説明

難溶性有効成分を可溶化するためのアルコキシル化超分岐ポリカーボネート

本発明は、20℃の水への溶解度が10g/l以下である有効成分とアルコキシル化超分岐ポリカーボネートを含んでいる両親媒性物質とを含む組成物であって、前記ポリカーボネートが、C3〜C12アルキレンオキシドと少なくとも三つのOH基を有するアルコールとに基づく三官能性以上のポリエーテルオールであるアルコールを含む組成物に関する。本発明は、更に、該ポリカーボネートを含有する両親媒性物質及びその両親媒性物質の製造方法に関する。本発明は、更に、20℃の水中に10g/l以下で溶解する有効成分を水溶液中に可溶化させるための該両親媒性物質の使用、また、植物病原性菌類及び/又は望ましくない植物の成長及び/又は望ましくない昆虫若しくはダニ類の発生と対抗するための並びに/或いは植物の成長を調節するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、20℃における水への溶解度が10g/L以下である有効成分及びアルコキシル化超分岐(hyperbranched)ポリカーボネートを含んでいる両親媒性物質を含む組成物であって、前記ポリカーボネートが、C3〜C12アルキレンオキシドと少なくとも三つのOH基を有するアルコールとに基づく三官能性以上の多官能性ポリエーテルオール(polyetherol)であるアルコール(B1)を含む組成物を提供する。更に、該ポリカーボネートを含む両親媒性物質及びその両親媒性物質の調製方法を提供する。本発明は、更に、20℃における水への溶解度が10g/L以下である有効成分を可溶化するための該両親媒性物質の使用、また、植物病原性菌類(phytopathogenic fungi)及び/又は望ましくない植物の成長及び/又は望ましくない昆虫若しくはダニ類の発生を防除し並びに/或いは植物の成長を調節する方法に関する。好ましい特徴のその他の好ましい特徴との組合せが本発明に包含される。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、疎水性有効成分は、当該有効成分それ自体に何らの化学変化も起こすことなく水中に可溶化されることを必要とする。この目的に対して、例えば、当該有効成分がエマルションの油相中に位置するエマルションを調製することが可能である。しかしながら、多くの医薬有効成分又は作物保護剤、特に体液によって又は植物の樹液中で輸送されなければならないものについては、この種の操作は不可能である。高い剪断力の作用の下でエマルションは破壊され得る。更に、エマルションを維持しながら無菌化することは多くの場合、不可能である。
【0003】
両親媒性物質及びやや溶けにくい有効成分を含んでいる組成物は周知である。
【0004】
国際公開第2009/125028号は、ジカルボン酸、トリカルボン酸又はテトラカルボン酸とジオール又はトリオールとに基づく超分岐ポリエステルを調製し、そのポリエステルをポリアルキレンオキシド単位と反応させることによって得られる超分岐ポリマーを助剤として使用して水性媒体中に疎水性有効成分を可溶化させる方法を開示している。
【0005】
国際公開第2009/021986号は、有効成分と、例えば、超分岐ポリカーボネートであり得る超分岐ポリマーとを含んでいる種子粉衣(seed dressing)を開示している。
【0006】
疎水性有効成分を水性媒体中に可溶化させるための既知の両親媒性物質の不利な点は、それらが有効成分を少量しか可溶化することができないことである。更に、その両親媒性物質それら自体が多くの場合水溶性又は水分散性ではなく、その為、水性媒体中での可溶化に適さない。ポリエステルを含んでいる両親媒性物質は、更に、それら自体が場合によっては、特に末端に酸基が存在することによって、加水分解を受け易いという不利な点を有する。
【0007】
ポリカーボネートは、典型的には、アルコール若しくはフェノールとホスゲンとの反応から、又はアルコール若しくはフェノールとジアルキル若しくはジアリールカーボネートとの反応から得られる。工業的に重要なのは、例えば、ビスフェノールから調製される芳香族カーボネートであり、市場規模(market volume)の観点から言えば、脂肪族ポリカーボネートは今までは端役を演じている。文献に記載されている芳香族又は脂肪族ポリカーボネートは、一般に、直鎖状構造であるか、又はごく低い分岐度で構成されている。超分岐ポリカーボネートは同様にやはり周知の事実であり、国際公開第2006/089940号は、少なくとも一部が一官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールと直接反応している水乳化性超分岐ポリカーボネートを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2009/125028号
【特許文献2】国際公開第2009/021986号
【特許文献3】国際公開第2006/089940号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、水性媒体中にやや溶けにくい有効成分を可溶化するのに適する代わりの両親媒性物質を見いだすことであった。更なる目的は、非常に高い量の有効成分、特に農業化学有効成分(active agrochemical ingredient)を可溶化することができる両親媒性物質を見いだすことであった。その上、この両親媒性物質は、それ自体、水溶性又は水分散性であるべきである。最後に、更なる目的は、ポリエステルより加水分解をより受けにくい両親媒性物質を見いだすことであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、20℃における水への溶解度が10g/L以下である有効成分及びアルコキシル化超分岐ポリカーボネートを含んでいる両親媒性物質を含む組成物であって、前記ポリカーボネートが、C3〜C12アルキレンオキシドと少なくとも三つのOH基を有するアルコールとに基づく三官能性以上の多官能性ポリエーテルオールであるアルコール(B1)を含む組成物によって達成された。
【発明を実施するための形態】
【0011】
該有効成分の20℃における水への溶解度は、10g/L以下、好ましくは2g/L以下、より好ましくは0.5g/L以下、特に0.1g/L以下である。該組成物は一つ又は複数の異なる有効成分を含むことができる。有効成分の例は、農業化学有効成分、化粧品有効成分、医薬有効成分又は栄養補給剤(例えば、ビタミン及びカロテノイドなど)である。好ましい有効成分は、農業化学有効成分である。
【0012】
化粧品有効成分の例は、化粧用油、アロマ及びフレーバー、ビタミン又はUV吸収剤である。化粧用油は、ピーナッツ油、ホホバ油、ココナッツ油、アーモンド油、オリーブ油、パーム油、ヒマシ油、ダイズ油、コムギ胚種油、又は精油、例えば、ドワーフパイン(dwarf-pine)油、ラベンダー油、ローズマリー油、スプルースニードル(spruce needle)油、松葉油、ユーカリ油、ペパーミント油、セージ油、ベルガモット油、テレビン油、バーム油、杜松油、レモン油、アニス油、カルダモン油、ショウノウ油など、又はそれらの混合物が挙げられる。UV吸収剤としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2'-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2'-エチルヘキシル-1'-オキシ)-1,3,5-トリアジン、3-(4-メトキシベンジリデン)カンファー、2-エチルヘキシルN,N-ジメチル-4-アミノベンゾエート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルサリチレート、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、2-エチルヘキシルp-メトキシシンナメート、及び2-イソアミルp-メトキシシンナメート、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0013】
アロマ及びフレーバーの例は、参照により本明細書に組み込まれているWO01/49817又は「Flavors and Fragrance」、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、Wiley-VCH、2002年に記載されているようなものである。
【0014】
ビタミンの例は、A、C、E、及びF群からのビタミン、プロビタミン及びビタミン前駆体であり、より詳しくは、3,4-ジデヒドロレチノール、β-カロテン(ビタミンAのプロビタミン)、アスコルビン酸(ビタミンC)、及びパルミチン酸エステル、アスコルビン酸のグルコシド又はリン酸エステル、トコフェロール類、より詳しくは、α-トコフェロール及びそのエステル、例えば、酢酸エステル、ニコチン酸エステル、リン酸エステル、及びコハク酸エステルなど、並びにまた、必須脂肪酸、詳しくはリノール酸、リノレン酸、及びアラキドン酸を構成すると理解されているビタミンFである。
【0015】
医薬有効成分の例としては、以下のものが挙げられる:ベンゾジアゼピン、降圧剤、ビタミン類、細胞増殖抑制剤、特にタキソール、麻酔剤、神経弛緩薬、抗うつ薬、抗ウイルス剤、例えば抗HIV剤など、抗生物質、抗真菌薬(antimycotics)、抗認知症薬、殺菌剤(fungicide)、化学療法剤、泌尿器科薬、血小板凝集阻害薬、スルホンアミド、鎮痙薬、ホルモン、免疫グロブリン、血清、甲状腺治療薬、向精神薬、抗パーキンソン病薬及び他の抗多動症薬、眼科用薬、神経障害用製品、カルシウム代謝調節剤、筋肉弛緩剤、麻酔剤、脂質異常症治療薬、肝治療薬、冠状動脈薬、心臓病薬、免疫治療薬、調節性ペプチド及びそれらの阻害剤、睡眠薬、鎮静薬、婦人科用薬、痛風治療剤、線維素溶解薬、酵素産物及び輸送タンパク質、酵素阻害剤、催吐剤、血流刺激剤、利尿剤、診断補助薬、コルチコイド、コリン作動薬、胆管治療剤、抗喘息剤、気管支拡張剤、β受容体遮断薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害剤、動脈硬化治療薬、抗炎症剤、抗凝血剤、抗低血圧薬、抗低血糖薬、抗高血圧薬、抗線維素溶解薬、抗てんかん薬、制吐剤、解毒剤、抗糖尿病薬、抗不整脈薬、抗貧血薬、抗アレルギー薬、駆虫薬、鎮痛薬、中枢神経興奮剤、アルドステロン拮抗薬、減量薬。
【0016】
用語の「農業化学有効成分(active agrochemical ingredient)」(以下で農薬(pesticide)とも呼ばれる)は、殺虫剤、殺線虫剤、除草剤、毒性軽減剤及び/又は成長調節剤の群から選択される少なくとも1種の有効成分を指す。好ましい農薬は、殺菌剤、殺虫剤及び除草剤、特に殺虫剤である。前述の種類の二つ以上の農薬の混合物も使用することができる。当業者はかかる農薬に精通しており、例えば、Pesticide Manual、14th Ed.(2006)、The British Crop Protection Council、Londonに見出すことができる。好適な殺虫剤は、カルバメート、有機ホスフェート、有機塩素系殺虫剤、フェニルピラゾール、ピレスロイド、ネオニコチノイド、スピノシン、アベルメクチン、ミルベマイシン、幼若ホルモン類似物質、ハロゲン化アルキル、有機スズ化合物、ネライストキシン類似物、ベンゾイル尿素、ジアシルヒドラジン、METI殺ダニ剤(acaricide)の種類からの殺虫剤、そして又、殺虫剤、例えば、クロロピクリン、ピメトロジン、フロニカミド、クロフェンテジン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール、ジアフェンチウロン、プロパルギット、テトラジホン、クロルフェナピル、DNOC、ブプロフェジン、シロマジン、アミトラズ、ヒドラメチルノン、アセキノシル、フルアクリピリム、ロテノン又はその誘導体などである。好適な殺菌剤は、ジニトロアニリン、アリルアミン、アニリノピリミジン、抗生物質、芳香族炭化水素、ベンゼンスルホンアミド、ベンズイミダゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾフェノン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアジン、ベンジルカルバメート、カルバメート、カルボキサミド、カルボン酸アミドクロロニトリル、シアノアセトアミドオキシム、シアノイミダゾール、シクロプロパンカルボキサミド、ジカルボキシキミド、ジヒドロジオキサジン、クロトン酸ジニトロフェニル、ジチオカルバメート、ジチオラン、エチルホスホナート、エチルアミノチアゾールカルボキサミド、グアニジン、ヒドロキシ(2-アミノ)ピリミジン、ヒドロキシアニリド、イミダゾール、イミダゾリノン、無機物、イソベンゾフラノン、メトキシアクリレート、メトキシカルバメート、モルホリン、N-フェニルカルバメート、オキサゾリジンジオン、オキシミノアセテート、オキシミノアセトアミド、ペプチジルピリミジンヌクレオシド、フェニルアセトアミド、フェニルアミド、フェニルピロール、フェニル尿素、ホスホナート、ホスホロチオラート、フタルアミド酸、フタルイミド、ピペラジン、ピペリジン、プロピオンアミド、ピリダジノン、ピリジン、ピリジニルメチルベンズアミド、ピリミジンアミン、ピリミジン、ピリミジノンヒドラゾン、ピロロキノリノン、キナゾリノン、キノリン、キノン、スルファミド、スルファモイルトリアゾール、チアゾールカルボキサミド、チオカルバメート、チオファネート、チオフェンカルボキサミド、トルアミド、トリフェニルスズ化合物、トリアジン、トリアゾールの種類からの殺菌剤である。好適な除草剤は、アセトアミド、アミド、アリールオキシフェノキシプロピオネート、ベンズアミド、ベンゾフラン、安息香酸、ベンゾチアジアジノン、ビピリジリウム、カルバメート、クロロアセトアミド、クロロカルボン酸、シクロヘキサンジオン、ジニトロアニリン、ジニトロフェノール、ジフェニルエーテル、グリシン、イミダゾリノン、イソオキサゾール、イソオキサゾリジノン、ニトリル、N-フェニルフタルイミド、オキサジアゾール、オキサゾリジンジオン、オキシアセトアミド、フェノキシカルボン酸、フェニルカルバメート、フェニルピラゾール、フェニルピラゾリン、フェニルピリダジン、ホスフィン酸、ホスホロアミデート、ホスホロジチオエート、フタラメート、ピラゾール、ピリダジノン、ピリジン、ピリジンカルボン酸、ピリジンカルボキサミド、ピリミジンジオン、ピリミジニル(チオ)ベンゾエート、キノリンカルボン酸、セミカルバゾン、スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン、スルホニル尿素、テトラゾリノン、チアジアゾール、チオカルバメート、トリアジン、トリアジノン、トリアゾール、トリアゾリノン、トリアゾロカルボキサミド、トリアゾロピリミジン、トリケトン、ウラシル、尿素の種類からの除草剤である。
【0017】
一実施形態において、該農薬は、殺虫剤を含み、好ましくはその農薬は少なくとも1種の殺虫剤からなる。好ましい殺虫剤は、フィプロニル、アレスリン、α-シペルメトリン、β-シフルトリン、ビフェントリン、ビオアレトリン、4-クロロ-2-(2-クロロ-2-メチルプロピル)-5-[(6-ヨード-3-ピリジニル)メトキシ]-3(2H)-ピリダジノン(CAS RN:120955-77-3)、クロルフェナピル、クロルピリホス、シフルトリン、シハロトリン、シペルメトリン、デルタメトリン、エトフェンプロクス、フェノキシカルブ、フルフェノクスロン、ヒドラメチルノン、メタフルミゾン、ペルメトリン、ピリプロキシフェン、シラフルオフェン、テブフェノジド、及びトラロメトリンである。特に好ましい殺虫剤は、フィプロニル、α-シペルメトリン、ビフェントリン、クロルフェナピル、シフルトリン、シペルメトリン、デルタメトリン、エトフェンプロクス、ヒドラメチルノン、メタフルミゾン、ペルメトリンである。とりわけ好ましい殺虫剤は、フィプロニル、α-シペルメトリン、デルタメトリン、クロルフェナピル、ヒドラメチルノン、及びメタフルミゾンである。とりわけ好ましい殺虫剤は、フィプロニルである。別の実施形態において、該農薬は、殺菌剤を含み、好ましくは、該農薬は、少なくとも1種の殺菌剤から成る。好ましい殺菌剤は、ピラクロストロビン、メトコナゾール、及びエポキシコナゾールである。別の実施形態において、該農薬は、除草剤を含み、好ましくは、該農薬は、少なくとも1種の除草剤からなる。別の実施形態において、該農薬は成長調節剤を含み、好ましくは、該農薬は少なくとも1種の成長調節剤から成る。
【0018】
本発明の組成物は、該組成物に基づいて、典型的には重量で0.1%〜70%、好ましくは重量で1%〜50%、より特定的には重量で3%〜30%の有効成分を含む。
【0019】
両親媒性物質は典型的は、少なくとも一つの極性(親水性)部分及び少なくとも一つの無極性(疎水性)部分を含む。代表的な両親媒性物質は、脂肪酸、界面活性剤、及びリン脂質である。該組成物は、1種又は複数の異なる両親媒性物質を含むことができる。該両親媒性物質は、好ましくはアルコキシル化超分岐ポリカーボネートであり、該ポリカーボネートはC3〜C12アルキレンオキシドと少なくとも三つのOH基を有するアルコールとに基づく三官能性以上の多官能性ポリエーテルオールであるアルコール(B1)を含む。
【0020】
本発明の目的に対する超分岐ポリカーボネートとは、構造上にも分子的にも不均一であり得る、ヒドロキシル基及びカーボネート基若しくは塩化カルバモイル基を有する非架橋巨大分子を意味する。一方において、それらはデンドリマーに対するのと同じ方法で中心分子から出発するが、このデンドリマーとは対照的に不均一な分岐の鎖長で合成することできる。超分岐ポリマーは、それ故デンドリマーとは区別されるべきである(米国特許第6,399,048号)。本発明の目的に対して超分岐ポリマーはデンドリマーを含まない。他方において、該超分岐ポリマーは、官能性の分岐側基を有する直鎖状構造のものであってもよく、あるいは二つの極端な組合せとして、直鎖状及び分岐分子部分を含有していてもよい。デンドリマー及び超分岐ポリマーの定義については、P.J. Flory、J. Am. Chem. Soc. 1952、74、2718及びH. Freyら、Chem. Eur. J. 2000、6、2499も参照されたい。
【0021】
本発明との関連での「超分岐」とは、分岐度(DB)、言い換えれば、分子当りの、(樹枝状結合の平均数+末端基の平均数の合計)対(樹枝状結合及び直鎖状結合の平均数+末端基の平均数)の比率×100が、10%〜99.9%、好ましくは20%〜99%、より好ましくは20%〜95%であることを意味する。本発明との関連での「デンドリマー状」とは、分岐度が99.9%〜100%であることを意味する。分岐度の定義については、H. Freyら、Acta Polym. 1997、48、30を参照されたい。
【0022】
本発明のポリカーボネートが架橋していないことは、本発明の有利な点である。本明細書の目的に対する「架橋していない」とは、存在する架橋度が、ポリマーの不溶画分により測定して15重量%未満、好ましくは10重量%未満であることを意味する。ポリマーの不溶画分は、ポリマーの分子量分布を測定するためのゲル浸透クロマトグラフィーに使用されたのと同一の、即ち、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド又はヘキサフルオロイソプロパノールの溶媒によりソックスレー装置において4時間抽出(それによりポリマーに対してより良好な溶解作用を有する)し、残留物を一定重量になるまで乾燥した後に残っている残留物を計量することによって測定した。
【0023】
この超分岐ポリカーボネートは典型的には、
a)有機カーボネート(A)又はホスゲン誘導体を少なくとも三つのヒドロキシル基を有するアルコール(B1)と反応させることによって縮合生成物(K)を調製するステップと、
b)Kを超分岐ポリカーボネートに分子間で転化するステップと
によって得られ、OH基対カーボネート基若しくはホスゲン基の量比は、Kがi)一つのカーボネート基若しくは塩化カルバモイル基及び一つより多いOH基、又はii)一つのOH基及び一つより多いカーボネート基若しくはカルバモイル基のいずれかの平均を有するように選択される。ポリカーボネートは好ましくはこの方法によって得られる。
【0024】
該縮合生成物(K)は、有機カーボネート(A)又はホスゲン誘導体を用いて調製することができる。好適なホスゲン誘導体の例は、ホスゲン、ジホスゲン又はトリホスゲンで、好ましくはホスゲンである。有機カーボネートを使用するのが好ましい。
【0025】
出発物質として使用される一般式RO[(CO)O]nRの有機カーボネート中の基Rは、それぞれ互いに独立して、1〜20個のC原子を有する直鎖又は分岐脂肪族、芳香族/脂肪族(芳香脂肪族(araliphatic))又は芳香族炭化水素基である。この二つの基Rは、互いに一緒になって環を形成していてもよい。この二つの基Rは、同じか異なるものであることができ、それらは好ましくは同じものである。当該基は、好ましくは脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは1〜5個のC原子を有する直鎖若しくは分岐アルキル基、又は置換された若しくは非置換のフェニル基である。この場合のRは、1〜20個のC原子、好ましくは1〜12個、より好ましくは1〜6個、真に好ましくは1〜4個のC原子を有する直鎖又は分岐、好ましくは直鎖(環式)脂肪族、芳香族/脂肪族又は芳香族であり、好ましくは(環式)脂肪族又は芳香族、より好ましくは脂肪族炭化水素基である。かかる基の例は、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル、2-エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、フェニル、o-若しくはp-トリル又はナフチルである。メチル、エチル、n-ブチル、及びフェニルが好ましい。これらの基Rは、同じものか異なるものであり得、それらは好ましくは同じものである。基Rは、また、互いに一緒になって環を形成することもできる。この種類の二価の基Rの例は、1,2-エチレン、1,2-プロピレン、及び1,3-プロピレンである。一般的に言えば、nは1〜5、好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2の整数である。このカーボネートは、好ましくは一般式RO(CO)ORの単純な、即ちこの場合nが1であるカーボネートであり得る。
【0026】
好適なカーボネートの例は、脂肪族、芳香族/脂肪族又は芳香族カーボネート、例えば、エチレンカーボネート、1,2-若しくは1,3-プロピレンカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ジキシリルカーボネート、ジナフチルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ジベンジルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ-n-プロピルカーボネート、ジ-n-ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、ジデシルカーボネート又はジドデシルカーボネートなどである。nが1より大きいカーボネートの例は、ジアルキルジカーボネート、例えば、ジ-tert-ブチルジカーボネートなど、又はジアルキルトリカーボネート、例えばジ-tert-ブチルトリカーボネートなどである。一つの好ましい芳香族カーボネートは、ジフェニルカーボネートである。脂肪族カーボネート、より詳しくは基が1〜5個のC原子を含むもの、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ-n-プロピルカーボネート、ジ-n-ブチルカーボネート又はジイソブチルカーボネートなどが優先される。ジエチルカーボネートが特に好ましい。
【0027】
該超分岐ポリカーボネートは典型的には、C3〜C12アルキレンオキシド及び少なくとも3個のOH基を有するアルコールに基づく三官能以上の官能性ポリエーテルオールであるアルコール(B1)を含む。少なくとも3個のOH基を有する好適なアルコールは、分岐していても非分岐でもよく、置換されていても非置換でもよく、3〜26個の炭素原子を有する。それは好ましくは脂肪族アルコールである。少なくとも3個のOH基を有する化合物の例は、グリセロール、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン(TMP)、ジ-TMP、トリメチロールブタン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ヘキサントリオール、1,2,4-ヘキサントリオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、トリス(ヒドロキシエチル)アミン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジグリセロール、トリグリセロール、ポリグリセロール、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、フロログルシノール、トリヒドロキシトルエン、トリヒドロキシジメチルベンゼン、フロログルシド、ヘキサヒドロキシベンゼン、1,3,5-ベンゼントリメタノール、1,1,1-トリス(4'-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-トリス(4'-ヒドロキシフェニル)エタン、糖類、例えばグルコース、糖誘導体、例えばソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリスリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、イソマルト、又はポリエステロールである。少なくとも3個のOH基を有する好適なアルコールは、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ヘキサントリオール、1,2,4-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールであり、より好ましくはグリセロール又はトリメチロールプロパンである。好ましいC3〜C12アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンチレンオキシド及びそれらの混合物が挙げられ、より好ましくはプロピレンオキシドである。該三官能以上の官能性ポリエーテルオールは、通常、少なくとも3個、好ましくは3〜30個、より好ましくは3〜20個のC3〜C12アルキレンオキシド分子を重合した形態で含む。特に好適なアルコール(B1)は、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4-ブタントリオール及び/又はペンタエリスリトール及びプロピレンオキシドに基づく三官能性ポリエーテルオールであって、そのポリエーテルオールは少なくとも3個、好ましくは3〜30個、より好ましくは3〜20個の重合した形をしたプロピレンオキシドの分子を含む。該ポリエーテルオール中に重合した形態で存在するC3〜C12アルキレンオキシド分子は、該ポリエーテルオールの一つ又は複数のアルコール基によりそのポリエーテルオールに結合させることができる。このC3〜C12アルキレンオキシド分子は、重合したC3〜C12アルキレンオキシド分子の一つ又は複数の鎖を形成することができる。該アルコール(B1)は典型的には、C3〜C12アルキレンオキシド分子の該ポリエーテルオールへの重合によって得られる。結果的に、C3〜C12アルキレンオキシド分子は、重合によってポリエーテル分子に通常は統計的分布状態で結合される。
【0028】
アルコール(B1)に加えて、該ポリカーボネートは、一緒に使用される全アルコールBの平均のOH官能基数が2を超えることを条件として形成成分としての二官能性アルコール(B2)を有することができる。これらアルコール(B1)及び(B2)は本明細書では一緒に(B)と呼ぶ。適切な二官能性アルコールB2としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-、1,3-及び1,4-ブタンジオール、1,2-、1,3-及び1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-又は1,3-シクロペンタンジオール、1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジオール、1,1-、1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1'-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4'-ジヒドロキシビフェニル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)ベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)トルエン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,-ビス(p-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ジヒドロキシベンゾフェノン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンチレンオキシド又はそれらの混合物に基づく二官能性ポリエーテルポリオール、162〜2000のモル質量を有するポリテトラヒドロフラン、ジオール及びジカルボン酸に基づくポリカプロラクトン又はポリエステロールが挙げられる。好適な二官能性アルコール(B2)は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンチレンオキシド又はそれらの混合物に基づく二官能性ポリエーテルポリオール、並びにジオール及びジカルボン酸に基づくポリエステロールである。
【0029】
ジオールは、該ポリカーボネートの特性の微調整に役立つ。二官能性アルコールが使用される場合、二官能性アルコール(B2)対少なくとも三官能性のアルコール(B1)の比率は、ポリカーボネートの所望される特性に応じて当業者によって決められる。一般に、アルコール(一つ又は複数)(B2)の量は、(B1)と(B2)が一緒の全アルコールの合計量に基づいて、0〜50モル%である。その量は、好ましくは0〜35モル%、より好ましくは0〜25モル%、最も好ましくは0〜10モル%である。
【0030】
ホスゲン、ジホスゲン又はトリホスゲンのアルコール又はアルコール混合物との反応は、一般に塩化水素の脱離によりもたらされ、超分岐ポリカーボネートに多官能性を与えるカーボネートのアルコール又はアルコール混合物との反応は、カーボネート分子からの一官能性アルコール又はフェノールの脱離によりもたらされる。
【0031】
この反応の後、即ち更なる改変なしで、この超分岐ポリカーボネートは、ヒドロキシル基及びカーボネート基又は塩化カルバモイル基による高い官能性の末端を有する。高い官能性のポリカーボネートとは、本発明との関連で、ポリマー骨格を形成するカーボネート基と、末端又は側位に、少なくとも3個、好ましくは少なくとも4個、より好ましくは少なくとも6個の官能基を更に有する生成物を意味すると理解される。その官能基は、カーボネート基又は塩化カルバモイル基及び/又はOH基である。原則として末端又は側位の官能基の数に上限はないが、非常に大きい数の官能基を有する生成物は、望ましくない性質、例えば、高粘度又は不十分な溶解性を有し得る。本発明の高い官能性のポリカーボネートは、500個以下の末端又は側位官能基、好ましくは100個以下の末端又は側位官能基を通常は有する。
【0032】
この高い官能性のポリカーボネートの調製においては、OH基を含んでいる化合物対ホスゲン又はカーボネート(A)の比率を、得られる単純な縮合生成物(下記で縮合生成物(K)として識別される)がi)一つのカーボネート基若しくは塩化カルバモイル基及び一つより多いOH基、又はii)一つのOH基及び一つより多いカーボネート基若しくはカルバモイル基のいずれかの平均、好ましくは、i)一つのカーボネート基若しくは塩化カルバモイル基及び少なくとも二つのOH基、又はii)一つのOH基及び少なくとも二つのカーボネート基若しくは塩化カルバモイル基のいずれかの平均を含むように調節することが必要である。
【0033】
ポリカーボネートの特性を微調整するために、少なくとも1種の二官能性カルボニル反応性化合物(A1)を使用することが更に賢明であり得る。これは二つのカーボネート及び/又はカルボキシル基を有するような化合物を意味すると理解される。カルボキシル基は、カルボン酸、塩化カルボニル、カルボン酸無水物又はカルボン酸エステル、好ましくはカルボン酸無水物又はカルボン酸エステル、より好ましくはカルボン酸エステルである。かかる二官能性化合物(A1)が使用される場合、(A1)対カーボネート又はホスゲン(A)の比率は、該ポリカーボネートの所望の特性に応じて当業者によって決められる。一般に、二官能性化合物(一つ又は複数)(A1)の量は、全てのカーボネート/ホスゲン(A)及び化合物(A1)が一緒の合計量に基づいて0〜40モル%である。好ましくはその量は、0〜35モル%、より好ましくは0〜25モル%、真に好ましくは0〜10モル%である。化合物(A1)の例は、ジオール、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,1-ジメチルエタン-1,2-ジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート、1,2-、1,3-又は1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキサン)イソプロピリデン、テトラメチルシクロブタンジオール、1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジオール、シクロオクタンジオール、ノルボルナンジオール、ピナンジオール、デカリンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,4-ジエチルオクタン-1,3-ジオール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールS、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-、1,2-、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、及び1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジオールのジカーボネート又は塩化ジカルバモイルである。これらの化合物は、例えば、前記ジオールを過剰の、例えば、上で列挙したカーボネートRO(CO)OR又はクロロカルボン酸エステルと反応させ、その結果、かくして得られたジカーボネートが両側で基RO(CO)-によって置換されるようにすることによって調製することができる。更なる可能性は、該ジオールをホスゲンと反応させて対応するそのジオールのクロロカルボン酸エステルを生じさせ、次にこれらのエステルをアルコールと反応させるものである。
【0034】
更なる化合物(A1)は、ジカルボン酸、ジカルボン酸のエステル、好ましくは、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルエステル、より好ましくは、そのメチル、エチル又はn-ブチルエステルである。この種のジカルボン酸の例は、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、o-フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸若しくはテトラヒドロフタル酸、スベリン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、ダイマー脂肪酸、それらの異性体及びそれらの水素化生成物である。
【0035】
一例としてカーボネート(A)のジアルコール又はポリアルコール(B)との反応を用いて示される縮合生成物(K)の最も単純な構造は、Xがカーボネート又はポリアルコール(B)であり、Yがヒドロキシル基であり、mが一般に1より大きく6まで、好ましくは1より大きく4まで、より好ましくは1より大きく3までの整数である配列XYm又はYmXを生ずる。単一の基として生ずる反応性の基は、以下で「フォーカル基(focal group)」のように一般に呼ばれる。
【0036】
例えば、カーボネート及び二価アルコールからの最も単純な縮合生成物(K)の調製において、反応のモル比は1:1であり、その場合に得られるのは、平均して一般式(I)により示されているタイプXYの分子である。
【化1】

【0037】
カーボネート及び三価アルコールからの反応モル比1:1による縮合生成物(K)の調製の場合には、得られるのは平均して、一般式(II)により示されているタイプXY2の分子である。ここでのフォーカル基はカーボネート基である。
【化2】

【0038】
カーボネート及び四価アルコールからの再び反応モル比1:1による縮合生成物(K)の調製において、得られるのは平均して、一般式(III)により示されているタイプXY3の分子である。ここでのフォーカル基はカーボネート基である。
【化3】

【0039】
式(I)〜(III)において、Rは最初に定義したものであり、R1は、脂肪族又は芳香族基である。
【0040】
該縮合生成物(K)は、例えば、分子基準での反応比が2:1である式(IV)により示されているカーボネート及び三価アルコールからも調製することができる。ここで得られるのは平均して、タイプX2Yの分子であり、ここでのフォーカル基はOH基である。式(IV)において、R及びR1の定義は上記の式(I)〜(III)におけるものと同じである。
【化4】

【0041】
二官能性化合物、例えば、ジカーボネート又はジオールが該成分に追加して加えられる場合、これは、例えば一般式(V)に示されているように、鎖の延長を生ずる。この場合も得られるのは、平均してタイプXY2の分子であり、そのフォーカル基はカーボネート基である。
【化5】

【0042】
式(V)において、R2は、脂肪族又は芳香族基であり、一方R及びR1は、上記のように定義したものである。
【0043】
合成のために二つ以上の縮合生成物(K)を使用することも可能である。この場合、一方においては二つ以上のアルコール及び/又は二つ以上のカーボネートを使用することが可能である。その上、使用されるアルコール及びカーボネート又はホスゲンの比率の選択によって異なる構造を有する異なる縮合生成物の混合物を得ることが可能である。これは、一例としてカーボネートの三価アルコールとの反応を挙げることによって実証することができる。出発生成物が(II)に示されているように1:1の比率で使用される場合、分子XY2が得られる。出発生成物が(IV)に示されているように2:1の比率で使用される場合、得られるのは分子X2Yである。1:1と2:1の間の比率により、分子XY2及びX2Yの混合物が得られる。
【0044】
縮合生成物(K)を形成するための(A)の(B)との反応のための典型的な反応条件を以下に設定する。
【0045】
成分(A)及び(B)の化学量論比は、一般に、結果として得られる縮合生成物(K)が一つのカーボネート若しくは塩化カルバモイル基及び一つより多いOH基、又は一つのOH基及び一つより多いカーボネート若しくは塩化カルバモイル基のいずれかを含有するように選択される。これは、最初の場合は、1モルのカーボネート基:2モル超のOH基の化学量論比、例えば、1:2.1〜8、好ましくは1:2.2〜6、より好ましくは1:2.5〜4、真に好ましくは1:2.8〜3.5の化学量論比によって達成される。二番目の場合、それは1モルより多いカーボネート基:1モル未満のOH基の化学量論比、例えば、1:0.1〜0.48、好ましくは1:0.15〜0.45、より好ましくは1:0.25〜0.4、真に好ましくは1:0.28〜0.35の化学量論比によって達成される。
【0046】
その温度は、該アルコールの対応する該カルボニル成分との反応に対して十分であるべきである。ホスゲンとの反応に対する十分な温度は、一般に-20℃〜120℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜80℃である。カーボネートが使用される場合、その温度は60〜280℃、好ましくは80〜250℃、より好ましくは100〜250℃、真に好ましくは120〜250℃である。
【0047】
調製は、通常0.1ミリバール〜20バール、好ましくは1ミリバール〜5バールの圧力範囲で、バッチ式、セミバッチ式又は連続式で運転される反応器又は反応器カスケード中で行なわれる。
【0048】
考えられる溶媒としては、芳香族及び/又は(環式)脂肪族炭化水素並びにそれらの混合物、ハロゲン化炭化水素、ケトン、エステル、及びエーテル、好ましくは、酢酸ブチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、メトキシプロピルアセテート、イソブチルメチルケトン、2-ブタノン、芳香族炭化水素(Solvesso(登録商標)製品など)、シクロヘキサン、クロロベンゼン、並びにキシレンが挙げられる。好ましい実施形態はその反応を溶媒なしで行う。
【0049】
個々の成分を加える順序は一般に重要性は小さい。原則として二つの反応相手の過剰成分を最初に導入し、不足成分を追加するのが実際的である。別法では、二つの成分を反応の開始前に互いに混合し、その後この混合物を必要な反応温度まで加熱することが同様に可能である。
【0050】
式(I)〜(V)で例として記載した単純な縮合生成物(K)は、本発明に従って、以下で重縮合生成物(P)と呼ばれる高い官能性の重縮合生成物を形成する好ましくは直接の分子間の更なる反応を受ける。縮合生成物(K)を生じ、重縮合生成物(P)を生じる反応は、バルク中(無溶媒で)又は溶媒中で、通常は0〜300℃、好ましくは0〜250℃、より好ましくは60〜250℃、真に好ましくは80〜250℃の温度で行なわれる。これに関連して、それぞれの反応体に対して不活性である任意の溶媒を使用することが一般に可能である。例えば上記のもののような有機溶媒、より好ましくは、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド又はソルベントナフサ等を使用することが優先される。一つの好ましい実施形態において、該縮合反応はバルク中で行なわれる。反応中に遊離される一官能性アルコール又はフェノール、ROH、は、反応を促進するために反応平衡から除去することができ、かかる除去は、蒸留手段によって、例えば、場合により減圧下での蒸留手段によって行なわれる。
【0051】
アルコール又はフェノールの分離は、反応混合物中に反応条件下で実質的に不活性であるガスの流れ、例えば窒素、水蒸気、二酸化炭素などを通過させること(即ちストリッピング)によって、さもなければ、混合物中に酸素含有ガス、例えば大気、又は希薄空気(lean air)などを通過させることによって支援することができる。蒸留除去が意図される場合、原則として反応中に常圧下で140℃より低い沸点を有するアルコール又はフェノールROHを発するカーボネートを使用することが望ましい。別法では、遊離されたアルコールは、共沸混合物形成剤(例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、シクロヘキサン)を使用する共沸蒸留によるか又は真空の施用によって除去することができ、かかる除去は重縮合物の形成を補助する。
【0052】
反応を促進するため触媒又は触媒混合物を加えることも可能である。好適な触媒は、エステル化又はエステル交換反応に触媒作用を及ぼす化合物であり、例としては、アルカリ金属(好ましくはナトリウム、カリウム又はセシウム)水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、第三級アミン、グアニジン、アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物、有機アルミニウム、有機スズ、有機亜鉛、有機チタン、有機ジルコニウム又は有機ビスマス化合物、更に、例えばDE10138216又はDE10147712に記載されているような二重金属シアン化物(double metal cyanide)(DMC)触媒として知られる種類の触媒がある。水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクウンデセン(DBU)、イミダゾール類、例えばイミダゾール、1-メチルイミダゾール又は1,2-ジメチルイミダゾールなど、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート、スズジオクトエート、ジルコニウムアセチルアセトネート、又はそれらの混合物を使用することが優先される。この触媒は、一般に、使用されるアルコール又はアルコール混合物の量に基づいて、重量で50〜10000ppm、好ましくは重量で100〜5000の量で添加される。場合によっては、その触媒を少量の適当な溶媒中に予め溶解することが必要なことがある。
【0053】
更に、適切な触媒を添加することにより及び/又は適当な温度を選択することにより分子間の重縮合反応を制御することも可能である。加えて、ポリマー(P)の平均分子量は、出発成分の組成及び滞留時間により調節することができる。
【0054】
高温で調製された縮合生成物(K)及び重縮合生成物(P)は、室温で、通常例えば少なくとも6週間の比較的長期間にわたって、濁り、沈殿及び/又は粘度上昇を示すことなく安定である。縮合生成物(K)の性質を考慮して、該縮合反応は、分岐を有するが架橋を有さない、さまざまな構造を有する重縮合生成物(P)を生じることが可能である。その上、該重縮合生成物(P)は、理想的にはカーボネート又は塩化カルバモイルフォーカル基及び二つより多いOH基、又はさもなければOHフォーカル基及び二つより多いカーボネート又は塩化カルバモイル基を含有する。反応基の数は、使用される縮合生成物(K)の性質及び重縮合度に依存する。
【0055】
例えば、一般式(II)の縮合生成物(K)は、三分子間縮合(triple intermolecular condensation)により反応して、一般式(VI)及び(VII)で再現される二つの異なる重縮合生成物(P)を形成することができる。
【化6】

【0056】
式(VI)及び(VII)におけるR及びR1は、上で定義したものと同じである。
【0057】
分子間重縮合反応を停止させるにはさまざまな可能性がある。一例として、温度を、反応が停止し、生成物(K)又は重縮合生成物(P)が保存に対して安定である範囲に低下させることができる。これは、一般に60℃より低い、好ましくは50℃より低い、より好ましくは40℃より低い、真に好ましくは室温の場合である。更に、この触媒は失活させることができ、塩基性触媒の場合は、例えば、酸性化合物、例えばルイス酸、又は有機若しくは無機プロトン酸を添加することによって可能である。更なる可能性は、予冷された溶媒で希釈することによって反応を阻止することである。これは、溶媒を添加することによって反応混合物の粘度を適合させることが必要な場合に特に好ましい。
【0058】
更なる実施形態において、縮合生成物(K)の分子間反応が所望の重縮合度を有する重縮合生成物(P)を生じるや否や、その反応は、生成物(P)のフォーカル基に対して反応性である基を有する生成物を(P)に添加することによって阻止させることができる。例えば、カーボネート又はカルバモイルフォーカル基の場合、例えば、モノ-、ジ-又はポリアミンを添加することができる。ヒドロキシルフォーカル基の場合は、該生成物(P)は、例えば、OH基と反応性であるモノ-、ジ-又はポリイソシアネート、エポキシド基を含んでいる化合物、又は酸誘導体をそれに添加することができる。
【0059】
反応条件の上記設定の結果として、及び場合により適当な溶媒の選択の結果として、本発明の生成物は更なる精製なしで更なる次の準備に進行することができる。もし必要な場合は、その反応混合物は、例えば重量で0.1%〜50%、好ましくは0.5%〜25%、より好ましくは1%〜10%の量の、例えば、活性炭又は金属酸化物、例えば、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ホウ素若しくはそれらの混合物などにより、例えば10〜100℃、好ましくは20〜80℃、より好ましくは30〜60℃の温度で処理することによって脱色に供することができる。存在する任意の沈殿物を除去するために反応混合物を濾過することも場合により可能である。更なる好ましい実施形態においては、生成物をストリッピングし、即ち、生成物から低分子量の揮発性化合物を除去する。この目的のために、所望の転化度に到達した後、触媒を場合により失活させることができ、低分子量の揮発性成分、例えば、モノアルコール、フェノール、カーボネート、塩化水素又は揮発性オリゴマー若しくは環状化合物などを、場合によりガス、好ましくは窒素、二酸化炭素若しくは空気の導入を伴う蒸留によって、場合により減圧下で除去することができる。
【0060】
上記のようにして得ることができる超分岐ポリカーボネートは、50℃より低い、好ましくは30℃より低い、より好ましくは10℃より低いガラス転移温度を一般に有する。OH価は、通常少なくとも30mgKOH/g、好ましくは50mgKOH/gと250mgKOH/gの間である。重量平均分子量Mwは、通常1000と150000g/モルの間、好ましくは1500〜100000g/モル、数平均分子量Mnは、500と50000g/モルの間、好ましくは1000と40000g/モルの間である。この超分岐ポリカーボネートは、通常は水に溶解又は分散せず、即ちそれは透明な(即ち、肉眼に見える粒子が無い状態)の水溶液又は水分散液を調製することが不可能である。
【0061】
該両親媒性物質は、アルコキシル化超分岐ポリカーボネートを好ましくは含む。用語の「アルコキシル化」とは、該超分岐ポリカーボネートがアルキレンオキシドと反応した状態であることを意味する。その結果、該ポリカーボネートは、少なくとも一つの直鎖状ポリアルキレンオキシド基を含む。該モノマーのランダムな混合物又はブロック、好ましくは複数のブロックが生ずることができる。該アルコキシル化ポリカーボネートは、もっぱらエチレンオキシドによるか又はさもなければエチレンオキシドとC3〜C5アルキレンオキシドとの混合物により好ましくはアルコキシル化される。それはより好ましくはもっぱらエチレンオキシドによりアルコキシル化される。適当なC3〜C5アルキレンオキシドは、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はペンチレンオキシド、及びそれらの混合物である。好ましいC3〜C5アルキレンオキシドは、プロピレンオキシドである。エチレンオキシドとC3〜C5アルキレンオキシドの混合物は好ましくは、いずれの場合も該混合物中のエチレンオキシドとC3〜C5アルキレンオキシドの合計のモル数に基づいて、少なくとも40モル%、より好ましくは少なくとも60モル%、特に少なくとも80モル%のエチレンオキシドを含む。このアルコキシル化ポリカーボネートは、より好ましくはエチレンオキシドとC3〜C5アルキレンオキシドの混合物によりアルコキシル化されており、それはエチレンオキシドのブロックとC3〜C5アルキレンオキシドのブロックを生じる。
【0062】
更なる好ましい実施形態において、該ポリカーボネートは、アルコキシル化によって調製された少なくとも一つのポリアルキレンオキシド基を含む。このポリアルキレンオキシド基は、より好ましくは少なくとも一つのポリエチレンオキシドブロック及び少なくとも一つのポリ(C3〜C5アルキレンオキシド)ブロックを含み、後者は好ましくはポリプロピレンオキシドである。このポリ(C3〜C5アルキレンオキシド)ブロックは、特に好ましくは超分岐ポリカーボネートに直接結合している。該ポリエチレンオキシドブロックは、特に好ましくは該ポリカーボネートに直接ではなく、もっぱらポリ(C3〜C5アルキレンオキシド)に結合している。ポリ(C3〜C5アルキレンオキシド)のための適切なC3〜C5アルキレンオキシドは、上記のものと同じである。該ブロック構造物は、最初に該超分岐ポリカーボネートをC3〜C5アルキレンオキシドによりアルコキシル化し、その後かくして得られたその反応生成物をエチレンオキシドによりアルコキシル化することによって得られる。
【0063】
C3〜C12アルキレンオキシド(少なくとも三官能性以上の多官能性ポリエーテルオールに由来)及びC3〜C5アルキレンオキシド(超分岐ポリカーボネートのアルコキシル化に由来)の合計対エチレンオキシドの重量比は、通常3:1〜1:3の範囲、好ましくは2.5:1〜1:2.5、特に2:1〜1:2の範囲である。該ポリカーボネートのアルコキシル化は、該両親媒性物質を調製するための本発明による方法によって実施することができる。
【0064】
該アルコキシル化超分岐ポリカーボネートは、好ましくは水溶性である。これは、それが20℃の水中に少なくとも2重量%、好ましくは8重量%程度まで、特に少なくとも15重量%程度まで溶解できることを意味する。
【0065】
更なる実施形態において、該アルコキシル化超分岐ポリカーボネートは、通常は水分散性である。これは、それが20℃の水中に少なくとも2重量%、好ましくは8重量%程度まで、特に少なくとも15重量%程度まで分散できることを意味する。
【0066】
該アルコキシル化超分岐ポリカーボネートは、ポリマー1g当り1〜150mgKOH、好ましくは10〜120mgKOH/g、特に20〜100mgKOH/gのOH価を通常は有する。
【0067】
本発明の組成物は、0.01〜40重量%、好ましくは0.05〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%の両親媒性物質を通常は含む。
【0068】
本発明の組成物は、その両親媒性物質と20℃における水への溶解度が10g/L以下の有効成分とを接触させることによって得られる。その構成成分は、周知の方法、例えば、混合、乳化又は懸濁によって接触させることができる。
【0069】
有効成分対両親媒性物質の重量比は、通常は100:1〜1:100、好ましくは10:1〜1:50、より好ましくは2:1〜1:25の範囲である。該有効成分は、溶解された形態又は固体微粒子の形態であり得る。その有効成分粒子は、結晶質又は非晶質であり得る。その粒径は1nm〜10μmであり得る。該組成物は、有効成分の溶液、エマルション、サスペンション又はサスポエマルション(suspoemulsion)であり得る。本発明の組成物は、好ましくは水性組成物である。それは、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、より特定的には少なくとも80重量%の水を含む。該組成物は典型的には、99重量%以下の水を含む。
【0070】
本発明の組成物は配合助剤を含むことができ、助剤の選択は典型的には、特定の応用形態及び/又は有効成分によって導かれる。適切な配合助剤の例は、溶媒、固体担体、界面活性物質(例えば、界面活性剤、保護コロイド、湿潤剤、及び固着剤)、有機及び無機増粘剤、殺細菌剤(bactericide)、不凍剤、消泡剤、場合により着色剤、及び粘着剤(例えば種子処理用)である。
【0071】
考えられる界面活性物質(補助剤、湿潤剤、固着剤、分散剤又は乳化剤)としては、芳香族スルホン酸、例えば、リグノスルホン酸(Borresperse(登録商標)製品、Borregaard、ノルウェー)、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(Morwet(登録商標)製品、Akzo Nobel、米国)、及びジブチルナフタレンスルホン酸(Nekal(登録商標)製品、BASF、ドイツ)、並びに又脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩と、アルキル-及びアルキルアリールスルホン酸エステル、アルキル、ラウリルエーテル、及び脂肪アルコール硫酸エステル、並びに又硫酸化ヘキサ-、ヘプタ-、及びオクタデカノールの、又脂肪アルコールグリコールエーテルの塩と、スルホン化ナフタレン及びその誘導体のホルムアルデヒドによる縮合生成物、ナフタレン又はナフタレンスルホン酸のフェノール及びホルムアルデヒドによる縮合生成物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシ化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール又はノニルフェノール、アルキルフェニル及びトリブチルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、イソトリデシルアルコール、脂肪アルコールエチレンオキシド縮合物、エトキシ化ヒマシ油、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセテート、ソルビトールエステル、リグニン-サルファイト廃液、並びに又タンパク質、変性タンパク質、多糖(例えばメチルセルロース)、疎水変性デンプン、ポリビニルアルコール(Mowiol(登録商標)製品、Clariant、スイス)、ポリカルボキシレート(Sokalan(登録商標)製品、BASF、ドイツ)、ポリアルコキシレート、ポリビニルアミン(Lupamin(登録商標)製品、BASF、ドイツ)、ポリエチレンイミン(Lupasol(登録商標)製品、BASF、ドイツ)、ポリビニルピロリドン並びにそれらのコポリマーが挙げられる。
【0072】
適切な界面活性剤としては、特に、アニオン、カチオン、非イオン、及び両性界面活性剤、ブロックポリマー、並びに高分子電解質が挙げられる。適切なアニオン界面活性剤は、スルホン酸、硫酸、リン酸又はカルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩である。スルホン酸塩の例は、アルキルアリールスルホン酸塩、ジフェニルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸及び油のスルホン酸塩、エトキシ化アルキルフェノールのスルホン酸塩、縮合ナフタレンのスルホン酸塩、ドデシル及びトリデシルベンゼンのスルホン酸塩、ナフタレン及びアルキルナフタレンのスルホン酸塩、スルホコハク酸塩又はスルホスクシナミン酸塩である。硫酸塩の例は、脂肪酸及び油、エトキシ化アルキルフェノール、アルコール、エトキシ化アルコール、又は脂肪酸エステルの硫酸塩である。リン酸塩の例は、リン酸エステル類である。カルボン酸塩の例は、アルキルカルボン酸塩及びカルボン酸塩にしたアルコール又はアルキルフェノールエトキシレートである。
【0073】
適切な非イオン性界面活性剤は、アルコキシレート、N-アルキル化脂肪酸アミド、アミンオキシド、エステル又は糖ベースの界面活性剤である。アルコキシレートの例は、アルコキシル化されているアルコール、アルキルフェノール、アミン、アミド、アリールフェノール、脂肪酸又は脂肪酸エステル等の化合物である。アルコキシル化に対しては、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド、好ましくはエチレンオキシドを使用することが可能である。N-アルキル化脂肪酸アミドの例は、脂肪酸グルカミド又は脂肪酸アルカノールアミドである。エステルの例は、脂肪酸エステル、グリセロールエステル又はモノグリセリドである。糖ベースの界面活性剤の例は、ソルビタン、エトキシ化ソルビタン、スクロースエステル及びグルコースエステル、又はアルキルポリグルコシドである。適切なカチオン界面活性剤は、第四級界面活性剤、例えば、一つ若しくは二つの疎水性基を有する第四級アンモニウム化合物、又は長鎖第一級アミンの塩である。適切な両性界面活性剤は、アルキルベタイン及びイミダゾリンである。適切なブロックポリマーは、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドのブロックを含むA-B又はA-B-Aタイプの、或いはアルカノール、ポリエチレンオキシド、及びポリプロピレンオキシドを含むA-B-Cタイプのブロックポリマーである。適切な高分子電解質は、ポリ酸又はポリ塩基である。ポリ酸の例は、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩である。ポリ塩基の例は、ポリビニルアミン又はポリエチレンアミンである。
【0074】
本発明の組成物は、多量の界面活性物質及び界面活性剤を含むことができる。それは、該組成物の総量に基づいて、界面活性物質及び界面活性剤の総量で、重量で0.1%〜40%、好ましくは1%〜30%、より好ましくは2%〜20%を含むことができる。
【0075】
補助剤の例は、有機的に変性されたポリシロキサン、例えばBreakThruS 240(登録商標)など、アルコールアルコキシレート、例えばAtplus(登録商標)245、Atplus(登録商標)MBA 1303、Plurafac(登録商標)LF、及びLutensol(登録商標)ONなど、EO-POブロックポリマー、例えばPluronic(登録商標)RPE 2035及びGenapol(登録商標)B、アルコールエトキシレート、例えばLutensol(登録商標)XP 80、並びにジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、例えば、Leophen(登録商標)RAである。
【0076】
増粘剤(即ち、組成物に改変されたレオロジー、即ち、静止の状態では高粘度を、流動状態では低粘度を与える化合物)の例は、多糖及び更に有機及び無機の層状鉱物、例えばキサンタンゴム(Kelzan(登録商標)、CP Kelco)、Rhodopol(登録商標)23(Rhodia)又はVeegum(登録商標)(R.T. Vanderbilt)又はAttaclay(登録商標)(Engelhard Corp.)等である。
【0077】
一つの好ましい実施形態において、該活性化合物は、農薬であり、本発明の組成物は、農業化学製剤である。適切な農業化学製剤は、水溶性濃縮物(SL、LS)、再分散性濃縮物(DC)、乳化性濃縮物(EC)、エマルション(EW、EO、ES、ME)、サスペンション(SC、OD、FS)又はサスポエマルション(SE)である。この組成物は好ましくは、乳化性濃縮物(EC)、サスペンション濃縮物(SC)、水溶性濃縮物(SL)、種子処理用溶液(LS)、又は再分散性濃縮物(DC)の形態をとる。
【0078】
該農業化学製剤は通常は、施用前に希釈して、タンクミックスとして知られるものを調製する。希釈のための適切な物質としては、中程度から高い沸点の鉱油留分、例えばケロセン又はディーゼル油、及び又コールタール油など、及び植物又は動物由来の油、脂肪族、環状、及び芳香族の炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン又はそれらの誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、イソホロン、強い極性の溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン又は水が挙げられる。水を使用するのが好ましい。実際のタンクミックスのみに両親媒性物質を添加することも可能である。この実施形態において、本発明の組成物はタンクミックスの形態である。
【0079】
希釈された組成物は典型的には、散布又は噴霧によって施用される。該タンクミックスにはさまざまなタイプの油、湿潤剤、補助剤、除草剤、殺細菌剤又は殺菌剤を施用直前に添加することができる(タンクミックス)。これらの物質は、本発明の組成物に、1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1の重量比で混合することができる。タンクミックス中の農薬の濃度は、比較的広い範囲で変化させることができる。濃度は、一般に、0.0001%と10%の間、好ましくは0.01%と1%の間である。作物保護における施用の場合、所望される効果の性質によって、散布量は、ヘクタール当り0.01と2.0kgの間の有効成分である。
【0080】
この農業化学製剤は、植物病原性菌類及び/又は望ましくない植物の成長及び/又は望ましくない昆虫若しくはダニ類の発生を防除し、それと/或いは植物の成長を調節するために使用することができ、該組成物は、そのとき、それぞれの有害生物(pest)、それらの生息環境若しくはそれぞれの有害生物から保護されるべき植物、土壌に、及び/又は望ましくない植物に、及び/又は作物に、及び/又はそれらの生息環境に作用する原因となる。この農業化学製剤は、作物の種子を該組成物によって処理することにより、植物への望ましくない昆虫若しくはダニ類の発生を防除し、及び/又は植物病原性菌類を防除し、及び/又は望ましくない植物の成長を制御するために使用することもできる。
【0081】
本発明はまた、アルコキシル化超分岐ポリカーボネートを含んでいる両親媒性物質であって、前記ポリカーボネートが、C3〜C12アルキレンオキシドと少なくとも三つのOH基を有するアルコールとに基づく三官能性以上の多官能性ポリエーテルオールであるアルコール(B1)を含む両親媒性物質を提供する。この両親媒性物質は、下記のような本発明の調製方法によって、得ることが可能であり、好ましくは得られる。該ポリエーテルオールは好ましくは、少なくとも三つのC3〜C12アルキレンオキシド分子を重合した形態で含む。該アルコキシル化ポリカーボネートは好ましくは、エチレンオキシド又はエチレンオキシドとC3〜C5アルキレンオキシドとの混合物にアルコキシル化されている。その他の適切で且つ好ましい実施形態は、上に記載されている。
【0082】
本発明はまた、超分岐ポリカーボネートをアルコキシル化することによる、本発明の両親媒性物質の製造するための方法であって、前記ポリカーボネートが、C3〜C12アルキレンオキシドと少なくとも三つのOH基を有するアルコールとに基づく三官能性以上の多官能性ポリエーテルオールであるアルコール(B1)を含む方法に関する。該ポリカーボネートは好ましくは、エチレンオキシド又はエチレンオキシドとC3〜C5アルキレンオキシドとの混合物を用いてアルコキシル化される。C3〜C12アルキレンオキシドとC3〜C5アルキレンオキシドの合計対エチレンオキシドの重量比は、通常は、3:1〜1:3の範囲内である。このポリカーボネートはより好ましくは、最初にC3〜C5アルキレンオキシドによりアルコキシル化され、次にエチレンオキシドによりアルコキシル化される。
【0083】
該アルコキシル化は、通例の反応プロセスにより、例えば、加圧オートクレーブ内で行なうことができる。このアルコキシル化は、強塩基、例えば、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物、ブレンステッド酸又はルイス酸、例えば、AlCl3、BF3などにより触媒されてもよい。狭い分布のアルコキシレートのために、ハイドロタルサイト又はDMC等の触媒を使用することができる。このアルコキシル化は、好ましくは約80〜250℃、好ましくは約100〜220℃の範囲の温度で実施する。その圧力は好ましくは周囲圧力と600バールの間である。必要に応じて、該アルキレンオキシドは、例えば約5%〜60%の不活性ガスを含んでいてもよい。該アルコキシル化の粗生成物は、本発明の組成物中で更なる後処理なしで使用することができる。それは、例えば、触媒残留物を除去するために、場合により濾過することができる。
【0084】
本発明は、20℃における水への溶解度が10g/L以下である有効成分を可溶化するための、本発明の両親媒性物質の水溶液中での使用を更に提供する。
【0085】
本発明は、更に、植物病原性菌類及び/又は望ましくない植物の成長及び/又は望ましくない昆虫若しくはダニ類の発生を防除し、それと/或いは植物の成長を調節する方法であって、本発明の組成物を、それぞれの有害生物、それらの生息環境、又は前記それぞれの有害生物から保護されるべき植物、土壌、及び/又は望ましくない植物及び/又は作物及び/又はそれらの生息環境に作用させる上記方法に関する。本発明は、又、植物病原性菌類及び/又は望ましくない植物の成長及び/又は望ましくない昆虫若しくはダニ類の発生を防除し、それと/或いは植物の成長を調節するための本発明の組成物の使用に関する。
【0086】
本発明の利点は、高濃度の有効成分を溶解させることができること、商業的に入手の容易なモノマーからの両親媒性物質の調製を非常に容易に且つ工業的に、場合によってはワンポットプロセスでも、実施できることである。更なる利点は、その両親媒性物質それ自体が、水溶性又は水分散性であること、及びそれが多くのポリエステルより加水分解に対して敏感でないことである。更なる利点は、有効成分の生物学的利用率が増加されること、葉面吸収時に農業化学有効成分の全身的作用が増加すること、やや溶けにくい農業化学有効成分でさえ、例えば、SL(水溶性濃縮物)又はLS(種子処理用溶液)として溶液状態で今や配合することができること、農業化学有効成分の散布液中の分布が改善されること、並びに有効成分の複数使用包装及び施用装置(例えば、農薬のための散布装置)を水でより効果的に洗浄できることである。
【0087】
以下の実施例は、本発明を限定することなくそれを説明する。
【実施例】
【0088】
未改質超分岐ポリカーボネートとアルコキシル化したポリカーボネートの両方を、検出器として屈折計を使用するゲル浸透クロマトグラフィーにより分析した。使用した移動相はジメチルアセトアミドであり、一方、分子量を測定するための標準はポリメチルメタクリレート(PMMA)を使用した。OH価は、DIN 53240、パート2に従って測定した。
【0089】
(実施例1A)
末端ヒドロキシル基を有する超分岐ポリカーボネートコアの合成
2000gのTMP×15.7PO(トリメチロールプロパンの15.7モル過剰のプロピレンオキシドとの反応生成物)、247gの炭酸ジエチル及び1.7gのジ-n-ブチルスズジラウレート触媒を最初に装入した。その反応混合物を165℃に加熱し、エタノールが放出される蒸発冷却の結果として反応混合物の温度が143℃の一定温度まで下がるまで、13時間撹拌しながら沸騰状態で保った。次に、該還流冷却器を収集容器付きの下降冷却器(descending condenser)に置き換え、反応で形成されたエタノールを留去し、その過程で反応混合物の温度は230℃まで上昇した。そのエタノールを冷却した丸底フラスコに集めて計量し、転化率を理論的に可能な完全転化と比較した百分率として確定した。89%の転化率が得られた後、依然として存在していたモノマーの残留量を除去するために、乾燥窒素を160℃の温度の反応混合物中に3時間通した。その後、その反応混合物は室温まで冷却した。該ポリマー(Mn=3000g/モル、Mw=6200g/モル、OH価:87mgKOH/gポリマー)は、水に不溶性である黄色の高粘度液体の形態で得られた。
【0090】
(実施例1B)
末端ヒドロキシル基を有する超分岐ポリカーボネートコアの合成
4010gのTMP×15.7PO(トリメチロールプロパンの15.7モル過剰のプロピレンオキシドとの反応生成物)及び502gの炭酸ジエチルを最初に装入し、10gのエタノール中2gの水酸化カリウムの新たに用意した溶液を混合した。その反応混合物を155℃に加熱し、エタノールが放出されるエタノールの蒸発冷却の結果として反応混合物の温度が130℃の一定温度まで下がるまで3.5時間撹拌しながら沸騰状態で保った。次に該還流冷却器を収集容器付きの下降冷却器に置き換え、反応で形成されたエタノールを留去し、その過程で温度は200℃まで上昇した。そのエタノールを冷却した丸底フラスコに集めて計量し、転化率を理論的に可能な完全転化と比較した百分率として確定した。80%の転化率が得られた後、その反応を100℃まで冷却し、停止剤としての4gの80%リン酸と混ぜた。その後その混合物を135℃まで撹拌しながら加熱し、依然として存在していたモノマーの残留量を除去するために、乾燥窒素をこの温度の反応混合物中に5時間通した。その後、その混合物を室温まで冷却した。該ポリマー(Mn=2450g/モル、Mw=5330g/モル、OH価:92mgKOH/gポリマー)は、水に不溶性である黄色の高粘度液体の形態で得られた。
【0091】
(実施例1C)
実施例1Aからの超分岐ポリカーボネートコアのエトキシ化
100gの実施例1Aからのポリマーを加圧オートクレーブ中に最初に装入し、1.35gの50%KOH水溶液と混ぜた。その反応混合物の窒素による不活性化が完了した時点で、その混合物から減圧下の120℃にて残留水を取り除いた。その後、100gのエチレンオキシドを、その反応混合物に0.5ml/分の計量速度で120℃で加えた。エチレンオキシドの計量された添加が終了し、一定の反応器圧力が得られた後、未転化エチレンオキシド及びその他の揮発性成分を減圧下で留去し、そのエトキシ化ポリマーを重合反応器から除去した。その後、その粗生成物を別の反応装置中で5%Makrosorb(登録商標)(PQ Corp.、アルカリ残渣を除去するケイ酸マグネシウム)及び2%の水を混合し、80℃にして1時間加熱し、加えた水はその後反応混合物から減圧下で再び留去した。その粗生成物の濾過により、エトキシ化ポリマー(Mn=4860g/mol、Mw=12980g/モル、OH価:47mgKOH/gポリマー)190gを、完全に水溶性のわずかに黄色の高粘度液体の形態で得た。
【0092】
(実施例2)
有効成分の可溶化
100mgのポリマーを、50mLのガラスビーカー中に量り取り、9.900gの蒸留水中に溶解した。次に、100mgのそれぞれの有効成分をバッチ中に量り取り、過飽和溶液を生じさせた。その混合物を次にドラムミキサーを用いて室温で24時間撹拌した。1時間の静止時間の後、可溶化されていない有効成分を遠心分離によって除去した。得られた透明溶液を次にUV分光法によってその有効成分含量について分析した。その有効成分は次の波長:ピレンは334nmで、ピラクロストロビンは277nmで、フィプロニルは280nmで分析された。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
20℃における水への溶解度が10g/L以下である有効成分及びアルコキシル化超分岐ポリカーボネートを含んでいる両親媒性物質を含む組成物であって、前記ポリカーボネートが、C3〜C12アルキレンオキシドと少なくとも三つのOH基を有するアルコールとに基づく三官能性以上の多官能性ポリエーテルオールであるアルコール(B1)を含む組成物。
【請求項2】
ポリエーテルオールが、少なくとも三つのC3〜C12アルキレンオキシド分子を重合した形態で含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
C3〜C12アルキレンオキシドが、プロピレンオキシドである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも三つのOH基を有するアルコールが、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-へキサントリオール、1,2,4-へキサントリオール又はペンタエリスリトールである、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
アルコキシル化ポリカーボネートが、エチレンオキシド又はエチレンオキシドとC3〜C5アルキレンオキシドとの混合物によりアルコキシル化されている、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
C3〜C12アルキレンオキシドとC3〜C5アルキレンオキシドの合計対エチレンオキシドの重量比が、3:1〜1:3の範囲内である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
有効成分が、農業化学有効成分である、請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
アルコキシル化超分岐ポリカーボネートを含んでいる両親媒性物質であって、前記ポリカーボネートが、C3〜C12アルキレンオキシドと少なくとも三つのOH基を有するアルコールとに基づく三官能性以上の多官能性ポリエーテルオールであるアルコール(B1)を含む両親媒性物質。
【請求項9】
ポリエーテルオールが、少なくとも三つのC3〜C12アルキレンオキシド分子を重合した形態で含む、請求項8に記載の両親媒性物質。
【請求項10】
アルコキシル化ポリカーボネートが、エチレンオキシド又はエチレンオキシドとC3〜C5アルキレンオキシドとの混合物によりアルコキシル化されている、請求項8又は9に記載の両親媒性物質。
【請求項11】
超分岐ポリカーボネートのアルコキシル化による、請求項8から10のいずれかに記載の両親媒性物質の調製方法であって、前記ポリカーボネートが、C3〜C12アルキレンオキシドと少なくとも三つのOH基を有するアルコールとに基づく三官能性以上の多官能性ポリエーテルオールであるアルコール(B1)を含む方法。
【請求項12】
ポリカーボネートが、エチレンオキシド又はエチレンオキシドとC3〜C5アルキレンオキシドとの混合物を用いてアルコキシル化される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
C3〜C12アルキレンオキシドとC3〜C5アルキレンオキシドの合計対エチレンオキシドの重量比が、3:1〜1:3の範囲内である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
20℃における水への溶解度が10g/L以下である有効成分を水溶液中に可溶化させるための、請求項8から10のいずれかに記載の両親媒性物質の使用。
【請求項15】
植物病原性菌類及び/又は望ましくない植物の成長及び/又は望ましくない昆虫若しくはダニ類の発生を防除し並びに/或いは植物の成長を調節する方法であって、請求項1から7のいずれかに記載の組成物を、それぞれの有害生物、それらの生息環境若しくは前記それぞれの有害生物から保護されるべき植物、土壌、及び/又は望ましくない植物及び/又は作物及び/又はそれらの生息環境に作用させる方法。

【公表番号】特表2013−513560(P2013−513560A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542462(P2012−542462)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068791
【国際公開番号】WO2011/069895
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】