説明

離型フィルム

【課題】 離型層の薄膜化に伴う、剥離力上昇が極力小さい、いわゆる、剥離力の塗布厚み依存性が極力小さい離型層を用いることにより、例えば、成形同時転写箔製造用等、フィルム伸張工程を有し、フィルム変形に伴い、離型層が薄膜化する製造工程において、極端に重剥離化することなく、離型性および成形性良好な離型フィルムを提供する。
【解決手段】 少なくとも一方のフィルム面に離型剤(A)、熱硬化性を有する化合物(B)およびバインダーポリマー(C)を含む離型層が設けられた離型フィルムであり、式(1)F2/F1≦3を同時に満足することを特徴とする離型フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は剥離力の塗布厚み依存性が極力小さい離型層が設けられた離型フィルムであることを特徴とする。例えば、成形同時(以下、インモールドと略記する場合がある。)転写箔製造用等、フィルム伸張工程を有し、フィルム変形に伴い、離型層が薄膜化する製造工程に好適に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等に優れた特性を有し、コストパフォーマンスに優れるため、各種用途に使用されている。 しかし、用途が多様化するにつれて、フィルムの加工条件や使用条件が多様化する傾向にある。一例として、インモールド転写箔製造用離型フィルムが挙げられるが、当該離型フィルムを用いた転写箔の構成は一般的に、片面に離型層上に順次、図柄印刷層および接着層などの転写層を積層した構成からなり、目的に応じて転写層にハードコート層や金属蒸着層等を積層されている。さらには、これら離型層や転写層に帯電防止剤や抗菌剤等の機能性剤を加え、転写箔としての機能が付与されている。
【0003】
上述の転写箔の転写方法に関しては転写箔を射出成形用の金型内にセットし、樹脂成形品を成形するのと同時にその表面に転写箔シートを一体化して接着し樹脂成形品に図柄を転写し装飾を施す。いわゆるインモールド転写法(成形同時転写法)が広く一般的に知られている。
【0004】
このような転写方式は、ポリエステル基材の表面上に接着層を含む複数の積層構成された転写箔を用い、接着層を介して被転写物に転写する方法であり、携帯電話機、電気製品、自動車部品、化粧容器、玩具類など多岐にわたる樹脂成形品の表面に装飾や表面保護等の表面加工を施す目的で広範囲の用途に使用されている。
【0005】
また、成形用途においては、携帯電話や電気製品など、成形時の絞りが浅いものから自動車用など成形時の絞りが深いものまで各種用途により成形加工での絞りが大きく異なる。この成形加工における絞りを分類すると、浅絞り、中絞り、深絞りに大別され、目的の用途に応じて好適な基材フィルムを選び用いられている。
【0006】
離型フィルム使用上の問題点として、図柄印刷および接着層など、コート加工や印刷加工で乾燥温度と張力の影響を受けて、離型フィルムに伸び変形や幅収縮による熱寸法変化が生じ、印刷ズレ、平面性低下等の不具合を生じる場合がある。そのため、離型フィルムに要求される必要特性としては、或る一定の熱寸法安定性と機械的特性が求められる。しかしながら、この離型フィルムを用いて積層加工された転写箔は機械的強度も保持されているためインモールド成形時においては変形応力も高く、金型との追随性が悪く、印刷の鮮明さに欠ける現象や成形破れが発生し易いという問題を抱えていた。
【0007】
離型フィルムを構成する離型層に関しては、成形工程において、フィルム伸張に伴い、離型層が薄膜化する傾向にあり、離型層が薄く引き延ばされた状態でも、所望する剥離力を発現することが必要とされる状況にある。そのため、現状、オフラインで設けられる離型層においては、離型層の塗布厚み(乾燥後)を数μmレベルに設定し、塗布厚みを十分厚くすることで対応している状況にある。(例えば、特許文献1)
【0008】
しかしながら、上述の方法では、離型層の薄膜化に伴う重剥離化は改善される反面、離型層の硬化を十分に行うため、例えば、180℃以上の高温でフィルムを焼き付ける場合があり、本来、フィルムが有する良好な寸法安定性・成形性が損なわれる場合があった。
【0009】
一方、インラインにおいて、離型層をポリエステルフィルム上に設ける場合には上述の塗膜硬化性に関する問題は回避できる反面、汎用的に使用されている離型層においては、ある塗布厚み(乾燥後)領域を下回り、薄膜化すると急激に剥離力が重くなる傾向にあった。そのため、成形同時転写箔製造用等、フィルムの変形に伴い、離型層の厚みが薄膜化する製造工程には対応困難な状況にあった。
【0010】
現状、離型層の塗布厚みに関して、離型層の薄膜化に伴う、剥離力上昇が極力小さい、いわゆる、剥離力の塗布厚み依存性が極力小さい離型層が設けられた離型フィルムが必要とされる状況にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開WO2005/7380パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記問題点を解決しようとするものであり、その解決課題は離型層の塗布厚みに関して、離型層の薄膜化に伴う、剥離力上昇が極力小さい、いわゆる、剥離力の塗布厚み依存性が極力小さい離型層を用いることによれば、例えば、成形同時(以下、インモールドと略記する場合がある。)転写箔製造用等、フィルム伸張工程を有し、フィルム変形に伴い、離型層が薄膜化する製造工程において、極端に重剥離化することなく、離型性および成形性良好な離型フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有する離型フィルムによれば、優れたフィルム特性を損なうことなく、例えば、インモールド転写用として好適な離型フィルムを提供できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明の要旨は、少なくとも一方のフィルム面に離型剤(A)、熱硬化性を有する化合物(B)およびバインダーポリマー(C)を含む離型層が設けられた離型フィルムであり、下記式(1)を同時に満足することを特徴とする離型フィルムに存する。
F2/F1≦3・・・(1)
(上記式中、F2は離型フィルムにおいて、100%伸張後における離型層とアクリル粘着テープとの剥離力(mN/cm)、F1は離型フィルムにおいて、100%伸張前において、離型層とアクリル粘着テープとの剥離力(mN/cm)を表す。)
【発明の効果】
【0015】
本発明における離型フィルムに関して、剥離力の塗布厚み依存性が極力小さい離型層が設けられた離型フィルムであることを特徴とする。例えば、成形同時(以下、インモールドと略記する場合がある。)転写箔製造用等、フィルム伸張工程を有し、フィルム変形に伴い、離型層が薄膜化する製造工程に対応可能であり、本発明の工業的価値は非常に大きい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の離型フィルムは、少なくとも一方のフィルム面上に離型層が設けられており、用途によってはフィルムの両面に離型層を設けることが可能である。
本発明における離型フィルムを構成するフィルム(ポリエステルフィルム)は単層構成であっても積層構成であってもよく、例えば、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を超えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
【0017】
本発明においてポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート等であるポリエステルを指す。
【0018】
本発明において、ポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる
【0019】
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
【0020】
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.01〜1μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、3μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
【0021】
さらに、ポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは 0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、 フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
【0022】
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。
【0023】
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
【0024】
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
【0025】
本発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常5〜250μm、好ましくは5〜188μmの範囲である。
【0026】
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
まず、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜 110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常 3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の 温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
【0027】
また、本発明におけるポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。
【0028】
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
【0029】
次に本発明における離型層の形成について説明する。
本発明における離型フィルムへの要求特性として、平坦化したポリエステルフィルム上に薄膜の離型層を設けることが必要とされるため、離型層が塗布延伸法(インラインコーティング)により、ポリエステルフィルム上に設けられることが好ましい。
【0030】
塗布延伸法(インラインコーティング)については以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に離型層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に離型層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
【0031】
本発明における離型フィルムを構成する離型層に関して、フィルム伸張前後における離型性を良好とするために離型層中に離型剤(A)、熱硬化性を有する化合物(B)およびバインダーポリマー(C)を含有するのが好ましい。離型剤(A)に関して、その構成材料として、フッ素化合物、長鎖アルキル化合物およびワックスの中から選ばれる少なくとも1種の離型剤(A)を含有するものである。これらの離型剤は単独で用いてもよいし、複数使用してもよい。
【0032】
本発明におけるフッ素化合物としては、化合物中にフッ素原子を含有している化合物である。インラインコーティングによる面状の点で有機系フッ素化合物が好適に用いられ、 例えば、パーフルオロアルキル基含有化合物、フッ素原子を含有するオレフィン化合物の重合体、フルオロベンゼン等の芳香族フッ素化合物等が挙げられる。転写時による耐熱性、汚染性を考慮すると高分子化合物であることが好ましい。
【0033】
本発明における長鎖アルキル化合物とは、炭素数が6以上、特に好ましくは8以上の直鎖または分岐のアルキル基を有する化合物のことである。具体例としては、特に限定されるものではないが、長鎖アルキル基含有ポリビニル樹脂、長鎖アルキル基含有アクリル樹脂、長鎖アルキル基含有ポリエステル樹脂、長鎖アルキル基含有アミン化合物、長鎖アルキル基含有エーテル化合物、長鎖アルキル基含有四級アンモニウム塩等が挙げられる。離型フィルム剥離時に貼り合わせている相手方基材表面への離型層由来の成分が転着する等を考慮すると高分子化合物であることが好ましい。
【0034】
本発明におけるワックスとは、天然ワックス、合成ワックス、それらの配合したワックスの中から選ばれたワックスである。天然ワックスとは、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックスである。植物系ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油が挙げられる。動物系ワックスとしては、みつろう、ラノリン、鯨ロウが挙げられる。鉱物系ワックスとしてはモンタンワックス、オゾケライト、セレシンが挙げられる。石油ワックスとしてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムが挙げられる。合成ワックスとしては、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックス、脂肪酸、酸アミド、アミン、イミド、エステル、ケトンが挙げられる。合成炭化水素としては、フィッシャー・トロプシュワックス(別名サゾワールワックス)、ポリエチレンワックスが有名であるが、このほかに低分子量の高分子(具体的には粘度数平均分子量500から20000の高分子)である以下のポリマーも含まれる。すなわち、ポリプロピレン、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックまたはグラフト結合体がある。変性ワックスとしてはモンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体が挙げられる。ここでの誘導体とは、精製、酸化、エステル化、ケン化のいずれかの処理、またはそれらの組み合わせによって得られる化合物である。水素化ワックスとしては硬化ひまし油、および硬化ひまし油誘導体が挙げられる。
【0035】
離型層中に含まれる離型剤(A)に関して、上記化合物中、広範囲に剥離力を調整することが出来る点で長鎖アルキル化合物を用いるのが、本発明の用途上、好ましい。
【0036】
本発明の離型層に用いられる熱硬化性を有する化合物(B)としては、種々公知の樹脂が使用できるが、例えば、メラミン化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物等が挙げられる。加熱転写時の耐熱性に優れて離型性が低下しないという点において、メラミン化合物がより好ましい。
【0037】
本発明におけるメラミン化合物としては、アルキロールまたはアルコキシアルキロール化したメラミン系化合物であるメトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン等が例示され、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できる。
【0038】
本発明におけるエポキシ化合物としては、例えば、分子内にエポキシ基を含む化合物、そのプレポリマーおよび硬化物が挙げられる。代表的な例は、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとの縮合物である。特に、低分子ポリオールのエピクロロヒドリンとの反応物は、水溶性に優れたエポキシ樹脂を与える。
【0039】
本発明におけるオキサゾリン化合物としては、分子内にオキサゾリン環を持つ化合物であり、オキサゾリン環を有するモノマーや、オキサゾリン化合物を原料モノマーの1つとして合成されるポリマーも含まれる。
【0040】
本発明におけるイソシアネート化合物としては、分子中にイソシアネート基を持つ化合物を指し、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートやこれらの重合体、誘導体等が挙げられる。
【0041】
これらの熱硬化性を有する化合物は、単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。また熱硬化を促進させるために触媒と共に用いることも可能である。さらにインラインコーティングへの適用等を配慮した場合、水溶性または水分散性を有することが好ましい。
【0042】
本発明における離型フィルムを構成する離型層に関して、剥離力調整、ポリエステルフィルムと離型層との密着性向上或いは離型層の塗布面状良化を目的として、バインダーポリマー(C)を併用する必要がある。
【0043】
本発明において使用する「バインダーポリマー」とは高分子化合物安全性評価フロースキーム(昭和60年11月 化学物質審議会主催)に準じて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量(Mn)が1000以上の高分子化合物で、かつ造膜性を有するものと定義する。
【0044】
バインダーポリマー(C)の具体例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、セルロース類、でんぷん類等が挙げられる。
【0045】
また、塗布層の固着性、滑り性改良を目的として、不活性粒子を含有してもよく、具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、有機粒子等が挙げられる。
【0046】
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料等が含有されてもよい。
【0047】
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
【0048】
本発明において、ポリエステルフィルム上に離型層を形成する際の硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、例えば、塗布延伸法(インラインコーティング)により 離型層を設ける場合、通常、170〜280℃で3〜40秒間、好ましくは200〜280℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。尚、活性エネルギー線照射による硬化のためのエネルギー源としては、従来から公知の装置,エネルギー源を用いることができる。
【0049】
離型層の塗工量(乾燥後)は塗工性の面から、通常0.01〜0.4g/m、好ましくは0.01〜0.2g/m、さらに好ましくは0.01〜0.1g/m、最も好ましくは0.01〜0.04g/mの範囲である。塗工量(乾燥後)が0.01g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、0.4g/mを超えて厚塗りにする場合には離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
【0050】
本発明における離型フィルムの特徴として、従来、離型層の塗布厚み(乾燥後)が0.5g/m以下の領域では良好な剥離特性を確保するのが困難とされていた(例えば、特許文献5に記載例がある。)。しかしながら、本願発明の離型層を用いることによれば、上述の薄膜領域において、良好な剥離特性を確保するのが可能である点が挙げられる。
また、付随的には本願発明の離型層を用いることにより、製造工程を一工程省略することが可能となり、生産性向上に寄与する利点を有する。
【0051】
本発明における離型フィルムを成形同時転写箔製造用として使用する場合、フィルム伸張前後における離型層の剥離力差は極力小さい方が好ましい。
しかしながら、通常、汎用的に使用される離型層においては、フィルム伸張工程を伴わないため、剥離力の塗布厚み依存性に配慮されていない場合が多い。そのため、通常、汎用的に使用される離型層においては、離型層の塗布厚み(乾燥後)が薄膜化するに伴い、例えば、設定塗布厚み(乾燥後)で0.03(g/m)以下の領域(乾燥後)に到達すると急激に剥離力が上昇する傾向にあった。
【0052】
一方、オフラインで使用される離型層においては、フィルム伸張後における離型層の薄膜化を考慮し、予め、塗布厚み(乾燥後)を数μmレベルまで、十分に厚く塗布することで対処する傾向にあった。
【0053】
本発明者らは離型層の塗布厚み(乾燥後)と剥離特性との関係に着目し、従来とは異なる剥離力挙動を示す離型層を使用することで、フィルム伸張前後における離型層の剥離力差を小さくすることが可能であることを知見し、本発明を完成させるに至った。
【0054】
本発明における離型フィルムに関して、離型フィルム100%伸張後の離型層とアクリル系粘着テープとの剥離力(F2)および離型フィルム100%伸張前における離型層とアクリル系粘着テープとの剥離力(F1)との関係が、下記(1)式を同時に満足する必要がある。F2/F1≦3・・・(1)
F2/F1値に関して好ましくは2以下がよい。F2/F1値が上記(1)式の範囲を外れる場合、離型フィルムを用いて成形した後、離型層の塗布厚み依存性が大きく、フィルム伸張後における離型層の剥離力が重くなりすぎて、剥離困難になる場合がある。
【0055】
また、本発明における離型フィルムを構成する離型層においては、剥離力の塗布厚み依存性を小さくするために、上記(1)式を満足するための具体的手法として、離型層中におけるバインダーポリマー(C)の含有比率は最大60重量%であるのが好ましく、更に好ましくは40重量%以下がよい。バインダーポリマー(C)の含有比率が60重量%を超える場合、およびバインダーポリマー(C)を含有しない場合には離型層の薄膜化に伴い、例えば、設定塗布厚み(乾燥後)で0.03(g/m)以下の領域において、剥離力が急激に上昇する場合がある。尚、離型層中のバインダーポリマー(C)の含有量に関して、例えば、実施例記載のバインダーポリマー(C2)を用いた場合、当該バインダーポリマーを構成する酸成分の中の一成分である、5−Naスルホイソフタル酸由来の硫黄元素を元素分析することで、量的な情報を得ることが可能となる。
【0056】
本発明者らは上述の通り、離型層中にバインダーポリマー(C)を所定量、併用することにより、離型層の塗布厚み依存性をさらに小さくする効果を有することを知見し、本発明を完成させるに至った。尚、ここでいう剥離力とは、本発明の離型フィルムを剥がす場合に必要となる力のことである。
【0057】
本発明における離型フィルムに関して、通常の使用方法とは異なり、フィルム伸張工程を有するため、離型層がフィルム伸張に伴い、変形すると考えられる。その結果、フィルム伸張後、再形成された離型層においては、離型性を発現している成分が一部、離型層中に埋没するためか、結果的に重剥離化(剥離力が上昇)する傾向にあると考えられる。そのため、本発明における離型フィルムに関してはフィルム伸張後においても、離型性を付与する成分は極力フィルム最表面に存在するのが好ましい。
【0058】
斯かる観点より、本発明における離型フィルムを構成する離型層に関して、上記(1)式を満足した上でさらに追加的要件として、離型層中に使用するバインダーポリマー(C)に関して、中でもポリエステル樹脂を用いることによれば、さらに離型層が薄膜化した際にも、良好な離型性を確保出来る点で好ましい。
【0059】
本発明における離型フィルムに関しては、離型層中にバインダーポリマー(C)を併用することにより、特に離型層の塗布厚み(乾燥後)が0.03g/m以下における剥離力変化をさらに小さくすることが可能となる点で好ましい。
【0060】
本発明における離型フィルムに関して、離型層が設けられていない面には本発明の主旨を損なわない範囲において、帯電防止層、接着層、オリゴマー析出防止層等の塗布層を設けてもよい。
【0061】
また、離型フィルムを構成するポリエステルフィルムには予め、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
【実施例】
【0062】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
【0063】
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
【0064】
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
【0065】
(3)離型フィルムの剥離力(F1)の評価
試料フィルムの離型層表面に粘着テープ(日東電工製「No.31B」)を貼り付けた後、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は、引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
【0066】
(4)離型フィルム(100%伸長後)の剥離力(F2)の評価
(株)インテスコ製引張試験機インテスコモデル2001型を用いて、温度25℃において長さ50mm,幅15mmの試料フィルムを、200mm/分の速度で引張試験を行い、100%伸張後の試料フィルムを得た。次に(6)項の要領により、剥離力(F2)を測定した。
【0067】
(5)離型フィルムにおける剥離力の比率(F2/F1)評価
試料フィルムにおいて、(3)、(4)項で求めた各剥離力値を用いて、F2/F1値を算出し、下記判定基準により、判定を行った。
<判定基準>
◎: F2/F1≦2(剥離性は特に良好)
○:2<F2/F1≦3(剥離性良好)
×:F2/F1>3(剥離性不良)
上記判定基準中、○以上が実用上、問題なく使用できるレベルである。
【0068】
(6)離型性(F3)評価(実用特性代用評価)
試料フィルムに関して、下記塗布剤組成からなる上塗り剤層を下記塗布条件により、離型面上に塗布した。次に(4)項の要領により、試料フィルムの縦方向に引張り、100%伸張後、上塗り剤層と離型層との離型性(F3)に関して、下記判定基準により判定を行った。
<上塗り剤組成>
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管及び冷却管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、アクリル酸2−エチルヘキシル(以下、2−EHAとする。)340g、アクリル酸イソボルニル(以下、iBoA とする。)600g、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、2−HEAとする。)60g、n−ドデシルメルカプタン3.0gを投入し、フラスコ内の空気を窒素置換しながら、55℃まで加熱した。ついで、重合開始剤として2,−2‘ アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名V−70;和光純薬( 株)製(以下、V−70とする。)0.025gを撹拌下に投入して均一に混合した。重合開始剤投入後、反応系の温度は上昇したが、冷却を行わずに重合反応を続けたところ、反応系の温度が120℃に達し、その後徐々に下がり始めた。反応系の温度が115℃まで下がったところで、2−EHAを68.0g、iBoAを120.0g、2−HEAを12.0g、n−ドデシルメルカプタンを1.5g添加して、55℃まで冷却後、その温度を保持して30分間窒素置換しながら撹拌した。
ついで、重合開始剤としてV−70を0.05g撹拌下に投入して均一に混合した。重合開始剤投入後、反応系の温度は上昇して115℃に達し、その後徐々に下がり始めた。反応系の温度が110℃まで下がったところで、2−EHAを102.0g、iBoA を180.0g、2−HEAを18.0g添加して、冷却を行いアクリル系シロップA を得た。このシロップは、モノマー濃度50%、ポリマー濃度50%で、ポリマー分のGPCによる重量平均分子量が5万であった。上記シロップA200質量部(単量体混合物100質量部)に対して、1,6ヘキサンジオールジアクリレート(商品名ライトアクリレート1,6HX−A;共栄社化学(株)製:以下HX−Aとする)1 .0質量部(iBoA100質量部に対して1 .8質量部)、イソシアヌレートHDI(商品名デュラネートTPA100;旭化成(株)製:以下TPAとする)18.8質量部、シリカ粒子(商品名タイペークR−972;テグサ社製:以下R−972とする)6.0質量部、過酸化物系開始剤:クミル−パーオキシ−ネオデカノエート(商品名パークミルND;日本油脂(株)製:以下開始剤NDとする)2.0質量部、1,1,3,3−テトラメチルブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名パーオクタO;日本油脂(株)製:以下開始剤P−Oとする)3 .0質量部、錫系硬化促進剤(商品名ネオスタンU−340;日東化成(株)製:以下U−340とする)0.12質量部を添加し、混合・脱泡処理して熱重合性組成物A−1を調製した。
<塗布条件>
乾燥条件:120℃×10分間
塗布量(乾燥後):80(g/m2
塗布方式:バーコート方式
<判定基準>
○:剥離性良好。
△:若干、剥離感が重いが剥離可能。
×:剥離困難。
上記判定基準中、△以上が実用上、問題なく使用できるレベルである。
【0069】
(7)離型フィルムの成形性評価
ロール状のフィルムサンプルを8MPaのテンションで巻出し、4色のグラビア印刷を施したあと、180℃にて30秒間乾燥することにより、絵柄印刷のフィルムを作製した。次に絵柄印刷フィルムを、オスメス金型を用いて、底面直径50mm、深さ2mmの円筒状に100個/分の速度で連続成形した。得られたサンプルの状態を目視観察し、下記判定基準により、判定を行った。
<判定基準>
○:100個中95個以上がフィルム破れの発生がなく、均一に成形されている。
△:100個中80個以上がフィルム破れの発生がなく、均一に成形されている。
×:100個中21個以上にフィルム破れが発生し、不良個所が多く観察される。
上記判定基準中、△以上が実用上、問題なく使用できるレベルである。
【0070】
(8)総合評価
離型フィルムに関して、下記判定基準により、総合評価を行った。
<判定基準>
○:離型性(F3)、成形性の全ての項目が○
△:離型性(F3)、成形性の内、少なくとも1つの項目が△
×:離型性(F3)、成形性の内、少なくとも1つの項目が×
上記判定基準中、△以上が実用上、問題なく使用できるレベルである。
【0071】
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
〈ポリエステルの製造〉
製造例1(ポリエチレンテレフタレートA1)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチレングリコールスラリーエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.03部、平均粒径1.5μmのシリカ粒子を0.01部添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、固有粘度0.61のポリエチレンテレフタレートA1を得た。
【0072】
(実施例1)
製造例1で製造したポリエチレンテレフタレートA1を180℃で4時間、不活性ガス雰囲気中で乾燥し、溶融押出機により290℃で溶融し、口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。得られた未延伸シートにまず、95℃で延伸倍率をMD方向に3.6倍延伸し、テンターに導き、TD方向に4.3倍の逐次二軸延伸を行った。その後、230℃にて3秒間熱固定し、厚さ38μmのPETフィルムを得た。
次に下記塗布剤を塗布量(乾燥後)が0.03g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布した後、130℃、10秒間熱処理した。
【0073】
離型層を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
【0074】
・長鎖アルキル化合物(A1):
4つ口フラスコにキシレン200部、オタデシルイソシアネート600部を加え、攪拌下に加熱した。キシレンが還流し始めた時点から、平均重合度500、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール100部を少量ずつ10分間隔で約2時間にわたって加えた。ポリビニルアルコールを加え終わってから、さらに2時間還流を行い、反応を終了した。反応混合物を約80℃まで冷却してから、メタノール中に加えたところ、反応生成物が白色沈殿として析出したので、この沈殿を濾別し、キシレン140部を加え、加熱して完全に溶解させた後、再びメタノールを加えて沈殿させるという操作を数回繰り返した後、沈殿をメタノールで洗浄し、乾燥粉砕して得た。
【0075】
・フッ素化合物(A2):
ガラス製反応容器中に、パーフルオロアルキル基含有アクリレートであるCF3(CF2)nCH2CH2OCOCH=CH2(n=5〜11、nの平均=9)80.0g、アセトアセトキシエチルメタクリレート20.0g、ドデシルメルカプタン0.8g、脱酸素した純水354.7g、アセトン40.0g、C16H33N(CH3)3Cl1.0gおよびC8H17C6H4O(CH2CH2O)nH(n=8)3.0gを入れ、アゾビスイソブチルアミジン二塩酸塩0.5gを加え、窒素雰囲気下で攪拌しつつ60℃で10時間共重合反応させて、共重合体エマルションを得た。
【0076】
・ワックス(A3):
攪拌機、温度計、温度コントローラーを備えた内容量1.5Lの乳化設備に融点105℃、酸価16mgKOH/g、密度0.93g/mL、平均分子量5000の酸化ポリエチレンワックス300g、イオン交換水650gとデカグリセリンモノオレエート界面活性剤を50g、48%水酸化カリウム水溶液10gを加え窒素で置換後、密封し150℃で1時間高速攪拌した後130℃に冷却し、高圧ホモジナイザーを400気圧下で通過させ40℃に冷却しワックスエマルションを得た。
【0077】
・熱硬化性を有する化合物(B):
アルキロールメラミン/尿素共重合の架橋性樹脂
(大日本インキ化学工業製ベッカミン:「J101」)
【0078】
・バインダーポリマー(C1):
ケン化度88モル%、重合度500のポリビニルアルコール
・バインダーポリマー(C2):
ポリエステル樹脂 Tg=63℃
酸成分:テレフタル酸 50モル%
イソフタル酸 48モル%
5−Naスルホイソフタル酸 2モル%
ジオール成分:エチレングリコール 50モル%
ネオペンチルグリコール 50モル%
【0079】
(実施例2〜実施例6)および(比較例1〜比較例6)
実施例1において、離型剤組成を下記表1に示す離型剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
上記実施例および比較例で得られた各離型フィルムの特性を表2、表3に示す。

尚、実施例1、5、6と比較例2,5,6に関して、各々、横軸に離型層の塗布厚み
(DRY)、縦軸に剥離力(F1)をプロットして比較すると、離型層におけるバインダーポリマー(C)の有無により、異なる剥離力挙動を示すことが確認される。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の離型フィルムは剥離力の塗布厚み依存性が小さい離型層が設けられたことを特徴とする。例えば、成形同時転写箔製造用等、フィルム伸張工程を有し、フィルム変形に伴い、離型層が薄膜化する製造工程に好適であり、本発明の工業的価値は非常に大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方のフィルム面に離型剤(A)、熱硬化性を有する化合物(B)およびバインダーポリマー(C)を含む離型層が設けられた離型フィルムであり、下記式(1)を同時に満足することを特徴とする離型フィルム。
F2/F1≦3・・・(1)
(上記式中、F2は離型フィルムにおいて、100%伸張後における離型層とアクリル粘着テープとの剥離力(mN/cm)、F1は離型フィルムにおいて、100%伸張前において、離型層とアクリル粘着テープとの剥離力(mN/cm)を表す。)

【公開番号】特開2010−247456(P2010−247456A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100396(P2009−100396)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】