】
端子金具6は、導電性の板金に打ち抜き加工及び曲げ加工が施されて得られ、円筒状の電線接続部14と、この電線接続部14に連なった電気接触部15とを一体に備えている。電線接続部14は、中心導体10を内側に挿入して当該中心導体10に加締めされている。電気接触部15は、電線接続部14から離れる方向に凸に湾曲して構成されている。電気接触部15は、ICチップ4の後述する図3中左側の一方の平板電極35の電極38に接触して、当該電極38に電気的に接続している。
【0023】
絶縁部材7は、絶縁性の合成樹脂で構成され、かつ円筒状に形成されている。絶縁部材7の内径は端子金具6の電線接続部14の外径よりも大きく形成され、絶縁部材7の外径は絶縁シース13上に被せられた編組導体12の外径と略等しく形成されている。絶縁部材7は、内側に中心導体10に加締められた端子金具6を通して、同軸ケーブル5の端末に重ねられている。また、絶縁部材7には、ICチップ4が重ねられる。
【0024】
アース部材8は、導電性の金属で構成され、かつ、円筒状の部材本体16と、この部材本体16に連なった枠状部17とを一体に備えている。部材本体16は、内径が絶縁シース13に被せられた編組導体12及び絶縁部材7の外径と略等しく形成されている。枠状部17は、部材本体16の第1コネクタ2寄りの縁に連なった平板状に形成されている。枠状部17は、その中央に平面形状がICチップ4の平面形状と相似形でかつ当該ICチップ4の平面形状よりも若干小さい孔18が設けられている。
【0025】
アース部材8は、枠状部17が絶縁部材7上に重ねられたICチップ4に重ねられて、部材本体16が編組導体12上に被せられるとともに、部材本体16の第1コネクタ2から離れた側の縁が編組導体12の縁を加締めて、同軸ケーブル5の端末に取り付けられる。このとき、アース部材8は、枠状部17が絶縁部材7との間にICチップ4を挟み、かつ枠状部17がICチップ4の後述する図3中右側の他方の平板電極35のアース電極39に接触して、当該アース電極39に電気的に接続している。
【0026】
第1ハウジング9は、絶縁性の合成樹脂で構成され、かつ円筒状に形成されたハウジング本体19と、このハウジング本体19の外表面から凸に設けられたロック突起20とを備えている。ハウジング本体19の内径は、アース部材8の外径と略等しく形成されている。ハウジング本体19は、内側に同軸ケーブル5、端子金具6、絶縁部材7、ICチップ4及びアース部材8を収容する。こうして、ハウジング本体19即ち第1ハウジング9は、ICチップ4を内蔵する。
【0027】
第2コネクタ3は、電線としての同軸ケーブル21に接続される端子金具22と、絶縁部材23と、アース部材24と、ハウジングとしての第2ハウジング25とを備えている。
【0028】
同軸ケーブル21は、図3などに示すように、前述した同軸ケーブル5と構成が等しいので、同一部分に同一符号を付して説明を省略する。この同軸ケーブル21の基端部は、前述したアンテナや受信機などの一対の電子機器のうち他方に接続されている。
【0029】
端子金具22は、図3などに示すように、前述した端子金具6と構成が等しいので、同一部分に同一符号を付して説明を省略する。なお、この端子金具22の電気接触部15は、ICチップ4の後述する図3中右側の他方の平板電極35の電極38に接触して、当該電極38に電気的に接続している。
【0030】
絶縁部材23は、絶縁性の合成樹脂で構成され、かつ、円筒状の部材本体26と、この部材本体26に連なる先細部27とを一体に備えている。絶縁部材23の内側の空間は端子金具22の電線接続部14よりも大きく形成されている。部材本体26の外径は絶縁シース13上に被せられた編組導体12の外径と略等しく形成されている。先細部27は、部材本体26から第1コネクタ2に近づくのにしたがって徐々に外径が小さくなるように形成されている。絶縁部材23は、内側に中心導体10に加締められた端子金具22を通して、部材本体26が同軸ケーブル21の端末に重ねられている。
【0031】
アース部材24は、導電性の金属で構成され、かつ、円筒状の部材本体28と、この部材本体28に連なった枠状部29と、この枠状部29の内縁から立設した筒状部30と、を一体に備えている。部材本体28は、内径が絶縁シース13に被せられた編組導体12及び絶縁部材23の外径と略等しく形成されている。枠状部29は、部材本体28の第1コネクタ2寄りの縁に連なった平板状に形成されている。枠状部29は、その中央に平面形状がICチップ4の平面形状と相似形でかつ当該ICチップ4の平面形状及び前記孔18の平面形状よりも若干小さい孔31が設けられている。筒状部30は、孔31の周りから第1コネクタ2に向かって立設している。
【0032】
アース部材24は、枠状部29及び筒状部30が絶縁部材23の先細部27上に重ねられて、部材本体26が絶縁部材23の部材本体26及び編組導体12上に被せられて、同軸ケーブル21の端末に取り付けられる。そして、アース部材24は、コネクタ2,3が互いに嵌合すると、筒状部30が前記孔18内に侵入して、ICチップ4の図3中右側の他方の平板電極35のアース電極39に接触して、当該アース電極39に電気的に接続している。
【0033】
第2ハウジング25は、絶縁性の合成樹脂で構成され、かつ円筒状に形成されたハウジング本体32と、このハウジング本体32の外表面に連なったロックアーム33とを備えている。ハウジング本体32の内径は、アース部材24の部材本体28の外径と略等しく形成されている。ハウジング本体32は、内側に同軸ケーブル21及びアース部材24の部材本体28を収容する。
【0034】
ロックアーム33は、長手方向の中央部が第2ハウジング25の外表面に連なりかつ第1コネクタ2寄りの縁部にロック突起20に係合する爪部34を設けている。ロックアーム33は、爪部34がロック突起20に係合することで、コネクタ2,3同士を互いに嵌合させる。
【0035】
ICチップ4は、図4に示すように、導電性の板金からなる一対の平板電極35と、これら一対の平板電極35のうち図4中手前側の一方の平板電極35に重ねられた平板電極35寄りも厚手の平板状に形成されたシリコン層36と、このシリコン層36と図4中奥側の他方の平板電極35との間に複数(図示例では、四つ)設けられた平板状の配線パターン37とを備えている。シリコン層36と複数の配線パターン37とは、特許請求の半紙に記載された部品本体をなしている。
【0036】
平板電極35は、前記端子金具6,22が接続する電極38と、この電極38の回りに当該電極38から間隔をあけて設けられたアース電極39とを備えている。一対の平板電極35の電極38同士は、シリコン層36及び複数の配線パターン37に設けられたスルーホールなどにより互いに電気的に接続され、一対の平板電極35のアース電極39同士は、シリコン層36及び複数の配線パターン37に設けられたスルーホールなどにより互いに電気的に接続されている。このため、一対の平板電極35の電極38は、端子金具6,22などを介して前述したアンテナや受信機などの電子機器と電気的に接続されている。
【0037】
シリコン層36は、その表面上に回路パターンが設けられている。また、シリコン層36には、回路パターンにより互いに電気的に接続されるトランジスタ40などの各種の回路素子(図4には一つのみ示している)が実装されている。
【0038】
トランジスタ40は、図5に示すように、前述した一対の平板電極35の電極38の双方と接続した増幅器41と、この増幅器41と並列に設けられたスイッチ42と、レベル検出回路43とを備えている。即ち、トランジスタ40は、一対の平板電極35の電極38の双方と接続している。増幅器41には、アンテナが受信しかつ受信機に向かって出力される信号が通され、当該信号を増幅する。レベル検出回路43は、アンテナが受信しかつ受信機に向かって出力される信号の強度が予め定められた所定の強度を超えているか否かを判定する。
【0039】
レベル検出回路43は、アンテナが受信しかつ受信機に向かって出力される信号の強度が予め定められた所定の強度を超えていると判定すると、スイッチ42をオンにして、当該信号が増幅器41を介さずにスイッチ42を介して受信機に向かって出力させる。こうして、レベル検出回路43は、前述した信号の強度が予め定められた所定の強度を超えていると判定すると、増幅器41に当該信号を増幅させない。
【0040】
レベル検出回路43は、アンテナが受信しかつ受信機に向かって出力される信号の強度が予め定められた所定の強度以下であると判定すると、スイッチ42をオフにして、当該信号が増幅器41を介して受信機に向かって出力させる。こうして、レベル検出回路43は、前述した信号の強度が予め定められた所定の強度以下であると判定すると、増幅器41に当該信号を増幅させる。
【0041】
複数の配線パターン37は、表面に所定の回路パターンやスルーホールなどが設けられたシリコンウェハなどで構成されている。配線パターン37は、前述した平板電極35の電極38、アース電極39及びシリコン層36に実装されたトランジスタ40などの回路素子とを予め定められたパターンにしたがって電気的に接続する。
【0042】
前述した構成のICチップ4は、一方の平板電極35と、シリコン層36と、複数の配線パターン37と、他方の平板電極35とが順に積層されて得られる。このため、一対の平板電極35の電極38及びアース電極39は、部品本体の一方の表面と当該一方の表面の裏側の他方の表面とのそれぞれに設けられている。なお、これらの一方の平板電極35と、シリコン層36と、複数の配線パターン37と、他方の平板電極35との間には、それぞれ、図示しないこれらを互いに絶縁する絶縁膜が設けられている。
【0043】
そして、ICチップ4は、一方の平板電極35の電極38が第1コネクタ2の端子金具6の電気接触部15に接触しかつ他方の平板電極35のアース電極39が第1コネクタ2のアース部材8の枠状部17に接触した状態で当該第1コネクタ2内に内蔵される。そして、ICチップ4は、コネクタ2,3同士が嵌合すると、他方の平板電極35のアース電極39に第2コネクタ3のアース部材24の筒状部30が接触する。このため、ICチップ4は、コネクタ2,3が互いに嵌合すると、同軸ケーブル5,21を介して接続された端子金具6,22を互いに接続する。また、ICチップ4及び端子金具6,22は、コネクタ2,3が互いに嵌合すると、一対の端子金具6,22と平板電極35の電極38それぞれとが互いに接触した状態で、ハウジング9,25に取り付けられた格好となっている。
【0044】
本実施形態によれば、トランジスタ40などの回路素子を内蔵したシリコン層36の表面と配線パターン37の表面との双方に当該トランジスタ40と接続した電極38を設けているので、当該電極38にアンテナや受信機などの電子機器に接続したケーブルが取り付けられた端子金具6,22などを接続することで、当該ICチップ4や端子金具6,22以外の部品を用いることなく、電子機器同士を電気的に接続することができる。このため、当該ICチップ4を備えたコネクタ1自体の小型化を図ることができる。
【0045】
また、トランジスタ40のレベル検出回路43は、アンテナが受信しかつ受信機に向かって出力される信号の強度が予め定められた所定の強度を超えているか否かを判定し、前述した信号の強度が予め定められた所定の強度を超えていると判定すると、増幅器41に当該信号を増幅させずに、前述した信号の強度が予め定められた所定の強度以下であると判定すると、増幅器41に当該信号を増幅させる。このために、増幅器41のダイナミックレンジを広くする必要がなくなる。
【0046】
また、ICチップ4の電極38に端子金具6,22を直接接触して、これらを互いに電気的に接続しているので、ワイヤボンディングなどを用いる必要がなくなり、構成が簡便になる。このために、コネクタ1の小型化と低コスト化を図ることができ、良好な高周波特性を得ることができる。
【0047】
次に、本発明の第2の実施形態に係る回路部品内蔵コネクタ(以下、単にコネクタと呼ぶ)1を、図6及び図7を参照して説明する。また、図6及び図7において、前述した第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
本実施形態にかかるコネクタ1は、図6及び図7に示すように、ハウジング45と、接続端子部材46と、シールド本体47と、前述した第1の実施形態と構成が等しいICチップ4(図6では、平板電極35と、前述した部品本体のみ示し、シリコン層36、トランジスタ40、配線パターン37を省略している)と、端子金具48とを備えている。
【0049】
ハウジング45は、それぞれ、絶縁性の合成樹脂で構成された平板ハウジング49と、ハウジング本体50とを備えている。平板ハウジング49は、厚手の平板状に形成されている。ハウジング本体50は、平板状の平板部51と、この平板部51の中央から立設した円筒部52とを一体に備えている。平板部51は、平面形状が平板ハウジング49の平面形状と等しく形成されている。平板部51は、平板ハウジング49と間隔をあけて当該平板ハウジング49に重ねられている。円筒部52は、平板部51の中央部から平板ハウジング49から離れる方向に立設している。円筒部52の内側の空間は、平板部51を貫通しているとともに、円筒部52の内面には平板部51に向かうにしたがって徐々に内径が縮小するテーパ面52aが設けられている。
【0050】
接続端子部材46は、それぞれ、導電性の金属で構成された一つの電極接続部材53と、二対のアース電極接続部材54と、一対のばね接続部材55とを備えている。電極接続部材53は、帯状に形成され、かつ平板ハウジング49の長手方向の中央部の回りに巻き付けられている。電極接続部材53は、ICチップ4の図6中下側に位置する一方の平板電極35の電極38に接触して、当該電極38と電気的に接続する。なお、電極接続部材53は、特許請求の範囲に記載された端子金具をなしている。
【0051】
アース電極接続部材54は、帯状に形成され、かつ平板ハウジング49の長手方向の両端部に一対ずつ設けられている。アース電極接続部材54は、互いに間隔をあけて配置されているとともに、電極接続部材53と間隔をあけた状態で、平板ハウジング49の両端部に巻かれている。
【0052】
一対のばね接続部材55は、帯状の金属板が屈曲されて形成され、かつ平板ハウジング49の長手方向の両端部に設けられているとともに各端部に設けられた一対のアース電極接続部材54間に設けられている。ばね接続部材55は、アース電極接続部材54と電極接続部材53と間隔をあけた状態で、平板ハウジング49と、この平板ハウジング49上に重ねられたICチップ4を挟み込んでいる。なお、ばね接続部材55は、ICチップ4の図6中上側に位置する他方の平板電極35のアース電極39に接触して、当該アース電極39に電気的に接続している。
【0053】
シールド本体47は、導電性の金属で構成され、コ字状部56と、円筒部57とを一体に備えている。コ字状部56は、平板状の平板部58とこの平板部58の長手方向の両端部から立設した一対の側板部59とを備えて、側方からみてコ字状に形成されている。円筒部57は、コ字状部56の平板部58の中央部から立設した円筒状に形成されている。円筒部57の内径は、ハウジング本体50の円筒部52の外径と等しく形成されている。円筒部57の内側の空間は、勿論、平板部58を貫通している。
【0054】
端子金具48は、導電性の金属で構成され、棒状の電気接触部60を備えている。端子金具48は、電気接触部60が円筒部52内に挿入されて、ICチップ4の図6中上側に位置する他方の平板電極35の電極38に接触して、当該電極38と電気的に接続して、ハウジング45に取り付けられる。
【0055】
前述した本実施形態にかかるコネクタ1は、平板ハウジング49に電極接続部材53と二対のアース電極接続部材54とが取り付けられた後、これらの電極接続部材53,54にICチップ4の一方の平板電極35が重なる状態で、当該ICチップ4が重ねられる。そして、ばね接続部材55を平板ハウジング49に取り付ける。すると、ばね接続部材55は、平板ハウジング49、電極接続部材53,54との間にICチップ4を挟みこみ、当該ICチップ4の一方の平板電極35の電極38が電極接続部材53に電気的に接続し、当該ICチップ4の一方の平板電極35のアース電極39がアース電極接続部材54に電気的に接続する。
【0056】
そして、平板ハウジング49上に取り付けられたICチップ4上にハウジング本体50の平板部51が重ねられる。そして、平板部51にシールド本体47のコ字状部56の平板部58が更に重ねられ、シールド本体47の円筒部57内にハウジング本体50の円筒部52を収容し、一対の側板部59間に平板ハウジング49に取り付けられたアース電極接続部材54を挟み込んだ状態で、側板部59の平板部58から離れた側の縁部を加締めて、これらのハウジング本体50とシールド本体47を平板ハウジング49などに固定する。そして、端子金具48の電気接触部60を他方の平板電極35の電極38に接触させて、当該端子金具48をハウジング本体50などに取り付ける。こうして、電極接続部材53と端子金具48とがICチップ4により互いに電気的に接続して、コネクタ1が組み立てられる。そして、電極接続部材53は、アンテナや受信機などの一対の電子機器のうち一方と接続され、端子金具48が他方と接続される。
【0057】
本実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同様に、トランジスタ40などの回路素子を内蔵したシリコン層36の表面と配線パターン37の表面との双方に当該トランジスタ40と接続した電極38を設けているので、当該電極38にアンテナや受信機などの電子機器に接続した電極接続部材53や端子金具48などを接続することで、当該ICチップ4や端子金具48以外の部品を用いることなく、電子機器同士を電気的に接続することができる。このため、当該ICチップ4を備えたコネクタ1自体の小型化を図ることができる。
【0058】
また、トランジスタ40の増幅器41のダイナミックレンジを広くする必要がなくなるとともに、コネクタ1の小型化と低コスト化を図ることができ、良好な高周波特性を得ることができる。
【0059】
前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。即ち、本発明の回路部品内蔵コネクタ1は、アンテナと受信機以外の電子機器を互いに接続しても良く、本発明のICチップ4は、前述したトランジスタ40以外の回路素子を備えていてもよい。また、本発明では、トランジスタ40などの回路素子は、増幅器41やレベル検出回路43以外の回路を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 回路部品内蔵コネクタ
4 ICチップ(集積回路部品)
6 端子金具
9 第1ハウジング(ハウジング)
22 端子金具
25 第2ハウジング(ハウジング)
36 シリコン層(部品本体)
37 配線パターン(部品本体)
38 電極
40 トランジスタ(回路素子)
45 ハウジング
48 端子金具
53 電極接続部材(端子金具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品本体と、この部品本体に実装された回路素子と、を備えた集積回路部品において、
前記部品本体の一方の表面と当該一方の表面の裏側の他方の表面とのそれぞれに、前記回路素子に接続した電極を設けたことを特徴とする集積回路部品。
【請求項2】
ハウジングと、このハウジング内に内蔵された集積回路部品と、前記ハウジングに取り付けられかつ前記集積回路部品を介して互いに接続するとともに電子機器を接続する一対の端子金具と、を備えた回路部品内蔵コネクタにおいて、
前記集積回路部品として、請求項1記載の集積回路部品を備え、
前記一対の端子金具それぞれが前記電極それぞれと接触した状態で前記ハウジングに取り付けられていることを特徴とする回路部品内蔵コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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