説明

雪試料採取器

【課題】正確に一定容積の雪試料を手間をかけることなく採取することができるようにする。
【解決手段】桿部5と、軸方向の一端が開口した筒形状を有し開口側とは反対側の端部に桿部5の一端が連結されると共に開口側の端部に開口面と平行に配置された雪切断部材2bを備える試料採取部2とを有し、積雪に差し込まれた試料採取部2が回転することによって雪切断部材2bが試料採取部2の開口側の端部で開口面と平行に回転して試料採取部2内に取り込んだ雪と試料採取部2の外側の雪とを切断するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雪試料採取器に関する。さらに詳述すると、本発明は、例えば地面の積雪や架線に着雪した雪など(以下、単に積雪と表記する)の密度を測定するための一定容積の雪試料の採取に用いられる雪試料採取器に関する。
【背景技術】
【0002】
積雪の密度を測定する際に用いられる積雪試料を採取する従来の器具としては、例えば、円筒型とも呼ばれるタイプであって、定量の容積に形成され先端が開口している金属性のバレルを用いたものがある(非特許文献1)。円筒型に分類されるバレルを用いる場合には、具体的には、バレルを積雪に差し込んでバレルの内部を積雪で満たし、その後バレルを引き抜いて雪試料を採取するようにしている。
【0003】
また、マス型とも呼ばれるタイプであって、定量の容積に形成されたさじ部分を有するスコップを用いたものがある。マス型に分類されるスコップを用いる場合には、具体的には、スコップのさじ部分で積雪を掬い、掬った雪をスコップとは別体のへらをさじ部分の縁を沿わせてすり切って一定容積の雪試料を採取するようにしている。
【0004】
【非特許文献1】末松耕平 他:涵養量測定,北海道大学大学院環境科学院,2006年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の円筒型の雪試料採取器では、バレルを積雪に差し込んだ後にバレル内に取り込んだ雪とバレル外側の積雪とをバレルの開口端面で切断するようにはしていない。したがって、バレルを積雪に差し込んで内部に雪試料を取り込んだ状態ではバレル内に取り込んだ雪試料とバレル外側の積雪とはバレル先端の開口部分において繋がっており未だ一体であるので、バレルを積雪に差し込んでから引き抜く際に、バレル先端の開口部分の雪試料が抉られてしまって一定容積の試料が得られなかったり、バレル内に一旦取り込んだ雪試料もバレルからそっくり抜けてしまいそのまま積雪の中に残って試料採取ができなかったりする。このため、積雪の密度の正確な測定ができず、また、やり直しの手間がかかるという問題がある。
【0006】
また、従来のマス型の雪試料採取器では、スコップのさじ部分で掬った雪をへらですり切る作業が必要であり、その分の手間と時間とがかかる。このため、特に、多数のサンプルを採取する場合は最適な器具とは言い難い。
【0007】
そこで、本発明は、正確に一定容積の雪試料を手間をかけることなく採取することができる雪試料採取器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の雪試料採取器は、桿部と、軸方向の一端が開口した筒形状を有し開口側とは反対側の端部に桿部の一端が連結されると共に開口側の端部に開口面と平行に配置された雪切断部材を備える試料採取部とを有し、積雪に差し込まれた試料採取部が回転することによって雪切断部材が試料採取部の開口側の端部で開口面と平行に回転して試料採取部内に取り込んだ雪と試料採取部の外側の雪とを切断するようにしている。
【0009】
したがって、この雪試料採取器によると、試料採取部を回転させることによって雪切断部材が開口面と平行に回転して試料採取部内の雪と外の雪とを切断し得る。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の雪試料採取器において、桿部に支点支持部材及び水準器が備えられると共に、支点支持部材に対して試料採取部が連結する側と反対側に桿部に沿って移動する分銅を更に有するようにしている。この場合には、試料採取部が空の状態で分銅を移動させて桿部が水平になるときの分銅の位置と試料採取部に雪試料を取り込んだ状態で分銅を移動させて桿部が水平になるときの分銅の位置とによって、試料採取部に取り込んだ雪試料の密度が測定される。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の雪試料採取器において、桿部が折り曲げ可能であるようにしている。この場合には、使用していないときは桿部を折り曲げることによってコンパクトになる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の雪試料採取器によれば、試料採取部が回転することによって雪切断部材が開口面と平行に回転して試料採取部内の雪と外の雪とが切断されるので、雪試料の取り込みと取り込んだ雪試料を一定容積にするためのすり切りとを雪試料採取のための容器を単に回転させることのみによって同時に行うことができ、雪試料採取のための作業を簡略化して作業時間を短縮することが可能になる。しかも、本発明の雪試料採取器によれば、試料採取部内に取り込んだ雪と試料採取部の外側の雪とを切断することができるので、試料採取部を積雪から引き抜く際の試料の乱れを回避すると共に一定容積の試料を確実に採取することができ、採取する雪試料の容積の精度を向上させることが可能になる。さらに、本発明の雪試料採取器によれば、特に、雪試料を多数採取する場合の作業の手間を大幅に軽減することができるので、多数の試料のデータを用いることによってデータ精度を向上させることが容易に可能になる。
【0013】
また、請求項2記載の雪試料採取器によれば、一定容積の雪試料の採取に加えて雪試料の密度の測定を雪試料採取器のみによって行うことができるので、雪試料の密度を測定するために別の器材を用いるという手間を省いて雪試料密度測定のための作業を簡略化することができ作業時間を短縮することが可能になる。しかも、本発明によれば、高い精度で一定容積の雪試料を採取することができるので、高い精度で雪密度の測定を行うことが可能になる。
【0014】
また、請求項3記載の雪試料採取器によれば、使用していないときは桿部を折り曲げることによってコンパクトにすることができるので、雪試料採取器の携帯を容易にすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1及び図2に、本発明の雪試料採取器の実施形態の一例を示す。この雪試料採取器1は、桿部5と、軸方向の一端が開口した筒形状を有し開口側とは反対側の端部に桿部5の一端が連結されると共に開口側の端部に開口面と平行に配置された雪切断部材2bを備える試料採取部2とを有し、積雪に差し込まれた試料採取部2が回転することによって雪切断部材2bが試料採取部2の開口側の端部で開口面と平行に回転して試料採取部2内に取り込んだ雪と試料採取部2の外側の雪とを切断するものである。
【0017】
雪試料採取器1は、大きくは、試料採取部2と、試料採取部2と連結する桿部5とから構成される。なお、本実施形態では、桿部5は第一桿部3と第二桿部4とから構成される。
【0018】
試料採取部2は、バレル2a並びにバレル2aに設けられた雪切断部材2b及び接続部2eを有する。
【0019】
バレル2aは、積雪に差し込まれた際に内部に雪試料を取り込んで保持するためのものである。バレル2aは円筒状に形成され、一方の端部は開口し、本実施形態では他方の端部に底板2dを有する。そして、底板2dの外側面のほぼ中央に突起する接続部2eが設けられている。なお、以降では、バレル2aの開口端面を先端面2cと呼ぶ。なお、バレル2aの大きさは特定の大きさに限定されるものではなく、密度を測定する際の雪試料の容積が予め決められている場合にはそれに合わせたり、採取する積雪の場所などを考慮して作業者が適宜調整したりする。
【0020】
雪切断部材2bは、バレル2aの先端面2c若しくはその近傍に先端面2cと平行に設けられ、雪試料採取器1が回転することによって先端面2cと平行に回転してバレル2a内に取り込んだ雪試料とバレル2a外側の積雪とを切断する。
【0021】
このため、雪切断部材2bは、図2に示すように、バレル2aの軸直角断面の中心若しくは中心の近傍を通るように配置され両端がバレル2aの周壁の先端部に取り付けられる。そして、雪切断部材2bは、バレル2aを積雪に差し込んでバレル2a内に雪試料を取り込む際に障害物にできる限りならないと共に先端面2cと平行に回転することにより先端面2c若しくはその近傍においてバレル2a内に取り込んだ雪試料とバレル2a外側の積雪とを切断可能なものであれば良い。具体的には、例えばピアノ線等の糸状のもの(図2(A))、又は、例えばステンレス板等の長方形薄板状のもの(図2(B),(C))などが用いられる。
【0022】
雪切断部材2bとして薄板状のものを用いる場合には、当該雪切断部材2bをバレル2aの周壁の先端部に、不動に固定して取り付けるようにしても良いし(図2(B))、長手方向の二辺のうちの一辺を軸心として回転可能に支持して取り付けるようにしても良い(図2(C))。
【0023】
そして、薄板状の雪切断部材2bをバレル2aの周壁の先端部に不動に固定して取り付ける場合には、バレル2aを積雪に差し込んでバレル2a内に雪試料を取り込む際に障害物にできる限りならないようにするため、薄板状の雪切断部材2bの面が先端面2cに対して垂直になるようにすることが望ましい。
【0024】
また、薄板状の雪切断部材2bをバレル2aの周壁の先端部に回転可能に取り付ける場合には、バレル2aが積雪に差し込まれる際には薄板状の雪切断部材2bはバレル2aの進行方向と平行即ちバレル2aの先端面2cと垂直方向になるのでバレル2a内に取り込む雪試料が乱れることがなく、また、バレル2aが回転する際には薄板状の雪切断部材2bはバレル2aの先端面2cと平行になるのでバレル2a内に取り込んだ雪試料とバレル2a外側の雪試料との境界を乱すことなく雪を切断することができる。
【0025】
なお、雪試料切断部2bは、本実施形態では、バレル2aの先端面2cに設けるようにしているが、これに限られるものではなく、バレル2aの内側でも良い。
【0026】
また、雪切断部材2bは、本実施形態のように一本には限られず、複数本(若しくは複数枚)であっても構わない。
【0027】
また、バレル2aが積雪に差し込まれて雪試料を採取する際のバレル2a内の空気を抜くための空気穴(図示省略)を設けることが好ましい。空気穴は、バレル2a内に取り込んだ雪試料が落ちない程度の大きさで、バレル2aの底板2d或いは底板2d近傍の周壁に設けられる。これにより、バレル2a内に雪試料を取り込む際にバレル2a内の空気はこの空気穴から押し出されるので、バレル2a内に溜まって雪試料によって圧縮される空気が先端面2cから無理に外部に出ようとすることがない。したがって、雪試料をバレル2a内に取り込む際の試料の乱れの発生を防ぐことができる。
【0028】
第一桿部3は、試料採取部2と第二桿部4との間に設けられて第二桿部4と共に雪試料採取器1の桿部5を構成するものであり、一端が試料採取部2の接続部2eと連結すると共に他端が第二桿部4と連結する。本実施形態では、第一桿部3は対向して平行に配置された二枚の長方形をなす板状部材3a,3aからなり、この板状部材3aの両端には貫通孔が設けられている。そして、対向する二枚の板状部材3a,3aの一方の端部が試料採取部2の接続部2eを挟むと共に板状部材3a,3aの貫通孔と接続部2eの貫通孔とを貫通するねじ3bによってねじ止めされて試料採取部2と第一桿部3とが連結される。
【0029】
第二桿部4は、本実施形態では、対向して平行に配置された二枚の長方形をなす板状部材4a,4aと、板状部材4a,4aの第一桿部3と反対側(即ち、桿部5の試料採取部2と反対側)の端部によって挟まれて当該端部を固定する端部材4bと、二枚の板状部材4a,4aの間に板状部材4a,4aと平行に配置されるガイドバー4cと、中央にガイドバー4cを貫通させる貫通孔を有しガイドバー4cに摺動可能に支持される分銅4dと、板状部材4aに取り付けられて桿部5の水平状態を確認するための水準器4eとを有する。
【0030】
板状部材4aの第一桿部3側の端部には貫通孔が設けられている。そして、対向する二枚の板状部材4a,4aの第一桿部3側の端部が第一桿部3の二枚の板状部材3a,3aを挟むと共に、第二桿部4の板状部材4a,4aの貫通孔と第一桿部3の板状部材3a,3aの貫通孔とを貫通する回転軸4fによって折り曲げ可能に第一桿部3と第二桿部4とが連結される。この構成によって、本実施形態の雪試料採取器1は、使用していないときは桿部5を折り曲げることによってコンパクトにすることができるので携帯が容易になる。
【0031】
ここで、本実施形態の雪試料採取器1は、バレル内に取り込んだ雪試料の密度を測定する機能を持つものである。雪試料採取器1による雪試料密度測定の基本的な考え方は、バレル2aが空の状態と雪試料を取り込んだ状態とにおいて、分銅4dを移動させて桿部5を水平にし、それぞれの状態の分銅4dの位置から雪試料の密度を求めるというものである。
【0032】
本実施形態では、分銅4dを移動させて桿部5を水平にする際の支点を回転軸4fとしている。そして、雪試料採取器1は回転軸4fを支持するための支点支持部材4gを有する。支点支持部材4gは、上端部分を例えば作業者が手で持って、桿部5が回転軸4fを支点として揺動可能であるように回転軸4fを支持するものである。具体的には例えば、下端が環状に形成され、当該環状部分で回転軸4fを摺動可能に支持する構造が考えられる。
【0033】
そして、雪試料採取器1は、バレル2aが空であると共に分銅4dが移動可能な範囲の最も回転軸4f寄りの位置に分銅4dを移動させた状態で桿部5が水平になるようにバレル2aや水準器4e等の重量を包括した全体の釣り合いが調整される。なお、本実施形態では、上記状態において桿部5が水平になるように端部材4bの重量が調整されている。
【0034】
分銅4dは、中央を貫通するガイドバー4cに沿って(即ち、板状部材4a,4aと平行に)移動する。そして、バレル2aが空の状態と雪試料を取り込んだ状態とにおいて回転軸4fを支点にして桿部5を水平にする。
【0035】
分銅4dの重量は、バレル2a内に密度が1.0(g/cm)である雪試料が充填された場合の当該バレル2a内の雪の重量に調整される。すなわち、バレル2aの容積がVc(cm)である場合には、分銅4dの重量はVc(g)になる。
【0036】
また、ガイドバー4cと板状部材4a,4aとのうちの少なくとも一つに分銅4dの位置によってバレル2a内の雪試料の密度を測定するための目盛が付けられる。雪試料密度測定のための目盛りは以下の手順によって付けられる。
1)最も回転軸4f寄りの位置に移動させたときの分銅4dの位置に目盛りゼロを
付ける。
すなわち、バレル2aが空の状態で桿部5が水平になるときの分銅4dの位置
に基準としてのゼロを付ける。
また、例えば分銅4dの中央や桿部5方向のどちらかの端面の位置を分銅4d
の位置の基準とする。
2)バレル2aの容積中心に、バレル2aの容積Vc(cm)×1(g/cm)の
重量の錘をかける。
3)分銅4dを端部材4b側に徐々に移動させる。
4)桿部5が水平になるときの分銅4dの位置に目盛り1を付ける。
5)分銅4dの位置の計測を容易にするために、目盛りゼロと目盛り1との間を例
えば10等分した目盛り(即ち0.1刻みの目盛り)や20等分した目盛り
(即ち0.05刻みの目盛り)を付ける。
【0037】
以上の、バレル2aが空の状態における桿部5の水平の達成と目盛りの付与とによって、バレル2a内に雪試料を取り込んだ状態で桿部5が水平になるときの分銅4dの位置からバレル2a内の雪試料の密度が測定される。なお、上記手順によって付与した目盛りの数値がそのままバレル2a内に取り込んだ雪試料の密度である。
【0038】
また、雪試料採取器1による雪試料密度の測定範囲を0から例えば0.6(g/cm)の範囲にする場合には、バレル2a容積Vc(cm)×0.6の重量の錘をバレル2aの容積中心にかけると共に、分銅4dを徐々に移動させて桿部5が水平になるときの分銅4dの位置に目盛り0.6を付けるようにしても良い。
【0039】
なお、以上の構成と手順とによってバレル2a内の雪試料の密度を測定するため、バレル2aの容積中心と回転軸4fの質量中心と端部材4bの質量中心と分銅4dの質量中心とが一直線上に存在するように雪試料採取器1の構造は調整される。
【0040】
以上のように構成された雪試料採取器1によれば、バレル2aを積雪に差し込んでバレル2a内が積雪によって完全に充填されたことを確認してからバレル2aを回転させた後バレル2aを積雪から引き抜き、バレル2a内に雪試料を取り込んだ状態で分銅4dを移動させて桿部5が水平になるときの分銅4dの位置を読み取ることによってバレル2a内の雪試料の密度を測定することができる。なお、バレル2a内に取り込んだ雪試料とバレル2a外側の積雪とを確実に切断するため、バレル2aは少なくとも1回以上回転させ、2回以上回転させることが好ましい。
【0041】
そして、本発明の雪試料採取器1によれば、雪試料採取のための作業を簡略化して作業時間を短縮することが可能になると共に、試料採取部2を積雪から引き抜く際の試料の乱れを回避すると共に一定容積の試料の採取を確実に行えるようにして採取する雪試料の容積の精度を向上させることが可能になる。さらに、雪試料採取器1によれば、雪試料の密度を測定するために別の器材を用いるという手間を省いて雪試料密度測定のための作業を簡略化して作業時間を短縮することが可能になると共に、高い精度で一定容積の雪試料を採取して雪密度の測定を行うことが可能になる。また、雪試料採取器1によれば、使用していないときは桿部を折り曲げることによってコンパクトにすることができるので、雪試料採取器の携帯を容易にすることが可能になる。
【0042】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では、試料採取部2に桿部5が連結されている構造としているが、これに限られず、場合によっては桿部5を有しない構造とし、試料採取部2のみを高い精度で一定容積の雪試料を採取する雪試料採取器として用いるようにしても良い。
【0043】
また、本実施形態では、回転軸4fを備えて第一桿部3と第二桿部4とからなる桿部5が折り曲げられるようにしているが、これに限られず、桿部5を一本の棹状部材によって構成するようにしても良い。
【0044】
また、本実施形態では、対向する二枚の板状部材3a,3aの一方の端部の貫通孔と試料採取部2の接続部2eの貫通孔とを貫通するねじ3bによってねじ止めされて試料採取部2と第一桿部3とが連結されるようにしているが、これに限られず、第一桿部3の端部(即ち桿部5の端部)が雄ねじを備えるようにすると共に接続部2eに雌ねじが形成されて当該ねじによって連結されるようにしても良い。
【0045】
また、本実施形態では、第一桿部3は対向して平行に配置された二枚の長方形をなす板状部材3a,3aからなるようにしているが、これに限られず、第一桿部3を一本の棒状部材によって構成するようにしても良い。また、第二桿部4についても、本実施形態では、対向して平行に配置された二枚の長方形をなす板状部材4a,4aからなるようにしているが、桿部に沿って分銅4dを移動させることが可能な構造であれば、本実施形態の構造には限られない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の雪試料採取器の実施形態の一例の構造を示す図である。(A)は側面図である。(B)は平面図である。
【図2】本実施形態の雪試料採取器のバレルの雪切断部材の概略構造を説明する図である。(A)は糸状の雪切断部材を説明する図である。(B)は薄板状の部材であって不動に固定されて取り付けられる雪切断部材を説明する図である。(C)は薄板状の部材であって回転可能に固定されて取り付けられる雪切断部材を説明する図である。
【符号の説明】
【0047】
1 雪試料採取器
2 試料採取部
2b 雪切断部材
5 桿部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
桿部と、軸方向の一端が開口した筒形状を有し前記開口側とは反対側の端部に前記桿部の一端が連結されると共に前記開口側の端部に開口面と平行に配置された雪切断部材を備える試料採取部とを有し、積雪に差し込まれた前記試料採取部が回転することによって前記雪切断部材が前記試料採取部の前記開口側の端部で開口面と平行に回転して前記試料採取部内に取り込んだ雪と前記試料採取部の外側の雪とを切断することを特徴とする雪試料採取器。
【請求項2】
前記桿部に支点支持部材及び水準器が備えられると共に、前記支点支持部材に対して前記試料採取部が連結する側と反対側に前記桿部に沿って移動する分銅を更に有することを特徴とする請求項1記載の雪試料採取器。
【請求項3】
前記桿部が折り曲げ可能であることを特徴とする請求項1記載の雪試料採取器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−186289(P2009−186289A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25740(P2008−25740)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】