説明

雪を用いた空調システム

【課題】中間期や冬季において外気を利用した外気冷房を効果的に行いつつ給気の加湿不足を防止し、中間期や夏季の冷房負荷が大きい時に運転エネルギの大幅低減が図れるようにする。
【解決手段】機械室2には、外気導入口3に連通する外気通路4と、還気取入口5を介し空調対象室6に連通する還気通路7と、外気通路4及び還気通路7に区画して連通する混合部9と、混合部9と区画して連通し且つ給気風路10を介し空調対象室6に連通する給気通路11とを備え、室外には、雪を堆積した雪貯蔵部30を備え、還気通路7には還気RAを断熱加湿する1段目加湿器12を設置し、給気通路11には、冷却コイル15と混合気MAを断熱加湿する2段目加湿器14と給気ファン19とを設置し、外気通路4には外気ファン23、空調対象室6には排気ファン27を夫々設置し、外気通路4に外気OAと雪冷外気SOAを切り換えて導き、冷却コイル15に雪冷水36の冷熱を導くようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は雪を用いた空調システムに関するものである。特に空調対象室の熱負荷が1年中多く発生し、人などの潜熱負荷が殆どなく、室内湿度許容範囲が厳しい場合に適用できる雪を用いた空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターネットデータセンターや電算機室等においては、機器からの発熱を除去し且つ所定の湿度を保持するようにして機器が正常に動作する環境の提供を図るために、空調機(冷房機)を通年で稼働して冷房及び湿度調整を行うようにしているが、インターネットデータセンターや電算機室等の機器は大量の熱を発するために、冷房機への還り空気温度は高く、そのため、還気を設定温度まで冷却して給気するのに年間を通して多大のエネルギ(電力)を消費している。
【0003】
空調対象室内に大量の熱を発する電算機やサーバラックなどが存在しない、一般事務所ビルにおいては、外気を利用して還気の温度を低下し、冷却コイルでの冷凍機消費エネルギを低減するようにした外気利用空調システムがあり、例えば本特許出願人による特許文献1がある。特許文献1の外気利用空調システムは、空気調和機の内部に外気系に連通して外気OAを取り入れる第一の流通路と、還気系を介し空調対象室に連通して取入れた還気RAを加湿器により加湿する第二の流通路と、第一の流通路及び第二の流通路に連通すると共に給気系を介し前記空調対象室に連通する第三の流通路を備え、冷凍機に接続された冷却手段を前記第一の流通路と第二の流通路とに備えた構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−064556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1によれば、中間期(春季や秋季)及び冬季において、室温よりも低温である外気OAを利用することによって省エネルギを図ることができる。しかし、還気RAのみを加湿する方式であるため、加湿による冷却効果を最大限に利用することができないという問題がある共に、空調対象室内に大量の熱を発する電算機やサーバラックなどがあって大風量の外気による冷却が必要なところへ適用する場合、外気OAを取入れる割合を所定以上に増加した場合には給気SAの湿度が低下し、そのために外気OAの取入れが制限される問題があり、せっかくの外気冷熱が最大限利用できず、又、更なる給気SAの冷却が必要な場合には還気RA及び外気OAを冷凍機に接続した冷却手段で冷却することにより所要の給気温度を維持しているが、冷凍機の運転エネルギ(電力)が増大する場合が生じていた。
【0006】
本発明は上記実情に鑑み、中間期や冬季において、室内に大量の熱を発生する機器があり室内温湿度許容範囲が狭く管理が厳しい(例えば電算機室の場合、室内湿度の許容範囲を相対湿度±10%で管理する場合もある。)空調対象室内に外気を利用した外気冷房を行う場合に、大量の外気を混合することによる給気に対する加湿不足を防止することができると共に、加湿による冷却効果を最大限に利用できるようにし、又、中間期や夏季において、冷房負荷が大きくて外気混合冷却だけでは冷房能力が不足する際に、雪貯蔵部からの雪冷外気を還気に混合する、及び又は、雪貯蔵部からの雪冷水の冷熱を用いた冷却手段により給気SAを冷却するようにして雪の冷熱を有効に利用し、冷凍機のような冷熱供給装置の使用を最少限にして運転エネルギの大幅低減が図れるようにした、雪を用いた空調システムを提供することを目的としてなしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1の雪を用いた空調システムは、機械室には、外気導入口に連通する第一の流通路である外気通路と、還気取入口を介し空調対象室に連通する第二の流通路である還気通路と、前記外気通路及び前記還気通路に外気通路及び還気通路とは区画された混合部を介して連通すると共に、前記混合部と区画され且つ給気風路を介し空調対象室に連通する第三の流通路である給気通路とを備え、
室外には、雪を堆積した雪貯蔵部を備え、
前記還気通路には、前記還気取入口からの還気を水により断熱加湿する1段目加湿手段を設置し、前記給気通路には、外気導入口からの外気と還気取入口からの還気が混合した混合気を水により断熱加湿する2段目加湿手段と、前記雪貯蔵部からの雪冷水が有する冷熱を供給可能な冷熱媒を循環流路に流す冷熱供給手段に接続された冷却コイルである冷却手段と、給気通路内の混合気を給気風路を介して空調対象室に送給する給気手段とを設置し、前記外気通路には、混合気の温湿度状態を調整するための外気を搬送する風量調整が可能な外気送給手段を設置し、前記空調対象室には、室内空気の一部を排気するための排気手段を設置し、前記外気導入口には、外気と前記雪貯槽部の雪により冷却した雪冷外気とを切り換えて供給し得る外気切換手段を設置した
ことを特徴とする雪を用いた空調システム、に係るものである。
【0008】
又、本発明の請求項2の雪を用いた空調システムにおいては、前記冷却手段に接続される前記冷熱供給手段は、前記冷熱媒に対し、前記雪貯蔵部から外部に取り出した雪冷水の冷熱を熱交換器により、冷凍機により発生した冷熱を熱交換器により、それぞれ適宜伝熱させることが可能であることを特徴とする。
【0009】
又、本発明の請求項3の雪を用いた空調システムにおいては、1段目加湿手段の加湿量を還気取入口にて計測し演算された絶対湿度に応じて、外気送給手段の風量を混合部にて計測し演算されたエンタルピに応じて、2段目加湿手段の加湿量を給気風路にて計測し演算された絶対湿度に応じて、それぞれ制御する制御装置を有していることを特徴とする。
【0010】
又、本発明の請求項4の雪を用いた空調システムにおいては、空調対象室へ給気風路内を送給される給気設定温湿度点のエンタルピと同エンタルピ線上にあり、且つ、給気風路内を送給される給気の設定絶対湿度まで加湿可能な2段目加湿手段入口最小絶対湿度点を境界点として設定し、還気設定温湿度点と前記境界点とを結んで境界点側に延長した直線により、T−Xa空気線図上の境界点左側領域を2分し、給気及び還気の設定絶対湿度まで加湿可能な1段目加湿手段入口最小絶対湿度点を各乾球温度毎にT−Xa空気線図上の境界点右側領域で結んだ曲線により、T−Xa空気線図上の境界点右側領域を2分することで、少なくともT−Xa空気線図上を前記境界点を頂点に持つ4つの領域に分けて、温湿度を測定し求めた外気の状態点が4つの領域の何れに含まれるかで運転モードを切り替える制御装置を備えることを特徴とする。
【0011】
又、本発明の請求項5の雪を用いた空調システムにおいては、還気設定温湿度点と前記境界点とを結んで境界点側に延長した直線の上部領域に外気の状態点が含まれる場合には、1段目加湿手段はOFFとし、混合部の空気温度測定値により求められたエンタルピに基づき外気送給手段の風量を制御し、給気風路内の給気温湿度測定値により求められた絶対湿度に基づき2段目加湿手段の加湿量を制御する制御装置を備えることを特徴とする。
【0012】
又、本発明の請求項6の雪を用いた空調システムにおいては、還気設定温湿度点と前記境界点とを結んで境界点側に延長した直線の下部領域に外気の状態点が含まれる場合には、還気取入口の還気温湿度測定値により求められた絶対湿度に基づき1段目加湿手段の加湿量を制御し、混合部の空気温度測定値により求められたエンタルピに基づき外気送給手段の風量を制御し、給気風路内の給気温湿度測定値により求められた絶対湿度に基づき2段目加湿手段の加湿量を制御する制御装置を備えることを特徴とする。
【0013】
又、本発明の請求項7の雪を用いた空調システムにおいては、給気及び還気の設定絶対湿度まで加湿可能な2段目加湿手段入口最小絶対湿度点を各乾球温度毎にT−Xa空気線図上の境界点右側領域で結んだ曲線の上部領域に外気の状態点が含まれる場合には、給気風路内の給気温湿度測定値により求められた絶対湿度に基づき2段目加湿手段の加湿量を制御し、1段目加湿手段はOFFとし、給気風路内の給気温度に基づき、前記冷熱媒が有し前記冷却手段へ供給される供給熱量を制御する制御装置を備えることを特徴とする。
【0014】
又、本発明の請求項8の雪を用いた空調システムにおいては、給気及び還気の設定絶対湿度まで加湿可能な2段目加湿手段入口最小絶対湿度点を各乾球温度毎にT−Xa空気線図上の境界点右側領域で結んだ曲線の下部領域に外気の状態点が含まれる場合には、還気取入口の還気温湿度測定値により求められた絶対湿度に基づいて1段目加湿手段の加湿量を制御し、混合部の空気温度測定値により求められたエンタルピに基づいて外気送給手段の風量を制御し、給気風路内の給気温湿度測定値により求められた絶対湿度に基づいて2段目加湿手段の加湿量を制御し、給気風路内の給気温度に基づき、前記冷熱媒が有し前記冷却手段へ供給される供給熱量を制御する制御装置を備えることを特徴とする。
【0015】
又、本発明の請求項9の雪を用いた空調システムにおいては、前記雪貯蔵部から外部に取り出した雪冷水が有する冷熱の利用可能を判断して、前記冷熱供給手段の循環流路を流れる前記冷熱媒への雪冷水が有する冷熱の供給を制御する雪冷水利用動作指令部を有することを特徴とする。
【0016】
又、本発明の請求項10の雪を用いた空調システムにおいては、外気の状態点がT−Xa空気線図上で請求項5乃至8の何れの場合にも当てはまらない場合では、雪冷外気を外気通路に供給する第1冷却と、前記冷熱供給手段の循環流路を流れる前記冷熱媒へ雪冷水が有する冷熱を供給する第2冷却と、冷熱が不足する場合に前記冷熱供給手段の循環流路を流れる前記冷熱媒へ冷凍機が発生する冷熱を供給する第3冷却とを行う最大負荷時対応指令部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の外気利用空調システムによれば、中間期や冬季において外気を利用した外気冷房を行う際に、還気を加湿する1段目加湿器と、外気と還気の混合気を加湿する2段目加湿器を備えたことにより、給気の加湿不足を防止できると共に、加湿による冷却効果を利用することができ、外気利用による冷却効果を最大限に高められる効果がある。更に、中間期や夏季に、冷房負荷が大きくて外気混合冷却だけでは冷房能力が不足する際にも、雪貯蔵部からの雪冷外気を還気に混合し、及び又は、雪貯蔵部からの雪冷水の冷熱を用いた冷却手段により給気を冷却することにより、雪の冷熱を有効に利用して、冷凍機のような冷熱供給装置の使用を最少限にして運転エネルギの大幅低減が図れるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の雪を用いた空調システムの概略構成を示す側面図である。
【図2】図1の雪を用いた空調システムに備える制御装置の一例と、運転モード1の領域の動作指令部及び運転モード2の領域の動作指令部の構成を示すブロック図である。
【図3】図2の制御装置による運転モード1の領域の動作指令部及び運転モード2の領域の動作指令部を雪を用いた空調システムに備えた状態を示すブロック図である。
【図4】運転モード3の領域の動作指令部の構成を示すブロック図である。
【図5】図4の運転モード3の領域の動作指令部と図6の運転モード4の領域の動作指令部を雪を用いた空調システムに備えた状態を示すブロック図である。
【図6】運転モード4の領域の動作指令部の構成を示すブロック図である。
【図7a】運転モード5の領域の動作指令部の構成の一部を示すブロック図である。
【図7b】図7aに書き切れない部分を取り出して示したブロック図である。
【図8】図7a、図7bの運転モード5の領域の動作指令部を雪を用いた空調システムに備えた状態を示すブロック図である。
【図9】雪冷水利用動作指示部の構成を示すブロック図である。
【図10】図9の雪冷水利用動作指示部を雪を用いた空調システムに備えた状態を示すブロック図である。
【図11】図1の雪を用いた空調システムにおける乾球温度と絶対湿度と等エンタルピと飽和曲線との関係を示す空気線図である。
【図12】図1の雪を用いた空調システムにおける運転モードの算出方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0020】
図1は雪を用いた空調システムの一実施例を示しており、雪を用いた空調システム1は、機械室2の内部に、外気ガラリ等である外気導入口3に連通する第一の流通路である外気通路4と、還気取入口5を介し空調対象室6に連通する第二の流通路である還気通路7と、外気通路4及び還気通路7に連通し外気OAと還気RAを混合して混合気MAとするための、外気側及び空調対象室とを仕切壁8で区画された混合部9と、混合部9内の混合気MAを導入して給気風路10を介し前記空調対象室6に給気SAを供給するケーシングで混合部9と区画された第三の流通路である給気通路11とを有している。
【0021】
前記還気通路7には還気取入口5からの還気RAを加湿して還気RA'とするための1段目加湿器12(1段目加湿手段)を設けている。例えば、機械室2の一部を断熱パネル13などで区画し、還気取入口5を一端部に、他端部には還気フィルタ7'を設けて還気通路7とし、還気取入口5と還気フィルタ7'との中間に1段目加湿器12を下部にドレンパンを付属させて設ける。この1段目加湿器12は水加湿器であり、加湿前後の還気は断熱変化する。V1は1段目加湿器12のスプレー量を調節するための1段目調節バルブである。尚、前記還気フィルタ7'は備えなくてもよい。
【0022】
又、前記給気通路11はケーシングを有する空調機であり、前記給気通路11には、前記外気導入口3からの外気OAと還気取入口5から導入され1段目加湿器12で加湿された還気RA'が混合した混合気MAを加湿するための2段目加湿器14(2段目加湿手段)を下部にドレンパンを付属させて設ける。この2段目加湿器14は水加湿器であり、加湿前後の混合気MAは断熱変化する。V2は2段目加湿器14のスプレー量を調節するための2段目調節バルブである。上記1段目及び2段目加湿器12,14には、水スプレー、気化式加湿器、超音波加湿器、など加湿水を加熱しないで処理空気加湿前後で断熱変化になる、いわゆる水加湿を用いることができる。
【0023】
前記給気通路11における2段目加湿器14の下流には、冷却手段を構成する冷却コイル15が設けられている。図1に示す冷却コイル15による冷却は、外気採り入れ・水噴霧加湿では給気SAが目標温度に達しない場合に冷却を行うためのものである。この冷却コイル15に冷熱媒を供給する冷熱供給手段には、循環ポンプP3により冷熱媒を循環させる循環流路16が設けられている。循環流路16には、その途中に雪冷水熱交換器38の2次側と、冷凍機発生冷熱熱交換器17の2次側と、冷熱媒の流量を制御するバルブV3とが設けられている。該冷凍機発生冷熱熱交換器17の1次側と冷凍機R2との間には、冷水ポンプP4で冷水を循環させる冷水循環流路18が設けられる。さらに冷水循環流路18には、冷水ポンプP4で搬送される冷水の一部又は全部を前記冷凍機発生冷熱熱交換器17からバイパスできるバイパス管と、該バイパス管に制御バルブV6とを設けている。
【0024】
前記給気通路11の冷却コイル15の下流には、給気通路11の給気SAを給気風路10へ送給するための給気ファン19(給気手段)が設けられている。図1の給気風路10は、前記給気通路11からの給気SAを床下部の空間20を介して前記空調対象室6に供給する場合を示している。これは、電算室やデータセンター等で多く見られるもので、サーバーラック、電算機等の機器21が発生する大量の熱で暖められ上昇する空気の流れを利用して、空調対象室6の熱くなった還気をいち早く還気取入口5及び排気手段へ導くことで、室内に空気が澱むことなく、有効な冷房が行われるように、冷たい空気を床から吹き出して、天井側で還気を取るようにしている。
【0025】
前記外気通路4の上流側で外気導入口3の下流側には、外気フィルタ22が設けられると共に、外気フィルタ22の下流側には、外気導入口3からの新鮮な外気OAを取り入れて前記還気RA'と共に混合部9へ送給するようにした外気ファン23(外気送給手段)を設けている。
【0026】
また、空調対象室6の所要位置には、空調対象室6の室内空気の一部を排気EAとして外部へ排出するようにした排気口25を有する排気風路26が接続されており、該排気風路26には排気ファン27(排気手段)を設けている。排気ファン27は、室内機器の稼働状態の切替などにより外気OAを、空調対象室6を細分したエリア毎に多量/少量に逐一流動的に取り入れることによって、空調対象室6のうちのエリア毎に圧力差が生じることを防止するためのものである。
【0027】
排気ファン27は排出する排気EAの流量がファンモータのインバータ制御器28によって制御されており、又、外気ファン23は吸引する外気OAの流量がファンモータのインバータ制御器29によって制御されており、外気ファン23による外気OAの単位時間あたりの吸引量に連動して、排気ファン27による排気EAの単位時間あたりの排出量が同等になるように、外気ファン23及び排気ファン27の回転数が制御されており、又、給気ファン19は常に一定の給気SAを前記空調対象室6に給気するようになっている。図1中、RAsは還気RAの乾球温度Tと相対湿度Hの検出器、RAs'は加湿された還気RA'の乾球温度Tと相対湿度Hの検出器、OAsは外気OAの乾球温度Tと相対湿度Hの検出器、Msは混合気MAの乾球温度Tと相対湿度Hの検出器、SAsは給気SAの乾球温度Tと相対湿度Hの検出器である。
【0028】
一方、室外には、雪を堆積した雪貯蔵部30を備えている。雪貯蔵部30は、降雪地域において従来から実施されている雪捨て場を一部改造したものである。雪捨て場に雪が堆積していない状態の構造を説明すると、敷地のある一方向に、開口が上側を向くようU字トラフ31を連続して直線状に配置した連続溝32を複数並行に形成し、その複数の連続溝32の底面に同じ向きに勾配を付けて、前記敷地のある一方向に直交する長手方向を有する地面を掘り込んで躯体とした雪山下部ピットに接続する。複数の前記連続溝32は、雪貯蔵部30の敷地にほぼ均等に所定の間隔をもって設置されている。この連続溝32の上部には、10cm以上堆積した雪のブリッジングが崩れる寸法よりも小さい隙間開口を有するグレーチングを備え、敷地全体の地面勾配を、前記連続溝32に向けて下がり勾配にしておく。前記雪山下部ピットの下方側面には、雪冷水36の取り出し管端が接続されている。この雪貯蔵部30の敷地上部に、雪33を積み上げることにより雪貯蔵部30全体を形成している。この雪貯蔵部30は、冬期に雪を積み上げておいて、中間期(春季や秋季)及び夏季に雪の冷熱を冷房に利用できるようにしたものであり、雪貯蔵部30の雪の冷熱を冷房に利用する際は、雪貯蔵部30に積まれた雪33の、連続溝32の直上部から、所定の間隔(例えば2m)をおいて、作業者が持ち運ぶホースなどから吐出する水を下向きに噴出して、雪山の雪33の一部を前記グレーチングが見えるまで溶かして、雪山の上方外気と前記連続溝32とが連通するように穴34を形成させる。
【0029】
更に、前記雪山下部ピットの上方側面には、雪貯蔵部30の平面視部分のみ地中埋設ダクトとなっている外気ダクト35の一端35aが接続され、該外気ダクト35には、雪外気ダンパーD1と外気ダンパーD2からなる外気切換手段を設けている。そして、雪外気ダンパーD1と外気ダンパーD2との間の外気ダクト35は、前記外気導入口3に連通されており、雪外気ダンパーD1と外気ダンパーD2の切り換えにより、雪33の穴34から連続溝32を通った雪冷外気SOAと、外気OAとを切り換えて前記外気ファン23により吸引し得るようになっている。SOAsは雪冷外気SOAの乾球温度Tと相対湿度Hの検出器である。
【0030】
又、雪貯蔵部の下部に設けた雪山下部ピットで受けた雪解け水からなる雪冷水36は雪冷水槽37に重力落下もしくはポンプアップで移動して貯められており、前記循環流路16に設けた雪冷水熱交換器38の一次側と前記雪冷水槽37との間には雪冷水ポンプP2により雪冷水36を循環させる雪冷水循環流路39が設けられている。さらに雪冷水循環流路39には、雪冷水ポンプP2で搬送される雪冷水の一部又は全部を前記雪冷水熱交換器38からバイパスできるバイパス管と、該バイパス管に制御バルブV5とを設け、雪冷水循環流路本管にフィルタ40も設けている。
【0031】
又、前記雪冷水槽37には、ブライン冷凍機R1を有するバックアップ熱源が接続されていてもよい。このバックアップ熱源は、前記雪冷水槽37の雪冷水36の導入管近傍に往き帰り管を接続した、バックアップ雪冷水ポンプP5とフィルタ41を備えたバックアップ雪冷水循環流路42を備え、このバックアップ雪冷水循環流路42に2次側を設けたバックアップ熱交換器43の1次側とブライン冷凍機R1との間には、バックアップブラインポンプP1を備えたバックアップブライン循環流路44を設けている。さらにバックアップブライン循環流路44には、バックアップブラインポンプP1で搬送されるブラインの一部又は全部を前記バックアップ熱交換器43からバイパスできるバイパス管と、該バイパス管に制御バルブV4とを設けている。前記ブライン冷凍機R1は、前記冷水循環流路18の冷凍機R2が故障した場合、及び、雪冷水槽37内の雪冷水36の温度が所定温度以上に上昇した場合にバックアップとして作用するものである。このバックアップ熱源はなくても良く、前記冷水循環流路18の冷凍機R2を複数台バックアップで用意しておくことで代用しても可能である。Lは雪冷水槽37の雪冷水36の水位計、T1sは雪冷水槽37の雪冷水36の温度計、T2sは循環流路16の冷熱媒の温度計、T3sは冷水循環流路18の冷水の温度計、p1sは循環流路16の冷熱媒の圧力計である。
【0032】
図1の雪を用いた空調システム1には、図2に示す制御装置が備えられている。図2中、C1は制御装置を構成する外気利用運転システムコントローラであり、この外気利用運転システムコントローラC1には、外気OAの温湿度が日射や風の影響を受けずに計測できるよう設けた図1の検出器OAsからの測定値(OA Tm,OA Hm)が入力されて外気状態点を演算している。更に、調整用PC等の制御監視機器45からは、給気条件(温度、相対湿度)、還気条件(温度、相対湿度)、1段目加湿器飽和効率、2段目加湿器飽和効率、設定絶対湿度、SAエンタルピ、RAエンタルピ、1段目加湿後条件(温度、相対湿度)=RA'、混合気エンタルピ=M'、1段目加湿限界線係数、2段目加湿限界線係数、等飽和効率線係数等が入力されている。
【0033】
そして、外気状態点や還気状態点の測定値から絶対湿度、エンタルピを算出して制御に利用するようにしている。ちなみに本明細書中では、空気の状態点を表現する各数値の記号は、乾球温度をT、相対湿度をH、絶対湿度をXa,エンタルピを(H)で表す。尚、上記検出及び算出には種々の方法が考えられ、検出器で検出した測定値を変換器に与え、変換器で得た必要な測定演算値(絶対湿度Xa、エンタルピ(H)等)を外気利用運転システムコントローラC1に与える方法、及び、外気利用運転システムコントローラC1に測定演算値(絶対湿度、エンタルピ等)の算出部を備えて算出する方法、更には、直接的に必要な測定値(絶対湿度、エンタルピ等)を専用の測定器で測定するようにした方法等が考えられる。
【0034】
そして、上記のパラメータが入力される外気利用運転システムコントローラC1は、図11に示す乾球温度と絶対湿度と等エンタルピと飽和曲線との関係を示すT−Xa空気線による運転モードマップを作成し、複数の運転モードの領域を演算する演算部46を有している。演算部46は具体的には、図11において、空調対象室へ給気風路内を送給されるSAエンタルピと同エンタルピ線上にあり、且つ、給気風路内を送給される給気の設定絶対湿度まで加湿可能な2段目加湿手段入口最小絶対湿度点を境界点Mとして設定し、還気設定温湿度点と前記境界点Mとを結んで境界点側に延長した直線(境界線=RA−M)により、T−Xa空気線図上の境界点左側領域を2分し、給気及び還気の設定絶対湿度まで加湿可能な1段目加湿手段入口最小絶対湿度点を各乾球温度毎にT−Xa空気線図上の境界点右側領域で結んだ曲線(M−N)により、T−Xa空気線図上の境界点右側領域を2分することで、少なくともT−Xa空気線図上を前記境界点Mを頂点に持つ4つの運転モードの領域に分け、還気条件RAの絶対湿度Xaよりも大きく且つ1段目加湿後条件RA'と還気条件RAとを結ぶ線よりも大きい領域を、5個目の運転モードの領域として設定する。
【0035】
次に、運転領域マップのパラメータに基づいて、図11のT−Xa空気線図上で運転モード1〜5の領域に分割する意味合いについて説明する。
【0036】
外気OAの状態点が運転モード1の領域にある場合には、還気RAと外気OAの混合を外気量ひいては排気を減じた還気量を各々調整することにより線分M−SA上に混合点を移動させることができる。点Mは2段目加湿器14の加湿冷却によって点SAに到達できる最遠の点なので、還気RAと外気OAの混合点を線分M−SA上とすることができれば、2段目加湿器14の加湿冷却によって混合点から点SAの状態とすることができる。即ち、外気OAの状態点と点RAとを結んだ直線が線分M−SAと交わる点に混合点が存在するような外気OA量の状態では、2段目加湿器14によって点SAの状態とすることができる。これを「混合2段目加湿単独運転」とする。
【0037】
このとき、外気OAの状態が運転モード1の領域から更に低湿度あるいは高温度となり、直線RA−Mより水平に対する傾きが大きくなった場合、即ち外気OAの状態点が直線RA−Mよりも下側に来た場合には、点RAと外気OAの状態点とを結んだ直線は線分M−SAと交わらない。つまり、還気RAと外気OAを点SAと等エンタルピになるように混合しても、その線上で点Mよりも右下の状態となるため、2段目加湿器14の能力では点SAまで到達しない。これは、点Mが2段目加湿器14により点SAに到達できる飽和曲線から最遠の点であるからである。よって、外気OAの状態点が直線RA−Mよりも下側に来た場合には、上記「混合2段目加湿単独運転」では点RAから点SAの空気の状態を作ることはできない。
【0038】
上記直線RA−Mは図11のT−Xa空気線図上において1次の関数(Xa=a1×T+b1)で表すことができるため、この関数を使い、外気OAの状態を判断することができる。具体的には、外気OAが設定絶対湿度(直線SA−RA)より小さく、また設定SAのエンタルピより小さく、且つ外気乾球温度T、外気絶対湿度AHとしたとき、AH>=a1×T+b1であれば、外気OAの状態点が運転モード1の領域にあると判断して、前記「混合2段目加湿単独運転」を行う。
【0039】
又、外気の状態が運転モード2の領域にある場合には、まず点RAを1段目加湿器12によって加湿し、点RA'とする。そして点RA'と運転モード2の領域にある外気OAの状態点を結んだ直線は線分M−SAと交わることができるので、線分M−SA上となるように1段目加湿器12で加湿後の還気RA'と外気OAを混合すれば、あとは2段目加湿器14による加湿によって点SAに到達させることができる。これを「混合2段階加湿運転」とする。
【0040】
直線RA'−Mは図11のT−Xa空気線図上において、1次の関数(Xa=a2×T+b2)で表すことができる。ここで、直線RA'−Mは、運転モード1,2と運転モード3,4とを分かつ境界線である。即ち、外気OAの状態がRA'−Mの右側の領域は、外気OAと還気RAの混合と加湿だけでは点SAには到達することができない領域であり、従ってこの領域では冷却コイル15による冷却が必要になる。ただし、加湿器の飽和効率、その他の条件(給気SA、還気RA)によって傾きa2は正負のいずれかとなる。よって、「混合2段階加湿運転」を実施する条件は、外気OAが設定SAのエンタルピより小さく、さらに外気乾球温度T、外気絶対湿度AHとしたとき、AH<a1×T+b1であり、且つa2>0の場合にAH≧a2×T+b2またはa2<0の場合にAH≦a2×T+b2となる場合である。
【0041】
上記したように、外気OAの状態点と還気RAとの直線でも、外気OAの状態点とRA'との直線でも線分M−SAと交わらない場合には、加湿及び外気OAの混合のみでは点RAから点SAまで到達することができない。この場合が運転モード3の領域、運転モード4の領域(白抜き)である。これらの領域では、冷却コイル15に雪冷水36による冷熱を供給して冷却し、それでも冷熱が不足する場合には最終的に冷凍機R2による冷熱により冷却することができる。
【0042】
まず、外気OAの状態が運転モード4の領域にある場合、すなわち、横軸に乾球温度、縦軸に絶対湿度をとったT−Xa空気線図上で曲線M−Nの線上またはその上部に外気OAの状態点がある場合には、曲線M−Nは、点SAに対する点Mのように、点SAから点RAまでの各点を到達点とした場合、その各点に到達できる飽和曲線から最遠の点の集合であるので、取り入れた外気OAをそのまま2段目加湿器14で(等エンタルピ変化で)加湿することで、直線SA−RA上に到達させることができる。その到達した点から点SAまでは冷却コイル15による冷熱冷却となる。これを「全外気2段目加湿単独運転」とする。
【0043】
このときの運転条件は、外気OAのエンタルピがSAエンタルピより大きく、RAエンタルピより小さくて、また設定絶対湿度より湿度が小さく、且つT−Xa空気線図上において曲線M−Nを任意の関数Xa=f3(T)で表したとき、外気乾球温度T、外気絶対湿度AHで、AH>f3(T)となる場合である。
【0044】
外気OAが設定絶対湿度より小さくRAエンタルピより小さい場合には、上記の運転モード1、2及び4に当てはまらず、この場合が運転モード3の領域となる。この場合には、まず還気RAを1段目加湿器12により還気RA'とする。次に、曲線M−Nが交わる点になるように加湿後の還気RA'と外気OAを混合する。このとき、横軸に乾球温度、縦軸に絶対湿度をとったT−Xa空気線図上において、還気RA'と外気OAの状態点を結んだ直線と曲線M−Nの交点を求め、その交点の乾球温度および絶対湿度となるように混合制御を行う。そして混合気MAを2段目加湿器14により直線SA−RA上の点まで到達させるために、冷却コイル15による冷熱冷却を行う。これを「混合2段階加湿+冷却器併用運転」とする。横軸に乾球温度、縦軸に絶対湿度をとったT−Xa空気線図上において曲線M−Nを任意の関数Xa=f3(T)で表すことができるので、還気RA'と外気OAの状態点を結んだ直線を1次の関数あるいは曲線で表したとき、その交点を算出することで混合後の乾球温度と絶対湿度を求めることができる。
【0045】
上記した運転モード1〜4の領域に当てはまらない場合が運転モード5の領域に相当し、この領域では、利用が可能であれば雪貯蔵部30からの雪冷外気SOAを利用するため外気通路に供給する第1冷却を行い、更に、冷熱供給手段の循環流路16を流れる前記冷熱媒へ雪冷水が有する冷熱を供給する第2冷却を行い、それでも冷熱が不足する場合には、冷熱供給手段の循環流路16を流れる前記冷熱媒へ冷凍機が発生する冷熱を供給する第3冷却を行うことにより、給気SAを要求される給気温度に維持する。
【0046】
次に、運転モードマップのパラメータに基づいて、運転モードマップを形成するT−Xa空気線図上で分割された運転モード1〜5の領域に対し、検出器OAsで計測した外気状態点を代入して運転モードを求める方法について、図12のフローチャートを参照して説明する。
【0047】
尚、図12のフローチャートでは、外気OAi計測値の絶対湿度Xaと給気設定値の絶対湿度Xaとを比較するステップにおいて、OAi(Xa)がSA(Xa)よりも小さいことで、外気冷房が行える条件の一つが満たされる。ここでNOならば、外気の冷熱がないので運転モード5に相当し、冷熱源を雪冷外気SOA及び又は雪冷水、更に冷凍機などの熱源に頼る。YESならば、次の外気OAi計測値のエンタルピOAi(H)と給気設定値SAのエンタルピSA(H)とを比較するステップにおいて、OAi(H)がSA(H)よりも小さいことで、前ステップと併せて初めて外気冷房が行える条件が整う。ここでNOならば、外気の冷熱がないので運転モード5に相当し、冷熱源を雪冷外気SOA及び又は雪冷水、更に冷凍機などの熱源に頼る。YESならば、次の外気OAi計測値のエンタルピOAi(H)と給気設定値SAのエンタルピSA(H)とを比較するステップにおいて、OAi(H)がSA(H)よりも小さいことで、外気OAiを還気RAに混合することで混合気を外気利用して直接冷却し、且つ水加湿を利用することで所定の給気設定値SAまで持っていく条件が整う。ここでNOならば、外気の冷熱が直接利用には少ないので運転モード3又は運転モード4に相当し、雪冷水槽37の雪冷水36の冷熱により冷却コイル15で冷却する、更には冷凍機R2による冷熱を用いて冷却する。YESならば、運転モード1又は運転モード2に相当し、雪冷外気SOAの利用、冷却コイル15による冷却を利用しなくてよい。そして、YESのフローを進めると、次の外気OAi計測値の絶対湿度OAi(Xa)と境界線である還気設定温湿度点と前記境界点とを結んで境界点側に延長した直線の絶対湿度値(Xa)=a1*OA(T)+b1とを比較するステップにおいて、OAi(Xa)が(Xa)=a1*OA(T)+b1よりも大きいことで、OAiを還気RAに混合することで混合気を外気利用して直接冷却し、且つ2段目加湿器を利用することで所定の給気設定値SAまで持っていく条件が整う。YESならば運転モード1に相当する。ここでNOならば、次のステップで外気OAi(H)が設定給気SA(H)のエンタルピより小さく、さらに外気OAiの乾球温度T、絶対湿度AHとしたとき、AH<a1×T+b1であり、且つa2>0の場合にAH≧a2×T+b2またはa2<0の場合にAH≦a2×T+b2となる場合には(YES)、運転モード2に相当し、NOの場合は運転モード3に相当する。
【0048】
外気OAs計測値のエンタルピOAi(H)と給気設定値SAのエンタルピSA(H)とを比較するステップにおいて、OAi(H)がSA(H)よりも大きい場合は運転モード5に相当し、この場合では外気OAiを還気RAに混合するのみでは冷熱が不足し、従ってこの場合には、雪冷外気SOAを利用するため外気通路に供給する第1冷却を行い、更に、冷熱供給手段の循環流路16を流れる前記冷熱媒へ雪冷水が有する冷熱を供給する第2冷却を行い、それでも冷熱が不足する場合には、冷熱供給手段の循環流路16を流れる前記冷熱媒へ冷凍機が発生する冷熱を供給する第3冷却を行う。
【0049】
次に、雪を用いた空調システム1の制御装置の作動について図2〜図10を参照して説明する。
【0050】
図2,図3に示す外気利用運転システムコントローラC1は、前記したように、検出器RAsで計測する還気RAの状態点や、検出器OAsで計測する外気OAの状態点である測定値が入力されており、これらの外気状態点や還気状態点の測定値から絶対湿度、エンタルピを算出して制御に利用するようにしている。又、前記C1においては、初期値あるいは運転開始時に設定する設定値や条件値である、給気条件(温度、相対湿度)、還気条件(温度、相対湿度)、1段目加湿器飽和効率、2段目加湿器飽和効率、還気取入れ口の設定絶対湿度、給気風路の設定絶対湿度、SAエンタルピ、RAエンタルピ、1段目加湿後条件(温度、相対湿度)=RA'、混合気エンタルピ=M'、1段目加湿限界線係数、2段目加湿限界線係数、等飽和効率線係数など、調整用PC(パーソナルコンピュータ)等の制御監視機器45から出力された、運転モードマップを作成するのに必要なパラメータを、演算部46で受け取り、演算部46はそれらの値により導かれる数値範囲と外気状態点の測定値とを比較して、運転モード1〜5の何れの領域に該当するかの演算を行う。更に、運転モードマップ上で外気温度がどの領域にあるかの判断結果に基づいて、各コントローラC2〜C6及びC7へ指令を与えるようになっている。空調対象室内の発熱負荷が大きく変更になり、給気SAの設定点が変更になったり、設備の変更によって空調対象室の温湿度条件となるはずの還気RAの設定点が変更になった場合には、運転モードマップのパラメータを更新する必要があるので、定期的に、調整用PC(パーソナルコンピュータ)等の制御監視機器45から設定値として与えられた還気条件(温度、相対湿度)と検出器RAsの計測値とを比較検証して、必要ならばパラメータを更新する。パラメータの更新は管理者による任意実施としている。
【0051】
図2に示すC2は、運転モード1の領域の動作指令部1−aを有するコントローラであり、該動作指令部1−aは、上位の外気利用運転システムコントローラC1から運転指示と、給気SA温湿度の設定値とを受け取り、1段目調節バルブV1にはV1指示部47を介してOFF指示を与え、2段目調節バルブV2に対しては絶対湿度演算部を有するV2指示部48を介して運転の信号を与え、且つV2指示部48には給気SAの温湿度の計測値(SA Tm,SA Hm)を与えて絶対湿度を算出し、その絶対湿度が設定絶対湿度になるように前記2段目調節バルブV2の開度を制御する。2段目加湿器14が稼動する場合は、そのどのモードでの稼動においても設定値が設定絶対湿度となるので、動作指令部1−aからの信号は運転か停止かの信号だけでよく、設定値の入力は不要である。更に、エンタルピ演算部を有するファン指示部49は、前記動作指令部1−aからの、混合気MAのエンタルピの設置値=SA条件のエンタルピ設定値を受け取り、実際の混合気MAの温湿度の計測値(M Tm,M Hm)を見ながら外気ファン23と排気ファン27の回転数を制御する。排気ファン27は、取り入れた外気量と同量を排気すればよいので、例えば外気ファン23と排気ファン27が同容量であれば、外気ファン23の回転数と同じに制御すればよく、あるいは室内外の差圧を計測し、その差圧を無くすように回転数を制御してもよい。
【0052】
図2に示すC3は、運転モード2の領域の動作指令部2−aを有するコントローラであり、該動作指令部2−aは、上位の外気利用運転システムコントローラC1からの運転指示と、給気SAの温湿度の設定値を受け取り、V1指示部47に1段目調節バルブV1の一定開度指示を与え、V2指示部48には2段目調節バルブV2に運転の信号を与え、且つV2指示部48には給気SAの温湿度の計測値(SA Tm,SA Hm)を与えて絶対湿度を算出し、その絶対湿度が設定絶対湿度になるように2段目調節バルブV2の開度を制御する。ファン指示部49は、前記動作指令部2−aからの、混合気MAのエンタルピの設置値=SA条件のエンタルピ設定値を受け取り、実際の混合気MAの温湿度の計測値(M Tm,M Hm)を見ながら外気ファン23と排気ファン27の回転数を制御する。
【0053】
図4、図5に示すC4は、運転モード3の領域の動作指令部3−aを有するコントローラであり、動作指示部3−aは、図2の上位の外気利用運転システムコントローラC1からの運転指示と、混合気MAの温湿度の設定値を受け取り、1段目調節バルブV1に一定開度指示を与え、2段目調節バルブV2一定開度指示を与える。ファン指示部49は、前記動作指令部3−aからの、混合気MAのエンタルピの設置値=SA条件のエンタルピ設定値を受け取り、実際の混合気MAの温湿度の計測値(M Tm,M Hm)を見ながら外気ファン23と排気ファン27の回転数を制御する。この運転モード3の領域において、冷却温度が不足する場合には、雪貯蔵部30からの雪冷外気SOAを還気RAに混合することを組み合わせてもよく、また、それでも冷熱が不足する場合には冷却コイル15により雪冷水36の冷熱を用いて冷却し、更に不足する場合には最終的に冷凍機R2による冷熱により冷却することができる。ここで、雪貯蔵部30からの雪冷外気SOA及び雪冷水36を優先して用いることにより、冷凍サイクルの圧縮動力などの運転動力(エネルギ)を低減することができる。
【0054】
図6、図5に示すC5は、運転モード4の領域の動作指令部4−aを有するコントローラであり、該動作指示部4−aは、図2の上位の外気利用運転システムコントローラC1から運転指示と、給気SAの温湿度の設定値を受け取り、ファン指示部49へ一定回転数指示を与えて外気ファン23と排気ファン27を一定回転数制御する。V2指示部48には動作指示部4−aから運転の信号を与え、給気SAの温湿度の計測値(SA Tm,SA Hm)から絶対湿度を算出し、その絶対湿度が設定絶対湿度になるように2段目調節バルブV2の開度を制御する。この後、SAを計測する検出器SAsの計測値から、設定値に達するように冷熱供給手段の循環流路16の制御バルブV3の開度が制御される。この運転モード4の領域において、冷却温度が不足する場合には、雪貯蔵部30からの雪冷外気SOAを還気RAに混合することを組み合わせてもよく、また、それでも冷熱が不足する場合には冷却コイル15により雪冷水36の冷熱を用いて冷却し、更に不足する場合には最終的に冷凍機R2による冷熱により冷却することができる。ここで、雪貯蔵部30からの雪冷外気SOA及び雪冷水36を優先して用いることにより、冷凍サイクルの圧縮動力などの運転動力(エネルギ)を低減することができる。
【0055】
図7a、図7b、図8に示すC6は、運転モード5の領域の動作指令部5−a(最大負荷時対応指令部)を有するコントローラであり、図2の上位の外気利用運転システムコントローラC1からの運転指示と、給気SAの温湿度の設定値を受け取り、V1指示部47による1段目調節バルブV1へのOFF指示、V2指示部48による2段目調節バルブV2へのOFF指示、ファン指示部49による外気ファン23、排気ファン27へのOFF指示、冷熱供給手段の循環流路16に備えた制御バルブV3の開度指示値を与えるようにしている(運転A〜D)。
管理者は、雪貯蔵部30の雪残量を目視により確認して雪冷外気系の利用判断を行い、利用可能な場合には手動スイッチ50をONとして以降の自動制御に引き渡す。この手動スイッチ50がONの場合には運転A〜Dの各運転が定常状態になると考えられる定常効果時間をカウントするデイリータイマー51の設定時間後に、運転Eの雪冷外気取り入れ運転にすすみ、同時にタイマー52の設定時間後の検出器SOAsの計測値により演算した雪冷外気状態点によって、その後の運転モードを更に判断する運転Fに進む。雪冷外気系運転開始時(運転E)は、雪外気ダンパーD1に開指示を与え、外気ダンパーD2に閉指示を与え、ファン指示部49では、混合気MAの温度測定値(M Tm)と湿度測定値(M Hm)から混合気MAのエンタルピ演算を行い、外気ファン23と排気ファン27に回転数の指示値を与えて雪冷外気SOAによる第1冷却を行う。このとき、V2指示部48は2段目調節バルブV2に開度指示値を与える。
【0056】
運転E後(F運転)では、図7bに示すように、タイマー52により運転Eの定常効果時間を待った後、雪冷外気SOA(SnowOA)の温度測定値(SOA Tm)と湿度測定値(SOA Hm)より演算部53で雪冷外気SOAのエンタルピ演算を行い、雪冷外気SOAが運転モード1の領域にあるか、運転モード5の領域にあるかの判断を領域判断部54で行う。運転モード1の領域にあると判断された場合はV3指示部55にバルブV3のOFF指示を与え、雪冷外気運転を継続する。運転モード5の領域にあると判断された場合は、雪外気ダンパーD1の開指示と外気ダンパーD2の閉指示を与え、ファン指示部49には外気ファン23と排気ファン27への回転数指示を与え、V2指示部48には2段目調節バルブV2へのOFF指示を与え、冷却コイル15を備えた循環流路16のバルブV3には開度指示値を与え、このとき、雪貯蔵部30からの雪冷水36の冷熱を冷却手段の冷却コイル15に供給する第2冷却を行う。それでも冷熱が不足する場合には冷凍機R2の冷熱を冷却手段の冷却コイル15に供給する第3冷却を行う。
【0057】
図9、図10に示すC7は、外気利用運転システムコントローラC1とは独立して前記雪冷水36による冷熱を利用して制御を行うための雪冷水利用動作指示部56を有するコントローラであり、該雪冷水利用動作指示部56では、雪冷水槽37の水位計Lで計測した水位や、温度計T1sで計測した雪冷水温度により雪冷水系の利用可能判断を行う。雪冷水系が利用可能な場合は、利用可能指示部57によりバルブV5のOFF指示(バイパス遮断)を与え、ポンプP2、P3へ指示値を与える。これにより、雪冷水槽37の雪冷水36による冷熱を利用した冷却が行われる。尚、上記雪冷水利用動作指示部56により雪冷水36の供給を行っている際には、前記雪冷外気SOAによる冷却が同時に行われる。雪冷水槽37の雪冷水36の温度が所定温度以上に上昇した場合には、パルブV4にOFF指示(バイパス遮断)を与え、ポンプP1、P5に指示値を与えてブライン冷凍機R1をONにし、ブライン冷凍機R1によるバックアップ冷却を行う。雪冷水系が利用不可の場合は、利用不可指示部58によりバルブV5のON指示(バイパス)を与え、バルブV6のOFF指示(バイパス遮断)を与え、ポンプP1、P2へ指示値を与え、冷凍機R2をONにして、冷凍機R2による冷却を行う。
【0058】
以下に、各運転モードの運転概要を説明する。
I)混合2段目加湿単独運転(運転モード1の領域での運転)
【0059】
この場合は、運転モード1の領域の動作指令部1−aは外気利用運転システムコントローラC1から1段目調節バルブV1を閉止するOFF指令を受け、V1指示部47は1段目調節バルブV1をOFFとし、絶対湿度演算部を有するV2指示部48は運転の信号を2段目調節バルブV2に与え、且つV2指示部48には検出器SAmからの給気SAの計測値(SA Tm,SA Hm)を与えて絶対湿度を算出し、その絶対湿度が設定絶対湿度になるように前記2段目調節バルブV2の開度を制御する。2段目加湿器14が稼動する場合は、そのどのモードでの稼動においても設定値が設定絶対湿度となるので、外気利用運転システムコントローラC1からの信号は、初期調整時における設定値の入力のみでよい。更に、ファン指示部49は、前記動作指令部1−aから、混合気エンタルピM'の設定値、つまりM−SA線上にあるエンタルピ設定値を受け取り、検出器Mmによる実際の温湿度(M Tm,M Hm)から演算される混合気エンタルピM'計測値との偏差に基づき外気ファン23の回転数を制御する。
【0060】
上記の状態においては、冷却コイル15を通過する給気SAの温湿度は設定給気条件を満たしているので、冷却手段による冷却は不要である。排気ファン27は、加圧空気量を別とすれば取り入れた外気量と同量を排気すればよいので、例えば外気ファン23と排気ファン27が同容量であれば、外気ファン23の回転数と同じに制御すればよく、あるいは室内外の差圧を計測し、その差圧を無くすように回転数を制御してもよい。
II)混合2段階加湿運転(運転モード2の領域での運転)
【0061】
この場合、運転モード2の領域の動作指令部2−aは外気利用運転システムコントローラC1から1段目調節バルブV1の一定開度指示を与え、且つ給気SAの温湿度の計測値(SA Tm,SA Hm)から絶対湿度を演算してV1指令部47を介して1段目調節バルブV1の開度制御を行う。1段目加湿器12を運転する場合、運転パラメータから還気RA'の絶対湿度を設定絶対湿度とし、RA'の絶対湿度の計測値から1段目調節バルブV1の開度制御を行うが、1段目加湿器12の入口条件は一定(RA)であり、RA'は1段目加湿器12の能力(飽和効率)から設定されているため、基本的には1段目調節バルブV1の開度は制御する必要はなく、外気利用運転システムコントローラC1からV1指令部47への信号は運転か停止かの信号のみにするほうが簡易的な場合もある。
【0062】
ファン指示部49は、外気利用運転システムコントローラC1から、混合気エンタルピM'の設定値、つまりM−SA線上にあるエンタルピ設定値を受け取り、検出器Mmによる実際の温湿度(M Tm,M Hm)から演算される混合気エンタルピM'計測値との偏差に基づき外気ファン23と排気ファン27の回転数を制御する。
【0063】
V2指令部48は、外気利用運転システムコントローラC1から2段目調節バルブV2を開放し開度調整するような偏差を有する絶対湿度の設定値信号を受け取り、検出器SAmによる給気SAの計測値(SA Tm,SA Hm)から求め絶対湿度が設定絶対湿度になるように2段目調節バルブV2の開度制御を行う。
III)混合2段階加湿+冷却コイル併用運転(運転モード3の領域での運転)
【0064】
この場合、運転モード3の領域の動作指令部3−aは外気利用運転システムコントローラC1から1段目調節バルブV1を開放する方向、且つ流量調整可能に偏差を有する絶対湿度の設定値を受け取り、V1指示部47を介して1段目調節バルブV1を開とする。
【0065】
ファン指示部49は、外気利用運転システムコントローラC1から、混合気エンタルピM'の設置値(RA'と外気状態点を結んだ直線と曲線M−M'との交点の乾球温度および絶対湿度におけるエンタルピ)を受け取り、検出器Mmからの実際の温湿度から演算される混合気エンタルピM'計測値との偏差に基づき外気ファン23の回転数を制御する。
【0066】
V2指示部4は、外気利用運転システムコントローラC1から、1段目調節バルブV1を開放し開度調整するような偏差を有する絶対湿度の設定値信号を受け取り、検出器SAmによる給気SAの計測値(SA Tm,SA Hm)から求め絶対湿度が設定絶対湿度になるように2段目調節バルブV2の開度制御を行う。上記運転モード3の領域において、冷却温度が不足する場合には、雪貯蔵部30からの雪冷外気SOAを還気RAに混合するようにしてもよく、また、それでも冷熱が不足する場合には冷却コイル15により雪冷水36の冷熱を用いて冷却し、更に不足する場合には最終的に冷凍機R2による冷熱により冷却することができる。ここで、雪貯蔵部30からの雪冷外気SOA及び雪冷水36を優先して用いることにより、冷凍サイクルの圧縮動力などの運転動力(エネルギ)を低減することができる。
IV)全外気2段目加湿単独運転(運転モード4の領域での運転)
【0067】
この場合、運転モード4の領域の動作指令部4−aは外気利用運転システムコントローラC1からの指令により図示しない1段目調節バルブV1はOFFとされ、ファン指示部49は、外気利用運転システムコントローラC1からの一定回転数指令によって外気ファン23と排気ファン27を一定回転数で制御する。
【0068】
V2指示部48は、外気利用運転システムコントローラC1から2段目調節バルブV2を開放し開度調整するような偏差を有する絶対湿度の設定値信号を受け取り、検出器SAmによる給気SAの計測値(SA Tm,SA Hm)から求め絶対湿度が設定絶対湿度になるように2段目調節バルブV2の開度制御を行う。上記運転モード4の領域において、冷却温度が不足する場合には、雪貯蔵部30からの雪冷外気SOAを還気RAに混合するようにしてもよく、また、それでも冷熱が不足する場合には冷却コイル15により雪冷水36の冷熱を用いて冷却し、更に不足する場合には最終的に冷凍機R2による冷熱により冷却することができる。ここで、雪貯蔵部30からの雪冷外気SOA及び雪冷水36を優先して用いることにより、冷凍サイクルの圧縮動力などの運転動力(エネルギ)を低減することができる。
【0069】
更に、上記運転モード1〜4のいずれにも当てはまらない運転モード5の場合には、運転モード5の領域の動作指令部5−aは、外気利用運転システムコントローラC1からの指令により、冷却手段の冷却コイル15を用いて給気SAの計測温度が設定温度になるように制御される。このとき、雪貯蔵部30からの雪冷外気SOAが利用可能な場合には雪冷外気SOAを還気RAに混合して混合気MAの温度を低下させる第1冷却を行い、更に、冷却手段の冷却コイル15に雪冷水36の冷熱を供給する第2冷却を行い、それでも冷熱が不足する場合には最終的に冷凍機R2による冷熱を冷却手段の冷却コイル15に供給する第3冷却を行う。ここで、雪貯蔵部30からの雪冷水36の冷熱を優先して用いることにより、冷凍サイクルの圧縮動力などの運転動力(エネルギ)を低減することができる。
【0070】
上記したように、本発明の雪を用いた空調システムによれば、中間期や冬季において外気を利用した外気冷房を行う際に、還気RAを加湿する1段目加湿器12と、外気OAと還気RAの混合気MAを加湿する2段目加湿器14を備えたことにより、給気SAの加湿不足を防止できると共に、加湿による冷却効果を利用することができ、よって外気利用による冷却効果を最大限に高められる効果がある。更に、中間期や冬季に、冷房負荷が大きくて外気混合冷却だけでは冷房能力が不足する際にも、雪貯蔵部30からの雪冷外気SOAを還気RAに混合し、及び又は、雪貯蔵部30からの雪冷水36の冷熱を用いた冷却手段により給気SAを冷却することにより、雪の冷熱を有効に利用して、冷凍機のような冷熱供給装置の使用を最少限にして運転エネルギを大幅低減することができる。
【0071】
尚、本発明の雪を用いた空調システムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
1 雪を用いた空調システム
3 外気導入口
4 外気通路
5 還気取入口
6 空調対象室
7 還気通路
9 混合部
10 給気風路
11 給気通路
12 1段目加湿器(1段目加湿手段)
14 2段目加湿器(2段目加湿手段)
15 冷却コイル(冷却手段)
16 循環流路
17 冷凍機発生冷熱熱交換器
19 給気ファン(給気手段)
23 外気ファン(外気送給手段)
27 排気ファン(排気手段)
30 雪貯蔵部
31 U字溝
32 連続溝
33 雪
36 雪冷水
37 雪冷水槽
38 雪冷水熱交換器
56 雪冷水利用動作指示部
5−a 運転モード5の領域の動作指令部(最大負荷時対応指令部)
D1 雪外気ダンパー(外気切換手段)
D2 外気ダンパー(外気切換手段)
R1 ブライン冷凍機
R2 冷凍機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械室には、外気導入口に連通する第一の流通路である外気通路と、還気取入口を介し空調対象室に連通する第二の流通路である還気通路と、前記外気通路及び前記還気通路に外気通路及び還気通路とは区画された混合部を介して連通すると共に、前記混合部と区画され且つ給気風路を介し空調対象室に連通する第三の流通路である給気通路とを備え、
室外には、雪を堆積した雪貯蔵部を備え、
前記還気通路には、前記還気取入口からの還気を水により断熱加湿する1段目加湿手段を設置し、前記給気通路には、外気導入口からの外気と還気取入口からの還気が混合した混合気を水により断熱加湿する2段目加湿手段と、前記雪貯蔵部からの雪冷水が有する冷熱を供給可能な冷熱媒を循環流路に流す冷熱供給手段に接続された冷却コイルである冷却手段と、給気通路内の混合気を給気風路を介して空調対象室に送給する給気手段とを設置し、前記外気通路には、混合気の温湿度状態を調整するための外気を搬送する風量調整が可能な外気送給手段を設置し、前記空調対象室には、室内空気の一部を排気するための排気手段を設置し、前記外気導入口には、外気と前記雪貯槽部の雪により冷却した雪冷外気とを切り換えて供給し得る外気切換手段を設置した
ことを特徴とする雪を用いた空調システム。
【請求項2】
前記冷却手段に接続される前記冷熱供給手段は、前記冷熱媒に対し、前記雪貯蔵部から外部に取り出した雪冷水の冷熱を熱交換器により、冷凍機により発生した冷熱を熱交換器により、それぞれ適宜伝熱させることが可能であることを特徴とする請求項1に記載の雪を用いた空調システム。
【請求項3】
1段目加湿手段の加湿量を還気取入口にて計測し演算された絶対湿度に応じて、外気送給手段の風量を混合部にて計測し演算されたエンタルピに応じて、2段目加湿手段の加湿量を給気風路にて計測し演算された絶対湿度に応じて、それぞれ制御する制御装置を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の雪を用いた空調システム。
【請求項4】
空調対象室へ給気風路内を送給される給気設定温湿度点のエンタルピと同エンタルピ線上にあり、且つ、給気風路内を送給される給気の設定絶対湿度まで加湿可能な2段目加湿手段入口最小絶対湿度点を境界点として設定し、還気設定温湿度点と前記境界点とを結んで境界点側に延長した直線により、T−Xa空気線図上の境界点左側領域を2分し、給気及び還気の設定絶対湿度まで加湿可能な1段目加湿手段入口最小絶対湿度点を各乾球温度毎にT−Xa空気線図上の境界点右側領域で結んだ曲線により、T−Xa空気線図上の境界点右側領域を2分することで、少なくともT−Xa空気線図上を前記境界点を頂点に持つ4つの領域に分けて、温湿度を測定し求めた外気の状態点が4つの領域の何れに含まれるかで運転モードを切り替える制御装置を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の雪を用いた空調システム。
【請求項5】
還気設定温湿度点と前記境界点とを結んで境界点側に延長した直線の上部領域に外気の状態点が含まれる場合には、1段目加湿手段はOFFとし、混合部の空気温度測定値により求められたエンタルピに基づき外気送給手段の風量を制御し、給気風路内の給気温湿度測定値により求められた絶対湿度に基づき2段目加湿手段の加湿量を制御する制御装置を備えることを特徴とする請求項4に記載の雪を用いた空調システム。
【請求項6】
還気設定温湿度点と前記境界点とを結んで境界点側に延長した直線の下部領域に外気の状態点が含まれる場合には、還気取入口の還気温湿度測定値により求められた絶対湿度に基づき1段目加湿手段の加湿量を制御し、混合部の空気温度測定値により求められたエンタルピに基づき外気送給手段の風量を制御し、給気風路内の給気温湿度測定値により求められた絶対湿度に基づき2段目加湿手段の加湿量を制御する制御装置を備えることを特徴とする請求項4に記載の雪を用いた空調システム。
【請求項7】
給気及び還気の設定絶対湿度まで加湿可能な2段目加湿手段入口最小絶対湿度点を各乾球温度毎にT−Xa空気線図上の境界点右側領域で結んだ曲線の上部領域に外気の状態点が含まれる場合には、給気風路内の給気温湿度測定値により求められた絶対湿度に基づき2段目加湿手段の加湿量を制御し、1段目加湿手段はOFFとし、給気風路内の給気温度に基づき、前記冷熱媒が有し前記冷却手段へ供給される供給熱量を制御する制御装置を備えることを特徴とする請求項4に記載の雪を用いた空調システム。
【請求項8】
給気及び還気の設定絶対湿度まで加湿可能な2段目加湿手段入口最小絶対湿度点を各乾球温度毎にT−Xa空気線図上の境界点右側領域で結んだ曲線の下部領域に外気の状態点が含まれる場合には、還気取入口の還気温湿度測定値により求められた絶対湿度に基づいて1段目加湿手段の加湿量を制御し、混合部の空気温度測定値により求められたエンタルピに基づいて外気送給手段の風量を制御し、給気風路内の給気温湿度測定値により求められた絶対湿度に基づいて2段目加湿手段の加湿量を制御し、給気風路内の給気温度に基づき、前記冷熱媒が有し前記冷却手段へ供給される供給熱量を制御する制御装置を備えることを特徴とする請求項4に記載の雪を用いた空調システム。
【請求項9】
前記雪貯蔵部から外部に取り出した雪冷水が有する冷熱の利用可能を判断して、前記冷熱供給手段の循環流路を流れる前記冷熱媒への雪冷水が有する冷熱の供給を制御する雪冷水利用動作指令部を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の雪を用いた空調システム。
【請求項10】
外気の状態点がT−Xa空気線図上で請求項5乃至8の何れの場合にも当てはまらない場合では、雪冷外気を外気通路に供給する第1冷却と、前記冷熱供給手段の循環流路を流れる前記冷熱媒へ雪冷水が有する冷熱を供給する第2冷却と、冷熱が不足する場合に前記冷熱供給手段の循環流路を流れる前記冷熱媒へ冷凍機が発生する冷熱を供給する第3冷却とを行う最大負荷時対応指令部を有することを特徴とする雪を用いた空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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