説明

離型フィルム用ポリエステルフィルム

【課題】 例えば偏光板製造用の離型フィルムとして用いた際に、クロスニコル法による検査において精度ある検査を実施できるような優れた特性を有する離型フィルム用ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 配向主軸の傾きが15度以下であり、かつクロスニコルにおけるISC−S値が45以下であることを特徴とする離型フィルム用ポリエステルフィルム、および当該ポリエステルフィルムの片面に離型層を有することを特徴とする離型フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示用途等のフィルムにおいて重要な特性である光学特性に優れたポリエステルフィルムに関し、特に偏光板用の離型フィルムに好適に使用されるポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やパーソナルコンピューターの急速な普及に伴い、従来型のディスプレイであるCRTに比べ薄型軽量化、低消費電力、高画質化が可能である液晶ディスプレイ(LCD)の需要が著しく伸びつつあり、LCDの大画面化についてもその技術の成長が著しい。しかし、特に大画面化されたTFT型やSTN型のLCDにおいては、製造工程における不良率が高く、その改善策の1つとして異物混入の低減化が必要となっており、LCDに使用されている偏光板についても、いかに異物を低減化していくかが重要な課題となっている。偏光板の異物混入等の欠陥検査としては、クロスニコル法による目視検査が一般的である。このクロスニコル法は2枚の偏光板をその配向主軸を直交させてその間に離型フィルムを挟み込むようにし、異物や欠陥があればそこが輝点として現れるので、目視による欠点検査ができるという方法であるが、検査を行う偏光板には粘着剤層を介して離型層を設置したポリエステルフィルムが用いられており、離型フィルムの光学的異方性が著しい場合には、クロスニコル法の検査の障害となり、異物の混入や欠陥を見逃しやすくなるという不具合が生じる。
【特許文献1】特開2003−327719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような問題点を解決しようとするものであり、その解決課題は、例えば偏光板製造用の離型フィルムとして用いた際に、クロスニコル法による検査において精度ある検査を実施できるような優れた特性を有する離型フィルム用ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明の要旨は、配向主軸の傾きが15度以下であり、かつクロスニコルにおけるISC−S値が45以下であることを特徴とする離型フィルム用ポリエステルフィルムに存する。
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいうポリエステルとは、ジカルボン酸と、ジオールとからあるいはヒドロキシカルボン酸とから重縮合によって得られるエステル基を含むポリマーを指す。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、コハク酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール等を、ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等をそれぞれ例示することができる。かかるポリマーの代表的なものとして、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6―ナフタレート等が例示される。これらのポリマーはホモポリマーであってもよく、また第3成分を共重合させたものでもよい。本発明のフィルムとしては、優れた強度や寸法安定性の観点から二軸延伸フィルムが好ましく用いられるが、未延伸または少なくとも一方に延伸されたポリエステルフィルムを用いることもできる。
【0007】
本発明のポリエステルフィルムは、配向主軸の傾きが15度以下であり、かつクロスニコルにおけるISC−S値が45以下であることを満足する必要がある。なお、ここでいう配向角とは、フィルム幅方向または縦方向に対する主軸の傾きである。本発明の離型フィルムは偏光板用として使用される際、当該偏光板の垂直偏光の向きはポリエステルフィルムの縦方向と一致する。それをクロスニコル法により検査する工程では、クロスニコルとするため、すなわち検査のための偏光板をその垂直方向に設置して行う。従ってポリエステルフィルムの偏光方向はそれに対し縦方向およびそれに垂直な幅方向になる。検査工程ではこれらの偏光方向と配向主軸とがなす角を特定範囲とすることにより、精度を高度に維持することができる。ISC−Sとは面全体の輝度ムラを株式会社アイ・システム独自のアルゴリズムにより数値化したものである。配向角が15度より大きいとクロスニコル法検査の際に光漏れが大きくなり好ましくなく、また、ISC−Sが45より大きいと、面内の輝度ムラが目視検査時に障害となりとなり好ましくない。
【0008】
本発明において、ポリエステルフィルムのISC−S値を45以下とする具体的処方として、長手方向の厚みムラが極めて小さい未延伸フィルムを得ることが挙げられる。また、キャスティングの際にエッジビーズ現象により未延伸フィルムの両端部が厚くなるが、これを小さくすることも好ましい。さらに、逐次二軸延伸のロール延伸工程において長手方向に均一な延伸をすることはもちろんのこと、幅方向にも極めて均一な延伸となるようにすることが好ましい。長手方向に均一な延伸をする手段としては延伸倍率としては少なくとも3倍以上に延伸することが好ましい。延伸倍率は、より好ましくは3.5倍以上である。ただし、延伸倍率が高い場合配向主軸の傾きが大きくなり、配向主軸の傾きを15度以下とすることが困難となる場合がある。幅方向に均一な手段とする方法としては延伸時の温度差を小さくすることが好ましく、幅方向でフィルム温度の差が小さくなるように予熱および延伸温度を十分高くし均一な熱量を与えること、未延伸フィルムの幅方向の厚み差がある場合それに応じた加熱を行い、幅方向でフィルム温度差がなるべく小さくなるようにすることが好ましい。
【0009】
本発明においては、配向主軸の傾きとISC-S値との両方が特定の範囲を満足する時に、初めてクロスニコル法の検査に対する極めて高度な品質を与えるフィルムとすることができることを知見し、かつ、相反する特性をバランスよく有するフィルムとして得るための方法を確立したものである。
【0010】
また、ポリエステルフィルムを180℃、10分間熱処理した後、ジメチルホルムアミドより抽出されるオリゴマー量(以下、表面OL量と略記する)は、10mg/m以下であることが好ましく、さらには1mg/m以下であることが望ましい。表面OL量が10mg/mより多い場合には、離型層設置時の加熱工程においてフィルム表面にOLが析出し、離型層設置工程を汚染したり、離型層を設け偏光板に貼り合わせたりした際に偏光板へ異物を混入させたりする場合がある。
【0011】
また、本発明のフィルムは、180℃の雰囲気下で5分間保持したときの加熱収縮率が4%以下であることが好ましい。加熱収縮率が4%より大きい場合には、離型層を設置する工程や、離型フィルムを偏光板に貼り合わせる工程にある加熱処理工程において、フィルムの平面性が損なわれてしまう場合がある。
【0012】
本発明のポリエステルフィルムには、作業性を良好にする目的でフィルム中にフィラーを添加し、フィルムの滑り性を向上させることが好ましく、添加するフィラーとしては、例えばシリカ、炭酸カルシウム、カオリン、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ゼオライト等の無機粒子、またはシリコーン樹脂、架橋ポリスチレン、アクリル樹脂等の有機粒子を単独または混合体でフィルム中に配合させることが挙げられる。この場合、使用する粒子の平均粒径、添加量、さらに粒径分布は、本発明の要旨を逸脱しない限り特に限定されるものではないが、平均粒径は0.1〜4.0μm、添加量は0.01〜3.0重量%であることが好ましい。また、本発明のポリエステルフィルムは、本発明の要旨を越えない限り単層フィルムであっても複数の層が積層された多層フィルムであってもよい。
【0013】
以下、本発明のフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の構成を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
【0014】
公知の手法により乾燥したポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0015】
本発明においては、このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化することが好ましい。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で2〜6倍延伸を行い、150〜240℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。本発明のポリエステルフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その要求特性に応じて必要な特性、例えば帯電防止性、耐候性および表面硬度の向上のため、必要に応じて縦延伸終了後、横延伸のテンター入口前にコートをしてテンター内で乾燥するいわゆるインラインコートを行ってもよい。また、フィルム製造後にオフラインコートで各種のコートを行ってもよい。このようなコートは片面、両面のいずれでもよい。コーティングの材料としては、オフラインコーティングの場合は水系および/または溶媒系のいずれでもよいが、インラインコーティングの場合は水系または水分散系が好ましい。
【0016】
また、本発明のポリエステルフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等を混合することができる。また、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、顔料、蛍光増白剤等を混合することができる。本発明のポリエステルフィルムに離型層を設置する場合、離型層を構成する材料は離型性を有するものであれば特に限定されるものではなく、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。それらの中でも、硬化型シリコーン樹脂を主成分とした場合に離型性が良好な点でよい。硬化型シリコーン樹脂の種類としては溶剤付加型・溶剤縮合型・溶剤紫外線硬化型、無溶剤付加型、無溶剤縮合型、無溶剤紫外線硬化型、無溶剤電子線硬化型等いずれの硬化反応タイプでも用いることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、偏光板のクロスニコル法による検査において精度ある検査を実施でき、優れた特性を有する離型フィルム用ポリエステルフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、種々の諸物性、特性は以下のように測定、または定義されたものである。
【0019】
(1)配向角の測定
カールツァイス社製偏光顕微鏡を用いて、ポリエステルフィルムの配向を観察し、ポリエステルフィルム面内の主配向軸の方向がポリエステルフィルムの幅方向に対して何度傾いているかを測定し配向角とした。この測定を得られたフィルムの中央部と両端の計3カ所について実施し、3カ所の内で最も大きい配向角の値を最大配向角とした。
【0020】
(2)ISC−Sの測定
電通産業株式会社製HF−SL−A312LCを光源として用い、単体透過率42%、直交透過率0.009%の偏光板を用い、株式会社アイ・システム製のEyeScale−3Wを用いて測定を実施した。直交させた偏光板の間に、輝度値が200cd/mとなるような角度でサンプルを挟み測定を行った。サンプルの測定面積は150mm角とし、全製品幅について150mm間隔での測定を実施し、最も大きい値を求めた。
【0021】
(3)表面OL量の測定
ポリエステルフィルムを180℃で10分間加熱処理した後、上部が開放され、底辺の面積が250cmとなるように、熱処理後のポリエステルフィルムを折って、四角の箱を作成する。塗布層を設けている場合は、塗布層面が内側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF10mlを入れ3分間放置後DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津LC−7A)に供給してDMF中のオリゴマー量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/m)とする。DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、予め分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解して作成した。標準試料の濃度は、0.001mg/ml〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製 MCI GEL ODS1HU
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
【0022】
(4)加熱収縮率の測定
ポリエステルフィルムの長手および横方向に15mm幅 150mm長の短冊状にサンプルを切り出し、無張力状態にて180℃に設定されたオーブン(田葉井製作所製:熱風循環炉)中で5分間の加熱処理を行い、加熱処理前後の長さを測微計により測定し、下記式にて熱収縮率を求めた。
加熱収縮率(%)=[(a−b)/a]×100
(上記式中、aは加熱前のフィルム長さ(mm),bは加熱後のフィルム長さ(mm)である)
【0023】
(5)クロスニコル下での目視検査性
ポリエステルフィルムに、硬化型シリコーン樹脂(信越化学製「KS−779H」)100部、硬化剤(信越化学製「CAT−PL−8」)1部、メチルエチルケトン(MEK)/トルエン混合溶媒系2200部より成る離型剤を塗工量が0.1g/mmになるように塗布し、170℃で10秒間の乾燥を行って離型フィルムを得た後、離型フィルムの長手方向が偏光フィルムの配向軸と平行となるように、粘着剤を介して離型フィルムを偏光フィルムに密着させて偏光板とし、密着させた離型フィルム上に配向軸がフィルム幅方向と直交するように検査用の偏光板を重ね合わせ、偏光板側より白色光を照射し、検査用の偏光板より目視にて観察し、クロスニコル下での目視検査性を下記基準に従い評価した。なお測定の際には、得られたフィルムの中央部と両端部の計3カ所のフィルムを用いて評価し、最も不良であった評価結果をそのフィルムの目視検査性とした。
<クロスニコル下での目視検査性・判定基準>
○:光干渉性無く検査可能
×:光干渉性があり検査不能
【0024】
(6)離型層設置後の平面性検査
ポリエステルフィルム上に硬化型シリコーン樹脂(信越化学製「KS−779H」)100部、硬化剤(信越化学製「CAT−PL−8」)1部、メチルエチルケトン(MEK)/トルエン混合溶媒系2200部より成る離型剤を塗工量が0.1g/mm2になるように塗布して170℃で10秒間の乾燥を行い離型フィルムとし、得られた離型フィルムの平面性を目視にて検査した。
○:平面性がよく実用上問題ない
×:平面性が悪く実用性に欠ける
【0025】
以下に実施例および比較例を示すが、これに用いたポリエステルの製造方法は次のとおりである。
〈ポリエステルの製造〉
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール70部、および酢酸カルシウム−水塩0.07部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去させエステル交換反応を行い、反応開始後、約4時間半を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次に燐酸0.04部および三酸化アンチモン0.035部を添加し、常法に従って重合した。すなわち、反応温度を徐々に上げて、最終的には280℃とし、一方圧力は徐々に減じて最終的に0.05mmHgとした。4時間後、反応を終了し、常法に従いチップ化して固有粘度が0.65であるポリエステルAを得た。上記ポリエステルAを用いて公知の方法にて固相重合し、固有粘度が0.78となるポリエステルBを得た。さらに、上記ポリエステルAを製造する際、平均一次粒径3.0μmのシリカ粒子を4500ppm添加し、ポリエステルCを得た。さらに上記ポリエステルAを製造する際に、平均一次粒径0.7μmの炭酸カルシウムを20000ppm添加し、ポリエステルDを得た。
【0026】
実施例1:
前述のポリエステルA〜Dを下記表1に示す配合比でA層、B層用の混合原料とし、2台のベント式二軸押出機に各々を供給し、それぞれ285℃で溶融し、A層を最外層(表層)、B層を中間層とし、B層の厚みが全厚みの75%の厚みとなるように2種3層(A/B/A)の層構成で共押出して、30℃に冷却したキャスティングドラム上で冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、125℃にて縦方向に3.0倍延伸した後、テンター内で予熱工程を経て100℃で4.4倍の横延伸を施した後、205℃で10秒間の熱処理を行い、その後180℃で幅方向に20%の弛緩を加え、厚み38μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは、目視検査性が良好であり、表面OL量、も少なく実用性の高いポリエステルフィルムであった。さらに、このようにして得られたポリエステルフィルム上に離型層を塗布して離型フィルムを得た後、離型フィルムの平面性を検査した結果、平面性についても良好であった。
【0027】
実施例2:
原料配合および製膜条件を表1記載のようにした以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、表1に示したような結果となり、いずれも実用性の高いフィルムであった。また、実施例2で得られたポリエステルフィルムを用いて実施例1と同様にして離型フィルムを得、離型フィルムの平面性を検査したところ、平面性についても良好であった。
【0028】
比較例1:
原料配合および製膜条件を表1記載のようにする以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは目視検査性に劣っており実用性に欠けたフィルムであった。
【0029】
比較例2〜4:
原料配合および製膜条件を表1記載のようにする以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは表1に示す結果であり、いずれも目視検査性に劣っており、表面OL量、離型フィルムとした際の平面性のいずれかの特性についても劣っており、実用性に欠けたフィルムであった。
【0030】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のフィルムは、例えば、液晶表示用途等のフィルムとして好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配向主軸の傾きが15度以下であり、かつクロスニコルにおけるISC−S値が45以下であることを特徴とする離型フィルム用ポリエステルフィルム。
【請求項2】
加熱処理後にフィルム表面より抽出されるオリゴマー量が10mg/m以下であることを特徴とする請求項1記載の離型フィルム用ポリエステルフィルム。
【請求項3】
180℃の雰囲気下で5分間保持した時の加熱収縮率が4%以下であることを特徴とする請求項1記載の離型フィルム用ポリエステルフィルム。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のポリエステルフィルムの片面に離型層を有することを特徴とする離型フィルム。

【公開番号】特開2008−163263(P2008−163263A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−356707(P2006−356707)
【出願日】平成18年12月29日(2006.12.29)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】