説明

難燃性積層加工布及びその難燃性積層加工布の製造方法

【課題】任意の着色が可能で、十分な膜接着強度および高周波ウェルダー適性を有する難燃性積層加工布および高い膜接着強度で連続して効率よく難燃性積層加工布を製造することができる難燃性積層加工布の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリオレフィンからなる中間層2の両面にEVAからなる外層3が積層された少なくとも三層構造を有する積層体を延伸した多層ヤーン1を用いた繊維基材4の少なくとも一方の面にEVAに難燃性付与剤を配合した樹脂からなる保護層6を押出ラミネートした難燃性積層加工布5及びEVAに難燃性付与剤を配合した樹脂を、ダイ直下における温度を190℃〜250℃で押出ラミネートする難燃性積層加工布5の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性積層加工布及びその積層加工布の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雨などの水分を避けるための防水シート、テント類、建築資材の被覆用シートやコンクリートの養生シートあるいはフレキシブルコンテナやパレット上の物品を雨や埃から守るボックスカバーなどに各種の積層加工布が用いられている。これらの積層加工布として、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)製の延伸テープ(以下、「ヤーン」と呼称する。)を用いて織製された織布に保護層を押出ラミネートで積層して積層加工布としたものが軽量であり、焼却したときに有毒ガスが発生しないことから種々の用途に使用されている。
ところが、これらの積層加工布は、建築現場等における溶接の火花や放火等で火災の原因となることがあるという問題があった。
【0003】
ポリオレフィンに難燃性を付与するために、ハロゲン化合物と三酸化アンチモンの併用物やアルミニウムやマグネシウム系の水和金属化合物、赤燐、カーボンブラック、リン酸塩系化合物等が難燃剤として使用されている。
特許文献1には、エチレン系共重合体にリン酸塩系化合物が配合された樹脂組成物を、メルトフローレート(MFR)を0.1〜10g/10分の範囲として用いることが提案されている。また、特許文献2には、エチレン系共重合体に難燃剤としてメラミンシアヌレートやポリリン酸アンモニウムが配合された樹脂組成物として用いることが提案されている。
【0004】
しかし、これらの提案においては、その様な樹脂組成物をカレンダー法等で予めシートに成形し、熱ラミネート等にて積層するものである。これらの方法は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やナイロン等を繊度の低い延伸糸条とした織布で補強して難燃性積層加工布とする場合に有効である。これらの織布は、ポリオレフィンからなる樹脂層との膜接着強度は低いが、これらの織布は、通常、繊維間に空隙(網目)を有するので、両面に樹脂層を配置することで、熱ラミネート時に溶融した樹脂が網目を通過して樹脂層同士が融着し、織布を樹脂層間に埋設させて繊維で補強された難燃性積層加工布とすることができる。したがって、この樹脂組成物は、押出ラミネートに比べて低温で製膜および積層することができ、樹脂や難燃剤の分解により異物が生成するという問題は少ない。
【0005】
一方、ポリオレフィンからなる難燃性積層加工布においては、保護層の積層にシートやフィルムに成形する手間が省けて効率が良いので、押出ラミネートが多用される。用いられるポリオレフィンのヤーンからなる織布は、難燃性積層加工布の強度を担う主体であり、機械的強度の向上面から繊度が高いことが好ましい。そして、ポリオレフィンは比重も小さいので、ヤーンも嵩張り、断面形状も扁平なので、ヤーンを織布としたときに、ヤーン間に空隙(網目)が生まれにくい。したがって、ポリオレフィンからなる積層加工布においては、繊維基材の両面に保護層を押出ラミネートしても、溶融した樹脂が網目を通過して保護層同士が融着して保護層の接着強度が高くなる効果を期待することは難しい。すなわち、ポリオレフィンからなる難燃性積層加工布においては、織布がポリオレフィンからなる保護層と高い膜接着強度で積層されることが重要である。しかし、ポリオレフィンからなる織布は嵩張るので、表面の凹凸が大きく、織布が熱劣化を起こさない程度の温度での熱ラミネート等では高い膜接着強度を得ることはできない。そして、特許文献1や2に記載の樹脂組成物を、高い膜接着強度を得られる高い温度で押出ラミネートすると、難燃剤の分解や変質により異物を生成してしまうという問題が依然として残る。
【0006】
また、ポリオレフィンからなる積層加工布を各種のシート、フレキシブルコンテナやパレットカバーなどに成形するに際して、LDPEやLLDPEからなる保護層は、高周波ウェルダーによる加工が好ましく、特許文献2に提案されるように高周波ウェルダーを適用する積層加工布には、樹脂層として、LDPEやLLDPEに代えてカルボキシル基等の極性基を有する熱可塑性樹脂、例えば、エチレンとアクリル酸との共重合体やエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等が積層される。しかし、これらの極性基を有する熱可塑性樹脂を押出ラミネートした場合には、押出ラミネート時の熱で樹脂の一部が分解や変質を起こして、黒色の酸化異物やTダイのリップ部に、いわゆる目ヤニと呼ばれる異物が生成する。特に、EVAを押出ラミネートする場合に、この傾向は顕著である。そして、これによるスジ等の外観不良や接着不良が発生してしまうので、押出ラミネートで製造された、高周波ウェルダーによる加工が可能な難燃性の良いポリオレフィンからなる積層加工布は存在しなかった。
【0007】
つまり、EVA等の極性基を有する熱可塑性樹脂を、PPやHDPEのヤーンを織製した織布に十分な膜接着強度で押出ラミネートするにはダイ直下における温度を260℃程度にまで高める必要がある。しかし、この温度では、難燃剤はもとより、カルボキシル基等の極性基を有する熱可塑性樹脂自身が分解してしまい長時間にわたる押出ラミネートは困難であった。したがって、カルボキシル基等の極性基を有する熱可塑性樹脂に難燃性付与剤を配合した樹脂は、それらの樹脂単独に比べてさらに押出ラミネートの条件が厳しくなるので、高い膜接着強度で保護層を押出ラミネートすることができなかった。
【0008】
積層加工布が高い膜接着強度を有しないと、積層加工布同士を溶着したときの剥離強度(溶着強度)が低下するという問題がある。また、長期にわたり屋外にて使用される場合、屋外の風により積層加工布がはためいて保護層にクラックが発生する場合がある。なお、本明細書においては、はためきに対する保護層の耐性を「耐はためき性」という場合がある。
【特許文献1】特開2000−53836号公報
【特許文献2】特開2005−161742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、押出ラミネートで製造された十分な膜接着強度を有し、高周波ウェルダーによる加工が可能な難燃性積層加工布および高い膜接着強度で連続して効率よく難燃性積層加工布を押出ラミネートで製造することができる難燃性積層加工布の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明の発明者は、鋭意検討を行った結果、ポリオレフィンからなるヤーンを改良すればEVA等の極性基を有する熱可塑性樹脂の押出ラミネートの温度を下げても高い膜接着強度を得ることが可能なこと、および、押出ラミネートの温度を下げることにより押出ラミネート時に難燃性付与剤および保護層の熱可塑性樹脂の分解を防ぐことができることを知見し、本発明はなされたのである。
【0011】
すなわち、本発明は、ポリオレフィンからなる難燃性の積層加工布であって、ポリオレフィンからなる中間層の両面にカルボキシル基等の極性基を有する熱可塑性樹脂からなる外層が積層された少なくとも三層構造を有するポリオレフィンの積層体を延伸した多層延伸テープが経糸及び/又は緯糸に用いられた織布の少なくとも一方の面にエチレン−酢酸ビニル共重合体に難燃性付与剤を配合した樹脂を押出ラミネートしてなる保護層を形成したことを特徴とする難燃性積層加工布を提供する。
ここで、本発明の難燃性積層加工布においては、難燃性付与剤が、環境問題の観点からハロゲン系物質を含まない非ハロゲン系難燃剤が好ましい。また、難燃性付与剤がリンおよび窒素を含むものやイントメッセント系であると好ましい。これらの難燃性付与剤は、白色または無色であると好ましい。
【0012】
そして、本発明に用いられる多層延伸テープの外層の熱可塑性樹脂及び本発明の難燃性積層加工布の保護層の熱可塑性樹脂の双方がEVAであることが好ましく、その保護層のEVAのVA率(酢酸ビニル基の含有率)が5質量%〜25質量%であることが好ましく、また、その多層延伸テープの外層のEVAの酢酸ビニル基の含有率が3質量%〜20質量%であることが好ましい。また、本発明の難燃性積層加工布においては、保護層の少なくとも一方がマット状に艶消し加工されていることが好ましい。
なお、本明細書においては、EVAとは、単一のEVAの他に、EVAを含有するポリオレフィンであれば、複数種のEVA、あるいは、EVAとEVA以外のポリオレフィンとの混合物であってもよく、例えば、高VA率のEVAとLDPEやLLDPE等の各種密度のPE、アイオノマーやEMA、EMMA、EEA等のPE系共重合体やPP等のポリオレフィンが混合されてもよいものである。
また、難燃性付与剤とは、難燃剤または難燃剤と難燃助剤を意味する。
【0013】
さらに、本発明は、本発明の難燃性積層加工布の製造方法であって、本発明の織布の少なくとも一方の面にカルボキシル基等の極性基を有する熱可塑性樹脂をダイ直下における温度を150℃〜250℃として押出ラミネートすることを特徴とする難燃性積層加工布の製造方法を提供する。
そして、本発明の難燃性積層加工布の製造方法においては、押出ラミネートに際し、少なくとも一方の面に使用する冷却ロールがマットロールであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の難燃性積層加工布によれば、カルボキシル基等の極性基を有する熱可塑性樹脂に難燃性付与剤を配合した樹脂からなる保護層が押出ラミネートで強固に積層された高い膜接着強度を有するポリオレフィンからなる難燃性積層加工布を得ることができる。
その結果、本発明の難燃性積層加工布は、高い難燃性を有し、柔軟性に富むので耐はためき性に優れ、長期にわたり屋外にて使用される場合、屋外の風により難燃性積層加工布がはためいても保護層にクラックが発生しにくい。また、この難燃性積層加工布は、軽くて軟らかいので、取扱性に優れ、風合も良い。
さらに、本発明の難燃性積層加工布は、全ての層が熱可塑性樹脂であるポリオレフィンからなるので軽くて取扱性や廃棄性にも優れる。また、リペレット化して再生利用することもできるので、環境適性にも優れている。
【0015】
また、本発明の難燃性積層加工布は、非ハロゲン系難燃性付与剤を使用した場合は、焼却時に有害物質が発生する可能性が小さく、廃棄性にも優れる。
また、本発明の難燃性積層加工布は、リンおよび窒素を含む難燃性付与剤を使用した場合は、難燃性に優れると共に、EVA等の極性基を有する熱可塑性樹脂への分散性に優れるので難燃性付与剤がブリードアウトしにくく、高周波溶着適性を維持する。
また、本発明の難燃性積層加工布は、イントメッセント系である難燃性付与剤を使用した場合は、難燃性に優れると共に、EVA等の極性基を有する熱可塑性樹脂への分散性に優れるので難燃性付与剤がブリードアウトしにくく、高周波溶着適性を維持する。
また、本発明の難燃性積層加工布は、白色または無色である難燃性付与剤を使用した場合は、難燃性積層加工布への任意の着色が制限されるという問題がない。
また、本発明の難燃性積層加工布は、多層延伸テープの外層の熱可塑性樹脂及び前記難燃性積層加工布の前記保護層の熱可塑性樹脂の双方がEVAであるとコスト的に優位である。
また、本発明の難燃性積層加工布の少なくとも一方の面がマット状に艶消し加工されていると、手触りや風合いに優れ、巻き取って保管する際にブロッキングを起こしにくい。
【0016】
そして、本発明の難燃性積層加工布の製造方法によれば、保護層の押出ラミネート時にEVA等の極性基を有する熱可塑性樹脂の分解や難燃性付与剤に起因する異物の生成がないので、押出ラミネートに際して、EVA等の樹脂や難燃剤に由来する異物によるスジ等の欠陥の発生がなく、Tダイや押出機を分解して掃除する必要がなく、連続して効率よくEVA等の極性基を有する熱可塑性樹脂からなる外層が強固に積層された難燃性積層加工布を製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づき、本発明の一実施形態例について説明する。図1は、本発明に用いるヤーン1の構造の例を示す断面図である。
このヤーン1は、層状をなす中間層2の両面に、外層3をそれぞれ積層してなる三層構造を有している。
ヤーン1の形成に際しては、中間層2及び外層3をそれぞれフィルム状に製膜後、接着剤にてドライラミネートしたり、中間層2の両側に外層3を押出ラミネートしたりして積層してもよいが、中間層2及び外層3を構成する樹脂を共押出法により製膜と同時に積層し、所定幅にスリット後、5〜8倍、好ましくは、6〜7倍に加熱延伸する方法が、中間層2と外層3との接着性や製造コストの点からは有利である。
【0018】
中間層2は、ヤーン1の機械的強度の大半を担う。中間層2を形成する樹脂は、ポリオレフィンであれば特に限定されないが、耐熱クリープ特性が優れることからPP、PPとPEの共重合体やHDPEが用いられる。これらのうち、外層3との接着性に優れることから、HDPEが好ましい。HDPEとしては、特に制限はないが、密度が0.945〜0.970g/cm3の範囲、好ましくは、0.951〜0.967g/cm3の範囲で、190℃におけるメルトフローレイト(MFR)が0.4〜1.5g/10分の範囲、好ましくは、0.6〜1.0g/10分の範囲のものが好適である。
密度がこの範囲未満のものでは、ヤーン1の引張強度などの機械的強度が低下し、密度がこの範囲を越えると、加工性が悪く、製膜や延伸に際して不都合を来す場合がある。
また、MFRがこの範囲未満であると、加工性が悪く、製膜や延伸に際して不都合を来し、MFRがこの範囲を越えると、ヤーン1の引張強度などの機械的強度が低下する場合がある。
【0019】
外層3は、ヤーン1が織布に織製されてEVA等の極性基を有する熱可塑性樹脂に難燃性付与剤を配合した樹脂の保護層が押出ラミネートされたときに、膜接着強度を向上させるために積層するものである。
外層3を形成する樹脂としては、コスト的に優れることから、EVAが好ましい。外層3をEVAで形成する場合、EVAは、VA率が3質量%〜20質量%の範囲、好ましくは、5〜10質量%の範囲のEVAが用いられる。
VA率がこの範囲未満のものでは、EVAに難燃性付与剤を配合した樹脂の保護層を織布に押出ラミネートする時にヤーン1表面のEVAが溶融しにくくなり、膜接着強度が低下する場合がある。また、VA率がこの範囲を越えると、ベタつきが起こり、ヤーン1の製造およびヤーン1を用いて織布に織製するときの加工性が悪くなる場合がある。また、外層3内の凝集破壊が起き易くなり、ヤーン1を織製してなる織布にEVAに難燃性付与剤を配合した樹脂の保護層を積層した難燃性積層加工布を溶着する際、積層加工布の溶着強度が低下することがある。
【0020】
外層3を形成するEVAの密度やMFRは、VA率に依存する部分もあり、特に制限されないが、その密度が0.910〜0.950g/cm3の範囲、特に、0.920〜0.930g/cm3の範囲のものが加工適性に優れ好適である。密度がこの範囲を越えるものは、VA率が上述した範囲を越えている可能性がある。
外層3を形成するEVAのMFRは、0.3〜2.0g/10分の範囲が好ましく、0.5〜1.50g/10分の範囲がより好ましい。
MFRがこの範囲未満であると、加工適性が悪く、製膜に際して不都合を来す場合がある。また、MFRがこの範囲を越えると、ヤーン1の引張強度などの機械的強度が低下する場合がある。
【0021】
ヤーン1の厚みは、ヤーン1を構成する樹脂の密度、ヤーン1の幅及びヤーン1の繊度で自動的に決まるが、20〜80μmが一般的である。中間層2と外層3との厚み比は、ヤーン1に要求される機械的強度に応じて任意に選択できるが、好ましくは、中間層2が50〜90%、外層3が10〜50%である。すなわち、ヤーン1の繊度を1000デニールとすると、中間層2が500〜900デニール、外層3が100〜500デニールである。この範囲を越えて、中間層2が厚くなると、ヤーン1の機械的強度及び耐熱クリープ特性は向上するが、外層3が薄くなるので、中間層2と外層3との膜接着強度、及び、織布に保護層を積層した難燃性積層加工布を溶着する際、溶着強度が低下する。一方、この範囲を越えて、中間層2が薄くなると、外層3が厚くなるが、膜接着強度、及び、溶着強度は、あまり向上しないにもかかわらずヤーン1の機械的強度及び耐熱クリープ特性が低下する。
【0022】
ここで、ヤーン1の繊度は、ヤーン1を用いてなる織布に要求される機械的強度に応じて任意に選択できるが、ヤーン1の生産性等を考慮すると、500〜3000デニールが一般的であり、1000〜2000デニールがより一般的である。また、ヤーン1の幅は、織布の織り密度に応じて任意に選択できるが、2〜12mmが一般的であり、4〜9mmがより一般的である。
【0023】
図2は、本発明に用いる織布4の構造の例を示すもので、この織布4は、上述したヤーン1を織製して形成される。織布4は、ヤーン1が経糸又は緯糸の少なくとも一方に用いられていればよく、織布4の強度バランスを考慮すると、経糸及び緯糸の双方に用いることが望ましい。また、織布4は、平織、綾織り、朱子織等様々な織り方が可能であり、特に制限されるものではない。
【0024】
織布4の織り密度は、織布4を用いた製品に求められる機械的強度に応じて任意に選択できるが、経緯とも、1インチあたり10〜20本程度とするのが一般的である。更にまた、経糸と緯糸との繊度を変えることも可能であるが、織布4の強度バランスを考慮すると、経緯に同一繊度のヤーン1を用い、織り密度も同一とするのが一般的である。
【0025】
図3は、本発明に係る難燃性積層加工布5の構造の例を示すもので、この難燃性積層加工布5は、織布4の両面に、EVA等の極性基を有する熱可塑性樹脂に難燃性付与剤を配合した樹脂からなる保護層6を積層して形成されている。
保護層6は、織布4の織り目を覆い、異物や水分の侵入や透過を防止し、かつ、織布4の織り目を固定して織布4の機械的強度や耐摩擦性等を向上させるためのものである。保護層6は、織布4の少なくとも一方の面に、好ましくは両面に、EVA等の極性基を有する熱可塑性樹脂にリンおよび/または窒素を含む白色もしくは無色の難燃性付与剤を配合した樹脂を押出ラミネートして形成される。
【0026】
保護層6は、その厚さは特に制限されないが、30〜150μm程度が一般的である。
保護層6に配合する難燃性付与剤としては、ハロゲン化合物と三酸化アンチモンとの併用物、アルミニウムやマグネシウム等の水和金属化合物、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸塩系化合物、赤燐、カーボンブラック等を挙げることができる。これらのうち、焼却時に有害なガスを発生することがないので、非ハロゲン系難燃性付与剤が好ましい。また、難燃性付与剤がリンおよび窒素を含むリン酸塩系化合物であると難燃性に優れ、EVAへの分散性に優れるので難燃性付与剤がブリードアウトしにくく、高周波溶着適性が向上するため好ましい。また、EVAへの分散性に優れるので難燃性付与剤がブリードアウトしにくく、高周波溶着適性が向上するので、難燃性付与剤が窒素を含むリン酸塩系化合物であることが好ましい。また、本発明のポリオレフィンからなる難燃性の積層加工布は、樹脂層を熱ラミネートした積層加工布に比べて比較的薄い保護層を押出ラミネートするので、イントメッセント系であると、難燃性に優れるので好ましい。また、難燃性付与剤が白色または無色であると、難燃性積層加工布への任意の着色が制限されるという問題がないので好ましい。
【0027】
イントメッセント系とは、材料表面を発泡させ、気泡の持つ低い熱伝導率を利用して材料内部への熱伝導を防ぐという原理を応用した延焼防止方法であり、「表面膨張層(intumescent)」と呼ばれる。すなわち、材料表面に泡状の層を作りそこで表面の熱が内部に伝わらないようにする方法であり、表面の泡の層の厚みが増大すると、火源の温度が相当高くならないと燃焼は継続しないことが知られており、また、本発明の難燃性積層加工布のEVA層が熱分解して生成する泡の層により、酸素の供給及び燃焼ガスの熱を遮断する。イントメッセント系では反応性化合物としてリン酸アンモニウム、リン酸メラミンなどが使用され、発泡剤として分解性のあるアンモニウム塩、ジシアンジアミド、メラミンなどのアミノ化合物などが用いられる。本発明の難燃性積層加工布においては、これらの化合物とともに保護層のEVAが炭化して泡を形成する骨格となる。本発明の難燃性積層加工布の保護層は、比較的薄いが、発泡することで、大きな酸素および燃焼ガスの遮断や断熱の効果が得られる。
【0028】
また、本発明においては、窒素化合物の分解による不活性ガスの発生やリン化合物によるチャー生成で酸素を希釈や遮断して難燃性を付与することもできる。その様な難燃化に用いるリンおよび窒素を含む難燃性付与剤としては、ポリリン酸アンモニウム、第一リン酸アンモニウムなどが挙げられる。これらは、燃焼時の加熱によってリン酸が生成し、これがメタリン酸、ポリメタリン酸となって、燃焼するプラスチックの固相又は溶融相面に不揮発性のリン酸ポリマー被膜を形成することによって酸素が遮断され難燃効果が発現される。また、これらのリン酸塩系有機難燃剤自体も加熱によってアンモニアを放出することにより難燃効果に寄与する。これらのリン酸塩系有機難燃剤のうち、本発明においては、白色または無色であり、EVA中への分散性に優れることから、窒素を含むリン酸塩系化合物が好適に使用される。
【0029】
本発明においては、織布4の少なくとも一方の面にEVA等の極性基を有する熱可塑性樹脂に難燃性付与剤を配合した樹脂を、ダイ直下における温度を150℃〜250℃、好ましくは、180℃〜220℃として押出ラミネートして保護層6を形成する。この温度範囲未満の温度では、樹脂の溶融が充分でなく、押出機に負荷がかかりすぎたり、押出ラミネートの膜接着強度が充分でなかったりする場合がある。また、この温度範囲を超える温度では、難燃付与剤や樹脂の分解が起こりやすくなる。
本発明においては、ヤーン1の表層にEVA等の極性基を有する熱可塑性樹脂が積層されているので、溶融したEVA等の樹脂膜と接着し易くなり、溶融したEVA等のダイ直下における温度をこの様に低く設定できる。この温度であれば、難燃性付与剤やEVA等の極性基を有する熱可塑性樹脂が分解しないので、難燃性付与剤やEVA等の樹脂由来のゲルや炭化物等の異物の発生がない。したがって、押出ラミネートに際して、難燃性付与剤やEVA等の樹脂由来の異物によるスジ等の欠陥の発生がなく、Tダイを分解して掃除する必要がないので、長時間の押出ラミネートが可能であり、また、押出ラミネート時に熱劣化によって織布4の機械的強度を低下させることもない。
【0030】
本発明においては、押出ラミネートに際して、保護層6の一方の面、場合によっては、両面に使用する冷却ロールの表面に凹凸が形成された粗面ロール(エンボスロール)や表面がマット調である粗面ロール(マットロール)を使用することが望ましい。この様な粗面ロールは、鋼鉄製ロールの表面に砂やガラスビーズ等を吹き付けて凹凸を形成し、クロムめっきして製造される。
この様な冷却ロールを使用することで、難燃性付与剤を配合したEVA等の極性基を有する熱可塑性樹脂からなる保護層6の表面に凹凸が転写されて、エンボス状またはマット状に艶消し加工される。このエンボス面やマット面は、EVA等の極性基を有する熱可塑性樹脂に難燃性付与剤を配合した樹脂の保護層6がラミネートされた積層加工布5をロール状に巻き取るときに隣接する保護層6同士がブロッキングすることを防止する。
【0031】
本発明においては、保護層6の表面にソフトな風合いが出るので、マットロールを使用して保護層6の表面をマット面とすることが好ましい。そのようなマットロールとしては、具体的には、冷却ロールの表面がJIS B 0601−1994に記載される十点平均粗さ(触針先端曲率半径は2μm。以下、「Rz」という。)が10〜50μm程度である粗面ロールである。
なお、マット面とするとソフトな風合いが出るが、艶面は、見た目、高級感があり、折り目が浮き立ち意匠性に優れることから、特に限定するものではないが難燃性積層加工布5の一方の面のみをマット面とし、他方の面を艶面とすることが好ましい。この場合の艶面は、平滑度の高い、いわゆる鏡面ロールを用いるよりは、マットロールと鏡面ロールの中間で適度な艶面が形成される程度の粗面を有するロール(セミマットロール)を用いてEVAに難燃性付与剤を配合した樹脂の保護層6の表面をセミマット状とすることが好ましい。そのようなセミマットロールとしては、具体的には、冷却ロールの表面のRzが0.3〜0.6μm程度である粗面ロールである。
【0032】
なお、本発明で保護層6を、EVA等の極性基を有する熱可塑性樹脂に難燃性付与剤を配合した樹脂で形成するのは、以下の理由もある。
単層のHDPEのヤーン1を織製した織布4に十分な膜接着強度で押出ラミネートするにはダイ直下における温度を260℃以上に高める必要があり、単にEVA等の極性基を有する熱可塑性樹脂に難燃性付与剤を配合した樹脂を用いただけでは、難燃性付与剤およびEVAの分解により長時間の押出ラミネートができなかった。特にEVAに難燃性付与剤を配合した樹脂は、この傾向が強い。
【0033】
保護層6に用いる樹脂としては、コスト的に優れることから、EVAが好ましい。保護層6をEVAで形成する場合、EVAは、好ましくは、VA率が5質量%〜25質量%の範囲、より好ましくは、14〜22質量%の範囲のものである。
VA率がこの範囲未満であると、膜接着強度が低下し、耐はためき性、高周波ウェルダー適性や溶着強度が低下する場合がある。VA率がこの範囲を越えると、ベタつきが起こり易くなり、織布4の両面に保護層6を積層して積層加工布5として巻き取りで保管する際にブロッキングが発生する場合がある。また、保護層6の凝集力低下により溶着強度などの機械的強度が低下する場合がある。
【0034】
保護層6を形成するEVA等の極性基を有する熱可塑性樹脂の密度やMFRは、特に制限されないが、例えば、EVAを用いる場合は、VA率に依存する部分もあり、その密度が0.930〜0.950g/cm3の範囲、特に、0.935〜0.945g/cm3の範囲のものが加工適性に優れ好適である。密度がこの範囲を逸脱するものは、VA率が上述した範囲を逸脱している可能性がある。
保護層6を形成するEVA等の極性基を有する熱可塑性樹脂に難燃性付与剤を配合した樹脂のMFRは、3g/10分を超えて30g/10分以下である範囲が好ましく、6〜15g/10分の範囲がより好ましい。
MFRがこの範囲未満であると、加工適性が悪く、押出ラミネートに際して不都合を来す場合がある。また、MFRがこの範囲を越えると、押出ラミネートに際して、ネックインが大きく、不都合を来す場合がある。
【0035】
本発明に用いるヤーン1は、中間層2の両面に外層3をそれぞれ積層してなる三層構造を有しているが、本発明においては、最外層のEVA樹脂層がHDPE層に隣接して積層されていればよく、他の層を有していてもよい。また、共押出法により二層構造や三層構造のフィルムを筒状に押出したものを押し潰す、いわゆるブロッキング法により形成されるものであってもよい。このようなヤーンは、内部で互いに重なり合う内層同士がブロッキングして一体化し倍の積層構造となるが、このようなものも本発明の範囲に含まれる。 さらには、多層ヤーンを開糸したスプリットヤーンであってもよい。スプリットヤーンを用いると難燃性積層加工布をさらに柔軟なものとすることができる。
【0036】
更に、本発明においては、ヤーン1及び/又は保護層6に、耐候性を向上させる目的で、紫外線吸収剤、高分子安定剤、酸化防止剤等を、あるいは、難燃性を付与させる目的で、本発明で用いる難燃性付与剤を配合してもよい。特に、本発明においては、EVA等の極性基を有する熱可塑性樹脂をダイ直下における温度を150℃〜250℃、好ましくは、180℃〜220℃という低い温度で押出ラミネートすることができるので、難燃剤付与剤に起因する目ヤニがダイリップに生成し、付着する温度が250℃付近である難燃性付与剤でも用いることができる。
【実施例】
【0037】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔ヤーンおよび織布の作成〕
共押出インフレーション法により、HDPE(密度=0.96、MFR=0.8、融点=133℃)の中間層及び中間層の両面にEVA(密度=0.925、MFR=1.0、融点=97℃、VA率=10質量%)の外層を製膜して二種三層の共押出フィルムを作成した。このフィルムをスリッタにて裁断後、6倍に加熱延伸して、繊度100デニールの外層/繊度800デニールの中間層/繊度100デニールの外層の構成を有する繊度1000デニールで幅6mmのヤーンAを作成した。また、EVAを用いることなく、HDPEを単独でインフレーションしたこと以外は、ヤーンAと同様にしてヤーンBを作成した。
ヤーンAを経糸及び緯糸として、平織の織布Aを作成した。織り密度は経緯とも14本/インチとした。
また、ヤーンBを経糸及び緯糸としたこと以外は、織布Aと同様にして織布Bを作成した。
【0038】
〔難燃性付与剤〕
(難燃性付与剤A)
EVA(密度=0.94、MFR=15、融点=84℃、VA率=19%)51重量部に難燃剤デカブロモビフェニルエーテル33重量部と難燃助剤として三酸化アンチモン16重量部を加えた白色の難燃性付与剤Aと微量の耐候剤を含有するマスターバッチAを用いた。
(難燃性付与剤B)
EVA50重量部に白色のポリリン酸アンモニウム系イントメッセント難燃性付与剤50重量部を加えてイントメッセント系難燃性付与剤Bとしたこと以外はマスターバッチAと同様のマスターバッチB(東京インキ製FRP−66)を用いた。
(難燃性付与剤C)
EVA60重量部に白色の窒素・リン系イントメッセント難燃性付与剤Cを40重量部を添加したこと以外はマスターバッチAと同様のマスターバッチC(東京インキ製PEX FR0039AL)を用いた。
【0039】
〔実施例1〕
一方の面に冷却ロールの表面のRzが29μmであるマットロールを用い、他方の面に冷却ロールの表面のRzが0.5μmであるセミマットロールを用いて、織布Aの両面に、マスターバッチAに用いたものと同一のEVAを59重量部とマスターバッチA41重量部を混合して、最終の配合比がEVA80重量部、難燃性付与剤20重量部となるようにして、それぞれ90μmの厚さで、ダイ直下における温度を205℃として押出ラミネートし、両面がマット状の保護層を形成して難燃性積層加工布を作成し、実施例1とした。
〔参考例1〕
ダイ直下における温度を260℃として押出ラミネートしたこと以外は、実施例1と同様にして難燃性積層加工布を作成し、参考例1とした。
〔比較例1〕
織布Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして難燃性積層加工布を作成し、比較例1とした。
〔実施例2〕
マスターバッチAに用いたものと同一のEVA20重量部とマスターバッチB80重量部を混合して最終の配合比がEVA60重量部、難燃性付与剤40重量部となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして難燃性積層加工布を作成し、実施例2とした。
〔参考例2〕
ダイ直下における温度を260℃として押出ラミネートしたこと以外は、実施例2と同様にして難燃性積層加工布を作成し、参考例2とした。
〔比較例2〕
織布Bを用いたこと以外は、実施例2と同様にして難燃性積層加工布を作成し、比較例2とした
【0040】
〔実施例3〕
マスターバッチに用いたものと同一のEVA約25重量部とマスターバッチC約75重量部を混合して最終の配合比がEVA樹脂70重量部、難燃性付与剤30重量部となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして難燃性積層加工布を作成し、実施例3とした。
〔参考例3〕
ダイ直下における温度を260℃として押出ラミネートしたこと以外は、実施例3と同様にして難燃性積層加工布を作成し、比較例3とした。
〔比較例3〕
織布Bを用いたこと以外は、実施例3と同様にして難燃性積層加工布を作成し、比較例3とした。
【0041】
実施例1〜3、参考例1〜3及び比較例1〜3における押出ラミネート連続加工適性及び押出ラミネーターへの影響を目視で観察し、織布と保護層のラミネートの膜接着強度について下記の方法で観察した。結果を表1に示す。
〔膜接着強度を確認するための溶着強度試験〕
二枚の300mm四方の難燃性積層加工布を重ね、その一端を幅10mm、長さ275mmにわたり、山本ビニター製高周波ウェルダーYTO−5(5KW)を用い、自動同調システム適用し、電流値0.36A、圧着時間2.5秒、冷却時間2.0秒の条件で高周波ウェルダー溶着させ、中央付近から巾30mmに切り出して試料とした。自由端を両手で引っ張って剥離に要する力の大きさで溶着強度を確認し、剥離後の剥離面を目視で観察した。結果を表1に示す。
【0042】
実施例1、2における難燃性について下記の方法で観察した。結果を表1に示す。
〔難燃性を確認するための防炎性能試験〕
消防法施工規則(昭和36年自治省令第6号第4条の3第3項に定める防炎性能試験の薄手布に対する試験方法に従った。
【0043】
【表1】

【0044】
表1から、比較例2は2000m程度加工したころから難燃性付与剤およびEVAの熱分解によると思われる不具合が発生したが、実施例1〜3は、6000mの連続加工でも異常なく加工できた。押出ラミネーターへの影響についても、参考例1〜3は加工後に押出機とTダイの分解掃除を余儀なくされたのに対し、実施例1〜3は支障なかった。このことから、本発明の難燃性積層加工布の製造方法によれば、EVAからなる高品位な積層加工布を効率よく連続して製造できることがわかる。
【0045】
また、溶着強度そのものは、実施例2、3及び参考例2、3が最も強く、実用レベルであった。実施例1、参考例1及び比較例1は、難燃性付与剤のブリード現象により高周波ウェルダーでは溶着できなかった。ただし、膜接着強度は高いので、ミシンを用いて縫製すれば実用が可能である。なお、参考例1〜3は、高温で押出ラミネートしているので、膜接着強度は高いが、加工上の問題があった。そして、ヤーンにEVA層を持たない比較例1〜3は保護層と織布の膜接着強度そのものが不十分で、溶着できなかったり、容易に保護層と織布の界面で剥離した。
そして、比較例1〜3の剥離面は、一方の積層加工布の保護層が伸びて破断し、他方の積層加工布の保護層に剥ぎ取られており、織布には保護層の破断片は残らなかった。このことから、織布から保護層を剥がすのに要する力(すなわち、織布と保護層の膜接着強度)は、少なくとも保護層を破断するのに要する力(破断強度)よりも大きくないことが判る。
また、その結果、膜接着強度が溶着強度に寄与しておらず、保護層の破断強度のみが溶着強度に寄与しているので溶着強度が小さい。一方、実施例2及び3の剥離面は、両方の積層加工布の織布に保護層の小さな破断片が多数残ったことから、織布と保護層の膜接着強度が高いので一気に剥離することはなく、剥離が保護膜を部分的に破断しながら進行し、膜接着強度と保護層の破断強度の両方が溶着強度に寄与しているので溶着強度が大きい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、雨などの水分を避けるための消防法で定めるところの防水シート類、テント類、工事用シート、建築資材の被覆用シートやコンクリートの養生シートあるいはフレキシブルコンテナやパレット上の物品を雨や埃から守るボックスカバーなどの難燃性積層加工布に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に用いるヤーンの構造の例を示す断面図である。
【図2】本発明に用いる線基材の一例としての織布の構造の例を示す平面図である。
【図3】本発明に係る積層加工布の構造の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ヤーン(多層延伸テープ)
2 中間層
3 外層
4 織布
5 積層加工布
6 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンからなる難燃性の積層加工布であって、ポリオレフィンからなる中間層の両面にカルボキシル基等の極性基を有する熱可塑性樹脂からなる外層が積層された少なくとも三層構造を有するポリオレフィンの積層体を延伸した多層延伸テープが経糸及び/又は緯糸に用いられた織布の少なくとも一方の面にカルボキシル基等の極性基を有する熱可塑性樹脂に難燃性付与剤を配合した樹脂を押出ラミネートしてなる保護層を形成したことを特徴とする難燃性積層加工布。
【請求項2】
前記難燃性付与剤が非ハロゲン系である請求項1に記載の難燃性積層加工布。
【請求項3】
前記難燃性付与剤がリンおよび窒素を含むものである請求項1または2に記載の難燃性積層加工布。
【請求項4】
前記難燃性付与剤がイントメッセント系である請求項1ないし3のいずれかに記載の難燃性積層加工布。
【請求項5】
前記難燃性付与剤が白色または無色である請求項1ないし4のいずれかに記載の難燃性積層加工布。
【請求項6】
前記多層延伸テープの前記外層の熱可塑性樹脂及び前記難燃性積層加工布の前記保護層の熱可塑性樹脂の双方がエチレン−酢酸ビニル共重合体である請求項1ないし5のいずれかに記載の難燃性積層加工布。
【請求項7】
前記保護層のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の酢酸ビニル基の含有率が5質量%〜25質量%である請求項6に記載の難燃性積層加工布。
【請求項8】
前記多層延伸テープの外層のエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル基の含有率が3質量%〜20質量%である請求項6または7に記載の難燃性積層加工布。
【請求項9】
前記保護層の少なくとも一方がマット状に艶消し加工された請求項1ないし8のいずれかに記載の難燃性積層加工布。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の難燃性積層加工布の製造方法であって、前記繊維基材の少なくとも一方の面にエチレン−酢酸ビニル共重合体をダイ直下における温度を150℃〜250℃として押出ラミネートすることを特徴とする難燃性積層加工布の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−184191(P2009−184191A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25309(P2008−25309)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【Fターム(参考)】