雨傘用脱水装置
【課題】電源不要、小型で設置スペースを取らず、運搬容易な雨傘用脱水装置を提供する。
【解決手段】雨傘Uを先端から挿入可能な開口部15を上部に有する中空縦長のケース10、100と、開口部からケース内に挿入された雨傘の外面に内面で夫々接触するようにケース内に対向配置された少なくとも一対の吸水体201と、各吸水体を互いに圧接させる内方向、且つ上方向に弾性付勢する付勢手段107と、を備え、開口部から各吸水体間に雨傘が挿入されて付勢手段の付勢力に抗して両吸水体の間隔が広がったときに両吸水体を下降させる吸水体下降手段108と、を備えた。
【解決手段】雨傘Uを先端から挿入可能な開口部15を上部に有する中空縦長のケース10、100と、開口部からケース内に挿入された雨傘の外面に内面で夫々接触するようにケース内に対向配置された少なくとも一対の吸水体201と、各吸水体を互いに圧接させる内方向、且つ上方向に弾性付勢する付勢手段107と、を備え、開口部から各吸水体間に雨傘が挿入されて付勢手段の付勢力に抗して両吸水体の間隔が広がったときに両吸水体を下降させる吸水体下降手段108と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短時間で濡れた雨傘の水分を除去する雨傘用脱水装置に関し、特に、電源不要、小型で設置スペースを取らず、運搬容易な雨傘用脱水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雨水が付着した雨傘を公共施設や店舗等の建物に持ち込む際には、建物の出入り口にて雨傘をビニール袋で被覆して水滴が落ちないようにしていた。しかしながら、こうしたビニール袋は再利用されることなく廃棄されてしまい、無駄が多いことから、近年では雨傘に付着した水分を除去する装置が開発され、建物入口等に設置されている。
例えば特許文献1には、雨傘の先端部を下方にした姿勢で水平方向に移動させる傘移動手段と、雨傘の外面に付着した雨水を吸水する吸水体と、吸水体を雨傘の移動方向又はその反対方向に移動させる吸水体移動手段と、傘移動手段又は吸水体移動手段を駆動制御する駆動制御手段と、吸水体に圧接して、吸水体の保持する水分を脱水する脱水ローラと、を備えた傘用脱水装置が記載されている。この発明によれば、雨傘に付着した水分を機械的に除去するので、雨傘を収容するビニール袋が不要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3616001号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の発明においては、雨傘と吸水体を移動させるためにモータと電源が必要である。また、モータと電源を装備するために、装置全体が大型化、重量化するという問題がある。また、水分吸収後の吸水体を脱水するために別途脱水用のローラが必要であることから、部品点数の増大及び装置全体の重量化を招くという問題がある。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、電源不要、小型で設置スペースを取らず、運搬容易な雨傘用脱水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、雨傘を先端から挿入可能な開口部を上部に有する中空縦長のケースと、前記開口部から前記ケース内に挿入された前記雨傘の外面に内面で夫々接触するように前記ケース内に対向配置された少なくとも一対の吸水体と、前記各吸水体を互いに圧接させる内方向、且つ上方向に弾性付勢する付勢手段と、を備え、前記開口部から前記各吸水体間に前記雨傘が挿入されて前記付勢手段の付勢力に抗して前記両吸水体の間隔が広がったときに前記両吸水体を下降させる吸水体下降手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項1の発明では、対向配置された吸水体は、付勢手段により常時互いに圧接されている。吸水体間に上方から雨傘を差し込むと、雨傘の径の分だけ吸水体の間隔が広くなるが、付勢手段の付勢力により吸水体は雨傘に圧接した状態を保持し、傘に付着した雨水を吸水する。吸水体の間隔が広がるとき、吸水体は吸水体下降手段の働きにより下降する。挿入した雨傘を引き抜くと、吸水体には付勢手段の付勢力の他に雨傘の表面と吸水体表面との摩擦力が働き、雨傘への圧接力を高めながら互いに近接する方向且つ上方へ引き上げられる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記雨傘が前記両吸水体間に挿入されていない時に前記各吸水体を圧縮変形させて前記吸水体に吸水された水分を絞り出す脱水手段を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明では、脱水手段により吸水体から水分を絞り出して、雨水の吸水能力を回復させることができる。
請求項3に記載の発明は、前記吸水体を強制的に下降させて前記両吸水体間隔を広げてから前記各吸水体を圧縮変形させることを特徴とする。
請求項3の発明では、吸水体の脱水時に吸水体間隔を広げるので、吸水体の変形に必要なスペースが確保される。
請求項4に記載の発明は、前記脱水手段は、押圧操作するペダルと、該ペダルを押圧した時に作動して前記各吸水体を圧縮変形させる吸水体変形手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項4の発明では、ペダルにより脱水手段を動作させることができる。
【0007】
請求項5に記載の発明は、前記脱水手段によって圧縮変形した前記各吸水体を伸張状態に復帰させる伸張手段を備えたことを特徴とする。
請求項5の発明では、吸水体は伸張手段により変形が解消され、雨水を吸水するに適した形状に回復する。
請求項6に記載の発明は、前記伸張手段の付勢力に抗して前記吸水体を圧縮変形させる力が、前記付勢手段の付勢力に抗して前記吸水体を下降させる力よりも大きく設定されていることを特徴とする。
請求項6の発明では、吸水体の変形に必要なスペースが確保されてから脱水動作が行われる。
【0008】
請求項7に記載の発明は、前記吸水体の上端部又は下端部のうちの一方の端部を固定的に保持する吸水フレームと、該吸水フレームの適所に貫通形成された挿通孔と、を備えた吸水ユニットが、前記ケース内に対向配置されており、前記吸水体下降手段は、前記ケース側面に形成されて前記両吸水ユニットの間隔が広がったときに前記吸水ユニットを下降させる方向へガイドするスリット状の案内孔と、該案内孔と前記挿通孔とを連通させた状態にて双方の孔に挿通される軸部材と、を備えることを特徴とする。
請求項7の発明では、吸水体は吸水フレームに保持されており、これらをユニット化した吸水ユニットが案内孔によってガイドされる。
請求項8に記載の発明は、前記吸水体の上端部又は下端部を前記吸水フレームに対して上下方向に移動自在に構成された非固定端部とし、前記雨傘が前記両吸水体間に挿入されていない時に、前記非固定端部を前記吸水体の他端部に近接させることにより前記吸水体を圧縮変形させて該吸水体に吸水された水分を絞り出す脱水手段を備えたことを特徴とする。
請求項8の発明では、吸水体の非固定端部を固定端部側に移動させて、吸水体の脱水に必要な変形を起こさせる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、動作部分にモータを用いてないため、電源が不要であり、小型で設置スペースを取らず、運搬容易である。また、傘の挿入に応じて吸水体が自動的に移動して雨傘に付着した水分を取っていくので、傘の脱水の際に特別な操作が不要であり、万人が容易に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る雨傘用脱水装置の使用状態を示す斜視図である。
【図2】雨傘用脱水装置の上面図である。
【図3】図2に示した雨傘用脱水装置のA−A断面図である。
【図4】図2に示した雨傘用脱水装置のB−B断面図である。
【図5】吸水ユニットの斜視図であり、(a)は正面側斜視図であり、(b)は裏面側斜視図である。
【図6】吸水フレームの斜視図であり、(a)は正面側斜視図であり、(b)は裏面側斜視図である。
【図7】吸水体を示す図であり、(a)は正面側斜視図であり、(b)は裏面側斜視図であり、(c)は(b)中のC−C断面図である。
【図8】吸水ユニットが装着された内ケースの斜視図である。
【図9】図2に示した雨傘用脱水装置のA−A断面図であり、雨傘が挿入された状態を示す図である。
【図10】図2に示した雨傘用脱水装置のB−B断面図であり、吸水体脱水動作を説明する図である。
【図11】図2に示した雨傘用脱水装置のA−A断面図であり、吸水体脱水動作を説明する図である。
【図12】本発明の第二の実施形態に係る雨傘用脱水装置の使用状態を示す斜視図である。
【図13】吸水ユニットが装着された内ケースの斜視図である。
【図14】図2のA−A断面図に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第一の実施形態〕
以下、本発明の第一の実施形態を図1乃至図4に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の第一の実施形態に係る雨傘用脱水装置の使用状態を示す斜視図である。図2は、雨傘用脱水装置の上面図である。図3は、図2に示した雨傘用脱水装置のA−A断面図である。図4は、図2に示した雨傘用脱水装置のB−B断面図である。
本実施形態に係る雨傘用脱水装置は、対向配置された吸水体を雨傘の外面に圧接させて雨傘に付着した水分を除去する雨傘用脱水装置であり、雨傘を先端側から吸水体間に圧入する脱水時には吸水体の間隔が広がりながら下降する点、及び吸水体を圧縮変形させて吸水体を脱水する点に特徴がある。
【0012】
雨傘用脱水装置1は、雨傘Uを先端から挿入可能な開口部15を上部に有する中空縦長のケース(外ケース10及び内ケース100)と、開口部15からケース内に挿入された雨傘Uの外面に内面で夫々接触するようにケース(内ケース100)内に対向配置された少なくとも一対の吸水体201と、各吸水体201を互いに圧接させる内方向、且つ上方向に弾性付勢する引きバネ107(付勢手段)と、を備え、開口部15から各吸水体201間に雨傘Uが挿入されて引きバネ107の付勢力に抗して両吸水体201の間隔が広がったとき(図9参照)に両吸水体201が下降することを許容する吸水体下降手段108(案内孔109、軸部材111)と、雨傘Uが両吸水体201間に挿入されていない時に各吸水体201を圧縮変形させて(図11参照)吸水体201に吸水された水分を絞り出す脱水手段(ペダル33、脱水用紐213)と、を備えている。
中空四角柱状の外ケース10には内ケース100が収容され、内ケース100には、吸水体201を保持した吸水ユニット200が対向配置されている。
なお、外ケースの形状は、四角柱状である必要はなく、建物入口等の設置箇所の状況に応じた適切な形状を有したものを選定可能である。例えば、三角柱形、円筒形等々を選定可能である。
【0013】
〔外ケース〕
外ケース10は、上部から雨傘Uを受け入れる外ケース本体13と、開口部15と、外ケース本体13上部を開閉自在に閉止する上蓋17と、を備えている。
外ケース本体13は、中空四角柱状であり、上蓋17の開口部15を介して雨水が付着した雨傘Uを挿入することができる。外ケース本体13の外側面適所には、雨傘用脱水装置1を運搬するための運搬用取手19が取り付けられている。
外ケース本体13内部の中空部分下方には、雨傘Uから除去された水分を一時的に貯留する水受21が配置されている(図3、図4)。水受21は、外ケース本体13の下方に配置された引き出し22内に収容されている。引き出し22の外側面のうちの一面には引き出し22を外ケース本体13に対して取り付け、取り外し自在にする水受引出用取手23が取り付けられている。水受21の内底部には、雨傘Uから除去された水分が水受21内部で撥ねて外ケース本体13の内部を汚染しないようにする水はね防止部材25が敷き詰められている。水はね防止部材25は、例えば人工芝や綿状の部材から構成することができる。
水受21直上の外ケース本体13内側面には、雨傘Uから脱水された水分を水受21に案内する水ガイド板27が配置されている。水ガイド板27は板状の部材からなり、外ケース本体13の内側面から水受21の内側中央部に向かって水を案内する傾斜面を有している。水ガイド板27の直上には、内ケース100を係止する係止片29が突設されている。
【0014】
外ケース本体13の最下部の底板31には、押圧操作可能なペダル33が取り付けられている(図1、図2、図4)。ペダル33は外側端縁を底板31に設けたヒンジ部31aによって軸支されることにより上下方向へ回動可能となっている(図4)。ペダル33の内側端縁の両端部からは夫々リンクアーム35が一体的に突設され、各リンクアーム35は外ケース本体13下部に形成された縦長のスリット37から外ケース本体13内部に挿入されている。リンクアーム35は、外ケース本体13内部にて吸水体201に固定された脱水用紐213とリンク片129等を介して接続されており、ペダル33の押圧操作に応じて、脱水用紐213が引き下げられ、吸水体201を脱水するようになっている。なお、脱水用紐213による吸水体201の脱水については後述する。
図2に示すように上蓋17は、外ケース本体13上端縁にヒンジ軸39を介して開閉自在に軸支されている。また、上蓋17及び外ケース本体13の側面適所には、上蓋17を閉止状態に係止する閉止金具41が取り付けられている。
【0015】
〔吸水ユニット〕
内ケース100内に収容される吸水ユニットについて、図5乃至7に基づいて説明する。図5は、吸水ユニットの斜視図であり、(a)は正面側斜視図であり、(b)は裏面側斜視図である。図6は、吸水フレームの斜視図であり、(a)は正面側斜視図であり、(b)は裏面側斜視図である。図7は、吸水体を示す図であり、(a)は正面側斜視図であり、(b)は裏面側斜視図であり、(c)は(b)中のC−C断面図である。
吸水ユニット200は、雨傘Uに付着した水分を吸水する材質から成る吸水体201と、吸水体201を保持するに足る剛性を有した材質から成る吸水フレーム230と、を備える。内ケース100内には一対の吸水ユニット200が、夫々の吸水体201の吸水作用を有する面が向き合うように対向配置される(図3)。以下では、雨傘Uが雨傘用脱水装置1内に挿入されたときに雨傘U側となる面、言い換えれば、各吸水ユニット200の対向面側を表面とし、その反対側の面を裏面として説明する。
【0016】
図6に示すように、吸水フレーム230は、略平行に配置された2本の縦フレーム231と、両縦フレーム231間に渡された複数の横フレーム233と、を備える。各縦フレーム231の対向面の上端部側と下端部側には、挿通孔235が夫々貫通形成されている。各縦フレーム上端部寄りに対向配置された一対の挿通孔235には一本の軸部材111(図3、図8)が挿通される。また、各縦フレーム下端部寄りに対向配置された一対の挿通孔235にも一本の軸部材111が挿通される。後述するように軸部材111は、内ケース101側面に形成された案内孔109とともに、吸水体201を斜め下方向に下降させる吸水体下降手段108として機能する(図8)。
図6に示すように、各縦フレーム間に上下方向に所定の間隔を隔てて配置された3本の横フレーム233(上から233a、233b、233c)は、互いに略平行に架け渡されている。最上位の横フレーム233aには、吸水フレーム230と内ケース100との間に雨傘Uを進入不能にすると共に、雨傘U又は雨傘Uから滴り落ちる水分を吸水体201間に案内する挿入ガイドシート237が取り付けられている。挿入ガイドシート237が、吸水フレーム230と内ケース100との間の隙間を覆うことにより、この隙間への水の浸入を防止している。
最上位の横フレーム233aと、その下方に位置する横フレーム233bの裏面には、吸水体201を着脱自在に固定する面ファスナー239(固定部材)が貼付されている。面ファスナー239が貼付された二本の横フレーム233の直下には、夫々2つの縦フレーム231により夫々両端部を軸支された反転ローラ241が、各横フレーム233に対して略平行に配置されている。図示する吸水フレーム230は、面ファスナー239が貼付された横フレーム233と反転ローラ241とからなる組を2つ有しているので、各吸水フレーム230には夫々上下位置関係で2つの吸水体201を装着することができる。横フレーム233と反転ローラ241の組数を変更することにより、装着可能な吸水体201の数を任意に変更することができる。
【0017】
図7に示すように、吸水体201は、雨傘Uの水分を吸い取るスポンジ203(吸水体本体)と、スポンジ203表面を被覆する通水性を有した保護カバー205と、スポンジ203裏面の上端部及び下端部に夫々固定された上部形状保持板207と下部形状保持板209と、上部形状保持板207の上部から突出形成されて吸水体201を吸水フレーム230に位置決め固定する面ファスナー211(被固定部材)と、スポンジ203を上下方向に伸縮させる脱水用紐213(吸水体変形手段)と、下部形状保持板209によって回転自在に支持されてスポンジ203が伸縮する際に縦フレーム231に沿って上下方向に転動するローラ215と、変形したスポンジ203を伸張状態に復帰させる板バネ217(伸張手段)と、を備えている。
【0018】
スポンジ203は概略矩形状であり、図7(c)に示すように薄板状のスポンジが複数積層されて構成されている。なお、スポンジ203が単数のスポンジから構成されてもよい。スポンジ203表面側の横方向中間部には縦方向に伸びる凹部219が形成され、雨傘Uの外面との接触面積を増大させる。凹部219は、横方向中間部におけるスポンジ厚を横方向両端部におけるスポンジ厚よりも薄くすることにより形成する。例えば、スポンジ積層数を、横方向中間部と両端部とで変化させることにより形成してもよい。また例えば、スポンジ203を単数のスポンジから構成した場合には、スポンジ表面又は裏面を適宜削り取ることにより形成してもよい。
なお、スポンジとしては、図示のように内側面を略フラットな構造とする以外に、雨傘の外面になじみ易い円弧状の内面を有した凹形状としてもよい。吸水体間に雨傘を差し込んだときに雨傘の外面全体が両吸収体の凹状の内面によってカバーされるように接触面積を広くすれば、雨水を吸収、脱水する効率を高めることができる。
【0019】
保護カバー205は、スポンジ203を雨傘U外面との摩擦から保護する。保護カバー205は、例えばメッシュ状、或いは布状等、通水性に優れた素材から形成されており、雨傘Uの外面に付着した水分は、保護カバー205を通過してスポンジ203に吸収される。
上部形状保持板207と下部形状保持板209は、夫々スポンジ203上端部と下端部において、横方向への変形を禁止する部材であり、容易には変形しない硬質の樹脂等から形成されている。
面ファスナー211は、一部(下部)が上部形状保持板207に固定され、他部(上部)が上部形状保持板207から突出している。面ファスナー211は、横フレーム233の裏面に貼付された面ファスナー239と対となる部材であり、吸水体201を吸水フレーム230に着脱自在に固定することができる。つまり、吸水体201が吸水フレーム230に装着されたとき、吸水体201の上部形状保持板207が吸水フレーム230に固定される一方で(固定端部)、下部形状保持板209は吸水フレーム230に対して非固定的に構成される(非固定端部)。下部形状保持板209は吸水フレーム230に対して、少なくとも上下動が可能である。仮にスポンジ203や保護カバー205、或いは吸水体201を構成するその他の部材が劣化した場合には、これらの部材を容易に交換することが可能である。なお、吸水体201を吸水フレーム230に着脱自在に固定することができれば、面ファスナー以外の着脱手段を用いても良い。
【0020】
脱水用紐213の長手方向一端部は下部形状保持板209に固定されている。図5に示すように、吸水フレーム230によって上下位置関係で保持された2つの吸水体201の各下部形状保持板209には夫々一本の脱水用紐213の長手方向両端部が固定されている。即ち、上側の吸水体201から延びる脱水用紐213は吸水体201の裏面に沿って上向きに延び、反転ローラ241に巻掛けられて下方に反転し、脱水用紐213の下方に延びた部位はリンク片129の先端の輪130にて上向きに反転してから下側の反転ローラ241に巻掛けられて下方に反転して下側の吸水体201の下部形状保持板209に他端部を固定される。
輪130を引き下げると、反転ローラ241の裏側に脱水用紐213が引き出される過程で2つの吸水体201の各下部形状保持板209が夫々反転ローラ241に近接し、吸水体201が二つ折り状に変形して圧縮され、脱水することができる(図11)。本実施形態においては、2つの吸水体201が一本の脱水用紐213にて接続されているので、輪130を引き下げることによって2つの吸水体201を一度に脱水することができる。
もちろん、各吸水体201に個別に脱水用紐を備える構成としても良い。例えば、吸水ユニットが3つ以上の吸水体201を備えている場合には、吸水体毎に脱水用紐を設けることにより、各吸水体を夫々圧縮変形させることができる。
【0021】
図7に示したローラ215は、下部形状保持板209の下端部から裏面側に突出形成された部位に回動自在に軸支されている。
板バネ217は概略矩形状であり、スポンジ203裏側の略全面に添設されている。板バネ217は上下方向中央部が前方へ向けて膨出した湾曲形状である。スポンジ203表面を裏側へ押圧して凹状に変形させても、板バネ217の弾性力によりスポンジ203が変形前の形状に復帰する。また、図11のように脱水用紐213を引いて各スポンジ203の下部を上方に変位させることにより2つ折り状に圧縮変形させても、板バネ217の弾性力により、変形前の形状(伸張状態)に復帰させることができる。
【0022】
〔内ケース〕
内ケースについて図8に基づいて説明する。図8は、吸水ユニットが装着された内ケースの斜視図である。内ケース100は、上下方向に貫通した中空四角柱状のフレーム101を備えている。フレーム101内には、2つの吸水ユニット200が対向配置されており、互いに後方へ斜め下に往復移動可能に収容されている。
フレーム101の外側面には、外ケース10の係止片29に上方から当接することにより、外ケース10内における内ケース100の上下方向位置を決定する被係止片102が突出形成されている。
また、フレーム101の外側面には、外ケース10内面との間に所定の隙間を有した状態にて外ケース10内に内ケース100を収容するための位置決め板103が突出形成されている。本実施形態において位置決め板103は、フレーム101の4つの角部から、夫々の角部を構成する2つの外側面に沿った方向に突出する複数の板部材から構成されている。また、位置決め板103は、フレーム101の上下両端部に夫々形成されているが、その数や位置については、任意に決定してよい。
また、フレーム101上端部の外側面には、内ケース100を外ケース10内へ設置する際、取り出す際、又は内ケース100自体の運搬の際に使用する取手105が設けられている。
【0023】
位置決め板103によって外ケース10と内ケース100との間に形成された間隙内には、吸水ユニット200を互いに離間する斜め下方向に往復移動させる各部材が配置される。
内ケース100は、雨傘Uが開口部15から内ケース100内に挿入されたときに、対向配置された吸水体201(吸水フレーム230)の間隔を拡開させながら下降させる吸水体下降手段108を備えている。吸水体下降手段108は、一方の吸水体201を他方の吸水体201から離間させる斜め下方向へガイドするスリット状の案内孔109(案内手段)と、案内孔109と横フレーム233の挿通孔235(図6)を連通させた状態にて双方の孔に挿通される(図3参照)軸部材111と、を備えている。
【0024】
案内孔109は、フレーム101の対向する2つの側面の上端部側及び下端部側に夫々八字状(末広がり状)に貫通形成されている。図3に示したように案内孔109と吸水ユニット200の挿通孔235を連通させた状態にて各孔109、235に軸部材111が挿通されることにより、吸水ユニット200が内ケース100内にて支持されるようになっている。また、案内孔109は、対向配置された2つの吸水ユニット200の間隔が広がったときに、吸水ユニット200が下降するように案内する。なお、吸水ユニット200の間隔を広げつつ下降させることができれば、案内孔109以外の他の手段を用いてもよい。例えば、案内孔109の代わりにレールを用いてもよい。
図8に示すように、軸部材111の両端部のうちフレーム101の外側面から突出した部位には、案内孔109を通過不能な大きさを有するワッシャー113が挿通されている。また、ワッシャー113よりも端部側に開口された軸部材111の穴には、抜け止めピン115が挿通され、ワッシャー113の抜け落ちを防止している。ワッシャー113と抜け止めピン115とにより、軸部材111の案内孔109及び挿通孔235からの脱落を防止している。なお、抜け止めピン115には、抜け止めピンの取り外しを容易にするリング117が取り付けられている。
【0025】
案内孔109が形成されたフレーム101の外側面には、2つの吸水ユニット200を常時上方向に弾性付勢する引きバネ107(付勢手段)が配置されている。引きバネ107の上端部107aは、フレーム101の上端部側に位置する案内孔109の直下に固定された水平部材119に係止されている。また、引きバネ107の下端部107bは、フレーム101の下端部側に位置する案内孔109から端部を突出させる軸部材111に対して、逆Y字状のリンク機構121を介して接続されている。つまり、吸水フレーム230の下端部が、リンク機構121を介して引きバネ107によって常時上方に弾性付勢される構成である。さらに、引きバネ107によって弾性付勢された2つの吸水ユニット200は、上端部へ向かうほど間隔が狭くなる各案内孔109により互いに圧接する内方向に案内され、吸水体201は常時において密着している。
なお、引きバネ107の代わりに、対向する2つの吸水ユニット200夫々に挿通された両軸部材111間に引きバネを配置し、両吸水ユニット200を互いに圧接する内方向に直接弾性付勢するようにしてもよい。この場合であっても、吸水ユニット200は案内孔109の働きにより常時上方に弾性付勢されることとなる。
【0026】
引きバネ107の上端部107aには、上端部107aの上下方向位置を変更することにより、引きバネ107による付勢力を調整する付勢力調整ネジ123が配置されている。
ここで、案内孔109が形成された内ケース100のうちの一側面について考える。雨傘用脱水装置1においては、リンク機構121を介在させることにより1つの引きバネ107にて2つの対向する吸水ユニット200を上方向に弾性付勢することができる。従って、吸水体201間に雨傘Uを挿入したときに、2つの吸水ユニット200を同一の量だけ下降させることができる。もちろん、リンク機構121を備えずに、吸水ユニット200ごとに引きバネ107を配置した構成としても構わない。この場合、複数の引きバネが必要となることから、2つの吸水ユニット200を同一の量だけ下降させるためには各引きバネの付勢力の調整が必要となる。
なお、2つの吸水ユニットのうち、一方が可動し、他方が内ケース100に固定された構成としてもよい。つまり、少なくとも一方の吸水ユニットが他方の吸水ユニットに対して吸水体を圧接させる内方向、且つ上方向に弾性付勢され、さらに一方の吸水ユニットを他方の吸水ユニットから離間させる斜め下方向に案内移動するように構成されていてもよい。
【0027】
或いは、吸水ユニットを一つだけ用いた構成としてもよい。即ち、この場合、内ケースに一つの吸水ユニットと、この吸水ユニットと対向配置された押圧部材と、を収容し、吸水ユニットの吸水体と押圧部材との間で濡れた雨傘を圧接して雨水を吸水体に吸水させることができる。
さらに、吸水ユニット200を斜めに傾斜させた状態にて内ケース100に収容してもよい。つまり、対向配置される2つの吸水ユニット200の間隔が、下部から上部に向かって次第に広がる逆八の字形状に配置してもよい。この場合、先すぼみとなる雨傘Uの外面に吸水体201を密着させることができ、雨水を吸収、脱水する効率を高めることができる。
また、平面形状が長方形の大型の外ケース内に複数の吸水ユニットを一列、或いは複数列に配置することによって、複数人が同時に利用できるようにしてもよい。
【0028】
フレーム101の側面のうち、案内孔109が形成されていない2つの側面には、吸水体201の脱水用紐213を内ケース100内部から外部(内ケース100と外ケース10との間)へ引き出す紐引出穴125が形成されている。
紐引出穴125直下の内ケース100外側面には、ローラ127が上下方向に回転自在に軸支されている。ローラ127は、紐引出穴125から引き出された脱水用紐213と接触して、脱水用紐213を内ケース100側面から浮かせ、脱水用紐213を内ケース100側面や紐引出穴125の端縁と接触させないようにする。また、脱水用紐213の長手方向における進退移動に応じて回転して、摺動による脱水用紐213の損傷を防止する。
紐引出穴125から引き出された脱水用紐213は、リンク片129を介してペダル33と接続される(図3、図4)。なお、ペダル33は常時底板31から浮き上がった状態にある。図10及び図11に示すようにペダル33が踏み込まれると、引きバネ107の付勢力に抗して2つの吸水ユニット200が下降し、さらにペダル33が踏み込まれるとスポンジ203が圧縮変形する。
リンク片129には、脱水用紐213を伝わって下降してきた水分が水受21内に滴下されるように案内するガイドシート131が挿通されている(図8、図3)。
【0029】
〔使用方法〕
雨傘用脱水装置1の使用法について説明する。
まず、雨傘の脱水方法について図3及び図9に基づいて説明する。図9は、図2に示した雨傘用脱水装置のA−A断面図であり、雨傘が挿入された状態を示す図である。
図3に示すように、雨傘Uの挿入前において、対向する吸水体201は、引きバネ107により上方向に位置するように付勢されると同時に、互いに内方向に付勢されて圧接している。なお、2つの吸水体201は、共に上部側が縦フレーム231に密着するように取り付けられ、裏面側に突出するローラ215によって下部側が縦フレーム231から離間した状態に取り付けられているので、吸水体201の下部が互いに圧接し、上部が離間した状態となっており、雨傘Uを上方から導き入れやすくなっている。
図9に示すように、雨傘Uを先端(石突)から開口部15に挿入すると(矢印D1方向)、雨傘Uの厚みにより引きバネ107の付勢力に抗して、対向する吸水体201の間隔が広がる。両吸水体201の間隔が広がるとき、吸水体下降手段108の働きにより、吸水体201を含む吸水ユニット200が下降する。なお、吸水体201は、引きバネ107の付勢力により、雨傘Uの外面に圧接した状態にて下降する。利用者が雨傘Uを矢印E方向に回転させると、雨傘U外面に付着した水分が吸水体201によって拭き取られる。
【0030】
また、雨傘Uを雨傘用脱水装置1から引き抜こうとすると(矢印D2方向)、雨傘Uの傘地との摩擦力により吸水体201が上方に引き上げられる。このとき、吸水体201は案内孔109によって案内され、互いに近接する方向に移動しながら上昇する。その結果、吸水体201は雨傘Uの傘地との圧接力を高めながら効率よく雨傘U外面の水分を拭き取っていく。
つまり、雨傘Uの挿入時には、対向する吸水体201が互いの間隔を広げながら下降するので、雨傘U外面との圧接力(摩擦抵抗)を弱めながら雨傘Uを受け入れることとなり、雨傘Uを挿入しやすくなる。また、雨傘Uの引き抜き時には、対向する吸水体201が互いの間隔を狭めながら上昇するので、雨傘U外面との圧接力(摩擦抵抗)が高まり、雨傘U外面の水分を効率よく吸収する。このように、雨傘用脱水装置1においては、挿入時と引き抜き時とで、吸水体201と雨傘U外面との圧接力が変化するので、雨傘Uの外面から効率よく水分を除去することができる。
【0031】
次に、水分を吸水したスポンジ203の脱水方法について図4、図10及び図11に基づいて説明する。図10は、図2に示した雨傘用脱水装置のB−B断面図である。図11は、図2に示した雨傘用脱水装置のA−A断面図である。スポンジ203が十分に水分を吸水した場合には、吸水体201間に雨傘Uが挿入されていない状態でペダル33を押圧操作することにより、吸水体を変形させるための各部材が作動してスポンジ203に吸収された水分を絞り出すことができる。
図示するように、ペダル33はリンク片129を介して脱水用紐213と接続されており、ペダル33を矢印F方向に踏み込むことによって、脱水用紐213が下方に引っ張られる構造である。吸水体201の上部は横フレーム233に固定され、脱水用紐213と直接的に接続された吸水体201の下部は、縦フレーム231に沿って上下動可能である。脱水用紐213を下方向に引くと、反転ローラ241に巻き掛けられた脱水用紐213が吸水体201下部を引き上げるので、吸水体201下部が縦フレーム231に沿って上方に移動する。従って、図11に示すように、吸水体201が2つ折り様に圧縮変形して、脱水される。
【0032】
また、吸水体201を圧縮変形させるときに必要な力は、引きバネ107の付勢力に抗して吸水ユニット200を下降させるときに必要な力よりも大きく設定されている。したがって、脱水用紐213を下方向に引くと、吸水体201が圧縮変形する前に、吸水ユニット200が強制的に下降して、吸水体201の間隔が広がるようになっている。つまり、吸水体201が圧縮変形する時には、吸水体201が変形するための空間が確保されているので、吸水体201を確実に圧縮変形させることができ、吸水体201の脱水効率を高めることができる。
また、吸水体201には、板バネ217が添設されているので、圧縮変形後に伸張して、雨傘U外面に付着した水分を吸収可能な形状に戻ることができる。
なお、上記実施形態と異なり、吸水フレーム230に対して吸水体201の下端部を固定し(固定端部)、吸水体201の上端部を吸水フレーム230に対して少なくとも上下動可能に構成し(非固定端部)、吸水体201の上端部を下端部に向かって移動させることにより、吸水体201を圧縮変形させて脱水を行う構成としてもよい。
【0033】
以上のように本実施形態によれば、動作部分にモータを用いていないため、電源が不要であり、小型、軽量、設置スペースを取らず、且つ運搬容易な雨傘用脱水装置を提供することができる。また、傘の挿入に応じて吸水体が自動的に移動して雨傘に付着した水分を取っていくので、傘の脱水の際に特別な操作が不要であり、万人が容易に使用できる。また、水分吸水後の吸水体本体(スポンジ)を変形させて吸水体の脱水を行うので、吸水体の脱水性能を回復可能である。また、吸水体を脱水するための脱水ローラ等の部品が不要となり、部品点数を減らし、軽量化することができる。
【0034】
〔第二の実施形態〕
本発明の第二の実施形態について図12乃至図14に基づいて説明する。図12は、本発明の第二の実施形態に係る雨傘用脱水装置の使用状態を示す斜視図である。図13は、吸水ユニットが装着された内ケースの斜視図である。図14は、図2のA−A断面図に対応する断面図である。本実施形態においては、第一の実施形態に記載された部品の一部を省略、又は一体化することにより、部品点数を減少させた点に特徴がある。以下、第一の実施形態と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
図12に示すように雨傘用脱水装置2は、内ケース300上端部に位置する掛止片301を外ケース本体13の上端縁に掛止することにより、内ケース300を外ケース10に対して位置決め固定している。第一の実施形態における上蓋17(図1参照)と内ケース100(図8参照)とを一体化した構成である。
【0035】
また、図13に示すように、掛止片301は、内ケース300のフレーム101の上端縁から周方向に突出形成された環状のつば形部材であり、下方に向けて折り返された折り返し部303を有している。図14に示すように、掛止片301は、外ケース本体13の上端部に嵌合するように構成されている。従って、掛止片301が外ケース本体13の上端縁に掛止されて、外ケース本体13に対する内ケース300の上下方向位置を決定する。また、折り返し部303が外ケース本体13の上端部外側面と接触して、外ケース本体13に対する内ケース300の横方向位置を決定する。
また、フレーム101の側面の紐引き出し穴125から引き出された脱水用紐213には、ガイドシート131が挿通されており、第一の実施形態のリンク片129(図3、図8参照)が省略されている。脱水用紐213は、複数のリング305を介してペダル33のリンクアーム35と接続されている。第一の実施形態と同様に、ペダル33の押圧操作に応じて脱水用紐213が引き下げられ、吸水体201を脱水することができる(図10、図11参照)。
また、外ケース本体13内部の中空部分下方には、引き出し兼用の水受307が配置されている。このように、水受と引き出しとを兼用することで、外ケース10の内底面に対して水受の底面積を増大させることができ、雨傘Uから除去された水分を確実に受け止めることができる。従って、本実施形態においては、雨傘Uから脱水された水分を水受に案内する水ガイド板27(図3参照)を省略している。
【0036】
以上のように、本実施形態においても、第一の実施形態と同様、容易に傘を脱水することができる傘用脱水装置を提供することができる。また、一部の部品を省略又は一体化することで、さらに雨傘用脱水装置の軽量化を図ることができる。
【符号の説明】
【0037】
1…雨傘用脱水装置、10…外ケース、13…外ケース本体、15…開口部、17…上蓋、19…運搬用取手、21…水受、22…引き出し、23…水受引出用取手、25…水はね防止部材、27…水ガイド板、29…係止片、31…底板、31a…ヒンジ部、33…ペダル、35…リンクアーム、37…スリット、39…ヒンジ軸、41…閉止金具、100…内ケース、101…フレーム、102…被係止片、103…位置決め板、105…取手、107…引きバネ、108…吸水体下降手段、109…案内孔、111…軸部材、113…ワッシャー、115…抜け止めピン、117…リング、119…水平部材、121…リンク機構、123…付勢力調整ネジ、125…紐引出穴、127…ローラ、129…リンク片、130…輪、131…ガイドシート、200…吸水ユニット、201…吸水体、203…スポンジ、205…保護カバー、207…上部形状保持板、209…下部形状保持板、211…面ファスナー、213…脱水用紐、215…ローラ、217…板バネ、219…凹部、230…吸水フレーム、231…縦フレーム、233…横フレーム、235…挿通孔、237…挿入ガイドシート、239…面ファスナー、241…反転ローラ、300…内ケース、301…掛止片、303…折り返し部、305…リング、307…水受
【技術分野】
【0001】
本発明は、短時間で濡れた雨傘の水分を除去する雨傘用脱水装置に関し、特に、電源不要、小型で設置スペースを取らず、運搬容易な雨傘用脱水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雨水が付着した雨傘を公共施設や店舗等の建物に持ち込む際には、建物の出入り口にて雨傘をビニール袋で被覆して水滴が落ちないようにしていた。しかしながら、こうしたビニール袋は再利用されることなく廃棄されてしまい、無駄が多いことから、近年では雨傘に付着した水分を除去する装置が開発され、建物入口等に設置されている。
例えば特許文献1には、雨傘の先端部を下方にした姿勢で水平方向に移動させる傘移動手段と、雨傘の外面に付着した雨水を吸水する吸水体と、吸水体を雨傘の移動方向又はその反対方向に移動させる吸水体移動手段と、傘移動手段又は吸水体移動手段を駆動制御する駆動制御手段と、吸水体に圧接して、吸水体の保持する水分を脱水する脱水ローラと、を備えた傘用脱水装置が記載されている。この発明によれば、雨傘に付着した水分を機械的に除去するので、雨傘を収容するビニール袋が不要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3616001号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の発明においては、雨傘と吸水体を移動させるためにモータと電源が必要である。また、モータと電源を装備するために、装置全体が大型化、重量化するという問題がある。また、水分吸収後の吸水体を脱水するために別途脱水用のローラが必要であることから、部品点数の増大及び装置全体の重量化を招くという問題がある。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、電源不要、小型で設置スペースを取らず、運搬容易な雨傘用脱水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、雨傘を先端から挿入可能な開口部を上部に有する中空縦長のケースと、前記開口部から前記ケース内に挿入された前記雨傘の外面に内面で夫々接触するように前記ケース内に対向配置された少なくとも一対の吸水体と、前記各吸水体を互いに圧接させる内方向、且つ上方向に弾性付勢する付勢手段と、を備え、前記開口部から前記各吸水体間に前記雨傘が挿入されて前記付勢手段の付勢力に抗して前記両吸水体の間隔が広がったときに前記両吸水体を下降させる吸水体下降手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項1の発明では、対向配置された吸水体は、付勢手段により常時互いに圧接されている。吸水体間に上方から雨傘を差し込むと、雨傘の径の分だけ吸水体の間隔が広くなるが、付勢手段の付勢力により吸水体は雨傘に圧接した状態を保持し、傘に付着した雨水を吸水する。吸水体の間隔が広がるとき、吸水体は吸水体下降手段の働きにより下降する。挿入した雨傘を引き抜くと、吸水体には付勢手段の付勢力の他に雨傘の表面と吸水体表面との摩擦力が働き、雨傘への圧接力を高めながら互いに近接する方向且つ上方へ引き上げられる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記雨傘が前記両吸水体間に挿入されていない時に前記各吸水体を圧縮変形させて前記吸水体に吸水された水分を絞り出す脱水手段を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明では、脱水手段により吸水体から水分を絞り出して、雨水の吸水能力を回復させることができる。
請求項3に記載の発明は、前記吸水体を強制的に下降させて前記両吸水体間隔を広げてから前記各吸水体を圧縮変形させることを特徴とする。
請求項3の発明では、吸水体の脱水時に吸水体間隔を広げるので、吸水体の変形に必要なスペースが確保される。
請求項4に記載の発明は、前記脱水手段は、押圧操作するペダルと、該ペダルを押圧した時に作動して前記各吸水体を圧縮変形させる吸水体変形手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項4の発明では、ペダルにより脱水手段を動作させることができる。
【0007】
請求項5に記載の発明は、前記脱水手段によって圧縮変形した前記各吸水体を伸張状態に復帰させる伸張手段を備えたことを特徴とする。
請求項5の発明では、吸水体は伸張手段により変形が解消され、雨水を吸水するに適した形状に回復する。
請求項6に記載の発明は、前記伸張手段の付勢力に抗して前記吸水体を圧縮変形させる力が、前記付勢手段の付勢力に抗して前記吸水体を下降させる力よりも大きく設定されていることを特徴とする。
請求項6の発明では、吸水体の変形に必要なスペースが確保されてから脱水動作が行われる。
【0008】
請求項7に記載の発明は、前記吸水体の上端部又は下端部のうちの一方の端部を固定的に保持する吸水フレームと、該吸水フレームの適所に貫通形成された挿通孔と、を備えた吸水ユニットが、前記ケース内に対向配置されており、前記吸水体下降手段は、前記ケース側面に形成されて前記両吸水ユニットの間隔が広がったときに前記吸水ユニットを下降させる方向へガイドするスリット状の案内孔と、該案内孔と前記挿通孔とを連通させた状態にて双方の孔に挿通される軸部材と、を備えることを特徴とする。
請求項7の発明では、吸水体は吸水フレームに保持されており、これらをユニット化した吸水ユニットが案内孔によってガイドされる。
請求項8に記載の発明は、前記吸水体の上端部又は下端部を前記吸水フレームに対して上下方向に移動自在に構成された非固定端部とし、前記雨傘が前記両吸水体間に挿入されていない時に、前記非固定端部を前記吸水体の他端部に近接させることにより前記吸水体を圧縮変形させて該吸水体に吸水された水分を絞り出す脱水手段を備えたことを特徴とする。
請求項8の発明では、吸水体の非固定端部を固定端部側に移動させて、吸水体の脱水に必要な変形を起こさせる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、動作部分にモータを用いてないため、電源が不要であり、小型で設置スペースを取らず、運搬容易である。また、傘の挿入に応じて吸水体が自動的に移動して雨傘に付着した水分を取っていくので、傘の脱水の際に特別な操作が不要であり、万人が容易に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る雨傘用脱水装置の使用状態を示す斜視図である。
【図2】雨傘用脱水装置の上面図である。
【図3】図2に示した雨傘用脱水装置のA−A断面図である。
【図4】図2に示した雨傘用脱水装置のB−B断面図である。
【図5】吸水ユニットの斜視図であり、(a)は正面側斜視図であり、(b)は裏面側斜視図である。
【図6】吸水フレームの斜視図であり、(a)は正面側斜視図であり、(b)は裏面側斜視図である。
【図7】吸水体を示す図であり、(a)は正面側斜視図であり、(b)は裏面側斜視図であり、(c)は(b)中のC−C断面図である。
【図8】吸水ユニットが装着された内ケースの斜視図である。
【図9】図2に示した雨傘用脱水装置のA−A断面図であり、雨傘が挿入された状態を示す図である。
【図10】図2に示した雨傘用脱水装置のB−B断面図であり、吸水体脱水動作を説明する図である。
【図11】図2に示した雨傘用脱水装置のA−A断面図であり、吸水体脱水動作を説明する図である。
【図12】本発明の第二の実施形態に係る雨傘用脱水装置の使用状態を示す斜視図である。
【図13】吸水ユニットが装着された内ケースの斜視図である。
【図14】図2のA−A断面図に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第一の実施形態〕
以下、本発明の第一の実施形態を図1乃至図4に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の第一の実施形態に係る雨傘用脱水装置の使用状態を示す斜視図である。図2は、雨傘用脱水装置の上面図である。図3は、図2に示した雨傘用脱水装置のA−A断面図である。図4は、図2に示した雨傘用脱水装置のB−B断面図である。
本実施形態に係る雨傘用脱水装置は、対向配置された吸水体を雨傘の外面に圧接させて雨傘に付着した水分を除去する雨傘用脱水装置であり、雨傘を先端側から吸水体間に圧入する脱水時には吸水体の間隔が広がりながら下降する点、及び吸水体を圧縮変形させて吸水体を脱水する点に特徴がある。
【0012】
雨傘用脱水装置1は、雨傘Uを先端から挿入可能な開口部15を上部に有する中空縦長のケース(外ケース10及び内ケース100)と、開口部15からケース内に挿入された雨傘Uの外面に内面で夫々接触するようにケース(内ケース100)内に対向配置された少なくとも一対の吸水体201と、各吸水体201を互いに圧接させる内方向、且つ上方向に弾性付勢する引きバネ107(付勢手段)と、を備え、開口部15から各吸水体201間に雨傘Uが挿入されて引きバネ107の付勢力に抗して両吸水体201の間隔が広がったとき(図9参照)に両吸水体201が下降することを許容する吸水体下降手段108(案内孔109、軸部材111)と、雨傘Uが両吸水体201間に挿入されていない時に各吸水体201を圧縮変形させて(図11参照)吸水体201に吸水された水分を絞り出す脱水手段(ペダル33、脱水用紐213)と、を備えている。
中空四角柱状の外ケース10には内ケース100が収容され、内ケース100には、吸水体201を保持した吸水ユニット200が対向配置されている。
なお、外ケースの形状は、四角柱状である必要はなく、建物入口等の設置箇所の状況に応じた適切な形状を有したものを選定可能である。例えば、三角柱形、円筒形等々を選定可能である。
【0013】
〔外ケース〕
外ケース10は、上部から雨傘Uを受け入れる外ケース本体13と、開口部15と、外ケース本体13上部を開閉自在に閉止する上蓋17と、を備えている。
外ケース本体13は、中空四角柱状であり、上蓋17の開口部15を介して雨水が付着した雨傘Uを挿入することができる。外ケース本体13の外側面適所には、雨傘用脱水装置1を運搬するための運搬用取手19が取り付けられている。
外ケース本体13内部の中空部分下方には、雨傘Uから除去された水分を一時的に貯留する水受21が配置されている(図3、図4)。水受21は、外ケース本体13の下方に配置された引き出し22内に収容されている。引き出し22の外側面のうちの一面には引き出し22を外ケース本体13に対して取り付け、取り外し自在にする水受引出用取手23が取り付けられている。水受21の内底部には、雨傘Uから除去された水分が水受21内部で撥ねて外ケース本体13の内部を汚染しないようにする水はね防止部材25が敷き詰められている。水はね防止部材25は、例えば人工芝や綿状の部材から構成することができる。
水受21直上の外ケース本体13内側面には、雨傘Uから脱水された水分を水受21に案内する水ガイド板27が配置されている。水ガイド板27は板状の部材からなり、外ケース本体13の内側面から水受21の内側中央部に向かって水を案内する傾斜面を有している。水ガイド板27の直上には、内ケース100を係止する係止片29が突設されている。
【0014】
外ケース本体13の最下部の底板31には、押圧操作可能なペダル33が取り付けられている(図1、図2、図4)。ペダル33は外側端縁を底板31に設けたヒンジ部31aによって軸支されることにより上下方向へ回動可能となっている(図4)。ペダル33の内側端縁の両端部からは夫々リンクアーム35が一体的に突設され、各リンクアーム35は外ケース本体13下部に形成された縦長のスリット37から外ケース本体13内部に挿入されている。リンクアーム35は、外ケース本体13内部にて吸水体201に固定された脱水用紐213とリンク片129等を介して接続されており、ペダル33の押圧操作に応じて、脱水用紐213が引き下げられ、吸水体201を脱水するようになっている。なお、脱水用紐213による吸水体201の脱水については後述する。
図2に示すように上蓋17は、外ケース本体13上端縁にヒンジ軸39を介して開閉自在に軸支されている。また、上蓋17及び外ケース本体13の側面適所には、上蓋17を閉止状態に係止する閉止金具41が取り付けられている。
【0015】
〔吸水ユニット〕
内ケース100内に収容される吸水ユニットについて、図5乃至7に基づいて説明する。図5は、吸水ユニットの斜視図であり、(a)は正面側斜視図であり、(b)は裏面側斜視図である。図6は、吸水フレームの斜視図であり、(a)は正面側斜視図であり、(b)は裏面側斜視図である。図7は、吸水体を示す図であり、(a)は正面側斜視図であり、(b)は裏面側斜視図であり、(c)は(b)中のC−C断面図である。
吸水ユニット200は、雨傘Uに付着した水分を吸水する材質から成る吸水体201と、吸水体201を保持するに足る剛性を有した材質から成る吸水フレーム230と、を備える。内ケース100内には一対の吸水ユニット200が、夫々の吸水体201の吸水作用を有する面が向き合うように対向配置される(図3)。以下では、雨傘Uが雨傘用脱水装置1内に挿入されたときに雨傘U側となる面、言い換えれば、各吸水ユニット200の対向面側を表面とし、その反対側の面を裏面として説明する。
【0016】
図6に示すように、吸水フレーム230は、略平行に配置された2本の縦フレーム231と、両縦フレーム231間に渡された複数の横フレーム233と、を備える。各縦フレーム231の対向面の上端部側と下端部側には、挿通孔235が夫々貫通形成されている。各縦フレーム上端部寄りに対向配置された一対の挿通孔235には一本の軸部材111(図3、図8)が挿通される。また、各縦フレーム下端部寄りに対向配置された一対の挿通孔235にも一本の軸部材111が挿通される。後述するように軸部材111は、内ケース101側面に形成された案内孔109とともに、吸水体201を斜め下方向に下降させる吸水体下降手段108として機能する(図8)。
図6に示すように、各縦フレーム間に上下方向に所定の間隔を隔てて配置された3本の横フレーム233(上から233a、233b、233c)は、互いに略平行に架け渡されている。最上位の横フレーム233aには、吸水フレーム230と内ケース100との間に雨傘Uを進入不能にすると共に、雨傘U又は雨傘Uから滴り落ちる水分を吸水体201間に案内する挿入ガイドシート237が取り付けられている。挿入ガイドシート237が、吸水フレーム230と内ケース100との間の隙間を覆うことにより、この隙間への水の浸入を防止している。
最上位の横フレーム233aと、その下方に位置する横フレーム233bの裏面には、吸水体201を着脱自在に固定する面ファスナー239(固定部材)が貼付されている。面ファスナー239が貼付された二本の横フレーム233の直下には、夫々2つの縦フレーム231により夫々両端部を軸支された反転ローラ241が、各横フレーム233に対して略平行に配置されている。図示する吸水フレーム230は、面ファスナー239が貼付された横フレーム233と反転ローラ241とからなる組を2つ有しているので、各吸水フレーム230には夫々上下位置関係で2つの吸水体201を装着することができる。横フレーム233と反転ローラ241の組数を変更することにより、装着可能な吸水体201の数を任意に変更することができる。
【0017】
図7に示すように、吸水体201は、雨傘Uの水分を吸い取るスポンジ203(吸水体本体)と、スポンジ203表面を被覆する通水性を有した保護カバー205と、スポンジ203裏面の上端部及び下端部に夫々固定された上部形状保持板207と下部形状保持板209と、上部形状保持板207の上部から突出形成されて吸水体201を吸水フレーム230に位置決め固定する面ファスナー211(被固定部材)と、スポンジ203を上下方向に伸縮させる脱水用紐213(吸水体変形手段)と、下部形状保持板209によって回転自在に支持されてスポンジ203が伸縮する際に縦フレーム231に沿って上下方向に転動するローラ215と、変形したスポンジ203を伸張状態に復帰させる板バネ217(伸張手段)と、を備えている。
【0018】
スポンジ203は概略矩形状であり、図7(c)に示すように薄板状のスポンジが複数積層されて構成されている。なお、スポンジ203が単数のスポンジから構成されてもよい。スポンジ203表面側の横方向中間部には縦方向に伸びる凹部219が形成され、雨傘Uの外面との接触面積を増大させる。凹部219は、横方向中間部におけるスポンジ厚を横方向両端部におけるスポンジ厚よりも薄くすることにより形成する。例えば、スポンジ積層数を、横方向中間部と両端部とで変化させることにより形成してもよい。また例えば、スポンジ203を単数のスポンジから構成した場合には、スポンジ表面又は裏面を適宜削り取ることにより形成してもよい。
なお、スポンジとしては、図示のように内側面を略フラットな構造とする以外に、雨傘の外面になじみ易い円弧状の内面を有した凹形状としてもよい。吸水体間に雨傘を差し込んだときに雨傘の外面全体が両吸収体の凹状の内面によってカバーされるように接触面積を広くすれば、雨水を吸収、脱水する効率を高めることができる。
【0019】
保護カバー205は、スポンジ203を雨傘U外面との摩擦から保護する。保護カバー205は、例えばメッシュ状、或いは布状等、通水性に優れた素材から形成されており、雨傘Uの外面に付着した水分は、保護カバー205を通過してスポンジ203に吸収される。
上部形状保持板207と下部形状保持板209は、夫々スポンジ203上端部と下端部において、横方向への変形を禁止する部材であり、容易には変形しない硬質の樹脂等から形成されている。
面ファスナー211は、一部(下部)が上部形状保持板207に固定され、他部(上部)が上部形状保持板207から突出している。面ファスナー211は、横フレーム233の裏面に貼付された面ファスナー239と対となる部材であり、吸水体201を吸水フレーム230に着脱自在に固定することができる。つまり、吸水体201が吸水フレーム230に装着されたとき、吸水体201の上部形状保持板207が吸水フレーム230に固定される一方で(固定端部)、下部形状保持板209は吸水フレーム230に対して非固定的に構成される(非固定端部)。下部形状保持板209は吸水フレーム230に対して、少なくとも上下動が可能である。仮にスポンジ203や保護カバー205、或いは吸水体201を構成するその他の部材が劣化した場合には、これらの部材を容易に交換することが可能である。なお、吸水体201を吸水フレーム230に着脱自在に固定することができれば、面ファスナー以外の着脱手段を用いても良い。
【0020】
脱水用紐213の長手方向一端部は下部形状保持板209に固定されている。図5に示すように、吸水フレーム230によって上下位置関係で保持された2つの吸水体201の各下部形状保持板209には夫々一本の脱水用紐213の長手方向両端部が固定されている。即ち、上側の吸水体201から延びる脱水用紐213は吸水体201の裏面に沿って上向きに延び、反転ローラ241に巻掛けられて下方に反転し、脱水用紐213の下方に延びた部位はリンク片129の先端の輪130にて上向きに反転してから下側の反転ローラ241に巻掛けられて下方に反転して下側の吸水体201の下部形状保持板209に他端部を固定される。
輪130を引き下げると、反転ローラ241の裏側に脱水用紐213が引き出される過程で2つの吸水体201の各下部形状保持板209が夫々反転ローラ241に近接し、吸水体201が二つ折り状に変形して圧縮され、脱水することができる(図11)。本実施形態においては、2つの吸水体201が一本の脱水用紐213にて接続されているので、輪130を引き下げることによって2つの吸水体201を一度に脱水することができる。
もちろん、各吸水体201に個別に脱水用紐を備える構成としても良い。例えば、吸水ユニットが3つ以上の吸水体201を備えている場合には、吸水体毎に脱水用紐を設けることにより、各吸水体を夫々圧縮変形させることができる。
【0021】
図7に示したローラ215は、下部形状保持板209の下端部から裏面側に突出形成された部位に回動自在に軸支されている。
板バネ217は概略矩形状であり、スポンジ203裏側の略全面に添設されている。板バネ217は上下方向中央部が前方へ向けて膨出した湾曲形状である。スポンジ203表面を裏側へ押圧して凹状に変形させても、板バネ217の弾性力によりスポンジ203が変形前の形状に復帰する。また、図11のように脱水用紐213を引いて各スポンジ203の下部を上方に変位させることにより2つ折り状に圧縮変形させても、板バネ217の弾性力により、変形前の形状(伸張状態)に復帰させることができる。
【0022】
〔内ケース〕
内ケースについて図8に基づいて説明する。図8は、吸水ユニットが装着された内ケースの斜視図である。内ケース100は、上下方向に貫通した中空四角柱状のフレーム101を備えている。フレーム101内には、2つの吸水ユニット200が対向配置されており、互いに後方へ斜め下に往復移動可能に収容されている。
フレーム101の外側面には、外ケース10の係止片29に上方から当接することにより、外ケース10内における内ケース100の上下方向位置を決定する被係止片102が突出形成されている。
また、フレーム101の外側面には、外ケース10内面との間に所定の隙間を有した状態にて外ケース10内に内ケース100を収容するための位置決め板103が突出形成されている。本実施形態において位置決め板103は、フレーム101の4つの角部から、夫々の角部を構成する2つの外側面に沿った方向に突出する複数の板部材から構成されている。また、位置決め板103は、フレーム101の上下両端部に夫々形成されているが、その数や位置については、任意に決定してよい。
また、フレーム101上端部の外側面には、内ケース100を外ケース10内へ設置する際、取り出す際、又は内ケース100自体の運搬の際に使用する取手105が設けられている。
【0023】
位置決め板103によって外ケース10と内ケース100との間に形成された間隙内には、吸水ユニット200を互いに離間する斜め下方向に往復移動させる各部材が配置される。
内ケース100は、雨傘Uが開口部15から内ケース100内に挿入されたときに、対向配置された吸水体201(吸水フレーム230)の間隔を拡開させながら下降させる吸水体下降手段108を備えている。吸水体下降手段108は、一方の吸水体201を他方の吸水体201から離間させる斜め下方向へガイドするスリット状の案内孔109(案内手段)と、案内孔109と横フレーム233の挿通孔235(図6)を連通させた状態にて双方の孔に挿通される(図3参照)軸部材111と、を備えている。
【0024】
案内孔109は、フレーム101の対向する2つの側面の上端部側及び下端部側に夫々八字状(末広がり状)に貫通形成されている。図3に示したように案内孔109と吸水ユニット200の挿通孔235を連通させた状態にて各孔109、235に軸部材111が挿通されることにより、吸水ユニット200が内ケース100内にて支持されるようになっている。また、案内孔109は、対向配置された2つの吸水ユニット200の間隔が広がったときに、吸水ユニット200が下降するように案内する。なお、吸水ユニット200の間隔を広げつつ下降させることができれば、案内孔109以外の他の手段を用いてもよい。例えば、案内孔109の代わりにレールを用いてもよい。
図8に示すように、軸部材111の両端部のうちフレーム101の外側面から突出した部位には、案内孔109を通過不能な大きさを有するワッシャー113が挿通されている。また、ワッシャー113よりも端部側に開口された軸部材111の穴には、抜け止めピン115が挿通され、ワッシャー113の抜け落ちを防止している。ワッシャー113と抜け止めピン115とにより、軸部材111の案内孔109及び挿通孔235からの脱落を防止している。なお、抜け止めピン115には、抜け止めピンの取り外しを容易にするリング117が取り付けられている。
【0025】
案内孔109が形成されたフレーム101の外側面には、2つの吸水ユニット200を常時上方向に弾性付勢する引きバネ107(付勢手段)が配置されている。引きバネ107の上端部107aは、フレーム101の上端部側に位置する案内孔109の直下に固定された水平部材119に係止されている。また、引きバネ107の下端部107bは、フレーム101の下端部側に位置する案内孔109から端部を突出させる軸部材111に対して、逆Y字状のリンク機構121を介して接続されている。つまり、吸水フレーム230の下端部が、リンク機構121を介して引きバネ107によって常時上方に弾性付勢される構成である。さらに、引きバネ107によって弾性付勢された2つの吸水ユニット200は、上端部へ向かうほど間隔が狭くなる各案内孔109により互いに圧接する内方向に案内され、吸水体201は常時において密着している。
なお、引きバネ107の代わりに、対向する2つの吸水ユニット200夫々に挿通された両軸部材111間に引きバネを配置し、両吸水ユニット200を互いに圧接する内方向に直接弾性付勢するようにしてもよい。この場合であっても、吸水ユニット200は案内孔109の働きにより常時上方に弾性付勢されることとなる。
【0026】
引きバネ107の上端部107aには、上端部107aの上下方向位置を変更することにより、引きバネ107による付勢力を調整する付勢力調整ネジ123が配置されている。
ここで、案内孔109が形成された内ケース100のうちの一側面について考える。雨傘用脱水装置1においては、リンク機構121を介在させることにより1つの引きバネ107にて2つの対向する吸水ユニット200を上方向に弾性付勢することができる。従って、吸水体201間に雨傘Uを挿入したときに、2つの吸水ユニット200を同一の量だけ下降させることができる。もちろん、リンク機構121を備えずに、吸水ユニット200ごとに引きバネ107を配置した構成としても構わない。この場合、複数の引きバネが必要となることから、2つの吸水ユニット200を同一の量だけ下降させるためには各引きバネの付勢力の調整が必要となる。
なお、2つの吸水ユニットのうち、一方が可動し、他方が内ケース100に固定された構成としてもよい。つまり、少なくとも一方の吸水ユニットが他方の吸水ユニットに対して吸水体を圧接させる内方向、且つ上方向に弾性付勢され、さらに一方の吸水ユニットを他方の吸水ユニットから離間させる斜め下方向に案内移動するように構成されていてもよい。
【0027】
或いは、吸水ユニットを一つだけ用いた構成としてもよい。即ち、この場合、内ケースに一つの吸水ユニットと、この吸水ユニットと対向配置された押圧部材と、を収容し、吸水ユニットの吸水体と押圧部材との間で濡れた雨傘を圧接して雨水を吸水体に吸水させることができる。
さらに、吸水ユニット200を斜めに傾斜させた状態にて内ケース100に収容してもよい。つまり、対向配置される2つの吸水ユニット200の間隔が、下部から上部に向かって次第に広がる逆八の字形状に配置してもよい。この場合、先すぼみとなる雨傘Uの外面に吸水体201を密着させることができ、雨水を吸収、脱水する効率を高めることができる。
また、平面形状が長方形の大型の外ケース内に複数の吸水ユニットを一列、或いは複数列に配置することによって、複数人が同時に利用できるようにしてもよい。
【0028】
フレーム101の側面のうち、案内孔109が形成されていない2つの側面には、吸水体201の脱水用紐213を内ケース100内部から外部(内ケース100と外ケース10との間)へ引き出す紐引出穴125が形成されている。
紐引出穴125直下の内ケース100外側面には、ローラ127が上下方向に回転自在に軸支されている。ローラ127は、紐引出穴125から引き出された脱水用紐213と接触して、脱水用紐213を内ケース100側面から浮かせ、脱水用紐213を内ケース100側面や紐引出穴125の端縁と接触させないようにする。また、脱水用紐213の長手方向における進退移動に応じて回転して、摺動による脱水用紐213の損傷を防止する。
紐引出穴125から引き出された脱水用紐213は、リンク片129を介してペダル33と接続される(図3、図4)。なお、ペダル33は常時底板31から浮き上がった状態にある。図10及び図11に示すようにペダル33が踏み込まれると、引きバネ107の付勢力に抗して2つの吸水ユニット200が下降し、さらにペダル33が踏み込まれるとスポンジ203が圧縮変形する。
リンク片129には、脱水用紐213を伝わって下降してきた水分が水受21内に滴下されるように案内するガイドシート131が挿通されている(図8、図3)。
【0029】
〔使用方法〕
雨傘用脱水装置1の使用法について説明する。
まず、雨傘の脱水方法について図3及び図9に基づいて説明する。図9は、図2に示した雨傘用脱水装置のA−A断面図であり、雨傘が挿入された状態を示す図である。
図3に示すように、雨傘Uの挿入前において、対向する吸水体201は、引きバネ107により上方向に位置するように付勢されると同時に、互いに内方向に付勢されて圧接している。なお、2つの吸水体201は、共に上部側が縦フレーム231に密着するように取り付けられ、裏面側に突出するローラ215によって下部側が縦フレーム231から離間した状態に取り付けられているので、吸水体201の下部が互いに圧接し、上部が離間した状態となっており、雨傘Uを上方から導き入れやすくなっている。
図9に示すように、雨傘Uを先端(石突)から開口部15に挿入すると(矢印D1方向)、雨傘Uの厚みにより引きバネ107の付勢力に抗して、対向する吸水体201の間隔が広がる。両吸水体201の間隔が広がるとき、吸水体下降手段108の働きにより、吸水体201を含む吸水ユニット200が下降する。なお、吸水体201は、引きバネ107の付勢力により、雨傘Uの外面に圧接した状態にて下降する。利用者が雨傘Uを矢印E方向に回転させると、雨傘U外面に付着した水分が吸水体201によって拭き取られる。
【0030】
また、雨傘Uを雨傘用脱水装置1から引き抜こうとすると(矢印D2方向)、雨傘Uの傘地との摩擦力により吸水体201が上方に引き上げられる。このとき、吸水体201は案内孔109によって案内され、互いに近接する方向に移動しながら上昇する。その結果、吸水体201は雨傘Uの傘地との圧接力を高めながら効率よく雨傘U外面の水分を拭き取っていく。
つまり、雨傘Uの挿入時には、対向する吸水体201が互いの間隔を広げながら下降するので、雨傘U外面との圧接力(摩擦抵抗)を弱めながら雨傘Uを受け入れることとなり、雨傘Uを挿入しやすくなる。また、雨傘Uの引き抜き時には、対向する吸水体201が互いの間隔を狭めながら上昇するので、雨傘U外面との圧接力(摩擦抵抗)が高まり、雨傘U外面の水分を効率よく吸収する。このように、雨傘用脱水装置1においては、挿入時と引き抜き時とで、吸水体201と雨傘U外面との圧接力が変化するので、雨傘Uの外面から効率よく水分を除去することができる。
【0031】
次に、水分を吸水したスポンジ203の脱水方法について図4、図10及び図11に基づいて説明する。図10は、図2に示した雨傘用脱水装置のB−B断面図である。図11は、図2に示した雨傘用脱水装置のA−A断面図である。スポンジ203が十分に水分を吸水した場合には、吸水体201間に雨傘Uが挿入されていない状態でペダル33を押圧操作することにより、吸水体を変形させるための各部材が作動してスポンジ203に吸収された水分を絞り出すことができる。
図示するように、ペダル33はリンク片129を介して脱水用紐213と接続されており、ペダル33を矢印F方向に踏み込むことによって、脱水用紐213が下方に引っ張られる構造である。吸水体201の上部は横フレーム233に固定され、脱水用紐213と直接的に接続された吸水体201の下部は、縦フレーム231に沿って上下動可能である。脱水用紐213を下方向に引くと、反転ローラ241に巻き掛けられた脱水用紐213が吸水体201下部を引き上げるので、吸水体201下部が縦フレーム231に沿って上方に移動する。従って、図11に示すように、吸水体201が2つ折り様に圧縮変形して、脱水される。
【0032】
また、吸水体201を圧縮変形させるときに必要な力は、引きバネ107の付勢力に抗して吸水ユニット200を下降させるときに必要な力よりも大きく設定されている。したがって、脱水用紐213を下方向に引くと、吸水体201が圧縮変形する前に、吸水ユニット200が強制的に下降して、吸水体201の間隔が広がるようになっている。つまり、吸水体201が圧縮変形する時には、吸水体201が変形するための空間が確保されているので、吸水体201を確実に圧縮変形させることができ、吸水体201の脱水効率を高めることができる。
また、吸水体201には、板バネ217が添設されているので、圧縮変形後に伸張して、雨傘U外面に付着した水分を吸収可能な形状に戻ることができる。
なお、上記実施形態と異なり、吸水フレーム230に対して吸水体201の下端部を固定し(固定端部)、吸水体201の上端部を吸水フレーム230に対して少なくとも上下動可能に構成し(非固定端部)、吸水体201の上端部を下端部に向かって移動させることにより、吸水体201を圧縮変形させて脱水を行う構成としてもよい。
【0033】
以上のように本実施形態によれば、動作部分にモータを用いていないため、電源が不要であり、小型、軽量、設置スペースを取らず、且つ運搬容易な雨傘用脱水装置を提供することができる。また、傘の挿入に応じて吸水体が自動的に移動して雨傘に付着した水分を取っていくので、傘の脱水の際に特別な操作が不要であり、万人が容易に使用できる。また、水分吸水後の吸水体本体(スポンジ)を変形させて吸水体の脱水を行うので、吸水体の脱水性能を回復可能である。また、吸水体を脱水するための脱水ローラ等の部品が不要となり、部品点数を減らし、軽量化することができる。
【0034】
〔第二の実施形態〕
本発明の第二の実施形態について図12乃至図14に基づいて説明する。図12は、本発明の第二の実施形態に係る雨傘用脱水装置の使用状態を示す斜視図である。図13は、吸水ユニットが装着された内ケースの斜視図である。図14は、図2のA−A断面図に対応する断面図である。本実施形態においては、第一の実施形態に記載された部品の一部を省略、又は一体化することにより、部品点数を減少させた点に特徴がある。以下、第一の実施形態と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
図12に示すように雨傘用脱水装置2は、内ケース300上端部に位置する掛止片301を外ケース本体13の上端縁に掛止することにより、内ケース300を外ケース10に対して位置決め固定している。第一の実施形態における上蓋17(図1参照)と内ケース100(図8参照)とを一体化した構成である。
【0035】
また、図13に示すように、掛止片301は、内ケース300のフレーム101の上端縁から周方向に突出形成された環状のつば形部材であり、下方に向けて折り返された折り返し部303を有している。図14に示すように、掛止片301は、外ケース本体13の上端部に嵌合するように構成されている。従って、掛止片301が外ケース本体13の上端縁に掛止されて、外ケース本体13に対する内ケース300の上下方向位置を決定する。また、折り返し部303が外ケース本体13の上端部外側面と接触して、外ケース本体13に対する内ケース300の横方向位置を決定する。
また、フレーム101の側面の紐引き出し穴125から引き出された脱水用紐213には、ガイドシート131が挿通されており、第一の実施形態のリンク片129(図3、図8参照)が省略されている。脱水用紐213は、複数のリング305を介してペダル33のリンクアーム35と接続されている。第一の実施形態と同様に、ペダル33の押圧操作に応じて脱水用紐213が引き下げられ、吸水体201を脱水することができる(図10、図11参照)。
また、外ケース本体13内部の中空部分下方には、引き出し兼用の水受307が配置されている。このように、水受と引き出しとを兼用することで、外ケース10の内底面に対して水受の底面積を増大させることができ、雨傘Uから除去された水分を確実に受け止めることができる。従って、本実施形態においては、雨傘Uから脱水された水分を水受に案内する水ガイド板27(図3参照)を省略している。
【0036】
以上のように、本実施形態においても、第一の実施形態と同様、容易に傘を脱水することができる傘用脱水装置を提供することができる。また、一部の部品を省略又は一体化することで、さらに雨傘用脱水装置の軽量化を図ることができる。
【符号の説明】
【0037】
1…雨傘用脱水装置、10…外ケース、13…外ケース本体、15…開口部、17…上蓋、19…運搬用取手、21…水受、22…引き出し、23…水受引出用取手、25…水はね防止部材、27…水ガイド板、29…係止片、31…底板、31a…ヒンジ部、33…ペダル、35…リンクアーム、37…スリット、39…ヒンジ軸、41…閉止金具、100…内ケース、101…フレーム、102…被係止片、103…位置決め板、105…取手、107…引きバネ、108…吸水体下降手段、109…案内孔、111…軸部材、113…ワッシャー、115…抜け止めピン、117…リング、119…水平部材、121…リンク機構、123…付勢力調整ネジ、125…紐引出穴、127…ローラ、129…リンク片、130…輪、131…ガイドシート、200…吸水ユニット、201…吸水体、203…スポンジ、205…保護カバー、207…上部形状保持板、209…下部形状保持板、211…面ファスナー、213…脱水用紐、215…ローラ、217…板バネ、219…凹部、230…吸水フレーム、231…縦フレーム、233…横フレーム、235…挿通孔、237…挿入ガイドシート、239…面ファスナー、241…反転ローラ、300…内ケース、301…掛止片、303…折り返し部、305…リング、307…水受
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨傘を先端から挿入可能な開口部を上部に有する中空縦長のケースと、
前記開口部から前記ケース内に挿入された前記雨傘の外面に内面で夫々接触するように前記ケース内に対向配置された少なくとも一対の吸水体と、
前記各吸水体を互いに圧接させる内方向、且つ上方向に弾性付勢する付勢手段と、を備え、前記開口部から前記各吸水体間に前記雨傘が挿入されて前記付勢手段の付勢力に抗して前記両吸水体の間隔が広がったときに前記両吸水体を下降させる吸水体下降手段と、
を備えたことを特徴とする雨傘用脱水装置。
【請求項2】
前記雨傘が前記両吸水体間に挿入されていない時に前記各吸水体を圧縮変形させて前記吸水体に吸水された水分を絞り出す脱水手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の雨傘用脱水装置。
【請求項3】
前記脱水手段は、前記吸水体を強制的に下降させて前記両吸水体間隔を広げてから前記各吸水体を圧縮変形させることを特徴とする請求項2記載の雨傘用脱水装置。
【請求項4】
前記脱水手段は、押圧操作するペダルと、該ペダルを押圧した時に作動して前記各吸水体を圧縮変形させる吸水体変形手段と、を備えたことを特徴とする請求項2又は3記載の雨傘用脱水装置。
【請求項5】
前記脱水手段によって圧縮変形した前記各吸水体を伸張状態に復帰させる伸張手段を備えたことを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項記載の雨傘用脱水装置。
【請求項6】
前記伸張手段の付勢力に抗して前記吸水体を圧縮変形させる力が、前記付勢手段の付勢力に抗して前記吸水体を下降させる力よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項5記載の雨傘用脱水装置。
【請求項7】
前記吸水体の上端部又は下端部のうちの一方の端部を固定的に保持する吸水フレームと、該吸水フレームの適所に貫通形成された挿通孔と、を備えた吸水ユニットが、前記ケース内に対向配置されており、
前記吸水体下降手段は、前記ケース側面に形成されて前記両吸水ユニットの間隔が広がったときに前記吸水ユニットを下降させる方向へガイドするスリット状の案内孔と、該案内孔と前記挿通孔とを連通させた状態にて双方の孔に挿通される軸部材と、を備えることを特徴とする請求項1記載の雨傘用脱水装置。
【請求項8】
前記吸水体の上端部又は下端部を前記吸水フレームに対して上下方向に移動自在に構成された非固定端部とし、
前記雨傘が前記両吸水体間に挿入されていない時に、前記非固定端部を前記吸水体の他端部に近接させることにより前記吸水体を圧縮変形させて該吸水体に吸水された水分を絞り出す脱水手段を備えたことを特徴とする請求項7記載の雨傘用脱水装置。
【請求項1】
雨傘を先端から挿入可能な開口部を上部に有する中空縦長のケースと、
前記開口部から前記ケース内に挿入された前記雨傘の外面に内面で夫々接触するように前記ケース内に対向配置された少なくとも一対の吸水体と、
前記各吸水体を互いに圧接させる内方向、且つ上方向に弾性付勢する付勢手段と、を備え、前記開口部から前記各吸水体間に前記雨傘が挿入されて前記付勢手段の付勢力に抗して前記両吸水体の間隔が広がったときに前記両吸水体を下降させる吸水体下降手段と、
を備えたことを特徴とする雨傘用脱水装置。
【請求項2】
前記雨傘が前記両吸水体間に挿入されていない時に前記各吸水体を圧縮変形させて前記吸水体に吸水された水分を絞り出す脱水手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の雨傘用脱水装置。
【請求項3】
前記脱水手段は、前記吸水体を強制的に下降させて前記両吸水体間隔を広げてから前記各吸水体を圧縮変形させることを特徴とする請求項2記載の雨傘用脱水装置。
【請求項4】
前記脱水手段は、押圧操作するペダルと、該ペダルを押圧した時に作動して前記各吸水体を圧縮変形させる吸水体変形手段と、を備えたことを特徴とする請求項2又は3記載の雨傘用脱水装置。
【請求項5】
前記脱水手段によって圧縮変形した前記各吸水体を伸張状態に復帰させる伸張手段を備えたことを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項記載の雨傘用脱水装置。
【請求項6】
前記伸張手段の付勢力に抗して前記吸水体を圧縮変形させる力が、前記付勢手段の付勢力に抗して前記吸水体を下降させる力よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項5記載の雨傘用脱水装置。
【請求項7】
前記吸水体の上端部又は下端部のうちの一方の端部を固定的に保持する吸水フレームと、該吸水フレームの適所に貫通形成された挿通孔と、を備えた吸水ユニットが、前記ケース内に対向配置されており、
前記吸水体下降手段は、前記ケース側面に形成されて前記両吸水ユニットの間隔が広がったときに前記吸水ユニットを下降させる方向へガイドするスリット状の案内孔と、該案内孔と前記挿通孔とを連通させた状態にて双方の孔に挿通される軸部材と、を備えることを特徴とする請求項1記載の雨傘用脱水装置。
【請求項8】
前記吸水体の上端部又は下端部を前記吸水フレームに対して上下方向に移動自在に構成された非固定端部とし、
前記雨傘が前記両吸水体間に挿入されていない時に、前記非固定端部を前記吸水体の他端部に近接させることにより前記吸水体を圧縮変形させて該吸水体に吸水された水分を絞り出す脱水手段を備えたことを特徴とする請求項7記載の雨傘用脱水装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−2789(P2013−2789A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137272(P2011−137272)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(599027574)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(599027574)
【Fターム(参考)】
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