説明

離型フィルム

【課題】フレキシブルプリント配線板製造用又は樹脂モールド成形用の成形性を向上させた離型フィルムを提供する。
【解決手段】離型性を有する樹脂からなる離型層と、ガスバリア性を有する樹脂からなるバリア層の少なくとも2層構造からなり、バリア層を構成する樹脂に、非晶性のポリアミド樹脂を1重量%以上含有させた構成とする。離型性を有する樹脂の例としては含フッ素樹脂、ポリ4−メチル1−ペンテン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、離型フィルム、特に、フレキシブルプリント配線板製造用又は樹脂モールド成形用の離型フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板は、ポリイミドフィルムなど絶縁基材の表面に所定の回路を設けたフレキシブル回路部材より構成されている。このようなフレキシブルプリント配線板は、通常、フレキシブル回路部材を、接着剤付きの耐熱樹脂フィルムであるカバーレイで被覆して絶縁及び回路保護を行い、離型フィルムを介在させてプレス機を用いプレスラミネートして製造される。
【0003】
一方、樹脂モールド成形用の離型フィルムは、モールド成形装置を用いた樹脂の成形加工において、モールド成形後に金型から樹脂(封止材料)を脱型するために、金型と樹脂の間に挟み込み、モールド成形された樹脂と金型を離型するために使用されるものである。
【0004】
従来、離型フィルムのガスバリア性を向上させるために、離型性を有する樹脂からなる離型層と、ガスバリア性を有する樹脂からなるバリア層とを組み合わせることが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−285990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示された離型フィルムのバリア層には、結晶性の樹脂が使用されている。
【0007】
ところが、結晶性の樹脂で構成されるフィルムは、伸度が小さく、成形性が不十分で、シワ等が発生し、製品の歩留まりが低下するという問題があった。
【0008】
そこで、この発明は、ガスバリア性を維持しつつ、従来の離型フィルムよりもさらに対形状追従性、即ち成形性をより優れたものを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の離型フィルムは、離型性を有する樹脂からなる離型層と、ガスバリア性を有する樹脂からなるバリア層の少なくとも2層構造からなり、バリア層を構成する樹脂に、非晶性のポリアミド樹脂を1重量%以上含有させたことを特徴とする。
【0010】
上記バリア層は、2層以上で構成することができる。
【0011】
上記バリア層における非晶性のポリアミド樹脂の含有比率は、25〜75重量%であることが好ましい。
【0012】
上記バリア層は、結晶性のポリアミド樹脂と、非晶性のポリアミド樹脂の組みあわせによって構成することができる。
【0013】
離型層は、含フッ素樹脂、4−メチル1−ペンテンポリメチルペンテン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂の群より選択される少なくとも1種の樹脂からなる。
【0014】
上記含フッ素樹脂は、炭素−炭素二重結合、カルボニル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホン酸基、及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの接着性官能基を有する。
【0015】
この発明の離型フィルムは、バリア層に、非晶性のポリアミド樹脂を1重量%以上含有しているため、フィルムの伸度が大きい。このため、成形性が良好であり、フレキシブルプリント配線板製造用又は樹脂モールド成形用離型フィルムとして好適に使用することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明の離型フィルムは、バリア層に、非晶性のポリアミド樹脂を1重量%以上含有するので、フィルムの伸度が大きく、対形状追従性、即ち成形性に優れ、成形の際に、シワ等が発生し難く、製品の歩留まりが向上する。
【0017】
また、上記バリア層を2層以上で構成することにより、成形性がさらに向上する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施例について説明する。
この発明のバリア層をとしては、例えば、結晶性のポリアミド樹脂に、非晶性のポリアミド樹脂を1重量%以上ブレンドしたものを使用することができる。
【0019】
結晶性のポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、6−66ナイロン、ナイロン46、メタキシレンジアミン/アジピン酸の重合体などが挙げられる。
【0020】
離型層を構成する樹脂としては、含フッ素樹脂、4−メチル1−ペンテンポリメチルペンテン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂の群より選択される少なくとも1種からなる。
【0021】
表1に示す樹脂を使用して、表2、表3、表4に示す層構成の離型フィルムを作製し、それぞれのフィルムの成形性の評価を行った。
【0022】
多層のフィルムを製造するには、水冷式又は空冷式の共押出インフレーション法、共押出Tダイ法等を使用することができる。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
【表3】

【0026】
【表4】

【0027】
成形性の評価は、「JPCA規格の7.5.3.3項の気泡」に準じて評価した。
【0028】
各符号は、以下の通りである。
ボイド発生率2%未満を合格とした。
【0029】
評価サンプル数を各n=100として評価を行い、サンプル表面にボイドが確認されたものの数が評価サンプル数の2%未満のものを合格とした。
○:ボイド発生率2%未満
×:ボイド発生率2%以上

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型性を有する樹脂からなる離型層と、ガスバリア性を有する樹脂からなるバリア層の少なくとも2層構造で、バリア層を構成する樹脂に、非晶性のポリアミド樹脂を1重量%以上含有させたことを特徴とする離型フィルム。
【請求項2】
上記バリア層が、2層以上で構成されている請求項1記載の離型フィルム。
【請求項3】
上記バリア層における非晶性のポリアミド樹脂の含有比率が25〜75重量%である請求項1又は2記載の離型フィルム。
【請求項4】
上記バリア層が、結晶性のポリアミド樹脂と、非晶性のポリアミド樹脂の組みあわせからなる請求項1〜3のいずれかに記載の離型フィルム。
【請求項5】
離型層が、含フッ素樹脂、4−メチル1−ペンテンポリメチルペンテン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂の群より選択される少なくとも1種の樹脂からなる請求項1〜4のいずれかに記載の離型フィルム。
【請求項6】
上記含フッ素樹脂が、炭素−炭素二重結合、カルボニル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホン酸基、及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの接着性官能基を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の離型フィルム。
【請求項7】
フレキシブルプリント配線板製造用又は樹脂モールド成形用離型フィルムである請求項1〜6のいずれかに記載の離型フィルム。

【公開番号】特開2011−251447(P2011−251447A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125878(P2010−125878)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(591200575)四国化工株式会社 (16)
【Fターム(参考)】