説明

難分解性化合物除去装置および難分解性化合物除去方法

【課題】水溶液中の難分解性化合物を効率よく除去することが可能な難分解性化合物除去装置および難分解性化合物除去方法を提供する。
【解決手段】難分解性化合物含有水を導入する水槽42と、水槽42内にナノバブル含有水を吐出するナノバブル含有水吐出部2と、水槽42内の難分解性化合物含有水の水面上に存在する気体を流動させるために、気流を発生させる送風部17と、気体中に含まれる難分解性化合物の分解物を吸着するための吸着部32・33・34と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難分解性化合物を効率よく分解・除去することができる難分解性化合物除去装置および難分解性化合物除去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダイオキシン、有機フッ素化合物(例えば、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)またはパーフルオロオクタン酸(PFOA)等)などは化学的に安定な物質であって、耐熱性および耐薬品性(例えば、耐酸性)に優れている。それゆえ、これら難分解性化合物は、界面活性剤、または半導体製造における反射防止膜等の産業用材料として広く用いられている。しかしながら、難分解性化合物が広く用いられれば用いられるほど、難分解性化合物が自然界に放出される可能性が増加する。
【0003】
上述したように、難分解性化合物は化学的に安定な物質であるが故に、一度自然界に放出されれば、深刻な環境汚染の原因となり得る。例えば、北極熊、アザラシおよび鯨の体内から上述したような難分解性化合物が検出されており、難分解性化合物による環境汚染が国際的に深刻化しつつある。
【0004】
それゆえ、環境汚染を防止するために、産業用材料として用いられた後の難分解性化合物を処理するための様々な装置および方法の開発が進められている。
【0005】
例えば、従来から、PFOS、PFOA等の難分解性化合物を含有する水溶液の処理には、燃料を用いて水溶液のままで難分解性化合物を燃焼する燃焼方式、または水溶液に対して高圧をかけることによって水溶液中の化合物を分解する超臨界方式が用いられている。
【0006】
しかしながら、例えば、半導体工場などから排出される有機フッ素化合物含有廃水中の有機フッ素化合物の濃度は、ppbオーダーであって濃度が低く、かつ廃水量が1日あたり数十トン〜数百トンと非常に多い。この場合、上記従来の方法では、廃水を処理しきれないのが現状である。
【0007】
ところで、近年、小さな直径を有する気泡(バブル)には様々な作用効果があることが明らかになりつつあり、現在、このような気泡を作製する技術およびその効果に対する研究が進みつつある。そして、気泡を用いて、様々な有機物を分解しようとする試みもなされている。
【0008】
上記気泡は、その直径に応じて、マイクロバブル、マイクロナノバブルおよびナノバブルに分類することができる。具体的には、マイクロバブルは、その発生時において10μm〜数十μmの直径を有する気泡であり、マイクロナノバブルは、その発生時において数百nm〜10μmの直径を有する気泡であり、ナノバブルは、その発生時において数百nm以下の直径を有する気泡である。なお、マイクロバブルは、発生後の収縮運動によって、その一部がマイクロナノバブルに変化することがある。また、ナノバブルは、長期に渡って液体中に存在することができるという性質を有している。
【0009】
例えば、従来から、様々なナノバブルの利用方法、およびナノバブルを利用した各種装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。より具体的には、特許文献1には、ナノバブルが、浮力の減少、表面積の増加、表面活性の増大、局所高圧場の生成、または静電分極の実現によって、界面活性作用および殺菌作用を示すことが記載されている。更に、特許文献1には、ナノバブルが有する界面活性作用および殺菌作用を用いて、各種物体を洗浄する技術および汚濁水を浄化する技術が記載されている。更に、特許文献1には、ナノバブルを用いて生体の疲労を回復する方法が記載されている。なお、特許文献1では、水を電気分解するとともに、当該水に超音波振動を加えることによって、ナノバブルを作製している。
【0010】
また、従来から、液体を原料としてナノバブルを作製する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。上記作製方法は、液体中において、1)上記液体の一部を分解ガス化する工程、2)上記液体に超音波を印加する工程、または3)上記液体の一部を分解ガス化する工程および上記液体に超音波を印加する工程、からなるものである。なお、液体の一部を分解ガス化する工程として、電気分解法または光分解法を用いることができることが記載されている。
【0011】
また、従来から、オゾンガスからなるマイクロバブル(オゾンマイクロバブル)を利用する廃液処理装置が用いられている(例えば、特許文献3参照)。上記廃液処理装置では、オゾン発生装置によって作製されたオゾンガスと廃液とを、加圧ポンプを用いて混合することによって、オゾンガスからなるマイクロバブルを作製している。そして、当該マイクロバブルが廃液中の有機物と反応することによって、廃液中の有機物が酸化分解される。
【特許文献1】特開2004−121962号公報(平成16年4月22日公開)
【特許文献2】特開2003−334548号公報(平成15年11月25日公開)
【特許文献3】特開2004−321959号公報(平成16年11月18日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来のバブルを利用した方法では、水溶液中の難分解性化合物を効率よく除去できないという問題点を有している。
【0013】
具体的には、上記従来のバブルを利用した方法では、難分解性化合物の分解速度が遅いか、または分解できないという問題点を有している。
【0014】
また、上記従来のバブルを利用した方法では、分解速度が遅いために、長期に渡って水溶液を処理し続ける必要がある。そのため、多量の水溶液を処理しようとすれば多くの設備を必要とするという問題点を有している。
【0015】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、水溶液中の難分解性化合物を効率よく除去することが可能な難分解性化合物除去装置および難分解性化合物除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、以下の1)〜4)を見出し、本発明を完成させるに至った。つまり、
1)難分解性化合物(例えば、有機フッ素化合物など)をナノバブルの酸化力を利用して分解すると、炭素数が少なくなった分解物(例えば、C3、C4、C5、C6、C7など)がガス化して、当該ガスが気相中に放出されること、
2)難分解性化合物をナノバブルの酸化力を利用して効率的に分解するには、ガス化した分解物を液相(水面)表面から効率よく除去する必要があること。つまり、液相(水面)表面にガス化した分解物が充満すると、難分解性化合物の分解が抑制されること、
3)ガス化した各種分解物は、活性炭などによって効率よく吸着されること、
4)難分解性化合物除去装置を上部と下部とに分けて構成し、下部をナノバブルによって難分解性化合物を分解する領域、上部をガス化した分解物を効率よく除去する領域とすれば、難分解性化合物の分解効率が上昇するとともに、難分解性化合物除去装置を小型化できること。
【0017】
本発明の難分解性化合物除去装置は、上記課題を解決するために、難分解性化合物含有水を導入する水槽と、前記水槽内にナノバブル含有水を吐出するナノバブル含有水吐出手段と、前記水槽内の前記難分解性化合物含有水の水面上に存在する気体を流動させるために、気流を発生させる送風手段と、前記気体中に含まれる難分解性化合物の分解物を吸着するための吸着手段と、を備えることを特徴としている。
【0018】
上記構成によれば、ナノバブルによって発生するラジカルが有する酸化力によって、難分解性化合物が分解される。なお、当該酸化力であれば、炭素原子とフッ素原子との間の結合をも分解することができる。分解された難分解性化合物はガス化して、水槽内の難分解性化合物含有水の水面近傍の気体中に放出されることになる。このとき、分解物が水面近傍に滞留すれば、難分解性化合物の分解反応が抑制される。しかしながら、上記構成によれば、送風手段によって水面近傍に滞留しようとする分解物を拡散することができるので、難分解性化合物の分解反応を促進することができる。そして、さらに上記構成によれば、吸着手段によって分解物を吸着することができるので、更に効果的に分解物が水面近傍に滞留することを防止することができるとともに、分解物が自然界に放出されることを防止することができる。
【0019】
本発明の難分解性化合物除去装置では、前記水槽内の難分解性化合物含有水の水面を蓋うとともに、前記水面との間に空間を形成するように蓋が設けられており、前記蓋には、前記送風手段によって発生した気流を前記空間内に導入するための導入口と、前記空間内の気流を前記空間外に放出するための放出口とが設けられていることが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、上記空間中を導入口から放出口に向かって気流が流れることになる。つまり、上記構成によれば、送風手段によって発生した気流の方向を一定にすることができる。そして、一定の方向に整然と流れる気流によって、ガス化した難分解性化合物の分解物を拡散できるので、分解物の拡散効果を上げることができる。そして、その結果、難分解性化合物の分解反応を、より促進することができる。
【0021】
本発明の難分解性化合物除去装置では、前記吸着手段は、前記空間内に設けられていることが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、上記空間内に吸着手段が設けられているので、より効果的にガス化した分解物を吸着手段に吸着させることができる。そして、その結果、更に効果的に分解物が水面近傍に滞留することを防止することができるとともに、分解物が自然界に放出されることを防止することができる。
【0023】
本発明の難分解性化合物除去装置では、前記導入口から前記放出口に至る前記気流の経路上には、前記吸着手段が複数設けられていることが好ましい。
【0024】
上記構成によれば、気流が導入口から放出口に至るまでの間に、吸着手段と気流中に含まれる分解物とが、複数回接触することになる。その結果、より効果的にガス化した分解物を吸着手段に吸着させることができる。
【0025】
本発明の難分解性化合物除去装置では、前記吸着手段は、活性炭、キレート樹脂、イオン交換樹脂、またはゼオライトであることが好ましい。
【0026】
上記構成によれば、吸着手段によって、より強力に分解物を吸着することができる。また、上記吸着手段は様々な物質を吸着することができるので、様々な種類の難分解性化合物を処理することができる。また、上記吸着手段(特に、活性炭)は、フッ素などに対する耐性も高いので、長期間、分解物を吸着することができる。
【0027】
本発明の難分解性化合物除去装置では、前記ナノバブル含有水吐出手段は、下記1)〜3)を備えるものであることが好ましい。つまり、
1)液体と気体とを混合およびせん断してマイクロバブル含有水を作製する第1気体せん断部
2)前記マイクロバブル含有水を更にせん断してナノバブル含有水を作製する第2気体せん断部
3)前記ナノバブル含有水を更にせん断して多量のナノバブルを含むナノバブル含有水を作製する第3気体せん断部。
【0028】
上記構成によれば、多量のナノバブルを含むナノバブル含有水を作製することができる。換言すれば、多量のラジカルを発生させることができる。そして、多量のラジカルを発生させることができれば、より強力に難分解性化合物を酸化分解することができる。そして、その結果、上記構成によれば、より効果的に難分解性化合物を除去することができる。
【0029】
本発明の難分解性化合物除去装置では、前記第1気体せん断部に対して1.2リットル/分以下にて前記気体を供給するための気体量調節手段を備えることが好ましい。
【0030】
上記構成によれば、多量のナノバブルを作製することができる。なお、1.2リットル/分よりも多く気体を供給すれば、マイクロバブルの量が多くなる。そして、マイクロバブルの量が多くなれば、発生するラジカルの量が減少し、その結果、難分解性化合物の処理効果が低下する。
【0031】
本発明の難分解性化合物除去装置では、前記第1気体せん断部の内部の横断面は、楕円形または真円形であり、前記第1気体せん断部の内部表面には、2本以上の溝が設けられていることが好ましい。
【0032】
上記構成によれば、第1気体せん断部の内部の横断面の形状が、楕円形または真円形であるので、気体と液体との混合物は、上記第1気体せん断部の内部表面に沿って回転運動を行うことができる。つまり、旋回乱流が起こらないような状態で、上記第1気体せん断部の内部にて、気体と液体との混合物を高速にて回転運動させることができる。その結果、効率よく気体をせん断することができるので、第1気体せん断部にて、多量のマイクロバブルを作製することができる。そして、第1気体せん断部にて多量のマイクロバブルを作製することができれば、第2気体せん断部にて、当該マイクロバブルから多量のナノバブルを作製することができる。
【0033】
また、上記構成によれば、第1気体せん断部の内部表面に溝を形成することによって、上記第1気体せん断部の内部にて気体と液体との混合物を回転運動させた場合に、旋回乱流が生じることを防止することができる。その結果、第1気体せん断部にて、多量のマイクロバブルを作製することができる。そして、第1気体せん断部にて多量のマイクロバブルを作製することができれば、第2気体せん断部にて、当該マイクロバブルから多量のナノバブルを作製することができる。
【0034】
本発明の難分解性化合物除去装置では、前記溝の深さは、0.3mm〜0.6mmであり、前記溝の幅は、0.8mm以下であることが好ましい。
【0035】
上記構成によれば、より確実に旋回乱流が生じることを防止することができる。
【0036】
本発明の難分解性化合物除去装置では、前記第1気体せん断部では、第1配管を介して前記液体が供給されるとともに、第2配管を介して前記マイクロバブル含有水が吐出され、前記第1配管の内腔の横断面の面積は、前記第2配管の内腔の横断面の面積よりも大きいことが好ましい。
【0037】
上記構成によれば、多量のマイクロバブルを作製することができるとともに、当該マイクロバブルを用いて多量のナノバブルを作製することができる。一般的に上記第1気体せん断部にて安定にマイクロバブルを作製するためには、上記第1気体せん断部からのマイクロバブル含有水の吐出圧力を高める必要がある。そこで、液体を上記第1気体せん断部に供給するための第1配管の内腔における横断面の面積を、マイクロバブル含有水を上記第1気体せん断部から吐出するための第2配管の内腔における横断面の面積よりも大きくすれば(換言すれば、上記マイクロバブル含有水の吐出口を上記液体の供給口よりも小さくすれば)、上記第1気体せん断部からのマイクロバブル含有水の吐出圧力を高めることができる。その結果、上記第1気体せん断部にて多量のマイクロバブルを作製することができる。そして、第1気体せん断部にて多量のマイクロバブルを作製することができれば、当該マイクロバブルを用いて、第2気体せん断部にて多量のナノバブルを作製することができる。
【0038】
本発明の難分解性化合物除去装置では、前記第1気体せん断部は、気体と液体とを混合するためのポンプを備え、前記ポンプ内への前記気体の取り込みは、前記ポンプの出力が最大値に達した時点以降に行われることが好ましい。
【0039】
上記構成によれば、上記ポンプが気体によって損傷することを防止することができる。つまり、キャビテーションの発生によるポンプの損傷を防止することができる。その結果、上記第1気体せん断部において、多量のマイクロバブルを作製することができる。そして、上記第2気体せん断部にて、当該多量のマイクロバブルから多量のナノバブルを作製することができる。
【0040】
本発明の難分解性化合物除去装置では、前記第1気体せん断部は、気体と液体とを混合するためのポンプを備え、前記ポンプ内への前記気体の取り込みは、前記ポンプの動作開始時から60秒後以降に行われることが好ましい。
【0041】
上記構成によれば、上記ポンプの出力が確実に最大値に達しているので、上記第1気体せん断部にて多量のマイクロバブルを作製することができるとともに、上記第2気体せん断部にて多量のナノバブルを作製することができる。
【0042】
本発明の難分解性化合物除去装置では、前記第1気体せん断部の内部には、第3配管を介して前記気体が供給され、前記第3配管は、前記第1気体せん断部の内側面に対して18度の角度(換言すれば、第1気体せん断部の内側面への入射角度が18度)をなすように、前記第1気体せん断部に接続されていることが好ましい。なお、上記18度の値は入射最適角度であって、入射角度が略18度であればよい。具体的には、上記入射角度は、17度〜19度であることが好ましい。
【0043】
上記構成によれば、入射角度が18度であることによって気体と液体との効率の良い高速せん断が起こり、多量のマイクロバブルを作製することができる。すなわち、上記第1気体せん断部によって多量のマイクロバブルを作製することができる。そして、当該マイクロバブルを用いれば、第2気体せん断部にて多量のナノバブルを作製することができる。
【0044】
本発明の難分解性化合物除去装置では、前記第1気体せん断部の隔壁の厚さは、6mm〜12mmであることが好ましい。
【0045】
上記構成によれば、第1気体せん断部の隔壁が厚く形成されているので、第1気体せん断部が振動することがない。つまり、第1気体せん断部の内部にて気体と液体との混合物が旋回しても、それによって第1気体せん断部が振動することがない。したがって、第1気体せん断部の内部で旋回している上記混合物の運動エネルギーが、振動として外部(例えば、外部気体)に伝播して失われることがないので、上記混合物を高速で回転運動させることができる。その結果、上記第1気体せん断部にて、効率よくマイクロバブルを作製することができる。
【0046】
本発明の難分解性化合物除去装置では、前記気体として、酸素またはオゾンを前記第1気体せん断部に供給するための気体選択手段が備えられていることが好ましい。
【0047】
上記構成によれば、空気と比較して更に多量のラジカルを発生させることができるので、難分解性化合物を更に強力に酸化分解することができる。そして、その結果、より効果的に難分解性化合物を除去することができる。
【0048】
本発明の難分解性化合物除去装置では、前記難分解性化合物含有水として、有機フッ素化合物含有水を前記水槽に導入するための処理水選択手段が備えられていることが好ましい。
【0049】
上記構成によれば、有機フッ素化合物含有水のような従来の方法では処理することが困難であったもの水溶液、より効果的に処理して無害化することができる。
【0050】
本発明の難分解性化合物除去装置では、前記有機フッ素化合物含有水は、パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド、およびパーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド誘導体からなる群より選択される少なくとも1つの有機フッ素化合物を含有することが好ましい。
【0051】
上記構成によれば、有機フッ素化合物の中でも特に処理が困難であったパーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド、およびパーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド誘導体についても、より効果的に処理して無害化することができる。
【0052】
本発明の難分解性化合物除去方法は、上記課題を解決するために、難分解性化合物含有水に対してナノバブル含有水を吐出するナノバブル含有水吐出工程と、前記難分解性化合物含有水の水面上に存在する気体を流動させる流動工程と、前記気体中に含まれる難分解性化合物の分解物を吸着する吸着工程と、を含むことを特徴としている。
【0053】
上記構成によれば、ナノバブルによって発生するラジカルが有する酸化力によって、難分解性化合物が分解される。なお、当該酸化力であれば、炭素原子とフッ素原子との間の結合をも分解することができる。分解された難分解性化合物はガス化して、難分解性化合物含有水の水面近傍の気体中に放出されることになる。このとき、分解物が水面近傍に滞留すれば、難分解性化合物の分解反応が抑制される。しかしながら、上記構成によれば、流動工程によって水面近傍に滞留しようとする分解物を拡散することができるので、難分解性化合物の分解反応を促進することができる。そして、さらに上記構成によれば、吸着工程によって分解物を吸着することができるので、更に効果的に分解物が水面近傍に滞留することを防止することができるとともに、分解物が自然界に放出されることを防止することができる。
【0054】
本発明の難分解性化合物除去方法では、前記難分解性化合物含有水は、有機フッ素化合物含有水であることが好ましい。
【0055】
上記構成によれば、ナノバブルによって酸化力の強いラジカルを多量に発生させることができるので、有機フッ素化合物含有水のような従来の方法では処理することが困難であった水溶液まで、より効果的に処理して無害化することができる。
【0056】
本発明の難分解性化合物除去方法では、前記有機フッ素化合物含有水は、パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド、およびパーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド誘導体からなる群より選択される少なくとも1つの有機フッ素化合物を含有することが好ましい。
【0057】
上記構成によれば、有機フッ素化合物の中でも特に処理が困難であったパーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド、およびパーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド誘導体についても、より効果的に処理して無害化することができる。
【0058】
本発明の難分解性化合物除去方法では、前記ナノバブル含有水は、酸素またはオゾンからなるナノバブルを含むものであることが好ましい。
【0059】
酸素またはオゾンからなるナノバブルは、空気からなるナノバブルと比較してより多くのラジカルを発生させることができる。したがって、上記構成によれば、より強力に難分解性化合物を酸化分解することができる。そして、その結果、より効果的に難分解性化合物を除去することができる。
【発明の効果】
【0060】
本発明の難分解性化合物除去装置は、以上のように、難分解性化合物含有水を導入する水槽と、前記水槽内にナノバブル含有水を吐出するナノバブル含有水吐出手段と、前記水槽内の前記難分解性化合物含有水の水面上に存在する気体を流動させるために、気流を発生させる送風手段と、前記気体中に含まれる難分解性化合物の分解物を吸着するための吸着手段と、を備えるものである。
【0061】
本発明の難分解性化合物除去方法は、以上のように、難分解性化合物含有水に対してナノバブル含有水を吐出するナノバブル含有水吐出工程と、前記難分解性化合物含有水の水面上に存在する気体を流動させる流動工程と、前記気体中に含まれる難分解性化合物の分解物を吸着する吸着工程と、を含む方法である。
【0062】
それゆえ、ナノバブルによって多量のラジカルを発生させ、当該ラジカルによって、強力に難分解性化合物を酸化分解することができるという効果を奏する。
【0063】
また、酸化分解によって生じた分解物はガス化するが、当該ガス化した分解物を効果的に除去することができるので、酸化分解反応の進行が抑制されることを防ぐことができるという効果を奏する。換言すれば、酸化分解反応を促進することができるという効果を奏する。
【0064】
また、除去された分解物は吸着手段によって回収されるので、分解物が自然界に放出されて環境汚染を生じることを防ぐことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
本発明の一実施形態について図1〜図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0066】
本実施の形態の難分解性化合物除去装置は、ナノバブルによって難分解性化合物を分解する分解部20と、分解部20にて分解された後にガス化する分解物を吸着する吸着部21とを備えている。以下に、分解部20および吸着部21のそれぞれについて説明する。
【0067】
〔1.分解部〕
上記分解部20は、難分解性化合物を分解する場である水槽42、およびナノバブル含有水を作製するとともに当該ナノバブル含有水を水槽42内に吐出するナノバブル含有水吐出部2(ナノバブル含有水吐出手段)を備えている。
【0068】
本実施の形態の難分解性化合物除去装置では、配管1を介して、難分解性化合物含有水が、水流15となって水槽42内へ導入される。なお、配管1には、水槽42とは反対側の末端に、水槽42内に導入する難分解性化合物含有水を選択する処理水選択部(処理水選択手段)が連結されていることが好ましい。なお、選択される難分解性化合物含有水としては特に限定されないが、例えば、有機フッ素化合物含有水であることが好ましい。上記処理水選択部の具体的な構成は特に限定しないが、各難分解性化合物含有水を貯蔵するための複数の前槽と、当該前槽から水槽42に対して難分解性化合物含有水を導入するか否かを調節し得るバルブとを有する構成であることが好ましい。
【0069】
上記難分解性化合物含有水としては特に限定されない。例えば、工場などから排水される有機フッ素化合物含有水、河川の水、または湖の水などを挙げることができるがこれらに限定されない。また、当該液体に含まれる難分解性化合物も特に限定されない。例えば、有機フッ素化合物(例えば、パーフルオロオクンタスルホン酸(PFOS)、パーフルオロオクタン酸(PFOA)、パーフルオロアルキルスルホン酸(PFAS)、パーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド、およびパーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド誘導体を挙げることができる。なお、パーフルオロオクタンスルホン酸フルオリドとは、PFOS関連物質を工業的に製造する場合の前駆体であって、当該パーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド誘導体には、2007年11月にジュネーブにて開催された国際会議にて定められたPFOS関連物質の全てが含まれる。
【0070】
上記水槽42には、上述したように難分解性化合物含有水が導入されるとともに、後述するナノバブル含有水吐出部2によってナノバブル含有水が吐出される。そして、水槽42内においてナノバブルによってラジカルが発生し、当該ラジカルによって難分解性化合物が酸化分解されることになる。例えば、PFOSおよびPFOAなどは安定な物質であることが知られているが、本実施の形態の難分解性化合物除去装置であれば、これらの物質をも酸化分解することができる。そして、本願発明者らは、酸化分解反応によって生じる分解物が、水槽42内の難分解性化合物含有水の水面からガス化して大気中に放出されることを見出した。つまり、図1〜図3に示すように、分解物は、ガス38として水面から放出される。なお、当該ガス38としては、例えば、CF(CFH(n=3、4、5、6)、CF(CFCOOCH(m=5、6)などを挙げることができる。
【0071】
上記水槽42の具体的な構成としては特に限定されず、適宜公知の水槽を用いることが可能である。なお、上記水槽42の底部には傾斜壁40が設けられていることが好ましい。上記構成によれば、ナノバブル含有水の吐出圧のみによって、水槽42内の難分解性化合物含有水をより効果的に攪拌することができる。そして、その結果、難分解性化合物の酸化分解反応をより促進することができる。なお、水槽42の底面と傾斜壁40とがなす角度は特に限定されないが、例えば、30度〜60度であることが好ましく、40度〜50度であることがより好ましく、45度であることが最も好ましい。
【0072】
次いで、ナノバブル含有水吐出部2について説明する。
【0073】
上記ナノバブル含有水吐出部2は、配管4(第1配管)、配管7(第2配管)、配管9、配管10(第3配管)、電動ニードルバルブ11(気体量調節手段)、気液混合循環ポンプ5(ポンプ)を有する第1気体せん断部6、第2気体せん断部8、および第3気体せん断部12を備えている。
【0074】
上記第1気体せん断部6には配管4および配管10が接続されている。そして、上記配管4を介して第1気体せん断部6に液体が供給されるとともに、上記配管10を介して第1気体せん断部6に気体が供給される。そして、上記第1気体せん断部6の中で上記液体と上記気体とが混合およびせん断されて、その結果、マイクロバブル含有水が作製される。
【0075】
上記第1気体せん断部6に供給される液体としては特に限定されないが、例えば、水槽42内の難分解性化合物含有水を用いることが好ましい。上記構成であれば、本実施の形態の難分解性化合物除去装置を小さく設計することができる。
【0076】
また、上記第1気体せん断部6に供給される気体としては、特に限定されないが、例えば、空気(図1参照)、オゾン(図2参照)または酸素(図3参照)であることが好ましい。また、上記気体は、オゾンまたは酸素であることが更に好ましい。上記構成であれば空気よりも多量のラジカルを発生させることができるので、より効果的に難分解性化合物を酸化分解することができる。なお、この場合には、配管10の電動ニードルバルブ11側の末端に、各気体を貯蔵し得るタンク(気体選択手段)を設けることが好ましい。なお、上記タンクの具体的な構成としては特に限定されず、適宜公知のタンクを用いることが可能である。
【0077】
上記第1気体せん断部6内への液体の供給は、気液混合循環ポンプ5を動作させることによって行われる。また、上記第1気体せん断部6内への気体の供給、および気体の供給量の調節は、電動ニードルバルブ11の開閉動作によって調節され得る。
【0078】
上記電動ニードルバルブ11の開閉動作のタイミングは特に限定されない。例えば、まず上記気液混合循環ポンプ5の運転を開始することによって上記第1気体せん断部6内に液体を導入するとともに当該液体を攪拌させる。その後、上記気液混合循環ポンプ5の出力が最大値に達した時点以降に上記電動ニードルバルブ11を開いて、これによって上記第1気体せん断部6内に気体を供給することが好ましい。また、上記気液混合循環ポンプ5の運転を開始してから60秒後以降に上記電動ニードルバルブ11を開いて、これによって上記第1気体せん断部6内に気体を供給することが、より好ましい。
【0079】
上記気液混合循環ポンプ5の運転開始時に上記電動ニードルバルブ11を開くことも可能であるが、この場合、気液混合循環ポンプ5がキャビテーション現象を起し、その結果、気液混合循環ポンプ5が損傷する恐れがある。しかしながら、上記構成であれば、気液混合循環ポンプ5がキャビテーション現象を起すことを防止することができるので、その結果、気液混合循環ポンプ5が破損することを防ぐことができる。
【0080】
上記電動ニードルバルブ11を開くことによって上記第1気体せん断部6内に供給される気体の量は特に限定されない。例えば、上記第1気体せん断部6に対して、1.2リットル/分以下にて気体を供給することが好ましい。上記構成であれば、効率よく多量のナノバブル含有水を作製することができる。
【0081】
図1〜図3に示すように、第1気体せん断部6には配管10を介して気体が供給される。上記配管10を1気体せん断部6へ接続させる場合、上記第1気体せん断部6上における配管10の接続位置、および上記第1気体せん断部6に対する配管10の接続角度等は特に限定されない。
【0082】
例えば、図4に、横断面の形状が円である場合の第1気体せん断部6の横断面を示す。なお、図4における矢印は、気体と液体との混合物(マイクロバブル含有水)の回転運動(旋回運動)の方向を示している。このとき、図4に示すように、配管10は上記第1気体せん断部6の側面に接続されるとともに、上記第1気体せん断部6の内側面(換言すれば、第1気体せん断部6の内面に対する接線)に対して略18度の角度をなすように接続されることが好ましい。換言すれば、配管10の接続箇所における局所を考えた場合、配管10は、上記混合物の運動方向に対して18度の角度をなすように第1気体せん断部6の内側面に接続されることが好ましい。
【0083】
マイクロバブルを効率的に作製するためには、効率的に気体をせん断する必要がある。このとき、液体を超高速回転させて負圧部を形成し、当該負圧部に気体を導入する。そして、気体と液体との回転速度の差により、効率的に気体をせん断させている。この場合、上記入射角度が18度であるときが、最も気体のせん断効率が高く、それゆえ、最も多くのマイクロバブルを作製することができる。
【0084】
次いで、ナノバブル含有水吐出部2によってナノバブル含有水が作製される工程について更に詳細に説明する。なお、ナノバブル含有水は、大まかに言えば2つの工程(第1気体せん断工程および第2気体せん断工程)を経て製造される。以下に、第1気体せん断工程および第2気体せん断工程について説明する。
【0085】
<第1気体せん断工程>
第1気体せん断工程では、気体と液体とから、マイクロバブル含有水が作製される。
【0086】
第1気体せん断工程では、上記第1気体せん断部6において、気液混合循環ポンプ5を用いて気体と液体との混合物の圧力が流体力学的に制御されるとともに、負圧部に対して気体が吸入される。なお、「負圧部」とは、気体と液体との混合物の中で周りと比較して圧力が小さな領域を意図する。そして、上記混合物を高速流体運動させて負圧部を形成しながら気体をせん断することによって、微細なマイクロバブルを発生させる。換言すれば、液体と気体とを効果的に自給混合するとともに、圧送する。これによって、より微細なマイクロバブルを含有するマイクロバブル含有水を形成することができる。
【0087】
上記気液混合循環ポンプ5としては特に限定されないが、揚程40m以上(4kg/cmの圧力)の高揚程のポンプであることが好ましい。また、気液混合循環ポンプ5としてはトルクが安定している2ポールのポンプを用いることが好ましい。上記構成によれば、第1気体せん断部6内のマイクロバブル含有水に対して所望の圧力を加えることが可能であり、その結果、マイクロバブル含有水に含まれるマイクロバブルをより微細にせん断することができる。
【0088】
また、気液混合循環ポンプ5では、ポンプの圧力が制御されていることが好ましい。例えば、気液混合循環ポンプ5の回転数が、インバーター等の回転制御部(図示せず)によって制御されていることが好ましい。なお、上記回転制御部は、更にシーケンサー(図示せず)によって制御され得る。上記構成によれば、上記第1気体せん断部6の中のマイクロバブル含有水に対して所望の圧力を加えることが可能となり、その結果、マイクロバブル含有水に含まれるマイクロバブルを所望のサイズに揃えることができる。
【0089】
上記第1気体せん断部6の材料は特に限定されないが、ステンレス、プラスチック、または樹脂であることが好ましい。上記材料の中では、ステンレスが最も好ましい。上記構成によれば、マイクロバブル含有水中に不純物が混入することを防止することができるとともに、第1気体せん断部6が振動することを防止することができる。
【0090】
また、上記第1気体せん断部6の厚さ(隔壁の厚さ)は特に限定されないが、6mm〜12mmであることが好ましい。一般的に、第1気体せん断部6の厚さが薄ければ、第1気体せん断部6中のマイクロバブル含有水の運動によって、第1気体せん断部6が振動する。つまり、マイクロバブル含有水の運動エネルギーが振動として外部に伝播して失われるので、マイクロバブル含有水の高速流動運動が低下し、その結果、せん断エネルギーが低下する。しかしながら、上記構成によれば、第1気体せん断部6の振動を防ぐことかできるので、効率よくマイクロバブルを作製することができる。
【0091】
次いで、気液混合循環ポンプ5を有する第1気体せん断部6がマイクロバブルを発生させるメカニズムについて更に詳細に説明する。
【0092】
まず、上記第1気体せん断部6において、マイクロバブル含有水の構成成分である液体と気体とからなる混相旋回流を発生させる。具体的には、インペラと呼ばれる羽を超高速で回転させて、液体と気体とからなる混相旋回流を発生させる。このとき、第1気体せん断部6の中心部には、高速旋回する気体空洞部が形成される。
【0093】
次いで、上記気体空洞部を圧力によって竜巻状に細くして、より高速で旋回する回転せん断流を発生させる。このとき、上記気体空洞部に対しては、当該気体空洞部の負圧を利用して、気体を自動的に供給させる。そして、さらにマイクロバブルを切断・粉砕しながら混相旋回流を回転させる。なお、上記切断・粉砕は、第1気体せん断部6の出口内外における気液二相流体の回転速度の差によって生じる。なお、上記回転速度の差は、500〜600回転/秒であることが好ましい。
【0094】
すなわち、第1気体せん断部6において、気液混合循環ポンプ5によってマイクロバブル含有水を高速流体運動させることによって負圧部を形成するとともに、流体力学的にマイクロバブル含有水の圧力を制御することによって上記負圧部に対して気体を供給している。その結果、第1気体せん断部6では、マイクロバブルを発生させることができる。換言すれば、気液混合循環ポンプ5を用いて液体と気体とを効果的に自給混合しながら圧送することによりマイクロバブル含有水を製造することができる。
【0095】
上記第1気体せん断部6の内腔の横断面の形状は特に限定されないが、楕円形であることが好ましく、真円形であることが最も好ましい。また、上記第1気体せん断部6の内腔表面は、鏡面仕上げによって形成されていることが好ましい。上記構成によれば、第1気体せん断部6の内部表面の摩擦が小さいので、気体と液体との混合物を高速旋回させることができるとともに、気体を効率良くせん断することができる。その結果、多くの微細なマイクロバブルを発生させることができるとともに、最終的に多くのナノバブルを発生させることができる。
【0096】
また、第1気体せん断部6の内部表面(内腔表面)には、溝が設けられていることが好ましい。また、上記溝の数は特に限定されないが、2本以上設けられていることが好ましい。また、上記溝は、第1気体せん断部6の内部表面上に形成された凹形状を有するものであればよく、その形状は特に限定されない。例えば、上記溝は、深さ略0.3mm〜0.6mm、幅略0.8mm以下であることが好ましい。上記構成によれば、第1気体せん断部6内の液体と気体との混合物の旋回乱流の発生を制御することができるので、多くの微細なマイクロバブルを発生させることができるとともに、最終的に多くのナノバブルを発生させることができる。
【0097】
また、上記第1気体せん断部6へは、配管4を介して液体が供給され、配管7を介してマイクロバブル含有水が吐出されている。このとき、上記液体を供給する配管(配管4)の内腔の横断面の面積は、マイクロバブル含有水を吐出する配管(配管7)の内腔の横断面の面積よりも大きいことが好ましい。上記構成によれば、マイクロバブル含有水の吐出圧力を高めることができるので、安定的にマイクロバブルを発生させることができる。
【0098】
<第2気体せん断工程>
第2気体せん断工程では、上記第1気体せん断工程にて作製されたマイクロバブル含有水からナノバブル含有水が作製される。更に詳細には、上記第1気体せん断部6によって作製されたマイクロバブル含有水を第2気体せん断部8にて更にせん断して、これによって、ナノバブル含有水を作製している。
【0099】
なお、必要に応じて第3気体せん断部12を更に備えることができる。第3気体せん断部12を備えれば、第2気体せん断部8によって作製されたナノバブルの大きさを更に小さくすることができるとともに、ナノバブルの量を増加させることができる。
【0100】
上記気液混合循環ポンプ5によって、マイクロバブル含有水が第1気体せん断部6から第2気体せん断部8へ、さらには第3気体せん断部12へ圧送される。マイクロバブル含有水が第1気体せん断部6から第2気体せん断部8へ、さらには第3気体せん断部12へへと配管を介して圧送される場合には、マイクロバブル含有水が圧送される方向に向かって、徐々にまたは段階的に配管の直径が小さくなることが好ましい。上記構成によれば、マイクロバブル含有水をより高速で流体運動しながら竜巻状に細くすることができる。換言すれば、より高速で旋回する回転せん断流を発生させることができる。その結果、マイクロバブルからナノバブルを効率よく発生させることができるとともに、ナノバブル含有水中に超高温の極限反応場を形成することができる。
【0101】
上記極限反応場が形成されると、ナノバブル含有水が局部的に高温高圧状態となり、当該局所にて不安定なフリーラジカルができるとともに、同時に熱が発生される。フリーラジカルは不対電子を有する原子または分子であって、他の原子または分子から電子を奪い取って安定化しようとする。それゆえ、フリーラジカルを含むナノバブル含有水は、強い酸化力を示すことになる。したがって上記構成によれば、フリーラジカルの作用によって、有機物などを酸化分解することができる。
【0102】
また、第2気体せん断部8および第3気体せん断部12は、ステンレス、プラスチック、または樹脂によって形成されていることが好ましい。
【0103】
また、第2気体せん断部8および第3気体せん断部12の内腔の横断面の形状は、楕円形であることが好ましく、真円形であることが最も好ましい。上記構成によれば、第2気体せん断部8および第3気体せん断部12の内部表面の抵抗(摩擦)が小さいので、マイクロバブル含有水を高速旋回させることができるとともに、マイクロバブル含有水を効率良くせん断することができ、その結果、多くのナノバブルを発生させることができる。
【0104】
また、第2気体せん断部8および第3気体せん断部12には、小孔が開いていることが好ましい。上記小孔の開口の直径は特に限定されないが、4mm〜9mmであることが好ましい。上記構成によれば、上記第2気体せん断部8および第3気体せん断部12の内部におけるバブル含有水の旋回運動を制御することができる。つまり、上記構成によれば、上記第2気体せん断部8および第3気体せん断部12の内部の旋回乱流の発生を制御することができる。その結果、第2気体せん断部8および第3気体せん断部12によって、安定にナノバブルを発生させることができる。なお、上記小孔の具体的なサイズは、ポンプの吸引最大値、モーター出力値、およびポンプ吐出圧力値によって決定することも可能である。
【0105】
上述した気液混合循環ポンプ5、第1気体せん断部6、第2気体せん断部8および第3気体せん断部12などの具体的な構成としては特に限定しないが、例えば市販のものを用いることが可能である。例えば、株式会社 協和機設社製のバビダスHYK型を用いることが可能であるが、これに限定されない。
【0106】
以上のようにして作製されたナノバブル含有水は水流13となって、水槽42内に吐出されることになる。そして、水槽42内では難分解性化合物の酸化分解反応が進行する。そして、当該反応によって生じる分解物はガス化して後述する吸着部21内へと拡散するとともに、当該吸着部21内で吸着・除去されることになる。以下に、吸着部21について説明する。
【0107】
〔2.吸着部〕
上記吸着部21は、大まかに言えば、水槽42内の難分解性化合物含有水の水面上に存在する気体を流動させるために気流を発生させる送風部17(送風手段)、および難分解性化合物の分解物であるガス38を吸着するための吸着部32・33・34(吸着手段)を備えている。以下に、各構成について更に詳細に説明する。
【0108】
上記送風部17は、難分解性化合物含有水の水面25近傍に存在する大気を流動させ得るものであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、送風部17としては、市販の送風機を用いることが可能であるが、これに限定されない。水槽42内の難分解性化合物含有水の水面25近傍の気相が、蒸気にて飽和している状態に近ければ、被処理水中の難分解性化合物(例えば、PFOS、またはPFOAなど)は、たとえナノバブルが存在していても酸化分解され難い。しかしながら、上記構成であれば、水面25近傍の気体を流動化させることができるので、酸化分解反応が抑制されることを防止することができる。
【0109】
上記吸着部32・33・34は分解物を吸着できるものであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、上記吸着部32・33・34としては、活性炭、キレート樹脂、イオン交換樹脂、またはゼオライトを用いることが好ましい。なお、上記吸着部32・33・34として活性炭を用いる場合には、例えば、「クラレコール(登録商標)」(クラレケミカル株式会社製)を用いることが好ましい。また、図1〜図3では、3段の吸着部を用いているが、吸着部の数はこれに限定されない。吸着部の数は1つであってもよいし、複数であってもよい。換言すれば、複数の吸着層を形成するように吸着部を設けることも可能である。なお、ここでいう吸着層とは複数の吸着部の集団によってなる吸着性を有する層を意図する。なお、分解物をより確実に吸着することを考慮すれば、吸着部は複数設けられていることが好ましい。
【0110】
水槽42内の難分解性化合物含有水の上には、当該難分解性化合物含有水の水面25上を蓋うとともに、当該水面25との間に空間を形成するように蓋41が設けられていることが好ましい。そして、さらに当該蓋41には、送風部17によって発生した気流を上記空間内に導入するための導入口50と、空間内の気流を空間外に放出するための放出口35とが設けられていることが好ましい。上記構成によれば、上記空間内の気流の方向を一定にできるので、より効果的に難分解性化合物含有水の水面25上に存在する気体を流動させることができる。
【0111】
上記導入口50を設ける位置は特に限定されないが、例えば、蓋41の側面であって、かつ、水槽42内の難分解性化合物含有水の水面25近くであることが好ましい。また、設けられる導入口50の数も特に限定されず、1つであっても複数であってもよい。また、送風部17によって発生した気流を難分解性化合物含有水に向かって送り込む具体的な方法および構成は特に限定されない。例えば、図1〜図3に示すように、吸気口16を送風部17に連結するとともに、当該送風部17から蓋41の側面に形成された導入口50に向かって配管18を伸ばせばよい。また、配管18の設計の自由度を上げることを考慮して、フランジ19を設けてもよい。これによって、蓋41内の空間に、気流39を容易に導入することができる。
【0112】
上記放出口35を設ける位置は特に限定されないが、例えば、蓋41の頂であることが好ましい。上記構成によれば、上記空間内の気流の方向を容易に制御することができる。また、設けられる放出口35の数も特に限定されず、1つであっても複数であってもよい。
【0113】
本実施の形態の難分解性化合物除去装置では、上記吸着部32・33・34は、上記蓋41内の空間内に設けられることが好ましい。また、このとき、図1〜図3に示すように、導入口50から放出口35に至る気流の経路上には、吸着部が複数設けられていることが好ましい(例えば、吸着部32、33および34参照)。つまり、導入口50から放出口35に向かって、複数の吸着層を形成するように、複数の吸着部が設けられていることが好ましい。上記構成によれば、分解物をより効率的に吸着することができるとともに、分解物が自然界に放出されることを防止することができる。
【0114】
例えば、図1〜図3では、蓋41内の空間に下から順に、支持台26、支持台27および支持台28が設けられており、各支持台上には、それぞれ、収容部29、収容部30および収容部31が備えられている。そして、収容部29、収容部30および収容部31には、それぞれ、吸着部32、吸着部33および吸着部34が備えられている。
【0115】
支持台26・27・28は各収容部を支持できる形状のものであればよく、具体的な構成は特に限定されないが、孔が設けられたものであることが好ましい。上記構成であれば、気流の流れを妨げることがないので、吸着部32・33・34とガス38とが効率よく接触することができる。そして、その結果、分解物をより効果的に吸着することができる。
【0116】
収容部29・30・31は各吸着部を収容できる形状のものであればよく、具体的な構成は特に限定されないが、孔が設けられたものであることが好ましい。上記構成であれば、気流の流れを妨げることがないので、吸着部32・33・34とガス38とが効率よく接触することができる。そして、その結果、分解物をより効果的に吸着することができる。
【0117】
なお、本実施の形態の難分解性化合物除去装置では、蓋41には取出口22、取出口23および取出口24が備えられていることが好ましい。なお、上記取出口22、取出口23および取出口24の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、蓋41の側面から、収容部を担持した状態で支持台を引き出すことができる構成であることが好ましい。上記構成によれば、各支持台を収容部とともに蓋41の外に取り出すことができる。そして、その結果、容易に吸着部32・33・34を交換することができる。
【0118】
以上のようにして分解物が除去された気体は、処理気体37として、放出口35を介して収容部21から外へ放出される。また、分解物が除去された後の水槽42内の液体は、流出水として、配管36を介して分解部20から外へ放出される。
【実施例】
【0119】
〔実施例1〕
図1に基づいて、回分式の難分解性化合物除去装置を作製した。なお、「回分式」とは、連続して水処理を行うのではなく、単位水量ごとに水処理を行うことを意図する。
【0120】
このとき、水槽42の容量を略1m、蓋41内の空間の体積を略1.5mとした。また、ナノバブル含有水吐出部2としては、3.7kwの気液混合循環ポンプ5を有するもの(株式会社協和機設製のHYK型)を用いた。
【0121】
蓋41内の空間に新鮮な空気を常時供給するために、送風部17としてファン(テラル株式会社製のシロッコファンCLF5−RS型0.75kw)を用いた。
【0122】
なお、本実施例では、活性炭を用いた場合と活性炭を用いない場合との両方の構成について検討した。
【0123】
水槽42内に導入する流入水としては工業用水を用い、水槽42内に導入した後に、上記工業用水に対してPFOSを添加した。これによって、処理前の上記工業用水におけるPFOS濃度を、約4000ppbに調節した。つまり、この場合、合計4gのPFOSを、1mの上記工業用水に対して添加した。
【0124】
なお、本実施例の難分解性化合物除去装置では、PFOSを含有する工業用水と空気とを用いてナノバブル含有水を作製した。
【0125】
処理を開始する前と、処理を開始してから6日後とで、各種データを比較した。つまり、工業用水中に存在するPFOSの濃度、および放出口35から放出される気体中に存在するPFOSの濃度を測定した。
【0126】
なお、工業用水中に存在するPFOSの濃度は、LC/MS/MS(液体クロマトグラフ−タンデム型質量分析)によって測定した。また、気体中に存在するPFOSの濃度は、GC−MS(ガスクロマトグラフ質量分析)によって測定した。また、分解物の高度分析および定性試験は、GC−MS(ガスクロマトグラフ質量分析)によって行った。
【0127】
その結果を表1〜表3に示す。なお、表1は、工業用水中に存在するPFOSの濃度を示しており、表2は、吸着剤としての活性炭を用いない場合の、気体中に存在するPFOSの濃度を示しており、表3は、吸着剤としての活性炭を用いた場合の、気体中に存在するPFOSの濃度を示している。
【0128】
【表1】

【0129】
【表2】

【0130】
【表3】

【0131】
表1〜表3から、以下のa)〜e)が明らかになった。
【0132】
a)液相中のPFOSの濃度と液相中の総フッ素量とは、処理を開始してから6日後には減少している。つまり、PFOSの分解反応が進んでいることが明らかになった。
【0133】
b)遊離硫酸イオンは、PFOSの分解物として検出されるものであるから、このことからも、PFOSの分解反応が進んでいることが明らかになった。
【0134】
c)PFOSが分解されて、気相中から分解物CF(CFH、CF(CFHなどが多数検出された。このことからも、PFOSの分解反応が進んでいることが明らかになった。
【0135】
d)PFOSは、気相中からは高濃度にては検出されていないので、PFOSが単に霧状(ミスト)になって飛散しているわけではないことが明らかになった。
【0136】
e)活性炭を用いた場合には、気相中から分解物CF(CFH、CF(CFHなどが検出されていないので、分解物は活性炭に吸着されたことが明らかになった。
【0137】
なお、実施例1の対照として送風部17を設けない難分解性化合物除去装置を作製した。なお、当該難分解性化合物除去装置は、送風部17および活性炭を設けない以外は実施例1と同じ構成であるので、その詳細な説明は省略する。
【0138】
【表4】

【0139】
表4から明らかなように、送風部17および活性炭を設けない構成では、難分解性化合物の酸化分解反応が抑制されることが明らかになった。
【0140】
〔実施例2〕
図1に基づいて、回分式の難分解性化合物除去装置を作製した。
【0141】
このとき、水槽42の容量を略1m、蓋41内の空間の体積を略1.5mとした。また、ナノバブル含有水吐出部2としては、3.7kwの気液混合循環ポンプ5を有するもの(株式会社協和機設製のHYK型)を用いた。
【0142】
蓋41内の空間に新鮮な空気を常時供給するために、送風部17としてファン(テラル株式会社製のシロッコファンCLF5−RS型0.75kw)を用いた。
【0143】
なお、本実施例では、活性炭を用いた場合と活性炭を用いない場合との両方の構成について検討した。
【0144】
水槽42内に導入する流入水としては工業用水を用い、水槽42内に導入した後に、上記工業用水に対してアンモニア水を添加した。これによって、処理前の上記工業用水におけるアンモニア濃度を、容量1mの水槽42において、6230ppbに調節した。
【0145】
なお、本実施例の難分解性化合物除去装置では、空気と上記工業用水とを用いてナノバブル含有水を作製した。
【0146】
処理を開始する前と、処理を開始してから6日後とで、各種データを比較した。つまり、工業用水中に存在するアンモニアの濃度、および放出口35から放出される気体中に存在するアンモニアの濃度を測定した。
【0147】
なお、工業用水中のアンモニア、硝酸イオン、亜硝酸の濃度は、アンモニア電極方式によって測定した。また、気体中に存在するアンモニアの濃度は、光音響型高感度アンモニアガス濃度計によって測定した。また、分解物の高度分析および定性試験は、GC−MS(ガスクロマトグラフ質量分析)によって行った。
【0148】
その結果を表5〜表7に示す。なお、表5は、工業用水中に存在するアンモニアの濃度を示しており、表6は、活性炭を用いない場合の、気体中に存在するアンモニアの濃度を示しており、表7は、活性炭を用いた場合の、気体中に存在するアンモニアの濃度を示している。
【0149】
【表5】

【0150】
【表6】

【0151】
表5および表6から、以下のf)〜h)が明らかになった。
【0152】
f)本実施例の難分解性化合物除去装置においても、アンモニアが酸化されてその濃度が低下するとともに、アンモニアが酸化されて生じる硝酸イオンおよび亜硝酸の濃度が上昇していることが明らかになった。
【0153】
g)アンモニアは、気相中からは高濃度にては検出されていないので、アンモニアが単に霧状(ミスト)になって飛散しているわけではないことが明らかになった。
【0154】
h)気相中の微量アンモニアは、活性炭に吸着されたことが明らかになった。
【0155】
〔実施例3〕
上記実施例1および実施例2においては、空気を用いてナノバブルを作製したが、本実施例では、酸素またはオゾンを用いてナノバブルを作製し、難分解性化合物の除去効果を確認した。
【0156】
なお、酸素またはオゾンを用いた以外は基本的に実施例1と同じであるので、その詳細な説明は省略する。酸素からなるナノバブルを作製する場合には、気液混合循環ポンプ5に酸素を供給した、また、オゾンからなるナノバブルを作製する場合には、気液混合循環ポンプ5にオゾンを供給した。
【0157】
オゾンを用いた場合の結果を表7に示し、酸素を用いた場合の結果を表8に示す。
【0158】
【表7】

【0159】
【表8】

【0160】
表7および表8からも明らかなように、酸素を用いた場合にもオゾンを用いた場合にも、共に、効果的に難分解性化合物を除去できていることが明らかになった。
【0161】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明は、効果的に難分解性化合物を除去することができるので、浄水装置、入浴装置、飲料水製造装置、石油関連製品製造装置などに代表される各種液体処理装置やその部品を製造する分野に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】本発明における難分解性化合物除去装置の実施の一形態を示す模式図である。
【図2】本発明における難分解性化合物除去装置の他の実施の形態を示す模式図である。
【図3】本発明における難分解性化合物除去装置の更に他の実施の形態を示す模式図である。
【図4】上記難分解性化合物除去装置における、第1気体せん断部と配管との接続を示す模式図である。
【符号の説明】
【0164】
1・9・18・36 配管
2 ナノバブル含有水吐出部(ナノバブル含有水吐出手段)
4 配管(第1配管)
5 気液混合循環ポンプ(ポンプ)
6 第1気体せん断部
7 配管(第2配管)
8 第2気体せん断部
10 配管(第3配管)
11 電動ニードルバルブ(気体量調節手段)
12 第3気体せん断部
13・15 水流
16 吸気口
17 送風部(送風手段)
19 フランジ
20 分解部
21 吸着部
22・23・24 取出口
25 水面
26・27・28 支持台
29・30・31 収容部
32・33・34 吸着部
35 放出口
38 ガス
39 気流
40 傾斜壁
41 蓋
42 水槽
50 導入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難分解性化合物含有水を導入する水槽と、
前記水槽内にナノバブル含有水を吐出するナノバブル含有水吐出手段と、
前記水槽内の前記難分解性化合物含有水の水面上に存在する気体を流動させるために、気流を発生させる送風手段と、
前記気体中に含まれる難分解性化合物の分解物を吸着するための吸着手段と、を備えることを特徴とする難分解性化合物除去装置。
【請求項2】
前記水槽内の難分解性化合物含有水の水面を蓋うとともに、前記水面との間に空間を形成するように蓋が設けられており、
前記蓋には、前記送風手段によって発生した気流を前記空間内に導入するための導入口と、前記空間内の気流を前記空間外に放出するための放出口とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の難分解性化合物除去装置。
【請求項3】
前記吸着手段は、前記空間内に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の難分解性化合物除去装置。
【請求項4】
前記導入口から前記放出口に至る前記気流の経路上には、前記吸着手段が複数設けられていることを特徴とする請求項3に記載の難分解性化合物除去装置。
【請求項5】
前記吸着手段は、活性炭、キレート樹脂、イオン交換樹脂、またはゼオライトであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の難分解性化合物除去装置。
【請求項6】
前記ナノバブル含有水吐出手段は、下記1)〜3)を備えるものであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の難分解性化合物除去装置。
1)液体と気体とを混合およびせん断してマイクロバブル含有水を作製する第1気体せん断部
2)前記マイクロバブル含有水を更にせん断してナノバブル含有水を作製する第2気体せん断部
3)前記ナノバブル含有水を更にせん断して多量のナノバブルを含むナノバブル含有水を作製する第3気体せん断部
【請求項7】
前記第1気体せん断部に対して1.2リットル/分以下にて前記気体を供給するための気体量調節手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の難分解性化合物除去装置。
【請求項8】
前記第1気体せん断部の内部の横断面は、楕円形または真円形であり、
前記第1気体せん断部の内部表面には、2本以上の溝が設けられていることを特徴とする請求項6または7に記載の難分解性化合物除去装置。
【請求項9】
前記溝の深さは、0.3mm〜0.6mmであり、
前記溝の幅は、0.8mm以下であることを特徴とする請求項8に記載の難分解性化合物除去装置。
【請求項10】
前記第1気体せん断部では、第1配管を介して前記液体が供給されるとともに、第2配管を介して前記マイクロバブル含有水が吐出され、
前記第1配管の内腔の横断面の面積は、前記第2配管の内腔の横断面の面積よりも大きいことを特徴とする請求項6〜9の何れか1項に記載の難分解性化合物除去装置。
【請求項11】
前記第1気体せん断部は、気体と液体とを混合するためのポンプを備え、
前記ポンプ内への前記気体の取り込みは、前記ポンプの出力が最大値に達した時点以降に行われることを特徴とする請求項6〜10の何れか1項に記載の難分解性化合物除去装置。
【請求項12】
前記第1気体せん断部は、気体と液体とを混合するためのポンプを備え、
前記ポンプ内への前記気体の取り込みは、前記ポンプの動作開始時から60秒後以降に行われることを特徴とする請求項6〜10の何れか1項に記載の難分解性化合物除去装置。
【請求項13】
前記第1気体せん断部の内部には、第3配管を介して前記気体が供給され、
前記第3配管は、前記第1気体せん断部の内側面に対して18度の角度をなすように、前記第1気体せん断部に接続されていることを特徴とする請求項6〜12の何れか1項に記載の難分解性化合物除去装置。
【請求項14】
前記第1気体せん断部の隔壁の厚さは、6mm〜12mmであることを特徴とする請求項6〜13の何れか1項に記載の難分解性化合物除去装置。
【請求項15】
前記気体として、酸素またはオゾンを前記第1気体せん断部に供給するための気体選択手段が備えられていることを特徴とする請求項6〜14の何れか1項に記載の難分解性化合物除去装置。
【請求項16】
前記難分解性化合物含有水として、有機フッ素化合物含有水を前記水槽に導入するための処理水選択手段が備えられていることを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の難分解性化合物除去装置。
【請求項17】
前記有機フッ素化合物含有水は、パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド、およびパーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド誘導体からなる群より選択される少なくとも1つの有機フッ素化合物を含有することを特徴とする請求項16に記載の難分解性化合物除去装置。
【請求項18】
難分解性化合物含有水に対してナノバブル含有水を吐出するナノバブル含有水吐出工程と、
前記難分解性化合物含有水の水面上に存在する気体を流動させる流動工程と、
前記気体中に含まれる難分解性化合物の分解物を吸着する吸着工程と、を含むことを特徴とする難分解性化合物除去方法。
【請求項19】
前記難分解性化合物含有水は、有機フッ素化合物含有水であることを特徴とする請求項18に記載の難分解性化合物除去方法。
【請求項20】
前記有機フッ素化合物含有水は、パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド、およびパーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド誘導体からなる群より選択される少なくとも1つの有機フッ素化合物を含有することを特徴とする請求項19に記載の難分解性化合物除去方法。
【請求項21】
前記ナノバブル含有水は、酸素またはオゾンからなるナノバブルを含むものであることを特徴とする請求項18〜20の何れか1項に記載の難分解性化合物除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−29763(P2010−29763A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193399(P2008−193399)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(507175843)株式会社協和機設 (8)
【Fターム(参考)】